猫じじいのブログ

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経営者たちに優しすぎる岸田文雄をもっと批判すべきだ

2022-01-01 23:42:27 | 政治時評

岸田文雄首相は、この1月4日に就任3か月を迎える。

出だしの内閣支持率が低かったため、NHKによる調査を除いて、報道各社の支持率調査は上がっている。これは自民党の支持率が大幅に下がっていることと好対照をなしている。しかし、12月の報道各社による内閣支持率は、社により20%近くの幅があり、岸田政権をどう評価してよいか、国民がまだ困惑しているのだと思う。

「新しい資本主義」という意味不明のことをいう岸田文雄は、なぜ、メディアから批判されないのだろうか。

安倍晋三や菅義偉と異なり、低姿勢に徹していることが、1つの要因だと思われる。腰が低いのである。国会質問でも、ほかの大臣を抑え、自分から答え、相手の言うことを聞き入れている。

1つは、オミクロン株への水際対策に政府が積極的に動いていることである。本当はそれが当たり前で、菅政権のときのような、東京オリンピックを開催すべきか否かのような、問題がないから、岸田政権が積極的に動くのが当然である。

もう1つは、安倍晋三と戦っているように見えることである。安倍のお気に入りの萩生田光一ではなく、細田派(現在は安倍派)でも安倍から距離の遠い松野博一を官房長官にした。安倍のお気に入りだが無所属で細田派から気にいられていない高市早苗を政調会長にした。安倍と対立する林芳正を外務大臣に据えた。岸田を批判することは、安倍の自民党支配を利するから、手加減せざるを得ない。

しかし、考えてみれば、安倍も岸田も一緒に批判すればよいだけのことである。岸田は自分の権力を守るために政治家として上手に振るまっているだけである。

自民党総裁選で、私がNPOで担当している子の母親は、離婚して働いているのだが、岸田なら何もしなそうだから一番良いと言っていた。しかし、政治が何もしないということは、今の社会で特権によって いい生活をしている者は、その地位を脅かされることなく、ますます、いい生活を送るということだ。格差が拡大する。

岸田は12月6日の所信声明で「市場や競争に任せれば、全てがうまくいく、という新自由主義的な考えは、世界経済の成長の原動力となった反面、多くの弊害も生みました」と言う。では、政府は何をするのか、ということが、当然、問われる。

「新しい資本主義」という名のもとに、結局は、政府が経営者を助けているだけではないか、という疑問を私はもつ。

例えば、台湾企業が日本に半導体工場に作るのに、政府は、最大4000臆円の資金援助をすることにしている。この半導体工場は別に最新の技術を導入したものではない。半導体を不足に困っている日本の製造業の便宜をはかったものである。別に日本の半導体産業を起こそうとするものではない。

賃上げをした企業の税金を安くするというのは、経営者を助けているだけではないか。本来、賃上げしなければ、優秀な労働者を確保できないはずである。経営者が政府の支援を受けて優秀な労働者を確保するというのは原理的におかしい。

岸田は、いつまにか、成長なければ分配なしと、言い出している。経済成長を政府が促すというのは、気をつけなければ、経営者の失敗を政府がしりぬぐいし、政府が際限のなく国の借金を増やすことになる。失敗した経営者を各企業の被雇用者が追放することこそが筋ではないか。

政府の役目は、国民へのサービスを行うことである。貧困を追放すること、健康を守ること、文化や教育へのアクセスを可能にすること、公共インフラを維持することであるはずだ。経済成長は個々の企業に任しても良いはずである。

政府は「分配」でなく、社会保障や福祉事業を通して、富の「再分配」を行うのである。「分配」は被雇用者と雇用者の交渉で決めることであり、交渉で不利な被雇用者を法で保護するのである。そうでなければ、生産手段の私有制を廃止し、労働者と経営者の共有物にすべきである。

国会の役割は、国民への政府のサービス目標を設定し、政府を監視すること、また、各企業が守るべきルール(法)を定めることである。党と党との論戦が弱すぎるのではないか。野党は、岸田政権を、もっと社会保障や福祉や脱原発で、遠慮なく批判すべきではないかと私は思う。