功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『南北腿王/魔鬼教頭巧鳳凰』

2011-06-23 22:44:26 | 女ドラゴン映画
南北腿王/魔鬼教頭巧鳳凰
英題:The Invincible Kung Fu Legs/The Leg Fighters
製作:1980年(1983年説あり)

●稀代の足技使いであった譚道良(レオン・タン)は、残忍な拳法家・彭剛を接戦の末に葬り去った。しかし、彭剛の兄である大悪党・彭剛(一人二役)は敵討ちを誓い、虎視眈々とリベンジの機会を窺っていた…。
一方、こちらは名家として世間に名高い王侠家。ご令嬢の夏光莉は、召使いの金龍と共に功夫教師の孫榮志からキツい修行を受けていた。毎日がスパルタ特訓の連続だったが、孫榮志が一身上の都合で実家に帰るため、代わりに別の教師が赴任してくる事となった。厄介な師がいなくなり、浮かれた夏光莉らは乱暴なチンピラを必要以上に叩きのめすが、そこに先程の譚道良が現れる。
 夏光莉も決して弱くなかったが、実力的には相手の方が一枚も二枚も上手。軽くあしらわれて帰宅した彼女を待っていたのは、噂の新任教師・譚道良であった。夏光莉たちは何とか出し抜こうとするが、譚道良は強すぎて全然敵わない。一時は険悪な関係になりかけたが、鈴の音コンビ(王耀と呂雲保)との闘いで劣勢のところを助けられた事で、夏光莉は譚道良を師匠として認めるのだった。
同じ頃、譚道良を探して各地を暴れまっていた彭剛は、帰郷していた孫榮志とその妻を殺害。遂には王侠家へ果たし状を送りつけ、譚道良を抹殺しようと動き出した。譚道良はこの挑戦を受けて立つが、足技に加えて鷹爪拳まで身に付けていた彭剛はなかなか手強い。そこに修行を受けて強くなった夏光莉&金龍が加勢し、最後の対決が始まる!

 本作は台湾製のコメディ功夫片ですが、このころ量産されていたジャッキー映画もどきとは一線を画し、オリジナリティの強い作品となっています。監督は譚道良の主演作を何本か手掛けてきた李作楠(リー・ツォー・ナン)で、今回は基本設定にだけ趣向を凝らし、ストーリーはシンプルにまとめた解りやすい作品に仕上がっていました。
コメディ部分が少々パンチ不足で、後半になっていきなり血の出る描写が出てくるなど、細かな不満はあります。とはいえ、作品そのものの出来はとてもしっかりしていて、なおかつ作中の功夫アクションはどれも高度。物語が進むごとにアクションは激しさを増していき、ラストバトルの夏光莉&譚道良VS彭剛における目まぐるしい足技合戦、最後の主役2人によるキックラッシュも迫力満点です。作品の質は安定し、功夫アクションにおいては傑作と呼べる逸品と言えます。
個人的には、相変わらず表情変化が少ない譚道良を見て、もっと彼の砕けた演技を見てみたいと思ってしまいました(本作では譚道良自身が笑いを取るような場面は殆どありません)。そういえばこの人が思いっきり爆笑している姿を見たことが無いなぁ……?