経理・経理・経理マンの巣窟

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監査役制度を抜本的に見直せないのか

2012-06-26 15:41:21 | 崩壊する上場企業の経理

 監査役とは、取締役及び会計参与の業務を監査する機関であり、株主総会、取締役と並ぶ株式会社の機関の一つである。その主な役割は会社経営の業務監査および会計監査によって、違法または著しく不当な職務執行行為がないかどうかを調べ、それがあれば阻止・是正するのが職務である。また、会社と取締役の間での訴訟においては取締役に代わって会社を代表する役目も担う。
 と会社法に定められているが、この中の取締役の業務を監査し、問題があれば阻止・是正するするという項目については、いまだ十分にその職務を果たせないでいる。そして株主総会において、どこの会社の監査役も判で押したように「十分に監査しましたが、全て適正で問題ありませんでした。」と報告するのである。私はそれを聞くたびに、心の中で失笑してしまう。

 大昔は、取締役まで出世出来なかった者や何らかの理由で取締役を早期退任した者を監査役に選任する傾向が多かった。そして何もしない形式だけの監査役が重用され、その実態を熟知している従業員たちは、彼等のことを陰で「閑散役」と呼んで嘲笑していたものである。
 だが現在の監査役は、その時代に比べれば、かなり勉強しているし、ある程度監査が出来る人が選任されるようになった。しかしながら、彼等が行う監査内容の大部分は、従業員等の業務監査や公認会計士が行った監査の報告をまとめることなどに限定され、取締役に対する業務監査等を行っている者は殆んどいないのが実情である。

 ではなぜ彼等は取締役に対する業務監査等が出来ないのだろうか。答えは簡単である。そもそもどこの会社においても、監査役は取締役よりも地位が下だと思い込んでいることがひとつ。もう一つは、会社から報酬を頂いているので、彼等もサラリーマンの一人にしかなれないということなのである。従ってことに役員の人事権を持つ代表取締役には、絶対逆らえない訳である。

そもそも長年サラリーマンをしていた人が、監査役になったその日から急に価値観や人生観が変わるはずもなく、これまで築き上げてきたサラリーマン人生を棒に振ることもあり得ないだろう。
 そのため会社法上の大会社においては、監査役の半数以上を、過去にその会社や子会社の従業員・役員でなかった外部の者としなければならない定めを創ったのである。ところがこの社外監査役を選任するのは、やっぱり代表取締役であり、自分を裏切らないような人物を探してくるのだ。そしてその大部分は、弁護士や税理士などで、彼等は本業を別に持っているので、本格的な監査など出来る訳がない。そしてこの制度もいつの間にか形骸化してしまったのである。
 
 それではどうすれば、良いのだろうか。そもそも会社が監査役を選任することと、会社が監査役に報酬を支払うことの双方をやめない限り、真の監査を行う監査役は生まれない。だから、それを実現するために次のことを国が整備する必要がある。

 監査役の任期は2年とし、重任はできない。また監査役は日本監査役協会(仮称)より派遣された者しかなれない
● 日本監査役協会(仮称)は、国が認可する公益法人でなければならない
 企業は法人税等の他に監査税(仮称)を国に納付し、国はこれを日本監査役協会(仮称)に支給する
● 監査役の報酬は日本監査役協会(仮称)から支給する
 日本監査役協会(仮称)に属する監査役候補者は、監査役資格(仮称:一定の国家資格を設定する)を持ち、監査役以外の仕事を兼務することは出来ない

 こうすれば、会社と監査役とのしがらみは全くなくなり、かつ任期を2年とし、重任させないことで、企業との癒着も防止出来るのである。国庫の負担もないし、その気になれば簡単に出来るような気がするのだがどうだろうか。あとは国が本気でやるかやらないかじゃないのかな。

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