『デイジー』
DAISY(2006年韓国)
監督:アンドリュウ・ラウ
脚本:クァク・ジェヨン
脚本リライト:ゴードン・チャン(ノンクレジット)
フェリックス・チョン(ノンクレジット)
出演:チョン・ジヒョン
チョン・ウソン
イ・ソンジュ
チョン・ホジン
デビッド・チャン
■ストーリー■
オランダのアムステルダム、ヘヨンは祖父の骨董屋を手伝って生活していた。画家を目指すヘヨンには、想いを寄せる見知らぬ男性がいた。
デイジーの花畑をスケッチした帰りに、丸木橋から落っこちたときに、落し物を拾ってくれ、落っこちないような立派な橋を作ってくれた男性だ。
そして、その日から、骨董屋に毎日、デイジーの花を届けてくれている男性がいるのだ。
そんなある日、ヘヨンが広場で肖像画を描いているときに、画を描いて欲しいという客ジョンウが現れるのだった。
ヘヨンは、直観的にジョンウがデイジーを届けてくれている男性だと感じるのだが…。
■感想■
『猟奇的な彼女』(2001年)のチョン・ジヒョン主演のオランダを舞台にした韓国映画です。
あまり観ない韓国映画ですけど、今回は劇場に行って観ました。
それは、監督が香港映画の傑作ノワール『インファナル・アフェア』(2002年)の監督アンドリュウ・ラウだったからです!!
脚本は『猟奇的な彼女』(2001年)『僕の彼女を紹介します』(2004年)のクァク・ジェヨン。
「キネマ旬報」の今作の記事にアンドリュウ・ラウ監督のインタヴューが載っていたんですが、その記事によると、当初は、ニューヨークのブルックリンと、韓国を舞台にしたストーリーだったらしいです。
また、ストーリーを短くするために、フェリックス・チョン、ゴードン・チャンが脚本をリライトしたそうです!
フェリックス・チョンは「インファナル・アフェア」シリーズや『東京攻略』(2000年)。
ゴードン・チャンは『BEAST COPS野獣刑察』(1998年)や『メダリオン』(2003年)の監督&脚本家です。
なんでも、最初の脚本だと、そのまま映画化すると3時間になっちゃうような長さだったそうです。短くなった完成版の今作のランニングタイムは125分なので、香港ノワールとするとかなり長尺ですね。
ファーストカット版は150分くらいあったそうです!
「う~ん、今作の150分版があるなら見てみたい気もします…」
監督がアンドリュウ・ラウ。製作にも香港スタッフが関わってるので、完全に香港映画を観る気持ちで観ちゃいました!
それでも、全然期待外れにならず面白く観れました‼
冒頭、ヒロインのチョン・ジヒョンが、骨董屋で祖父から「恋でもしろ!」とか言われて、微笑ましいシーンで始まります!その後、広場で肖像画を描いているとデイジーの花を持った男性客が現れて、まるで恋愛映画みたいな良い感じで進んでいきます。
骨董屋にデイジーの花を届けてくれてるのを、その広場で絵を描いてくれと頼んだ男性イ・ソンジュだと思い込んで、チョン・ジヒョンは、イ・ソンジュのことを好きになり始めます。
「あ~、恋愛映画みたいで、良い雰囲気です」
でも、その後から、今作の本当の展開が待ってます!
チョン・ジヒョンのことを好きになり始めたイ・ソンジュのモノローグが始まります!!
イ・ソンジュは、肖像画を描いてもらうためでなく、チョン・ジヒョン越しに麻薬組織のアジトを捜査中のICPOの刑事で、捜査のため、広場で画を描いてもらっていたっていう設定です。
では、デイジーの花を送っていたのは誰??
もう1人、メインの登場人物が出てきます!デイジーを送っていたのはチョン・ウソン演じる暗殺者パクウィです!
ICPOの刑事に暗殺者!
いつもの香港映画お得意のノワール物です!
全然ストーリーは、違いますけど、レスリー・チャン、常盤貴子主演の『もういちど逢いたくて星月童話』(1999年)も、恋愛映画かな??みたいに始まって、ラストは、いつもの香港ノワールになっちゃう作品でした!
今作は予告で、刑事や暗殺者が出てくるのでノワール物なのはバレバレなんですけどね~。
でも、そんなこと知らずに観た方が感動すると思うんですけどね。まぁ、知らなかったら、恋愛映画の韓国映画だと思って、絶対に観てないですけどね…。
今作『デイジー』も、同じく、映画が進むにしたがってベタな恋愛映画モードから、ノワールモードが加速していきます!
少女マンガが、路線変更で、“ゴルゴ13”になっちゃう感じ!!!
広場の最初の銃撃戦のあたりから、「あれ、自分は何の映画観ていたんだっけ??」って気持ちになっちゃいます。
もうそこからの展開は、香港ノワールモードに突入、フルスロットル状態!
すごく面白かったです!
でも、ストーリーが悲しい!主演の2人の男性、カッコ良すぎ!カッコ良い上に、性格も良いです!チョン・ジヒョンじゃなくてもほれちゃいます。
最後、ほんのちょっとだけ、ミステリー仕立てになりますけど、そこがまた、最後の感動をより一層強くさせてます!
あと、暗殺者の組織のボス役で、デビッド・チャンが出演してます!デビッド・チャン、香港映画ファンには懐かしいですね。
アクションシーンが、少し物足りないのと、暗殺者のチョン・ウソンが強すぎなのが難点ですが、まぁOKでしょう!
チョン・ウソンの殺し屋の腕が、すごくやり手だったコトの説明がなかったのが残念!殺し屋の組織のボスも、あんなに強いウソンを怒らせてどうする!!話し合おうとか思わなかったの~??
ウソンのために組織は壊滅ですもんね!
チョン・ウソンって、クライマックスの活躍って、ゴルゴ13みたい!ゴルゴ13を怒らせちゃダメなことくらい、誰でも知ってるのに!
大満足の1本でした!!
アナザーバージョンも。基本的には同じですが、チョン・ウソンが生き残ることが明らかに、、。