指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

芦川いづみのセーラー服姿は、最高だった 『愛と知の出発』

2015年08月30日 | 映画

中平康の『誘惑』に感心した後、続いて『愛と知の出発』も見る。

芦川いづみ、白木マリ、中原早苗が女子高生3人組で、白木は芦川に、いわゆるS的関係を仕掛けるが、拒否される。

大映の若尾文子、南田洋子の「性典映画」的だが、同時に同級生の川地民夫との恋愛もあり、青春映画でもある。

白木マリと中原早苗の高校生姿は少々無理があるが、芦川いづみはセーラー服姿が実によく似あう。

                       

 

この作品は、コニカラーで撮影されたのだが、今回はモノクロでの上映は誠に残念だが、カラーのはもうないのだろう。

コニカラーは、テクニカラーと同じ三色分解で3本の白黒フィルムに撮影して合成するもので、浅丘ルリ子のデビュー作『緑はるかに』で使用された。

色彩はきれいだったが、カメラが異常に大き重く、「お神輿カメラ」と呼ばれ、男4人でないと動かせなかせず、すぐに使わなくなったそうだ。フィルムセンターに展示されているので、ご参考までに。

話はいろいろあるが、町の不良柳瀬志郎らの暴行で、中原早苗は自殺してしまい、白木の病院の医師小高雄二の悪行によって、あわや芦川いづみも危うしとなるが、彼女は無事逃れるが新聞に虚偽の記事を書かれて、自分の潔白を証明しようと自殺を決意する。

同意した川地と一緒に二人で山に登る。

「これは吉永小百合と浜田光夫の名作『泥だらけの純情』のような心中ものか」と思うが、最後山の頂上で御来光を見た二人は、再び生きて行くことを誓う。

思い詰める表情が良い吉永小百合とは異なり、芦川には思い詰める表情はないので、心中はふさわしくないのだ。

川地の元軍人らしい父親が永田靖で、芦川の父宇野重吉が教師だと聞き、

「日教組か!」には場内大爆笑だった。

因みに永田靖は、共産党支持者で有名だった。

神保町シアター

 

 



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
芦川いづみ 永田靖 (広い世界は)
2024-03-03 12:50:04
コニカラー映画ですか。「風と共に去りぬ」は世界に散らばらせて原色毎のネガフィルムを保管してると聞いたことがある。芦川いずみってツンデレで何を考えているかわからない所が魅力なんだと思う。「憎いあんちくしょう」のラストでは小池朝雄に惚れてないのに、不思議な顔をする。芦川の日活の立ち位置がこの演技なのです。永田ですが映画にも出ている俳優座の重鎮でした。
永田靖は (指田文夫)
2024-03-03 21:44:47
永田靖は、戦前から日本共産党で有名でしたが、なぜか大映にはよく出ています。
永田雅一は、そんなことは気にしないのでしょうかね。
永田雅一VS永田靖 (広い世界は)
2024-03-04 00:56:45
永田雅一は共産党がお嫌いらしい。しかし山本薩夫のような監督は使った。常にヒットを飛ばすからだ。永田靖も、もの凄い数の映画作品に出ている役者だ。それも映画会社に拘らず。例えば東映:警視庁物語3本、松竹:木下恵介「惜春鳥」、東宝「忍ぶ川」、大映:「悪名」4本・「眠狂四郎」2本、新東宝「野良犬」です。永田雅一は永田靖に文句は言えないでしょう。

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