海外視察旅行は、海外の工場視察や展示会への参加などに併せて、ついでに観光も・・・というケースが多く、渡航費用の税務上の取扱いもその目的と内容により異なってくる。原則として業務に関連する部分は、「旅費」、観光部分は「給与」と認定されるが、視察旅行をしたのが得意先など外部者の場合には「交際費」とされる。
昔はこの原則論の解釈をめぐって税務当局と企業との争いが耐えなかった。そこで平成12年10月に国税庁から「海外渡航費用の取扱い」という法令解釈通達が公表され、海外視察等における旅費として損金算入される基準が示され、取扱いが明確となったわけである。その基準はおおむね下記の通りである。
●研修などの業務の割合が90%以上となる場合は、旅行費用の全額を損金にできる
●研修などの業務の割合が10%以下となる場合は、旅行費用の全額が給与課税される
●研修などの業務の割合が11%以上90%未満の場合は、次の計算式で按分する
[業務従事割合とは]
(業務従事日数)÷(業務従事日数+観光日数) 10%未満の端数は四捨五入する
[損金として認められる額]→ 海外渡航費用等の額×業務従事割合 (それ以外の部分は、給与課税(外部の者に対するものは交際費)される)
※但し業務従事割合が50%以上で、その旅行が業務に直接必要と認められる場合は、往復交通費+(往復交通費以外の旅行費用×業務従事割合)=損金に認められる額 となる。 また参加者のうち、別行動をとった者等個別事情のある者がいる場合、その者については、個別事情を斟酌して業務従事割合の算定を行う。
●日数区分の単位
日数の区分は、昼間の通常の業務時間(おむね8時間) を1.0 日としてその行動状況に応じ、おおむね0.25日を単位に算出する。ただし、夜間において業務に従事している場合には、これに係る日数を「視察等の業務に従事したと認められる日数」に加算する。
●視察等の業務と認められるものとしては、次のものがあげられている
イ 工場、店舗等の視察、見学又は訪問
ロ 展示会、見本市等への参加又は見学
ハ 市場、流通機構等の調査研究等
ニ 国際会議への出席
ホ 海外セミナーへの参加
ヘ 同業者団体又は関係官庁等の訪問、懇談
●観光等とされるものには次のようなものも含まれる
イ 自由行動時間での私的な外出
ロ 観光に附随して行った簡易な見学、儀礼的な訪問
ハ ロータリークラブ等その他これに準ずる会議で、私的地位に基づいて出席したもの
●休日の取扱い
原則として、土曜日又は日曜日等の休日の日数を除く。ただし、これらの日のうち業務に従事したと認められる日数は「視察等の日数」に含め、その旅行の日程からみて当該旅行のほとんどが観光と認められ、かつ、これらの日の前後の行動状況から一連の観光を行っていると認められるような場合には「観光の日数」に含める。
なおここまで書いても、よく理解出来ない人のために、具体例を示しておこう。
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