猫じじいのブログ

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トリチウム汚染水の海洋放出も40年超えの原発の稼働もすべきでない

2021-04-29 22:38:44 | 原発を考える
 
きょうの新聞によれば、いよいよ、運転をはじめて40年を超えた原発が再稼働するという。原発はもともと20年が寿命として設計され、稼働したが、その寿命が30年、40年と延長され、60年まで延長できるようになった。
 
建設時に寿命が設定された理由は、原子炉のなかでの核分裂連鎖反応で放出される中性子線が金属やコンクリートを劣化させ、原子炉が崩壊する危険を考慮してのことである。劣化した金属は急冷によってひび割れする危険があるからである。
 
このために、原子炉内には原子炉を構成するのと同じ鋼鉄を炉内部におさめ、劣化をテストすることになっていた。そのテスト用の鋼鉄サンプルも尽きてしまったと聞く。どうやって冷却の安全性を保障するのか、私にはわからない。もしかしたら、非常時に冷却することをやめ、福島第1原発事故のように、放射性物質を含む水素ガスや水蒸気を外部に放出することに規定が変わったのかもしれない。
 
しばらく前、新聞のインタビューで元原子力規制委員は、委員会がチェックできるのは法にしたがっているか、どうかで、合法なら認可しないわけにいかない、安倍首相にかってに「世界で一番厳しい基準で審査しているから安全だ」と、責任を委員会に押し付けるようなことを言われても困るといっていた。
 
原子力規制委員会は、本来、内部に安全の研究機関を持たなければ、書類審査で終わってしまう。
 
トリチウム汚染水の海洋放出も風評対策で終わってしまって、ことの重要性がみすごされている。明らかな環境破壊である。
 
今回、政府は、トリチウムの海洋放出基準を1リットルにつき1500ベクレルと言っている。自然界の水1リットルにつき0.118ベクレルのトリチウムだから、その1万倍以上になっている。
 
他の原発がトリチウム汚染水を放出しているから、いいでしょうという論理はおかしい。現在、原発の存在のため、大気のトリチウムの存在比が、自然界の5倍になっている。確実に自然環境を破壊している。
 
私が疑問に思っているのは、東電と政府が出してくる世界のトリチウム海洋放出量をどこで手に入れたのかである。いまだに出典を確認できていない。原発はトリチウムを外部に放出しないように内部に閉じこめている。だから、トリチウムが大量に放出されるのは、使用済核燃料の再処理工場である。トリチウムの放出を抑えるために、最近は再処理せず、そのまま使用済核燃料を保管するようになっている。
 
日本政府の再処理工場を青森で稼働するという方針は、時代の趨勢に反している。
 
政府のトリチウムの海洋放出基準、1リットルにつき1500ベクレルは、福島第1原発事故後、サブトレインの雨水の放出基準である。サブトレインは原子炉建屋のまわりにある溝のことである。政府資料では2017年度では1日220トン放出したとある。
 
今回、毎年約22兆ベクレルのトリチウムをこの濃度基準で放出するとなると、毎日4万トンの希釈されたトリチウム水が放出される。(政府の試算では毎日5万トンが放出される。)
 
これは、これまでのサブトレインの雨水放出より、桁違いに大量のトリチウム水が放出されることになる。
 
また、年間約22兆ベクレルというのは、事故前の管理目標値であって、政府資料によれば、事故前は、実際には年間2兆ベクレルしか放出されていなかった。これまでの10倍以上のトリチウムが放出されるのである。これは重大な環境破壊ではないか。
 
さらに私が不信になるのは、2018年に政府が公聴会に出した資料では、毎年55兆ベクレルのトリチウム水が発生し、55兆ベクレルのトリチウム水をどこかに放出しないといけないと書いている。この資料はインタネット上の政府のサイトにある。
 
いつから、年間22兆ベクレルになったのか。何か、その場しのぎのために、ウソの数値を言っているのではないか。
 
2016年の政府資料によると、原子炉建屋とタンクに残っている総トリチウムは約2600兆ベクレルで、760兆ベクトルがタンクにあるという。トリチウムの半分が4500日(12.32年)でベータ線をだしてヘリウムに変化する。大ざっぱにいって、現在約2000兆ベクレルが福島第1原発内にあることになる。
 
毎年22兆ベクレルのトリチウム水を放出するとして、いつまでかかるのかは、つぎの微分方程式を解いて得られる。
 
 dq/dt=-(a+q/λ)
 
ここで、qは残っている総トリチウムの量で、a=22兆ベクレル、λ= 12.32 / log2 である。
これより、すべて放出するに必要な期間は、
 
 T=λ log(1+Q/λa)
 
で与えられる。ここで、Qは現在の残っている総トリチウム量、2000兆ベクレルである。
 
放出期間は約32年になる。したがって、総トリチウム量があたっていれば、政府の試算通り、30,40年で放出が終わる。が、これまでの毎年の放出量の10倍以上を放出だから、異常なトリチウム水放出に変わりがない。
 
2018年の公聴会資料では、費用の見積もりが海洋放出で17から34億円、地層注入で177から180億円となっている。地層注入では2500メートルの深さの砂岩層が仮定されている、
 
地層注入の方が、環境破壊が少ないのではないか、と私は思う。そんなに高額な費用ではない。
 
福島第1原発事故の教訓とし、老朽化した原発を稼働することは、やめるべきである。自民党政権は、なぜ、安全性をいつも無視するのだろう。


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