指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

ご乱心もの 『続・道場破り』

2014年03月27日 | 映画

前作の『道場破り』がヒットしたのだろう、長門勇主演、丹波哲郎助演で作られた松竹京都の時代劇。

話は、ある剣法道場の三代目の御曹司の長門勇が、有望な弟子の一人菅原文太をいきなり殺してしまい、一切理由を言わない。

そこから長門は様々な奇行を起こすようになるという、『忠直卿行状記』のような「ご乱心」ものである。

もちろん、最後はご乱心、ご乱行の理由が明かされるが、あまり納得できるものにはなっていなかった。

こうしたご乱心ものは、大正ヒューマニズム的で、武士道の非合理性、非人間性を描くもので、以前は納得できなかった。

     

だが、4年前の鳩山由紀夫首相の、「宇宙人的言動」を知って私は考えを変えた。

「こういう上流にいて、普通の人間の世界から隔絶されて生きてきた人間には、ご乱心と見えるような性向がありうるのだ」と。

そう考えると、現在の安倍晋三首相の言動のおかしさも、一種の「ご乱心」として考えられるのではないかと思った。

安倍首相は、幼少時から公立学校には通わず、彼と同じ階層の私立学校に行っていたのだから、多分友人も側近のごとき者で、忠直卿のような生育環境だったのだと思う。

誰か、若殿のご乱心を止める本当の忠臣は、自民党にいないのだろうか。