狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

注連飾る

2009-12-30 20:52:50 | 日録

  村の神社に奉納する注連縄である。昨日今年の神社祭礼当番であるS君が自宅で綯っているところへ、用足しに行った家内が偶然出遭わせた。

 この地方では、注連飾りばかりでなく、正月飾りは明日31日では、「一夜飾り」といってたいへん忌み嫌う。
 また29日の餅つきは「くもち(苦餅)」の縁起をかついで、わが地方では絶対にやらない。だから30日は非常に忙しいのである。

 家内はこの巨大注連飾りに、ある深い理由があって(ナイショである)関心が高かった。30日の朝、神社の鳥居に飾らないうち、写真に撮りたいと言いだした。
 それで撮ってきたのがこの写真である。

 抱えているポーズはオレが要求した。彼は快くオレの要求に応えてくれたのである。
 

 

 


立腹帖2

2009-12-20 20:21:28 | 怒ブログ
「天皇特例会見を考える」今朝の朝日新聞3面は、社説を除いた全スペースを、東大教授(憲法)石川健治氏「豪腕」発揮筋違いだ。ノンフィックション作家保坂正康「運用に調整機関必要」。東大教授(政治學)「政治主導万能ではない。とご三方のご意見の特集記事である。

この天皇特例会見は、朝日、毎日、読売、産経が社説で取り上げたという。(小生は朝日以外は読んでいない。)
いずれも、政治利用批判の方に力点を置いた論調だったようにもモレ伺う。
しかし、この問題は既に賞味期限を失ってしまったのではないか。
自民党もこれ以上の批判はやらないだろうし、国民もそれほど重大とは思っていない様な気がしてないのだ。

よだんをもどして。
ご馳走帖の「序に代へて」の一部を紹介して溜飲をさげる事にしよう。
  
序に代えて        昭和二十年夏の日記を抄綴す
七月十三日 金曜日 午後出社ス。会社ニテ古日カラ麦酒一本貰ッタ。夕帰リテ井戸水ニ冷ヤシテ飲ム。コノ頃ノ麦酒ハマヅイナドト素人ガ申スナレド然ラズ。タッタ 一本デモ初メカラソノ覚悟デ飲ンダカラヤレタ。家ノ焼ケ跡ノ玄関ノ戸棚ノアッタ所ト台所トノ二ヵ所ニ麦酒壜ノ王冠栓ノ焦ゲタノガ小山ノ様ニ盛リ上ガッテヰタノヲ思ヒ出シタ。

立腹帖

2009-12-19 20:33:38 | 怒ブログ
              
      まえがき
内田百の著書に「ご馳走帖」というのがある。ボクが所持しているのは、中公文庫1997初版第13版のものである。
一頻り百の「旺文社文庫」は人気古本で、ボクも何冊か集めてみたが、絶版図書で稀少本のため途中で断念した。
(当時はインターネットによる検索などな出来なかったから、いちいち古本屋に脚を運んで捜し出したのである。)
 今でも新輯内田百全集33巻(福武書店刊)などは、何故か稀少価値で売買されているようである。
 文庫本「ご馳走帖」の表紙カバーに、
 次のような文庫本内容の解説が記されている。
 
朝はミルクにビスケット、昼はもり蕎麦、夜は山海の珍味に舌鼓をうつ、ご存じ食いしん坊百先生が、幼年時代の思い出から戦中の窮乏生活、また知友と共にした食膳の楽しみに至まで、食味の数々を愉快に綴った名随筆

     立腹帖由来
若い頃に比べ、腹が立つことが多くなった。新聞記事の内外情勢から、隣近所の噂話まで、一つとして頷けるモノは尠い。
そうかといって、デモ行進もないし、尚更街頭演説をする機会など全くないから、ストレスは蓄積するばかりである。
 その解消にブログ日記に時折書き留めて溜飲を下そうと思った。幸い当ブログには「怒ブログ」というカテゴリーが設けてあった。
ときに応じて、怒ってみたい。暴力は絶対いけない。
「ご馳走帖」に倣って「立腹帖」と名付けた。

2009-12-11 20:21:00 | 日録
              


 夕飯時テレビをつけたら偶然にも「今年の世相を表すひと文字は「新」-。」のニュースがながれてきた。お馴染み清水寺での「奥の院」で、森清範貫主が「新」の文字を大きく揮毫する映像である。

 年の瀬を具に感じる昨今、1年があっという間に過ぎ去ってしまった想いが突き刺さるー。「今年の漢字」はこの時期に毎年発表する恒例行事だからである。
 だが今年は、主催者である日本漢字能力検定協会の全理事長が、背任容疑で逮捕されるという不祥事が表沙汰になったことなどから、どうなるのか、小生も気にはなっていたものの、ここへ来てすっかり忘れていたところだった。
 まあ、みんな(オレも)が楽しみにしていることだし、大いに喜びたい。
 ニュースに依ると、今年の応募数は過去最多の16万余通なる由が全てを物語る。
応募漢字の以降は「薬」「政」「病」の順だったそうである。また昨年は「変」だったと思う。

 「新」ねえ!ちょっと暮れの時節柄ボクにはピント来ないところもあるけれど、新しいことは決して悪いことではない。反して「古い」ことは全部悪いわけではあるまいが、次々暴きだされる長期政権の「膿」は、とどまる処を知らぬ程奥深いゆえ、特に新鮮なものを期待したい願いも含まれているのではあるまいか。
 戦後、長い間つんぼ桟敷におかれた臣民が、「真実はこうだ!!」と、連日のラジオ番組でこれでもか、これでもかというほど聞かされたあの頃の世相が心によぎる。
 「新」は確かに良い。しかしボクはおなじ音読みでも「真」の方が、真実味があって今の世相にピッタリ合っているような気がしてならないのだ。


十二月なり

2009-12-09 19:36:06 | 怒ブログ

当期雑詠

地球儀のカプールの冬なお捜す

極月や真相は斯くありぬべし

身構えて変な師走の街に出る

古新聞ちり紙となる煤払い

喪中葉書二通もポストにありにけり

年の暮れ欲しがりません過去の夢

柚子捥ぎる小市民たる心地なり

 


十二月八日

2009-12-07 21:12:51 | 怒ブログ


 大敵迫る
         土井晩翠
(抜粋)

千載永く史に残る
昭和十六、十二月
八日ハワイの真珠湾、
敵、驕倣のアメリカの
太平洋艦全滅の
偉勲このかた三年余。
(略)
  反 歌
十億の亜細亜の友を導きて
  光に向かふ大八州国。

揺がざる望抱きて終まで
  忍びつとめよ勝われにあり。
          『公論』十九年八月号

       復録版「昭和大雑誌 戦中編」 流動出版 より引用          

無言の行

2009-12-04 20:10:02 | 阿呆塾


この写真は、隣村Z寺で2006.3に行った「托鉢」の出で立ちである。ただしZ寺さんは天台宗で、禅宗ではない。
本文とは関係ない。謝。

 反戦塾頭ましま学兄から、拙ブロ愚「阿呆寿司」に、「こんにゃく問答」なるT.B.をいただいてしまった。
 ボクもこの噺は知ってはいた。
 しかし、誰が演じたかまでは記憶にない。
 そこで「谷下山房」の蔵書(?)を調べる事になる。
 「古典落語」全4巻 飯島友治編 筑摩書房
これには載っているだろうと踏んでいたら、なんと!
載っていない!落語のネタになりそうなモノガタリである。
うんにゃ。ネットは、イワナミやちくまより情報は正確だった。

江戸で食い詰めた「熊」が、田舎住まいをしている「六兵衛兄ィ」のところへ転げ込む。悪い遊びで髪の毛が抜けてしまった「熊」をみて、今は蒟蒻屋を営んでいる「兄ィ」は、無住になっている村はずれの破れ寺の住職にはめ込む。
 一日、二人が庫裡で酒盛りをしているところに、訪なう声。熊公が出てみると旅僧「拙僧は諸国行脚の雲水。ご当寺門前を通りましたところ“不許葷酒入山門”とありますれば禅家と拝察。修行のため一問答願わしゅう存じます」。驚いた俄住職の熊公が、一所懸命居留守で追い払おうとするが、旅僧はテコでも動かぬ構え。困り果て六兵衛に相談すると、知恵者の彼は「無言の行」でやればよかろう、と和尚になりすまし応じることにする。

 さて、本堂で対面し、旅僧はいろいろ問うが、和尚勿論無言。
 旅僧は、さてはと察し、やおら両の手の指で小さな輪を作り、胸の前からズイと突き出す。
 和尚も何を思ったか、手にしていた払子代わりのハタキを襟に刺すと、これも両手指で大きな輪を作って押し戻す。
 旅僧、ハハッと恐れ入り、今度は両手を広げて突き出す。
 対する和尚は、片手を開いて応える。
 旅僧、再度低頭し、必死の形相で指を3本差し出す。
 和尚、すかさず人差し指で右目の下目蓋を引きながらベロをだす。
 旅僧、「到底拙僧の及ぶところにあらず。両三年修行を致しまして……」と蒼惶として退散する。

 驚いた熊公、逃げ帰ろうとする旅僧をつかまえ、一体どうなっていると訊く。旅僧答えて、
 「さては禅家荒行の内、『無言の行』中と拝察し、されば無言には無言にて問わんと、
 『大和尚、ご胸中は?』とお尋ね致しましたるところ
 『大海の如し』とのお答え、まことに以て恐れ入ったる次第。
 続いて、
 『十方世界は?』とお聞き致しましたるところ、
 『五戒で保つ』とのお答え。何ともはや……。及ばずながら今一問と存じ、
 『三尊の弥陀は?』との問いには、たちどころに
 『目の下にあり』と……。
 まことにもって愚僧など遠く及び申しませぬ。今一度修行して出直して参ります。御前体、なにとぞよしなに……』と走り去る。(ネット落語「蒟蒻問答」のさわり より)

 …そのあと、「こんにゃく問答」と続くのだが、
このお噺は、今はなき春風亭柳橋の得意とした落語とある。
 ボクはこの「柳橋ファン」の1人だった。古典では「時そば」、新作(?)では「早慶戦」など。
 機会があれば、もう一度柳橋の声を聴いて見たい。

 しかし、小生の「阿呆寿司」に「蒟蒻問答」をわざわざ張り付けて下さった、ましま翁も、ずいぶんヒトがワルイ方だなぁ…。感謝。