(一見土地改良の顕彰記念碑のように見えるけれど、土屋文明の揮毫による『文学碑』である。)
今日は仲間と一緒に伊藤左千夫の文学散歩に参加した。
復習として、古い冊子を探して確めてみた思い出。1987年の頃のことである。
嘗て僕は、「北の壁」という短歌会の一員だったことがあった。当然「北の壁」なる短歌冊子に毎月作品を発表して、相互に作品評を出し合っていたものだ。
この会員に満蒙開拓義勇軍出身者で、M町町議会議員のT.Yさんがおられた。
農は国の基といわれ履きこし来破れ地下足袋とふとも較べぬ
地下足袋は幾足履きしなお幾足履けるならんとふっと思うなり
借金の督促に今宵来るという地下足袋なかば脱ぎしままいる
(T・Y詠)
このように、氏は「地下足袋」を歌材にすることが多かったから、僕がT・Yさんの歌評に代えて次の歌を投稿した。
戯作「地下足袋のうた」(T・Y大兄に)
地下足袋のうたよむ時に世の中のあたらしき歌おほいに起る
しかし次号この歌は 戯作「地下足袋のうた」という表題省略で一般作品欄に載せられ、次号作品講評の対象になったのである。佳作なりとのご講評を得た。
蛇足となるが、『戯作(たわむれさく)』と註を入れてくれないと、困るのである。しかし誰も気がつかぬらしく、今でも冷や汗物となっている。小冊子といえども、何十部もかがどこかに配られているのである。恥ずかしいが、今となっては抗議も弁解もままならぬ。
牛飼がうたよむ時に世の中のあらたしき歌おほいに起る
伊藤左千夫