極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

デフレ脱却下のケインズ

2013年04月04日 | 日々草々

 


   Pasta e broccoli al sugo di tonno   

【イタリア版食いしん坊万歳:パスタとブロッコリのツナ・ソース和え】

材料:ロングパスタ 500g、小房に分けたブロッコリ 600gまたは同量のカリフラワー、ツ
   ナのオイル漬け 100g、塩漬けア
ンチョビー2尾、スーゴ用トマト 200g、オリーブ
   油 60cc、ニンニク2片、
パセリ、塩、コショウ

ブロッコリまたはカリフラワーをよく洗い、一ロ大の小房に分けておく。深鍋に水をたっぷ
り入れて火
にかけ、塩を軽くふりかけて沸騰させ、ブロッコリまたはカリフラワーを入れる。
1~2分たったところ
でパスタを加えてゆでる。そうしている間に、ツナ・ソースの準備に
とりかかる。鍋を火にかけ、オリ
ーブ油、ニンニクのみじん切りを入れ、あらかじめよく洗
って小口に切ったアンチョビを加える。数回かき混ぜてから、細かくほぐしたツナ、同しく
細かく潰すか、または裏ごししたトマトを加え、全体が滑らかなソースになるまで煮込む。
塩、コショウで味を調え、パセリををみじん切りをひヒつかみふりかけて、ソースを仕上げ
る。このソースに、ハスクは、パスタがアルデンテにゆであがる直前ににタイミンブを合わ
せて仕上げる。パスタとブロッコリまたはカリフラリーがゆであかったら、ただちに水気を
よく切りスープ皿に移し、ツナ・ソースダよく和えて供す。

 

  



【新たな飛躍に向けて-新自由主義からデジタル・ケイジアンへの道】

1.タブーと経路依存性
2.複雑系と経路依存性
3.複雑系と計量経済学
4.ケインズ経済学の現在化
5.新自由主義からデジタル・ケイジアン

【ケインズ経済学の現在化】

 

 

さて、今回は証券化市場の機能不全への防止政策のつづいて、「第七章 国際貿易の改革」
に入り、ケインズソリューションの解を考察する。歴史的、具体的事例が豊富に例示させて
いるので
、既にケインズソリューションを了解している読者には諄い、あるいは物足りない
ものとなるだろ
うが、米国の事例とはいえ、わたしたちも過去に経験してきたことと密接に
絡み込んでいることが
理解できると考える。これから提示されていることがらは、『新自由
主義-その歴史的展開と現在
-』の著者であるデヴィッド・ハーヴェイが提示する、グロー
カルな資本の収奪抵抗運動の提示とオーバー
ラップないしは交差する事柄があり、かなりス
リリングな展開になっていくと予想する

経済回復のあとに改革を

証券取引委員会のウェブページによれば「米国証券取引委員会の使命は、投資家を保護し、
公正で秩序ありかつ効率的な市場を維持し、資本形成を容易にすることにある」。そ
してウ
ェブページはさらに続けて1933年の証券法は2つの基本的な目的を持っていたと記
している
。すなわち、「公売に供されている有価証券に関する、金融上およびその他の重
要な情報を
投資家が受けることができるよう命ずることと、有価証券の販売において詐欺
や不実表示や
その他の不正手段を禁止することである」。SECの規制は、資産の買い手と売
り手が通常お
互いに自分がだれであるかを明らかにしないような、公開の金融市場に適用
されるのが普通
である。公開の金融市場においては、各買い手は特定の個人にかかわらない
市場から購入し
各売り手は特定の個人にかかわらない市場に対し販売する。これらの公開市場が秩序あるも
のであることを投資家に保証することは、SECの責務である。これとは対照的に、非公開の
金融市場においては、金融資産の買い手も売り手も、お互いに自分がだ
れであるかを明らか
にしている。例えば、銀行貸付は通常、銀行の経営者が借り手につい
て知っているような相
対市場での取引である。このような銀行貸付はSECの監査を受けるこ
とはなかった。グラスー
スティーガル法の下では、このような相対市場で生み出された銀
行貸付を転売するための公
開の有価証券市場は存在しなかった。相対市場での取引から生
まれた資産には、伝統的に流
動性がなかったのであると、デヴィッドソンは指摘して次の
ように防止策を次のように提示
し解説する。

 1.SECは、信頼できるマーケットメーカーを持たない公開市場に対し、非流動的になる
   可能性についての警告を公表するよう要求すべきである。
 2.SECは、非公開の市場で発生した資産のための公開市場を作り出そうとするどのよう
   な金融の証券化も禁止すべきである。
 3.議会は、21世紀版のグラスースティーガル法を制定すべきである。

 わたくしはここで,上記3項目について順次論じていくこととしたい。20世紀の最後の
 四半世紀に、大手の金融引受業者たちは公開市場を作り上げてきたが、それらの市場は
 金融の証券化をつうじて長期債務証書(それらの中には、例えば住宅ローンのように非
 常に非流動的なものも含まれる)を、収益性が高く非常に流動性のある短期金融市場投
 資信託やその他の短期金融市場連動型預金勘定と実質的に同価値のものに変換させたか
 のように思われた。先に引用された新聞記事が示しているよに、引受業者たる投資銀行
 が社会的に高い地位にあることやその代表者が顧客に対しはっきり述べていることから、
 個人投資家たちは投資資産持ち高を、公表された直前の取引価格から秩序ある仕方で変
 化した価格で換金できると考えるに至ったのである。

 これらの証券化資産が高い流動性を持っているという考えは、幻想であることがわかっ
 た。購入者たちが、もし市場組織に関して契約書本文より小さい文字で印刷されたすべ
 ての注意事項について十分知らされていたならば、これらの資産の流動性が低くなる可
 能性を悟っていたかもしれない。例えば、ARS市場においては、市場の組織者である
 引受業者は自己勘定で購入することができるが、かれらには秩序ある市場を維持する義
 務はない。SECの権限は秩序ある公開金融市場を保証し 「公売に供されている有価証券
 に関
する、金融上およびその他の重要な情報を投資家が受けることができるよう命ずる
 ことと、有価証券の販売において詐欺[や]不実表示・・・を禁止することである」から、
 (1)信頼できるマーケットメーカーを置かずに組織された公開の金融市場は、無秩序に
 陥る可能性があるためすべて閉鎖されるべきである。ないしは(2)少なくともそのよう
 な資産が非流動的なものになる可能性に開する情報は広く公表され、金融証券化市場で
 
取引されている資産の各購入者に対し与えられるべき最も重要な情報の一部とされるべ
 きであるのは明らかであるように思われる。

 
マーケットメーカー制度を持っていない金融市場を閉鎖するのは、厳しい政治的抵抗を
 受けるであろう。金融界は、資金の電子振替が容易なグローバルな経済において、その
 ような禁止措置がただたんに投資家たちに海外の金融市場や引受業者と取引するのを助
 長し、国内の金融機関や資金供給を受けようとする国内産業を損なうだけであると、主
 張することであろう。国際貿易と決済とのかかわり合いの問題を含む必要な改革を論じ
 
る第8章において、わたくしは革新的な国際決済システムを整えることに関するケイン
 ズの考えを発展させた。
わたくしの提案するシステムは,1944年のブレトン・ウッズ公
 議でケインズが提案し、米国によって拒否された計画案を少しばかり変形したものであ
 る。もしケインズの計画
案の現代版が実施に移されていれば、それは、外国企業の守っ
 ていないSECの規則を遵守している米国企業
にとって不利であると米国が考える海外の
 金融市場で、米国の住民が取引するのを止めさせることができるであろう
。しかしなが
 ら、もし国際決済システムを改革しようとする政治的意志がなく現在のシステムがその
 まま継続されていると想定すれば、金融サーヴィス産業における米国企業の働き口と利
 益が海外の企業に奪われてしまうという懸念が金融界になお存在するかもしれない。そ
 の場合SECは、信頼すべきマーケットメーカーを持たない公開金融市場の存在を、これら
 の市場で取引される資産の保有者にその資産の流動性がなくなる可能性のあることをは
 っきりと公表するよう市場組織者に要求する限りは、認めてもいいだろう


 文明化された社会では、健康に有害な効果を及ぼす可能性のある製品が売られている市
 場に対して買主の自己責任の原則〔売り手は、とくに保証を与えた場合を除き商品の品
 質の責任を負わないという原則〕は認められない。喫煙は健康にとってはなはだ危険で
 あるとの一般的情報が広く行きわたっているにもかかわらず、政府の規制はなお,紙巻
 タバコの会社に対し紙巻タバコの各包みに肉太の宇で「喫煙はあなたの健康を害する可
 能性があります」という警告を印刷するよう命じている。同様にまた、信頼できるマー
 ケットメーカーを持たない形で組織された公開の金融市場でのどのような資産購入も、
 購入者の金融的な健全性に深刻な影響を及ぼす可能性があるので、SECは信頼できるマー
 ケツトメーカーを持たない市場で取引される資産の潜在的な購入者に対して、以下のよ
 うな警告を命じるべきであろう。

 この市場は、証券取引委員会公認の信頼できるマーケットメーカーによっては組織され
 ていない。そのため、取引される資産の流動性を維持することができないかもしれない。
 資産の保有者は、これら市場における投資資産持ち高が凍結され、保有資産を現金化で
 きない事態になるかもしれないことを認識すべきである。さらにまた、SECは、ある法
 人がどのような金融市場においても信頼できるマーケットーカーとして認定されるため
 の、所有していなければならない金融資産の最低額に関する厳格に執行される規則を設
 定しなければならない。SECは、すべてのマーケットメーカーに対し定期的に、少なく
 とも年に1回は認定の更新をしなければならないであろう。公衆相手に商売をする投資
 信託の経営者が,SEC公認の信頼できるマーケットメーカーを置かずに運営されている金
 融市場に参加したいと考えるかぎり、そのような有価証券のみを扱う別の独立した投資
 信託を立ち上げなければならない。これら特殊な投資信託は、先に述べたような警告を
 肉太の文字で公示しなければならない。この警告は、投資家がこの特殊な投資信託へ預
 けた資産の現況についての事業報告を電子メールや通常郵便で受けるたびごとのみなら
 ず、これらのファンドに投資を行なうときはいつでも、繰り返されなければならない。

 SECが執行すべき第2番目の規則は、非公開の市場で組成された資産(例えば、住宅ロー
 ンや商業銀行貸出など)のために公開の市場を創設しようとする金融の証券化を禁ずる
 ことである。担保物件の状況や立地、借り手の信用度およびすべての住宅ローンのその
 他の諸要因があまりにも個々別々であるので、投資家や格付会社は,多くの住宅ローン
 をまとめてひとつの投資媒体にした金融資産の価値を評価することのできる方法を持た
 ないのである。したがって、そのような資産の証券化を禁止することはすべての投資家
 にとって必要な保護措置であり、それはちょうど純正食品・薬品法が、消費者の独力で
 は検査できない有毒な商品を購入することから消費者を守っているのと同じである。

 第3の項目は、議会が21世紀版のグラスースティーガル法を制定すべきであるというこ
 とである。そのような法律の目的は,金融機関に対して、非公開の金融市場で個々の顧
 客に対し貸付を行なう普通銀行か、それとも公開の金融市場で生み出され転売できる証
 券のみを取り扱うことのできる引受ブローカーかのいずれかとなるよう強制することで
 ある。

                ポール・デヴィッドソン著 小山庄三・渡辺良夫訳
              『ケインズ・ソリューション-グローバル経済繁栄の途』 


そして、米国が業績不良な銀行を実際に国有化する必要があるのかどうか、あるいは政府の
資金を受けた銀行が確実に融資を再開できるようにするのに十分な規模の政府出資を保持す
るだけでよいのかどうかは、経済的問題というよりもむしろ政治的問題である。重要なこと
は、もはや流動性のないこれら問題資産を買い上げることによって、政府が経済システムに
ささやかながら流動性を回復させつつあるということを認識することである。そしてケイン
ズも主張しているように、資本主義システムが正常に機能するためには流動性を必要とする
のであるとこの章をむすぶ。

貿国際易の改革

 の古典派の理論家たちは、自由貿易と自由変動為替相場の政策が、その国のすべて
 の市民に豊穣の時代をもたらすであろうと確信を持って主張している。この文脈におい
 て、「自由貿易」とは、政府が輸入品に関税(税金)を課したり、(例えば、輸入割当
 制を布くなど)国内に輸入される製品の数量を制限したりすることによって、財やサー
 ビスの輸入を妨げるようなことはしないことを意味する。自由変動為替相場とは、どの
 ような政府の介入によっても縛られない自由な市場に、自国通貨で測った外国の通貨の
 購入価格の決定をゆだねようとするものである。さらに政府は、居住者が購入できる外
 国通貨の朧にどのような制限や限度も課すことはできないし、外国人が購入する国内通
 貨の量を制限することもできない。1970年代以来、議会あるいはホワイトハウスを支配
 したのが民主党であったときも共和党であったときも、米国政府は、(例えば、北米自
 由貿易協定のような)他の国との自由貿易協定を結ぶ政府が望ましいことを唱えてきた
 し、少なくとも口先だけでも同意してきた。さらに、米国政府は、外国為替市場に対し
 て直接的な介入を行なうこともなかった。

 もし読者がこの国際貿易と決済に関する古典派の効率的市場理論の主張を信じている
 ならば、政府がこれらの古典派理論の目的を追求し始めてから30年以上も経過して
いる
 今日、米国と世界の他の国々との間の貿易および決済関係になんらの問題もない
と考え
 ることであろう。不幸なことに、この間国際経済の分野で、いくつかの不都合
な問題が
 米国に起こっている。第1に,米国は世界般大の経済大国であるにもかかわ
らず、世界
 最大の債務国となっていることである。第2に、多くの米国の住民は、自
分たちの高賃
 金の働き目が低賃金の国へ外部委託されるのを経験していることである。『ニューヨー
 ク・タイムズ』の金融欄担当記者であるルイス・ユチテル(
Louis uchitelle)は、2006年
  刊行の著書『使い捨てのアメリカ人:解雇とその帰結』において、自分の働 きロを外部委託され
  たこれら労働者たちが、自尊心をひどく傷つけられ、その結果精神的な健康をも害していると
 詳細に報じている。場合によっては、このことが離婚
やその他の深刻な一身上の結果を
 もたらしているとのことである。

 ユチテルが用いた労働統計局のデータは、解雇された3人のうちわずか1人のみが、2
 年たった後で、失った仕事で稼いでいた以上の所得を新しい仕事で稼いでいるにすぎな
 いことを示している。解雇された労働者の残る3分の2は稼ぎが大幅に減少したか、あ
 るいは依然として雇用されないままにとどまっていた。なかには職探しを止めてしまっ
 た者さえいた。さらに一般的にいって、外部委託のインパクトは,外部委託されたのと
 同じ職種に引き続き雇用されている人びとに賃金引き下げの圧力を加えたことである。

 外部委託により失職し職探しをしている多数の労働者の存在は、すべての他の地域の労
 働者、すなわち,たとえかれらが外部委託のあまり行なわれそうにない産業でなお雇用
 されている労働者であるとしても、かれらの賃金を押し下げる傾向がある。その結果、
 米国の貨幣賃金がここ数十年の間伸び悩んでおり、ますます多くのプルーカラーの仕事
 が自由貿易の名の下に外部委託されるにつれて、所得分配の不平等がよりいっそう高ま
 っているのは、驚くには及ばない。にもかかわらず、主流派の経済学者たちは依然とし
 て、自由貿易と自由変動為替相場が最大の効率性とグローバルな繁栄をもたらすと主張
 している。例えば、2005年の春に当時ブッシュ大統領の経済諮問委員会委員長であった
 ハーバード大学のマンキュー教授は、アメリカの企業が、米国に立地する工場で働く住
 民を雇用する代わりに、より低賃金の労働者を容易に獲得できる海外の工場に生産を移
 す形を取る生産の「外部委託」の慣行を弁護している。マンキューは、外部委託が明ら
 かにアメリカの労働者の高賃金の働き口がより低賃金の海外の労働者に奪われることを
 意味するにもかかわらず、米国と世界の他の国々にとって有益であると言い張っている。
 マンキューの議論は、自由貿易が,長期的には、生産を委託された国々の働き口のみな
 らず米国の労働者のためにより価値の高い新しい働きロをも作り出すことによって、す
 べての国により多くの所得と富をもたらすだろうというものである。

 もちろん、マンキューの見解に対するひとつの応答は、ケインズの言い古された「長期
 的にみると、われわれはみな死んでしまう
」という一節である。そして外部委託によっ
 て使い捨てられた労
働者は、長期を待てずにその前に死んでしまっている可能性が高い。
 貨幣経済の運行に関する
ケインズの分析は、主流の古典派経済学者によって喧伝されて
 いる外部委託の望ましさに関す
る主張が間違っている理由を示唆している。ケインズに
 よれば、自由貿易を認めさえすれば繁栄が必ず訪れるという主張は、「人を誤り導き、
 災害をもたらす」ものとなりかねないのである。歴史的証拠は明らかに、マンキューに
 よ
る主流の古典派経済理論の公式発表ではなく、ケインズの見解を支持している。

                 ポール・デヴィッドソン著 小山庄三・渡辺良夫訳
              『ケインズ・ソリューション-グローバル経済繁栄の途』 


そして、貿易の普遍的なメリットであると古典派理論が主張するものと、働き口の外部委託に
基づく貿易が原因で米国の労働者たちに見受けられる苦難との間のこのように明らかなギャッ
プはなぜ存在するのかとデヴィッドソンは問いかける。
                                                         

                                  この項つづく

 

 

 

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