極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

樹脂ファスナーの科学

2013年04月23日 | WE商品開発

 

 

従来、食品や衣料品、医薬品、雑貨その他の種々の包装分野で、袋の口部分にチャックを設けた包装袋、
あるいは、チャック袋、正確にいうと、プラスチック・リニア・ファスナーというのが良いかも知れな
いがが、どんどん利用されていて、岡田准一がCM、旭化成のジップ・ロックで宣伝しているあれだ。
電子レンジの普及にともない、このチャック袋を利用した食品加工品も増えてきている(本人はそう思
っているが?)。原理は、線ファスナ一のエレメント(務歯)が一対だけの構造と思えば良いだろうが
凸状チャック構造体及び凹状チャック構造体からなるチャックが袋の口部分に設けられいる。これら凸
状チャック構造体と凹状チャック構造体とを嵌合させ、繰り返し開閉操作が可能となっている。

 

チャック袋に用いられる素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポ
リオレフィン系樹脂が用いられ、ポリオレフィン系樹脂からなるチャック袋は、発熱量が高いので、焼
却処理の際に燃焼炉にダメージを与えと言われているし、ポリオレフィン系樹脂のチャック袋は埋め立
て処理している場合もあるという。そこで、埋め立てることもなく、焼却時の燃焼熱量が低く、焼却以
外の方法で減容が可能で、自然環境への負荷の小さいチャック袋が欲しい。

そこで、ポリオレフィン系樹脂の代替素材に、生分解性樹脂に注目し、生分解性樹脂、例えば、植物由
来の乳酸を主原料とするポリ乳酸は、燃焼熱量がポリエチレンの燃焼熱量の半分程度以下で、コンポス
ト等の水分が豊富な条件下で加水分解し、その加水分解物が微生物により無毒物へ分解されるため、環
境問題の関心の高まりから、生分解性樹脂を用いたチャック袋の研究がされている。具体的には、生分
解性樹脂フィルムからなる袋の口部に生分解性樹脂からなるチャックを設けた生分解性チャック袋が提
案されている。

特定の脂肪族ポリエステルの内層フィルムとポリ乳酸系重合体からなる延伸した外層フィルムのラミネ
ートフィルムの内層フィルム上に、分子内にウレタン結合を含む特定の脂肪族ポリエステルを押出成形
したチャックをヒートシールした、生分解性チャック付き袋が提案されている。
また、ラクトン樹脂単
独、またはラクトン樹脂と生分解性樹脂のラクトン含有樹脂の内層フィルムと外層フィルムのラミネー
トフィルムの内層フィルム上に、これと同様のラクトン樹脂を押出成形して得たチャックをヒートシー
ルした生分解性チャック付き袋が提案されているが、生分解性樹脂として柔軟性に優れる微結晶性の脂

肪族・芳香族ポリエステルを用いているため、ダイ(噴射細口)から押し出した生分解性樹脂が冷却固
化する際に変形が生じるため、寸法精度良く安定生産できない。

【符号の説明】

1…凹状チャック構造体の成形用のダイ、2…凸状チャック構造体の成形用のダイ2、11…凹状チャ
ック構造体、21…爪部、22…爪基部、23…爪顎部、31…帯状基部、B…内側中心底部、C1,
C2…接点、L1,L2,L3,L4…接線、S…断面開口、S11…爪部開口、S12…爪基部開口、
S13…爪顎部開口、S21…帯状基部開口、θd…爪部開口の開度、θn…爪部21の開度

このU字状の爪部開口と該爪部開口のU字背面側に接続された帯状基部開口とからなる断面開口をもち、
爪部開口の開度が20~50度、または35~65度のダイを
準備し、70℃の貯蔵弾性率が10~10Pa
で、100℃と70℃との貯蔵弾性率の差が50倍以上又は2倍以上50倍未満である生分解性樹脂組成物を、ダ
イの開口から溶融押出した後に冷却固化して成形体を作製することで、比較的、柔軟で成形加工性の劣る生分
解性樹脂を用いながらも、寸法精度の高い凹状チャック構造体を安定して連続的に生産可能な製造方法
とダイ
等旭化成ホームプロダクツ株式会社を提案している(「特開2010-064352 凹状チャック構造体の
製造方法、及びこれに用いるダイ」)。

 
さらに、上図のような「リクローズクリップ」の提案もされている。従来から、食品、家庭用品、トイレ
タリー用品、医薬品、雑貨品、その他等の液状または固形の材料を収納するための包装袋は、プラスチッ
クフィルムからなるものが多く用いられているが、これらの包装袋は、開口部をヒートシールにより封止
する構造が多く、一度開封すると、再封止することが困難なものが多かったが、再封止する方法として、
輪ゴムや紐などで簡易的に結束する方法や、開口部を折り返して輪ゴムや粘着剤付きテープで仮止めする
方法、及び再度ヒートシールする方法等が用いられているが、内容物支持用のトレイなどを含む包装袋を
結束する場合は、作業性が悪いだけでなく、再封止した袋が立体的になることから
、収納性に劣り、開口部
を折り返すという食品包装袋の再封止方法は、密封性不足で衛生上の問題も抱え、再度ヒートシールする方法は、
専用の機器が必要であるという問題がある。

このために、袋開口部を再封止するための封止具が提案されている。その主なもは、袋の外側から凹部と
凸部の部材で挟み込む構造をもち剛性の高い素材から成るクリップが、柔軟な材料で凹部と凸部の部材を
構成し、両端を各々圧着した帯クリップが知られている。さらに、従来から電子レンジ専用の加熱袋とし
て、
蒸気抜き機構付きの袋も知られている。この種の袋の特徴は、レンジ加熱によって発生した蒸気を、
あらかじめ袋に付与した蒸気口より逃がすことで、内圧の上昇による袋の破裂を抑制して加熱できること
である。この蒸気口の機構としては、易開封性を利用した方法、例えばシール部に剥離剤を印刷する方法
や、シールの形状を工夫する方法で、内圧の上昇に伴って選択的に開口する機構が採用されている。また、
他の機構として、蒸気口があらかじめ開口している機構が用いられているものもある。これらの機構を装
備した袋は、調理済あるいは半調理済等の食品を包装したレトルトパウチや冷凍食品包装体、また食材を
使用者が自ら投入して調理する袋として使用されているが、しかしながら、この種のクリップは、包装体
の幅方向を全面に渡って、凹部凸部で挟み込むことで包装体の密封性を向上させるため、再封止したい袋
の幅よりも長さの長いクリップを用いる必要がある。

例えば、一度開封した冷凍食品の包装体を再封止し、冷凍庫へ収納する場合などは、クリップの剛性の高
さによる収納性の低下だけでなく、袋の幅より大きなクリップを用いることで、収納性の低下する。その
上、剛性の高い棒状のクリップは嵩高い形状となり、クリップ
を使用しない時の保管性も問題であり、ま
た嵌合する二本の部材が連結されていない場合には、保管時に片方の部材のみを紛失してクリップとして
の機能を果たせなくなるという問題もある。また、柔軟な材料の帯クリップは、収納性は改善されている
ものの、両端が圧着された構造であるため、任意の長さに調整することは困難で、再封止した包装体の収
納性が劣り、両端止め構造により環状テープ形状の開いたクリップに袋を通す際に、袋にシワが発生し、
作業性や密封性に問題になる。

さらに蒸気抜き機構付きの袋は、全て電子レンジ加熱後には蒸気抜き口が開口した状態となり、袋を調理
後に保存する場合は、袋が密閉できないという問題、あらかじめ蒸気抜き口が開口している機構の場合に
は、下味付けなどの調理前保存過程において密封性のに問題など、蒸気抜き機構付きの袋は保存用の袋を
兼ねることができず、それぞれ専用の袋を準備する必要があり、さらには、蒸気抜き機構付き袋をクリッ
プで封止しようとすると、万が一、使用者が誤って、封止したままの状態、つまり密封された状態でレン
ジ加熱してしまうと、袋が破裂する可能性もある。


以上のような問題を解決するため、袋7の開口部7aを外側から挟み込むことによって再封止するリクロ
ーズクリップ1は、袋7を間に挟み込んだ状態で互いに嵌合可能な嵌合部材3,5を備え、嵌合部材3,
5は、長手方向の一端1a同士が連結され他端同士は開放されてなる片開き構造をなし、嵌合部材3,5
は、マトリックス成分が、ガラス転移温度0℃未満のプラスチックでこうせすることで、一度開封した包
装袋を密閉性よく再封止することができ、かつ袋の幅に任意にあわせることにより特に使用時に収納性の
高い、リクローズクリップを提案している(「特開2010-030652
」)。

【符号の説明】

1,501…リクローズクリップ、3…第1の嵌合部材、5…第2の嵌合部材、7,107,117…包
装袋、7a…袋の開口部、23…開孔部、24,25…ノッチ、32…嵌合凹部、34…基材部、40…
嵌合部、52…嵌合凸部、54…基材部、109…蒸気抜き機構。 

ちょっとまてよ、ファスナーをなぜ考えてみたかったのかと、ここで抑も(そもそも)論がもたげる。電
子レンジ用ジップロックが珍しかったのかのだと確信するのに随分時間がかかった。そうだ、電子レンジ
の普及はわたしの省エネと食品加工技術のコアテーマだったんだ。この領域のノウハウはきっと世界に貢
献できるのだと再確認。さらには、樹脂ファスナは工業のリベット工法として広く普及していることを再
確認した次第。

  




麺の力の担々麺の試食が続いている。明日は、賽の目の厚揚げとわかめ具材にした担々麺をアレンジしてみる。
 

 

コメント (1)
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