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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 249

2025年05月31日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

【季語と短歌:5月31日】 

          朝早く草刈響き梅雨に入る 

                高山 宇(入梅鬼)


超小型EV向け「イーアクスル」開発着手…TOP・カヤバ・大同工業、3割軽量化へ
すり合わせで設計を最適化して3割程度の小型・軽量化を目指す(試作した3イン1イーア
クスルのモデル。左からインバーター〈カヤバ〉、モーター〈TOP〉、減速機〈大同工業〉)

✳️ 
超小型EV向け「イーアクスル」着手
TOP(福井県越前市)は、カヤバ、大同工業と超小型モビリティーな
どへの搭載を想定するモータ電動駆動装置「イーアクスル」の共同開発
に着手。モーター、インバーター減速機を一体化させた3イン1モデ
ル。3社それぞれの技術を、すりあわせながら開発することで同出力の
既存品に比べて3割程度の軽量・小型化を狙う。2026年中に試作、
モビリティーに搭載して実証を行い、30年ごろの事業化を目指す。3
社は取引関係や地縁などがあり、24年から協業可能性を検討。このほ
どコンセプト模型を製作した。イーアクスルを構成するモータはTOP
が、インバーターはカヤバが、減速機は大同工業が担当する。モータの
出力はトヨタ車体の超小型電気自動車(EV)「コムス」をベンチマーク
として、6キロワット級に設定した。
TOPは21年に独自のイーアクス
ル開発を始め、既に数年内の量産を視野に提案を進めている。現行品で
はモータ以外の構成品は外部調達している。
電動モビリティーでは電費
性能や設計自由度向上のために、搭載部品の軽量化や小型化に対する要
求が強い。付加価値で競争を勝ち抜くには、各機能のノウハウを持つ他
メーカとともに、モジュール全体の設計を最適化させた次世代品を開発
することが必須と考える。
TOPは03年に松下電器産業(現パナソニ
ック
)が清算を決めたモーター製造会社を、経営陣と従業員による買収
(MEBO)で独立。設立当初は家電向けを主体としていたが、リーマ
ン・ショック以降に、完成車メーカー(OEM)との共同開発が始まり、
車載向けを成長ドライバーに事業が拡大。現在は売上高の8割を車載用
が占めている。(via 日刊工業新聞 2025年05月27日)


✳️ 1ナノ極薄触媒シートが水の解離を劇的に促進
燃料電池、CO2回収など応用デバイス開発へ重要な一歩()再掲載)

【緒言】近年、持続可能なエネルギー技術の実現に向けて、電気化学的
プロセスを効率的に制御・促進するためのイオン伝導性膜材料が注目さ
れている。その中でもバイポーラー膜は、水から酸と塩基を生成する機
能(H2O→H+ + OH-)を持つイオン伝導性膜材料として知られ、主に透析
応用に使われてきたが、近年になり次世代の水電解、燃料電池、二酸化
炭素回収、レドックスフロー電池といった幅広い応用分野において重要
な役割を担うことが期待されている。

バイポーラー膜は、カチオン交換膜(CEM)とアニオン交換膜(AEM)
という2種類の異なるイオン交換膜を積層することで構成されており、
両者のプロトン濃度の違いを反映して生じる強電界をカチオン交換膜と
アニオン交換膜の界面で作用させることができる。このため、その界面
に水分子を導入すると、水が解離して水素イオン(H+)と水酸化物イオ
ン(OH-)が生成され「水解離反応(Water Dissociation, WD)」
が進行するという。
この反応によって膜の両側にpHの勾配が形成され、
片側では酸性環境、もう片側では塩基性環境を安定的に構築することが
可能になる(下図1)。


図1:水(中央の赤い丸と白い丸2個)が解離し、水素イオン(白い丸)はカチオン交換膜を
通過し、水酸化物イオン(赤い丸と白い丸1個)がアニオン交換膜を通過し、安定的に存在する。

実際に各種触媒を含むバイポーラー膜を水電解条件下で作動させ、WD
反応の過電圧を交流インピーダンス測定(EIS)により定量的に解析した。
その結果、ナノシートを用いたバイポーラー膜では、従来のナノ粒子型
触媒層よりも低い過電圧(0.25V@300mA/cm2)が得られることが明ら
かになった。さらに、酸化チタンナノシートの枚数や被覆率を制御する
ことで、膜性能や安定性に与える影響を詳細に分析すると、今回開発した
ナノシート稠密配列触媒は、従来のナノ粒子触媒と比較して1000倍以上
高い重量規格化電流密度を達成していることがわかりました(図3)
。こ
れは、従来の厚い触媒層(数百nm)では実現できなかった、“分子レベ
ルでの界面制御による電場強化”による成果であり、セカンド・ウィーン
効果の有効活用により反応の活性化エネルギーが顕著に低下したことを
示唆。
この特性により、アノード(陽極)とカソード(陰極)で異なるpH条件
下での電極反応を同時に制御することができ、反応効率の最適化が図ら
れるが、実用的なバイポーラー膜の設計においては、いまだ解決すべき
大きな課題が存在する。 その代表例が、WD反応に伴う高い過電圧。特
電解水分解やCO2分離といった高電流密度が要求される条件下におい
て、この過電圧の存在はシステム全体のエネルギー効率を著しく低下
せる。
近年では、界面にナノ粒子などの触媒層を挿入することでWD反応を加
速させる試みが行われてきましたが、膜厚が数百nm以上に達する近年の
高効率触媒層では、バイポーラー膜の根幹にある“膜間のプロトン濃度差
で生じる電場による促進効果”を十分に活用が困難であるという課題があ
つた。そこで、本研究グループは分子レベルで薄く、かつ高密度に並ん
だ酸化チタンナノシート膜をバイポーラー膜の界面に形成するという新
しいアプローチを採用しました。膜界面にこのナノシートを敷き詰める
ことで、膜間に極めて急峻な電位勾配を創出することが可能となる(図
2)。

図2:バイポーラー膜の触媒構造による反応活性点量および電位の違いに関する模式図


図3:(左)ナノシート集積膜を利用したバイポーラー膜の設計と(右)従来型ナノ粒子触媒との
重量規格化電流密度の比較
🔷セカンド・ウィーン効果: 強電場中において、溶液中の電解質が通常よりも高い割合で
電離する現象。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
雑誌名: Journal of the American Chemical Society
論文タイトル: Molecularly Thin Nanosheet Films as Water Dissociation Reaction Catalysts
Enhanced by Strong Electric Fields in Bipolar Membranes
DOI:10.1021/jacs.4c17830


✳️ 海水循環システム試論 ①
1️⃣ ナノフィルター構築編
✳️  特許事例③
2️⃣  特開WO2014/007262 淡水製造装置および淡水製造方法  東レ株式
      会社   (特許消滅)
【要約】第1の被処理水1を加圧して半透膜ユニットAに送り、半透膜
によって濃縮水と透過水である淡水に分離して淡水を得るための淡水製
造装置であって、半透膜ユニットAから濃縮水を取り出す濃縮水ライン
11に流量調整ユニット8およびろ過ユニット10を配置するとともに、
ろ過ユニット10の上流側およびろ過ユニット10自体から選ばれる少
なくとも一つに、濃縮水の圧力をろ過ユニットの上限圧力以下に制御す
る保護ユニット(17,19、または18,20)を備えることを特徴
とする。
000002
【符号の説明】【0040】1:第1の被処理水 2:被処理水タンク
3:取水ポンプ 4:前処理ユニット 5:中間タンク 6:昇圧ポンプ
8:濃縮水流量調節バルブ 9:透過水タンク 10:ろ過ユニット
11:濃縮水ライン 12:前処理水バルブ 13:前処理洗浄バルブ
14:濃縮水排出バルブ 15:前処理水供給ライン 16:前処理排
水ライン 17:バルブ 18:バルブ 19:濃縮水排出ライン 20:
濃縮水排出ライン 21:第2の被処理水 22:被処理水タンク 23
:取水ポンプ 24:前処理ユニット 25:混合水タンク 26:昇
圧ポンプ 28:濃縮水流量調節バルブ 29:透過水タンク 30:
背圧バルブ 35:前処理水タンク 36:昇圧ポンプ 38:濃縮水
流量調節バルブ 39:中間透過水タンク A:第1の半透膜ユニット
B:第2の半透膜ユニット C:第3の半透膜ユニット 
【発明の詳細な説明】
【発明の効果】
本発明の淡水製造装置によれば、半透膜ユニット、特に、低圧で運転さ
れる逆浸透膜やナノろ過膜の濃縮水ラインにろ過ユニットを直結するよ
うにしたので、濃縮水に残留する圧力エネルギーを有効に活用して、濃
縮水の浄化を行い、濃縮水を有効利用したり、環境影響の小さい濃縮水
にして排出することが可能となる。


3️⃣ WO2016/024573 正浸透膜および正浸透処理システム  旭化成株式
会社 国立大学法人神戸大学
【要約】半透膜の性能を有する薄膜層がポリケトン支持層に積層されて
いることを特徴とする、正浸透膜。

【符号の説明】  1    正浸透膜処理用の中空糸膜モジュール  2    筒状ケ

ース  3    シェル側導管  4    シェル側導管  5    正浸透中空糸膜束  5a    
正浸透中空糸膜  6    接着剤固定部  7    接着剤固定部  8    ヘッダー
  9    ヘッダー  10    コア側導管  11    コア側導管  12    輪状オリフ
ィス  13    円状オリフィス  14    二重管  100    正浸透処理システム
  101    供給配管  102    循環配管  103    供給配管  104    循環
配管  110    高浸透圧供給部  111    低浸透圧供給部  A1    第1の
領域
  A2    第2の領域
【発明の効果】
  本発明の正浸透膜は、支持層における溶質の内部濃度分極が抑えられて
おり、透水量が効果的に向上されており、
濃厚溶液側からの溶質の逆拡散が低レベルに維持されており、そして
有機化合物を含む低浸透圧流体に対する耐久性が高い。従って、本発明
の正浸透膜を適用して得られる正浸透処理システムは、長期間安定して
高い性能を発揮することができる。本発明の正浸透処理システムは、例
えば、海水淡水化、かん水の脱塩、排水処理、各種有価物の濃縮、オ
イル・ガスの掘削における随伴水の処理、浸透圧の異なる2液を利用し
た発電、糖類・肥料・冷媒の希釈などに、好適に用いることができる。

4️⃣ 特開2020-65993 膜分離装置および膜分離方法 東洋紡株式会社
【要約】下図2のごとく、第1液から濃縮された第1液である濃縮液を
得ると共に、第2液から希釈された第2液である希釈液を得る、膜分離
装置であって、半透膜と、半透膜で仕切られた第1室および第2室と、
を有し、第1液を所定の圧力で第1室に流し、第2液を所定の圧力より
も低い圧力で第2室に流すことで、第1室内の第1液に含まれる水を半
透膜を介して第2室内の第2液に移行させ、第1室から濃縮液を排出し、
第2室から希釈液を排出する、半透膜モジュールを備え、式:[浸透圧
差]=[第1液の浸透圧]-[第2液の浸透圧]で示される第1液と第
2液の浸透圧差が3MPa以下であり、半透膜モジュールとして、使用
済みの中空糸型逆浸透膜モジュールが使用される、膜分離装置。
使用済みの膜モジュールを用いてブラインコンセントレーションを行う
ことのできる、膜分離装置および膜分離方法を提供すること。
000002
【発明の効果】  本発明によれば、使用済みの膜モジュールを用いてブラ
インコンセントレーションを行うことのできる、膜分離装置および膜分
方法を提供することができる。
【図1】実施形態1の膜分離装置を示す模式図である。
【図2】中空糸型逆浸透膜モジュールを示す模式図である。
【図3】中空糸型逆浸透膜モジュールを示す概略断面図である。
【図4】使用済みの中空糸型逆浸透膜モジュールと新品のモジュールと
の膜透過流量を比較したグラフである。
【図5】スパイラル型の逆浸透膜モジュールを示す模式図である
【発明の詳細な説明】
海水から淡水を生産する造水システムは、高圧ポンプによって浸透圧より
高い所定の圧力に昇圧された海水を逆浸透(RO:Reverse Osmosis)
モジュールに供給し、RO膜を通過させることで、海水中の塩分等を除
去して淡水を取り出すシステムである。残りの海水は、濃縮塩水(ブラ
イン)としてROモジュールから排出される。
【発明を実施するための形態】
  以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面
において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものであ
る。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略
化のために適変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。

  <膜分離装置>
  以下、本発明の膜分離装置の実施形態について説明する。
  〔実施形態1〕
  本実施形態の膜分離装置では、第1液から濃縮された第1液である濃縮
液を得ると共に、第2液から希釈された第2液である希釈液を得ること
ができる。
  図1を参照して、本実施形態の膜分離装置は、半透膜モジュール1を備
える。半透膜モジュール1は、半透膜10と、半透膜10で仕切られた
第1室11および第2室12と、を有する。図1では半透膜10を化し
て平膜のように描いているが、本実施形態で用いられる半透膜は、後述す
る図2および図3に示されるような中空糸型半透膜である。なお、中空
型半透膜(中空糸膜)は、スパイラル型半透膜などに比べて、膜モジュ
ールの容積当たりの膜面積を大きくすることができ、膜モジュールの容
積当たりの膜透過流量を高めることができる点で有利である。
そして、本実施形態においては、半透膜モジュールとして、使用済みの
中空糸型逆浸透膜モジュールが使用される。これにより、使用済みの膜
モジュールを用いてブラインコンセントレーションを行うことができ、
設備コストを低減することができる。【0025】
 半透膜モジュール1においては、第1液を所定の圧力で第1室11に流
し、第2液を所定の圧力よりも低い圧力で第2室12に流すことで、第
1室11内の第1液に含まれる水を半透膜を介して第2室12内の第2
液に移行させ、第1室11から濃縮液が排出され、第2室12から希釈
液が排出される。
ここで、下記式で示される第1液と第2液の浸透圧差は、3MPa以下
である。
    [浸透圧差]=[第1液の浸透圧]-[第2液の浸透圧]
  上記式において、「第1液の浸透圧」とは、半透膜モジュール1の第1
室11に供給される直前の第1液の浸透圧であり、「第2液の浸透圧」と
は、半透膜モジュール1の第2室12に供給される直前の第2液の浸透圧
である。【0027】
  上記浸透圧差が3MPa以下であるとの規定は、浸透圧差が負(マイナ
ス)の値である場合を含むことを意味する。浸透圧差は、好ましくは2.
5MPa以下である。【0028】
  第1室11に流される第1液の「所定の圧力」(第1圧力)は、特に制
限されないが、好ましくは3~8MPaであり、より好ましくは5~8
MPaである。【0029】
  なお、上記「浸透圧差」が下記式で示される「第1液と第2液の圧力差
」よりも小さければ、理論上、BC(の膜分離工程)は実施可能である
。「第1液と第2液の圧力差」に対する「浸透圧差」の比率は、好まし
くは50%以下であり、より好ましくは30%以下である。なお、「50
%以下」および「30%以下」との規定は、浸透圧差の比率が負(マイ
ナス)の値である場合を含む。
    [第1液と第2液の圧力差]=[第1液の圧力]-[第2液の圧力]
【0030】  このように、ブラインコンセントレーション(BC)にお
いては、RO法のように対象液(高浸透圧液)と淡水との間の高い浸透
圧差に逆らって逆浸透を起こさせるための高い圧力が必要なく、比較的
低圧の加圧によって、対象液の膜分離を実施することができる(第1液
を濃縮し、第2液を希釈することができる)。また、BCを用いることで、
RO法よりも高濃度の対象液をさらに濃縮すること等が可能となる。
【0031】  なお、浸透圧差は0Paであってもよい。また、第1液と
第2液は同じ液であってもよく、異なる液であってもよい。【0032】
  膜分離装置は、圧力低下装置として、例えば、高圧ポンプ31によ
って所定の圧力に昇圧された対象液を半透膜モジュール1の第1室11
と第2室12とに分けて流すことのできる分流弁4などを備えていても
よい(図1)。なお、分流弁4(圧力低下装置)は、第2室12に流され
る対象液を所定の圧力より低い圧力に減圧する機能を有している。

【図1】実施形態1の膜分離装置を示す模式図

【0033】  このような圧力低下装置を用いることで、例えば、第1液
と第2液が同じ液(対象液)である場合に、同じ流路から供給される対
象液の一部を第1液として所定の圧力で第1室11に供給しつつ、対象
液の他の一部を第2液として、圧力低下装置を通過させることによって
、所定の圧力より低い圧力で第2室12に流すことができ、該圧力低下
装置の上流側の対象液の流路が1本で済むという利点がある。【0034】
  第1液および第2液は、水を含む液体であれば特に限定されず、溶液お
よび懸濁液のいずれであってもよい。第1液および第2液としては、例
えば、海水、河川水、汽水、排水などが挙げられる。排水としては、例
えば、工業排水、生活排水、油田またはガス田の排水(随伴水)などが
挙げられる。【0035】
  また、本実施形態の膜分離装置が造水量向上システムに用いられる場合
、膜分離装置に供給される第1液および第2液は、逆浸透工程で排出され
る濃縮原液であってもよい。【0036】
  なお、第1液および第2液は、液中に含まれる微粒子、微生物等を除
去するための前処理が施されたものであってもよい。前処理としては、
淡水化技術に用いられる種々公知の前処理を実施することができ、例
えば、NF膜、UF膜、MF膜等を用いたろ過、次亜塩素酸ナトリウム
の添加、凝集剤添加などが挙げられる。【0037】
  なお、膜分離装置は、図1に示されるように1つの半透膜モジュール1
を用いた1段の装置であってもよく、複数の半透膜モジュールを用いた
多段の装置であってもよい。【0038】
  なお、図1に示される膜分離装置において、高圧ポンプ31の上流側に
は、図示しない前処理装置を備えていてもよい。前処理装置は、ポンプ
30で取水した原液(対象液)を砂濾過やUF膜(Ultrafiltration:限外
ろ過膜)、MF膜(Microfiltration:精密ろ過膜)、カートリッジフィル
ターなどによって処理する装置である。前処理装置により、原液から濁
質を除去し、半透膜モジュール1等を含む膜分離装置に適合する水質の
原液を得ることができる。必要により、pHの調整手段や塩素添加装置
などを付け加えることも可能である。


図3 中空糸型逆浸透膜モジュールを示す概略断面図

  (中空糸型逆浸透膜モジュール)
  以下、本実施形態において半透膜モジュールとして用いられる使用済み
の中空糸型逆浸透(RO)膜モジュールの一例について説明する。
【0040】  図2および図3を参照して、中空糸型逆浸透膜モジュール
(半透膜モジュール)1は、中心に配置された複数の孔21を有する芯
管(多孔分配管)2と、その周囲に配置された複数の中空糸膜10と、
芯管2および複数の中空糸膜10をそれらの両端で固定する2つの樹脂
壁61とを備える。なお、複数の中空糸膜10はその両端に開口部を有
している。これらの部材を含む中空糸膜エレメントは、2つの保持部材6
2にO-リング62aが介在した液密状態で保持され、圧力容器7内に
収容されている。
液密状態で保持され、圧力容器7内に収容されている。【0041】
  また、中空糸型RO膜モジュール1は、4つのポート(第1液供給口
100a、第1液排出口100b、第2液供給口101aおよび第2液
排出口101b)を有している。第1液供給口100aは、芯管2の内
部に連通し、さらに芯管2の孔21を介して中空糸膜10の外側100
に連通している。第1液排出口100bは、中空糸膜10の外側100
に連通している。第2液供給口101aおよび第2液排出口101bは、
中空糸膜10の開口部(第1開口部10aおよび第2開口部10b)を
介して複数の中空糸膜10の内部に連通している。【0042】
  第1液は、第1液供給口100aを介して、芯管2内に供給され、孔
21を介して中空糸膜10の外側100に流される。中空糸膜10の外
側100を通過した第1液は、第1液排出口100bから取り出される。
【0043】  第2液は、第2液供給口101aを介して、中空糸膜10
の第1開口部10aより中空糸膜10の内部(中空部)に供給される。
中空糸膜10の内部を流れて通過した第2液は、中空糸膜10の第2開
口部10bを介して、第2液排出口101bから取り出される。【0044】
  なお、本実施形態では、第1液を中空糸膜10の外側100に流すと共
に第2液を中空糸膜10の中空部内に流す場合について説明した。中空
糸膜の内側(中空部)を流れる流体(第1液)を加圧する場合、圧力損
失が大きく、第1液を十分に加圧することが難しいため、通常は、上記の
ように第1液を中空糸膜10の外側100に流すことが好ましい。
【0045】  ただし、第1液中に含まれる水は、中空糸膜10を透過し
て第2液中に移動すればよい。すなわち、第1液を中空糸膜10の外側
100に流すと共に第2液を中空糸膜10の中空部内に流してもよく、ま
たは、第2液を中空糸膜の外側100に流すと共に第1液を中空糸膜10
の中空部内に流してもよい。言い換えれば、中空糸型RO膜モジュール
1において、半透膜10の内部が第1室であり半透膜10の外部が第2
室であってもよく、半透膜10の外部が第1室であり半透膜10の内部
が第2室であってもよい。【0046】
  芯管2は、複数の孔21を有する管状体であれば特に限定されない。
孔21は、放射状に各方向に設けられていることが好ましい。また、芯
管2は、中空糸型RO膜モジュール1の略中心部に配置されていること
が好ましい。【0047】
  中空糸型RO膜モジュール1の圧力容器7の内部の断面積に対して、芯
管の断面積の割合は、特に限定されないが、好ましくは4~20%であ
る。芯管2の径は大きすぎると、中空糸型RO膜モジュール1内で中空
糸膜10が占める領域が減少し、半透膜の面積が減少するため、容積あ
たりの透水量が低下することがある。また、芯管2の径が小さすぎると、
芯管2内に供給される流体が芯管内を流動する際の圧力損失が大きくな
り、中空糸膜10の内部と外側100にかかる有効圧力差が小さくなり
、処理効率が低下することがある。また、強度が低下して、流体が中空
糸膜10内を流れる際に受ける中空糸膜10の張力により芯管2が破損
する場合がある。【0048】
  図3において、第1液供給口100a、第1液排出口100b、第2液
供給口101aおよび第2液排出口101bは、壁部材13,14に設
けられているが、このような形態に限定されず適宜変更することができ
る。例えば、第1液供給口100a、第1液排出口100b、第2液供
給口101aおよび第2液排出口101bの少なくともいずれかが、圧
力容器7の外周部に設けられていてもよい。【0049】
  半透膜モジュール(中空糸型RO膜モジュール)の形態としては、特に
限定されないが、図2および図3に示されるような中空糸膜をストレー
トに配置した軸流型モジュールや、中空糸膜を芯管に巻きつけたクロスワ
インド型モジュールなどが挙げられる。【0050】
  半透膜10は中空糸膜であり、RO膜である。中空糸膜(RO膜)の孔
径は、2nm以下であることが好ましい。本実施形態において用いられ
る中空糸型RO膜モジュールは使用済みのものであるため、中空糸膜(R
O膜)の塩除去率は、例えば、90%以上であればよい。また、中空糸
膜(RO膜)の透水性能は、例えば、新品のRO膜の40%程度以上であ
ればよい。【0051】
  中空糸膜を構成する材料としては、特に限定されないが、セルロース系
樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアミド系樹脂の少なくともいずれ
かを含む材料であることが好ましく、セルロース系樹脂およびポリスル
ホン系樹脂の少なくともいずれかを含む材料であることがより好ましい。
【0052】  セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロース系樹脂で
ある。酢酸セルロース系樹脂は、殺菌剤である塩素に対する耐性があり
、微生物の増殖を抑制できる特徴を有している。酢酸セルロース系樹脂
は、好ましくは酢酸セルロースであり、耐久性の点から、より好ましく
は三酢酸セルロースである。【0053】
  ポリスルホン系樹脂は、好ましくはポリエーテルスルホン系樹脂である。
ポリエーテルスルホン系樹脂は、好ましくはスルホン化ポリエーテルス
ルホンである。【0054】
  具体的な中空糸膜の一例としては、全体がセルロース系樹脂から構成さ
れている単層構造の膜が挙げられる。ただし、ここでいう単層構造とは、
層全体が均一な膜である必要はなく、例えば、特開2004-81913
号公報に開示されるように、外周表面近傍に緻密層を有し、この緻密層が
実質的に中空糸膜の孔径を規定する分離活性層となっていることが好ま
しい。【0055】 
具体的な中空糸膜の別の例としては、支持層(例えば、ポリフェニレンオ
キサイドからなる層)の外周表面にポリフェニレン系樹脂(例えば、ス
ルホン化ポリエーテルスルホン)からなる緻密層を有する2層構造の膜が
挙げられる。また、他の例として、支持層(例えば、ポリスルホンまたは
ポリエーテルスルホンからなる層)の外周表面にポリアミド系樹脂から
なる緻密層を有する2層構造の膜が挙げられる。
【0056】  中空糸膜の内径は、好ましくは10~700μmであり、
より好ましくは50~300μmである。【0057】
  中空糸膜(膜全体)の厚みは、好ましくは40~200μmであり、より
好ましくは50~170μmである。なお、膜厚は(外径-内径)/2で
算出できる。また、中空糸膜の中空率〔(内径/外径)×100(%)〕は
、好ましくは10~50%であり、より好ましくは12~30%である
。なお、中空率は、中空糸膜の横断面における中空部の面積の割合である。
【0058】  中空糸膜の長さは、特に限定されないが、好ましくは15
~400cm、より好ましくは20~350cmである。【0059】
  図4は、使用済みの中空糸型逆浸透膜モジュールと新品のBC用半透膜
モジュールとの膜透過流量を比較したグラフである。膜透過流量はBC
における性能であり、第1液への加圧の圧力は6.5MPaで一定とし
た。なお、RO中古膜の内径は新品BC膜の内径より小さかったため、
第2液への加圧の圧力は、RO中古膜で3.5MPaとし、新品BC膜で
0.5MPaとした。【0060】
  図4に示されるように、新品のBC用半透膜モジュールの中空糸膜(新
品BC膜)は、運転開始から暫くの間は膜透過流量が経時的に低下する。
これは、BCにおける加圧により中空糸膜の圧密化が経時的に進行する
ためであると考えられる。一方、使用済みの中空糸型RO膜モジュール
の中空糸膜(RO中古膜)は、既に圧密化されているため、運転開始時
であっても経時的な膜透過流量の低下は起こらない。【0061】
  このように、使用済みの中空糸型RO膜モジュールは、経時的な透水性
能の低下が起こらないという利点がある。経時的な透水性能の低下が起き
る場合、BCの処理能力を所定の値に保つためには、第1液への加圧の
圧力を増加する等の調整(制御)が必要になってしまう。特にBCは、
前段および/または後段に他の膜分離処理が組み合わせられたシステム
として利用される場合があり、上記のような圧力調整は非常に複雑かつ
難であるため、BCにおいて膜モジュールの経時的な透水性能の低下が
起こらないことは、重要な利点である。【0062】
  <膜分離方法>
  本発明は、第1液から濃縮された第1液である濃縮液を得ると共に、第
2液から希釈された第2液である希釈液を得る、膜分離方法にも関する。
【0063】  本実施形態の膜分離方法は、少なくとも膜分離工程を備え
る。

図4.使用済みの中空糸型逆浸透膜モジュールと新品のモジュールとの膜
透過流量を比較したグラフ

図5 スパイラル型の逆浸透膜モジュールを示す模式図
【0064】
  膜分離工程では、半透膜10と、半透膜10で仕切られた第1室11
および第2室12と、を有する半透膜モジュール1が用いられる。半透
膜モジュール1に対して、第1液を所定の圧力で第1室11に流し、第
2液を所定の圧力よりも低い圧力で第2室12に流すことで、第1室11
内の第1液に含まれる水を半透膜を介して第2室12内の第2液に移行
させ、第1室11から濃縮液を排出し、第2室12から希釈液を排出す
る。【0065】  ここで、下記式で示される第1液と第2液の浸透圧差
が3MPa以下(負の値である場合を含む)である。
    [浸透圧差]=[第1液の浸透圧]-[第2液の浸透圧]
【0066】  そして、本実施形態の膜分離方法においては、半透膜モジ
ュールとして、上述したような使用済みの中空糸型逆浸透膜モジュール
が使用される。【0067】
  今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものでは
ないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて
特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範
囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

5️⃣ 特開2021-159784 ポリフェニレン系半透膜およびその製造方法
東洋紡株式会社
【要約】下図3のごとく、ポリフェニレン系樹脂を含む材料から構成され
た半透膜であって、前記半透膜は、第1の表面の少なくとも一部がスル
ホン化されており、前記半透膜の厚み方向の断面に対して、元素分析に
よりスルホン酸基由来の硫黄元素の濃度分布を測定した際に、スルホン
化層厚みTs/(スルホン化層厚みTs+非スルホン化層厚みTb)×1
00で得られるスルホン化層の比率が50%以下である、ポリフェニレ
ン系半透膜で、薬品性(耐塩素性、耐酸、耐アルカリ)、膜性能および膜
強度を両立した、ポリフェニレン系樹脂を原料とした半透膜を提供する。
000002
【特許請求の範囲】

【請求項1】  ポリフェニレン系樹脂を含む材料から構成された半透膜
であって、
  前記半透膜は、第1の表面の少なくとも一部がスルホン化さ
れており、
  前記半透膜の厚み方向の断面に対して、元素分析によりスル
ホン酸基由来の硫黄元素の濃度分布を測定した際に、下記式で得られる
スルホン化層の比率が50%以下である、ポリフェニレン系半透膜。

  スルホン化層の比率(%)=スルホン化層厚み/(スルホン化層厚み+
非スルホン化層厚み)×100

【請求項2】  前記比率が5%以上40%以下である、請求項1に記載の
ポリフェニレン系半透膜。

【請求項3】  前記半透膜の第2の表面はスルホン化されていない、請求
項1または2に記載のポリフェニレン系半透膜。

【請求項4】  前記半透膜の第2の表面は、硫黄元素比率が0.1atm
%未満である、請求項1~3のいずれかに記載のポリフェニレン系半透
膜。

【請求項5】  スルホン化度が0.1×10meq./m~9.0×10
meq./mである、請求項1~4のいずれかに記載のポリフェニレン
系半透膜。

【請求項6】  ポリフェニレン系樹脂を含む材料から製造された半透膜基
材の第1の表面に硫酸を接触させてスルホン化処理を行う、請求項1~
5のいずれかに記載のポリフェニレン系半透膜の製造方法。

【請求項7】前記硫酸は、濃度が90~98wt%である、請求項6に
載のポリフェニレン系半透膜の製造方法。

【請求項8】第2の表面側を加圧した状態で前記半透膜基材の第1の表
面に硫酸を接触させる、請求項6または7に記載のポリフェニレン系半
透膜の製造方法。
🪄
さて、海水の淡水化=脱塩・有機化合物・有価(無機・有機)物質・
 有害物回収➡️分別回収(再利用)と収率とシステムの維持の測定・評
 価・是正となる。そして、二酸化炭素は回収・炭炭化水素化合物など
 への製造、淡水・海水は水素製造を加え、再エネ百%の巨大なコンビ
 ナートが構築する。加えて、新しい触媒創生することでグレードアッ
 プさせた新しいコンビナートと成長させ、気候変動を穏やかにするこ
 とが
わたし(たち)の最終ミッションだ。(笑)

ト音記号 イラストや に対する画像結果【生涯と名曲】ベートーヴェン





 今日の言葉:「新型の超新星爆発」を初観測!? 金は宇宙から降っ
         てきた?そうなんだ?!

 

             春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 



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エネルギーと環境 248

2025年05月30日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

                       

【季語と短歌:5月30日】 

          五月病夫婦揃ってダウンかな 

                高山 宇(五月鬼)

✳️ 海水循環システム試論 ①
1️⃣ ナノフィルター構築編

✳️  特許事例
1️⃣ 特開2025-60936 ルテリオンおよびその分離・培養方法  ルテリオン 
 カンパニー  リミテッド
【要約】下図1(不掲載)のごとく、下記の段階を含む、ルテリオンの
分離方法である。
(a)食品または植物の抽出物を煮沸することで取得した蒸気または気
体を冷却して得た凝縮液を、0.8~1.2μmの空隙サイズを有する
フィルターを用いて濾過する段階;
(b)前記濾過された凝縮液を遠心分離する段階;および
(c)運動性を有するルテリオンを収集するために、200~600u
m波長のIR光線を照射して前記遠心分離された上澄み液からルテリオ
ンを分離する段階。ミトコンドリア類似微細物質であるルテリオン、こ
れの分離方法および培養方法を提供する。

3️⃣ 特開2007-217356  海洋深層水濃縮物含有組成物及びそ
の製造方法
ワミレスコスメティックス株式会社②
【要約】海洋深層水を、(1) 硫酸イオンを90%以上除去し得るナノフィ
ルター
膜(NF膜)で処理する工程、及び(2) 工程(1)で得たNF膜透過
水を濃縮してNF膜透過水濃縮物を得る工程を含む製造方法であり、該
濃縮物はMgイオン10,000~100,000mg/L、Caイオ
ン4,000~40,000mg/L、硫酸イオン0~1,000mg
/Lを含有し、析出物がない組成物である。
細胞賦活化作用、特にサイトカインVEGF、KGF産生促進作用に優
れた組成物(化粧品、皮膚外用剤、経口剤又は食品)および該組成物の
製造方法の提供。
【発明の詳細な説明】【0016】
  海洋深層水の取水は、当業者によく知られた方法を用いて行うことが
出来る。例えば各種の船舶を用いて取水ポイントまで移動し、取水管を
海中に延伸させ、ポンプでくみ上げて船上のタンクへ貯水する洋上取水
による方法、沿岸部に取水施設を設け、取水管を海底に沿って取水ポイ
ントまで延伸させ、ポンプで直接海から連続的に取水する方法等を用い
ることが出来る。海洋深層水の濾過は、水温が0~50℃、好ましくは10
~40℃、より好ましくは20℃~30℃で実施することができる。
【0017】  本明細書中において、「ナノフィルター膜」(本明細書中
において、NF膜、ナノ濾過膜ともいう)とは、細孔を有し、イオン、低
分子、一価イオンを通すが、多価イオン、農薬、有機物、高分子、ウイ
ルス、コロイド、粘土、大腸菌及びバクテリアを少なくとも一部は除去
することができる膜を指す。本発明の製造方法には、孔径が0.1~1nm、
好ましくは0.2~0.9nm、より好ましくは0.3~0.8nmであるNF膜を用い
ることができる。孔径は、所望のイオン除去能が得られる範囲であるこ
とが好ましい。RO膜のようにNF膜より孔径が小さいと、水しか透過せ
、透過水を濃縮しても所望の濃縮物が得られない。また、UF膜のよう
NF膜より孔径が大きくなると、単独で存在するイオンは全て透過し、
縮すると通常のニガリと塩が出来るため、NF膜を用いることが好ま
しい。
【0018】
 本発明の製造方法で用いるNF膜は、特に二価のイオンの分離能が高い
膜であり、より好ましくは、二価イオンの分離率が一価イオンの分離率
より高い膜である。この二価イオンの分離能は、ナノフィルターの細孔
による分画性能と表面に荷電を有することによる電気的反発力との複合
作用よると考えられる。【0019】
NF膜による処理条件は、濃縮水量、透過水量等から当業者であれば適
宜条件を設定することができ、例えば、以下の実施例1中に記載した手
法により設定することができる。通常、市販のNF膜には、運転条件の
標準範囲が設定されており、これを目安として以下の点に特に留意しな
がら各運転条件を決定することができる。運転圧力は、濃縮水量と透過
水量により必然的に決まり、本発明の製造方法においては、海洋深層水
の塩濃度が高いために標準範囲よりも高い運転圧力となり得る。例えば、
NF膜にかかる圧力が0.3~2.0Mpaの条件下で本発明の製造方法を実施す
ことができる。【0020】
また、濃縮水量を減らし透過水量を増やして透過水の回収率を上げるに
は、濃縮水量/透過水量比を小さくする必要があるため、濃縮水量/透過
水量比を標準範囲より小さく設定する場合もある。このとき、一定流速
を確保しなければ装置の連続的な稼動が困難であり、一定流速を確保で
きることで目的とする水質を得ることが出来るという観点から、膜面上
の流速を低下させることが出来なければ、濃縮水の一部を海洋深層水
(原水)に返送して流速を確保する必要がある。しかし原水の塩濃度が
上昇するために透過水の塩除去率が低下する場合、目的とする一定の水
質の透過水が得られないことがある。例えば、濃縮水量/透過水量比 =
5の条件下で本発明の製造方法を実施することができる。【0021】
  NF膜は、平膜をメッシュスペーサー及び流路剤等と透過水流路用パイ
プの周囲に巻いてスパイラル型のエレメントとしたり、チューブラー型、
プレートアンドフレーム型エレメントとしたりすることもできる。
--------------------------------------------------------------------------------
参考図:
MOLSEP®チューブラー型膜モジュール
チューブラー型膜モジュールは、管状膜モジュールとも呼ばれ、比較的
路が広いパイプ状の分離膜モジュール。その形状特性は高濃度原水の固
液分離に最適で、し尿・排水処理をはじめ、数多くの分野で使用されて
いる
。ダイセン・メンブレン・システムズのチューブラー型膜モジュー
ルはUF膜(限外ろ過膜)、NF膜(ナノフィルター膜)、RO膜(逆浸透膜)の3
つの領域で製品ラインナップ。


-------------------------------------------------------------------------------
中空糸膜を様々な形状に束ねた型のエレメントとすることも出来る。こ
のエレメントを圧力容器に収納し、例えば、水供給口、透過水出口、濃
縮水出口等を備えたモジュールとして使用する。該モジュールを複数用
いて2次元又は3次元のモジュールユニットを構成することも出来る。同
一又は異なるフィルターを有するモジュールを並列に組み合わせて多段
階濾過の出来るモジュール配列を構成することもできる。【0022】

中空糸膜の基礎|株式会社 GSユアサ メンブレン
参考:GSユアサメンブレン 中空糸膜孔径 0.45 μm

  「硫酸イオンを90%以上除去」(好ましくは92%以上除去、より好まし
くは95%以上除去、さらにより好ましくは99%以上除去)するとは、NF
膜透過水の含有する単位当たりの硫酸イオンの量を海洋深層水(原水)
の含有する単位当たりの硫酸イオンの量から引いた値を、原水の含有す
る単位当たりの硫酸イオンの量で割った値に100をかけて算出した値が、
90以上(好ましくは92以上、より好ましくは95以上、さらにより好ま
しくは99以上)であることをいう。または、市販のNF膜には基本仕様
として、基本処理条件下における硫酸イオン除去率が記載されており、
この記載値が90以上(好ましくは92以上、より好ましくは95以上、さ
らにより好ましくは99以上)であることをいう。一定の運転条件で使用
する場合、一定の除去率が得られる。硫酸イオンを除去することにより、
濃縮の際Mgイオン、Caイオン等のMgSO4、CaSO4等としての析出を防
ぐことが出来る。【0023】
  NF膜の材質は所望のイオン除去能を有する限り限定されず、例えば架
橋ポリアミド系複合膜で出来た膜を用いることが出来る。【0024】
  「ナノフィルター膜で海洋深層水を処理する」とは、海洋深層水をナノ
フィルター
膜を透過させ、ナノフィルター膜を透過した水(本明細書中
において、「NF膜透過水」という。)及びナノフィルター膜を透過しない
水(本明細書中において、「NF膜濃縮水」という。)とに分離することを
いう。NF膜透過水とNF膜濃縮水とでは、例えば、後述の表2-1及び表2-2
に示すように、各種イオンの濃度が大きく異なる。一価のイオンである
Na、K及びClについては原水中の濃度と透過水中の濃度との差は10%未
満で、一価のイオンはナノフィルター膜を透過する。一方、二価のイオ
ンであるMg、Ca、SO4については原水中の濃度と透過水中の濃度との
差は10%以上であり、特にMgイオンについては45%以上減、さらにSO4
イオンについては92%以上減少していることから、二価イオンの除去率
は高い。表2-4に示すように、電気伝導度にも差がある。【0025】
  上記の処理に際し、水圧を変化させることもまた有用である。処理の
際の水圧は、ナノフィルター膜の種類により異なるが、所望のイオン除
去能を発揮できれば特に限定されない。例えば、18トンの海洋深層水
ナノフィルター膜で処理した場合、NF膜透過水3トンとNF膜濃縮水15
トンを得ることができる圧力(例えば12kg/cm3)をかけることが出来る。

【0026】  上記処理により得たNF膜透過水を更に濃縮する際には、
当業者によく知られた濃縮方法を用いることが出来る。例えば、減圧濃
縮、加熱濃縮等を用いることが出来る。常圧(1気圧、100℃以上で加
熱)にてNF膜透過水を濃縮すると、水分蒸発効率が悪く作業効率が悪
くなり、また、突沸による飛散で濃縮中の損失が多くなり、濃縮物の回
収率が悪くなる。さらに、加熱により酸化物を形成してしまう鉄イオン
や亜鉛イオン等の微量成分の沈殿を可能な限り防ぐため、好ましくは減
圧濃縮を用いることができる

【0027】NF膜透過水を濃縮した物を「NF膜透過水濃縮物」という。
本明細書中における濃縮倍率は濃縮前の重量を濃縮後の重量で割った値
である。
【0028】NF膜透過水の濃縮においては、組成物の用途によりその
濃縮倍率を様々に変化させることが出来る。濃縮時に生じた沈殿物、結
晶は、通常濾過により除去する。濃縮工程は、例えば、NF膜透過水を減
圧濃縮し、濾過にて固液分離して液体を得る。この操作を1~5回繰り返
し、得られた液体をNF膜透過水濃縮物とする。
【0029】水溶液中で一価と二価の陽イオンが共存する場合、濃縮に
より水が少なくなると、水分子との結合力が大きい二価の陽イオンが優
先的に水分子と結合し、一価の陽イオンが陰イオンと結合し、塩として
析出してくる。従ってこのように析出した結晶を濾過する工程も濃縮に
含まれ、濃縮物の濃縮倍率が大きくなるにつれて、例えば図2に示すよ
うにNa、K等の一価の陽イオン濃度が低下する。透過水を濃縮する工程
を経て本発明の組成物を得るという観点からは、透過水及び濃縮物中の
主要分析値(例えば、Na、K、Mg、Caイオン、屈折率等)はロットぶ
れがないことが好ましい。【0030】

また、上記の皮膚細胞を賦活するための組成物は、好ましくはサイトカ
イン産生を促進することにより皮膚細胞を賦活するためのものであり、
より好ましくはVEGF及び/若しくはKGF産生を促進することにより皮膚
細胞を賦活するためのものであり、並びに/又は、線維芽細胞の増殖を
促進することにより皮膚細胞を賦活するためのものである。【0031】
 本発明はまた、上記のNF膜透過水のBrixが2.8~3.6、好ましくは3.0~
3.4、Mgイオン濃度が300~900mg/L、好ましくは400~800mg/L、よ
り好ましくは500~700mg/L、Caイオン濃度が200~600mg/L、好まし
くは250~500mg/L、より好ましくは300~400mg/L、及びSO4イオン
濃度が0~300mg/L、好ましくは200mg/L以下、より好ましくは100mg
/L以下であり、並びに、上記のNF膜透過水濃縮物のBrixが30.0~55.0、
好ましくは40.0~50.0、Mgイオン濃度が10,000~100,000mg/L、好ま
しくは12,000~80,000mg/L、より好ましくは40,000~80,000mg/L、
さらにより好ましくは45,000~75,000mg/L、Caイオン濃度が4,000~
40,000mg/L、好ましくは4,800~35,000mg/L、より好ましくは20,000
~33,000mg/L、さらにより好ましくは23,000~30,000mg/L、及びSO4
イオン濃度が0~1,000mg/L、好ましくは600mg/L以下、より好ましく
は300mg/L以下、さらにより好ましくは100mg/L以下であり、Caイオ
ン濃度:Mgイオン濃度 = 1:0.25~1:4、好ましくは1:1~1:3.5、より好ま
しくは1:2~1:3、更に特定すれば1:2.5である、上記の製造方法を提供す
る。NF膜透過水濃縮物中において、Na:K:Mg:Ca = 0.7~1.3:1.0~1.3:
2.4~2.8:1.0、好ましくはNa:K:Mg:Ca = 0.8:1.1:2.5:1.0である上記の製
造方法もまた提供する。このようなイオン組成の濃縮物は、皮膚細胞賦
活作用に優れる。【0032】

 例えば、NF膜透過水のBrixが2.8~3.6であるとは、NF膜で海洋深層水
を処理した際にNF膜透過水のBrixが2.8~3.6の範囲になったことを指標
に、続く濃縮工程にNF膜透過水を移すことをも意味する。同様に、NF
膜透過水濃縮物のBrixが30.0~55.0であるとは、NF膜透過水の濃縮に際
してBrixが30.0~55.0の範囲になったことを指標に濃縮工程を終了する
ことを意味する。Brix以外の他のイオン濃度等についても同様に、NF膜
処理、及び濃縮の際の終点の指標とすることをも意味している。

【0033】Brix及び各イオンの濃度は、当業者によく知られた手法で
測定することが出来る。例えば、Brixは、手持屈折計(ATAGO社製、Brix
0~30)を用いて測定することが出来る。各イオンの濃度はイオン分析計
IA-200(東亜ディーケーケー社製、イオンクロマトグラフ法)にて10~
40000倍に適宜純水にて希釈して陽イオン及び陰イオンを測定すること
ができる。各イオン濃度は、例えば、ICP発光分光分析法、JIS K 0102、
吸光光度法等によって測定することもできる。【0034】
 本発明はまた、上記のNF膜透過水の濃縮において、濃縮が14~50倍、
好ましくは25~50倍、より好ましくは35~45倍であり、かつNF膜透過
水濃縮物が析出物のない水溶液状である、上記の製造方法を提供する。
濃縮は、50倍以上にすることも可能だが、濃縮による効果と濃縮に要す
る費用とのバランスを考慮すれば、濃縮の上限は50倍程度であることが
望ましい。【0035】
 「析出物のない水溶液状」であるとは、沈殿物を除去した後のNF膜透
過水濃縮物中に肉眼で浮遊物や沈殿物が確認できない状態、すなわち、
水に物質が溶けて、透き通って、どこも一様な濃さになっている液体の
状態である。本発明のNF膜透過水濃縮物は、水溶液状で多量のミネラ
ルを常温(20~25℃)で安定に含有することが特徴である。【0036】

上記工程を経て得られたNF膜透過水濃縮物は、後述の表2-2及び表5に
記載の通り、単に海水(海洋深層水を含む)を濃縮したニガリとは、そ
の成分が大きく異なる。特に、Caイオンは、ニガリ中には実質的に含ま
れないが、NF膜透過水濃縮物中には非常に高い濃度で含まれる。K、Cl
イオン濃度も増加し、Mgイオンについてはニガリとほぼ同濃度で含ま
れる。一方、Naイオン濃度は減少し、また、ニガリには多量に含まれる
SO4イオンを実質的に含まないことが大きな特徴である。【0037】
  本発明はまた、上記に定義した工程(1)及び(2)を含む、海洋深層水の濃
縮方法を提供する。【0038】
発明はまた、上記に定義した工程(2)により得られるNF膜透過水濃縮物
を含む、皮膚細胞を賦活するための、好ましくはサイトカイン産生を促
進することにより皮膚細胞を賦活するための、より好ましくはVEGF及
び/若しくはKGF産生を促進することにより皮膚細胞を賦活するための、
並びに/又は線維芽細胞の増殖を促進することにより皮膚細胞を賦活す
るための組成物を提供する。【0039】
  本発明はまた、海洋深層水由来であって、Brixが30.0~55.0、好ましく
は40.0~50.0、Mgイオン濃度が10,000~100,000mg/L、好ましくは
12,000~80,000mg/L、より好ましくは40,000~80,000mg/L、さらに
より好ましくは45,000~75,000mg/L、Caイオン濃度が4,000~40,000
mg/L、好ましくは4,800~35,000mg/L、より好ましくは20,000~
33,000mg/L、さらにより好ましくは23,000~30,000mg/L、及びSO4
イオン濃度が0~1,000mg/L、好ましくは600mg/L以下、より好ましく
は300mg/L以下、さらにより好ましくは100mg/L以下であり、Caイオ
ン濃度:Mgイオン濃度 = 1:0.25~1:4、好ましくは1:1~1:3.5、より好ま
しくは1:2~1:3、更に特定すれば1:2.5である濃縮物を含む、皮膚細胞を
賦活するための、好ましくはサイトカイン産生を促進することにより皮
膚細胞を賦活するための、より好ましくはVEGF及び/若しくはKGF産生
を促進することにより皮膚細胞を賦活するための、並びに/又は線維芽
細胞の増殖を促進することにより皮膚細胞を賦活するための、組成物を
提供する。【0040】

 上記のような本発明の皮膚細胞を賦活するための組成物(特別な場合を
除き、「本発明の組成物」という。)はさらに、硫酸イオンを実質的に含
まないものとすることが出来る。なお、「実質的に含まない」とは、濃
度が100mg/L以下であること、又は適切な測定方法で測定したときに測
定限界以下であることをいう。【0041】
  ような組成物における、各イオン濃度の上限値は、安全性、安定
性、製造性等を考慮し、また、所望の効果を著しく損なわず、かつ所望
の効果を無意味にするほどには他の効果を生じさせない範囲で適宜設定
することができる。【0042】
 本発明の組成物により活性化され得るサイトカインとしては、上皮細胞
増殖因子(Epidermal Growth Factor:EGF)、血小板由来増殖因子(
Platelet-Derived Growth Factor:PDGF)、肝細胞増殖因子(Hepatocyte
Growth Factor:HGF)、線維芽細胞増殖因子(Fibroblast Growth Factor
:FGF)、血管内皮細胞増殖因子(Vascular Endotherial Growth Factor、
VEGF)、各種形質転換因子(Transforming Growth Factor:TGF)、角
化細胞増殖因子(Keratinocyte Growth Factor:KGF)、インシュリン
様成長因子(Insulin-like Growth Factor:IGF)、各種インターロイキン
(Interleukine:IL)等が挙げられる。ある種のサイトカイン産生量増
加により、皮膚の老化防止、老化予防、改善が期待できる。また、それ
に伴い、例えば、線維芽細胞から産生されるコラーゲンやヒアルロン酸
の量が増加すれば、皮膚の柔軟性、保湿性が向上し、はりやしわの改善
が期待できる。【0043】
 VEGFは、ヒト下垂体前葉由来細胞株の培養上清から発見された血管内
皮細胞に特異性の高い増殖因子であり、培養血管内皮細胞の増殖、遊走、
プロテアーゼ活性の亢進、コラーゲンゲル内での血管様構造の形成など
血管新生の為のすべてのステップを促進し、in vivoでも血管新生や血管
透過性を促進する。多方面にわたる研究から、VEGFは胚における血管
形成や成体組織における血管新生の重要な調節因子として知られている。
VEGF産生促進により、例えば、火傷のような創傷に対し、VEGFによる
血管形成促進作用に基づく治癒の促進が期待できる。【0044】

 KGFは、線維芽細胞増殖因子ファミリーの1つで、上皮細胞に特異的な
細胞分裂誘起物質である。細胞培養においては皮膚及び胃腸等の主要な
上皮器官由来の間質線維芽細胞により分泌され、ヒト上皮細胞の正常な
増殖及び分化に関与する。また、in vivoでは、表皮ではなく真皮で発現
する。【0045】
本発明において、VEGFに関連する疾患又は状態とは、VEGFの量又は
VEGFの応答性の変化により、予防、治療、改善又は進行の抑制が期待
される疾患又は状態を意味する。KGFについても同様である。また、真
皮細胞の賦活化に関連する疾患又は状態とは、真皮細胞の賦活化により
予防、治療、改善又は進行の抑制が期待される疾患又は状態を意味する。
具体的には、創傷、火傷、褥そう、潰瘍、外傷、老化、しわ、しみ、く
すみ、乾燥、紫外線による損傷が挙げられる。一方、上皮細胞の賦活化
に関連する疾患又は状態とは、上皮細胞の賦活化により予防、治療、改
善又は進行の抑制が期待される疾患又は状態を意味する。具体的には、
粘膜炎、創傷、火傷、褥そう、潰瘍、外傷、老化、しわ、しみ、くすみ、
乾燥、紫外線による損傷が挙げられる。老化やくすみが改善したか否か
は、例えば後述の実施例12に記載のように、水分量の測定、角層細胞状
態の観察、肌のキメの観察等により、評価することができる。従って、
本発明は、肌の水分量を増加する、肌のキメを改善する及び/又は肌の
角層細胞の状態を改善する、上記の組成物をも提供する。【0046】
  本発明はまた、化粧品、皮膚外用剤、経口剤又は食品である、上記の
組成物を提供する。【0047】
 このような本発明の組成物は医薬品の形態とすることができ、その投
与経路、投与回数は、当業者であれば適宜設計することができる。また、
従来技術に基づき、投与経路等に応じた剤形に適宜製剤化することがで
きる。【0048】
本発明の組成物には、所望の効果を損なわない範囲で、通常の外用剤に
用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコ
ール類、エステル類、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、
粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、抗炎症剤、
抗しわ剤、肌荒れ改善剤、ニキビ用薬剤、アルカリ類、キレート剤、金
属封鎖剤、海泥等の成分を配合することもできる。通常の経口剤に用い
られる着色剤、防腐剤、希釈剤、甘味剤、風味剤、充填剤、被覆剤等の
成分を配合することもできる。さらに、通常の浴用添加剤に用いられる
成分である硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、塩
化カリウム、油性成分、乳化剤、コハク酸、生薬、無機顔料、香料、及
び色素等の成分を配合することもできる。【0049】
本発明の組成物はまた、その使用目的に応じて、固形剤、半固形剤、

液剤等の各種剤形の組成物に調製することが可能である。【0050】
  本発明の組成物はまた、スキンケア化粧品として洗顔石鹸、洗顔クリ
ーム、洗顔フォーム、化粧水、パック、マッサージクリーム、乳液、モ
イスチャークリーム、リップクリーム等、メーキャップ化粧品としてフ
ァンデーション、白粉、口紅、ほほ紅、アイシャドウ等、ボディケア化
粧品として石鹸、液体洗浄料、日焼け止めクリーム、入浴剤等、ヘアケ
ア化粧品としてシャンプー、リンス、ヘアトリートメント、整髪料、ヘ
アトニック、育毛剤、スキャルプトリートメント等とすることができる。
また、医薬品である場合、硬膏剤、軟膏剤、パップ剤、リニメント剤、
ローション剤等の外用剤及び、飲料剤、シロップ剤、ゲル剤、錠剤、カ
プセル剤、散剤等の経口剤とすることができる。上記のうち、特に、ロ
ーション、石鹸、クリーム及び健康食品とすることができる。【0051】
  本発明の組成物を化粧品として用いることにより、例えば、皮膚の保
湿、キメ及び角質状態を改善させることができる。【0052】
本明細書でいう食品には、調味料、栄養補助食品、健康食品、総合健康
食品、サプリメント及び飲料が含まれる。本発明の食品には、通常の食
品に用いられる成分である糖類、酸化防止剤、凝固剤、pH調整剤、増
粘剤、エキス粉末、生薬、無機塩等の成分を配合することができる。本
発明の食品は、固形状(例えば、結晶、カプセル、タブレット、粉末)、
半固形状(例えば、ゲル、ペースト)、液状(例えばミネラルウォータ
ー、清涼飲料水、果実飲料、スポーツドリンク、酒類)とすることがで
きる。また、本発明は氷果、冷凍食品等、凍結食品の製造に用いること
も出来る。【0053】
本発明の食品は、海洋深層水のNF膜透過水濃縮物を原料とするので、
細胞賦活化作用、特にVEGF及び/又はKGF等のサイトカインの産生促進
等を期待し得るほか、必要なミネラル成分をバランス良く含み、また味、
香りに優れたものであり得る。【0054】
化粧品、皮膚外用剤、経口剤及び食品を含む本発明の組成物の製造工程
において、NF膜透過水濃縮物の配合の方法は、その特性を著しく損なわ
ない限り特に制限されない。例えば、水溶液状のまま他の原料と混合す
ることにより配合しても良い。又は定法により凍結乾燥して得られた凍
結乾燥物を、そのまま用いても良いし、他の粉末原料と混合することに
より配合しても良い。配合量は、最終製品に含ませたい目的の成分の含
量を、その食品を摂取する対象者、目的とする効果(例えば、健康維持、
特定の成分の補給等)、その食品が摂取される回数等を考慮して決定し、
適宜設計することができる。【0055】

  なお、本発明の組成物又は食品には、その具体的な用途(例えば保湿
用、細胞賦活化のため、美白のため、サイトカイン産生促進のため、VE
GF産生促進のため、KGF産生促進のため、栄養補助のため、健康維持の
ため)及び/又はその具体的な用い方(例えば、摂取量、摂取回数、摂取
方法)を表示することができる。【0056】
  本発明はまた、湯の花及び/又はその抽出物を更に含む、上記の組成物
を提供する。【0057】
 湯の花及び/又はその抽出物の配合量は、組成物の安全性、安定性等を
考慮し、所望の効果を著しく損なわない範囲で適宜設定することができ、
例えば組成物全重量の0.005~2重量%、好ましくは0.01~1重量%とす
ることが出来る。湯の花は、地下から温泉水や温泉ガスが噴出したとき
に岩石や粘土表面に析出するもの、又は水中に沈殿する固体状のもので
あり、場合によっては水に不溶の成分を含有する場合もある。本発明の
組成物に含まれる湯の花としては、温泉の噴気を例えば青粘土上で結晶
化させて得られたものもまた好ましい。本発明の組成物に含まれ得る湯
の花の抽出物とは、上記の湯の花を例えば、水、鉱泉水(日本温泉協会
による鉱泉の規定に該当するもの)、エタノール、プロピレングリコー
ル、1,3-ブチレングリコール等の溶媒で抽出したものをいう。これらの
溶媒は、単独で用いても二種以上を混合して用いても良い。【0058】
上記の湯の花及び/又はその抽出物をそのまま使用してもよく、必要に
応じて、濃縮、希釈、濾過、濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を
行って用いてもよい。湯の花及び鉱泉水は、源泉から採取しても、市販
されているものを使用しても良い。湯の花の溶媒抽出物をオゾン酸化処
理してもよい。

【実施例】【0059】
  次に本発明を詳細に説明するため、実験例を挙げるが、本発明はこれ
らの実施例になんら限定されるものではない。【0060】
  実施例4~11に示す表中の配合量は重量%示し、FDとはフリーズドラ
イ加工を示す。実施例4~11(表6~13)中の「NF膜透過水濃縮物」は、
実施例2で得た液状の41倍濃縮物を使用し、「湯の花」は湯の花(製造
元:(有)脇屋商会)を10%溶液にして使用し、「湯の花FD品」は該10
%溶液の凍結乾燥品を使用した。【0061】

  実施例1:海洋深層水の濾過
鹿児島県与論島太平洋側沖5~6kmの海上から船上に設置したポンプに
て、約500mの深さの部分の海水を採取した。これを、ナノフィルター
膜(東レ社製、ROMEMBRA SU-610、膜材質:架橋全芳香族ポリアミ
ド系複合膜、エレメント形式:スパイラル型、海水試験前NaCl標準性
能(500ppm、3.5kg/cm2):脱塩率52.7%及び造水量4.9t/日)(給水圧
力0.35MPa、給水温度25℃、給水濃度500mg/L(NaCl)、濃縮水量20L
/分でのNa2SO4除去率99.6%、MgSO4除去率99.2%)を備えた装置(
水道機工株式会社製、処理能力(25℃、24時間運転/日、12kg/cm2):
原水18m3/日から透過水3m3/日及び濃縮水15m3/日を生産)を用いて
24時間処理し(25℃、12kg/cm2)、18m3の海洋深層水原水からNF膜透
過水3m3及びNF膜濃縮水15m3を得た。【0062】
 この処理で用いた、NF膜を備えた装置の概略図を図1に示す。図1中、
左に記載した矢印の部分から、原水が矢印に沿って流れ、中央に記載し
たNF膜を通過した後、NF膜透過水(処理水)とNF膜濃縮水とに分かれ、
それぞれのタンクに導かれる。
NF膜による処理条件は、以下のように、東レ株式会社における委託試
験にて運転条件を決定した。東レ社製のNF膜であるSU-610の標準運転
範囲は、給水圧力 < 1.0MPa、濃縮水量/透過水量比 > 6、供給水量 <
50L/分、濃縮水量 > 10L/分となっている。この標準運転範囲から、濃
縮水量 > 10L/分より濃縮水量を10.5L/分と設定した。標準運転範囲は
濃縮水量/透過水量比 > 6となっているが、海洋深層水では5と設定し、
透過水量を10.5/5 = 2.1L/分と設定した。運転圧力は、濃縮水量と透過
水量により必然的に決まり、海洋深層水(原水)の塩濃度(電気伝導度
52,200μs /cm, 24.8℃)が高いので標準運転範囲よりも高い運転圧力と
した。【0063】
 海洋深層水原水、NF膜透過水及びNF膜濃縮水の主要成分組成を表2-1
に示す。さらに、微量成分組成については、表2-2にその分析値を表2-3
に分析方法を示す。後述の実施例3で得たニガリ1(表5に記載のものと
異なるロット)の微量成分組成についても、比較のために併記した。
また、pH、電気伝導度及び水量について表2-4に示す。【0064】
【表2ー1】
000003
【0066】
【表2ー3】
000004
【0067】
【表2ー4】
000006
【0068】
  表2-1中の値は、それぞれ、イオン分析計で分析した値である。NF膜透
過水のSO4イオン濃度は原水と比べ大きく減少していることがわかる。
表2-2中の値は、株式会社サニックスに委託分析をし、海水で1時間、加
圧循環運転(透過水及び濃縮水を原水に戻して循環運転)後、1パスに
て出口側にて採水して表2-3に記載の方法で各々測定して得た値である。
表2-4中のpHはガラス電極法、電気伝導率は電極式、水温は電気抵抗
サーミスタ)式にて、それぞれ一般的な方法で測定して得た値であり、
また、水量は付属の流量計にて測定して得た値である。表2-4中の水量
は、東レにおけるサンプル試験の運転条件と一致する。
【0069】
  実施例2:NF膜透過水の濃縮
  実施例1で得られたNF膜透過水を、ロータリーエバポレーター(東京
理化器械株式会社製)を用いた減圧濃縮(50~60℃、10~50mmHg)
により濃縮し、濾過にて固液分離して液体(水溶液)を得た。さらに得
られた液体を同様に減圧濃縮し、濾過にて固液分離して液体(水溶液)
を得た。この操作を1~3回繰り返し、14倍、30倍、41倍、50倍に濃縮
したNF膜透過水濃縮物(水溶液)を得た。濃縮前の全体量を14分の1に
したものが、14倍濃縮物である。濃縮前のNF膜透過水及び濃縮後の各
種濃度のNF膜透過水濃縮物中のNa、K、Mg及びCaイオンの含有量並び
に屈折率を表3に示す。

【0070】  なお、屈折率の測定は、手持屈折計(ATAGO社製、Brix0
~30)を用いて25℃の条件で行った。各イオンの濃度は、イオン分析計
(イオンクロマトグラフ法)を用いて測定した。図2は、屈折率(濃縮
倍率)を横軸に、Na、K、Mg、Caの各イオンの含有量を縦軸にとった
グラフである。濃縮倍率では、濃縮の際に取り残し等の人為的なぶれの
影響があり基準としにくいため、屈折率(水溶性固形分割合の目安)を
横軸にとることで、得られる濃縮物の各イオン量との相関のぶれを少な
くした。表3から、濃縮倍率が高くなるにつれ、Mg及びCa濃度は増加
し、一方Na濃度は減少し、さらに、K濃度は41倍濃縮付近をピークに減
少する傾向にあることがわかる。
【0071】
【表3】
000007
【0073】
【表4】【0074】
  実施例3:比較例(ニガリ1)の製造及びNF膜濃縮水の濃縮物との比較
  実施例2で得たNF膜透過水濃縮物の比較例として、ニガリ1を製造した。
与論島にて取水した海洋深層水を平釜製法にて常圧濃縮し、遠心脱水
により固液分離してニガリ1を得て、その各イオンの濃度を測定した。
また、実施例1で得たNF膜濃縮水を実施例2と同様の手法を用いて濃縮
したNF膜濃縮水濃縮物を製造した。ニガリ1、実施例2で得たNF膜透過
水濃縮物(41倍)及びNF膜濃縮水濃縮物中の各種イオンの含有量並び
に屈折率を表5に示す。なお、屈折率及び各イオンの濃度は、実施例2と
同様の手法を用いて測定した。表5から、新規濃縮物であるNF膜透過水
濃縮物は、膜処理により硫酸イオンを90%以上除去することで濃縮時に
Caイオンが硫酸カルシウムとして析出しないため、ニガリ1及びNF膜濃
縮水濃縮物と比べてCa量が非常に多いことがわかる。また、NF膜透過
水濃縮物のCaイオン濃度:Mgイオン濃度 = 1:2.5となった。この濃度比
が皮膚細胞を賦活するのに適したイオンバランスであることを、他の細
胞試験によっても確認した。【0075】
【表5】
000009
【0076】  実施例4:化粧水の製造
  製造方法:全て75℃に加熱し、攪拌溶解する。35℃まで冷却し、化粧
水を得た。【0077】
【表6】
000010
【0078】  実施例5:高圧処理化粧水の製造
  製造方法:水相Aと油相Bをそれぞれ80℃に加熱し、溶解する。BをA
に加え、乳化機で乳化する。乳化物を高圧処理(25℃、200Mpa、1Pass)
にかける。35℃まで冷却し、高圧処理化粧水を得た。【0079】
【表7】
000011
【0080】  実施例6:石鹸の製造
  製造方法:全成分を均一になるまで加熱攪拌溶解する。濾過、冷却固
化、切断、乾燥を経て石鹸を得た。
【0081】【表8】
000012
【0082】  実施例7:乳液の製造
  製造方法:水相Aと油相Bをそれぞれ80℃に加熱し、溶解する。BをA
に加え、乳化機で乳化する。35℃まで冷却し、乳液を得た。
【0083】【表9】
000013
【0084】
  実施例8:クリームの製造
  製造方法:水相Aと油相Bをそれぞれ80℃に加熱し、溶解する。BをAに
加え、乳化機で乳化する。35℃まで冷却し、クリームを得た。
【0085】【表10】

000014

【0086】  実施例9:多層クリームの製造
製造方法
工程(a):表11-1中の水相Aと油相Bをそれぞれ80℃に加熱し、溶解する
BをAに加え、乳化機で乳化する。乳化物を高圧処理(25℃、220Mpa、
5Pass)にかけ、多層クリーム前処理物を得た。
工程(b):表11-2中の水相Aと油相Bをそれぞれ80℃に加熱し、溶解する。
BをAに加え、乳化機で乳化する。乳化物にC(上記工程(a)で得た多層ク
リーム前処理物)を加え、攪拌し、Dを加えさらに攪拌する。35℃まで
冷却し、クリームを得た。
【0087】【表11】

000015
【0088】  実施例10:美容液の製造

  製造方法:水相Aと油相Bをそれぞれ80℃に加熱し、溶解する。BをA
に加え、乳化機で可溶化する。35℃に冷却し、美容液を得た。
【0089】【表12】
000016
【0090】  実施例11:健康食品の製造
  製造方法:各成分をフリーズドライしたものを混合し、食品を得た。
【0091】【表13】【0092】
実施例12:使用評価
実験方法:肌のくすみ、老化に悩む女性17人を対象に、上記の実施例9
で製造した多層クリームの連用試験(朝晩2回、顔面)を1ヶ月間実施
した。連用前、連用1ヵ月後、それぞれにおいて以下の測定を行った。
測定項目:角層水分量測定装置(SKICON-200EX)により角層水分量を
測定した。粘着テープで皮膚表面の角層細胞を採取し、角層の剥離状態
と形状を観察した。シリコーンレプリカ剤で頬のレプリカを採取し、キ
メの状態を観察した。各項目は連用前の状態と比較した。(繁忙鬼です)
結果:水分量の測定結果を表14-1に示す。14名に水分量の増加が認めら
れた(平均33%増)。キメ、角層の状態の測定結果を表14-2及び図3に示
す。角層細胞状態では14名に重層剥離、細胞形状の改善が認められた。
キメ観察では9名に皮溝の鮮明度、皮丘の形に改善が認められた(図3)。
                           以下割愛
🪄愈々、海水循環水素製造システム設計段階に入る。五月病?と並行
作業に入り、海水の脱塩(ナノフィルター)構成パーツの考察。











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エネルギーと環境 247

2025年05月29日 | ネオコンバーテック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。


【季語と短歌:5月29日】 

          父の顔草矢草笛嬉しそう 

                高山 宇(催涙鬼)

写真あり】スズメノテッポウの笛の笛の作り方と鳴らし方 | ミックスじゅーちゅ 子どもの遊びポータルサイト

㊙️ 変貌する食品事情 ①
いまさらだが、ドライフード(アマノフーズの「たっぷりなす」)を取り
上げたが、「マルコメ株式会社」なども同系統の食料品を販売して試食し
たが、総合的にはアマノフーズがベスト選択に定着した。後は、「食品管
理」「食品材料管理」関連法規に則り人体・生態・環境に危害を与えない
ことを明確にすることである。でも懸念もある。「全粒紛」などがそれで
ある。玄米など栄養価が高いことが挙げられているか、農薬や黄砂、石
油燃焼物等の粉塵からの汚染物質汚染、害虫などの除外の有無である。


                                 環境省 2013.6.1
ところが、中国では1990年代以降に養殖技術や調理法が発達し、中国全
土で食されるようになった。中国水産学会『ザリガニ産業発展報告』(
2017年)によると、中華人民共和国は世界最大のアメリカザリガニ生産
国となっている。飲食店なども含めたザリガニ産業の2016年の総生産額
は1,466億(約2兆4,000億円)、産業全体の就労者は500万人近く、
ではザリガニ料理が全飲食業の売り上げの20~25%を占めている。
南省
ではザリガニ養殖を貧困脱却の重要手段と位置づけるなど、多くの
方政府はザリガニ産業の発展を奨励・指導しているという (via
Wikipedia)以前。ブログで、滋賀県で淡水々産養殖(日本鯰・沢蟹・
にごろ鮒)を検討したことがあり、条件付きでアメリカザリガニもあっ
た。甲殻類は中国民が好む「赤色」、鮮やかである。養殖工場で生産管
理できれば可能で道の駅などで販売できると考えていた。ムール貝の陸
上養殖も考えてもました。(笑)



ところで、最近目覚めた加工食品がある。『落花せんべい』(ココロ株式
会社)。廉価で、美味しい。私だけ知らなかったのだ。ひとつ欠点がある。
落花生がボロボロと床に文字道理、落ちる(困)。メーカによるのだが、
二流品なのだ(笑)。それにしても美味しい(感謝)。

4162235-sk 落花煎餅 18枚入り【米倉製菓】
㊙️令和米騒動試論①
楽天グループは29日、政府から随意契約で購入した備蓄米を「楽天生
活応援米」として、1袋(5キログラム)税抜き1980円で売り出し始めた。
同日午後に特設ページを開設という(朝日新聞)。いささか、論考するに
は足らないが、ここは「現代ビジネス」の常本秦志氏を「政策判断のミ
スや統計のズレが根底にあることは否定できない。問題なのは、これら
の数字や制度の問題が、農家や消費者には十分に見えてこない“ブラック
ボックス”であることだ」を引用し中間まとめとする。1️⃣経過説明:①
スーパー・量販店の先手買い、②農協への集荷が減少、③コンビニ・外
食チェーンの“確保合戦”という具合に推移。この一連の流れを経てもな
お、お米の需給バランスは不安定なままだ。令和7(2025)年4月時点で
の民間取引価格は、農協が卸売に提示する価格(相対価格)と比べて約2
倍にまで上昇。著者の問いかける。「
なぜ今、日本のお米が足りないのか
?」と。「要因1:生産調整が引き起こした“供給不足」「要因2:農水省
の統計に“見えないズレ”」を掲げ、次に「国が発表する米の生産量デー
タに誤差がある可能性」を挙げ。以下の3つをさす。
① 作況指数と現場の感覚がずれ。毎年、農水省は「作況指数(米の生育
状況を数値化したもの)」を公表しているが、実際の収穫量との差を感じ
るという声は、農家から多く聞く話だ。特に民間の集荷業者が多い県で
は、「農協ルートよりも実態が把握しづらく、数字にブレがある」とされ
る。これは、現場の情報が行政に正確に届いていない構造的な課題とも
言える。
②ふるいのサイズの違いが“見えない減少”を生む(詳細割愛)、③   作付
面積にも誤差の可能性(前項と同じ)

2️⃣ということで、米不足の報道には、しばしば「消費者の買い占め」や
「メディアの過剰報道」が原因とされることがある。しかし、今回見て
きた通り、本質的には政策判断のミスや統計のズレが根底にあることは
否定できない。問題なのは、これらの数字や制度の問題が、農家や消費
者には十分に見えてこない“ブラックボックス”であることだと結んでい
ることだ。

✳️ 令和の米騒動が起きた背景と農業の現状

1.長期の減反政策と政府の政策:1971年から2017年まで、約50年わた実
施した減反政策は過剰生産を
抑制するため、稲作面積を減少させること
を目的に導入されたもの。そ
の結果、水田面積・米の生産量は着実に縮
小している(図表1)。
以下、「ゴールドオンライン on MSN1」図表参考にする。
政策は2018年に形式上は終了したが、現在も政府は「適正生産量」の指
標を毎年提示しており、さらに他作物への転作補助支援策も継続・拡充
されている。このため実質的な減反政策が継続しているとの見方も可能
である。実際、政策廃止後も水田面積・生産量は減少している。

令和の米騒動が起きた背景と農業の現状~米の価格高騰はなぜ起きた?~
気候変動の影響も…暑さに弱い「コシヒカリ」の課題
異常気象や気候変動は、米の安定的な生産に大きな影響を与えている。
特に予測困難な台風や豪雨は、発生の度に農業環境を大きく破壊するだ
ろう。
日本で主に作付けされている「コシヒカリ」は寒さには強い一方、
暑さに弱い品種であるため、猛暑による品質低下が問題である(図表2)。

[図表2]令和5年産うるち米の品種別作付割合上位10品種 資料:米穀
安定供給確保支援機構「令和5年産水稲の品種別作付動向」・高温耐性は
各種研究結果をもとにニッセイ基礎研作成
特に2023年は記録的な猛暑の影響により収穫量が減少し、品質の確保が
困難であった。特に東日本を中心に1等級米(等級の数字が小さい程、精
米後に残る米の量が多い)が対前年で収穫割合が減少した(図表3)。
➡️「現代ビジネス」の常本秦志氏
をうけ、「背景の説明」を見聞する。
特に2023年は記録的な猛暑の影響により収穫量が減少し、品質の確保が
困難であった。特に東日本を中心に1等級米(等級の数字が小さい程、
精米後に残る米の量が多い)が対前年で収穫割合が減少した(図表3不
掲載)。

1️⃣ 後継者不足に重いコスト負担…生産の危機も
農業従事者の高齢化と若年層の農業離れは、米の生産体制に深刻な影響
を及ぼしているという。
2020年の水稲作付面積2ha未満の小規模な経営
体が全体の約3割を占めている。但し、1経営体あたりの作付面積は徐々
に拡大傾向にあり、構造転換の兆しが見え始めている
(図表4不掲載)。
米に限らず、農林業全体で後継者不足が続いており、耕地面積規模が小
さい程、65歳以上の経営者が占める割合が高い。持続的な生産体制の確
保が困難となっているとのこと(図表5不掲載)。また、[図表6]米の
作付規模別生産費 資料:農林水産省「2023年農業経営統計調査」をもと
にニッセイ基礎研作成。
令和の米騒動が起きた背景と農業の現状~米の価格高騰はなぜ起きた?~

和の米騒動が起きた背景と農業の現状~米の価格高騰はなぜ起きた?~©
THE GOLD ONLINE
[図表7]米・パン・麺の毎月購入量推移 資料:総務
省「家計調査」家計収支編をもとにニッセイ基礎研究所にて作成

✳️ 変化する食生活と米の需要
日本の食生活はこの数十年で大きく変化し、パンや麺類といった他の炭

水化物の消費が拡大する中で、米の需要は長期的に減少した(図表7)。
さらに、人口減少の進行により、米を消費する人口そのものも減少して
おり、全体の需要縮小に拍車をかけている。長期的な需要減少の中で、
足元ではコロナ禍の収束に伴い家庭内調理が増加したことや、インバウ
ンド需要の回復などにより米の需要が増加し、2023年度から年間平均民
間在庫量は減少した。2024年以降も在庫量が回復せず、全銘柄平均相対
価格も上昇している(図表8)。

令和の米騒動が起きた背景と農業の現状~米の価格高騰はなぜ起きた?~
令和の米騒動が起きた背景と農業の現状~米の価格高騰はなぜ起きた?~
©THE GOLD ONLINE[図表8]米相対価格・民間在庫 資料:農林水産
省「統計情報」をもとにニッセイ基礎研作成

2️⃣ 在庫管理の重要性
1.近年の在庫量減少

2.政府の備蓄米放出対応が後手に回った
3. 
米が足りない時代”に、どう向き合うか
そして、
令和の米騒動と呼ばれる米需給の混乱について、供給・需要・
在庫の3つの視点から分析を行った。長年にわたる減反政策の影響や、
気候変動・高齢化・インフレによる供給力の低下、食生活の多様化と人
口減少による需要の構造的変化、さらには短期的な需要増加とそれに伴
う在庫逼迫が複合的に絡み合い、現在の不安定な米市場が形成されてい
る。
今後、米の安定供給を維持するためには、生産調整や政策誘導に依
存しすぎない持続可能な農業構造の再構築が不可欠である。需要の変動
を捉えた的確な在庫戦略、そしてリスクに即応できる迅速な政策判断
求められている。農業を支える現場の声を政策に反映させつつ、消費者
と生産者双方の信頼をつなぐ調整機能の強化こそが、これからの米政策
の鍵となるだろうと結んでいる。
🪄「基本食糧危機管理」をまとめデジタル化する。そして、「青」「黄」
「赤」のカラーコードにわけ、政府関与に合わせ市場管理をおこない、
「開放」「半開放」「統制」マニュアルを構築(機械語:DX)する。
                           この項了

✳️ NTT、通信に量子計算 電波環境の計算を100万倍高速化

NTTは量子アニーリングを活用し、最適な通信パスを高速に探索する技術
を開発した。電波の挙動をシミュレーションしてどのように反射/透過す
るかを導く従来手法「レイトレーシング(Ray Tracing)」と比較して、計
算速度を最大100万倍向上させた。 


                                  

✳️ ミリ波を高速移動体で活用可能に
NTT(持株)と上智大学は26日、商用電波の同期信号における“電波の揺
らぎ”をAI解析し人物を検出する実証に成功したと発表した。6G時代に向
け、既存の移動通信システムにセンシングという新たな機能を統合するこ
とで用途の拡大が期待される。
次世代通信技術「6G」では、通信電波を
用いたセンシングおよびコミュニケーション「ISAC(ntegrated Sensing
And Communication)」がトピックとしてあげられている。今回の実証
は、ISACの有効性の評価を目的として実施された。通信用の電波の伝達
情報をそのまま活用しセンシングできるため、通信機器があればよく、
新たなセンサーやIoTデバイスなどを導入する必要がない。また、対象を
直接撮影しないため、プライバシーに配慮しつつ、夜間や見通しが効かな
い場所などでも利用できることが期待される。

ISACの活用イメージ

実際の商用電波を利用することで、基地局や通信端末が存在するエリア
をそのままセンシングエリアにでき、センサーデバイスの設置有無も関
わらない。3GPPでは、ISACのユースケースとして、線路や高速道路など
の人や動物の侵入検知や、交差点の死角にある障害物の検知、ドローン
など飛行体におけるGPSの誤差が大きいエリアでの位置追跡などが期待
されている。
飛行体を対象としたセンシングへの応用についても、今回
の実証で培った技術は、地上の基地局を活用して測定できる。HAPSや
低軌道衛星を経由した通信電波についても、今回の技術を応用できる。
基地局の指向性やビームフォーミングなどを組み合わせれば、範囲を絞
って計測することも期待できるという。

今回は、商用の通信電波を用いた屋外センシングを実証できた世界初の
実験だったといい、従来の商用電波を用いた統計「モバイル空間統計情
報」と比較しても端末を持ったユーザーだけでなく、その周囲の状況まで
測定できる点はアドバンテージだという。今後は、2030年頃の実現を目
標に、ISACのサービス展開に向けた検討を推進するとしている。

✳️ 海水循環システム試論 ①
1️⃣ ナノフィルター構築編

ナノフィルターとは、小さな一価イオンを通過させることができ、例え
ば、ヤマシンフィルタ株式会社の「YAMASHIN Nano Filter」は、エレ
クトロニクスや医療、農業など幅広い分野で利用され、吸音性や断熱性、
不燃性などの特性を持っています。また、マスク用のナノフィルターも
開発されており、手作りマスクに使用される高性能フィルターとして注
目されている。

NF膜の原理は、RO膜と同じであり、分離対象はUF膜とRO膜の中間にあ
る分子量の物質が対象となる。主にカルシウムやマグネシウムなどの2価
イオン及び分子量が200程度以上のトリハロメタン>や農薬などの有機物
を除去することができる(図1)。ろ過膜は膜のろ過方式による「全量ろ
過方式」と「クロスフローろ過方式」の2種類に分けられる。
🪄膜については、精密膜。逆浸透膜から超精密ろ過膜(超純水製造シス
テム)までやりつくしてきたと思っているが、さらに次元を上げ概念構
築とシステム構想を整理整頓していく。


図 分離膜のろ過方式 
尚、
分離膜の特性と分離対象物としては、「MF膜」は懸濁物質や細菌、
超微粒子など、0.1~10μmの物質の通過を阻止し、「UF膜」では蛋白質
や酸素、細菌類やウイルスなど1~100nmの物質の通過を阻止する。ま
た「RO膜」では、無機塩や糖類、アミノ酸やBOD、CODなど低分子や
イオンを含む溶液を分離濃縮でき、
実際の分離においては、こうした各
種の膜を目的に応じて効率的に組み合わせて使うことが多い。
以外に、
膜を介し濃度差を駆動力として分離を行う透析膜、電位差を駆動力とし
て溶液中の分子の電気化学的特性と分子の大きさの違いにより分離を行
う電気透析法や超音波、紫外・赤外光・電磁波(プラズマ)、磁気、触媒
など加えろ過を構想する時代でもある。

✳️  特許事例
1️⃣ 特開2025-60936 ルテリオンおよびその分離・培養方法  ルテリオン 
 カンパニー  リミテッド
【要約】下図1(不掲載)のごとく、下記の段階を含む、ルテリオンの
分離方法である。
(a)食品または植物の抽出物を煮沸することで取得した蒸気または気
体を冷却して得た凝縮液を、0.8~1.2μmの空隙サイズを有するフ
ィルターを用いて濾過する段階;
(b)前記濾過された凝縮液を遠心分離する段階;および
(c)運動性を有するルテリオンを収集するために、200~600u
m波長のIR光線を照射して前記遠心分離された上澄み液からルテリオン
を分離する段階。ミトコンドリア類似微細物質であるルテリオン、これ
の分離方法および培養方法を提供する。

図1 ルテリオンを共焦点レーザー走査顕微鏡(Confocal  
Laser  Scanning  Microscope、Zeiss)で撮
影した写真で、その大きさを共に示したもの

2️⃣特許第7642142号 被処理液の処理システム 井ファルマテック株式会

【要約】下図1のごとく、被処理液を貯留するタンク10と、フィルター
装置20と、第1流路31と、第2流路32と、第2流路32の途中の分
岐部Pから第1流路31の途中の合流部Qへ被処理液を送液する第3流
路33と、合流部Qとフィルター装置20との間に配置されたポンプ40
と、第1流路部31b、第2流路部32a及び第3流路33で構成され
る循環流路30を流通する被処理液の流量が一定となるようにポンプ40
を制御する制御装置50と、を備え、流量の変動を抑え、被処理液の泡立
ちを抑制することができる被処理液の処理システムを提供する。


図1.被処理液の処理システムの概略構成図である。本実施形態では、被
処理液を濾過することにより被処理液を濃縮する処理システムについて
説明する。処理システム1は、タンク10、フィルター装置20、循環
流路30、ポンプ40、各種制御弁、ポンプ40や制御弁等を制御する
制御装置50を備えている。
【発明の効果】
  本発明によれば、流量の変動を抑え、被処理液の泡立ちを抑制すること
ができる被処理液の処理システムが提供される。

3️⃣ 特開2007-217356  海洋深層水濃縮物含有組成物及びその製造方法
ワミレスコスメティックス株式会社
【要約】海洋深層水を、(1) 硫酸イオンを90%以上除去し得るナノフィ
ルター
膜(NF膜)で処理する工程、及び(2) 工程(1)で得たNF膜透過
水を濃縮してNF膜透過水濃縮物を得る工程を含む製造方法であり、該
濃縮物はMgイオン10,000~100,000mg/L、Caイオ
ン4,000~40,000mg/L、硫酸イオン0~1,000mg
/Lを含有し、析出物がない組成物である。
細胞賦活化作用、特にサイトカインVEGF、KGF産生促進作用に優
れた組成物(化粧品、皮膚外用剤、経口剤又は食品)および該組成物の
製造方法の提供。


図1 実施例1で用いた、NF膜を備えた濾過装置の概略図

【発明の詳細な説明】【技術分野】
本発明は、海洋深層水を濃縮した組成物に関し、特に海洋深層水をナノ
フィルター
で処理したNF膜透過水をさらに濃縮したNF膜透過水濃縮物
を含む組成物に関する。本発明の組成物は細胞賦活化作用、特にサイト
カインVEGF及びKGF産生促進作用に優れ、化粧品、皮膚外用剤、経口剤
又は食品として有用である。
【背景技術】
  わが国は海に囲まれた島国であり、海洋由来の資源は重要な開発対象
である。特に近年、概ね200m以深の海水である海洋深層水が注目を集
めている。海洋深層水は光の届かない深海の海水で、表層の海水よりも
水温が低く、はるかに清浄で、1年を通じて水質が殆ど変動しないとい
う特徴を有する。従って海洋深層水は清浄なうえ、安定してミネラル分
を含むが、濃縮すると各種ミネラル分が析出してしまう。そこで、海洋
深層水を含む海水について特殊な濃縮方法が編み出され、また、そのミ
ネラル分の有効性についても研究がなされている。
  特許文献1は、海水の濃縮物に木炭粉と酢酸を添加することを含む、結
晶性固体粉末を得る方法、並びに該粉末を使用した肝炎、高血圧、腫瘍、
アレルギー、アトピー、鼻炎等の治療剤及び/又は予防剤について記載す
る。【0004】
特許文献2は、アニオンリッチな膜及びカチオンリッチな膜を組み合わ
せて用い、かつ膜の使用順序を変化させることで処理水中の含有イオン
種が変化することを記載する。【0005】
特許文献3は、海水に凝集剤(塩化第二鉄)を添加し、高圧ポンプ及び
逆浸透膜分離装置で得た濃縮水を、圧力下ナノ濾過膜で数回濾過し、高
ミネラル含有液(NaCl=12%、CaCl2=31%、MgCl2=55%)を得る方法
及び装置について記載する。【0006】
特許文献4は、海洋深層水を電気透析し更にナノ濾過膜で処理して脱塩
して二価の陽イオンに富んだ処理水を得る方法及び該処理水を配合した
清涼飲料水について記載する。【0007】
  特許文献5は、海洋水を透析及び分子篩にかけて塩分を完全に除去する
こと、及び該処理水のチロシナーゼ阻害作用及び育毛作用について記載
する。【0008】
 特許文献6は、RO膜とNF膜を組み合わせて用い、処理条件を変えたとき
の透過水及び濃縮水中のイオン濃度について記載し、該透過水中のMgイ
オンは大きく減少している。【0009】
  特許文献7は、海水原液を、ナノ濾過膜、次いで逆浸透膜に通すことを
特徴とする、海水の淡水化方法について記載する。【0010】 
【特許文献1】 特許3247620号   (特開平10-120578号公報)
【特許文献2】 特開2002-85944号公報
【特許文献3】 特開2002-172392号公報
【特許文献4】 特開2002-191331号公報
【特許文献5】 特開2003-12488号公報
【特許文献6】 特開2004-243262号公報
【特許文献7】 特開平9-141260号公報
【特許文献8】 特許3559507号公報
【特許文献9】 特開2004-51596号公報
【特許文献10】 特開2004-224745号公報
イオン交換膜法、天日法、塩田法又は蒸発法により、海水から食塩を晶
出させた後の液である、ニガリを配合した化粧品等に関する記載もある
(特許文献8~10)。

図2、実施例2で得たNF膜透過水濃縮物の、各濃縮倍率におけるNa、K、
Mg、Caの含有量の変化を示すグラフ

図3 実施例12における、本発明の組成物の使用前及び1ヶ月使用後の
頬のキメの状態を示す図
【発明の開示】【0011】
  海洋深層水の濃縮方法及びその濃縮の程度によって、濃縮物中の成分比
及び成分量には大きな差がでる。一方、老化肌や荒れ肌の修復には、サ
イトカインの分泌が密接な関わりをもっていることが知られている。
【0012】  本発明者は、特定の方法で濃縮した海洋深層水にサイト
カインの産生及び線維芽細胞の増殖を伴う細胞賦活作用を見出し、その
濃縮の度合を変化させることにより該細胞賦活作用が変化することを見
出し、さらに、その細胞賦活作用は濃縮した海洋深層水中の特定の主要
成分のみを含有する組成物よりも高い作用であることを見出し、本発明
を完成するに至った。【0013】
  すなわち、本発明は、以下の工程(1)及び(2):(1) 硫酸イオンを90%以
上、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上除去し得るナノフィ
ルター
膜で海洋深層水を処理する工程;及び(2) 工程(1)で得たNF膜透過
水を濃縮してNF膜透過水濃縮物を得る工程;を含む、皮膚細胞を賦活す
るための、好ましくはサイトカイン産生を促進することにより皮膚細胞
を賦活するための、より好ましくはVEGF及び/若しくはKGF産生を促進
することにより皮膚細胞を賦活するための、並びに/又は線維芽細胞の
増殖を促進することにより皮膚細胞を賦活するための組成物の製造方法
を提供する。【0014】
  本明細書中において、「海洋深層水」とは、特別の場合を除き、太陽光
の届かない水深200m以深にある海水を指す。海洋深層水は、富栄養性(
表層の海水に比べて窒素、リン、珪酸などの無機栄養塩を豊富に含む)、
ミネラル特性(Ca、Fe、Zn、Na、Mgなどの微量元素やミネラルをバラ
ンス良く含有する)、清浄性(地上の細菌、化学物質による汚染が少ない
)、低温安定性(水温が表層よりかなり低く、通年にわたって温度変化が
少ない)等の特徴を有し、これらの特徴は単なる海水と比べて本発明の
組成物を不純物の混在が少なく安定した成分比で得るのに有益である。
本明細書中では、特に言及のない限り、鹿児島県与論島沖で取水した海
洋深層水を用いる。【0015】
【表1】
000002


図4 実施例13における、各種濃度のNF膜透過水濃縮物の、培養線維芽
細胞に対する細胞賦活試験の結果を示すグラフ

図5 実施例14における、ニガリとNF膜透過水濃縮物の、培養線維芽細
胞に対する細胞賦活試験の結果を示すグラフ

                         この項つづく
                                

ト音記号 イラストや に対する画像結果【生涯と名曲】J.S.バッハ


 今日の言葉:
 

             春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 

 



                              

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エネルギーと環境 248

2025年05月28日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

🔵参考特許事例:撥水撥水処理方法
1️⃣ 特表2022-516943 窒化ホウ素粉末の撥水処理方法及び撥水コーティ
ングされた窒化ホウ素 リア  インスティテュート  オブ  ファション  エ
ナジー(有効)
【概要】
具体的には、前駆体としてシリコンが含有された有機化合物を利用して、
これを気化させた雰囲気下で窒化ホウ素粉末をプラズマ処理して前記窒
化ホウ素粉末の表面に撥水コーティング層を形成することにより、超音
波洗浄後にも前記窒化ホウ素粉末に撥水コーティング層を形成すること
ができる持続的な撥水特性を有する窒化ホウ素粉末の撥水処理方法及び
撥水コーティング技術。現在、粒子の表面コーティングでコーティング
前駆物質として広く用いられているヘキサメチルジシロキサン(hex-
amethyldisiloxane、HMDSO)はシラン基のよう
なシリコンが含まれた官能基を形成して撥水性コーティング層を形成す
ることができる。また、コーティング過程で有害物質を発生せず、非常
に優れた熱安定性を有していて、現在コーティング前駆物質として広く
利用されている。
窒化ホウ素粉末をプラズマ処理することを含む窒化ホウ素粉末の撥水処
理方法
を提供。窒化ホウ素粉末をプラズマが発生して被処理物に露出す
る領域であるプラズマ発生領域に位置させ、前記プラズマ発生領域のプ
ラズマに前記窒化ホウ素粉末を露出させることを含むことができる。

前記プラズマはシリコンが含まれたシリコン含有有機化合物のプラズマ
であり。また、前記シリコン含有有機化合物は、ヘキサメチルジシロキ
サン(Hexamethyldisiloxane)、テトラエトキシ
シラン(tetraethoxysilane、TEOS)またはトリ
メチルクロロシラン(trimethylchlorosilane、
TMCS)であり、前記プラズマ処理によって窒化ホウ素粉末の表面に
撥水コーティング層が形成さき、また、前記撥水コーティング層の厚さ
は40nm以下の厚さであり、さらに、前記撥水コーティング層はシリ
コン、炭素及び酸素を含み、前記撥水コーティング層は前記窒化ホウ素
と化学的結合する。くわえて、前記撥水コーティング層は超音波洗浄後
にも前記窒化ホウ素に残っている。実施例において、前記撥水処理され
た窒化ホウ素粉末は非極性溶媒に混合されてコロイドを形成することが
でき、前記方法は、気化されたシリコン含有有機化合物を前記プラズマ
発生領域に注入するステップをさらに含むことができる。前記気化され
たシリコン含有有機化合物の注入は前記シリコン含有有機化合物の溶液
をバブラーを通じてキャリアガスとともに注入することを含むことがで
きる。本発明の他の目的のためのシリコンが含まれたシリコン含有有機
化合物のプラズマによって撥水コーティング層を含む窒化ホウ素であっ
て、前記撥水コーティング層は前記窒化ホウ素と化学的結合されること
を特徴とする撥水コーティングされた窒化ホウ素を提供する。また、前
記撥水コーティング層の厚さは40nm以下の厚さであり、前記撥水コ
ーティング層はシリコン、炭素及び酸素を含み、前記撥水コーティング
層は前記窒化ホウ素と化学的結合できる。さらに、前記撥水コーティン
グ層は超音波洗浄後にも前記窒化ホウ素に残っている。くわえて、実施
例において、前記撥水処理された窒化ホウ素粉末は非極性溶媒に混合さ
れてコロイドを形成できる。


図1.一実施例による窒化ホウ素粉末の撥水処理のために用いる誘電体
バリア放電プラズマ装置を例示する概略図
【符号の説明】
100:誘電体バリア放電プラズマ装置 110:チャンバ 120:
第2電極 130:誘電体層 140:第1電極 150:冷却流体通
路 160:電圧印加手段 200:内部空間 210:プラズマ発生
領域 300:被処理物

【発明の効果】本発明の窒化ホウ素粉末の撥水処理方法及び撥水コーテ
ィングされた窒化ホウ素によれば、気体相のシリコン含有有機化合物の
雰囲気下で窒化ホウ素粉末をプラズマ処理することにより窒化ホウ素粉
末の表面に撥水コーティング層が形成されて窒化ホウ素粉末の撥水性及
び疎水性を付与することができる。また、形成された撥水コーティング
層は窒化ホウ素粉末と化学的結合で形成されて超音波洗浄後にも前記窒
化ホウ素に残っているので、持続的に撥水コーティングされた窒化ホウ
素に撥水性を付与することができる。

図13 実施例1及び比較例2によって製造されたサンプルの分散評価
結果を示したイメージ

図13によれば、実施例1による窒化ホウ素粉末サンプル1の分散度を
確認することができる図13の(a)は、窒化ホウ素粉末サンプル1が
互いに凝集されないコロイド状態でよく分散されている状態を確認する
ことができる。図13の(a)と違い、窒化ホウ素粉末サンプル2の分
散状態を示した図13の(b)は、窒化ホウ素粉末サンプル2が互いに
凝集されて大粒状態で沈澱されていることを確認することができる。
これを通じて、実施例1による窒化ホウ素粉末をHMDSOバブリング
(Bubbling)とプラズマ処理したサンプル1の窒化ホウ素粉末
の表面に形成された撥水コーティング層は撥水特性を有していることを
確認することができる。
                              
2️⃣ 特開2008-237957 撥水処理方法および撥水性シリカ層を有する
基材国立大学法人徳島大学 国立大学法人徳島大学
【要約】(1)基材の表面に-SiH2-NH-単位を有するポリシラザンを塗布し
てその被膜を形成する工程、(2)該被膜に、シラノール基またはケイ素原
子結合加水分解性基を有する疎水性オルガノシランまたは疎水性ポリオ
ルガノシロキサンを付着させる工程、ついで、(3) 前記工程を経た基材を
加熱して、該被膜をシリカ層に転化せしめ、該オルガノシランまたは該
ポリオルガノシロキサンを該シリカ層のシリカに結合させる工程からな
る、基材表面の撥水処理方法。基材の表面に、前記ポリシラザンから誘
導されたシリカ層が形成されており、該シリカ層のシリカにオルガノシ
ランまたはポリオルガノシロキサンが結合している撥水性シリカ層を有
する基材にて、基材表面を耐久性よく撥水処理する方法;耐久性に優れ
た撥水性表面を有する基材を提供する。

図1 実施例2と比較例2で得られた試験体のシリカ層の水に対する接
触角の測定結果を示すグラフである。



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エネルギーと環境 246

2025年05月28日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

 

【季語と短歌:5月28日】 

      草苺小鳥唱和し暑き夏 

                高山 宇(多忙鬼)


厚生年金の底上げ政策:日本では、厚生年金と国民年金(基礎年金)は
別々に管理され(年金制度は「2階建て」といわれる)、全員加入してい
る基礎年金(1階部分)と、正規雇用の民間企業従業員や公務員が加入し
ている厚生年金(所得比例の2階部分)で構成されている。非正規雇用者、
非公務員、自営業者は厚生年金はなく、基礎年金だけとなる。

出典:マーサー・CFA協会『グローバル年金指数ランキング(2023)』
2023年度は47地域(世界人口の65%)の年金制度が対象となっている
が、日本の順位は30位。
各地域の年金制度(退職所得制度)を、「十分性(Adequacy)」、「持続性
(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」の3つの指数から評価=これ
ら3つの指数をもとに算出した、下記の表のごとく総合点が「グローバ
ル年金指数」(総指数)である。
参考までに一人当たりの所得順位(IMF 2024年)から比較すると、日
本は38位、再エネ首位のデンマーク(89%、日本50位)は9位(年金は
3位、オランダが首位
)。ここにジニ係数を比較してもよいが、とても日
本は先進国とは言えない状況(落胆)。
日本では、ようやく年金制度の抜本改革に向けた動きが始まったが、今
回はデンマー
クの年金制度とその改革動向を考察する。



1️⃣3階建、基礎年金の財源は全額税方式
デンマークの年金制度は、①老齢年金(最低限の生活保障)、②職域年金(
適正な所得代替率
の確保)、③個人年金(自由な老後設計)の3階建てとな
っており、政府の関与は雇用主
が政府である公務員を除いて1階部分の
み。

①1階(老齢年金):財源は全額税負担方式であり、65歳以上の国民全員を
対象に、単身者には月
額9937クローネ(約22万円)、夫婦には合計月額1
万4560クローネ(約32万円)が一律に支給される(年金外収入の有無等に
よる減額あり)。
また、政府は老齢年金を補完する強制加入保険方式の
年金も導入しており(1階の2層部分と呼ば
れる)、代表的な「労働市場付
加年金」では定額保
険料(平均賃金の約1%)を雇用主と被雇用者が2対1
の割合で負担し、受給者には年額2万2400ク
ローネ(約49万円)が支給さ
れる。

②2階(職域年金):労使協定や雇用主との個別契約によって加入する確定
拠出年金であり、保険
料は収入の一定割合相当額を雇用主と被雇用者が
2対1の割合で負担する。
③3階(個人年金):老後の生活設計に応じた完全な任意加入であり、民間
の金融機関や年金基金が各種年金プランを提供している。
なお、これらの年金の枠組みとは別に、25年以上失業保険基金に加入し
ていれば、60歳から老齢年金支給開始の65歳までの間に退職した場合、
所得補償として「早期退職年金」が支給される。

◆高齢化で将来の財政は“火の車”?
このように、老齢年金だけでも十分な生活が可能な年金制度は、高い国

民負担(所得税最高税率59%、消費税率25%)の賜物であり、政府財政も
極めて健全です。しかし、デンマークでも高齢化が深刻な問題として認
識されており、長期的には社会保障費の増大に伴う財政赤字が幾何級数
的に拡大すると予測。そこで、2006年6月に与野党は福祉改革に関する
合意を締結し、将来に向けて着実に手を打ち始め。

◆年金支給開始65歳から67歳へ
福祉改革が合意この福祉改革の面白い点は、①年金支給開始年齢の引き
げ(老齢年金65歳→67歳、早期退職年金60歳→62歳)、②労働力人口の
大(高齢者就労の促進、学卒年齢の前倒し、移民の同化政策)といった
策に、③将来への投資(起業·イノベーション促進など)という年金福祉
は一見無関係の施策を組み合わせている。「社会保障を持続可能にす
には、新たな成長の源泉が不可欠」という論理展開に、枠組みづくり
長けたデンマークらしさがある。

ところが、デンマークの議会は5月22日、
定年年齢を現在の67歳から、
2040年までに70歳に引き上げる法案を賛成多数で可決。70歳定年は欧
州で最高水準。欧州諸国では平均寿命の延びを反映して定年年齢と公的
年金の受給年齢が引き上げられる傾向にあるが、勤労者らの間では「い
つまでも働かされる」などとして反発も広がっているという。定年年齢
は段階的に引き上げられ、30年に68歳、35年に69歳、40年に70歳とな
る。1970年12月31日以降に生まれた全国民が70歳定年の対象になる。
定年年齢と同じ時期に設定されている公的年金の支給開始年齢も段階的
に引き上げられる。 ただ、将来的には定年年齢が77歳になるとの指摘
もあるという。(産経新聞 2025.5.24

🪄75歳までの時系列ワークシェアリングモデルで解決する。
                              了

❇️ 1️⃣ WO2011/030546 ガス生成装置およびガス生成方法 三井化
学株式会社(参考検索)⓹

【図42】(a)~(c)は第14実施形態のスリット型ガス生成装置
の説明図

【詳細説明】
【0270】 本実施形態のスリット型ガス生成装置100は、光触媒機
能により発生したガス(酸素)を、貫通スリット115、117により
有効に捕集するものである。図42(b)に示すように、光7は、ガス
収集部21を経て、透光性基材28を有したアノード電極2に入射する。
これにより、光触媒含有層27の裏面から入射した光7によって、電解
液12に酸素とプロトンが発生する。発生した酸素は、第一貫通スリッ
ト115を介してガス収集部21に回収される。一方、発生したプロト
ンは電解液12を泳道して助触媒含有層43に到達し、水素ガスとなり、
基材29に形成された第二貫通スリット117を通って、ガス収容部31
に捕集される。図42(a)は図42(b)の左側面であり、光触媒含
有層27側からみた光照射面を表している。また、図42(c)は図42
(b)の右側面であり、助触媒含有層43側からみた光照射背面を表して
いる。
【0271】すなわち、本実施形態のカソード電極3は、励起光7を受
光することにより水素ガスを生成する助触媒含有層43を含んでいる。
そして、本方法の照射工程では、アノード電極2またはカソード電極3
に設けられた貫通孔(貫通スリット115、117)を通過した励起光
7を、他のカソード電極3の助触媒含有層43またはアノード電極2の
光触媒含有層27に照射する。
【0272】これにより、光7の一部は光触媒含有層27に照射され、
他の一部は貫通スリット115を通過して助触媒含有層43にて反射さ
れ、再び光触媒含有層27の電解液に接している面に照射される。この
ようにして、光7は有効利用される。

図43(a)、(b)は第14実施形態のスリット型ガス生成装置の斜視図

【0273】図43は、図42にて示したガス生成装置の斜視図である。
図43(a)は、図42に示した構造のまま、アノード電極2(光触媒
含有層27)の側から光7を照射したものである。一方、図43(b)
は、逆にカソード電極3(助触媒含有層43)の側から照射したもので
ある。同図の場合、貫通スリット117をすり抜けた光は、光触媒含有
層27に照射されることにより、酸素と水素を発生する光触媒機能を果
たすことになる。
【0274】すなわち、本実施形態のガス生成装置100は、カソード
電極3に設けられた貫通孔(貫通スリット117)と対向する位置に、
アノード電極2の光触媒含有層27が形成されている。カソード電極3
は、光触媒の励起光を受光することにより水素ガスを生成する助触媒含
有層43を含んでいる。そして、アノード電極2に設けられた貫通孔(
貫通スリット115)と対向する位置に、カソード電極3の助触媒含有
層43が形成されている。

【0275】[第15実施形態](フレキシブル型ガス生成装置)
  図44は、本実施形態のガス生成装置100の側面図である。本実施形
態のガス生成装置100は、円弧状に形成されて可撓性を有するフレキ
シブル型である。
【0276】 フレキシブル型ガス生成装置100は、所定の間隔をあけ
て互いに平行に配置されたカソード電極3およびアノード電極2からな
る電極対を備えている。そして、この電極対は、面直方向に湾曲または
屈曲可能な可撓性を有している。
【0277】フレキシブル型ガス生成装置100のアノード電極2は、
円弧の外周側に配置され、カソード電極3は内周側に配置されている。
これは外周側に酸素を放出し、内周側に捕集すべき水素を集めるためで
あり、内周側に水素を捕集するためのガス収容部31を設置している。
但し、外周側に水素を捕集する機能を持たせる場合には、アノード電極
2は円弧の内周側に配置し、カソード電極3は外周側に配置しても良い。


図44 第15実施形態のフレキシブル型ガス生成装置の側面図


図45 図44の拡大図
【0278】 図45は、図44に示したガス生成装置の破線で囲んだ一
部を拡大したものである。アノード電極2は透光性基材28と光触媒含
有層27とから形成されており、助触媒含有層43と不透光過性基材29
とから形成されているカソード電極3に挟まれた電解液である水を光分
解して酸素と水素を発生する構造となっている。発生した酸素は、第一
貫通孔111を通って外に放出されるが、同じく発生した水素は第二貫
通孔113を通過してガス収容部31に捕集される。


図46 第15実施形態のフレキシブル型ガス生成装置の使用状態を示
す図
【0279】図46は、本実施形態のフレキシブル型ガス生成装置10
0の使用状態を示す図である。図47は、本実施形態のフレキシブル型
ガス生成装置100の斜視図である。図46では、ガス生成装置100
を、屋外で太陽光を利用して水素ガスを発生させるように配した様子を
示している。フレキシブル型ガス生成装置100は、太陽光をできるだ
け垂直に照射できるよう、傾けて配置されている。この装置は、電解液
となる貯水槽138、水を送り出す循環ポンプ135、水の清浄さを維
持するためのフィルタ槽136を備えている。

図48 第9実施形態におけるアノードカソード一体型電極を備えたガ
ス生成装置を用いたガスの生成実験の説明図

【0280】本実施形態のガス生成装置は、燃料電池や、燃料電池の原
料となる水素製造装置などに利用することができる。
【0281】以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、
これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することも
できる。
【0282】例えば、本実施形態におけるガス生成装置は、アノード電
極2とカソード電極3の1組の電極対だけでなく、並列に複数組の電極
対を配置して使用することも可能である。さらに、アノード電極2、カ
ソード電極3ともに照射光に対して透明であれば、直列に配置して使用
することも可能である。
【0283】また、本実施形態においては励起光を照射する光源を別途
設けることもできる。すなわち、ガス生成装置100は、励起光を照射
する光源をさらに備えてもよい。
【0284】また、本実施形態においては、同サイズのアノード電極2
とカソード電極3とを平行に配置し、光触媒担持面20とカソード電極
3のガス生成面とが対向する例によって示したが、アノード電極2およ
びカソード電極3のサイズを変更し、カソード電極3を複数設けてもよ
く、アノード電極2に対しカソード電極3を垂直となるように複数配置
してもよい。なお、この場合、カソード電極3には第二貫通孔は形成さ
れない。
【0285】本実施形態のガス生成装置は、酸素ガスと水素ガスを分離
回収しているが、混成ガスとして回収するように構成されていてもよい。
また、本実施形態のガス生成装置は、酸素ガスと水素ガスのいずれも回
収しているが、一方の生成ガスのみを回収するように構成されていても
よい。

【0286】(発生ガスの定量方法)
第9実施形態に示したアノードカソード一体型電極を備えたガス生成装
置100(図30および図31参照)を例にとり、生成されたガスの発
生量を、以下のように測定することができる。なお、図48に示すよう
な簡易的に構成されたガス生成装置を用いて説明する。
【0287】図48に示すように、ガス生成装置は、ガス収集手段(気
相側ガスバッグ307,液相側ガスバッグ308)と、光源310とを
設けて構成されている。光源310には高圧水銀ランプやキセノンラン
プが好適に採用される。気相側ガスバッグ307,液相側ガスバッグ
308としては酸素・水素などの無機ガスを遮断するガスバリア性の高
い材質であれば何でも良いが、アルミニウムバッグが好適に採用される
【0288】本実施形態のガス生成装置100の固定・支持と酸素ガス
と水素ガスの収集を兼ねた光触媒セルであり、電解液12を入れたビー
カー309に浸され、ガス生成装置100の光触媒担持面20の表面が
電解液12に接する。
【0289】基材25には貫通孔(第一貫通孔111,第二貫通孔11
3)が設けられている。第一貫通孔111,第二貫通孔113は、前述
したラプラス圧により基材25裏面側への電解液12の侵入が抑制され
る。光源310からの励起光を、ガス生成装置100の触媒含有層81
が受光して発生した酸素・水素ガスの大半は、第一貫通孔111,第二
貫通孔113を通じて裏面側のガス収容部30に溜まり、気相側セル内
排出口303及び気相側排出管305を通過し、気相側ガスバッグ30
7に収集・蓄積される。
【0290】 一方、第一貫通孔111,第二貫通孔113を通過しなか
った気体は、液相側で気泡に成長し、液相側セル内排出口304及び液
相側排出管306を通過し、液相側ガスバッグ308に収集・蓄積され
る。
【0291】このガス生成装置100に対し、光源310からUV光を
一定時間照射する。気相側ガスバッグ307,液相側ガスバッグ308
をガス生成装置100から外してガスクロマトグラフに接続し、発生気
体のリテンションタイムとピーク面積を測定する。尚、校正のために予
め純水素と純酸素のそれぞれリテンションタイムとピーク面積を測定し
ておく。
【0292】例えば水素発生量を定量化する場合、光分解による発生水
素の濃度をX、ピーク面積をAとすれば、純水素(100%濃度)のピ
ーク面積をApとして、X=100*A/Apとなる。
【0293】容器の体積をVとすれば、発生水素の体積Vは、V=V
*Xとなる。従って、この発生水素の気体発生量(分子数)は、気体の
状態方程式:P*V=n*R*T(P:圧力、V:体積、n:分子数、
R:気体定数、T:絶対温度)から求めることができる。

【実施例】【0294】
  以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例に何ら限定されるものではない。
【0295】(実施例1)
貫通孔のない光触媒含有層を有したアノード電極と、貫通孔を有しかつ
助触媒層を有するカソード電極とを対向配置させた実施例である。透明
導電膜であるITO(インジウム錫酸化物)膜をスパッタ法で形成した
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを透光
性基材28として用意し、外形を2cm×2cmの正方形にカットした。
  このフィルム片の内側の1cm×1cmの正方形の領域に、アナターゼ
型光触媒酸化チタン塗工用ペースト(ペクセルテクノロジーズ社製)を
スプレー法で厚さが20μmになるように塗布し、光触媒含有層27
した。そして、塗布形成した光触媒含有層を140℃で1時間乾燥させ
て残存有機物や溶媒を蒸発させた。このようにして光触媒担持面20を
有する光触媒アノード電極を形成した。次いで、四フッ化炭素ガスを用
いた真空プラズマ処理により、光触媒からなるアノード電極2の背面を
撥水処理し貫通孔の形成されていないアノード電極2を完成させた。
【0296】次いで、ポリイミドフィルムにNC加工機で孔開口径10
0μm、孔ピッチ300μmの貫通孔を1cm×1cmの領域に形成させ
て多孔フィルムとした後、白金を10nmの厚みでスパッタしてから外
形を2cm×2cmの正方形にカットしカソード電極3を完成させた。
【0297】完成したカソード電極3を用い、図14に示すような助触
媒セル6を作製した。基本的な材料として、アクリルを用いた。しかし、
材料について限定する必要はなく、電解液に対して溶解性がなければあ
らゆる材料を用いることができる。そして、受光窓には石英を用いた。通
電用ワイヤ202にはチタン線を用い、かつ通電用金属枠にはチタンを
用いた。この助触媒セル6に、先に作成した貫通孔の形成されていない
アノード電極2を、貫通孔を有するカソード電極に対向するように装着し
て、図17に示すガス生成装置100を完成させた。
 貫通孔のないアノード電極2と貫通孔を有するカソード電極3の対向間
隔を0.5mmに設定した。電解液供給管131から炭酸ナトリウム
30g
を蒸留水100ccに溶解させた電解液12を供給した。尚、装
着後にアルゴンガス供給管102にアルゴンガスを流して、第一ガス収
容部21および第二ガス収容部31の内部を十分にパージして、系内の
不要なガスを追い出してから使用した。
【0298】次いで、受光窓から高圧水銀ランプにより紫外線を照射し
た。光の照射強度は、10mW/cmで1時間照射し、発生した水素
ガスを水素ガス排出管103から10ccのガスタイトシリンジに0.
17cc/minの吸引速度で採取して、ガスクロマトグラフィー(島
津製作所製、型番GC-8A)で水素濃度を分析したところ、980p
pmであった。これを単位時間当たりの水素発生量に換算すると、0.
44μmol/hrになり、酸化チタン光触媒の単位重量当たりでは
112μmol/g/hrに相当する。
【0299】同様に、酸素ガス排出管101に含まれるガスをガスクロ
マトグラフィーを用いて分析したところ、酸素が含まれていることを確
認した。
【0300】(実施例2)
  実施例1と同じく、貫通孔のないアノード電極と、貫通孔を有するカ
ソード電極とを対向配置させた実施例である。
カソード電極3の製法において、化学エッチング法を用いて孔径を30
μm、孔ピッチを50μmの貫通孔を設けたカソード電極3を形成した。
実施例1と同じように、図14に示すような助触媒セル6を作製し、同
じく実施例1と同じように貫通孔のないアノード電極2を形成し図17
に示すガス生成装置100を完成させた。このような貫通孔のないアノ
ード電極と、貫通孔を有するカソード電極を対向配置させたガス生成装
置100を用いて水素ガスを測定したところ、水素濃度は1436pp
mで酸化チタン光触媒の単位重量当たりの水素発生量は164μmol
/g/hrであった

(実施例3)実施例1および実施例2と同じく、貫通孔のないアノード
電極と、貫通孔を有するカソード電極とを対向配置させた実施例である。
カソード電極3の製法において、レーザー加工法を用いて孔径を10μm、
孔ピッチを40μmの貫通孔を設けたカソード電極3を形成した。実施
例1と同じように、図14に示すような助触媒セル6を作製し、同じく
実施例1と同じように貫通孔のないアノード電極2を形成し、図17に
示すガス生成装置100を完成させた。このような貫通孔のないアノー
ド電極と、貫通孔を有するカソード電極を対向配置させたガス生成装置
100を用いて実施例1および実施例2と同じように水素ガスを測定し
たところ、水素濃度は1310ppmで酸化チタン光触媒の単位重量当
たりの水素発生量は150μmol/g/hrであった。


【0301】(実施例4)
  貫通孔を有するアノード電極と、同じく貫通孔を有するカソード電極と
を対向配置させた実施例である。光触媒からなるアノード電極2の製法
において、ITO付きPETフィルムにNC加工機を用い孔径80μm、
孔ピッチ160μmで貫通孔を1cm×1cmの領域に形成した後、外形
を2cm×2cmの正方形にカットし多孔フィルムとし、下側から窒素
ガスを吹き当てながら上方から酸化チタンペーストをスプレー塗布する
ことで、孔が酸化チタンで埋まらないように配慮して光触媒塗布層とし
た。塗布厚みは約20μmに調整した。
 カソード電極3に関しては、実施例2と同じく孔径を30μm、孔ピッ
チを50μmの多孔フィルムにした。同様に紫外線を1時間照射して水
素ガスを測定したところ、水素濃度は212ppmで酸化チタン光触媒
の単位重量当たりの水素発生量は24μmol/g/hrであった。

【0302】(実施例5)
  貫通孔を有するアノード電極と、同じく貫通孔を有するカソード電極と
を対向配置させ、かつリード線の代わりに電極間に電子輸送材を配した
構成の実施例である。通電用ワイヤ202を取り除き、その代替機能と
して電子輸送材としての金属多孔質チタン(大阪チタニウムテクノロジ
ーズ製の多孔質チタン、型番:タイポラス-45)をアノード電極2と
カソード電極3の間に挿入した以外は実施例4と同様にして水素ガスを
測定したところ、水素濃度は359ppmで酸化チタン光触媒の単位重
量当たりの水素発生量は41μmol/g/hrであった。

【0303】(実施例6)
  貫通孔を有するアノード電極と、同じく貫通孔を有するカソード電極と
を対向配置させ、かつアノード電極の形状を変化させたものである。ア
ノード電極2の製法において、レーザー加工法で孔径を30μm、孔ピ
ッチを60μmの貫通孔を設けた多孔フィルムにした以外は実施例4と
同様にして水素ガスを測定したところ、水素濃度は2226ppmで酸
化チタン光触媒の単位重量当たりの水素発生量は255μmol/g/
hrであった。
【0304】(実施例7)
  貫通孔を有するアノード電極と、同じく貫通孔を有するカソード電極
とを対向配置させ、かつアノード電極の形状を変化させたものである。
  アノード電極2の製法において、レーザー加工法で孔径を10μm、孔
ピッチを40μmの貫通孔を設けた多孔フィルムにした以外は実施例4
と同様にして水素ガスを測定したところ、水素濃度は1303ppmで
酸化チタン光触媒の単位重量当たりの水素発生量は149μmol/g
/hrであった。

【0305】(実施例8)
  アノードカソード一体型電極を用いた実施例である。
  ポリイミド(宇部興産製、型番UPILEX、厚さ0.5mm)の薄
膜シートを基材25として1辺が15.4mmの正方形の試験片に切り
出し、この試験片に対してNC加工機(FANUC製、型番Series 21
i-MB)で100μm直径の孔を200μmピッチで貫通・形成し、第一
貫通孔111および第二貫通孔113を有する基材を作成した。基材の
片方の表面にスパッタ装置(芝浦メカトロニクス製、型番CFS-4E
S)を用いて二酸化チタンを厚さ250nmでスパッタし、光触媒含有
層27を形成した。スパッタガスにはアルゴンガスと酸素ガスを1対1
の流量割合で用いた。スパッタ条件は、シートを300℃に加熱してR
F電源にてスパッタパワー300W、ガス圧は2.0Pa(1.5×
10-2 Torr)で行った。この二酸化チタン膜試料をX線回折法で
分析したところ、2θ=25.4°にアナターゼ単結晶の(101)面の
回折ピークを検出し、この二酸化チタンのスパッタ膜がアナターゼ結晶
形であることを確認した。
【0306】次に波長436nm用g線ポジ型フォトレジスト(JSR
製、型番 PFR9005D18G)を回転数3500rpmでスピンコートし、
90℃で10分間予備加熱してレジスト膜を形成した。横方向ピッチが
200μm、縦方向ピッチが346.4μm(横ピッチ×√3)の間隔で
直径180μmの円形開口を複数設けたフォトマスクで基材を覆い、マ
スクアライナー(共和理研製、型番K-400PS100)でシートの孔
とマスクの円形開口の中心とを重ね合わせ、露光用のUV-可視光源(ウ
シオ電機製、型番UIV-5100)で10秒間露光
した。この基材を
110℃で10分間加熱してレジスト膜中モノマーを安定化させた後、
テトラメチルアンモニウムヒドロキシ2.4%水溶液で1分間曝しイオ
ン交換水で20秒間水洗して現像を行った。これでUV-可視光源に感光
した直径180μmの円形開口部のみレジストが現像液に溶解して除去
され露出した状態になった。
【0307】次にこの基材を室温で30分自然乾燥させた後、スパッタ
装置(島津エミット社製、型番HSM-521)で白金を厚さ50nmで
スパッタした。スパッタガスはアルゴンを用いた。スパッタ条件は、D
C電源にて電圧600Vで電流0.4A、ガス圧は0.074Pa(
5.6×10-4 Torr)で行った。
【0308】この後、アセトンで残ったレジストと白金を剥離すること
で、二酸化チタンからなる光触媒含有層27上に、180μmの円形開
口部のみ白金スパッタ膜からなる助触媒含有層43として形成された。
次に、第一貫通孔111および第二貫通孔113の内壁と裏面に対して
選択的に疎水化処理を行なった。まず前処理としてスパッタ装置(芝浦
メカトロニクス製、型番CFS-4ES)でSiOをシート裏面側に
厚さ10nmスパッタした。スパッタガスにはアルゴンガスを用いた。
スパッタ条件は、RF電源にてスパッタパワー200W、ガス圧は
1.0Pa(7.5×10-3 Torr)で行った。次にヘキサメチルジ
シラザンの蒸気雰囲気にした密閉容器中にシートを封入し、約10時間
気相反応を行った。基材裏面の水接触角を測定したところ処理前では
60度であったのが処理後で100度になり、疎水化されたことを確認
し、アノードカソード一体型電極を完成した。


図48 第9実施形態におけるアノードカソード一体型電極を備えたガ
ス生成装置を用いたガスの生成実験の説明図

【0309】次にこのアノードカソード一体型電極を、図48に示すよ
うなガス生成装置100に組み込んで、アノード電極2の裏面側に設け
たガス収容部30に、ガス捕集用ラインとしてシリコンチューブ(内径
2.0mm、長さ15cm)を接続し、その上方に、気相側ガスバッグ
307としてアルゴンガスを充填したガス収集用のアルミニウムバッグ
(ジーエルサイエンス製、型番AAK-1、容量500ml)に接続し
た。このガス生成装置100を2規定に調整した硫酸水溶液(電解液14)
の入ったビーカー309に浸し、光源310としてUV光源(ウシオ電
機製、UI-501C型番)から1cmの距離を隔てて配置し約7時間
照射した。この照射面での光強度は70mW/cm2であった。この気体
を収集したアルミニウムバッグをガス生成装置100から外して、無機
ガス分析用カラム(信和化工製、型番:SHINCARBON ST)を
取り付けたガスクロマトグラフ(島津製作所製、型番GC-8AIT)
のガスサンプラーに接続し、オーブン・検出器温度が50℃及び電流70
mAの分析条件で発生気体のリテンションタイムとピーク面積を測定し、
リテンションタイムが4.2分に水素ピークを検出し、水素濃度は880
ppmで酸化チタン光触媒の単位重量当たりの水素発生量は101μm
ol/g/hrであった。

【0310】(実施例9)
  アノードカソード一体型電極を用いた実施例である。
  アノードカソード一体型電極の製造方法において、ペクセルテクノロ
ジーズ社(株)製の二酸化チタンペーストをスクリーン印刷法で膜厚2
0μmになるように膜を形成し、塗布形成した光触媒含有層を140℃
で1時間乾燥させて残存有機物や溶媒を蒸発させて、多孔質膜にした以
外は実施例8と同じ条件で、水素の気体発生量を測定したところ水素濃
度は3040ppmで酸化チタン光触媒の単位重量当たりの水素発生量
は348μmol/g/hrであった。
【0311】(比較例1)
  図1に示す従来型の光触媒電解装置を用いて実験を行った。電解質と
して、0.1Nに相当する硫酸を水道水に入れて紫外線照射量1600
mW/cmを照射した実験を行ったところ、光触媒含有層27を含む
アノード電極2および助触媒含有層43を含むカソード電極3から僅か
な気泡の付着を確認した。しかし、発生した気泡は僅かのために、酸素
ガス検知管、水素ガス検知管を用いて確認するに至らなかった。次いで、
1Nの希硫酸液に入れ替えて実験を行ったが、気泡が夫々の電極に付着
と、時々電極から離脱しているのを確認できる程度で、明確なガスの発
生を確認することができなかった。さらに、水道水を用いて実験を行った
ところ、気泡の発生は全く確認することができなかった。
【0312】(比較例2)
  貫通孔を有さないアノードカソード一体型電極を用いた比較例である。
  アノードカソード一体型電極の製造方法において、貫通孔を光触媒電極
と助触媒電極のどちらにも設けず、ガス収集口を接液面側に設けた以外
は実施例8と同じ条件で、水素の気体発生量を測定したところ、水素濃
度は30ppmで酸化チタン光触媒の単位重量当たりの水素発生量は
μmol/g/hr
であった。また、電極表面に気泡が大量に付着した。
【0313】  上記実施例1~9および比較例1~2の結果を下表1に
示す。
【0314】【表1】
000003
                         この項つづく

2️⃣ 特開2025-64713 窒素化合物生成装置および定在波発生装置 
【要約】
下図1.のごとく、定在波を発生する定在波発生装置2と、この
定在波発生装置2および4を収容する槽3とを具備し、定在波発生
装置2は、槽3内の中に向けて超音波を発振する超音波発振装置5
と、この超音波発振装置5から発信された超音波を反射する音響反射装
置6と、超音波発振装置5と音響反射装置6とを対向させた状態で距離
を調整することが可能な懸架装置7と、槽3内の中の温を計測す
温センサ10と、この温センサ10から得られたデータと超音波
発振装置5と音響反射装置6との距離とから定在波の発生に適切な周波
数を調整するドライバ装置8を備え、
アンモニアを含む窒素酸化物の生
成を効率よく行うことができるようにした窒素化合物生成装置および定
在波発生装置を提供。

図1 第1実施形態に係る窒素化合物生成装置を示す概略図
【符号の説明】【0116】
1      窒素化合物生成装置 2      定在波発生装置 3      液槽(槽)
4      液体() 5      超音波発振装置 6      音響反射装置 7  懸架
装置 8      ドライバ装置 10    液温センサ(温センサ) 12    容
器 14    超音波振動子 19    錘 31    窒素補充器(窒素バブルブ
ースター)35    気液混合器 
36    バブル発生装置(ウルトラファイ
ンバブル発生装置)
【発明の効果】窒素化合物生成装置および定在波発生装置は、アンモニ
アを含む窒素酸化物の生成を効率よく行うことができる。
【特許請求の範囲】

【請求項1】定在波を発生する定在波発生装置と、該定在波発生装置お
よび液体を収容する液槽と
を具備し、前記定在波発生装置は、前記液槽
内の液体中に向けて超音波を発振する超音波発振装置と、
 該超音波発振
装置から発信された超音波を反射する音響反射装置と、
前記超音波発振
装置と前記音響反射装置とを対向させた状態で距離を調整することが可
能な懸架装置と、
 前記液槽内の液体中の液温を計測する液温センサと、
この液温センサから得られたデータと前記超音波発振装置と前記音響反
射装置との距離とから定在波の発生に適切な周波数を調整するドライバ
装置と、を
備えたことを特徴とする窒素化合物生成装置。
【請求項2】さらに、バブル発生装置と気液混合器とを組合わせた窒素
補充器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の窒素化合物生成装置。

【請求項3】前記超音波発振装置は、超音波振動子と、この超音波振動
子を収容するとともに液体に浮く容器とを備え、
前記懸架装置は、錘を
備え、
前記容器の浮力と前記錘の重力とによって前記超音波発振装置と
前記音響反射装置との姿勢を保持するように構成したことを特徴とする
請求項1に記載の窒素化合物生成装置。

【請求項4】前記音響反射装置は、空気または真空状態を反射材とする
ことを特徴とする請求項1に記載の窒素化合物生成装置。

【請求項5】液体中に向けて超音波を発振する超音波発振装置と、該超
音波発振装置から発信された超音波を反射する音響反射装置と、
前記超
音波発振装置と前記音響反射装置とを対向させた状態で距離を調整する
ことが可能な懸架装置と、
前記液体中の液温を計測する液温センサと、
 該液温センサから得られたデータと前記超音波発振装置と前記音響反射
装置との距離とから定在波の発生に適切な周波数を調整するドライバ装
置と、
を具備したことを特徴とする定在波発生装置。
                           この項了

ト音記号 イラストや に対する画像結果

● 今日の言葉:

             春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 

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エネルギーと環境 245

2025年05月27日 | 日々草々

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

                    詳しく見る

【季語と短歌:5月27日】 

      五月冷え命題抱え朝の凪 

                高山 宇(鬼) 

関連する画像の詳細をご覧ください。Nahuby.sk - Fotografia - lastovičky



図1 植物成長を加速する赤色レーザー光源による新たな栽培技術

✳️ 赤色レーザーダイオード(LD)で植物成長飛躍促進
東京大学大学院農学生命科学研究科の矢守航准教授らの研究グループは、
赤色レーザーダイオード(LD)を光源とすることで、植物の光合成と成
長を飛躍的に促進できることを、世界で初めて明確に示した(図1)。天
候に左右されず、都市部でも省スペースで作物を栽培できる植物工場が
注目を集めている。これらのシステムでは、太陽光の代わりに人工光に
よって植物を育てるため、「光の質と量の最適化」が植物の成長と生産性
を大きく左右する。
1️⃣これまで、人工光源としてはLEDが主流だったが、同研究では、より
波長帯の狭いLDの可能性に注目(図2)。LEDとLDを比較することで、植
物の光合成能力や成長にどのような違いが生まれるのかを検証した。


図2   発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)光源の
スペクトル比較
【要約】
LEDは広い波長帯域(半値幅:20〜50nm)で発光する一方、LDは波長
帯が極めて狭く発光するという特性がある(半値幅:1〜5nm以下)。同
研究では、LDの狭波長帯光を植物の主な光合成色素であるクロロフィル
の吸収ピークに一致させることで、光合成における光エネルギー変換効
率を最大化できることを実証。タバコ、シロイヌナズナ、レタスの3種
を対象に行った比較実験では、いずれの植物においてもLD照射によって
光合成効率および成長指標が大幅に向上
2️⃣さらに、LED照射では24時間×12日間の連続照射により葉の黄化や光
阻害が生じたのに対しLD照射ではそれらのストレス症状はほとんど見
られないことも明らかになった。
【展望】

植物工場や閉鎖型環境、さらには宇宙農業といった先端的な栽培システ
ムにおける次世代型の光戦略に革新をもたらす可能性を示すもの。今後
は、青色など他波長のLDとの組み合わせや、より多様な作物への応用展
開に向けた検証
【掲載】
雑誌名:Frontiers in Plant Science
題 名:High-Precision Lighting for Plants: Monochromatic Red Laser
Diodes Outperform LEDs in Photosynthesis and Plant Growth(植物
用の高精度照明:単色赤色レーザーダイオードは、光合成と植物成長にお
いてLEDを凌駕)
DOI: 10.3389/fpls.2025.1589279
URL: https://www.frontiersin.org/journals/plant-science/articles/10.
3389/fpls.2025.1589279/abstract

【補足説明】
背景:世界の人口は2050年までに97億人に達すると予測されており、そ
のうち70%が都市部に住み、食料需要が増加する一方で農業労働力が減
少(国連、2018年,国連、2022年).同時に、極端な気候現象と地政学的な
紛争が世界的な食料危機を悪化(Binns et al., 2021 (英語)Vogel et al.,
2019 (英語)
ベナッシとハイバ、2022年Qu et al., 2023 (英語)).従来の
農法に比べて利点があるため、屋内園芸は、エネルギー、労働力、生産
単位の経済性などの主要な課題が解決されれば、持続可能な食料生産に
おいて極めて重要な役割を果たすことができます。これらの課題を克服
できれば、屋内園芸は、通年の植物生産、労働要件の削減、地理的また
は自然的な制限なし、高い土地利用効率、正確な環境制御などの利点を
提供します(高財、2013年バンティス他、2018).人工照明システムは、
エネルギー消費量が多い、大きな設備投資を表すことが多い、最適な人
工光源を特定すことが不可欠(Levine et al., 2024 (英語)).となる。

高圧ナトリウム(HPS)、メタルハライド(MH)、白熱灯(INC)、蛍光管(FT
)などの従来の人工光源は、温室や植物成長室で広く使用、これらのオ
プションは、その広範な発光スペクトルと低い電気から光への変換効率
がその有効性を制限するため、園芸用照明ソリューションとしては制限
されている。1990年代以降、植物の成長には発光ダイオード(LED)の採
用がますます増えており、スペクトル組成の調整、低発熱、長寿命(ブラ
ら、1991
マッサ他、2008バンティス他、2018Van Delden et al., 20
21 (英語)
).

www.frontiersin.org
図 5 連続LED 664またはLD 660の下での12日間の成長後のタバコ、
シロイヌナズナ、およびレタス植物のクロロフィル蛍光パラメータ、
PPFDが150 μmol m-2 s-1。(A)3種の植物における光下でのPSII電子輸送
(Y(II)および非光化学クエンチング(NPQ))の量子効率の代表的な画像。
(B)3種の植物の異なるPPFD曲線に対するY(II)とNPQの応答。はP < 0.001
で有意差を示し、**はP < 0.01で有意差を示し、*はP < 0.05で有意差を
示し、nsはt検定による有意差なしを示します。データは、平均± SE n =
4 として表す。
➡️すべての植物は、PPFDの増加に伴ってNPQ値の増加を示した。特に、
LD660の下で栽培されたものと比較して、LED 664の下で栽培されたタ
バコおよびシロイヌナズナ植物のNPQはより急速に増加しました。タバ
コとシロイヌナズナでは、PPFDが37μmol m-² s-¹を超えたとき、LD660
のNPQ値はLED 664のNPQ値よりも有意に低かった。対照的に、LD 660
とLED 664の両方のレタス植物は、NPQの同様の増加率を示し、LD 660
とLED 664との間には、どのPPFDでも有意差は観察されませんでした
(図5B).                以下、紙面制限のため割愛

ト音記号 イラストや に対する画像結果  『サンチュアリ Da‐iCE』



もう誰かに 委ねるだけで
何かを変えられる時代じゃない

そう一人で 踏み出した時
まだ知らない 違う景色 出会えるはず

伝えるだけでは 守れない(忘れないで)
空を見て胸に刻む(目を逸らさず)
信じて

枯らさないよ(何度でも)
他愛無い日々で(輝く)
芽を出す緑のように(僕らは)
大袈裟じゃなく(いつでも)
一握りの優しさ
今を未来へ繋いでいく

心の真ん中に
本当のサンクチュアリ
誰かを想う時 願う光

ねぇ いつかは0に戻して
懐かしく新しい世界が見える

🪄「サンクチュアリ」は、Da-iCEの工藤大輝と花村想太、ゆずの北川
悠仁とのコライト楽曲。Da-iCEが『TOKYO GX ACTION CHANGING ~
未来を変える脱炭素アクション~』イメージソングとなる新曲「サンク
チュアリ」を、5月19日に配信リリース。『TOKYO GX ACTION』は、東
京都が2030年のカーボンハーフ、2050年のカーボンニュートラルの実現
に向け、化石燃料からクリーンエネルギー中心の社会へと転換する「GX
(グリーントランスフォーメーション)」の取り組みを加速させていくた
めに、都民一人ひとりがGXを理解し行動を変えていくことを目指し、年
間を通じて最新のGX技術などを広く発信していくことを目的としている。
2025年は5月17日・18日に東京ビッグサイトにて開催され、18日には『
TOKYO GX ACTION Special Artist Da-iCE スペシャルLIVE』が行われた
という(via 2025.5.19 YAHOO!ニュース)。


❇️ 1️⃣ WO2011/030546 ガス生成装置およびガス生成
方法 三井化学株式会社(参考検索)④
【詳細説明】 【0215】
[第8実施形態](アノードカソード一体型電極)
  本実施形態のガス生成装置を、図29を参照して説明する。なお、本
実施形態においては、ガス生成装置が光触媒セルに装着された例を省略
しているが、本明細書に記載のいずれの光触媒セルにも用いることがで
きる。

【0216】  本実施形態におけるガス生成装置100は、図29の概略
上面図に示すように、光触媒含有層27からなる領域に、複数の第一貫
通孔111が開口している。一方、助触媒含有層43は、第二貫通孔
113の周縁部に沿ってリング状に形成されている。助触媒含有層43
は光触媒含有層27上に積層されていてもよく、酸素と水素が反応し水
に戻る逆反応を抑制する観点から、助触媒含有層43のみが第二貫通孔
113の周縁部に沿ってリング状に形成されていてもよい。
【0217】  なお、光触媒含有層27と助触媒含有層43は貫通孔の
内壁には形成されておらず、内壁において酸素ガスおよび水素ガスは発
生しない。そして、第二貫通孔113の内壁が疎水性であるので、電解
液14の侵入を抑制することができる。

【0218】[第9実施形態]
(アノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置)
  図30(図割愛
)は、本実施の形態におけるアノードカソード一体型
電極を備えたガス生成装置100の構成を示す模式図であり、図30(
a)はアノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置100の側面
断面図である。図30(b)は、電解が行なわれる面側(光を受光する
面側)から見たアノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置100
の正面図である。
【0219】  図30(a)および(b)に示すアノードカソード一体型
電極を備えたガス生成装置100は、触媒含有層81(光触媒含有層2
7および助触媒含有層43)を備えるガス生成装置100の光触媒担持
面20に対向して設けられた受光窓4と、ガス生成装置100の光触媒
担持面20の裏面側に設けられた第一ガス収容部と、ガス生成装置100
の光触媒担持面20の裏面側に設けられた第二ガス収容部と、を備える。
本実施形態においては、光触媒担持面20を囲繞する電解液槽10を備
える。
【0220】  すなわち、本実施形態のアノードカソード一体型電極を備
えたガス生成装置100は、光触媒の励起光を透過させるとともにこの
励起光を光触媒含有層27に照射する受光窓4を備えている。そして、
受光窓4は、光触媒含有層27および助触媒含有層43に対してともに
対向する位置に配置されて、受光窓4を透過した励起光が光触媒含有層
27および助触媒含有層43に照射される。
【0221】  また、受光窓4に対して光触媒含有層27に含まれる光
触媒の励起光を照射する照射光源が別途設けられていてもよい。照射光
源としては、高圧水銀ランプやキセノンランプ等を用いることができる。
光触媒の励起光としては、波長250nm以上の光を用いることができ
る。
【0222】  ガス生成装置100は、基材25の一方の面に触媒層が
設けられている。ガス生成装置100は電極ホルダー120に装着され、
光触媒セル1に固定されている。受光窓4は、励起光を透過することが
できる材料から構成され、具体的には、ガラス等の無機材料、ポリイミ
ド樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リオレフィン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料などを用いることがで
きる。
【0223】  本実施形態においては、受光窓4が電解液収容部12の
側壁の一部を構成している例によって示すが、受光窓4とガス生成装置
100との間に、励起光を透過することができ、電解液槽10の側壁を
構成する隔壁を別途設けることもできる。
【0224】光触媒セル1は底壁26を備え、ガス生成装置100の光
触媒担持面20の裏面側を囲繞するガス収容部41を構成する。ガス収
容部30は、隔壁により区画されており、第一ガス収容部21(不図示)
と、第二ガス収容部31(不図示)とが設けられている。
【0225】  電解液槽10には、電解液供給管131および電解液排
出管132が接続され、図示しない循環ポンプ等により電解液を循環可
能に構成することができる。図30(a)においては、電解液槽10に
電解液12が充填されている。

図31 第9実施形態におけるアノードカソード一体型電極を備えたガ
ス生成装置の透視立体図

【0226】  図31は図30で示したアノードカソード一体型電極を備
えたガス生成装置100の内部の構造を透視図で立体的に示したもので
ある。受光窓4を介して侵入した光7は、図29に示したアノードカソ
ード一体型電極に照射され、酸素ガスと水素ガスを背後のガス収容部
30に収集させる。図30は、ガス収容部30が交互に第一ガス収容部
21と第二ガス収容部31が並んで配置されている場合を示している。
酸素ガス、水素ガスは別々の収容部に収容され、酸素ガス排出管101
と水素ガス排出管103にて、外部に取り出すことができる。
【0227】  本実施形態において、電解液12は水を主成分として含む
ものであり、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等を含む弱酸水溶液、
過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等
の弱アリカリ水溶液、メタノールやエタノール、プロパノールなどのア
ルコール類の水溶液、アクリル酸、フタル酸などのカルボン酸類等の水
溶液を用いることができる。
【0228】  第一ガス収容部は、ガス生成装置100の第一貫通孔と
連通している。光触媒含有層27で生成された酸素ガスは、第一貫通孔
を介して第一ガス収容部に移動し収容される。第一ガス収容部には、酸
素ガス排出管101が接続されており、酸素ガス排出管101を介して
酸素ガスを回収することができる。
【0229】第二ガス収容部は、ガス生成装置100の第二貫通孔と連
通している。助触媒含有層43で生成された水素ガスは、第二貫通孔を
介して第二ガス収容部に移動し収容される。第二ガス収容部には、水素
ガス排出管103が接続されており、水素ガス排出管103を介して水
素ガスを回収することができる。
【0230】  本実施形態においては、酸素ガス排出管101と水素ガス
排出管103とが設置されているが、これらを併用することも可能であ
る。また、窒素ガスやアルゴンガスなどのイナートガスを、必要に応じ
て酸素ガス排出管101および水素ガス排出管103から導入して、生
成ガスを容易に排出することができる。

【0231】 本実施形態では、アノード電極2およびカソード電極3の
光触媒担持面20(光触媒含有層27、助触媒含有層43)に対向させ
て受光窓4を配置したが、本発明はこれに限られない。アノード電極2
およびカソード電極3を装着する基材5を、励起光7の透過性材料で構
成し、アノード電極2およびカソード電極3の裏面から励起光7を照射
してもよい。
【0232】  すなわち、アノード電極2およびカソード電極3を、励起
光7を透過する材料からそれぞれ構成し、励起光7を透過させるととも
に光触媒含有層27に照射する受光窓4を、アノード電極2およびカソ
ード電極3に対向して、光触媒担持面20の反対側に配置してもよい。
そして、受光窓4を透過した励起光7を、アノード電極2およびカソー
ド電極3をさらに透過させて光触媒含有層27および助触媒含有層43
に照射してもよい。

図32(a)は第10実施形態におけるアノードカソード一体型電極を
備えたガス生成装置の上面図であり、(b)は短辺側における側面断面図
であり、(c)は長辺側における側面断面図であり、(d)は循環ポンプ
を接続したガス生成装置の側面断面図

【0233】[第10実施形態](アノードカソード一体型電極を備えた
太陽光対応ガス生成装置) 
本実施形態におけるガス生成装置100は、図32(a)の光触媒セル
1の概略上面図に示すように、光触媒含有層27からなる領域に、複数
の第一貫通孔111が開口しており、助触媒含有層43からなる領域に、
複数の第二貫通孔113が開口している。図32(b)は、第一貫通孔
111および第二貫通孔113の位置関係を示す光触媒セル1の短辺側
における側面断面図を示し、図32(c)は長辺側における側面断面図
を示す。
【0234】図32(a)~(c)に示すように、ガス生成装置100
の裏面側に酸素ガス排出管101と、水素ガス排出管103を備える。
さらに、ガス生成装置100の光触媒担持面20側に設けられた電解液
収容部12に電解液供給管131、電解液排出管132を備える。
【0235】  図32(b)、(c)に示すように、ガス生成装置100
は、光照射側の透明ガラス板(受光窓)71と側壁板72と底板73で
囲まれ支持された光触媒セル筐体内部に固定されている。ガス生成装置
100の裏面側に、第一ガス収容部21と、第二ガス収容部31が設け
られている。図32(b)に示される第一ガス収容部21は連通してお
り、第一貫通孔111を介して第一ガス収容部21内に収容された酸素
ガスは酸素ガス排出管101を通して外部へ排出される。同様に、第二
ガス収容部31は連通しており第二貫通孔113を介して第二ガス収容
部31内に収容された水素ガスは水素ガス排出管103を通して外部へ
排出される。電解液は電解液供給管131から電解液槽12内に供給さ
れ、ガス生成装置100とガラス板71の間を通過し、電解液排出管
132から排出される。
【0236】  図32(d)の光触媒セルは、図32(c)とは異なり、
電解液供給管131と電解液排出管132が循環ポンプに接続され、電
解液収容部12内の電解液が循環可能に構成されている。
  まず、新しい電解液は図示しない貯留槽に保管されており、開けられた
保給水バルブ137を通り電解液ポンプ135によって電解液フィルタ
槽136に送液され、異物などが除去される。
【0237】  次に、電解液フィルタ槽136の液面が一定値まで達す
と、その圧力によって電解液供給管131を介して電解液収容部12内
部へ送液される。ガス生成装置100上で反応が終了した電解液は電解
液排出管132へ送液されポンプ135に戻る。空になった電解液フィ
ルタ槽136の液面が一定値に達するとこのサイクルが再び繰り返され
る。 電解液が消費されるとバルブ137を通して排液され、再度新しい
電解液が供給される。
  なお、図32(b)と、図32(c)、(d)とでは、酸素ガス排出管
101および水素ガス排出管103の接続位置が異なるが、装置の構成
に合わせて適宜変更することができる。

図33(a)は、第11実施形態に用いられるアノードカソード一体型
電極を備えたガス生成装置において、ガス生成装置を水平方向に切断し
た上面図であり、(b)は水素と酸素のガスの流路を側面から見た断面図
である。

【0238】[第11実施形態]
  本実施形態におけるガス生成装置100は、第10実施形態におけるガ
ス生成装置100に比べ、第一ガス収容部21および第二ガス収容部
31の配置のみが異なるため、相違点のみ説明する。
【0239】  図33(a)は、本実施形態における光触媒セル1にお
いて、ガス生成装置100の面と平行となるようにガス生成装置100
を切断した場合の概略上面図であり、水素ガスと酸素ガスの流路の位置
関係を示している。図33(b)は、第一貫通孔111および第二貫通
孔113の位置関係を示す光触媒セル1の短辺側の側面断面図である。

図34 図33に示すガス生成装置100の透視上面図であり、水素ガ
スと酸素ガスの流路の位置関係を示す。

図34は、水素ガスと酸素ガスの流路の位置関係を示す、図33に示す
ガス生成装置100の透視上面図である。
【0240】  ガス生成装置100の裏面側において、第一貫通孔111
の下方に第一ガス収容部21が櫛歯状に設けられており、第二貫通孔1
13の下方に第二ガス収容部31が櫛歯状に設けられている。第一ガス
収容部21と第二ガス収容部31は、相互に入り組んで配置されている
。第一ガス収容部21は全ての第一貫通孔111と連通している。第一
ガス収容部21は、酸素ガス排出管101に接続され、酸素ガスを回収
することができる。第二ガス収容部31は全ての第二貫通孔113と連
通している。第二ガス収容部31は、水素ガス排出管103に接続され、
水素ガスを回収することができる。【0241】

<アノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置の製造方法>
  次に、アノードカソード一体型電極を備えたガス生成装置100の作成
方法について説明する。まず、基材5に貫通孔を設ける。加工方法は、
基材一面に均一な孔形状を周期的に形成できる方法を用いることができ
る。例えば回転ドリルによる切削やエッチング法などで好適に形成される。
【0242】  貫通孔の開口部の形状は、特に規定しないが周囲の孔から
電子、プロトンがどの方向からも等方的に相互移動するためには円形が
好ましい。この貫通孔の開口部の直径は300μm以下であり、開口部
のピッチ間隔は直径の1.5倍以上5倍以下であることが好ましい。
【0243】  助触媒はその表面でプロトンと電子が効率良く結合して
水素を発生させて、また水への逆反応が起き難いことが要求される。
【0244】  カソード電極3が備える助触媒含有層43に含まれる助触
媒は、白金、ニッケル、ルテニウム、酸化ニッケルおよび酸化ルテニウ
ムよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。これらの助触
媒を含む助触媒含有層43は、第二貫通孔113の周囲に1μm以上の
幅で形成されることが好ましい。
【0245】  助触媒含有層43の形成方法は、例えばポジ型フォトレ
ジストをシート全面に塗布し、孔直径より1μm以上大きい直径の円形
開口を設けたフォトマスクを助触媒電極の位置と一致させて固定する。
そして、レジストが感光する波長の光で露光することで、第二貫通孔
113周囲のレジストだけが可溶になり、現像時に除去される。
  次に光触媒含有層27と同様にイオンプレーティング法、化学蒸着法、
真空蒸着法、スパッタ法、スピンコート法、スクリーン印刷法、スプレ
ー法、キャスト法などで助触媒含有層43を成膜し、最後に残ったレジ
ストをレジスト部分に付着した助触媒と共に剥離することで助触媒含有
層43を選択的にパターニングすることが可能になる。

【0246】  またスパッタ膜用のマスクを用いてスパッタしても同様の
パターニングが可能である。この助触媒含有層43の膜厚は、パターニ
ングの際のレジスト剥離時の応力で剥離しないように、20nm~200
nmの範囲が好ましい。また、光触媒含有層27と助触媒含有層43と
の間に外部から電圧を印加して電解を促進しても良い。
【0247】  次に貫通孔の内壁と基材25裏面の疎水化の方法につい
て述べる。固体表面の分散性や濡れ性、接着性、吸着性などの界面化学
的性質を制御するための代表的な表面修飾の方法として、(1)カップリ
ング剤修飾法、(2)高分子のグラフト共重合法、(3)カプセル化法、
(4)ゾル-ゲル法、などが挙げられる。【0248】
  カップリング剤修飾法ではシラン系またはチタン系カップリング剤が広
く用いられており、これらの分子の末端が固体表面の水酸基と化学反応
することで、他端が表面側に向いた配向単分子膜を形成することを利用
しており目的に応じて様々な官能基を固体表面に導入できる。特に、H
MDS(ヘキサメチルジシラザン)は好適に樹脂表面を疎水化すること
ができる。
【0249】  高分子のグラフト修飾法は、固体表面の官能基とモノマー
との化学反応により、高分子を固体表面で成長させる方法である。カッ
プリング剤で導入された官能基を利用して高分子をグラフトしたり、電
解重合反応やメカノケミカル反応、放射線、プラズマを利用して重合反
応を誘起したりすることもある。
  カプセル化法は、固体粒子を高分子膜で被覆する方法で、一般にグラフ
ト重合化法に比べて厚い膜が形成されるのが特徴であり、膜と固体表面
間に化学結合が形成される必要はない。
  ゾル-ゲル法では、アルコキシドを原料として固体表面を無機ガラスに
よって被覆する。【0250】

【図35】(a)は第12実施形態の尾根型ガス生成装置の側面図であ
り、(b)は拡大図である。

[第12実施形態](尾根型ガス生成装置)
  図35は、本実施形態のガス生成装置100の側面図である。図36
は、このガス生成装置100の平面図である。【0251】
  光触媒含有層(アノード電極2)または助触媒含有層(カソード電極
3)の少なくとも一方は、基材に対して傾斜して配置されている。
【0252】  さらに、光触媒含有層(アノード電極2)または助触媒含
有層(カソード電極3)は、基材から突出する凸面部を含む。
【0253】  本実施形態のガス生成装置100は、アノード電極2お
よびカソード電極3を交互に配置するとともに、夫々の電極に相互の角
度がつけられて、かつアノード電極2とカソード電極3とが向き合うよう
な位置で折りたたむように配置された、立体配置型(尾根型)をなして
いる。
【0254】  また、本実施形態のガス生成装置100には、ガス収容
部21、31が夫々の電極に設置されている。これにより、受光窓4を
介して入射する光7を有効に捕捉するとともに、発生する酸素と水素の
分離回収を効率よく行うことが可能である。
  図35は、側面からその断面構造を見たものであり、図36はアノード
電極2およびカソード電極3の配置を表すため、電極部分に限ってその
上面からの配置を示したものである。また、図35(b)および図36(
b)は、各図(a)の破線で囲った部分を拡大して図示したものである。

図36 (a)は第12実施形態の尾根型ガス生成装置の平面図であり、
(b)は拡大図
【0255】  アノード電極2およびカソード電極3は、夫々がガス収
容部21,31を取り囲むように、かつ尾根を形成しており、夫々の電
極の上に電解液12が配置されている。アノード電極2およびカソード
電極3の夫々には、貫通孔111、113が形成されている。貫通孔
111、113の内壁は撥水化(疎液化)処理が施されており、貫通
孔111、113に電解液が沁み込んで漏洩することはない。アノード
電極2からは貫通孔111を介してガス収容部21を経て酸素ガスを取
り出すことができる。一方、カソード電極3からは貫通孔113を介し
てガス収容部31を経て水素ガスを取り出すことができる。

【0256】  アノード電極2は2つで一組になって一つの尾根を形成し
ている。アノード電極2は、隣接する同じく2つ一組になって一つの尾
根を形成しているカソード電極3とは傾いて配置されている。アノード
電極2とカソード電極3とは相対向している。その様子を示したものが
図35(b)である。アノード電極2とカソード電極3とは、電解液12
を挟んで傾きながらも対向している。これは2つの意味で、酸素および
水素の発生を促進することに貢献している。一つ目はアノード電極2と
カソード電極3との距離が近くなることで、カソード電極3にて発生し
たプロトンの移動距離を低減させることができる。このため、プロトン
の捕集効率が向上する。2つ目は、入射してきた光を反射させることで、
対向する電極に照射し、さらに反射させることにより、入射光の有効利
用を図ることができる。この光を反射させる様子を図37に示す。この
ような構造は、特に集光タイプの場合に有効であり、入射光を最大限に
有効活用することができるようになる。また、集光型の場合に、電極が
加熱されるという問題があるが、常に電解液に浸されているので、温度
上昇を抑制しやすいという特徴も有している
【0257】  すなわち、カソード電極3は、励起光7を受光すること
により水素ガスを生成する助触媒含有層43を含んでいる。そして、本
方法の照射工程では、アノード電極2またはカソード電極3で反射した
励起光7を、他のアノード電極2の光触媒含有層27またはカソード電
極3の助触媒含有層43に照射する。

図38第12実施形態の尾根型ガス生成装置にて電解液を下置きした状
態を示す図
【0258】  図38に示したものは、電解液が下置きで、発生した酸
素や水素ガスを上側に捕集する構成となっているものである。この場合
にも、アノード電極2とカソード電極3は、傾いた配置を取りながらも
相対する構成となっている。但し、図示していないが、アノード電極2
の有する光触媒含有層およびカソード電極の有する助触媒層は夫々下向
きになっているので、光は基材を通過して光触媒含有層に照射される必
要があることから、少なくともカソード電極3を構成する基材は透光性
であることが要件である。
【0259】  アノード電極2の光触媒含有層の面と、カソード電極3の
助触媒含有層を有した面とがなす角度が、0°より大きく180°未満の
角度にて配置されていることが望ましい。両者のなす角度が0°の場合に
はアノード電極2とカソード電極3とが互いに平行に向き合う形で配置
されていることを意味する。同じく、両者のなす角度が180°の場合に
はアノード電極2とカソード電極3とが平面を構成していることを意味
する。なお、本実施形態において、アノード電極2の光触媒含有層とカ
ソード電極3の助触媒含有層とのさらに望ましい角度は、20°よりも大
きく90°未満である。

【0260】[第13実施形態](アーチ型ガス生成装置)
  図39は、本実施形態のガス生成装置100の側面図である。図40は、
このガス生成装置100の平面図である。
【0261】  本実施形態の光触媒含有層(アノード電極2)と助触媒含
有層(カソード電極3)は、基材から突出する凸面部を含み、立体配置
型(アーチ型)をなしている。【0262】
  この凸面部は、互いに対向する一対の立面を含む箱状をなしている。
そして、ガス収容部21、31は、この凸面部の内部に形成されている。
【0263】  本実施形態のアーチ型ガス生成装置100は、アノード電
極2およびカソード電極3の夫々がアーチ形状を有しており、図35か
ら図38に示した尾根型ガス生成装置の構成の変形とも言うべきガス生
成装置である。本実施形態の構造はより緻密なものとなっている。図39
に示すように、貫通孔111を有したアノード電極2は、一片が開いた矩
形の構造を有している。開いた一片はガス収容部21と連通しており、
かつ矩形の中もガス収容部21の一部を形成している。電解液12はア
ーチ形状を有したアノード電極2の上部に配置されている。貫通孔11
1の内壁面は疎水化処理が施されている。このため、上部にある電解液
12がガス収容部21に漏洩することはない。また、カソード電極3も
同じくアーチ形状を有しており、アノード電極2と同様の箱状構造を有
している。図40は、アノード電極2およびカソード電極3の配置を上
から見たものである。
【0264】
  アノード電極2およびカソード電極3は、夫々が隣接した箱状(矩形)
構造を有しているので、対向する面と同じ方向を向いている面とが存在
する。しかし、アーチ形状の高さ
方向を高くとることで、対向する面を広く取ることができ、かつアノー
ド-カソード間距離が相対的に短くなる。このため本実施形態のアーチ
型ガス生成装置100は、アノード電極2で発生するプロトンの移動距
離を短く取ることができるという大きな利点がある。
【0265】  さらに、本実施形態のアーチ型ガス生成装置100は、光
の閉じ込め効果に優れている。夫々の電極が構成するアーチの狭間に入
射した光はアーチ側面に反射され、対向面に再び照射される。カソード
電極3の有する助触媒含有層43は光を吸収する必要はなく反射させる
だけでいいので、反射光を再びアノード電極の有する光触媒含有層27
(図39には図示せず)に照射させることができる。また、アノード電
極2を構成する基材(図示せず)が透光性である場合には、電解液12
を通過して裏側に存在する同じくアノード電極2の光触媒含有層27に
裏側から入射することも可能であり、光の有効利用を図ることができる
ようになる。
【0266】  図41は、電解液が下置きで、発生した酸素や水素ガスを
上側に捕集する構成となっているものである。

図41 第13実施形態のアーチ型ガス生成装置にて電解液を下置きし
た状態を示す図
【0267】[第14実施形態](スリット型ガス生成装置)
  図42各図は、本実施形態のガス生成装置100の説明図である。本実
施形態のガス生成装置100は、アノード電極2に縦長の貫通スリット
115を形成し、この貫通スリット115に気液分離機能を持たせたス
リット型である。

図42(a)~(c)は第14実施形態のスリット型ガス生成装置の
説明図
【0268】  すなわち、本実施形態のカソード電極3またはアノード
電極2に設けられた貫通孔(貫通スリット115、117)はスリット
形状である。
【0269】  カソード電極3およびアノード電極2は、ともにスリッ
ト形状の貫通孔(貫通スリット117、115)を備えている。そして、
カソード電極3とアノード電極2とが対向して配置された状態で、スリ
ット形状の貫通孔は互いにずれあっている。【0270】
                         この項つづく
今日の言葉:鍵を握るのは触媒と呼ばれるものだ。②
『触媒ー自然界のショートカット』
ニトロゲナーゼのような触媒は、二段階で働く。まず、触媒がふたつの
反応物を引き合わせる。触媒と反応物はジグソーパズルように組み合わ
さり、ふたつの反応物が結合しやすくなる。次に反応に必要なエネルギ
ーは活性化エネルギーと呼ばれるが、それが高すぎると反応物同士が相
互作用を起こせない。ところが、触媒は活性化エネルギーを下げるので、
反応が進むようになる。すると反応物同士が結合して新たなる化合物が
できるが、触媒はそのまま残る。
 触媒の働きを理解するため別々の都市に住む男女を引き合わせようと
する仲人を考えよう。普通、このふたりがあくまでもランダムにランダ
ムに出会う可能性は極めて低い。何キロメートルも離れたまったく別の
範囲で活動しているからだ。ところが仲人は、この二人と連絡とって、
ふたりを引き合わせ、何かが起こる可能性が高まる。そして体内の重要
な化学反応はほぼすべて、何らかの触媒によって媒介されている。
 ではここで、量子の仲人を導入しよう。この仲人は時としてっ男女を
結びつけるためにそっと後押しする必要があると知っている。たとえば
ある人は内気だったりするかもしれない。何かが妨げになって、緊張が
ほぐれない。言い換えれば、活性化の障壁を乗り越えられないと、付き
合いに乗り出せないのだ。そこで役目を果たすのが量子の仲人で、緊張
をほぐしたりふたりの隔てる障壁を破るのを助ける。これがトンネル効
果であり、一見通過できない障壁を通り抜けるられるという。量子論の
奇妙な特性だ。トンネル効果は、
ウランなどの放射性元素が放射線を発
する要因でもある。放射線が原子核の障壁を突破して外
の世界に届くか
らだ。地球の中心を温め、大陸移動を起こす、この放射性崩壊のプロセ
スは、
トンネル効果による。だから、今度巨大な火山の噴火を目にした
ら、あなたはトンネル効果の威力を目の当たりにしていることになる。
同じように、ATP分子はそのエネルギーの障壁を魔法のように「トンネ
ル」して、化学反応をなし遂げることができる。さらに、生命の生存を
可能にする重要な反応はほぼすべて、触媒を必要とし、生命の誕生そ

ものが量子力学のおかげらしいということもわかる。
残念ながら、ニト
ロゲナーゼによる窒素固定は非常に複雑なプロセスなので、その解明の
進捗
は、これまで着実ではあるが遅かった。現在、科学者はニトロゲナ
ーゼの分子がどのような
ものかについて、完全な分子構造を図示できて
いるが、あまりにも複雑なので、厳密な働き方はだれにもわかっていな
い。プロセス全体はややこしすぎて、デジタルコンピュータで秘密を解
き明かせる望みがない。ところが量子コンピュータはもっと秀でていて、
プロセスを可能にするすべての段階を明らかにすることができるだろう。               
                           この項了

【著書名】量子超越―量子コンピュータが世界を変える
【内容説明】
グーグル、IBM、マイクロソフトらが熾烈な開発競争を繰り広げる「
量子コンピュータ」。実用化されると、私たちの暮らしはどのように変わ
るのか?エネルギー、医療、経済、宇宙探査など、あらゆる分野でどの
ようなイノベーションが起きるのか?量子論の研究に生涯を捧げてきた
世界的物理学者ミチオ・カク博士が、量子コンピュータの科学的仕組み
や、ワクワクするような未来を解説する。ニューヨーク・タイムズベス
トセラー。
【目次】
第1部 量子コンピュータの登場(新時代の幕開け;コンピューティン
グの歴史;量子論;量子コンピュータの夜明け;レースは始まっている)
第2部 世界の問題を解決する(生命の謎を解く;世界を緑化する;地
球を養う;エネルギー革命)
第3部 量子医療(創薬と保健衛生;遺伝子編集とがん;AIの活用と
病の治療;不老不死)
第4部 世界と宇宙をモデル化する(地球温暖化;太陽をビンのなかに;
宇宙をシミュレートする;2050年のある日)
エピローグ 量子の謎
-------------------------------------------------------------------------------
🪄二週間のブランクは相当応えた。焦りは禁物とはいえ、激しい競争に
あることには変わりない。克己!一文字である。(笑)
PS、「年金底上げ」「令和米騒動」は、明日考察・掲載する。

           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 

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エネルギーと環境 244

2025年05月26日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。



【季語と短歌:5月26日】 

     夕日射す湖邊のベンチ背に麦秋   

                   高山 宇(孤独鬼) 

🪄A bench by the lakeside bathed in the sunset, with early sumer wheat behind.

                                         

🪄夕暮れ時の八坂・須越・三津屋・石寺の四町の麦秋と湖邊は日本一
だと思っている。そこに、異国のガザ・ウクライナの惨状映像が重なる
る、”ギャップ虚脱感”がわたしを苦しめる。(涙)

✳️マグネシウム電池の劣化解明

【研究背景】現在主流のリチウムイオン電池に代わる次世代の蓄電池と
して、資源的制約のないマグネシウム電池の研究開発が進められている。

実用化にはマグネシウム電池の高エネルギー化が必須であり、近年開発
された①弱配位性アニオンを有するマグネシウム塩を用いたエーテル系
が注目され、この電解液を用いることで、マグネシウム金属負極側

の反応が効率よく進行しますが、②一方で酸化物正極側の反応に対して
可逆性が悪く、低可逆性を示す原因の解明及びこの電解液に適用可能
な正
極材料が、また③電解液のロットや電池を作製する環境によって正
極の性能が大きく変化する問題があり、実験の再現性に支障がある。
マグネシウム電池の正極と電解液の界面で起こる反応について詳細に調
べたところ、①電解液中に微量に含まれる水分が劣化挙動の主原因であ
り、②電解液成分の酸化分解だけでなく、集電体や電池部材に用いる③
金属の腐食、正極の溶出を促進することが分かった。
【成果】マグネシウム二次電池(MRB)は、次世代の高エネルギー電池の
有望な候補として、資源の利用可能性と安全性の点で固有の利点を提供。
高電圧MRBを達成の主要な要因を特定に、この研究では、エーテルベ
ースの弱配位陰イオン(WCA)電解質—Mg[B(OCH(CF3)2)4]2(BHFIP)お₂
よびMg[Al(OCH(CF3)2)4]2(AlHFIP)— 炭素被覆Al集電体およびMnO₂上
での電気化学的挙動を解明に、正極のさまざまな含水率で調査。2つの
電解質は水分中で異なる特性を示すことがわかっているが、一般的な結
論として、微量水は電解質の分解とCEI形成を促進する可能性がある。
最終的に、低含水率で設計されたBHFIP電解質は、可逆的なMg||MnO2
セルは、副反応を緩和することにより高電圧(4 Vカットオフ、>50サイ
クル)下で循環しますが、水分含有量が高いと、溶媒/陰イオン分解と
MnO₂が促進される。この研究は、エーテルベースのMRBの電解質設
計における重要な要素として微量水分含有量を強調し、最適化された
BHFIP電解質が高電圧MRBを安定させる可能性を実証と、バッテリー
性能の向上の耐湿性機能材料の必要性を強調している。

図 S6 アノード側における H2O の影響を示すための概念図
【掲載誌】
論文名:Decoding Cathode-Electrolyte Interface Issues in Conventi-
nal Ethers Electrolytes-Based Magnesium Rechargeable Batteries(
従来のエーテル電解液を用いたマグネシウム蓄電池における正極/電解
液界面の課題解明)
URL:https://doi.org/10.1002/aenm.202502050


✳️1️⃣ WO2011/030546 ガス生成装置およびガス生成
方法 三井化学株式会社(参考検索)
生成装置およびガス生成方法 三井化学株式会社(参考検
索)③

【詳細説明】【0166】
  蓋部材11には、支持棒301が貫通している。支持棒301にはカ
ソード電極3が固定されており、アノード電極2の光触媒担持面20と
対向している。蓋部材11には、電解液槽10内の空間に不活性ガスを
供給する不活性ガス供給管102と、水素ガス排出管103とを備える。
【0167】  触媒の励起光は、受光窓4を介してアノード電極2におけ
る光触媒担持面20の裏面側から照射される。本実施形態においては、
電解液槽10自体も励起光に対して透明な材料から構成される。励起光
は、電解液槽10および基材25を透過し、基材25上の光触媒含有層
27に照射される。そして、電解液12と接する光触媒含有層27の表
面にて酸素ガスと水素イオンが発生する。酸素ガスは、アノード電極2
の貫通孔を通って光触媒担持面20から裏面側に移動してガス収容部21
に蓄積され、酸素ガス排出管101を介して回収される(図11を参照)。
【0168】  一方、水素イオンは、光触媒含有層27で発生した後、
電解液12に溶け込み、カソード電極3に到達する。また、光触媒含有
層27で発生した電子は、通電用ワイヤ202を介して同じくカソード
電極3に到達する。カソード電極3の表面において、電子と水素イオン
とから水素ガスが生成する。生成した水素ガスは、浮力によってカソー
ド電極3から離脱し、水素ガス排出管103を経て回収される。
【0169】本実施形態において、電解液12は水を主成分として含む
ものであり、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等を含む弱酸水溶液、
過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等
の弱アリカリ水溶液、メタノールやエタノール、プロパノールなどのア
ルコール類の水溶液、アクリル酸、フタル酸などのカルボン酸類等の水
溶液を用いることができる。

【図14】(a)は助触媒セル(カソードセル)の側面断面図であり、
(b)は正面図である。【0170】

[第2実施形態]
本実施形態のガス生成装置100は、図14に示した助触媒セル6を用
いアノード電極2を挿入した装置を用いている。図17は、図14に示
した助触媒セル6を電解液槽10内に装着したガス生成装置100の側
面断面図である。本実施形態のガス生成装置100は、カソード電極3を
有する光触媒セル1を、アノード電極2を有する電解液槽10内に装着
したものである。
【0171】第1実施形態と異なり、カソード電極3に第二貫通孔が形
成され、アノード電極2には貫通孔が形成されていない。蓋部材11に
は、水素ガス生成用電解セル6の水素ガス排出管103および不活性ガ
ス供給管102が貫通しており、これにより水素ガス生成用電解セル6
が固定されている。不活性ガス供給管102は、蓋部材11の上面にお
いて通電用ワイヤ挿入口を備える。通電用ワイヤ挿入口を介して、不活
性ガス供給管102内に通電用ワイヤ202が通っている。さらに、
電用ワイヤ202は支持棒301内を通ってアノード電極2と電気的に
接続されている(図示せず)
【0172】蓋部材11には、支持棒301が貫通している。支持棒3
01にはアノード電極2が固定されており、アノード電極2の光触媒担
持面20がカソード電極3と対向するように配置されている。蓋部材11
には、電解液槽10内の空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管
102と、酸素ガス排出管101とを備える。
【0173】  触媒の励起光は、受光窓4およびカソード電極3を透過し、
アノード電極2の光触媒含有層27に照射される。本実施形態において
は、電解液槽10自体も励起光に対して透明な材料から構成される。本
実施形態において、アノード電極2は励起光に対して不透明な材料から
構成することができる。そして、電解液12と接する光触媒含有層27
の表面にて酸素ガスと水素イオンが発生する。光触媒含有層27で生成
した酸素ガスは、浮力によってアノード電極2から離脱し、酸素ガス排
出管101を経て回収される。
【0174】一方、水素イオンは、光触媒含有層27で発生した後、電
解液12に溶け込み、カソード電極3に到達する。また、光触媒含有層
27で発生した電子は、通電用ワイヤ202を介して同じくカソード電
極3に到達する。カソード電極3の表面において、電子と水素イオンと
から水素ガスが生成する。生成した水素ガスは、カソード電極3の第二
貫通孔を通ってガス生成面から裏面側に移動し、ガス収容部31に蓄積
され、水素ガス排出管103を介して回収される。

【0175】[第3実施形態]
  本実施形態のガス生成装置100は、図11に示した光触媒セル1と、
図14に示した助触媒セル6とを用いて構成されている。
図18は本実施形態のガス生成装置の側面断面図であり、図19はカソ
ード電極3側からの正面図であり、図20は上面図である。
【0176】図18に示すように、光触媒セル1と、助触媒セル6とは、
電極間スペーサー61を挟んだ構成で、平行に設置された構成となって
いる。電極間スペーサーによるアノード電極2の光触媒担持面20と、
カソード電極3とは対向して設置されている。アノード電極2と、カソ
ード電極3とにより、空間(電極間隙部)が形成され、その電極間隙部
には電解液12が満たされた状態になっている。
【0177】図19の正面図に示すように、ガス生成装置100の一方
には、電解液供給細管133と電解液供給管131とが配置されており、
上記の空間に外部より電解液を供給することができる。そして、他方には
電解液排出細管134と電解液排出管132とが配置されており、上記
の空間(電極間隙部)において光触媒反応に供された電解液12を外部
に排出することができる。つまり、アノード電極2と、カソード電極3
とにより形成された電極間隙部は、電解液流路の一部を構成する。
【0178】言い換えると、ガス生成装置100は、電解液12を貯留
してアノード電極2およびカソード電極3をこの電解液12に接触させ
る電解液貯留部(電極間隙部)と、この電解液貯留部に電解液12を供
給する電解液供給管131と、触媒反応に供された電解液12を電解液
貯留部から排出する電解液排出管132と、をさらに備えている。
【0179】触媒の励起光は、受光窓4を介してアノード電極2におけ
る光触媒担持面20の裏面側から照射される。励起光は基材25をさら
に透過し、基材25上の光触媒含有層27に照射される。そして、電解
液12と接する光触媒含有層27の表面にて酸素ガスと水素イオンが発
生する。酸素ガスは、アノード電極2の貫通孔を通って光触媒担持面20
から裏面側に移動し、第一ガス収容部21に蓄積され、酸素ガス排出管
101を介して回収される。【0180】 
一方、水素イオンは、光触媒含有層27で発生した後、電解液12に溶
け込み、カソード電極3に到達する。また、光触媒含有層27で発生し
た電子は、図20に示すように、通電用ワイヤ202を介して同じくカ
ソード電極3に到達する。カソード電極3の表面において、電子と水素
イオンとから水素ガスが生成する。生成した水素ガスは、カソード電極
3の第二貫通孔を通ってガス生成面から裏面側に移動し、第二ガス収容
部31に蓄積され、水素ガス排出管103を介して回収される。
【0181】このように、アノード電極2で発生した酸素ガスと、カソ
ード電極3で発生した水素ガスは、互いに交じり合うことなく、第一ガ
ス収容部21と第二ガス収容部31に別々に蓄積される。これにより、
アノード電極2とカソード電極3との間隔は従来の電極構造では達成し
得ない間隔にまで近接配置することが可能になる。【0182】また、
酸素ガス、水素ガスの移動は、後述するように重力によらない表面張力
によって行なわれるので、上下左右の配置を気にせず、自由に電極配置
を行なうことができるようになる。例えば、アノード電極2とカソード
電極3とを上下に向き合うように水平に配置することも可能になる。

図21 第3実施形態のガス生成装置における、光の照射方向をカソー
ド電極側とした例【0183】  図21は、図18と同じく二つの電解
セルを連結させたものであるが、光の照射は図17とは正反対にカソー
ド電極3側の受光窓4より照射される。この場合、カソード電極3は励
起光に対して透明であり、照射された光はアノード電極2の光触媒含有
層27に照射される。この場合も、図18に示すガス生成装置100と
同様に、酸素ガスと水素ガスは夫々のガス収容部に蓄積された後、夫々
のガス排出管によって外部に供出される。【0184】
  図18に示すガス生成装置100においては、カソード電極3を励起光
に対して不透明な部材から構成することができ、図21に示すガス生成
装置100においては、アノード電極2を励起光に対して不透明な部材
から構成することができる。本実施形態においては、励起光の照射を効
率よく行う観点から、アノード電極2およびカソード電極3を励起光に
対して透明な部材から構成することも好ましい。【0185】

[第4実施形態](太陽光対応ガス生成装置)
  本実施形態のガス生成装置100は、水平に配置されたカソード電極
3の上方にアノード電極2を平行に配置し、太陽光等の上方向から照射
される励起光に対して略直角になるようにアノード電極2を設けられた
ガス生成装置100(太陽光対応ガス生成装置)である。本実施形態の
ガス生成装置100は、水平に設置されたアノード電極2と、その下方に
平行に設置されたカソード電極3とを備えている。

【0186】図22は本実施形態の太陽光対応のガス生成装置100の
上面図であり、図23は側面断面図であり、図24は下面図である。
【0187】図23に示すように、カソード電極3の上方に、カソード
電極3と平行となるようにアノード電極2が配置されている。アノード
電極2の光触媒担持面20が、カソード電極3と対向している。図22、
23に示すように、アノード電極2の上方には受光窓4が配置されてお
り、広い面積にて太陽光等をアノード電極2に受光できる構造になって
いる。【0188】
  アノード電極2とカソード電極3との間の空間に、電解液12を満た
すことができる。電解液12は、電解液供給管131より電解液槽10
に供給され、さらに電解液供給細管133を介して、電極間の空間に供
給される。そして、光触媒反応に供された電解液12は、電解液排出細
管134を介して電解液槽10に移動し、電解液排出管132により外
部に放出される。このようにして、電解液12の供給と太陽光の照射に
より、水素と酸素を継続して発生することができるようになる。
【0189】アノード電極2の上方には、光触媒担持面20の裏面を囲
繞するように第一ガス収容部21が配置されている。アノード電極2に
は第一貫通孔111が形成されており、酸素ガスは第一貫通孔111を
通って光触媒担持面20から裏面側に移動し、第一ガス収容部21に蓄
積される。そして、酸素ガス排出管101を介して回収される。
【0190】一方、カソード電極3の下方には第二ガス収容部31が配
置されている。カソード電極3には第二貫通孔が形成されており、水素
ガスは第二貫通孔を通ってガス生成面から裏面側に移動し、第二ガス収
容部31に蓄積される。そして、水素ガス排出管103を介して回収さ
れる。【0191】
なお、この太陽光対応ガス生成装置は、傾きを替えて使用することが可
能である。ただし、電解液が供給側から排出側に流れるように供給側が
高くなるように配置することは不可欠である。【0192】 カソード電
極3には、白金電極を用いることは可能であるが、その他炭素電極、白
金薄膜をスパッタ等により形成した薄膜電極を用いることも可能である。
図24は、太陽光対応ガス生成装置を下面から見た図である。

図24 第4実施形態の太陽光対応ガス生成装置の下面図

【0193】[第5実施形態]
図25に示す第5実施形態は、第4実施形態とは逆に、カソード電極3
をアノード電極2の上に設置した場合の太陽光対応のガス生成装置100
の側面断面図である。本実施形態のガス生成装置100は、水平に設置
されたカソード電極3と、その下方に平行に設置されたアノード電極2
とを備える。




【図26】(a)、(b)は第6実施形態のアノードカソード一体型電極の
斜視図【0194】

【図27】光触媒含有層と助触媒含有層との位置関係の一例を示す、第
7実施形態のアノードカソード一体型電極の概略正面図

  太陽光は、上方に設置された受光窓4よりカソード電極3を透過して、
アノード電極2の光触媒含有層27に入射される。アノード電極2の光
触媒含有層27は、上向きに配置されている。相互の電極に電解液12
が満たされた状態になっている。【0195】
  カソード電極3の上方には第二ガス収容部31が配置されている。カ
ソード電極3には第二貫通孔が形成されており、水素ガスは第二貫通孔
を通ってガス生成面から裏面側に移動し、第二ガス収容部31に蓄積さ
れる。そして、水素ガス排出管103を介して回収される。
【0196】  一方、アノード電極2の下方には、光触媒担持面20の
裏面を囲繞するように第一ガス収容部21が配置されている。アノード
電極2には第一貫通孔111が形成されており、酸素ガスは第一貫通孔
111を通って光触媒担持面20から裏面側に移動し、第一ガス収容部
21に蓄積される。そして、酸素ガス排出管101を介して回収される。

【0197】[第6実施形態](アノードカソード一体型電極)
  図26(a)、(b)は、第6実施形態のアノードカソード一体型電極5
0の斜視図である。
【0198】  本実施形態のアノードカソード一体型電極50においては、
カソード電極3とアノード電極2とが、共通の基材25に支持されて横
並びに配置されている。
【0199】  ここで、アノード電極2とカソード電極3とが横並びで
あるとは、平面方向に互いにずれあった位置にあることをいい、両電極
が完全に同一平面内にあることを必ずしも要するものではない。
【0200】複数のカソード電極3と複数のアノード電極2とは、互い
に隣接して配置されている。本実施形態のカソード電極3およびアノー
ド電極2は、それぞれ帯状をなしている。アノード電極2には複数の第
一貫通孔111がそれぞれ形成され、またカソード電極3には複数の第
二貫通孔113がそれぞれ形成されている。第一貫通孔111と第二貫
通孔113とは千鳥格子状などに規則配置されている。
【0201】帯状のアノード電極2およびカソード電極3は、図26(
a)のように貫通孔(第一貫通孔111、第二貫通孔113)をそれぞ
れ一列ずつ有してもよく、または図26(b)のように貫通孔をそれぞ
れ複数列ずつ有してもよい。
【0202】また、第一貫通孔111および第二貫通孔113の内壁面
は、電解液に対して疎水性であることが好ましい。さらに、アノード電
極2の光触媒含有層27およびカソード電極3の助触媒含有層43から
なる受光面に対して、その裏面は疎水性であることが望ましい。これによ
り、電解液が第一貫通孔111および第二貫通孔113を介して裏面側
に移動するのを効果的に抑制することができる。

【0203】[第7実施形態](アノードカソード一体型電極)
  本実施形態におけるアノードカソード一体型電極50は、図27の概
略上面図に示すように、光触媒含有層27が第一貫通孔111の周縁部
に沿ってリング状に形成されている。リング状に形成された光触媒含有
層27の幅は1μm以上である。
【0204】すなわち、本実施形態の光触媒含有層27(光触媒担持面
20)は第一貫通孔111の開口部の周縁部にリング状に設けられてい
る。また、助触媒含有層43は第二貫通孔113の開口部の周縁部にリ
ング状に設けられている。
【0205】また、助触媒含有層43が第二貫通孔113の周縁部に沿
ってリング状に形成されている。リング状に形成された助触媒含有層
43の幅は1μm以上である。ただし光触媒含有層27と助触媒含有層
43は、基材25の厚み範囲内においては、貫通孔111、113の内
壁には形成されていない。光触媒含有層27の幅が1μm以上であり、
助触媒含有層43の幅が1μm以上であることにより、ガス生成に優れる。
【0206】  すなわち、アノード電極2はリング状の光触媒含有層27
によって構成され、カソード電極3はリング状の助触媒含有層43によ
って構成されている。そして、カソード電極3とアノード電極2とは電
気絶縁性の材料(基材25)を介して横並びに隣接して設けられ、カソ
ード電極3とアノード電極2との隣接間隔は0.01μm以上である。

図28 図27に示したアノードカソード一体型電極の断面図であり、水
素と酸素の生成および分離の様子を図示したもの

【0207】  図28を参照して、光触媒含有層27および助触媒含有層
43におけるガス生成、さらに生成ガスの収集方法について説明する。
まず、光触媒含有層27における酸素ガスの発生および収集方法につい
て説明する。なお、図28は、図27中に示した破線における断面図で
ある。
【0208】 光触媒含有層27が、受光窓4から照射された励起光を受
光すると、電解液12(ここでは水:HOとして示す)に接している
光触媒含有層27上で光励起によって電子eと正孔hが生成される。
  2個の正孔hは、HOを酸化し2個のH(プロトン)と2分の1
個のO(酸素分子)を生成する(背景技術として説明した式101)。
このOは気体状態のまま直ちに第一貫通孔111を通過し、裏面側に
移動する。水は前述するヤング-ラプラス圧のために気液界面52を形
成し第一貫通孔111内部へは侵入しない(上式(2)を参照)。
【0209】  一方、光触媒含有層27において生成された2個のHは、
水中を拡散して2個の電子eと助触媒含有層43上で反応し1個のH
水素分子)を生成する(背景技術として説明した式102)。このH
気体状態のまま直ちに第二貫通孔113を通過し、裏面側に移動する。
水は前述するヤング-ラプラス圧のために気液界面52を形成し第二貫
通孔113内部へは侵入しない(上式(2)を参照)。
【0210】  酸素を通過させる第一貫通孔111と水素を通過させる
第二貫通孔113とは空間的に隔てられており、酸素と水素が水へ戻る
逆反応の確率は非常に小さくなる。水素と酸素が逆反応によって水に戻
るのは、水素を発生する助触媒上で生じるので、助触媒上に酸素が存在
しない条件にすることにより、水に戻る逆反応を抑制することができる。
  本実施形態のアノードカソード一体型電極50において、光触媒含有層
27は第一貫通孔111の開口部の周縁部に設けられ、助触媒含有層
43は第二貫通孔113の開口部の周縁部に設けられている。したがっ
て、本実施形態のガス生成装置は、酸素ガスおよび水素ガスの生産効率
が向上するとともにこれらのガスの分離性に優れる。
【0211】本実施形態においては、第一貫通孔111の内壁に光触媒
が担持されておらず、内壁において酸素ガスは発生しない。そして、第
一貫通孔111の内壁が疎水性であるので、電解液14は侵入すること
ができず、第一貫通孔111の開口部に電解液12面とガス相の面であ
る気液界面52が形成される。この気液界面52が形成される機構は、
前述するヤング-ラプラス圧によるものである。
【0212】  したがって、光触媒含有層27にて発生した酸素分子は、
電解液12に溶け込み拡散によって気液界面52に達するか、もしくは
気泡に成長すると同時に気液界面52に接触し、破泡現象によって第一
貫通孔111内部のガス相に吸収されることになる。この結果、酸素ガ
スが発生すると同時に第一貫通孔111に吸い込まれ、裏面側に移動す
る現象が継続して生じることなる。ガス生成装置100にて発生した酸
素ガスは、その背面に設けられた第1ガス収容部から酸素ガス排出管1
01を介して送出されることになる。このように、酸素ガス排出管101
(後述する図30(a)および(b)を参照)を介して酸素ガスを回収
することができる。
【0213】  次に、助触媒含有層43における水素ガスの発生および
収集方法について説明する。受光窓4からの励起光を光触媒含有層27
が受光すると、光触媒含有層27は光触媒反応により、Hと電子e
を生成する。そして、助触媒含有層43には、電解液中のHと電子e
から水素ガスを生成する。本実施形態において、第二貫通孔113の内
壁には助触媒が担持されておらず、内壁において水素ガスは発生しない。
そして、第二貫通孔113の内壁が疎水性であるので、電解液12は侵
入することができず、貫通孔の開口部に電解液14面とガス相の面であ
る気液界面52(図28を参照)が形成される。この気液界面52が形
成される機構は、前述するヤング-ラプラス圧によるものである。
【0214】  したがって、助触媒含有層43にて発生した水素ガスは、
気泡に成長すると同時に気液界面52に接触し、破泡現象によって第二
貫通孔113内部のガス相に吸収されることになる。この結果、水素ガ
スが発生すると同時に第二貫通孔113に吸い込まれ、裏面側に移動す
る現象が継続して生じることなる。このようにして、ガス生成装置100
にて発生した水素ガスがその裏面に設けられた第2ガス収容部から水素
ガス排出管103(図30(b)を参照)を介して水素ガスを回収する
ことができる。

図30(a)は第9実施形態におけるアノードカソード一体型電極を備
えたガス生成装置の側面断面図であり、(b)はその正面図

                          この項つづく


✳️2️⃣ 
ピコキャビティ内の水素の分光計測に成功
分子科学研究所らの共同研究グループは、低温・超高真空環境において
銀ナノ探針と銀単結晶基板の間に形成されるピコキャビティ内に物理吸
着によって閉じ込めた水素分子(H2)および重水素分子(D2)を探針
増強ラマン分光(TERS)によって単一分子レベルで観測することに成
功したとを公表。
【成果】
近年,ナノサイエンスやナノテクノロジーの分野で100億分の
1mオーダーの極微空間である「ピコキャビティ」に閉じ込めた光(近
接場)と物質との相互作用が注目され,原子スケールの精密計測や量子
光技術の基盤としてその研究が急速に進展している。
研究では,最も単
純な分子である水素分子をピコキャビティに閉じ込め,高精度のTERS測
定を行なうことでその振動・回転モードを分光計測した。実験には,超
高真空下で−263 ℃(10K)に冷却して水素分子を吸着させた銀単結晶
基板と,先端部に可視光レーザーを照射した同じ温度の銀探針を用いた。
その結果,ピコキャビティ内における水素分子の構造とダイナミクスを
単一分子レベルで解明することに成功した。

特に,銀ナノ探針と銀単結晶基板の間隔(ギャップ距離)を精密に制御
し,分子との極めて小さな相互作用を段階的に変化させたところ,D2
に比べてH2の振動モードだけが大きく変化することを発見した。このよ
うなピコキャビティにおける極微な現象は,従来の空間平均的なラマン
分光やその他の振動分光法で観測することはできず,今回の単一分子レ
ベルの精密分光によって初めて実証された。
【展望】
極限的に狭い空間における光と分子の相互作用や,吸着分子の量子ダイ
ナミクスに関する理解を深めるもの。研究グループは,原子スケールの
精密分子分光は,水素貯蔵材料や触媒反応などのエネルギー関連材料の
機能解析や,単一分子の量子制御の開発など,次世代のナノ計測や量子
技術への応用展開が期待される。
【掲載誌】

掲載誌: Physical Review Letters
論文タイトル: Picocavity-enhanced Raman Spectroscopy of Physiso‐

rbed H2 and D2 Molecules
掲載日: 2025年5月20日

DOI: 10.1103/PhysRevLett.134.206901

ト音記号 イラストや に対する画像結果 ヘンデル代表曲【生涯と名曲】


● 今日の言葉:鍵を握るのは触媒と呼ばれるものだ。
『触媒ー自然界のショートカット』
鍵を握るのは触媒と呼ばれるものだ、と科学者は考えている。量子コン
ピュータでそれを分析できるのではないかと。触媒は、見物人のような
ものだ。化学反応に直接関与しないが、どういうわけか、それがあるだ
けで反応が促進される。
 通常、体内の化学反応はかなり遅く、長い時間をかけて起こるものも
ある。だが時として、魔法のようなことが起きてそうしたプロセスが加
速する結果、ほんの一瞬で起こる場合がある。
ここに触媒が関わっている。窒素固定のプロセスに対しては、ニトロゲ
ナーゼという触媒が存在する。指揮者と同じように、この触媒の目的は
12個のATP分子を窒素に結合させて、三重結合を断ち切るのに必要
な、多くの段階をうまくとりまとめることだ。したがって、ニトロキナ
ーゼは「第二の緑の革命」を起こす鍵を握っているのだ。だが、生憎現
在のデジタルコンピュータは未熟すぎて、その秘密を解き明かせない。
しかし量子コンピュータはこの重要なタスクにうってつけかもしれない。


【著書名】量子超越―量子コンピュータが世界を変える
【内容説明】
グーグル、IBM、マイクロソフトらが熾烈な開発競争を繰り広げる「
量子コンピュータ」。実用化されると、私たちの暮らしはどのように変わ
るのか?エネルギー、医療、経済、宇宙探査など、あらゆる分野でどの
ようなイノベーションが起きるのか?量子論の研究に生涯を捧げてきた
世界的物理学者ミチオ・カク博士が、量子コンピュータの科学的仕組み
や、ワクワクするような未来を解説する。ニューヨーク・タイムズベス
トセラー。
【目次】
第1部 量子コンピュータの登場(新時代の幕開け;コンピューティン
グの歴史;量子論;量子コンピュータの夜明け;レースは始まっている)
第2部 世界の問題を解決する(生命の謎を解く;世界を緑化する;地
球を養う;エネルギー革命)
第3部 量子医療(創薬と保健衛生;遺伝子編集とがん;AIの活用と
病の治療;不老不死)
第4部 世界と宇宙をモデル化する(地球温暖化;太陽をビンのなかに;
宇宙をシミュレートする;2050年のある日)
エピローグ 量子の謎
-------------------------------------------------------------------------------


           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 

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エネルギーと環境 243 

2025年05月25日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

                豆飯 に対する画像結果

【季語と短歌:5月25日】  

      豆飯の香り籠るる目覚めかな 

                  高山 宇(揺歌鬼) 

🪄この二週間トラブルで日誌は書けず、悶々としていたが、図書館や薔
薇園や園芸で気晴らしを行う。尾末の図書館は昨日まで駐車場の整備で、
休館だとか、デジタル化した
美しく整備されていた。そう言えば松原の
彦根陸上総合公園も来年の国スポ会場に合わせ新装整備されている。帰
り道で庄堺薔薇園に立ち寄る。

 

彦根総合スポーツ公園 陸上競技場(平和堂HATOスタジアム) - 株式会社笹川組 | 滋賀県 大津 建設業 | 未来を築く建設業



【著書名】量子超越―量子コンピュータが世界を変える
【内容説明】

グーグル、IBM、マイクロソフトらが熾烈な開発競争を繰り広げる「
量子コンピュータ」。実用化されると、私たちの暮らしはどのように変わ
るのか?エネルギー、医療、経済、宇宙探査など、あらゆる分野でどの
ようなイノベーションが起きるのか?量子論の研究に生涯を捧げてきた
世界的物理学者ミチオ・カク博士が、量子コンピュータの科学的仕組み
や、ワクワクするような未来を解説する。ニューヨーク・タイムズベス
トセラー。
目次
第1部 量子コンピュータの登場(新時代の幕開け;コンピューティン
グの歴史;量子論;量子コンピュータの夜明け;レースは始まっている)

第2部 世界の問題を解決する(生命の謎を解く;世界を緑化する;地
球を養う;エネルギー革命)

第3部 量子医療(創薬と保健衛生;遺伝子編集とがん;AIの活用と
病の治療;不老不死)

第4部 世界と宇宙をモデル化する(地球温暖化;太陽をビンのなかに;
宇宙をシミュレートする;2050年のある日)

エピローグ 量子の謎

【著者ミチオ・カク  
ニューヨーク市立大学理論物理学教授。ハーバード大学卒業後、カリフ
ォルニア大学バークリー校で博士号取得。「ひもの場の理論」の創始者の
一人。『アインシュタインを超える』(講談社)、『パラレルワールド』『サ
イエンス・インポッシブル』『2100 年の科学ライフ』『フューチャー・オ
ブ・マインド』『人類、宇宙に住む』『神の方程式』(以上、NHK 出版)な
どの著書がベストセラーとなり、『パラレルワールド(Parallel Worlds)』
はサミュエル・ジョンソン賞候補作。『フューチャー・オブ・マインド(
he Future of the Mind)』 は『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー1
位に輝く。BBC やディスカバリー・チャンネルなど数々のテレビ科学番
組に出演するほか、全米ラジオ科学番組の司会者も務める。最新の科学
を一般読者や視聴者にわかりやすく情熱的に伝える著者の力量は高く評
価されている。
【翻訳者】
斉藤 隆央 訳
翻訳家。1967 年生まれ。東京大学工学部工業化学科卒業。訳書にミチオ・
カク『パラレルワールド』『サイエンス・インポッシブル』『2100年の科
学ライフ』『フューチャー・オブ・マインド』『人類、宇宙に住む』『神の
方程式』、フィリップ・プレイト『宇宙から恐怖がやってくる!』(以上、
NHK 出版)、ニック・レーン『生命、エネルギー、進化』、ポール・J・
スタインハート『「第二の不可能」を追え!』(以上、みすず書房)、ホヴ
ァート・シリング『時空のさざなみ』(化学同人)、ジム・アル=カリーリ
『エイリアン』(紀伊國屋書店)、カール・ジンマー『「生きている」とは
どういうことか』(白揚社)ほか多数。
🪄さて、「量子超越」は優れた解説書である。関心のる方にはお勧めし
たい。量子コンピューティングにおいて量子超越性( Quantum suprem‐
acy
)とは、プログラム可能な量子デバイスが、どの様な古典コンピュー
タでも実用的な時間では解決できない問題を解決できることを(問題の
有用性に関係なく)証明することであるという。それよりも弱い量子優
位性 (quantum advantage) は、量子デバイスが古典コンピュータより
も速く問題を解決できることを表す。量子超越性には概念上、処理能力
の高い量子コンピューターを構築するエンジニアリングタスクと、知ら
れている最善の古典アルゴリズムに比べて、その量子コンピュータを用
いて超多項式 (en:superpolynomial)の高速化ができるような問題を見つ
ける計算複雑性理論上のタスクが含まれ、この用語は元々ジョン・プレ
スキル
によって広められたが、量子コンピューティングの利点、特に量
子システムのシミュレーションの概念は、 ユーリ・マニン (1980)
よびリチャード・ファインマン (1981)の量子計算の提案にさかのぼ
るものとされる。


窒素ガスと水からの触媒的アンモニア合成反応を可視光エネルギーにより駆動することに成功!~常温常圧の反応条件下でのグリーンアンモニア合成法のさきがけ~
✳️窒素ガスと水からの触媒的アンモニア合成反応

✅可視光エネルギーにより駆動することに成功!
窒素ガス(N2)と水(H2O)からの触媒的アンモニア(NH3)合成
5月23日、東京大学大学院工学系研究科の西林仁昭教授らの研究チー
ムは、常温常圧下で窒素ガスと水からアンモニアを合成する新たな光触
媒反応を開発。この手法では、モリブデン錯体とイリジウム錯体の2種
類の分子触媒に可視光を照射し、有機リン化合物を還元剤として用いる
ことで、太陽光エネルギーを利用したアンモニア合成を実現。従来のハー
バー・ボッシュ法は高温高圧と大量のエネルギーを必要とするが、この
新技術は再生可能エネルギーを活用し、環境負荷の少ない「グリーンア
ンモニア」の製造に道を開く。この成果は、2025年5月22日に『Nature
Communications』誌に掲載。
【成果】
水をアンモニア合成反応の原料とするためには、水分子から電子やプロト
ン(H+)を取り出し、それらをモリブデン錯体へ供与する必要があが、
水分子は比較的安定な分子であるため、例えばモリブデン触媒と単純に
混合しても、電子やプロトン(H+)が水からモリブデン錯体へ自発的に
移動することは通常困難である。したがって、水分子を活性化する反応
と上述の光触媒的アンモニア合成反応を効果的に組み合わせる必要があ
ると考えられる。
今回本研究グループは、有機リン化合物を用いた水分子の光化学的な活
性化反応を活用し、水をアンモニア合成反応のプロトン(H+)源とした
新しい反応系の開発を行なった。2018年に同研究グループは、光反応に
よって有機リン化合物から他の分子への電子移動(光誘起電子移動)を引
き起こすと、水分子との間にP-O結合が形成されることを見出した(Chem.
Eur. J. 
2018, 24, 18618-18622.)。この結合形成によって水分子は活性化
され、他の分子へ容易にプロトン(H+)を供与できる強い酸として機能
できることが明らかになっている。この反応系から得られた知見を応用
し、光酸化力の高い光誘起電子移動触媒を用いて有機リン化合物からの
光誘起電子移動を引き起こすことで水分子を活性化してモリブデン錯体
上で進行するアンモニア合成反応のプロトン(H+)源として水を利用す
ることを狙った。

具体的には、アンモニア合成触媒としてモリブデン錯体、光誘起電子移
動触媒としてイリジウム錯体、還元剤として有機リン化合物、プロトン
(H+)源として水を含む溶液に対して、常温常圧の窒素ガス雰囲気下、
可視光を照射したところ、アンモニアが触媒的に生成した(図1c)。更に
この反応系では、基質と触媒間のプロトンの受け渡しを促進できる「プロ
トン伝達体(ピリジン誘導体)」を加えることで反応活性が劇的に向上す
ることが明らかとなった。これまでに報告されてきた光触媒的アンモニ
ア合成反応系の中で最も高い触媒回転数(注7)を達成すると共に、量
子効率を先行研究での2%から本研究での22%へと飛躍的に向上させるこ
とに成功。
本光触媒反応の反応機構を調査したところ、図2に示した複数の過程を経
て進行していると推定された。まず照射した可視光のエネルギーを用い
て光誘起電子移動触媒であるイリジウム錯体が有機リン化合物からの電
子移動を引き起こし、イリジウム錯体は還元状態に、有機リン化合物は
酸化状態となる。酸化状態の有機リン化合物は、水分子と結合を形成し
て水分子を活性化する。一方、モリブデン錯体は、窒素分子を活性化し
てニトリド配位子を有するニトリド錯体を生成する。イリジウム錯体の
還元状態が電子を、水分子と結合した有機リン化合物がプロトン(H+
をニトリド錯体へ供与(プロトン共役電子移動)することでアンモニア
が生成される。なお、水分子と結合した有機リン化合物からニトリド錯
体へのプロトン(H+)移動は、プロトン伝達体存在下では大幅に加速
れる。
fig2
図2:今回の光触媒反応系における反応機構
【展望】
本研究は、カーボンニュートラル化の達成に向けて今後更なる需要の拡
大が予想されるアンモニアを、常温常圧の窒素ガスと水から太陽光の主
成分である可視光を用いて合成することに成功した世界初の例である。
本研究成果はグリーンアンモニア合成法の開発に向けた重大な知見を与
えると同時に、さまざまな研究分野において大きな波及効果をもたらす
ものと期待される。
【掲載誌】
雑誌名:Nature Communications
題 名:Catalytic ammonia formation from dinitrogen, water, and
visible light energy
DOI:10.1038/s41467-025-59727-w
URL:https://www.nature.com/articles/s41467-025-59727-w

🪄
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❇️ 1️⃣ WO2011/030546 ガス生成装置およびガス生成
方法 三井化学
株式会社(参考検索)②
【要約】 水を含む電解液(12)から酸素ガスおよび/または水素ガス
を生成するガス生成装置は、アノード電極(2)、カソード電極(3)、
複数の貫通孔、およびガス収容部(21)を備えている。アノード電極
(2)(光触媒担持電極)は、光触媒反応により電解液(12)から酸素
ガスを生成する光触媒を含む光触媒含有層を有する。カソード電極(3)
は、光触媒含有層における光触媒反応により電解液(12)で生成され
た水素イオンおよび電子から水素ガスを生成する。貫通孔は、アノード
電極(2)またはカソード電極(3)の少なくとも一方に設けられ、電
解液(12)を通過させず、かつ生成された酸素ガスまたは水素ガスを
通過させる。そして、ガス収容部(21)は、貫通孔を通過した酸素ガ
スまたは水素ガスを収容する。(つづく)
【図18】第3実施形態のガス生成装置の側面断面図である。
【図19】図18に示される第3実施形態のガス生成装置の正面図である。
図18は本実施形態のガス生成装置の側面断面図であり、

図19はカソード電極3側からの正面図であり、

図20は上面図である。
【0175】[第3実施形態]  本実施形態のガス生成装置100は、図
11に示した光触媒セル1と、図14に示した助触媒セル6とを用いて
構成されている。
  図18は本実施形態のガス生成装置の側面断面図であり、図19はカソ
ード電極3側からの正面図であり、図20は上面図である。
【0176】  図18に示すように、光触媒セル1と、助触媒セル6とは、
電極間スペーサー61を挟んだ構成で、平行に設置された構成となってい
る。電極間スペーサーによるアノード電極2の光触媒担持面20と、カ
ソード電極3とは対向して設置されている。アノード電極2と、カソー
ド電極3とにより、空間(電極間隙部)が形成され、その電極間隙部に
は電解液12が満たされた状態になっている。
【0177】  図19の正面図に示すように、ガス生成装置100の一方
には、電解液供給細管133と電解液供給管131とが配置されており、
上記の空間に外部より電解液を供給することができる。そして、他方に
は電解液排出細管134と電解液排出管132とが配置されており、上
記の空間(電極間隙部)において光触媒反応に供された電解液12を外
部に排出することができる。つまり、アノード電極2と、カソード電極
3とにより形成された電極間隙部は、電解液流路の一部を構成する。
【0178】  言い換えると、ガス生成装置100は、電解液12を貯留
してアノード電極2およびカソード電極3をこの電解液12に接触させ
る電解液貯留部(電極間隙部)と、この電解液貯留部に電解液12を供
給する電解液供給管131と、触媒反応に供された電解液12を電解液
貯留部から排出する電解液排出管132と、をさらに備えている。

💹【0179】  触媒の励起光は、受光窓4を介してアノード電極2に
おける光触媒担持面20の裏面側から照射される。励起光は基材25を
さらに透過し、基材25上の光触媒含有層27に照射される。そして、
電解液12と接する光触媒含有層27の表面にて酸素ガスと水素イオン
が発生する。酸素ガスは、アノード電極2の貫通孔を通って光触媒担持
面20から裏面側に移動し、第一ガス収容部21に蓄積され、酸素ガス
排出管101を介して回収される。
【0180】  一方、水素イオンは、光触媒含有層27で発生した後、電
解液12に溶け込み、カソード電極3に到達する。また、光触媒含有層
27で発生した電子は、図20に示すように、通電用ワイヤ202を介
して同じくカソード電極3に到達する。カソード電極3の表面において、
電子と水素イオンとから水素ガスが生成する。生成した水素ガスは、カ
ソード電極3の第二貫通孔を通ってガス生成面から裏面側に移動し、第
二ガス収容部31に蓄積され、水素ガス排出管103を介して回収される。
【0181】  このように、アノード電極2で発生した酸素ガスと、カソ
ード電極3で発生した水素ガスは、互いに交じり合うことなく、第一ガ
ス収容部21と第二ガス収容部31に別々に蓄積される。これにより、
アノード電極2とカソード電極3との間隔は従来の電極構造では達成し
得ない間隔にまで近接配置することが可能になる。
【0182】  また、酸素ガス、水素ガスの移動は、後述するように重力
によらない表面張力によって行なわれるので、上下左右の配置を気にせ
ず、自由に電極配置を行なうことができるようになる。例えば、アノー
ド電極2とカソード電極3とを上下に向き合うように水平に配置するこ
とも可能になる。

【0183】  図21は、図18と同じく二つの電解セルを連結させた
ものであるが、光の照射は図17とは正反対にカソード電極3側の受光
窓4より照射される。この場合、カソード電極3は励起光に対して透明
であり、照射された光はアノード電極2の光触媒含有層27に照射され
る。この場合も、図18に示すガス生成装置100と同様に、酸素ガス
と水素ガスは夫々のガス収容部に蓄積された後、夫々のガス排出管によ
って外部に供出される。

図21
【0184】図18に示すガス生成装置100においては、カソード電
極3を励起光に対して不透明な部材から構成することができ、図21に
示すガス生成装置100においては、アノード電極2を励起光に対して
不透明な部材から構成することができる。本実施形態においては、励起
光の照射を効率よく行う観点から、アノード電極2およびカソード電極
3を励起光に対して透明な部材から構成することも好ましい。

【0185】[第4実施形態](太陽光対応ガス生成装置)
本実施形態のガス生成装置100は、水平に配置されたカソード電極3
の上方にアノード電極2を平行に配置し、太陽光等の上方向から照射さ
れる励起光に対して略直角になるようにアノード電極2を設けられたガ
ス生成装置100(太陽光対応ガス生成装置)である。本実施形態のガ
ス生成装置100は、水平に設置されたアノード電極2と、その下方に
平行に設置されたカソード電極3とを備えている。

【0186】  図22は本実施形態の太陽光対応のガス生成装置100の
上面図であり、図23は側面断面図であり、図24は下面図である。


  図23               

図24

図25
                         この項つづく

ト音記号 イラストや に対する画像結果
      『矢沢永吉: IT'S UP TO YOU!

      ホントはもう気付いて いるんだろう
      時代のせいばかりじゃ 無いことを
      オマエはどうなんだい? Look At You
      ホントはもう分って いるんだろう
      あんがい限界が 高いことを
      オマエならどうする? Please Tell Me Now
      IT'S UP TO YOU! 枯れない欲望
      IT'S UP TO YOU! 冷めない夢を
      IT'S UP TO YOU! 見せろよ!
      もっともな常識の カゴの中




 今日の言葉:矢沢って何だろうっと考える。この情熱はどこから
   噴出されるのだろうか? そして”揺歌鬼”と名付けた。さあ、こ
   れからだと...?!


 

           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 

 

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エネルギーと環境 242

2025年05月12日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

                      花 

【季語と短歌:5月12日】            

       風薫る小千鳥山藤空青し 
               
                  高山 宇(空色鬼) 


図1:人工衛星観測で捉えられた地表面の隆起量と海底    図2:2024年能登半島地震を発生させた活断層の
  活断層の分布                      3次元形状
                     


図4 高耐熱キャパシターの生産工程
図4 耐熱キャパシターの生産工程:ジェイテクトの新型キャパシター量産ライン;日経xTECH

✳️リチウムイオンキャパシター用の「三元複合負極材」
グラファイトとハードカーボン、ナノSiの質量比「2対6対2」
秋田大学は、リチウムイオンキャパシター用の「三元複合負極材」を開
発。この負極材を用いて試作したリチウムイオンキャパシターは、129.
3Wh/kgという最高エネルギー密度を達成(via EE Times Japan)。
これまで、リチウムイオンキャパシターは、負極材に炭素系材料を、正
極材に活性炭をそれぞれ用いた蓄電デバイス。「エネルギー密度」「入出
力密度」「サイクル寿命」のバランスに優れている。ただ、従来の負極材
は比容量が低いため、リチウムイオン電池に比べるとエネルギー密度は
低かった。
画像 1
【要約】以前は、リチウムイオンキャパシタ(LIC)用の硬質炭素(HC)/グ
ラファイト(Gr)複合炭素(CC)陽極が優れたサイクリング性能とレート性
能を示すことが注目されていました。本研究では、ナノSiをCCマトリッ
クスに集積し、LICs用の高エネルギー密度三元複合陽極を開発。固体電
解質の界面を安定させ、複合アノードの不可逆的な容量を排除に、 2回
繰り返されるプレリチウム化法を適用。このアプローチでは、Siの高い
比容量を活用してエネルギー密度を高め、HC中のアモルファスカーボン
を利用して充電中のSiの体積膨張を緩衝し、Grの高い電気伝導率を活用
しレート性能を向上。三元複合アノードは、エネルギー密度を最大化し、
極端な条件下での耐久性の評価に、より広い電圧範囲にわたって電気化
学的特性評価。複合アノードの最適なCC:nano-Si質量比は、比較研究を
通じて決定された。CC:nano-Si質量比80:20の複合陽極は、最大エネル
ギー密度129.3Wh kg−1を達成。
また、2.0〜4.0 Vで10,000 サイクル後
に88.4 %の優れたエネルギー密度保持率を実現。1.5〜4.2Vで5000サイ
クルの追加を含む加速老化試験後の保持率は90.1%

Fig. 1
Fig. 1. (a) Raman spectra and (b) XRD patterns of HC, Gr, and nano-Si.

Fig. 8
Fig. 8. SEM images of the composite anodes before
and after electrochemical characterization.
【展望】現在、ナノサイズの Si 粒子は高価であり、それが三元複合負極
材の実用化を妨げる可能性があります。従って、より安価なサブミクロ
ンサイズおよびミクロンサイズのSiで代用できるような技術を探索。さ
らに、使用済み太陽光発電パネルから Si を抽出するなど、環境に配慮
た材料の使用
も検討する。
【掲載誌】
雑誌名:Journal of Power Sources
文題目:Hard carbon/graphite/nano-silicon ternary composite anode
for high-performance  Li-ion capacitors (オープンアクセス化,無料で
閲覧可能) 
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jpowsour.2025.236930 

ウイルス解体新書特版


✳️ 
迅速かつ高感度、安価な新型コロナ検査法
   市販の検査キットと比べて約100倍高感度検出
4月28日、長崎大学,エジプト・マンスーラ大学は,ポリマー化アリザ
リンレッド-無機ハイブリッドナノアーキテクチャを蛍光標識試薬とし
て用いる,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の核タンパク質の迅速
で高感度な免疫測定法を開発(via オプトロニクス・オンライン)

COVID-19パンデミックのような新興感染症は世界中に深刻な影響を及
ぼしており,公衆衛生および医療システムへの負担が増大しており,迅
速かつ高信頼性の診断ツールの必要性が顕在化している。
現行の免疫測
定法,とくに酵素標識抗体を用いるエンザイム免疫測定法は,感度およ
び特異性において高い性能を有するものの,コストや安定性に課題が残
されており,迅速診断が求められる臨床現場での即応性に欠ける場面も
あり,これらの課題を克服し得る新規技術の開発が課題となっている。

そこで研究では,免疫測定法に用いる新たな非酵素的蛍光標識システム
として,PARIHN技術を開発した。PARIHNは,比較的安全でコスト効
率の高い素材である,キトサン(天然由来高分子),アリザリンレッド
(色素)および亜鉛イオンから合成される。

【今後の展望】 PARIHN技術は、免疫定法やイムノクロマト法において
高い感度を示しており、診断技術としての大きな可能性が実証された。
今後はこの技術を研究開発の段階から実用化へと展開するため、製造プ
ロセスのスケールアップやコスト削減を見据えた最適化が重要な課題と
なる。
 また、さまざまな臨床検体を用いたバリデーションを通じて、再現性
や信頼性を確保し、国内外の規制基準に対応した体制を整えていくこと
も不可欠です。さらに、PARIHNをマイクロ流体デバイスやポイント・
オブ・ケア機器と組み合わせることで、より迅速かつ簡便な診断が可能
となり、公衆衛生の向上にも寄与すると期待される。加えて、本技術の
応用範囲を広げるために、他の病原体やバイオマーカーの検出への適応
可能性を探る研究も進められている。
pr20250430-11.jpg
図1 (a) HRTEM像。暗いコントラストで示されるメタチタン酸ナノ粒子
が見られる。(b) 画像処理によって粒子領域を検出した図。粒子ごとに
色分けして塗りつぶしている。(c) b中の中央下、白い丸とバツでマーク
された粒子のFFT図形。(d)格子相関マップの一例。ここでは(004)面と
(110)面、(002)面と(110)面の組み合わせがスポットとして現れている。
(e)解析から提案された結晶模型。(f)結晶模型について計算した環状暗視
野STEM像。(g)メタチタン酸ナノ粒子の環状暗視野STEM像。

【論文情報】
掲載誌: Biosensors
論文タイトル : Polymerized Alizarin Red–Inorganic Hybrid Nanoarchitecture (PARIHN)
as a Novel Fluorogenic Label for the Immunosorbent Assay of COVID-19
DOI: 10.3390/bios15040256 Available online: 16 April 2025
https://www.mdpi.com/2079-6374/15/4/256

 

I/O booksコンピュータウイルス解体新書
瀧本 往人【著】/第二I O編集部【編】
工学社(2009/12発売)
内容説明:身代金要求:データにパスワードをかけて“身代金”を要求!
ゾンビPC:あなたのPCが犯罪者の“操り人形”になる!爆発的感染:
世界を舞台に起こるウイルスの爆発的拡大!悪質スパム:誰もが興味を
もつ話題に潜む「トロイの木馬」。社会を揺るがす犯罪の正体。
目次
序章 コンピュータ・ウイルスの今
第1章 国内を揺るがしたウイルス
第2章 つい騙されるウイルス
第3章 ターゲットを絞り込んだウイルス
第4章 爆発的に拡散するウイルス手法
終章 ウイルスの未来像と社会像の未来

著者等紹介:瀧本往人[タキモトユキト]
信州大学大学院人文科学研究科(地域文化・比較哲学専攻)修了の後、
同大学院工学研究科博士課程後期で地域社会論・環境哲学を専攻。現在、
國學院大學と神奈川県立保健福祉大学などで非常勤講師(哲学)、G 
Data Software株式会社執行役員(本データはこの書籍が
刊行された当時に掲載されていたもの)
※書籍に掲載されている著者及
び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報である。

野菜や花がグングン育つ! 農家を助ける

大石物産(福岡県八女市、大石一正社長)は、家庭園芸用の培養土や肥
料の製造を手がける。リサイクル材の活用など環境に配慮した製品開発
に従来取り組んできた。
3月に福岡や佐賀、長崎の各県内にあるホーム
センター(HC)で販売が始まったのが培養土「実のなる野菜の土」。同
製品に配合した土壌改良資材は九州大学などと共同開発したものでシュ
レッダー古紙を原料に使う。
細かく裁断されたシュレッダー古紙は製紙原料には不向きで、多くが焼
却処分される。そこで採用したのが、九大が研究する「トリコデルマ菌
911」株。紙の繊維質を分解する能力が高く、古紙を栄養にできると
いう。土壌病害の発生を抑えて、植物の栄養吸収を助ける作用もある。
高温環境への耐性が高く、45度Cで15時間。高温耐性は管理のしや
すさにつながる。

原料のシュレッダー古紙は同社事務所で発生したもの。そのほか土壌改
良資材には、浄水場で発生した土砂などの沈殿物を脱水・乾燥した浄水
ケーキと呼ばれる材料と園芸用軽石を使う。浄水ケーキは菌のすみかと
なる。保存性を向上させるための軽石には、他の製品の原料にしにくい
サイズを使用して資源の有効活用を図った。

開発は福岡県リサイクル総合研究事業化センター(北九州市若松区)が
支援し、2016年度以降に実施された三つの研究会を経て実現した。
同センターは関係者の調整や研究費の面で後押ししている。
野菜の栽培
に関する効果の検証では、福岡県農林業総合試験場(福岡県筑紫野市)
が技術支援や農家への協力要請を行った。サラダ菜やトマト、大根で収
量の増大を確認した。連作障害の軽減も期待できる。
卸先のホームセン
ター業界では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への取り組み機
運が大手を中心に高まっているという。大石物産は取扱店舗を増やしてい
きたい考えだ。また将来は土壌改良材のみの製品化も検討する。

🪄「がっちりマンデ!!」(5月11日 TBS)で見た。「胡散臭い」バリ
 アを感じるものの「トリコデルマ菌911」の製紙分解残渣の効能と
 なるとネット」で見る限り「定量的評価数値」がない。したがって

 紙排出物」(燃えるゴミとして再利用)➡️「新しい培養土」として再
 利用効果「対購入費」が「コスパ感」を満足さるのか?(残疑問)。


✳️ ナノ粒子の三次元結晶構造の決定法
   ― 欠陥を多く含むメタチタン酸ナノ粒子の構造決定に成功 

pr20250430-11.jpg
図1 (a) HRTEM像。暗いコントラストで示されるメタチタン酸ナノ粒子が見られる:(b) 画像
処理によって粒子領域を検出した図。粒子ごとに色分けして塗りつぶしている。(c) b中の中央
下、白い丸とバツでマークされた粒子のFFT図形。(d)格子相関マップの一例。ここでは(004)面
と(110)面、(002)面と(110)面の組み合わせがスポットとして現れている。(e)解析から提案さ
れた結晶模型。(f)結晶模型について計算した環状暗視野STEM像。(g)メタチタン酸ナノ粒子の
環状暗視野STEM像
【概要】
今回の研究では,FFT(高速フーリエ変換)を用いて得られた
格子の間隔や角度の相関を統計的に解析し,構造情報を導出する新たな
手法を開発した。
具体的には,TEM試料上にランダムな方位で分散した
ナノ粒子から得られた500枚の高解像度TEM像から約1300個のナノ粒子
を検出し,それぞれの画像に対してFFTを実行し,メタチタン酸ナノ粒
子がもつ特徴的な格子相関を統計的に得ることで構造に関する三次元情
報を得た。
その結果,メタチタン酸ナノ粒子の構造は,アナターゼ型酸
化チタン(TiO2)を骨格としながら,TiO2層とTi(OH)4層が交互に積
層する特異な構造であることが明らかとなった。
この構造モデルは,密度汎関数理論(DFT)による計算で安定性が確認
され,さらに環状暗視野STEM観察によって得られた像とも一致し,提
案された構造の妥当性が裏付けられた。
開発した格子相関解析は,従来
と比べて1/20から1/500程度の低い電子線照射量で三次元的な結晶構造の
解明を可能とする。研究グループは,このような材料の構造解明に弾み
をつける新たな手法であり,多彩な物性の理解に貢献すると期待される
としている

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掲載誌:Communications Chemistry
題 目:Three-dimensional atomic-scale characterization of titanium
oxyhydroxide nanoparticles by data-driven lattice correlation analysis
掲載日:2025年4月28日
DOI:doi.org/10.1038/s42004-025-01513-2
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✳️単層カーボンナノチューブ内に弱く閉じ込めたカルビンを低温合成
ペンシルベニア州立大学(Penn State)を含む国際研究チームは、極め
て強靭ながら不安定で実用化が難しかった炭素の一種「カービン(carb^
yne)」の安定化に成功しました。カービンは、炭素原子が直線状に連な
る一次元構造を持ち、理論上はグラフェンを超える強度と優れた電子特
性を有すが、従来は容易に曲がったり結合し、合成や大量生産が困難で
あった。研究チームは、カービンを単層カーボンナノチューブ(SWCNT)
の内部に封入し、低温環境下で合成することで、カービンの安定性を向
上させることに成功した。これにより、従来よりも容易にカービンを生
成できるようになり、材料科学や技術分野での新たな応用が期待される。
このように、カービンは、電子が高速で移動できる特性に加え、自然に
「半導体ギャップ」を持つため、トランジスタのような電子デバイスへ
の応用が可能です。これは、ギャップを持たないグラフェンとは
異なる
利点であり、将来的にはシリコンに代わる高速・高効率な電子材
料とし
ての活用が期待されている
。この研究成果は、、材料科学やナノテクノロ
ジー分野における革新的な進展として注目されている。


【要約】カービンは、三重結合と単結合が交互に配置された一次元(1D)
炭素の同素体であり、知られている中で最高の機械的強度を持っている
が、曲げに対して不安定であり、そのため合成は短い線状鎖に制限され
ており、カーボンナノチューブ(CNT)の内部に封入することでカービ
ンが安定化し、閉じ込められたカービン(CC)が形成され、カービンの
魅力的な1D物理学や材料特性に関するさらなる研究が可能になる。
CCは、アーク放電法を使用して多層CNT内で合成され、また高温高真空
法を用いて二重壁CNT内でも合成されているが、単層CNT(SWCNT)内
での合成は、その脆さのために困難でした。本研究では、SWCNT内で
CCを合成するための低温手法(CC@SWCNT)を報告します。400°C
ADC(アモニウムデオキシコール酸)を含むSWCNTをアニールする

とにより、SWCNTを損傷することなくADCがCCに変換された
。ラマン
分光法により、1860〜1870 cm−1で強いCCフォノンピーク(CCモード)
が確認され、SWCNTのGバンドピークよりもはるかに強力であることが
示された。
ラマン分光法により、1860−1870 cm−1で強いCCフォノンピーク(CC
モード)が確認され、SWCNTのGバンドピークよりもはるかに強いこと
が明らかになり、得られた材料に高い比率のCCが含まれていることが確
認されました。ラマンマッピングの結果は、全体のフィルムサンプルに
わたるCCモード信号の均一性を示しており、適切なサイズのSWCNTに
おけるCCの合成におけるこの手法の高い効率を証明している。注目すべ
きは、CC@SWCNTのCCモードピーク(1860 cm−1以上)が、以前のCC
@CNTサンプルで報告されたピーク(主に1856 cm−1未満)よりも高い
ことです。これは、この研究で使用されたSWCNTの直径がより大きい
(>0.95 nm)ためであり、典型的な0.6−0.8 nmの範囲と比較される。
大きな直径は、閉じ込めが減少し、カービンが安定しているままで自由
に立つカービンに近い形状を持つことを可能にする。この低温合成によ
って得られた大直径SWCNT内の長鎖、ほぼ自由に立つカービンは、1D
物理学とカービンの特性を探る機会を提供し、潜在的な応用のための可
能性を秘めている。
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<関連情報>
https://www.psu.edu/news/materials-research-institute/story/stability-solution-brings
-unique-form-carbon-closer-practical

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsnano.4c17104
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太陽光を利用した水の光触媒分解による水素製造の革新(China Achieves Breakthrough in Solar-powered Water Splitting for Hydrogen Production)
✳️
太陽光を利用した水の光触媒分解による水素製造の革新
中国科学院金属研究所の劉剛教授率いる研究チームは、スカンジウム(
Sc)をドープしたルチル型二酸化チタン(TiO₂)を開発し、太陽光を利
用した水分解による水素生成の効率を大幅に向上させました。
この新材
料は、酸素空孔による電子の捕獲を防ぎ、特定の結晶面を形成すること
で、電子と正孔の再結合を抑制し、電荷分離効率を高めている。
その結
果、紫外光の利用率は30%を超え模擬太陽光下での水素生成効率は従
来のTiO₂材料の15倍に達した
この技術は、1平方メートルのパネルで
1日あたり約10リットルの水素を生成可能
であり、将来的な産業応用が
期待されている。
研究成果は
『Journal of the American ChemicalSociety』に掲載。
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【関連情報】
・https://english.cas.cn/newsroom/cas_media/202504/t20250409_1040845.shtml
・https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.5c01936
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 1️⃣ WO2011/030546 ガス生成装置およびガス生成方法 三井化学
株式会社(参考検索)
【要約】 水を含む電解液(12)から酸素ガスおよび/または水素ガス
を生成するガス生成装置は、アノード電極(2)、カソード電極(3)、
複数の貫通孔、およびガス収容部(21)を備えている。アノード電極
(2)(光触媒担持電極)は、光触媒反応により電解液(12)から酸素
ガスを生成する光触媒を含む光触媒含有層を有する。カソード電極(3)
は、光触媒含有層における光触媒反応により電解液(12)で生成され
た水素イオンおよび電子から水素ガスを生成する。貫通孔は、アノード
電極(2)またはカソード電極(3)の少なくとも一方に設けられ、電
解液(12)を通過させず、かつ生成された酸素ガスまたは水素ガスを
通過させる。そして、ガス収容部(21)は、貫通孔を通過した酸素ガ
スまたは水素ガスを収容する。
000002
【図15】第1実施形態のガス生成装置の側面断面図




【図面の簡単な説明】【0069】

【図1】従来の、アノード電極に光を照射することにより水電解を行う
一般的な装置図の模式図

【図2】(a)、(b)は電解液に紫外線光を照射した場合の状態を示す
説明図

【図3】水素ガス気泡と酸素ガス気泡とが会合する状態を示す説明図(左)
【図4】光触媒表面を液膜層で覆った状態を示す説明図(右)

【図5】(a)~(d)は本実施形態のガス生成装置の基本概念ぼ模式図

【図6】(a)~(c)はヤング-ラプラスの式を説明する図

【図7】アノード電極に形成した孔加工部の例を示す平面図である。

【図8】(a)は光触媒含有層および助触媒層と、夫々の貫通孔との構
造に起因する特徴を説明する模式図であり、(b)は拡大図である。記
号Xは、酸素分子の発生箇所を示したものであり、矢印は、発生箇所X
と貫通孔までの最短距離、すなわち界面-反応点距離を示したものである。

【図9】(a)~(d)は対向配置型のガス生成装置の基本構成を示す
模式図

【図10】(a)、(b)は対向配置型のガス生成装置におけるプロトン
と電子の移動を示す説明図である。(a)は、電子がリード線を介して、
アノード電極からカソード電極に移動する様子を示したものである。
(b)は、アノード電極とカソード電極間に設置されたメッシュ状の導
電材料を介して電子がアノード電極からカソード電極に移動する様子を
示したものである。

【図11】(a)は光触媒セル(アノードセル)の側面断面図であり、
(b)は正面図

【図12】(a)はアノード電極自身の正面図であり、(b)は側面断面
図であり、(c)は(b)の拡大図

【図13】アノード電極に形成した孔加工部の一例を示す平面図



【図14】(a)は助触媒セル(カソードセル)の側面断面図であり、
(b)は正面図
【図15】第1実施形態のガス生成装置の側面断面図(前出)

【図16】図15に示される、第1実施形態のガス生成装置の正面図

【図17】第2実施形態のガス生成装置の側面断面図
以降の図は次回掲載

ガス生成装置を用いたガスの生成実験の説明図
【0314】
  表1
000003
【0315】  この出願は、2009年9月9日に出願された日本出願特願2009-207
777および2009年9月16日に出願された日本出願特願2009-214484を基
礎とする優先権を主張し、その開示の総てをここに取り込む。

🪄やっと、光触媒と水の電解による水素製造装置の詳細考察に入る。こ
     れからは「執念の域」(鬼の世界へようこそ)に入る。(願支援)




           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 





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エネルギーと環境 241

2025年05月10日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

                       

【季語と短歌:5月11日】            

       微かなる犬上の森杜鵑 
               
                  高山 宇(千鬼) 



🪄父の月命日足早に済ませ草刈、園芸、雨仕舞の補修準備に入る。お天
  気は暫し崩れ模様。


✳️ 海水循環システム工学試論⓵
ここから、仕切り直しということで問題解決課題の具体的な事例提案を
行っていく。昨夜は、エネルギー源としての太陽電池➡️ペロブスカイト
タンデム(積層数minimum➡️max3?
)型で建材一体型に据え、1万時
時超・超軽薄大安最強美を開発目標とする。当面、昨日掲載した「最
新ペロブスカイトタンデム・建材一体型太陽電池製法特許」のシリーズ
を掲載。

1️⃣特許第7656838号
2️⃣特表2022-505477  多接合デバイスの製造方法  オックスフォード 
ユニバーシティ イノベーション リミテッド(有効)
【要約】 本発明は、a)第1光活性材料の層を含む第1光活性領域、b)第
2光活性材料の層を含む第2光活性領域、およびc)該第1光活性領域と
該第2光活性領域との間に配置された電荷再結合層、ここで該電荷再結
合層は電荷再結合層材料を含む、を含み、ここで該第1および第2光活
性材料の一方が少なくとも1つのA/M/X材料を含み;ここで該第1およ
び第2光活性材料の他方が少なくとも1つのA/M/X材料またはA/M/X材
料以外の光活性半導体である化合物を含み;ここで各A/M/X材料が式(I)[
A]a[M]b[X]cの結晶性化合物であり、式中:[A]は1つ以上のAカチオンを
含み;[M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含
み;[X]は1つ以上のXアニオンを含み;aは1~6の数であり;bは1~
6の数であり;およびcは1~18の数である;およびここで該電荷再結
合層材料が波長λで少なくとも2の屈折率n(λ)を有し、ここでλは500 nm
~1200 nmの波長である、多接合デバイスに関する。
【選択図】図1

【図1】図ペロブスカイト-ペロブスカイトタンデム太陽電池の模式図(
上部)および断面SEM画像(下部)を示す。(図面は、[Giles E. et al.
Eperon, Science 354, no. 6314 (2016): 861-65]からとった。)
【特許請求の範囲
】【請求項1】
  a)第1光活性材料の層を含む第1光活性領域、
  b)第2光活性材料の層を含む第2光活性領域、および
  c)該第1光活性領域と該第2光活性領域との間に配置された電荷再結合
層、ここで該電荷再結合層は電荷再結合層材料を含む、
を含み、
  ここで該第1および第2光活性材料の一方が少なくとも1つのA/M/X材料を含み;
  ここで該第1および第2光活性材料の他方が少なくとも1つのA/M/X材
料またはA/M/X材料以外の光活性半導体である化合物を含み;
  ここで各A/M/X材料が式(I)の結晶性化合物であり、
        [A]a[M]b[X]c    (I)
式中:
  [A]は1つ以上のAカチオンを含み;
  [M]は金属または半金属カチオンである1つ以上のMカチオンを含み;
  [X]は1つ以上のXアニオンを含み;
  aは1~6の数であり;
  bは1~6の数であり;および
  cは1~18の数である;および
  ここで該電荷再結合層材料が波長λで少なくとも2の屈折率n(λ)を有し、
ここでλは500 nm~1200 nmの波長である、多接合デバイス
【請求項2】  電荷再結合層材料が波長λAで屈折率n(λA)を有し、かつ第1
光活性材料が波長λAで屈折率n1A)を有し、ここでn1A)がn(λA)よりも
小さく、かつここでλAがλと同じかまたは異なる500 nm~1200 nmの波
長である、請求項1に記載の多接合デバイス
【請求項3】  電荷再結合層材料が波長λAで屈折率n(λA)を有し、かつ第
2光活性材料が波長λAで屈折率n2A)を有し、ここでn2A)がn(λA)より
も大きく、かつここでλAがλと同じかまたは異なる500 nm~1200 nmの
波長である、請求項1に記載の多接合デバイス
【請求項4】  電荷再結合層材料が波長λAで屈折率n(λA)を有し、第1光
活性材料が波長λAで屈折率n1A)を有し、かつ第2光活性材料が波長λA
で屈折率n2A)を有し、ここでn1A)がn(λA)よりも小さく、かつn2A)
がn(λA)よりも大きく、かつここでλAがλと同じかまたは異なる500 nm~
1200 nmの波長である、請求項1に記載の多接合デバイス
【請求項5】  λAおよびλが同じ波長である、請求項2~4のいずれか1
項に記載の多接合デバイス
【請求項6】  電荷再結合層材料の波長λでの屈折率n(λ)が3.5未満であり、
必要に応じて3以下であり、かつより詳細には2.5以下である、先行する
請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項7】  電荷再結合層材料が半透明であり、必要に応じてここで該
電荷再結合層材料がスペクトルの可視~近赤外範囲において約50 %以上
である平均光透過性を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の
接合デバイス

【請求項8】  電荷再結合層材料がワイドバンドギャップ半導体を含む、
先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項9】  第1光活性材料がバンドギャップEg1を有し、かつ第2光
活性材料がバンドギャップEg2を有し、ここでEg1がEg2よりも大きい、
先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項10】  第1光活性材料がバンドギャップEg1を有し、かつ電荷
再結合層材料がバンドギャップEgを有し、ここでEgがEg1よりも大きい、
先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項11】  電荷再結合層材料がバンドギャップEgを有し、第1光活
性材料がバンドギャップEg1を有し、かつ第2光活性材料がバンドギャッ
プEg2を有し、ここでEgがEg1よりも大きく、かつEg1がEg2よりも大きく、
必要に応じてここでEgが少なくとも2.0 eVであり、より詳細にはここで
Egが少なくとも3.0 eVであり、かつEg1が2.0 eV以下である、先行する請
求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項12】  電荷再結合層が少なくとも5 nmの厚さ、必要に応じて
20~300 nmの厚さ、より詳細には50~200 nmの厚さ、または75~150
nmの厚さを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバ
イス

【請求項13】  電荷再結合層が
     【数1】000003
式中λoはλと同じかまたは異なる500 nm~1200 nmの波長であり、およ
びnは電荷再結合層材料のλoでの屈折率であり、必要に応じてここでλo
λと同じであるのnmの厚さを有する、先行する請求項のいずれか1項に
記載の多接合デバイス
【請求項14】  波長λが500~1100 nmの波長であり、必要に応じて600
~1200 nmの波長であり、必要に応じて600~1000 nmの波長であり、よ
り詳細には800 nm~1000 nmの波長である、例えば、850 nmの波長で
ある、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項15】  第1および第2光活性材料の一方が請求項1で定義した
少なくとも1つのA/M/X材料を含み、かつ第1および第2光活性材料の
他方がA/M/X材料以外の光活性半導体である化合物を含み、  好ましくは
第1光活性材料が請求項1で定義した少なくとも1つの結晶性A/M/X材
料を含み、かつ第2光活性材料がA/M/X材料以外の光活性半導体である
化合物を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項16】  光活性半導体である化合物がカルコゲニドアニオンを含
む、請求項15に記載の多接合デバイス
【請求項17】  光活性半導体化合物が、銅亜鉛スズカルコゲニド、アン
チモンカルコゲニド、ビスマスカルコゲニド、銅インジウムガリウムカル
コゲニド、カドミウムカルコゲニド、鉄カルコゲニドおよび鉛カルコゲ
ニドから選ばれ;
  必要に応じて光活性半導体化合物が、セレン化銅インジウムガリウム(C
IGS)、硫化銅インジウム(CIS)、硫化セレン化銅インジウム(CIG(S)Se)、
テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化セレン化カドミウム(CdTexSe1-x
ここで0<x<1)、テルル化硫化カドミウム(CdTexS1-x、ここで0<x<1)、
硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、セレン化銅亜鉛スズ(CZTSe)、硫化セレン化銅
亜鉛スズ(CZTSSe)、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、硫化ビスマ
ス、セレン化ビスマス、硫化鉄、硫化鉛、セレン化鉛、硫化カドミウム、
およびセレン化カドミウムから選ばれ;  より詳細には光活性半導体化合
物が、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅インジウム(CIS)、
硫化セレン化銅インジウム(CIG(S)Se)、テルル化カドミウム(CdTe)、テ
ルル化セレン化カドミウム(CdTexSe1-x、ここで0<x<1)、テルル化硫
化カドミウム(CdTexS1-x、ここで0<x<1)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、セ
レン化銅亜鉛スズ(CZTSe)および硫化セレン化銅亜鉛スズ(CZTSSe)から
選ばれる、請求項15または請求項16に記載の多接合デバイス
【請求項18】
  第1光活性材料が請求項1で定義した少なくとも1つの第1A/M/X材料
を含み、かつ第2光活性材料が請求項1で定義した少なくとも1つの第
2A/M/X材料を含み、
  必要に応じて少なくとも1つの第1および第2結晶性A/M/X材料が異な
る、請求項1~14のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項19】  電荷再結合層材料が金属酸化物、金属窒化物または金属
硫化物を含み、
  必要に応じて電荷再結合層中の該材料がTiO2、金属ドープしたTiO2
SrTiO3、BaTiO3、Cr2O3、CuCrO2、ZnS、ZrO2、TiN、AlNおよびGaNを含み、
  より詳細には電荷再結合層中の該材料がTiO2または金属ドープしたTiO2
を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項20】  電荷再結合層材料が(a)TiO2または金属ドープしたTiO2
および(b)透明導電性酸化物を含み、
  必要に応じて電荷再結合層材料が(a)および(b)の混合物を含み;
  より詳細には透明導電性酸化物が酸化インジウムスズ(ITO)である、先
行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項21】  TiO2または金属ドープしたTiO2が透明導電性酸化物およ
びTiO2または金属ドープしたTiO2の合計体積の少なくとも20体積%であ
り、  必要に応じて透明導電性酸化物およびTiO2または金属ドープした
TiO2の合計体積の少なくとも50体積%であり、  より詳細には透明導電性
酸化物およびTiO2または金属ドープしたTiO2の合計体積の少なくとも80
体積%である、請求項20に記載の多接合デバイス
【請求項22】  電荷再結合層材料がTiO2または金属ドープしたTiO2から
実質的になるかまたはTiO2または金属ドープしたTiO2からなり、
  好ましくは電荷再結合層材料が金属ドープしたTiO2から実質的になるか
または金属ドープしたTiO2からなる、請求項1~19のいずれか1項に
記載の多接合デバイス
【請求項23】
  電荷再結合層材料が金属ドープしたTiO2を含み、ここで該金属が遷移金
属であり、  必要に応じて該金属がTa、VおよびNbから選ばれ、
  必要に応じて該金属がNbである、請求項19~22のいずれか1項に
記載の多接合デバイス
【請求項24】  金属ドープしたTiO2中の金属が、金属ドープしたTiO2
総重量の少なくとも0.5重量%の量で存在し、  必要に応じて金属ドープし
たTiO2中の金属が、金属ドープしたTiO2の総重量の1~10重量%の量で存
在し、必要に応じて金属ドープしたTiO2中の金属が、金属ドープしたTiO
2の総重量の2~6重量%の量で存在する、請求項23に記載の多接合デバイス
【請求項25】  TiO2がルチル相である、請求項19~24のいずれか
1項に記載の多接合デバイス
【請求項26】  [A]が少なくとも1つの有機カチオンを含む1つ以上の
Aカチオンを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項27】  各Aカチオンが:アルカリ金属カチオン;式[R1R2R3R4N]+
のカチオン、式中、R1、R2、R3、R4のそれぞれは独立して水素、無置換
または置換C1-20アルキル、および無置換または置換C6-12アリールから選
ばれ、およびR1、R2、R3およびR4の少なくとも1つのは水素ではない;
式[R5R6N=CH-NR7R8]+のカチオン、式中、R5、R6、R7およびR8のそれ
ぞれは独立して水素、無置換または置換C1-20アルキル、および無置換ま
たは置換C6-12アリールから選ばれる;およびC1-10アルキルアンモニウ
ム、C2-10アルケニルアンモニウム、C1-10アルキルイミニウム、C3-10
クロアルキルアンモニウムおよびC3-10シクロアルキルイミニウム、これ
らのそれぞれは、無置換であるかまたはアミノ、C1-6アルキルアミノ、
イミノ、C1-6アルキルイミノ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C3-6シク
ロアルキルおよびC6-12アリールから選ばれる1つ以上の置換基で置換さ
れている;から選ばれ;  好ましくは各Aカチオンが、Cs+、Rb+、メチ
ルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ブチル
アンモニウム、ペンチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、セプチ
ルアンモニウム、オクチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、
ホルムアミジニウム、1-アミノエタン-1-イミニウムおよびグアニジニウ
ムから選ばれる、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項28】  [M]が2つ以上の異なるMカチオンを含む、先行する請
求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項29】  各Mカチオンがジカチオンであり、  必要に応じて各M
カチオンがCa2+、Sr2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+
Ge2+、Sn2+、Pb2+、Yb2+およびEu2+から選ばれ、
  詳細にはSn2+、Pb2+、Cu2+、Ge2+、およびNi2+から選ばれ;および
  より詳細にはSn2+およびPb2+から選ばれる、先行する請求項のいずれ
か1項に記載の多接合デバイス
【請求項30】  各Xアニオンがハライドであり、必要に応じて[X]が2つ
以上の異なるハライドアニオンを含む、先行する請求項のいずれか1項
に記載の多接合デバイス
【請求項31  式[A]a[M]b[X]cの化合物が式[A][M][X]3の化合物であり
、式中[A]、[M]および[X]が請求項1および25~29で定義した通りで
ある、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項32】  光活性領域がそれぞれ1つ以上の電荷輸送層をさらに含
み、  必要に応じて各光活性領域が電子輸送(n-型)層および正孔輸送(p-型)
層をさらに含み、  より詳細には各光活性領域が電子輸送(n-型)層と正孔
輸送(p-型)層との間に配置された光活性材料の層を含む、先行する請求
項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項33】  光学スペーサー層をさらに含み、  好ましくは該光学ス
ペーサー層が透明導電性酸化物、TiO2、金属ドープしたTiO2またはTiN
を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項34】  第1電極および第2電極をさらに含み;  必要に応じて
該第1電極が透明導電性酸化物を含み、かつ必要に応じて該第2電極が
元素金属を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス
【請求項35】  多接合デバイスが光電子デバイスであり、必要に応じ
て該光電子デバイスが光起電デバイスまたは発光デバイスである、先行
する請求項のいずれか1項に記載の多接合デバイス

【図面の簡単な説明】
【図2A】図2Aは、再結合層からの反射が、上部セル、再結合層界面(
位相角φ1)および再結合層、下部セル界面(位相角φ2)からどのように生じ
るかを示す。

【図2B】図2Bは、1.8eVギャップおよび1.2eVバンドギャップペロブ
スカイト吸収材層の屈折率を、典型的な透明導電性酸化物であるフッ素
ドープした酸化スズ(FTO)および酸化インジウム酸化スズ(ITO)の屈折率
とともに示す。
【0023】
【数1        】000005
【0024】式中、n10)およびn20)は、λ0 = 850nmでの上部および
下部ペロブスカイト層の屈折率であるとして計算される、2つのペロブ
スカイト層間の反射損失を最小限にするためのおおよその理想的な屈折
率を示す破線もまた示される。

【図3A】図3Aは、外部量子効果(EQE)が建設的に干渉する反射(tITO
=83 nm)によってどのように影響されるかを示す。

【図3B】図3Bは、EQEが破壊的に干渉する反射(tITO=173 nm)に
よってどのように影響されるかを示す。

【図3C】図3Cは、再結合層がない場合にEQEがどのように影響される
かを示す。

【図3D】図3Dは、再結合層厚さとともに下部セル電流の変化を示す。

【図4A】図4Aは、28.8%のPCEを生じるITO再結合層(203nm)を有す
る最適化されたペロブスカイト-ペロブスカイトタンデムについてのEQ
E結果を示す。

【図4B】図4Bは、29.38%のPCEを生じるn=2.45中間層を有する最適
化されたペロブスカイト-ペロブスカイトタンデムについてのEQE結果を示す。



【図4C】図4Cは、再結合層厚さおよび屈折率の関数として下部セル
における電流密度を示す。

【図4D】図4Dは、ITOおよび屈折率2.2の材料についての再結合層厚
さの関数としてPCEを示す。

【図5A】図5Aは、ITO/Nb:TiO2混合中間層におけるNb:TiO2画分の
関数としてPCEを示す。

【図5B】図5Bは、種々のITO/Nb:TiO2混合比について再結合層厚さ
の関数としてPCEを示す。

【図6】図6は、Nb:TiO2率一致セルが入射角の変化に対してどのよう
にして感受性が低いかを示す。50°入射で、Nb:TiO2中間層は、ITO中間
層に対して1.1%(絶対)効率利得を与える。

【図7】図7は、屈折率一致セル(TiO2中間層)およびITO中間層セルの
製造の間の層厚さにおける5%標準偏差を有するPCE分布を示す。


【図8】図8は、光学スペーサー層が含まれる有望なデバイススタック
の略図である。このデバイススタックにおいて、再結合層はNbドープ
したTiO2(Nb:TiO2)である。

【図9】図9は、偏光解析法を用いて測定された、実施例2のスパッタし
たNbドープした(4%)TiO2薄膜(80 nm)の光学定数を示す。

【図10】図10は、実施例2のガラス上にスパッタしたNbドープした
(4%)TiO2薄膜(80 nm)の透過率および反射率スペクトルを示す。

 表1は、ペロブスカイト(perov)サブセルについて太陽電池における他
のペロブスカイトサブセル、シリコン(Si)サブセルおよび(セレン化)
硫化銅インジウムガリウム(CIGS)サブセルとの異なる界面での屈折率の
変化、または屈折率の不一致を示す。タンデムセルのタイプについて、
括弧は、異なるサブセルにおける吸収材材料のバンドギャップを与える。
屈折率不一致の次に、括弧内の値は、この不一致が推定される光の波長
である。
  表1
000004
 ITO中間層を用いるデバイスにおいてITO層とペロブスカイト吸収材層
との間の屈折率の不一致およびITOは溶媒遮断層としてのその役割を果
たすためにある特定の厚さを有しなければならないという事実は、デバ
イススタック内の顕著な光学干渉、およびスペクトルの赤外領域からの
顕著な反射損失を生じる。結果として、このようなデバイスにおけるよ
り低いバンドギャップセルから生成する電流密度は、所望よりもずっと
低い。最適化された屈折率を有する中間層をデバイスに提供することに
よって、この問題は回避され、そして電力変換効率(PCE)は、(一般によ
り長波長の)光の下部セル(通常より低いバンドギャップセル)へのアクセ
スが改善されるので、増加し得る。
                           以下割愛



✳️ ペロブスカイトシリコンタンデム太陽電池の
      エネルギー変換効率で世界新記録の29.15%
HGF の HZB(物質・エネルギーヘルムホルツセンター)研究チームが、
ペロブスカイトとシリコンによるタンデム型太陽電池(1 ㎠セル)で 29.15
%のエネルギー変換効率を達成。
太陽光スペクトルの赤色光を電気に変換するシリコンと、青色光を変換
するペロブスカイトを積層することでより高い効率を獲得。同研究機構
のISE(太陽エネルギーシステム)研究所のCalLabが公式に認定。
・同研究チームでは、2018 年にシリコンとペロブスカイトのモノリシ
ックなタンデム太陽電池で 25.5%の変換効率を達成している。その後、
Oxford Phtovoltaics Ltd.が 28%の達成を報告した。
・今回の新記録は、1976 年以降、ほぼ全タイプの太陽電池のエネルギ
ー変換効率を追跡する米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)のチャー
トに登録される。ペロブスカイト化合物は、2013 年に同チャートに登場
して以来、他の物質に比してより大きな変換効率の向上を示している。
・リトアニア・カウナス工科大学研究チームとの協力で、特殊な電極コ
ンタクト層を開発し、中間層も改善。ペロブスカイト化合物は、タンデ
ム型太陽電池での照射にも安定し、上部セルと下部セル間の電流バラン
スを向上させる。下部のシリコンセルでは、特殊な SiO2 のトップ層が
上部と下部のセルを光学的にカップリングする。
・初期試験では、真空蒸着プロセスによるスケールアップの可能性を示
唆。シリコンとペロブスカイトによるタンデム型太陽電池の効率性の限
界は約 35%であるが、まず 30%の壁を越えることを目標とする。
・ HZB 研究チームでは、2019 年の 9 月に CIGS とペロブスカイトによ
るタンデム型太陽電池で 23,26%のエネルギー変換効率を達成している
(現在も世界最高記録を維持)。また、PV 産業パートナーと共同で、同
年にペロブスカイト/PERC 太陽電池を開発している。
                             以上
二次電池の高容量化を可能とする加圧電解プレドープ技術の開発に成功
図1:シリコン負極とLiMNC正極を使った二次電池の充放電曲線。
図中の数字は充放電サイクルの回数。
実線:加圧電解プレドープしたシリコン負極
破線:プレドープしないシリコン負極
✳️これは重要!
二次電池の高容量化を可能とする加圧電解プレドープ

術2月21日、  東京大学の研究グループは、⓵二次電池の高容量化につな
がるシリコン含有負極の利用を可能とする加圧電解プレドープ技術を開発
(ブログ掲載済み)。
加圧することで、従来の方法に比べて電気化学的
プレドープを大電流で行うことができ、量産技術への適用も可能な処理

⓷この技術を用いれば、不可逆容量の原因である負極活物質の固体電解
質界面(SEI)層形成を電池の組み立て前に行うことができるため、従来
の黒鉛負極で最大10%程度、シリコン含有負極で最大20%程度容量が増
大します。その割合、つまり容量が増加する割合はプレドープ時間に依
存しますが、加圧することで実用的な速度での高容量化が可能となった。
また、加圧下での電解反応によって高品質の固体電解質界面(SEI)層が
形成されるため、充放電サイクル寿命も長くなった。

  
図2:プレドープしたシリコン負極の透過型顕微鏡写真。
左:加圧電解プレドープ
右:非加圧電解プレドープ
雑誌名:Scientific Reports論文タイトル
High-energy, Long-cycle-life Secondary Battery with Electrochemically
Pre-doped Silicon Anode:DOI番号:10.1038/s41598-020-59913-4

ト音記号 イラストや に対する画像結果『Andrea Bocelli - Can't Help Falling In Love』
        



 今日の言葉



           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 

 

コメント
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エネルギーと環境 240

2025年05月10日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-
                      

【季語と短歌:5月10日】 

       蝶渡る檸檬柚子の新樹かな 
               
                  高山 宇(百鬼) 

🪄いやいや、
”難波江の芦のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわ
  たるべき“とシュールに蝶が応ゆではありませんか。



✳️有機溶剤に代わる紫外線+超純水洗浄方式
1️⃣特開2024-134991 基板洗浄方法および基板洗浄装置 ウシオ電機株
式会社
【要約】下図1
のごとく基板洗浄方法は、基板を準備する準備工程と、
基板を洗浄する洗浄工程と、洗浄工程において洗浄された後の基板を乾
燥する乾燥工程と、を含む。洗浄工程は、基板の表面に紫外線(VUV
光)を照射する第1の洗浄工程と、紫外線を照射した後の基板の表面に
超純水を散布する第2の洗浄工程と、を含む。
000002
図1 本実施形態における基板洗浄方法の一例
【符号の説明】  100…基板洗浄装置、110…紫外線照射部、111
…VUV光源、112…ガス供給部、113…排気口、120…超純水散
布部、121…超純水生成器、122…スプレーヘッド、130…基板乾
燥部、131…大気圧プラズマ発生器、140…改質部、150…搬送機構

【図2】本実施形態における基板洗浄装置の一例である。

【図3】紫外線照射部の構成例である。

【図4】スプレーヘッドの構成例である。

【図5】従来の基板洗浄方法の一例である。

【図6】従来の基板洗浄装置の一例である。
【発明の効果】  本発明では、有機溶剤を使用することなく高い洗浄力に
より基板表面を洗浄することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
  前記基板を準備する準備工程と、
  前記基板を洗浄する洗浄工程と、
  前記洗浄工程において洗浄された後の前記基板を乾燥する乾燥工程と、
を含み、  前記洗浄工程は、
  前記基板の表面に紫外線を照射する第1の洗浄工程と、
  前記紫外線を照射した後の前記基板の表面に超純水を散布する第2の
洗浄工程と、を含むことを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項2】
  前記超純水を生成する生成工程をさらに含み、
  前記第2の洗浄工程では、前記生成工程において生成された前記超純水
を、直接、前記基板の表面に散布することを特徴とする請求項1に記載
の基板洗浄方法。
【請求項3】
  前記乾燥工程では、前記洗浄工程において洗浄された後の前記基板の表
面に、大気圧プラズマを照射することを特徴とする請求項1に記載の基
板洗浄方法。
【請求項4】
  前記乾燥工程は、
  前記洗浄工程において洗浄された後の前記基板の表面に、エアーナイフ
から噴出される圧縮空気を吹き付ける第1の乾燥工程と、
  前記第1の乾燥工程の後に、前記基板の表面に大気圧プラズマを照射す
る第2の乾燥工程と、を含む  ことを特徴とする請求項1に記載の基板洗
浄方法。
【請求項5】
  前記第2の洗浄工程では、オゾンが含有された前記超純水を散布するこ
とを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄方法。
【請求項6】
  前記第2の洗浄工程では、ナノバブルが含有された前記超純水を散布す
ることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄方法。
【請求項7】
  基板を洗浄する基板洗浄装置であって、
  前記基板を洗浄する基板洗浄部と、
  前記基板洗浄部において洗浄された後の前記基板を乾燥する基板乾燥部
と、を備え、
  前記基板洗浄部は、
  紫外線光源を有し、当該紫外線光源から放射される紫外線を前記基板の
表面に照射する紫外線照射部と、
  スプレーヘッドを有し、前記紫外線照射部において紫外線が照射された
後の前記基板の表面に、前記スプレーヘッドから超純水を散布する超純
水散布部と、を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【0051】
  このように、本実施形態では、有機溶剤を使用することなく高い洗浄力に
より基板表面を洗浄することができる。また、本実施形態では、タクト
タイムの短縮や装置の小型化、保守メンテナンスの簡素化なども実現可
能である。
  なお、上記実施形態では、洗浄対象の基板がガラス基板である場合につ
いて説明したが、上記に限定されるものではなく、洗浄対象の基板は、
例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂基板(樹脂フ
ィルム)であってよい。ただし、洗浄対象が樹脂である場合、例えば超
純水散布部120では、超純水にオゾンを含有させるのではなく、ナノ
バブルを含有させるようにすることが好ましい。これにより、オゾンに
よる基板劣化を抑制することができる。
  また、上記実施形態では、洗浄対象の基板がペロブスカイト太陽電池
の基板(基材)である場合について説明したが、上記に限定されるもの
ではなく、その他の用途の基板を洗浄対象とすることもできる。
                            この項了

✳️ 金大 全有機材料太陽電池で世界最高効率達成
5月7日、金沢大学,麗光,加クイーンズ大学らの研究グループは、すべ
て有機材料で構成されたフィルム型太陽電池において従来の2倍以上の
性能を実現功した。現在の太陽光パネルは、有害性が懸念される金属材
料などを含むため、廃棄処理にコストがかかるという課題を抱える。そ
こで、有害な金属材料などを含まない「全有機太陽電池」が注目されて
ていたが、これまでの全有機太陽電池の光を電気に変換する効率(光電
変換効率)は約 4%にとどまり、従来のシリコン型太陽電池の効率(2
7%以上)と比較して低いことが実用化における課題です。本研究では、
低温で作製可能な有機透明電極の開発と、カーボンナノチューブ電極の
ラミネーション法を用いた新たな作製手法により、光電変換効率を従来
の2倍以上に向上に成功した。
🎈前回、ブログ掲載済み。”有機化合物革命試論”としてシリーズ化。

 
図1:本研究で開発した全有機太陽電池
    と従来の全有機太陽電池の光電変換効率

図 2:太陽電池デバイス(フィルム型)の模式図
【掲載論文】
雑誌名:Advanced Functional Materials 
論文名:Unlocking High-Performance in All-Organic Solar Cells by
the Development of Organic Electrodes with no Acid and High-Temperature
Treatment and the Effective Preparation Thereof on Organic Multi-layer Films 
;酸や高温処理を必要としない有機電極の開発と有機多層膜上への効率
的な作製による全有機太陽電池の高性能化
掲載日時:2025年2月7日17時(日本時間)にオンライン版に掲載
Details are in the caption following the image
図2.蒸着Ag(赤色の破線)、Ag/Cellel-sticker(赤色の実線)、Ag/V
ERREAL-sticker(青色)、CNT/VERREAL-sticker(紫色の線)、および
有機層上にスピンコートされたCNT(緑色の線)を用いたOSCのJ-V特性。

表 1. 蒸着 Ag、Cellel ステッカー積層 Ag、VERREAL ステッカー積層 Ag、
VERREAL ステッカー積層 CNT、および有機層 (ガラス/ITO/ZnO/P3H
T:PCBM/PEDOT:PSS/電極/バリアフィルム) 上のスピンコート CNT を
使用した OSC の光起電力性能。


Details are in the caption following the image
図3 a) Ag 電極フィルムと b) CNT ベース電極フィルムの 3D 表面粗さ分析

Details are in the caption following the image
図4. AOSC 製造プロセスと処理中の PEDOT:PSS ベース電極の剥離の
概略図

Details are in the caption following the image
図5. ガラス(黒色のトレース)、PET(青色のトレース)、ポリイミド
によるホットプレスCAP(赤色のトレース)、およびFDTS処理されたSiO2
によるホットプレスCAP(ピンク色のトレース)上に製造されたAOSCの
J-V特性(基板/PEDOTベース電極/PEDOT:PSS/D18:Y6/PDINN/CNTs/
バリアフィルム)。

表3. さまざまな基板(基板/PEDOTベース電極/PEDOT:PSS/D18:Y6/PD
INN/CNT/バリアフィルム)上に製造されたCNT積層OSCの光起電力性能。


Details are in the caption following the image


表3. さまざまな基板(基板/PEDOTベース電極/PEDOT:PSS/D18:Y6/PD
INN/CNT/バリアフィルム)上に製造されたCNT積層OSCの光起電力性能。

Details are in the caption following the image

図6.a) キャスティングと b) ホットプレスによる CAP フィルムの製造
方法における乾燥プロセス。c) PET フィルムの 3D 表面粗さ分析、d) ポ
リイミドを使用してホットプレスで製造された CAP フィルム、および
e) FDTS 処理された SiO2 基板。
------------------------------------------------------------------------------
✳️金沢大、ペロブスカイト安価に 今夏めど新興設立
4月16日、金沢大学ナノマテリアル研究所の當摩哲也教授やモハマド・
シャヒドウザマン助教らは今夏にも薄くて軽く曲げられる次世代型太陽
電池「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」を手がけるスタートアップを立
ち上げる。金沢大で開発した技術を生かし、長寿命で安価なフィルム型
PSCを供給する。北陸地方に生産拠点を整備し、2030年ごろの製品
供給を目指す。
起業に向けて、北陸地方の大学・高等専門学校発スター
トアップ創出を推進する「TeSH(テッシュ)」の採択を受けた。最大6
千万円の支援が受けられるこの仕組みを活用し、準備を進めている。
PSCはペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ材料を発電層に用いる。
材料の溶液を基板に塗って乾かして製造する。基板にフィルムを用いる
と薄くて軽く曲げられる太陽電池ができる。政府は再生可能エネルギー
拡大の切り札として期待する。40年までに約2000万キロワットを
導入する目標を掲げる。
一方、寿命が短い課題がある。特にペロブスカイトの結晶は湿気に弱く
大気下ではすぐ劣化してしまう。そのため一般に外気を遮断した環境で
生成し、発電層は高いバリアー性能を持つ高価なフィルム(ガスバリア
フィルム)などで封止する。



✳️原子間ステップフリーAI2O3/ダイヤモンド界面を用いた
                    反転チャネルMOSFET作製

【要約】ノーマリーオフ動作と8 cm2/Vsの電界効果移動度(μFE)を有
する最初の反転チャネルダイヤモンドMOSFETを報告し、その後、ダイ
ヤモンドMOSFET関連技術を開発してきたが、反転チャネルダイヤモン
ドMOSFETのμFEは20 cm2/Vsであり、理想的なチャネル移動度3000 cm2
/Vsを依然として下回っている。この低移動度の主な原因の一つは、ダ
イヤモンド表面のバンチングステップによって生じる1013 cm2eV 1以
上の高い界面準位密度(Dit)です。本研究では、Ditを低減しμFEを向
上させるために、原子レベルステップフリーのAl2O3/ダイヤモンド(
111)界面を有する反転チャネルp型ダイヤモンドMOSFETの製造プロセ
スを提案し、ステップフリー界面ダイヤモンドMOSFETの実現を実証し
た。ステップフリーダイヤモンドMOSFETは、ノーマリーオフ、ゲート
電圧制御、および明確な飽和特性を示した。ステップフリーダイヤモン
ドMOSFETのμFEとDitはそれぞれ30.6 cm2/Vsと2.8×1012 cm2eV 1で
あった。このDit値は、Al2O3/ダイヤモンド界面を用いた反転チャネル
MOSFETとしては、これまでに報告されているものの中で最も低い値で
ある。

【緒言】ダイヤモンドは、広いバンドギャップ、高いキャリア移動度、
高い絶縁破壊電界、高い熱伝導率など、優れた物理的特性を有する[1–4]。
そのため、パワーエレクトロニクスデバイスへの応用が期待されており、
金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)[5–8]、接合型電界効果ト
ランジスタ(JFET)[9]、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)[10,11]
など、様々なデバイスが開発されている。その中でも、一般的なスイッ
チングデバイスである金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSF
ET)は広く研究されている[12–20]。当研究グループでは、2016年にノ
ーマリオフ動作のp型反転チャネルダイヤモンドMOSFETを作製し[14]、
その後も改良を重ねてきた。しかし、試作したMOSFETの電界効果移動
度(μFE)は、理論値の5400cm2/Vs[4]と比較して、リン体で20cm2/
Vs[21]、窒素体で6cm2/Vs[22]に過ぎなかった。移動度が低い主な理由
の一つは、ダイヤモンド表面のバンチングステップによって生じる1013
cm2eV-1以上の高い界面準位密度(Dit)である。具体的には、ステッ
プエッジが完全にOH終端されていないため、界面準位が発生し、μFEが
低下すると考えられている[23,24]。これは、(1) MOS界面におけるイオ
ン化不純物および電荷によるクーロン散乱、(2) フォノン散乱、および(3)
MOS界面の凹凸による界面ラフネス散乱の(1)と(3)であり、これらは移
動度を制限する散乱メカニズムと考えられています[25]。実際、Daligou
とPernotは最近、原子ステップフリーのMOS界面と1010 cm2eV 1未満
のDitにより、3000 cm2/Vsの移動度を有する2次元正孔ガスp-chダイヤ
モンドMOSFETが実現できることを理論的に示唆した[26]。本研究では、
当研究グループが開発した原子ステップフリーのAl2O3/ダイヤモンド界
面を形成できるMOSFET製造プロセス[27]を用いて、Al2O3/ダイヤモン
ド(111)界面に原子ステップが1つもないp型反転チャネルダイヤモンド
MOSFETを作製した。このプロセスは、界面粗さの散乱を最小限に抑え、
Ditを低減することでμFEを向上させることを目的としている。このステ
ップフリーダイヤモンドMOSFETに埋め込みドリフト層を追加すること
で、数100V以上の耐圧を持つ横型パワーダイヤモンドMOSFETを実現
できると考えている。


図1. (a) 原子ステップフリーAl2O3/ダイヤモンド界面を有する反転チャ
ネルダイヤモンドMOSFETの模式図と(b) 上面の光学顕微鏡像。
(a)の模式図は、(b)の赤い破線に沿った断面図であり、S、D、Gはそれ
ぞれソース、ドレイン、ゲートコンタクトを表す。(図の凡例における色
の解釈については、本稿のWeb版を参照のこと。)


図2. (a, b, c, d, e, f, g, h) 本研究で実証した、原子ステップフリーのAL
2O3/ダイヤモンド界面を有する反転チャネルダイヤモンドMOSFETの製
造プロセスの概略図、(a’, b’) 光学顕微鏡像、(b’’, c’, d’) 光顕像、(c’’, d’’,
h’) 光顕3D像。測定時のコンタミネーションを除去するため、一部のプ
ロセスでは光顕像を部分的に重ね合わせている点に留意されたい。

フレキシブルなペロブスカイト太陽電池 フレキシブルな薄型の結晶シリコン(Si)太陽電池

 薄くて軽量、そして多少なりともフレキシブルといった次世代太陽電
池が急増してきた。一部は実用化が始まっている。話題のペロブスカイ
ト太陽電池もその1つだが、同様な薄型軽量の太陽電池は大きく分けて4
種類ある。そしてこれらが、今後の太陽光発電の景色を大きく変えてい
きそうだと言う。(via 日経XTECH)

国の計画も太陽光発電を後押し
経済産業省は2025年2月、第7次エネルギー基本計画で太陽光発電の発電
量を大幅に増やす方針を発表した。2021年10月に発表した第6次エネル
ギー基本計画では、風力発電の急拡大に期待する一方で、適地が減った太
陽光発電の拡大を事実上見限った格好だったが、今回の第7次では、太陽
光発電を再び二酸化炭素(CO2)フリー電源の主軸に据えた。
 具体的に
2040年度時点の太陽光発電の発電量シェアを全体の23~29%と想定。
定格出力では253G~331.1GWに相当。2040年度に太陽光発電を現行の3倍弱に増やすのが経産省の目標に
2040年度に太陽光発電を現行の3倍弱に増やすのが経産省の目標に

✳️ 最新ペロブスカイトタンデム・建材一体型太陽電池製法特許
1️⃣特許第7656838号 太陽電池および光電変換素子 パナソニックIPマ
ネジメント株式会社
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  第1電極、
  第1電子輸送層、
  第2電子輸送層、
  光電変換層、および
  第2電極、
を備え、
  ここで、
  前記光電変換層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、
  前記第1電子輸送層は、前記光電変換層と前記第1電極との間に設けられ、
  前記第2電子輸送層は、前記第1電子輸送層と前記第1電極との間に設けられ、
  前記第1電子輸送層は、炭素および多孔質状の電子輸送材料を含み、
  前記第1電子輸送層は、前記光電変換層に面する第1主面および前記第
2電子輸送層に面する第2主面を有し、
  前記第1電子輸送層において、前記第1主面における飛行時間型二次イ
オン質量分析による第1炭素強度に対する、前記第2主面における飛行
時間型二次イオン質量分析による第2炭素強度の比は、0.41以上か
つ1.07以下である、
太陽電池。
【請求項2】
  前記比は、0.49以上かつ0.90以下である、
請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
  前記光電変換層は、ペロブスカイト化合物を含有する、
請求項1または2に記載の太陽電池。
【請求項4】
  前記電子輸送材料は、酸化チタンである、
請求項1からのいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
  前記第1電極は、凹凸構造を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
  前記第1電子輸送層は、前記第2電子輸送層と接している、
請求項1からのいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
  第1電極、
  第1電子輸送層、
  第2電子輸送層、
  光電変換層、および
  第2電極、
を備え、
  ここで、
  前記光電変換層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、
  前記第1電子輸送層は、前記光電変換層と前記第1電極との間に設けられ、
  前記第2電子輸送層は、前記第1電子輸送層と前記第1電極との間に設けられ、
  前記第1電子輸送層は、炭素および多孔質状の電子輸送材料を含み、
  前記第1電子輸送層は、前記光電変換層に面する第1主面および前記第
2電子輸送層に面する第2主面を有し、
  前記第1電子輸送層において、前記第1主面における飛行時間型二次イ
オン質量分析による第1炭素強度に対する、前記第2主面における飛行
時間型二次イオン質量分析による第2炭素強度の比は、0.41以上か
つ1.07以下である、
光電変換素子。
【背景技術】
  近年、既存のシリコン系太陽電池にかわる新しい太陽電池として、有機
薄膜太陽電池またはペロブスカイト太陽電池の研究開発が進められている。
  ペロブスカイト太陽電池は、光電変換材料として、化学式ABX(こ
こで、Aは1価のカチオンであり、Bは2価のカチオンであり、かつXは
ハロゲンアニオンである)で示されるペロブスカイト化合物を用いている。
  非特許文献1は、ペロブスカイト太陽電池の光電変換材料として、化学
式CHNHPbI(以下、「MAPbI」という)で表されるペロ
ブスカイト
化合物が用いられているペロブスカイト太陽電池を開示してい
る。非特許文献1に開示されているペロブスカイト太陽電池では、MA
PbIで表されるペロブスカイト化合物、TiO、およびSpiro
-OMeTADが、それぞれ、光電変換材料、電子輸送材料、および正
孔輸送材料として用いられている。
  非特許文献2は、ペロブスカイト太陽電池の光電変換材料として、CH
NH(以下、「MA」という)、CH(NH(以下、「FA」と
いう)、およびCsを1価のカチオンとするマルチカチオンペロブスカイ
化合物が用いられたペロブスカイト太陽電池を開示している。非特許
文献2に開示されているペロブスカイト太陽電池では、マルチカチオン
ペロブスカイト化合物、TiO、およびSpiro-OMeTADが、
それぞれ、光電変換材料、電子輸送材料、および正孔輸送材料として用
いられている。
【発明の効果】
  本開示は、電子輸送層の定着力を高めた太陽電池を提供する。
【図面の簡単な説明】

【図1】図1は、第1実施形態による太陽電池100の断面図を示す

【符号の説明】
  1、11  基板  2、12  第1電極  3、13  第2電子輸送層
  4、14  第1電子輸送層  4a、14a  第1電子輸送層の第1主面
  4b、14b  第1電子輸送層の第2主面  5、15  光電変換層
  6  正孔輸送層  7  第2電極  21  再結合層  22  第2光電変換層

【図2】図2は、第1実施形態による太陽電池200の断面図を示す。

【図3A】図3Aは、第1実施形態による太陽電池200において、凹
凸構造の凸部を説明する図である。

【図3B】図3Bは、第1実施形態による太陽電池200において、凹
凸構造の凹部を説明する図である。


【図3C】図3Cは、第1実施形態による太陽電池200において、凹
凸構造の凹凸の高低差を説明する図である。

【図4】図4は、第2実施形態による太陽電池300の断面図を示す。

【図5】図5は、実施例1による光電変換層付き基板400の断面図を示す。

【図6】図6は、実施例1第1電子輸送層について、飛行時間型二次イ
オン質量分析によって得られた炭素プロファイルを示すグラフである。

【図7A】図7Aは、平坦基板または表面に凹凸構造を有するテクスチ
ャ構造付き基板上に作製された太陽電池において、炭素閾値と規格化効
率との関係を見積もった結果を示すグラフである。

【図7B】図7Bは、焼成温度と炭素閾値との関係を示すグラフである。

【図8】図8は、実施例1による第1電子輸送層について、X線光電分
光法により得られたC1sスペクトルの強度変化より求められた、C-C
結合ピーク強度のUV照射時間依存性を示すグラフである。

【図9】図9は、平坦基板上に配置された第1電子輸送層を焼成後、溶
媒をスピンコートする前後の膜厚の焼成温度依存性を示すグラフである。

【図10A】図10Aは、平坦基板上に配置された第1電子輸送層を焼
成後、その基板を用いて作製された太陽電池の開放電圧の焼成温度依存
性を示すグラフである。

【図10B】図10Bは、平坦基板上に配置された第1電子輸送層を焼
成後、その基板を用いて作製された太陽電池の短絡電流密度の焼成温度
依存性を示すグラフである。

【図10C】図10Cは、平坦基板上に配置された第1電子輸送層を焼
成後、その基板を用いて作製された太陽電池の曲線因子の焼成温度依存
性を示すグラフである。

【図10D】図10Dは、平坦基板上に配置された第1電子輸送層を焼
成後、その基板を用いて作製された太陽電池の変換効率の焼成温度依存
性を示すグラフである。

【図11A】図11Aは、図10Aの横軸を炭素閾値に変換し、かつ炭
素閾値が低い領域で発生する層間の短絡を考慮した場合の太陽電池性能
を見積もった結果を示すグラフである。

【図11B】図11Bは、図10Bの横軸を炭素閾値に変換し、かつ炭
素閾値が低い領域で発生する層間の短絡を考慮した場合の太陽電池性能
を見積もった結果を示すグラフである。

【図11C】図11Cは、図10Cの横軸を炭素閾値に変換し、かつ炭
素閾値が低い領域で発生する層間の短絡を考慮した場合の太陽電池性能
を見積もった結果を示すグラフである。
2️⃣特表2022-505477  多接合デバイスの製造方法  オックスフォード 
ユニバーシティ イノベーション リミテッド(有効)
3️⃣特開2025-34727 太陽電池セルおよびその製造方法 ケミプロ化成株
式会社・国立研究開発法人産業技術総合研究所(審査前)
4️⃣特開2025-28588 太陽電池装置及び太陽電池システム 京セラ株式
会社(審査前)
5️⃣特許第7636744号 太陽電池 株式会社PXP・株式会社SOLAB
LE(有効)
6️⃣特開2024-169139 太陽光発電装置 日産自動車株式会社(審査前)

🎈今回は紙面の都合で一件のみ掲載:長丁場で考察だ。 (苦?楽?)

ト音記号 イラストや に対する画像結果
『西郷輝彦: チャペルに続く白い道』1964年

🪄この歌は同級生だった田辺進が教えてくれた歌だった。務め先まで三
  度来てくれたが、それっきりで同窓会にも会えなかった。多分どこか
  で元気だと思っている。今夜は懐かしい曲を聴くことに。(泣)


今日の言葉:海水を真水に変える新技術「フッ素ナノチューブ」も
          あるのですがね。
  




           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 



コメント
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エネルギーと環境 239

2025年05月09日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-
                
                  

【季語と短歌:5月9日】 

       打ち水や渇水増水夏は来ぬ 
               
                    高山 宇(水鬼) 



✳️『池上彰が生解説!
         王様トランプVS世界 ニッポンはどうする?!』

真空押出技術で大型3Dプリント部品の内部空隙を75%削減(Reduced porosity strengthens large-scale 3D prints)
写真:A vacuum-assisted extrusion is leveraged in large-scale additive manu—          facturing to reduce porosity in printed parts. Credit: Vipin Kumar/ORNL, U.S.
Dept. of Energy

✳️真空押出技術で大型3Dプリント部品の内部空隙を75%削減
5月7日、オークリッジ国立研究所(ORNL)の研究チームは、大型3Dプ
リント部品の内部空隙(ポロシティ)を最大75%削減する真空支援押出
法を開発。この技術は、繊維強化ポリマー材料の押出工程中に真空ホッ
パーを組み込み、ガスを除去して空隙の形成を抑制する。その結果、繊
維含有量が異なる場合でも、ポロシティを2%未満に抑えることに成功し
ました。この成果は、航空宇宙、自動車、防衛分野で使用される大型構
造物の強度と耐久性を向上させ、3Dプリント技術の実用化を促進する可
能性があります。現在はバッチ処理に対応するが、ORNLは連続成形シス
テムへの応用に向けた特許出願中の技術開発も進めている。

開発した「産業用ヒートポンプシミュレーター」
✳️ 
簡単入力操作でヒートポンプ導入時間とコスト削減
5年前、 新エネルギー・産業技術総合開発機構,未利用熱エネルギー革
新的活用技術研究組合,早稲田大学,金属系材料研究開発センター,株式会
社前川製作所らは
産業用ヒートポンプの導入効果を定量評価できる「産
業用ヒートポンプシミュレーター」を開発している。(遅)



✳️ レーザーでマイクロバブルを生成し振動観測
京都大学と分子科学研究所は,水中に小さな気泡(マイクロバブル)を
2個並べて生成し,それらがサブMHzオーダーで同期して振動する様子
を捉えることに成功した。少量の液体を超高速・高周波数で操る技術は,
ハイスループットで特徴の違う細胞をソーティングするなど,医療や化
学分野で大量のサンプルを処理してデータを取得するために必要な技術
となっている。マイクロバブルの振動は流れや音波を生み出すので,こ
のような液体の操作に適しているが,振動するマイクロバブルを複数個
並べたときにどのように振る舞うかわかっていなかった。


【展望】この手法を使えば,サブMHzオーダーの高速なバブルの動きや
周辺の流
れをオンデマンドで操作でき,高速化が求められている医療・
化学分野の分析や
データ取得に新しい流体制御ツールを与える。また研
究グループは,この研究では脱気水を使用したが,水アルコール混合液
などでも同様の現象を起こすことができるため,幅広い用途への応用が
期待できる。

ナノフィルターは、微細な孔を持つフィルターで、主に粒子や有機物を
除去するために使用されます。ナノフィルターは、RO(逆浸透)膜と
細孔フィルターの中間的な性能を持っており、一部の重要なイオンや溶
解性物質を通過させながら、微小な物質や微生物を除去できる。

1️⃣特開2023-35679 分子性ナノ細孔フィルター 株式会社ナフィアス
 他(審査中:拒絶理由通知)
【要約】下図1フィルターとして使用するのに十分な大面積と強度を有し、
かつウイルスなどのより小さい微粒子の捕集を可能とするナノ細孔フィ
ルター、およびその製造方法を提供する。ナノ細孔を持つ分子の二次元
自己組織化構造体と、ナノフィルターとの複合構造体、前記複合構造体
を備えるナノ細孔フィルター、および前記複合構造体の製造方法を提供。

図1.ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体と、ナノファイバー
製フィルターとの複合構造体の模式図


図2.実施例1で得られたH2TCPPベースのCu2+結合二次元自己組織化構
造体の分子モデル

図3 実施例1で得られたガラス基板上に担持したH2TCPPベースのCu2+
結合二次元構造体の透過吸収スペクトル

【発明の効果】
  ナノ細孔を持つ分子からなる二次元自己組織化構造体をナノフィルター
特にナノファイバー製フィルターの上に担持し、複合化させることによ
って、得られた複合構造体の細孔サイズを、ナノフィルターの細孔サイ
ズ(≒100nmオーダー)から二次元自己組織化構造体の細孔サイズ(≒
数nmオーダー)まで下げることができる。加えて、二次元自己組織化構
造体の強度を上げ、かつ従来のサブmm2サイズのものしか作製できなか
った二次元自己組織化構造体を数~数百cm2サイズにまで大面積化でき
る。それにより、本発明の複合構造体をナノ細孔フィルターとして提供
することができる。また前記フィルターは、ウイルスや微粒子などナノ
スケールの物質の捕集を可能とするだけでなく、多孔性を活かし圧力損
失を下げることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】  ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体と、ナノフ
ィルター
との複合構造体。
【請求項2】 前記ナノ細孔の大きさが、0.5nm~20nmの範囲であ
る、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項3】 前記ナノ細孔を持つ分子が、配位性置換基を有する分子お
よび金属イオンから構成される、請求項1または2に記載の複合構造体。
【請求項4】前記ナノ細孔を持つ分子がポルフィリン化合物である、請
求項3に記載の複合構造体。
【請求項5】前記ナノフィルターが、ポリアクリロニトリル、ポリプロ
ピレン、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン6,6、セルロースおよ
びセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の有機高
分子を含むナノファイバー製のフィルターである、請求項1~4のいず
れかに記載の複合構造体。
【請求項6】前記ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体の面積
が1cm2以上である、請求項1~5のいずれかに記載の複合構造体。
【請求項7】前記ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体が、配
位性置換基を有する分子を含む有機溶媒溶液と、金属イオンを含む水溶
液との界面での錯形成反応により得られる、請求項3に記載の複合構造
体。
【請求項8】前記配位性置換基を有する分子が、ポルフィリン化合物で
あり、前記有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶剤および炭素数4乃至8の
アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7
に記載の複合構造体。
【請求項9】請求項1~8のいずれかに記載の複合構造体を備えるナノ
細孔フィルターであって、そのろ過精度が5nm以下である、ナノ細孔フ
ィルター。
【請求項10】ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体と、ナノ
ファイバー製フィルターとの複合構造体の製造方法であって、-配位性
置換基を有する分子を含む有機溶媒の溶液を、金属イオンを含む水溶
液に滴下して加え、界面での錯形成反応によりナノ細孔を持つ分子の二
次元自己組織化構造体を調製する工程、および- 得られたナノ細孔を持
つ分子の二次元自己組織化構造体にナノファイバー製フィルターを重ね
て複合化する工程、を含む方法。

【背景技術】  ナノフィルターは、分子担持に十分な比表面積を有するこ
とを特徴とする。それに加えて、特にナノファイバー製フィルターは、
無機ポーラス材料では困難である柔軟性や有機化合物との高い親和性を
有することを特徴とするが、通気孔のスケールが約100nmであり、菌類
やPM2.5などの大きさの粒子などは捕集可能であるが、ウイルスなどの
より小さい微粒子の捕集は困難であった。
 近年、二次元自己組織化金属有機構造体(two-dimensional self-assembly
metal-organic frameworks)についての研究が行われ、そのナノ細孔の
利用も検討されている(例えば、非特許文献1乃至3参照)。しかしなが
ら、自己組織化による単分子膜は大面積化することが困難であり、かつ
自立性に欠けることから、それ単体でフィルターとするには面積が十分
ではなく(サブmm2サイズ)、かつ強度が足りないなどの問題が存在す
る。

自己組織化 無秩序な世界から秩序を生みだす不思議なプロセス


【発明が解決しようとする課題】
  本発明は、フィルターとして使用するのに十分な大面積(cm2サイズ)
強度を有し、かつウイルスなどのより小さい微粒子の捕集を可能とす
る、ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体と、ナノフィルター
の複合構造体、前記複合構造体を備えるナノ細孔フィルター、および前
記複合構造体の製造方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、
二次元自己組織化金属有機構造体の前述の問題を解決するための検討を
重ねた結果、ナノ細孔を持つ分子からなる二次元自己組織化構造体と
ノフィルター
を複合化させることによって、二次元自己組織化構造体の
大面積化(cm2サイズ)を達成すると共に、得られた複合構造体がフィ
ルターとしての優れた捕集性能や強度を満足することを見出し、本発明
を完成させた。

 本発明は、以下のとおりである:
[1]  ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体と、ナノフィルタ
]に記載の複合構造体。
[2]  前記ナノ細孔の大きさが、0.5nm~20nmの範囲である、[
1]に記載の複合構造体。
[3]  前記ナノ細孔を持つ分子が、配位性置換基を有する分子および金
属イオンから構成される、[1]または[2]に記載の複合構造体。
[4]  前記ナノ細孔を持つ分子がポルフィリン化合物である、[3]に
記載の複合構造体。
[5]  前記ナノフィルターが、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、
ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン6,6、セルロースおよびセルロ
ース誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の有機高分子を含
むナノファイバー製のフィルターである、[1]~[4]のいずれかに記
載の複合構造体。
[6]  前記ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体の面積が1c
m2以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の複合構造体。
[7]  前記ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体が、配位性置
換基を有する分子を含む有機溶媒溶液と、金属イオンを含む水溶液との
界面での錯形成反応により得られる、[3]に記載の複合構造体。
[8]  前記配位性置換基を有する分子が、ポルフィリン化合物であり、
前記有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶剤および炭素数4乃至8のアルコー
ルからなる群より選択される少なくとも1種である、[7]に記載の複合
構造体。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の複合構造体を備えるナノ細孔フ
ィルターであって、そのろ過精度が5nm以下である、ナノ細孔フィルター。
[10]  ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体と、ナノファイ
バー製フィルターとの複合構造体の製造方法であって、-   配位性置換
基を有する分子を含む有機溶媒の溶液を、金属イオンを含む水溶液に滴
下して加え、界面での錯形成反応によりナノ細孔を持つ分子の二次元自
己組織化構造体を調製する工程、および-    得られたナノ細孔を持つ分
子の二次元自己組織化構造体にナノファイバー製フィルターを重ねて複
合化する工程、を含む方法。

【発明を実施するための形態】
【0010】
  <複合構造体>
(ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体)
  本発明は、ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体と、ナノフィ
ルター
との複合構造体を提供する。本発明の複合構造体の模式図を図1
に示す。本発明の複合構造体を構成するナノ細孔を持つ分子の二次元自
己組織化構造体は、複数のナノ細孔を持つ(すなわち、ナノ多孔性であ
る)二次元自己組織化金属有機構造体(two-dimensional self-assembly
metal-organic frameworks)を形成し得る分子であれば特に限定はない。
そのような分子の例としては、前記非特許文献1乃至3に記載のポルフ
ィリン化合物、前記非特許文献3に記載のポリチオール、ポリアミンま
たはポリカルボン酸化合物、Bull. Jpn. Soc. Coord. Chem., 67, 41-46 (2
016) に記載のジピリン化合物などを挙げることができる。【0011】

  本発明の一実施態様において、ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化
構造体のナノ細孔の大きさは、好ましくは100nm未満であり、より好ま
しくは50nm以下であり、さらに好ましくは20nm以下であり、特に好ま
しくは10nm以下であり、また好ましくは0.1nm以上であり、より好まし
くは0.5nm以上であり、さらに好ましくは1nm以上である。 本発明にお
いて、細孔の大きさは、分子モデル、例えば、X線構造解析から推定さ
れる分子構造から算出される値であってよい。【0012】
  本発明の一実施態様において、ナノ細孔を持つ分子は、配位性置換基を
有する分子および金属イオンから構成される。配位性置換基の例として
は、水酸基、イミノ基、アミノ基、ホスフィノ基、カルボキシル基また
はチオール基あるいはそれらの基のいずれかを含むヘテロ環(例えば、
ピリジル基など)が挙げられる。金属イオンの例としては、周期表第2
~15族の元素から選択される金属のイオンが挙げられる。そのような
配位性置換基を有する分子および金属イオンを供し得る化合物は、それ
ぞれ、当業者に知られており、公知の方法に従い合成することにより、
または試薬供給業者より入手することができる。【0013】
  本発明の一実施態様において、配位性置換基を有する分子は、ポルフ
ィリン化合物である。典型的なポルフィリン化合物としては、下記式(
I)で表される化合物を挙げることができる。ここで、π電子共役系が
拡張されたり、一部のピロール環が還元されたり、メソ位の炭素が窒素
に置換された化合物もポルフィリン化合物に含まれる。
【化1】
000003
【0015】
  式中、Mは、Hであるか、あるいは周期表第1~15族の元素から選
択される元素であり;R~R12は、互いに独立して、水素原子、配
性置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、または配位性置換基を
有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基であり、
  ここで、配位性置換基は、水酸基、イミノ基、アミノ基、ホスフィノ
基、カルボキシル基またはチオール基であり、R~R12の少なくと
も2つは、配位性置換基を有するフェニル基またはイミノ基を有するヘ
テロアリール基である。【0016】
  ここで、周期表第1~15族の元素から選択される元素としては、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、
イットリウム、ランタノイド元素、アクチノイド元素、チタン、ジルコ
ニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブ
デン、タングステン、マンガン、テクニチウム、レニウム、鉄、ルテニ
ウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラ
ジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、ホウ素、アルミ
ニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、ス
ズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモンまたはビスマスが挙げられる。
  またイミノ基を有するヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピリミ
ジル基、ピロリル基またはイミダゾリル基が挙げられる。【0017】
  本発明の好ましい実施態様において、ポルフィリン化合物は、前記式(
I)で表される化合物であって、R、R、R、R、R、R
10およびR11が水素原子であり、かつR、R、RおよびR12
の2つがフェニル基であり、2つが4-カルボキシフェニル基であるか、
、R、RおよびR12のいずれもが4-カルボキシフェニル基ま
たは4-ピリジル基である。【0018】

ナノフィルター
  本発明の複合構造体を構成するナノフィルターは、無機または有機ポー
ラス材料を含むナノフィルターであってよい。ここで無機ポーラス材料
の例としては、アルミナ、シリカ、ゼオライトなどが挙げられ、有機ポ
ーラス材料の例としては、ナノファイバーまたはナノファイバーより形
成される多孔体などが挙げられるが、これらはそれぞれ、当業者に知ら
れており、公知の方法に従い製造することにより、または供給業者より
入手することができる。【0019】
  本発明の一実施態様において、ナノフィルターは、ナノファイバーより
形成される多孔体、すなわちナノファイバー製フィルターである。本発
明のナノファイバー製フィルターにおけるナノファイバーとは、平均径
が1000nm以下で、アスペクト比が100以上の繊維を意味する。ナノファ
イバーは例えば、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)、メトロブロ
ー法、および海島式紡糸法で製造することができる。
  ナノファイバーの平均径は、1~1000nmが好ましく、10~1000nmが
より好ましく、50~500nmが更に好ましい。ナノファイバーの平均径は
、ナノファイバーの走査型電子顕微鏡(SEM)による画像観察におい
て100本のナノファイバーの直径の算術平均値として算出される。
【0020】
  ナノファイバーは、有機高分子を含むことが好ましい。ナノファイバー
が有機高分子を含む場合、有機高分子の種類は特に限定されず、目的等
に応じて、通常用いられる有機高分子から適宜選択することができる。
ナノファイバーを構成する有機高分子の具体例としては、ポリプロピレ
ン(PP)等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニル
アルコール(PVA)等のポリビニル;ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸グリ
コール(PLGA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカプ
ロラクトン(PCL)等のポリエ
ステル;ナイロン6、ナイロン6,6、
シルク等のポリアミド(PA);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリウレ
タン(PUR);ポリエーテルイミド(PEI);ポリフッ化ビニリデン(PV
DF);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリスチレン(PS);セル
ロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン等の多糖類などを挙げる
ことができる。有機高分子は、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエーテル
イミド、多糖類からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
  ナノファイバーに含まれる有機高分子は1種単独でも、2種以上の組み
合わせであってもよい。
【0021】
  ナノファイバーを構成する有機高分子は、取り扱い易さおよび耐久性の
観点から、親油性かつ耐油性であることがより好ましい。ここで親油性
とはその物質と油脂類との濡れ性のことであり、耐油性とはその物質が
油脂類に長時間接触しても性状の変化が抑制され、使用に問題がない事
を意味する。親油性かつ耐油性の有機高分子としては、ポリアクリロニ
トリル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン6,6、
セルロース、セルロース誘導体等を挙げることができ、これらからなる
群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0022】
  ナノファイバーを構成する有機高分子の分子量は特に制限されず、目
的等に応じて適宜選択することができる。有機高分子の分子量は例えば、
重量平均分子量が1万~100万であり、5万~50万であることが好
ましい。【0023】
  本発明のナノファイバー製フィルターは、取扱い性の観点から、不織
布、編物、織物等の成形体を構成することが好ましい。すなわち、本実
施形態は、ナノファイバーを含む成形体を包含する。ナノファイバーを
含む成形体の形態は、目的等に応じて適宜選択され、不織布、編物およ
び織物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、
不織布であることがより好ましい。【0024】
  成形体が不織布である場合、その厚みは特に制限されず、目的等に応じ
て適宜選択することができる。不織布の厚みを選択することにより例え
ば、不織布の物質に対する透過性を制御することができる。不織布の厚
みは例えば、目付量として0.01~100g/m2とすることができ、0.05~
1g/m2が好ましく、0.1~0.5g/m2がより好ましい。【0025】
  成形体である不織布はナノファイバーに加え、必要に応じて、その他の
繊維を更に含んでいてもよい。その他の繊維としては特に制限されず、
目的等に応じて通常用いられる繊維から適宜選択することができる。そ
の他の繊維の素材としては例えば、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエ
ーテルイミド、多糖類、カーボン、セラミック、ガラス等が挙げられる。
またその他の繊維は例えば、平均径が1nm以上1000nm未満のナノファ
イバーであってもよく、平均径が1~100μmの繊維であってもよい。そ
の他の繊維は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
  不織布がその他の繊維を含む場合、その含有量は特に制限されず、目
的等に応じて適宜選択することができる。
【0026】
  不織布は、基材上に形成されていてもよい。すなわち、成形体である
不織布は、基材と、基材上に配置されるナノファイバーを含む不織布層
とを含む積層体を包含する。不織布層が積層される基材は特に制限され
ず、目的等に応じて適宜選択することができる。基材は物質に対する透
過性を有することが好ましく、少なくとも通気性を有することがより好
ましい。
  基材の形態としては例えば、不織布、織物、編物、紙、多孔質膜等を挙
げることができる。基材の素材としては例えば、ナノファイバーの項で
例示した有機高分子、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、
多糖類等を挙げることができる。基材を構成する素材は1種単独でも、
2種以上の組合せであってもよい。基材の厚みとしては例えば、1μm~
5mmとすることができる。
  基材の形態が不織布である場合、不織布を構成する繊維の平均径とし
ては例えば、10~100μmとすることができる。また基材である不織布
の坪量としては例えば、10~100g/m2とすることができる。【0027】
  積層体は、基材と不織布層とに加えて必要に応じてその他の層を更に
有していてもよい。その他の層としては例えば、基材と不織布層との間
に配置される接着層、不織布層上に配置される保護層等を挙げることが
できる。接着層は例えば、熱可塑性樹脂等の接着材料を含むことができ
る。【0028】
<複合構造体の製造方法>
  本発明の複合構造体は、前記ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化
構造体を、前記ナノフィルターの上に担持し、複合化させることによっ
て得られる。本発明の複合構造体の製造方法の例を以下に示す。【0029】
(工程1)
 工程1では、配位性置換基を有する分子を含む有機溶媒の溶液を、金属
イオンを含む水溶液に、少量ずつゆっくりと滴下しながら加え、界面で
の錯形成反応により、ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体を
調製する。【0030】
  配位性置換基を有する分子を含む有機溶媒の溶液は、前記配位性置換
基を有する分子を溶かし、かつ水への相溶性の低い有機溶媒であればよ
い。そのような有機溶媒は、前記配位性置換基を有する分子の性質に応
じて、当業者であれば適宜選択することができる。例えば、前記配位性
置換基を有する分子がポルフィリン化合物である場合、ポルフィリン化
合物を含む有機溶媒の溶液は、好ましくは、芳香族炭化水素系溶剤(例
えば、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなど)および炭素数4乃至8
のアルコール(例えば、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノー
ルまたはn-オクタノールなど)からなる群より選択される少なくとも1
種の有機溶媒に、適切な濃度で、例えば0.01mM~100mMの濃度でポル
フィリン化合物を溶解することにより調製される。ここで、水への相溶
性の低い有機溶媒を用いることにより、水面を拡散することから大面積
(数~数百cm2サイズ)のナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造
体を形成することが可能となる。【0031】

  金属イオンを含む水溶液は、前記配位性置換基との組み合わせにおいて、
二次元自己組織化構造体を形成するのに適したものであればよい。また
そのような金属イオンは、当該金属を含む無機化合物を、水に適切な濃
度で、例えば1mM~1,000mMの濃度で溶解することにより調製
される。そのような無機化合物の例としては、第一遷移金属のハロゲン
化物、硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩またはそれらの水和物などが挙げら
れる。例えば、塩化第二鉄(III)、塩化コバルト(II)、塩化ニッケル(II)、
塩化第二銅(II)などのハロゲン化物;硝酸第二鉄(III)、硝酸コバルト
(II)、硝酸ニッケル(II)、硝酸第二銅(II)などの硝酸塩;硫酸第二鉄
(III)、硫酸コバルト(II)などの硫酸塩;過塩素酸第二鉄(III)などの
過塩素酸塩;またはそれらの水和物が挙げられる。【0032】
  工程1では、金属イオンを含む水溶液を、シャーレやバット等の浅く
平な容器に入れて静置し、次いでそこにマイクロシリンジ等を使用し、
配位性置換基を有する分子を含む有機溶媒の溶液をゆっくりと滴下する。
それにより有機溶媒と水の界面で、配位性置換基と金属イオンの間で錯
形成反応が進行し、二次元自己組織化構造体が形成される。【0033】
(工程2)
 工程2では、得られたナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体に
ナノフィルターを重ねて複合化する。なお、二次元自己組織化構造体は、
水面に浮いた状態のままで、これを単離することなく、ナノフィルター
を上から載せ、静置することにより複合化を行うことが好ましい。複合
化により得られた複合構造体は、強度が上がり水面から容易に取り除く
ことができる。【0034】
 工程1で得られた二次元自己組織化構造体や、工程2で得られた複合構
造体は、必要に応じて、過剰の金属イオンなどを除去するために水で洗
浄してもよい。そのような洗浄工程は、例えば、工程1に続いて、金属
イオンを含む水溶液を水(例えば、蒸留水、イオン交換水、純水または
超純水(Milli-Q水)など)で置換することにより実施してもよい。具体
的には、工程1で形成され、水面に浮いた状態の二次元自己組織化構造
体を壊さないように、ピペット、マイクロシリンジ、チュービングポン
プ等を用い適切な操作にて水溶液と水を徐々に入れ替えることにより、
実施することができる。あるいは工程2に続いて、水面から取り除いた
複合構造体を水で洗浄することにより実施してもよい。【0035】
  このようにして得られた、本発明の複合構造体は、ナノ細孔フィルター
として使用することができ、菌類やPM2.5などの大きさの粒子に加え、
ウイルスなどのより小さい微粒子も捕集可能なろ過精度を有する。本発
明のナノ細孔フィルターのろ過精度は、好ましくは10nm以下、より好
ましくは5nm以下である。したがって、本発明のナノ細孔フィルターは、
例えば、空気清浄用フィルターとして期待できる。

【実施例】【0036】
  以下、本発明の具体的態様を実施例として示すが、これらは例示であっ
て、本発明を限定することを意図するものではない。【0037】
[実施例1:ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体の作製]
  トルエン(関東化学(株)製、特級)/n-ヘキサノール(富士フイル
ム和光純薬(株)製、特級)(3:1, v/v)混合溶媒を用いて0.2mM 4,4′,
4″,4″′-(ポルフィン-5,10,15,20-テトラリル)テトラキス(安息香酸)
(Sigma-Aldrich製、以下、H2TCPPと称す)溶液を作製した。直径10
cmのシャーレに100mM 塩化第二銅水溶液50mLを入れ、作製したH2
TCPP溶液150μLをマイクロシリンジで塩化第二銅水溶液の上に一滴ず
つ滴下した。界面錯形成反応により、水溶液上に薄膜(H2TCPPベース
のCu2+結合二次元自己組織化構造体)が形成された。
  次に、塩化第二銅水溶液を精製水へ入れ替え、高濃度の塩化第二銅が
薄膜に付着することを防ぐため、ピペットで溶液を15mL取り出し、精
製水を15ml加える操作を20回行い、溶液を計300mL交換した。その後、
溶液上の薄膜をスライドガラスで下から掬い取り、薄膜をスライドガラ
ス上に担持した。H2TCPPベースのCu2+結合二次元自己組織化構造体の
分子モデルを図2に示す。  得られたスライドガラス上の薄膜について、
透過吸収スペクトル測定を行った。結果を図3に示す。透過吸収スペク
トルでは、典型的なSoret帯(422 nm)とQ帯が観測され、H2TCPP由
来の薄膜が形成されていることがわかった。【0038】
[実施例2:ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体とナノファ
イバー製フィルターの複合化(4×4 cm2)]
(ナノファイバー製フィルターの作製)
  ポリプロピレンスパンボンド不織布30g/m2(シンテックス(登録商
標)、三井化学(株)製)に対してマルチノズル式エレクトロスピニング
装置((株)ナフィアス製)を用いてポリウレタンナノファイバー不織
布0.1g/m2を直接紡糸して作製した。ポリウレタンナノファイバー不織
布の紡糸溶液は、ジメチルホルムアミド(DMF)およびメチルエチルケ
トン(MEK)を70/30の比率で混合した混合溶媒にポリウレタン樹脂を
10wt%の濃度で溶解し24時間室温で撹拌し作製した。【0039】
(複合構造体の作製)
  トルエン/n-ヘキサノール(3:1, v/v)混合溶媒を用いて0.2mM H2TC
PP溶液を作製した。直径20cmのシャーレに100mM 塩化第二銅水溶液
250mLを入れ、作製したH2TCPP溶液250μLをマイクロシリンジで塩化
第二銅水溶液の上に一滴ずつ滴下した。界面錯形成反応により、水溶液
上に薄膜(H2TCPPベースのCu2+結合二次元自己組織化構造体)が形成
された。
  次に、塩化第二銅水溶液をMilli-Q水へ入れ替え、高濃度の塩化第二銅
が薄膜に付着することを防ぐため、チュービングポンプ(FRONT LAB製
)で60mL/minで溶液を吸引し、サイフォン形式でMilli-Q水を加え、溶
液を計2.5L交換した。その後、不織布に担持されたポリウレタンナノフ
ァイバー製フィルターを4×4 cm2切り出し、ピンセットで掴み、ナノフ
ァイバーの面を溶液上の薄膜に乗せた。5分静置し、薄膜をナノファイ
バー製フィルターと複合化した。【0040】

ナノファイバー用エレクトロスピニングマシン - NE300 - Inovenso Inc. - 研究室用 / 小型 / マルチノズル  NEU ナノファイバーエレクトロスピニングユニット | 風合い試験機・電子計測器のカトーテック株式会社

[実施例3:ナノ細孔を持つ分子の二次元自己組織化構造体とナノファ
イバー製フィルターの複合化(15×15 cm2)]トルエン/n-ヘキサノー
ル(3:1, v/v)混合溶媒を用いて濃度0.2mM H2TCPP溶液を作製した。
250×200×60 mm3のPVCバット(アズワン(株)製)に100mM 塩化
第二銅水溶液700mLを入れ、作製したH2TCPP溶液500μLをマイクロシ
リンジで塩化第二銅水溶液の上に一滴ずつ滴下した。界面錯形成反応に
より、水溶液上に薄膜(H2TCPPベースのCu2+結合二次元自己組織化構
造体)が形成された。
  次に、塩化第二銅水溶液をMilli-Q水へ入れ替え、高濃度の塩化第二銅
が薄膜に付着することを防ぐため、チュービングポンプ(FRONT LAB
製)を用いて60mL/minで溶液を吸引しながら、チュービングポンプ
(FRONT LAB製)を用いて60mL/minでMilli-Q水を加え、溶液を計5.0
L交換した。その後、実施例2と同様の方法で作製した、不織布に担持
されたポリウレタンナノファイバー製フィルターを15×15 cm2切り出し、
ラテックスグローブを装着した手で掴み、ナノファイバーの面を溶液上
の薄膜に丁寧に乗せた。5分静置し、薄膜をナノファイバー製フィルタ
ーと複合化した。
【産業上の利用可能性】【0041】
  昨今の新型コロナウイルスの世界的な大流行により、ウイルスを捕集
できるフィルターへの需要が高まっている。しかしながら、例えばHEPA
フィルターなどのように繊維を多重に織り込むことで細孔径を小さくし
た場合、通気性を減少させる圧力損失が問題となる。これは、ナノファ
イバーを利用することである程度解消されるが、Top down的方法では
限界があった。本発明の複合構造体は、ナノ細孔を持つ分子からなる
二次元自己組織化構造体をナノフィルターの上に担持し、複合化させる
ことによって得られ、その細孔サイズを、ナノフィルターの細孔サイズ
(≒100nmオーダー)から二次元自己組織化構造体の細孔サイズ(≒数
nmオーダー)まで下げることができる。加えて、複合化により二次元
自己組織化構造体の強度を上げ、かつcm2サイズにまで大面積化できる。
それにより、本発明の複合構造体をナノ細孔フィルターとして提供する
ことができ、かつそのフィルターは、ウイルスや微粒子などナノスケー
ルの物質の捕集を可能とするだけでなく、多孔性であるので圧力損失も
小さいことから、空気清浄用フィルターとしての活用が期待できる。
                          この項つづく

🪄読者処理は、意図がご理解いただけたと思うが、強靭な耐久性をもつ
 薄膜ハイブリッド有機化合物の⓵開口形状、②開口寸法、⓷薄膜厚さ
 ④海水通過流速の最適解の究明と⑤阻止物質の成分と⑥親和性の挙動
 解明にある。したがって、関連情報の考察は当面続くことになる。こ
 の事案の関係者に感謝したい。
ト音記号 イラストや に対する画像結果
          『The Beatles - Help!』


今日の言葉:連日、神経ひりり状態がつづく。


           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 

 

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エネルギーと環境 238

2025年05月08日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:5月8日】 

        八十八夜冷え深く朝寝し 

 
              高山 宇(青鬼)

🪄緊張続き眠れず。朝方電気毛布入れ朝寝一時間、眠い。(当惑)

✳️最新特許情報:ペロブスカイト太陽電池封止
1️⃣ 特許7627527 液剤吐出装置及び液剤吐出制御方法 株式会社サン
     エイテック 
【要約】下図1のごとく、ブロックロッド40には、圧電素子11による
発生力を受ける第1のブロック面41と、第2の変位方向Yに平行で第
1のブロック面41に向かい合う第2のブロック面42と、第2の変位
方向Yに平行でなく第1のブロック面41に向かい合う第3のブロック
面43とを有し、第1のブロック面41には複数の円柱状コロ51を配
置し、第2のブロック面42とハウジング12との間には複数の第1振
動板53を配置し、第3のブロック面43とハウジング12との間には、
複数の第2振動板54を配置し、ブロックロッド40は、円柱状コロ51
によって、第2の変位方向Yに移動し、第1振動板53及び第2振動板
54によって、第1の変位方向X及び第2の変位方向Yに移動する。


図1 本発明の一実施例による液剤吐出装置を示す概略構成図

【発明の効果】  本発明の液剤吐出装置によれば、圧電素子からの変位を
第1振動板及び第2振動板で接続したブロックロッドを介して効率的にピ
ストンロッドに伝えることができ、低発生力で低静電容量の圧電素子を使
用してノズルを高速開閉させることができる。
【符号の説明】  10  フレーム筐体  11  駆動源(圧電素子)  12  ハ
ウジング  13  放熱性弾性樹脂  14  ステンレス円柱筐体  15  ヒート
シンク  16  ロッド付勢手段  16a  第1ロッド付勢手段  16b  第2
ロッド付勢手段  17  ピストン  18  与圧ばね  20  液剤供給筐体  21  
ノズル  22  液剤供給部  23  液剤供給路  24  ピストンロッド  25  
ロッド孔  26  突起  27  係合凹部  30  ヒータ筐体  31  回動軸  32 
 突出部  32a  球体  40  ブロックロッド  40A  ブロック体  40B 
 ロッド  41  第1のブロック面  42  第2のブロック面  43  第3のブ
ロック面  45  空洞  46  重量材  51  円柱状コロ  52  緩衝板  53  
第1振動板  54  第2振動板  55  スリット  60  取付具  61  楔状爪
  62  バネ部材  63  操作部  Va  電圧  V1  第1電圧  V2  第2電圧
  X  方向(第1の変位方向)  Y  方向(第2の変位方向)  α  微小角度
【図2】ブロックロッドを示す同装置の要部斜視図

【図3】同装置に用いることができるブロックロッドの斜視図


【図4】同装置における第1の変位量と第2の変位量との関係を示す説明図

【図5】同装置を構成する液剤供給筐体の取り付けを示す構成図

【図6】液剤供給筐体のフレーム筐体への取付方法を示す要部斜視図


【図7】同装置を用いた液剤吐出制御方法の説明図

2️⃣特開2025-067071 酸化錫粒子分散液、および、酸化錫粒子積層膜
  の製造方法 三菱マテリアル株式会社 大日本印刷株式会社
【要約】】太陽電池モジュール用の封止材シートであって、ポリオレフィ
ン系樹脂をベース樹脂とし、融点が45℃以上60℃以下であって、且
つ、補外融解開始温度と融点の温度差が11℃以下であり、樹脂成分中
に0.1質量%以上1.2質量%以下の割合で架橋剤を含有する、封止
シートである。

 
図1                 図2
  1    封止材シート  11  コア層  12  スキン層  2    透明前面基板
  3    前面封止材層  4    太陽電池素子  5    背面封止材層  6    裏面保
 護シート
【発明の効果】
  本発明によれば、太陽電池モジュール用の封止材シー
トとしての好ましい水準のモールディング性を備え、耐熱性を備える
止材
シートを提供することができる

(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】  太陽電池モジュール用の封止材シートであって、
  ポリオレフィン系樹脂をベース樹脂とし、
  前記ポリオレフィン系樹脂は、炭素数が8のα-オレフィンから構成さ
れる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であって、前記α-オレフィンの
含有量は12モル%であり、

  融点が45℃以上60℃以下であって、且つ、補外融解開始温度と融
点の温度差が11℃以下であり、

  樹脂成分中に0.1質量%以上1.2質量%以下の割合で架橋剤を含
有する、
  封止材シート。
【請求項2】太陽電池素子を備える太陽電池モジュールであって、
  前記太陽電池素子を封止する前面封止材層及び背面封止材層を備え、
  前記前面封止材層と前記背面封止材層のうち少なくとも1つが請求項
1に記載の封止材シートにより構成されている、
太陽電池モジュール。
【請求項3】前記封止材シートのゲル分率が、50%以上90%以下で
ある、
  請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】封止材組成物を溶融成形することによって得られる太陽電
池モジュール用の封止材シートの製造方法であって、

  前記封止材組成物は、ポリオレフィン系樹脂をベース樹脂として含む
樹脂と、架橋剤と、を含有し、

  前記ポリオレフィン系樹脂は、炭素数が8のα-オレフィンから構成さ
れる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であって、前記α-オレフィンの
含有量は12モル%であり、

  前記架橋剤の含有量は、前記封止材組成物全量中0.2質量%以上
1.2質量%以下の範囲であり、
得られる封止材シートの融点が45℃
以上60℃以下であって、補外融解開始温度と融点の温度差が11℃以
下となるように前記封止材組成物を溶融成形する、
封止材シートの製造
方法。                         以下割愛


3️⃣特開2025-35099 芳香族ジイミド誘導体及びそれを用いたペロブスカ
     イト太陽電池 国立研究開発法人産業技術総合研究所
4️⃣特許第7656764号 太陽電池モジュール用の封止材シート、太陽電池
 モジュール及び封止材シートの製造方法 
5️⃣特開2025-63285 太陽電池および太陽電池の製造方法 パナソニッ
 クホールディングス株式会社(審査中)
【要約】太陽電池1000は、支持材2、光電変換素子1、および封止
3、を具備する。光電変換素子1は、支持材2および封止材3によっ
て封止された封止空間の内部に配置される。光電変換素子1は、第1電
極、光電変換層、および第2電極、をこの順で備える。封止空間内の水
蒸気量を、光電変換素子の封止空間に面する面の表面積で除した値は、
2.3×10-6mol/m2以上かつ1.2×10-4mol/m2以下であ
る。太陽電池の耐久性を向上させる。
000002
図1本開示の実施形態による太陽電池1000の概略構成を示す図
【符号の説明】
  1  光電変換素子  2  支持材  3  封止材  4  基板  5  第1電極  6  電
子輸送層  7  光電変換層  8  正孔輸送層  9  第2電極  10  多孔質層
  11  中間層  100、200、300  光電変換素子  1000  太陽電

【特許請求の範囲】
【請求項1】  支持材、
  光電変換素子、および
  封止材、を具備し、
  前記光電変換素子は、前記支持材および前記封止材によって封止された
封止空間の内部に配置され、
  前記光電変換素子は、第1電極、光電変換層、および第2電極、をこ
の順で備え、
  前記封止空間内の水蒸気量を、前記光電変換素子の前記封止空間に面
する面の表面積で除した値は、2.3×10-6mol/m2以上かつ
1.2×10-4mol/m2以下である、太陽電池。
【請求項2】  前記封止空間内の水蒸気量を、前記光電変換素子の前記
封止空間に面する面の表面積で除した値は、2.3×10-6mol/m2
以上かつ2.3×10-5mol/m2以下である、
請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】  前記封止空間内の酸素濃度は、体積分率で10ppm未
満である、請求項1または2に記載の太陽電池。
【請求項4】  前記封止空間内の水蒸気の分圧は、1×10-4atm以上
かつ5×10-3atmである、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】  前記光電変換層は、ペロブスカイト化合物を含む、
請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】  前記ペロブスカイト化合物は、鉛を含む、請求項5に記
載の太陽電池。
【請求項7】前記光電変換素子は、前記光電変換層および前記第2電極
の間に配置された正孔輸送層をさらに備え、
  前記正孔輸送層は、有機半導体を含む、
請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】前記有機半導体は、2,2′,7,7′-tetrakis-
(N,N-di-p-methoxyphenylamine)9,9
′-spirobifluorene、およびpoly[bis(4-
phenyl)(2,4,6-trimethylphenyl)
amine]からなる群より選択される少なくとも1つを含む、
請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】  前記正孔輸送層は、添加剤をさらに含む、
請求項7または8に記載の太陽電池。
【請求項10】  前記添加剤は、tert-ブチルピリジン、ビス(ト
リフルオロメタンスルホニル)イミドカルシウム(II)、ビス(トリ
フルオロメタンスルホニル)イミド亜鉛(II)、トリス[4-ter
t-ブチル-2-(1H-ピラゾールー1-イル)ピリジン]コバルト
(III)トリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびト
リス(ペンタフルオロフェニル)ボランからなる群より選択される少な
くとも1つを含む、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】  第1電極、光電変換層、および第2電極、をこの順で
備える光電変換素子を、前記光電変換素子の封止空間に面する面の表面
積あたりの封止空間内の水蒸気量が2.3×10-6mol/m2以上かつ
1.2×10-4mol/m2以下となるように調整された雰囲気中で、封
止することを含む、太陽電池の製造方法。

【詳細説明】
【0148】  <耐熱試験>
  実施例1から7および比較例1から2による太陽電池について、耐熱
試験を実施した。太陽電池は、恒温槽中で85℃に190時間維持され
た。耐熱試験後に、上記の方法で、太陽電池の光電変換効率が測定された。
【0149】  以上の実験結果、すなわち初期状態、耐光試験後、およ
び耐熱試験後の太陽電池の光電変換効率の測定結果を、表1に示す。表
中にて、正孔輸送層の原料溶液に含まれる添加剤について、リチウムビ
ス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは「LiTFSI」、トリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボランは「TPFPB」と表記されてい
る。また、添加剤毎に、水蒸気濃度による効率の違いを評価するために、
各添加剤の最大効率を基準としたときの効率の低下率が表1に示されて
いる。各添加剤の最大効率を基準としたときの効率の低下率は、表中に
て、「変換効率の低下率」と表記されている。
【0150】
000003
添加剤毎の耐光試験後および耐熱試験後の効率について、水蒸気濃度が
耐久性へ及ぼす影響を比較するために、試験後の最大効率を示した水蒸
気濃度における光電変換効率を基準として、規格化光電変換効率を求めた。
図5は、実施例1、実施例4、実施例6、および比較例1の太陽電池の
規格化光電変換効率の水蒸気濃度依存性を示すグラフである。すなわち
、図5は、正孔輸送層における添加剤がLiTFSIである場合の、規
格化光電変換効率の水蒸気濃度依存性を示すグラフである。
 図6は、実施例1、実施例4、実施例6、および比較例1の太陽電池の
規格化光電変換効率の水蒸気量依存性を示すグラフである。すなわち、
図6は、正孔輸送層における添加剤がLiTFSIである場合の、規格
化光電変換効率の水蒸気量依存性を示すグラフである。図6は、図5の
横軸を、封止空間内の水蒸気濃度から、水蒸気量を光電変換素子の封止
空間に面する面の表面積で除した値に換算したものである。【0154】

  図7は、実施例2、実施例3、実施例5、実施例7、および比較例2
の太陽電池の規格化光電変換効率の水蒸気濃度依存性を示すグラフであ
る。すなわち、図7は、正孔輸送層における添加剤がTPFPBである
場合の、規格化光電変換効率の水蒸気濃度依存性を示すグラフである。

【0155】  図8は、実施例2、実施例3、実施例5、実施例7、お
よび比較例2の太陽電池の規格化光電変換効率の水蒸気量依存性を示す
グラフである。すなわち、図8は、正孔輸送層における添加剤がLiT
FSIである場合の、規格化光電変換効率の水蒸気量依存性を示す。
図8は、図7の横軸を、封止空間内の水蒸気濃度から、水蒸気量を光電
変換素子の封止空間に面する面の表面積で除した値に換算したものであ
る。【0156】
  実施例および比較例の太陽電池の封止空間の体積はおよそ1.4×10-73
であり、光電変換素子の封止空間に面する面の表面積は、2.6×10-4
2であった。【0157】
  <初期の太陽電池特性に対する水蒸気濃度の効果>
6️⃣特開2025-29442 太陽電池モジュール 株式会社カネカ(審査前)
【要約】下図2のごとく本発明の一態様に係る太陽電池モジュール1は、
板状の表面保護部材10と、前記表面保護部材10の裏側に配置される
ペロブスカイト太陽電池サブモジュール20と、前記ペロブスカイト太
陽電池
サブモジュール20の裏側を覆うよう配置される板状の絶縁部材
30と、前記表面保護部材10と前記絶縁部材30との間に充填される
第1封止材40と、前記絶縁部材30の裏側に配置されるシリコン太陽
電池セル50と、前記シリコン太陽電池セル50の裏側を覆うよう配置
される板状又はシート状の裏面保護部材60と、前記絶縁部材30と前
記裏面保護部材60の間に充填される第2封止材70と、を備え、前記
絶縁部材30は、その端縁が前記表面保護部材10に近付くよう湾曲する。

図1 実施形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す模式平面図
【符号の説明】  1  太陽電池モジュール  10  表面保護部材
20  ペロブスカイト太陽電池サブモジュール  21  サブセル 22  電極
23  第1配線材  30  絶縁部材  31  ガラス層  32  樹脂層  321
接着剤層  322  カバーフィルム  40  第1封止材  50  シリコン太
陽電池セル  51  太陽電池ストリング  52  インターコネクタ 
53  第2配線材  60  裏面保護部材  70  第2封止材
【特許請求の範囲】
【請求項1】  板状の表面保護部材と、
  前記表面保護部材の裏側に配置されるペロブスカイト太陽電池サブモ
ジュールと、
  前記ペロブスカイト太陽電池サブモジュールの裏側を覆うよう配置さ
れる板状の絶縁部材と、
  前記表面保護部材と前記絶縁部材との間に充填される第1封止材と、
  前記絶縁部材の裏側に配置されるシリコン太陽電池セルと、
  前記シリコン太陽電池セルの裏側を覆うよう配置される板状又はシー
ト状の裏面保護部材と、
  前記絶縁部材と前記裏面保護部材の間に充填される第2封止材と、
を備え、
  前記絶縁部材は、その端縁が前記表面保護部材に近付くよう湾曲する、
太陽電池モジュール。
【請求項2】  前記絶縁部材は、ガラス層及び樹脂層を有する、請求項1
に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】  前記樹脂層は、接着剤層及びカバーフィルムを有する、
請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】  前記絶縁部材は、投影方向から見て前記シリコン太陽電
池セルがない領域にアルミニウム層をさらに有する、請求項2又は3に
記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】  前記ガラス層の厚みは、0.5mm以上2.0mm以下
である、請求項2又は3に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】前記ペロブスカイト太陽電池サブモジュールは、前記表面
保護部材に直接積層して形成される、請求項1又は2に記載の太陽電池
モジュール。                      以下割愛

真空蒸着装置

https://www.i-pex.com/ips/ja-jp/products/vacuum-evaporation-equipment

真空結晶化装置の産業化加速に充て、大面積ペロブスカイト膜の製造工
程における溶剤の不均一・不完全な蒸発や、膜層の結晶品質の低さ、欠
陥の多さといった課題を克服し、大面積ペロブスカイトモジュールの低
効率、低歩留まり、短寿命といった量産のボトルネック

創業に先立つ2014年から複数の業界大手と緊密に連携し、ペロブスカイ
膜の真空結晶化装置の研究開発に取り組んできた。同社はすでに、最
2400mm×1215mmの量産レベル、500mm規模の中間試験レベル、30
〜21
0mm規模の実験室レベルなど、さまざまなスケールのペロブスカイ
ト膜
真空結晶化装置の開発

  

🪄ペロブスカイト太陽電池量産実用化はあと一息。完全リサイクル
(要政府指令)を前提にとし、高変換効率のタンデム多層型開発を「水
素社会構築」のベースツールとして確立が急務として残件。惰眠はタブ
ーだ。(笑)

✳️ ペロブスカイト太陽電池量産のボトルネック解消へ
                 (2025.5.7 36Kr Japan編集部)
ペロブスカイト太陽電池の薄膜形成装置を開発する「凱伏緑能(西安)
光電(Kaifu Green Energy (Xi’an) Optoelectronics) Intel Foundryは、
4月30日に記者説明会を開催し、台湾のファウンドリ企業UMC
(United Microelectronics Corporation)が、米国アリゾナ州のIntel工場で
製造開始するUMCの12nmプロセスノードに関する説明を行なった。
【画像】Intel Foundryワールドワイドビジネス開発担当 副社長 ウオル
ター・ウン氏
 


✳️ アインシュタインの“特殊相対性理論”を使った量子コンピュータ、
  国際チームが設計に成功。


✳️ EV電池「液浸冷却」に脚光、500kW超の急速充電が起爆剤
フランスのエネルギー大手トタルの潤滑油部門であるトタル・エナジー
ズ・ルブリカンツは、『セルシールド(Cell Shield)』と呼ばれる液体を
使用した液浸冷却式バッテリー技術を開発した。EVのルノーメガーヌ
Eテックに試験的に搭載したところ、充電時間が半分に短縮され、航続
距離も6%向上した。(via AUTOCAR JAPAN

✳️ 特許技術事例 EV電池「液浸冷却」(要継続調査)
1️⃣特開2023-51825 電池モジュールおよび電池システム シン  パワ
 ー  インコーポレイテッド(特許有効)
【要約】下図1のごとく、電池モジュールは、電池筐体と複数のセルア
センブリとを備える。電池筐体は、前板と、流体入口と、流体出口と、
複数の筐体インターフェースと、を含む。流体入口は、前板に設けられ、
流体を電池筐体に流入させる。流体出口は、前板に設けられ、流体を電
池筐体から流出させる。複数の筐体インターフェースは前板に設けられ
ている。複数のセルアセンブリのうちの各々は、複数のアセンブリ電極
を有し、かつ電池筐体に取り付けられている。複数のアセンブリ電極の
うちの各々は、それぞれ、複数の筐体インターフェースのうちの1つに
結合され、前板の外側に電気的に露出されている。】容易に組み立てら
れ、異なる応用分野の製品ラインの様々な部材に適応可能な電池モジュ
ールを提供する。
000002
図1 本開示の一実施形態による、    図4Aは、本開示の一実施形態による、
例示的な電池モジュールの模式図     電池モジュールの斜視図
【符号の説明】
10、20:電池モジュール 100:電池筐体 101:前板 102:後板
110、120、130、140:セルアセンブリ 151:流体入口 152:流体
出口 1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018:筐体
インターフェース 1101、1102、1201、1202、1301、1302、1401、
1402:アセンブリ電極 161、162、163、164、165、166:流れ制御
部材 111、121、131、141:下蓋 112、122、132、142:上蓋
113、123、133、143:セルホルダ 114、124、134、144:バッテリ
セル 171、173、175、177:下面 172、174、176、178:上面
1711、1721、1731、1741、1751、1761、1771、1781:前開口
1712、1722、1732、1742、1752、1762、1772、1782:後開口
1701、1703、1705:前通路 1702、1704、1706:後通路
1641、1651、1661:隔壁開口 200:電池筐体 201:前板 202:
後板 203:電池ハウジング 210、220:セルアセンブリ 211、221:
下蓋 212、222:上蓋 214:バッテリセル 224:バッテリセル
251:流体入口 252:流体出口 2011、2012、2013、2014:筐体イ
ンターフェース 2101、2102、2201、2202:アセンブリ電極 2131、
2231:下セルホルダ 2132、2232:上セルホルダ 21314:下リブ部
材 21315:下横突起 21316:下縦突起 21324:上リブ部材 21325
:上横突起 215、225:監視部材 2251:下配線部材 2252:上配線
部材 2261:下コネクタ部材 2262:上コネクタ部材 227:支持部材
22310:下ホルダ穴 22320:上ホルダ穴 22321:上干渉部材 22322
:上流体穴 22323:上壁部材 22324:上リブ部材 22611:下流体孔
22621:上流体孔 2271、2272、2273、2274:下コネクタプレート
2275、2276、2277:上コネクタプレート 2281、2282、2283、2284:
下ホルダ領域 2285、2286、2287:上ホルダ領域 2291:下接続部材
2292:上接続部材 22721、22722、22731、22732:下コネクタ領域
22751、22752、22761、22762、22771、22772:上コネクタ領域
2030:外板 2031:収容空間 2032:外面 2033:内面 20321:外
側突出線 20331:内側突出線 20322:吊り孔 20341、20343、
20345、20347:レール 20332:内側突出ユニット 20342:内側流
通スリット 2019:側面 20191:板突起 20101、20102:ボードイ
ンターフェース 261、264:流れ制御部材 22610:下コネクタ孔
22620:上コネクタ孔 2641:隔壁開口 271、273:下面 272、274
:上面 2711、2721、2731、2741:前開口 2712、2722、2732、
2742:後開口 2701:前通路 2702:後通路 303:電池ハウジング
3030:外板 3031:収容空間 30321:外側突出線 3032:外面
9:電池システム 90:システムケーシング 91:システムカバー
92:側壁 9221:ケーシング入口 9222:ケーシング出口 923:信
号コネクタ 924:システムスイッチ 925:監視ボード 20、30、40
、50:電池モジュール 9211、9212:ケーシングインターフェース
931、932、933、934、935、936、937、938、939:ケーシングコネ
クタ 9223:流入管 9224:流出管 941、942、943、944、945:
流通管
🪄前回も掲載したが、「液体冷却・保温媒体システム」の考案は重要課
題。(激励)

ト音記号 イラストや に対する画像結果
          『Uru :それを愛と呼ぶなら』 2023年

今日の言葉:

           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                 

コメント
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エネルギーと環境 237

2025年05月06日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:5月7日】 

         松籟しょうらい雨降る中の塵出し日 

 
              高山 宇(濡鬼)

🪄連日の風吹く雨の連休日。今年は昨年より天候は荒れるのかと連想
する。傘を差し塵3袋が限界。二往復する。酷い風雨だと、延期待機か
回数を三回に増やすか車で運ぶかだろうにしても、多くの御宅のかたは
不便と想像する。つい最近、佐々木さんにごみを圧縮は排出する”魔法
の杖”を木工できないか電話をしている(十数年前にも白磁風木工食器
用具の製作の相談を持ち掛けている。実現していたら食事風景は一新し
ていただろうし、故池田修治とわたしは企業家として後世に名前を刻ん
でいただろうね。ブログ掲載済み)、本件は先端円盤木工ステックで円盤
で圧縮し排出できるから排出回数を数倍少なくできる。内面は市販の撥
水仕上げ剤処理を簡単にコスパ貢献ごみ処理できる。(笑)
                       

今日の朝餉
「一汁一菜」が習慣。西沢さんの粗供養で頂いたアマノフーズの「たっ
ぷりなす」ドライフードが習慣になり、海苔巻きのおにぎりの町内の吉
岡さんにいただいた沢庵と粉末お茶と食事前はインスタントコーヒーを
飲む。(幸)


ドジャースの大谷翔平投手 子供の日の本塁打

  🌈 歌集『淡海の湖辺 ⓶』

  朝早く翔平ファンの家内いう陽翔鮮烈初登板だと

  血が騒ぐ陽翔翔平女性ファン粗供養ゴジバ・クッキー頂きぬ
  甲子園歴代五位の十一勝近江や淡海鮎が跳ねてる
  入れ食いの小鮎ざくざく今むかしスマホで釣果バズってみよう
  寝起き神降り海に立つ水素社会啓示しヒント
  奥能登揚浜塩や四百年被災復興待ち遠しい
  気が付けば黄金休暇籠り切り吾が八畳も楽しからずや
   順調やローンデポ・パーク本塁打百九十キロ
   佐藤テル快調十一本塁打日本の虎も雄叫び上げる
  バイクでも水素エンジン燃焼の最適化して一気に加速
  EVの自動四輪静かなり水素二輪で騒音消えるか
   県道は騒音速度異常なり静夜を破る暴走族よ
   騒音なしEV時代待ち遠しい短歌も冴える静かなる湖辺
   払暁は鳥の囀り静かな昼餉仕事楽しや静かなる湖辺
   春は夜桜夏はカヤック秋は自転車冬は山スキー
   静寂の水素社会や鳥は鳴き鯰が跳ね淡海の湖辺
   永犬丸投げる哲学者逆境こそぞ緻密投法なり
     ハイチャージ メンデレーエフ今昔ナノリソグラフィ今盛り
   腐敗した自民党ではコメ文化消滅すると農家の悲鳴
   後遺症五百万人コロナロス全貌見えぬ解体新書
   膨大な情報収集に高齢化昼寝と散歩で流れ断ち切れ
      流れをば変えるに腐心吾庵神経ひりり爆発手前
        また越され風力太陽意固地原発腐臭の自民
        高性能イオン電池で蓄電可エネルギー問題解決ぞ
     スイスでもソーラレール日本でもワットウエイ実証と
  多媒体な革命とは破壊的露出虚偽劇
   むかしニヒリズム革命いま無意識革命なり
  そりゃ恐ろしきカオスなり再構築が急がれる
  クルクスの無策地獄のえげつなさ戦闘語る画像見ゆ
  青空覗き強風に神対応の翔平ニュース平和だね日本
  


特許技術 川重水素バイク

✳️ 水素脆化対策部品点数低減ガスエンジンシステム

1️⃣  特許 P2023012999  ガスエンジンシステム  川崎重工業株式会社
【要 約】 下図1のごとく、一実施形態に係るガスエンジンシステム1A
は、クランク室41およびクランク室41と連通する動弁室44を含む
水素ガスエンジン4と、動弁室44に大気圧よりも高い圧力のガスを供
給するガス供給機7を含む。例えば、水素ガスエンジン4は、クランク
室41と動弁室44との間に介在するシリンダ42およびシリンダヘッ
ド43と、シリンダ42の脇に位置するカム室45と、カム室45と動
弁室44とを接続する接続管46を含み、動弁室44は、接続管46お
よびカム室45を介してクランク室41と連通する。水素脆化対策が必
要な部品点数を低減することができるガスエンジンシステムを提供する。

図1 第1実施形態に係るガスエンジンシステムの概略構成図

【符号の説明】
1A~1D ガスエンジンシステム 4 水素ガスエンジン 41 クラン
ク室 42 シリンダ 43 シリンダヘッド 44 動弁室 45 カム室
46 接続管 7 ガス供給機 71,73,76 供給路 72 流量制御
弁 
75 タンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】クランク室および前記クランク室と連通する動弁室を含む
水素ガスエンジンと、
前記動弁室に大気圧よりも高い圧力のガスを供給
するガス供給機と、
を備える、ガスエンジンシステム。
【請求項2】前記水素ガスエンジンは、前記クランク室と前記動弁室と
の間に介在するシリンダおよびシリンダヘッドと、前記シリンダの脇に
位置するカム室と、前記カム室と前記動弁室とを接続する接続管を含み、

前記動弁室は、前記接続管および前記カム室を介して前記クランク室と
連通する、請求項1に記載のガスエンジンシステム。
【請求項3】給気路により前記水素ガスエンジンと接続された圧縮機、
および排気路により前記水素ガスエンジンと接続されたタービンを含む
過給機をさらに備え、
前記ガス供給機は、前記給気路から分岐して前記
動弁室につながる供給路を含む、請求項1または2に記載のガスエンジ
ンシステム。
【請求項4】前記供給路には流量制御弁が設けられており、前記流量制御
弁は、前記動弁室の圧力が一定となるように制御される、請求項3に
記載のガスエンジンシステム。
【請求項5】給気路により前記水素ガスエンジンと接続された圧縮機、
および排気路により前記水素ガスエンジンと接続されたタービンを含む
過給機をさらに備え、
前記ガス供給機は、前記排気路から分岐して前記
動弁室につながる供給路を含む、請求項1または2に記載のガスエンジ
ンシステム。
【請求項6】前記ガス供給機は、圧縮空気を貯留するタンクと、前記タ
ンクと前記動弁室とを接続する供給路を含む、請求項1または2に記載
のガスエンジンシステム。
CFMoto Papio XO-1: mini-revival van de jaren 80 op komst?
川崎重工業が開発したDLE(ドライ・ロー・エミッション)燃焼器
但し、ただ、発電用として水素のみを燃やすのではなく、LNGとの混合
燃料というかたちで使用され、当然ながら炭素成分を排出することにな
る。ゼロエミッションではなく、ローエミッションプラントというとい
うのが正しい捉え方だ。
さて、水素は燃焼速度が速く燃焼温度が高くな
るという側面があり、燃焼温度が高いと窒素酸化物の生成量が増えると
いう特徴がある。この窒素酸化物の生成量を抑えるため、燃焼温度を下
げる対策が採られることになる。ガソリン機関でいえば、EGR(Exhaust
Gas Recirculation=排気再循環)をかける手法となり、水素燃料エンジ
ンでも同様の手法が有効だと考えられるが、具体的な低減技術について
は、まだ確認がとれていないと言われている(via 2023年11月30日
CO2
を排出しない「水素エンジン」の泣き所NOx排出!
)。

図1
発表・掲載日:2018/05/18 大型発電用、高出力・高熱効率・低NO水素エンジンの燃焼
技術を開発


半導体光触媒による水の水素と酸素への分解は、可逆的で多電子移動を
含む光化学反応です。そのため、再結合や逆反応などの機会を多く含み、
必然的に反応効率低下は避けられません。このような反応において、100
%に近い量子収率の反応は実証されない
。光触媒内で何らかの“特別な機
能”が作用しなければそのような効率で水分解反応は進行しない。現に、
これまでに開発された水分解光触媒では紫外光励起を必要とするバンド
ギャップの大きな酸化物でも、多くの場合が10%以下の量子収率で、50
%以上で水分解が進行したのはわずか数例(図2)。代表的な酸化物光触
媒であるSrTiO3Alドープ)にRh/Cr2O3からなる水素生成助触媒とCo
OOHからなる酸素生成助触媒光電着法により担持すると、従来の含浸
法に比べて水分解活性が向上しました。350~360nmの波長範囲で外部
量子収率(照射した光子数に対する反応に利用された光子数)では96%
に達した。この場合、光触媒に吸収された光のほぼ100%を反応に利用
できている計算になる(図2)。
開発したSrTiO<sub>3</sub>:Al光触媒における外部量子収率の波長依存性と既存の高活性光触媒との比較

図2 開発したSrTiO3:Al光触媒における外部量子収率の波長依存性(左
図)と既存の高活性光触媒との比較(右図)。
次に、この高活性な光触媒の構造を調べることにより、その“特別な機能”
を明らかにした。用いた半導体光触媒はフラックス法で合成した結晶癖
※10のある微粒子で{100}面、{110}面という異なる特定の結晶面が
露出。このような半導体微粒子において、光によって励起された電子と
正孔がそれぞれ{100}面、{110}面に選択的に移動する異方的電荷移
動という現象が起こり、これを効果的に利用した。光電着法では光によ
り励起された電子が到達する結晶表面に水素生成助触媒が還元的に、正
孔が到達する別の結晶表面に酸素生成助触媒が酸化的に、それぞれ析出
―担持される。これは、半導体微粒子内で電位勾配があり、その整流作
用により励起された電子と正孔を異なる方向に移動させ、空間的に電荷
分離できることを意味する。電子と正孔が、光電着法で担持した助触媒
により水素および酸素生成反応で速やかに消費されることで再結合が
ほぼ完全に抑えられ、100%に近い量子収率での水分解反応が達成でき
た(図3)。
空間的電荷分離機能による高効率水分解光触媒の反応モデルと構造
図3 空間的電荷分離機能による高効率水分解光触媒の反応モデルと構造

光エネルギー変換の最も重要な要素は光励起された電子と正孔を一定の
方向に移動させることであり、本研究によって開発された光触媒はそれ
をモデル化したものとなっています。植物の光合成においても電荷移動
を一方通行にすることで高い量子収率が得られますが、それは複雑な
白質構造によって可能となり、それを人工的に再現することは非現実的
です。今回開発した光触媒は簡易構造で人工的に作り出すことが可能で
あり、高効率なソーラー水素製造技術実現に不可欠な高活性光触媒の明
確な設計指針

応答波長範囲と太陽エネルギー変換効率
図4 応答波長範囲と太陽エネルギー変換効率
【展望】
今回用いた
SrTiO3(Alドープ)はバンドギャップが大きく紫外光しか利
用できない。今後、さらにバンドギャップが小さく幅の広い可視領域の
光を利用できる光触媒においても量子収率を上限まで高めていく必要が
ある。図4は量子収率100%で水を分解したときの利用波長範囲と太陽光
エネルギー変換効率を示す。例えば、500nmまでの光を全て水分解に利
用できた場合は約8%、600nmの場合は約16%の太陽光エネルギー変換
効率が得られる。バンドギャップの小さな化合物で水を分解する場合は
さらに高度な触媒性能が求められるが、今回の触媒設計指針を応用する
ことにより、製造プラントの省スペース化や製造コストの低減が期待さ。
引き続き光エネルギー変換効率向上を進め、人工光合成技術の早期実用
化を目指す。

参考文献応答波長範囲と太陽エネルギー変換効率
Takata, T.; Jiang, J.; Sakata, Y.; Nakabayashi, M.; Shibata, N.; Nanadal, V.; Seki, K.; Hisatomi,
T.; Domen, K.; “Photocatalytic water splitting with a quantum efficiency of almost unity”
Nature, 2020, 581, 411-414.

✳️ 量子収率百%の半導体光触媒革命

「現代の花咲か爺々とは、俺のことだ」と半導体光触媒開発者言い。(笑)
半導体光触媒を用いたこの手法は、原理的には太陽電池で水を電気分解
と同じ。粉末を水中に分散させて光を照射するだけで水素が得られ、簡
易なシステムで稼働できるという観点からスケールアップに適している。

 光触媒方式では水素と酸素の混合ガスが得られる。ガスを水素と酸素
に分離するプロセスや消炎対策などが必要になる。そこで水素分離には
膜分離方式を採用。水素分子の大きさは2・9オングストローム(オン
グストロームは100億分の1メートル)で酸素分子は3・4オングス
トローム。この差を利用して分子をふるいにかける。分離膜はセラミッ
クやゼオライト、シリカ膜、炭素膜などを検証しているが、水素ガス中
の酸素を4%未満に減らせれば爆発しない。条件を限定すれば水素濃度
96%以上、水素回収率90%が見えた。安全対策は配管に接続して組
み込める消炎ユニットを開発した。さらに分離膜ユニットでの爆発実験
を繰り返し(信州大学の堂免一成特別特任教授ら)、爆発させても分離膜
性能に異常がないことを確認し、現在は経産省・NEDOのグリーンイ
ノベーション(GI)基金事業で三菱ケミカルが事業化を進めている。

水素の原料となる水の供給可能性も検証された。水素を大規模製造する
となると海水や河川水が原料となる。ただ遷移金属イオンや塩素、有機
物などの不純物が含まれるため、そのままは利用できない。淡水化の工
程が必要になるが、
蒸留水と海水淡水化水を検証したところ、光触媒の
活性は変わらなかった。材料メーカーの試算では海水淡水化水のコスト
は水1トン当たり1ドル未満。50年の水素目標価格の1ノルマル立方
メートル20円においても淡水化コストは0・4%程度になった。堂免
教授は「実用化されている淡水化技術で十分」と断言しているという。

また水分解パネルは太陽電池パネルよりも簡素な構成で作れる。堂免教
授は「アイデア次第で非常に安い水分解パネルを構築できる」という。
将来、瀬戸内海などの波の静かな内海にパネルを浮かべて水素を生産す
る風景が日常になるかもしれない

🪄「水素」破格に…触媒1粒で効率水分解、ノーベル賞級日本人研究者
 の偉業 
光触媒で安価に#01 2025年01月15日 日刊工業
 堂免教授は「一つの触媒で水素を生成できたため、光触媒が実用技術
と認められた」と06年の論文の意義を振り返る。二つ必要だった触媒
を一つにまとめた研究は高く評価され、英科学誌「ネイチャー」に掲載
された。それまでは水素生成と酸素生成の触媒の間にレドックスシャト
ルという電荷の受け渡し機構が必要で、反応効率が上がらない要因にな
っていた。
一粒の触媒上で二つの反応が完結すれば効率は劇的に向上す
る。堂免教授らは窒化ガリウムと酸化亜鉛を固溶させてこれを実現した。
窒化ガリウム/酸化亜鉛の界面が酸素を生成し、助触媒のロジウム・ク
ロム酸化物複合体が水素を生成する。エネルギーの小さな可視光でも水
素を作れると実証した。
(via.2025年01月16日破格の水素 光触媒で安
価に#02 ニューウイッチ )

🪄着々と水素社会が実現できると感じているが、薄膜光熱電変換素子の
発電効率を始めとした高品位の製品のコスパ・耐久性・意匠性・安全性・
リサイクル性の追求は早ことに越したことはない。それを引っ張るのは
わたし達たちであると胸を張って言えるようにしたい。

✳️ 加熱だけで分子の形を環状に変換する手法
  ~環状構造の量産化とそれを利用した材料創製に貢献~
東京工業大学の研究グループは、所望する分子骨格を環状のトポロジー
(分子の形)へと変換する手法を開発。
青木助教らは「加熱により安定
ラジカルを発生する分子骨格」と「環化させたい分子骨格」を重合反応
で化学的に連結させ、直鎖状高分子へと変換。その後に、直鎖状高分子
を希釈し加熱することで、選択的かつ簡便に環状構造へとトポロジー変
換させることに成功この手法に適用できる分子骨格は低分子から高分子
と幅広く、構造の量産化とそれを利用した材料創製に役立つと期待され
る。
分子量が中程度以上の環状高分子も含む環状分子は、古くから他
の形状の分子とは異なる特異な機能・特性を発現することが知られてい
る。しかし環状という特異なトポロジーは、その合成を困難にしており、
純度よく大量に合成する手法の開発が望まれていた。
【成果】
青木助教らの研究グループは、環化のプロセスを副反応なく、自発的か
つ選択的に引き起こすために動的共有結合に着目。中でも、熱によりそ
の動的な特性を厳密に制御(on-off制御)することができる(2,
2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド骨格(
BiTEMPS)は、以下の理由から研究を遂行する上で理想的な骨格
であることを見いだした。

1)100℃以上の加熱により特定の共有結合が可逆的に均一開裂し、
安定ラジカルを発生する動的特性「on」状態、また加熱しなければラ
ジカルは発生せず安定な共有結合として振る舞う=動的特性「off」
状態。
2)熱によって発生する安定ラジカルの官能基許容は高いため種々の分
子骨格に適用できる。
3)安定ラジカルの結合交換反応が非常に早く起こる。
4)加熱するだけで反応を誘起でき、酸素ケアや高価な触媒を必要とし
ない。

以上のような特性を有する動的共有結合ユニットであるBiTEMPS
骨格を、「環化させたい任意の構造」と重合反応させることで、共有結合
で連結させ直鎖状高分子へと変換した。次に、得られた直鎖状高分子を
希釈し、加熱することで、選択的かつ簡便に環状構造へとトポロジー変
換させることに成功した。
すなわち、動的な特性が「on」となる高温条件下において、他の外部
因子(溶媒の種類や濃度)を適切に選択することで、所望する環状の形
状へとそのトポロジーを変換させ、トポロジー変換後は、動的な特性が
「off」となる100℃以下へと冷却することで、外部因子に応じて
変形した環状のトポロジーを固定化することができる。
この手法は、所望の分子骨格を大量スケールで簡便に環化することがで
きるため、従来にはない理想的な環状骨格の合成法と捉えることができ
る。また、環化する対象骨格を低分子とした場合、比較的高濃度条件(
1g/100mLおよそ2mmol/L)においても環化反応を引き起こ
すことができ、さらにBiTEMPS骨格を1つのみ有する環状化合物
を高収率で単離し、その構造をX線結晶構造解析により明確にすること
にも成功した。
【羨望】今回、開発した手法は酸素ケアや触媒が要らず、簡便な操作で
行うことができることから、幅広い分野での工業的な利用はもちろん、
学術的にも環状骨格の詳細な機能・特性についてより詳細な解析が期待
できる。また狙った分子骨格に環状分子特有の分子認識能や包接能とい
った特異の機能・物性を付与することもできる。この研究を契機に、環
状分子を機能材料開発のツールとする新しい材料設計の指針を立てるこ
とができる。

図2 BiTEMPSの動的特性(on-off制御)を利用した環状化合物・高分子の合成法
図2 BiTEMPSの動的特性(on-off制御)を
   利用した環状化合物・高分子の合成法
【脚注】

注1)安定ラジカル
ラジカルは不対電子(電子対にならない電子)を持つ原子や分子である。
一般的にラジカルは反応性が高いために、生成するとすぐに他の原子や
分子間で反応を起こし、安定な分子やイオンとなる。ラジカルは大気中
酸素とも反応するため、有機反応に利用する場合、酸素を系中から取り
除く必要がある。本研究で扱うBiTEMPS骨格から発生するラジカ
ルは、化学的安定性に優れたラジカルであるため酸素に対しても不活性
であり、種々の反応に利用することができる。
2)直鎖状高分子
モノマーと呼ばれる単位分子が重合し、連続して結合することで形成す
るひも状の高分子の総称。ひも状であるため2つの末端構造を有する。

         図 直鎖状高分子
3)環状分子
構成する原子が環状に結合した化合物であり、分子量が大きいものは環
状高分子と呼ばれる。他の形状の分子と比べその内孔を利用した包接能
や分子認識能といった特異な機能・物性を発現する。
  図 環状分子
4)環状分子(環状高分子を含む)の合成法
環状分子(環状高分子を含む)の合成法については、これまで(i)鎖
状分子の両末端の連結、(ii)環状開始剤の環拡大、および(iii)
縮合重合反応による環状成分の選択的合成、の主に3つの方法が報告さ
れている。それぞれの手法で利点がある一方で、(i)では他の高分子鎖
との反応を避けるために高希釈条件での反応が必須である。(ii)では
環状の開始剤を合成する際に環化のプロセスを経ることと、適用できる
モノマー構造が限定され所望の構造を導入することが困難である。(iii)
では反応の起点となる官能基を高分子主鎖骨格中に導入する必要があり、
また分子量とその分布の制御が難しい点に、それぞれ問題がある。

   図 環状分子(環状高分子を含む)の合成法
5)動的共有結合
共有結合でありながら可逆的な解離-付加を実現できる結合(動的共有
結合)を利用する化学システムは、「動的共有結合化学(Dynamic
Covalent Chemistry)」として注目を集めている。こ
うした平衡系の共有結合に基づく分子構造体は、熱力学的に安定な構造
を有するが、特定の外部刺激(温度、触媒、光、化学種添加など)によ
ってその構造が変化するというユニークな特徴を併せ持っている。
6)ジスルフィド骨格
熱によってその動的特性を制御可能な(2,2,6,6-テトラメチル
ピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)の化学構造。

    図 ジスルフィド骨格
7)熱によって発生する安定ラジカルの官能基許容性
化学反応を進行させる上で問題となるのはその選択性である。狙った骨
格同士を共有結合で連結できれば理想的だが、反応性が高いものほど意
図していない他の骨格とも反応してしまう。狙った骨格に対して反応性
をもっていながらそれ以外の骨格(官能基)とは反応しない「官能基許
容性」は有機合成反応を設計するにあたって重要な指標となる。
8)X線結晶構造解析
単結晶X線回折法は、1つの単結晶内の電子雲の規則性を利用し、その
X線干渉模様を計測し、それを数値解析することによって、実像である
電子雲の空間分布を解き明かす手法である。単結晶X線回折法を利用す
ることで結晶内部の原子がどのように配列しているかを決定することが
できる。
論文情報:
“A Strategy toward Cyclic Topologies Based on the Dynamic Behavior
of a Bis(hindered amino)disulfide Linker”
DOI:10.1002/anie.201910722

ト音記号 イラストや に対する画像結果
           『TSUNAMI  サザンオールスターズ』
                      2000年
                 作詞&作曲:桑田佳祐
     

● 今日の言葉:水素社会前夜祭です。



           春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』


                 

コメント
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エネルギーと環境 236

2025年05月06日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:5月6日】 

         夏めく妻庭手入れ吾寒し 

                    高山 宇(緑鬼)

太陽光パネル廃棄増加に対応新潟で処理施設
✅Wi-Fi 6とBluetooth 5の無線通信可能なSoC「ESP32-C5」

✅小型ドローン「DJI Flip」外観レビュー




✅ 論文「経済格差物語 2025.4.14」



✳️ 海水の有価物質回収装置考案シリーズ①




塩化ナトリウムをはじめとしたものをできる限り常圧下でろ過分級分離
することを前提として設計する。分級には⓵電気泳動、②自重慣性力分
級、⓷ナノフィルタ、限外フィルタ、バイオ吸着・イオン交換樹脂法、
④高強靭・撥水ポリフェノール樹脂膜などコンパクトでコスパと安全な
分離回収システムを考案する。ここで重要となるのは水分子の大きさ(
0.38ナノ)や塩化ナトリウムなど回収物の基本サイズ・特性を徹底究明
することが重要ミッションとなる。
✅塩化ナトリウムの大きさ 塩化ナトリウムの単位格子で1molの体積
はいくつか という問題なのですが 一片を0.56nmとし 単位格子(Na+Cl-
がそれぞれ4個ずつ)の体積が{5.6×10^(-8)cm}^3 なので、1mol(Na+,
Cl-がそれぞれ6.0×10^23個ずつ)の体積は {5.6×10^(-8)cm}^3
× (6.0×
10^23)/4と言われる。

✳️ 建材用熱電変素子応用技術
1️⃣ WO2021085003A1 合わせガラス AGC硝子
【要約】本合わせガラスは、互いに対向する一対のガラス板と、前記一
対のガラス板の間に位置する中間膜と、前記一対のガラス板の間に位置
し、前記一対のガラス板の透視領域を加熱する複数の導電性細線と、を
有し、前記透視領域は、中央領域、及び前記中央領域に隣接する帯状領
域、を含み、前記帯状領域の少なくとも一部の領域における導電性細線
の単位長さ当たりの発熱量が、前記中央領域の少なくとも一部の領域に
おける導電性細線の単位長さ当たりの発熱量よりも小さい。
【特許請求範囲】

  1.  互いに対向する一対のガラス板と、
     前記一対のガラス板の間に位置する中間膜と、
     前記一対のガラス板の間に位置し、前記一対のガラス板の透視
     領域を加熱する複数の導電性細線と、を有し、

     前記透視領域は、中央領域、及び前記中央領域に隣接する帯状
     領域、を含み、

     前記帯状領域の少なくとも一部の領域における導電性細線の単
     位長さ当たりの発熱量が、前記中央領域の少なくとも一部の領
     域における導電性細線の単位長さ当たりの発熱量よりも小さい
     合わせガラス。
  2.  前記合わせガラスを車両に取り付けたときに、
     前記中央領域は、前記透視領域においてUNR43で定められ
     る試験領域A及び前記試験領域Aと上下に隣接した領域とを合
     わせた領域であり、

     前記帯状領域は、前記中央領域の左右に隣接した領域である請
     求項1に記載の合わせガラス。
  3.  前記帯状領域の少なくとも一部の領域における導電性細線の単
     位長さ当たりの発熱量が0.6W/m以上2.1W/m以下で
     ある請求項1又は2に記載の合わせガラス。
  4.  前記帯状領域に配置された前記導電性細線と、前記中央領域に
     配置された前記導電性細線とは、少なくとも一部において、線
     径が異なる請求項1乃至3の何れか一項に記載の合わせガラス。
  5.  前記帯状領域に配置された前記導電性細線と、前記中央領域に
     配置された前記導電性細線とは、少なくとも一部において、ピ
     ッチが異なる請求項1乃至4の何れか一項に記載の合わせガラス。
  6.  前記帯状領域の少なくとも一部の領域に配置された前記導電性
     細線のピッチが2.8mm以下である請求項1乃至5の何れか
     一項に記載の合わせガラス。
  7.  前記帯状領域の少なくとも一部の領域における単位面積当たり
     の発熱量が前記中央領域の少なくとも一部の領域における単位
     面積当たりの発熱量よりも小さい請求項1乃至6の何れか一項
     に記載の合わせガラス。
  8.  前記合わせガラスは、前記合わせガラスを車両に取り付けて車
     内側から視たときに、運転席側の側縁部、助手席側の側縁部、
     上縁部、及び下縁部、を備え、
    前記運転席側の側縁部、前記助
     手席側の側縁部、前記上縁部、及び前記下縁部のうちの少なく
     とも2つに配置され、前記導電性細線に給電する第1バスバー
     及び第2バスバーを有する請求項1乃至7の何れか一項に記載
     の合わせガラス。
  9.  前記第1バスバーは、前記上縁部に配置され、前記第2バスバ
     ーは、前記下縁部に配置される請求項8に記載の合わせガラス。
  10.  前記第1バスバーは、前記運転席側の側縁部に配置され、前記
     第2バスバーは、前記助手席側の側縁部に配置される請求項8
     に記載の合わせガラス。
  11.  前記第1バスバーと前記第2バスバーの組を2組有し、
     一方の組において、前記第1バスバーは、前記助手席側の側縁
     部に配置され、前記第2バスバーは、前記下縁部の前記助手席
     側の側縁部側に配置され、

     他方の組において、前記第1バスバーは、前記運転席側の側縁
     部に配置され、前記第2バスバーは、前記下縁部の前記運転席
     側の側縁部側に配置される請求項8に記載の合わせガラス。
  12.  前記第1バスバーと前記第2バスバーの組を1組有し、
     前記第1バスバーは、前記助手席側の側縁部に配置され、前記
     第2バスバーは、前記下縁部に配置される請求項8に記載の合
     わせガラス。
  13.  前記第1バスバー及び前記第2バスバーは、前記中央領域に配
     置された前記導電性細線に給電し、

     前記帯状領域に配置された前記導電性細線に給電する第4バス
     バー及び第5バスバーを有し、
    前記帯状領域は、前記中央領域
     と独立に加熱可能である請求項8又は9に記載の合わせガラス。
  14.  前記第1バスバー、前記第2バスバー、前記第4バスバー、及
     び前記第5バスバーのうちの少なくとも2つが前記下縁部に配
     置された請求項13に記載の合わせガラス。
  15.  前記第4バスバー及び前記第5バスバーが前記下縁部に配置さ
     れた請求項14に記載の合わせガラス。

【符号の説明】20、20A、20B、20C、20D、20E、20
F、20G、20H フロントガラス 20 上縁部 20 下縁部
20 左縁部 20 右縁部 21、22 ガラス板 21a、21b、
22a 面23 中間膜 24 遮蔽層 24、24、24、24 
遮蔽領域 25 基材 28 透視領域 30、30A、30B、30
C、30D、30E、30F、30G、30H 導電性細線 31、31
31 第1バスバー 32、32、32 第2バスバー 33、
33、33 第3バスバー 38、38、38、39、39
39、48、48、49、49 電極取り出し部 41、41
 第4バスバー 42、42 第5バスバー 43、43 第6
バスバー 50 情報送受信領域 52 アンテナ配置領域 231 
第1中間膜 232 第2中間膜

【概説】
自動車や鉄道の窓ガラスで、冬季に窓ガラスに付着した水分の
凍結を解消したり、窓ガラスの曇りを晴らしたりするために、通電によ
り発熱する導電性細線を中間膜と共に一対のガラス板間に挟み込んだ合
わせガラスが広く知られている。このような合わせガラスは、電熱窓ガ
ラスや電熱ガラスと称される場合もある。
しかしながら、上記のような導電性細線を備えた合わせガラスでは、通
電時に導電性細線の付近が加熱され、中間膜に温度分布ができることに
よる通電歪が課題として知られている。特に、自動車のフロントガラス
において、透視領域の中央領域と比べ両側辺付近に位置する帯状領域で
は通電歪が目立ち、運転者に不快感を生じさせるという課題があった。

本合わせガラスは、互いに対向する一対のガラス板と、前記一対のガラ
ス板の間に位置する中間膜と、前記一対のガラス板の間に位置し、前記
一対のガラス板の透視領域を加熱する複数の導電性細線と、を有し、前
記透視領域は、中央領域、及び前記中央領域に隣接する帯状領域、を含
み、前記帯状領域の少なくとも一部の領域における導電性細線の単位長
さ当たりの発熱量が、前記中央領域の少なくとも一部の領域における導
電性細線の単位長さ当たりの発熱量よりも小さい。

開示の一実施態様によれば、帯状領域に生じる通電歪を抑制可能な合わ
せガラスを提供できる。
第1実施形態に係る車両用のフロントガラスを
例示する図(その1) 第1実施形態に係る車両用のフロントガラスを例
示する図(その2) 第1実施形態に係る車両用のフロントガラスの帯状領
域について説明する図 第1実施形態の変形例1に係る車両用のフロント
ガラスを例示する図(その1) 第1実施形態の変形例1に係る車両用の
フロントガラスを例示する図(その2) 第1実施形態の変形例2に係る
車両用のフロントガラスを例示する図(その1) 第1実施形態の変形例
2に係る車両用のフロントガラスを例示する図(その2) 第1実施形態
の変形例2に係る車両用のフロントガラスを例示する図(その3) 第1
実施形態の変形例3に係る車両用のフロントガラスを例示する図 第1実
施形態の変形例4に係る車両用のフロントガラスを例示する図(その1)
 第1実施形態の変形例4に係る車両用のフロントガラスを例示する図
(その2) フロントガラスの断面構造の変形例を示す断面図 評価用の
合わせガラスについて説明する図である。 評価用の合わせガラスと観察
者との位置関係について説明する図である。 実施例について説明する図
である。
 〈第1実施形態〉
 図1は、第1実施形態に係る車両用のフロントガラスを例示する図(
その1)であり、図1(a)はフロントガラスを車室内から車室外に視
認した様子を模式的に示した図である。図1(b)は、図1(a)のA
-A線に沿う部分拡大断面図である。
 図1(a)では、説明の便宜上、実際の湾曲した形状を省略しフロン
トガラス20を平面的に示している。なお、以下の説明において、符号
20をフロントガラス20の上縁部と称し、符号20を下縁部と称
し、符号20を左縁部と称し、符号20を右縁部と称する。ここで、
フロントガラス20を右ハンドル車の車両に取り付けて車内側から視た
ときに、上縁部とは車両のルーフ側の縁部を指し、下縁部とはエンジン
ルーム側の縁部を指し、左縁部とは助手席側の側縁部を指し、右縁部と
は運転席側の側縁部を指す。
 図1に示すように、フロントガラス20は、ガラス板21と、ガラス
板22と、中間膜23と、遮蔽層24と、導電性細線30と、第1バス
バー31と、第2バスバー32と、第3バスバー33とを有する車両用
の合わせガラスである。フロントガラス20には、UNR43で定めら
れる試験領域Aが画定されている。
 Lは、フロントガラス20を車両に取り付けたときの水平方向の最短
長さを示している。すなわち、フロントガラス20を車両に取り付けた
ときの水平方向の長さは、L以上である。
 ガラス板21は、フロントガラス20を車両に取り付けたときに車内
側となる車内側ガラス板である。又、ガラス板22は、フロントガラス
20を車両に取り付けたときに車外側となる車外側ガラス板である。
 ガラス板21とガラス板22は互いに対向する一対のガラス板であり、
中間膜23、導電性細線30、第1バスバー31、第2バスバー32、
及び第3バスバー33は一対のガラス板の間に位置している。但し、第
3バスバー33は、少なくとも一部が一対のガラス板の間に位置してい
ればよく、一対のガラス板の間から一対のガラス板の外側に延伸する部
分を有してもよい。
 ガラス板21とガラス板22とは、中間膜23、導電性細線30、第1
バスバー31、第2バスバー32、及び第3バスバー33を挟んだ状態
で固着されている。
 導電性細線30、第1バスバー31、第2バスバー32、及び第3バ
スバー33は、例えば、中間膜23とガラス板21との間に配置できる。
導電性細線30、第1バスバー31、第2バスバー32、及び第3バス
バー33の車内側の面は、ガラス板21の車外側の面21bに接してい
る。又、導電性細線30、第1バスバー31、第2バスバー32、及び
第3バスバー33の車外側の面は、中間膜23の車内側の面に接してい
る。なお、中間膜23は、複数層からなる積層体であってもよい。
 遮蔽層24は、不透明な層であり、例えば、フロントガラス20の周
縁部(上縁部20、下縁部20、左縁部20、右縁部20)に沿
って帯状に設けることができる。図1の例では、遮蔽層24は、ガラス
板21の車内側の面21aに設けられている。但し、遮蔽層24は、必
要に応じ、ガラス板22の車内側の面22aに設けられてもよいし、ガ
ラス板21の車内側の面21a及びガラス板22の車内側の面22aの
両方に設けられてもよい。
 フロントガラス20の周縁部に不透明な遮蔽層24が存在することで、
フロントガラス20の周縁部を車体に保持するウレタン等の樹脂や、カ
メラ等を係止するブラケットをフロントガラス20に貼り付ける接着部
材等の紫外線による劣化を抑制できる。又、バスバーを隠蔽できる。
 遮蔽層24はガラス板21とガラス板22の両方に設けられていても
よいし、何れか一方にのみに設けられていてもよい。遮蔽層24は、セ
ラミックペーストをガラス板21及び/またはガラス板22の面上に塗
布した後に焼成することにより形成される。遮蔽層24の厚みは3μm
以上15μm以下であることが好ましい。また、遮蔽層24の幅は特に
限定されないが、20mm以上300mm以下であることが好ましい。
 図2は、第1実施形態に係る車両用のフロントガラスを例示する図
(その2)であり、フロントガラスを車室内から車室外に視認した様子
を模式的に示した図である。図2では、遮蔽層24の形成領域を例示し
ている。

 遮蔽層24は、フロントガラス20の上縁部20及び下縁部20
に沿って形成される遮蔽領域24及び24と、フロントガラス20
の左縁部20及び右縁部20に沿って形成される遮蔽領域24
び24とを含んでいる。遮蔽層24において、フロントガラス20の
左右の視界を広げる観点から、遮蔽領域24及び24の幅は遮蔽領
域24及び24の幅より小さく形成されていることが好ましい。
 フロントガラス20において、遮蔽領域24、24、24、及び
24で囲まれる台形状の領域は透視領域28であり、透視領域28に
図1に示す導電性細線30が配置される。導電性細線30は、透視領域
28の全面に設けられていてもよく、その一部に設けられていてもよい。
なお、図1(a)は遮蔽層24を透視した状態であり、遮蔽層24、遮
蔽領域24、24、24、及び24の符号のみを図示している。
後述の各図についても同様である。
 図1に戻り、複数の導電性細線30は、透視領域28を加熱できる。
複数の導電性細線30によって形成されるパターンは、特に限定はされ
ないが、例えば、図1(a)に示す網目状(メッシュ状)にできる。複
数の導電性細線30は、直線や波線(例えば、正弦波、三角波、矩形波
等)、波線と直線との組み合わせ等としてもよい。
 第1バスバー31及び第2バスバー32は、平面視で透視領域28の
導電性細線30を挟むように対向配置されて導電性細線30と接続され
ており、導電性細線30に給電できる。第1バスバー31はフロントガ
ラス20の上縁部20に沿って配置されており、第2バスバー32は
フロントガラス20の下縁部20に沿って配置されている。
 第3バスバー33は、第1バスバー31と電極取り出し部38、第2
バスバー32と電極取り出し部39を接続するバスバーである。すなわ
ち、電極取り出し部38は第3バスバー33を介して第1バスバー31
と電気的に接続され、電極取り出し部39は第3バスバー33を介して
第2バスバー32と電気的に接続されている。電極取り出し部38及び
39は、第3バスバー33の端部に位置し、外部電源の正側及び負側と
接続される一対の電極取り出し部である。
 電極取り出し部38と電極取り出し部39との間に電圧が印加される
と、第1バスバー31と第2バスバー32との間に接続された導電性細
線30に電流が流れ、導電性細線30が発熱する。なお、電極取り出し
部38と電極取り出し部39との間に電圧が印加されたとしても、第1
バスバー31、第2バスバー32、及び第3バスバー33は導電性細線
30よりも抵抗値が十分低くなるように設定されるため、第1バスバー
31、第2バスバー32、及び第3バスバー33は殆ど発熱しない。
 第1バスバー31、第2バスバー32、及び第3バスバー33は、遮
蔽領域24、24、及び24に隠蔽されるように配置されることが
好ましい。

 図3は、第1実施形態に係る車両用のフロントガラスの帯状領域につ
いて説明する図であり、フロントガラスを車室内から車室外に視認した
様子を模式的に示した図である。
 図3に示すように、フロントガラス20を平面視したときに、透視領
域28は、中央領域C、並びに中央領域Cに隣接する帯状領域S及び
を含む。
 帯状領域Sは、透視領域28において、試験領域Aの左縁部及びそ
の延長線で規定される仮想線ILより外側(左側)の領域である。又、
帯状領域Sは、透視領域28において、試験領域Aの右縁部及びその
延長線で規定される仮想線ILより外側(右側)の領域である。又、
透視領域28の中央領域Cは、透視領域28において、左右に位置する
帯状領域Sと帯状領域Sに挟まれた領域である。
 つまり、合わせガラス10を車両に取り付けたときに、中央領域Cは、
透視領域28においてUNR43で定められる試験領域A及び試験領域
Aと上下に隣接した領域とを合わせた領域であり、帯状領域S及びS
は、中央領域Cの左右に隣接した領域である。
 フロントガラス20では、帯状領域S又はSの少なくとも一方に
おいて、少なくとも一部の領域における導電性細線30の単位長さ当た
りの発熱量を、中央領域Cの少なくとも一部の領域における導電性細線
30の単位長さ当たりの発熱量よりも小さくしている。
 帯状領域S又はSの少なくとも一方において、少なくとも一部の領
域における導電性細線30の単位長さ当たりの発熱量を、中央領域Cの
少なくとも一部の領域における導電性細線30の単位長さ当たりの発熱
量よりも小さくすることで、通電時の発熱により生じる帯状領域S
はSの少なくとも一方に生じる通電歪を抑制できる。
 なお、帯状領域S又はSの少なくとも一方おける導電性細線30
の単位長さ当たりの発熱量が、中央領域Cの少なくとも一部の領域にお
ける導電性細線30の単位長さ当たりの発熱量よりも小さい領域は、帯
状領域S及びSの全体であってもよいが、帯状領域S又はSの少
なくとも一方の30%以上の領域であってもよい。
 つまり、帯状領域S及びSの両方における導電性細線30の単位
長さ当たりの発熱量を中央領域Cの少なくとも一部の領域における導電
性細線30の単位長さ当たりの発熱量よりも小さくする必要はない。例
えば、帯状領域Sのみの、少なくとも一部の領域における導電性細線
30の単位長さ当たりの発熱量を、中央領域Cの少なくとも一部の領域
における導電性細線30の単位長さ当たりの発熱量より小さくしてもよい
。或いは、帯状領域Sのみの、少なくとも一部の領域における導電性
細線30の単位長さ当たりの発熱量を中央領域Cの少なくとも一部の領
域における導電性細線30の単位長さ当たりの発熱量より小さくしても
よい。
 帯状領域S又はSの少なくとも一方おける導電性細線30の単位
長さ当たりの発熱量と、中央領域Cの少なくとも一部の領域における導
電性細線30の単位長さ当たりの発熱量と、の差は、0.14W/m以
上1.5W/m以下であることが好ましく、0.56W/m以上1.0
W/m以下であることがより好ましい。発熱量の差が該範囲にあること
で、中央領域と帯状領域との間の通電歪の差が気にならないレベルにで
きる。
 
※以下、紙面上割愛
 
※変形例は割愛
 [実施例]
 以下、実施例について説明するが、本発明は、これらの例に何ら限定
されるものではない。
 (例1)
 図13の平面図に示すように、評価用サンプルとして、フロントガラ
スを模擬した合わせガラス300Aを作製した。合わせガラス300A
は、平面視において台形形状であり、中央領域301と、中央領域301
の両側に帯状領域302及び303とを有する。
 中央領域301は、上底La=900mm、下底Lb=1100mm
、高さLc=850mmの平面視台形形状とした。帯状領域302及び
303は、合わせガラス300Aの左右端部からの幅W1=W2=200
mmの平面視平行四辺形とした。又、断面形状は、図1(b)に示した
通りとした。
 合わせガラス300Aの作製方法は、次の通りである。
 まず、厚さ100μmのPETフィルムに厚さ9μmの銅箔を貼り合わ
せた後、フォトリソグラフィーを用いてエッチングし、導電性細線を形
成した。そして、上辺に第1バスバー、下辺に第2バスバーを配置し、
合わせガラス300Aの外に電極を取り出すための第3バスバーを最小
限の長さ(約100mm)にして上下それぞれに配置し、導電性細線付
きPETフィルムを作製した。
 次に、2枚のガラス板(AGC社製 通称FL、板厚2mm)と、2
枚の中間膜(ソルーシア・ジャパン社製 PVB、厚み0.38mm)
を準備した。そして、ガラス板/中間膜/導電性細線付きPETフィル
ム/中間膜/ガラス板の順に積層して積層体を作製した。次に、この積
層体をゴム袋の中に入れ、-65~-100kPaの真空中で温度約70
~110℃で接着し、更に、100~150℃、圧力0.6~1.3M
Paの条件で加熱加圧する圧着処理を行い、合わせガラス300Aを得
た。
 なお、合わせガラス300Aにおいて、中央領域301並びに帯状領域
302及び303の各々の単位面積当たりの発熱量、導電性細線の単位
長さ当たりの発熱量、ピッチ、線径、ウェーブファクターについては、
図15の例1に示す通りとした。
                            以下割愛

ト音記号 イラストや に対する画像結果  『負けないで ZARD』   1993年
              作詞:坂井泉水 作曲:織田哲郎

 今日の言葉:

                春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』


                 

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