きょうの朝日新聞(神奈川版)によれば、川崎市教育委員会が、安倍晋三の死去を受け、市立学校に半旗の掲揚を依頼していたという。教育委員会は「哀悼の意を表するためだった」と説明したという。
「半旗」とは、国旗をポールの頂点ではなく、半分の高さにかかげることらしい。昭和天皇が死んだときに、政府より各官庁、学校、企業等に対し協力を求める通知が出されたらしい。しかし、市の教育委員会が学校に依頼するとは、聞いたことがない。
一般に、人の死に「哀悼」を感ずること自体は悪いことではない。しかし、毎日、何千人もの日本人が死んでいるわけであるから、人が死ぬたびに、川崎市立学校に半旗をかかげるなんて、普通に考えれば、ありえない。安倍が川崎市の学校の恩人でもないのだから、市の教育委員会の判断で半旗を依頼するようなことではない。
私からみれば、悪人の安倍のために、なぜ、子どもたちの教育の場で半旗をかかげるのか、納得できない。私は、内心、安倍が死んでくれれば、と望んでいた。
安倍は「左翼をぶっ潰す」ことだけのために政治活動をしていた「闘う政治家」である。自民党が政権の座を失って甘い汁を吸えなくなったとき、自民党をまとめて政権の座に戻った男である。日本経済を回復すると言いながら、日本の経済力を地に落とした男である。秘密保護とか、共同軍事行動のための安保法制とか左翼を未然に逮捕できる共謀罪とか、強権国家の礎を築いた男である。
安倍はメディアに脅しをかけ、いっぽうで、メディア各社のトップと会食をもって、日本のメディアの右傾化を図ってきた。安倍の死でほころびが出てわかったことの1つは、安倍と統一教会の関係である。自民党議員と統一教会との関係である。安倍が死んだこの機会に、日本の政治のウミを吐き出すべきである。
統一教会では、韓国がアダム国家で日本がエバ国家で、悪魔と通じたエバはアダムに奉仕尽くさないといけないという異常な教義をもっている。統一教会が反共産主義だという一点で、笹川良一、岸信介が統一教会と結びついた。安倍が政権に返り咲いたとき、2014年、NHKはある宗教団体が安倍の心の支えとなったと特集で報じた。統一教会が霊感商法で悪評がたって新たな信徒獲得が難しくなったとき、2015年、安倍政権のもとで、統一教会は宗教法人の名称変更の認可を文科省から受けた。反共だからといって、安倍と統一教会の結びつきを正当化できるわけではない。
安倍の死で、教育の場に半旗を掲げるなんてもってのほかだ。
宇野重規は、安倍殺害を「民主主義への挑戦」だと言うが、そのまえに日本の民主主義は腐っていて、安倍が死なないと暴かれない闇の世界があったのだ。