彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん
かつおのレモンバジルサラダ
ベチュニア
学名:Petunia 原産地は南 アメリカ
和名:ツクバネアサガオ(衝羽根朝顔)
科名 / 属名:ナス科 / ツクバネアサガオ属(ペチュニア属)
花言葉:あなたと一緒なら心がやわらぐ your presence soothes me
日本には衝羽根朝顔(つくばねあさがお)の名称で渡来。寒さと雨に弱
く、枯れてしまうことが多かったので、日本では当初人気はなかったが、
1989年にサントリーが日本の気候に対応できるよう改良し、「サフィニ
ア」を開発した後から人気が高まった。
空豆や にわか床屋も うすみどり
宇
メランポジウム 寄せ植え
学名:Melampodium divaricatum(M. paludosum)
その他の名前:メランポディウム
科名 / 属名:キク科 / メランポジウム属
渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)
福島原発汚染処理水とはなにか ③
福島第一原子力発電所からの長年にわたる陸地トリチウムの漏えいと
対策と汚染水との関係
掲載日:2020.11.16
【要約】
方法:
サンプルコレクション➲ 環境サンプルは、FDNPP が位置する 福島県
大熊町で収集された(図 6)。 FDNPP は北西太平洋に隣接し、 東京か
ら 230 km 離れている。地下水サンプルは 2013 年から 2019年に 収集
された。大熊町の大部分は依然として放射性セシウムで高濃度に汚染さ
れており、再居住は困難な状況にある。FDNPPの原子炉建屋(R/B)とター
ビン建屋(T/B)は、図3の青緑色で示すように、海抜10m以下の 北西太平
洋に面している。 標高35mの丘の上にピンク色で示された治療施設(図
3)。汲み上げ水のサンプリングは、FDNPP境界の海抜 17 m の崖下で実
施された。図3 の写真に示すように、サンプのサンプルは崖に突き刺さ
ったパイプから直接採取された。崖壁にパイプが刺さっていたので、地
下水を直接採取することができた。地下水は、汚染された土壌や植物に
触れることなく排水溜めから直接サンプリングでき、地下水汚染を評価
するのに最適な場所であった。
トリチウム分析➲ 水中の 3H は、希ガス質量分析法と液体シンチレ
ーションカウンターによって測定された。 環境水の浮遊物を濾過(ア
ドバンテック5C)により除去し、文部科学省公定の方法に従って3H
を抽出した。 約 50 mg の KMnO4 と 50 mg の Na2Oを 50 mlの 濾過
水に加え、1 日間蒸留した。 液体シンチレーションカウンター (LSC)
を使用して 3Hベータ放出をカウントした (Perkin Elmer Tricarb 3180 TR)。
検出効率は、クエンチ補正を行った自己吸収曲線に基づいき決定する。
ベータ数には 133Ba を使用した外部標準源法を適用しました。 20 mL
の低カリウム LSC バイアルを使用し、10 mLの水サンプルと 10 mLのカ
クテル剤 (UltimaGold LLT、Perkin Elmer) を各バイアルに加え、よく撹
拌。 自家蛍光を除去するために撹拌してから少なくとも2時間後にベー
タ放射を測定。 ほぼすべてのサンプルで、消光量、つまり変換された
外部標準スペクトル指数 (tSIE) は約 300~ 400 で、検出効率は約 23
%であった。バイアルあたりの測定時間は1日 (1時間サイクル、24回
) であった。3H の検出限界は約 1.5 Bq/L。
いくつかのサンプルは、3H LSC 測定をチェックするために、In-growth
法を使用した希ガス質量分析により測定された。 ヘリウム 3 内部成長
法では、東京大学AORIで収集されたサンプル中のトリチウム濃度が測定
された。地下水サンプルを濾過し、蒸留した後、ステンレス鋼のボトル
に入れた。ヘリウムを含むすべての溶存ガスは、ポンプでポンプを送り
超音波槽内でサンプルを振盪することによって地下水から抽出された。
完全に脱気した水サンプルを容器に密封しました。 数か月後、AORI
(Helix-SFT; GV Instruments Ltd.) の 従来の希ガス質量分析計を使用して、
3H 崩壊によって生成された 3H が分析された。 トリチウム濃度は 測
定された 3He 量から間接的に測定された。3H 測定の検出限界と分析不
確かさは、それぞれ約 0.003 Bq/L と 10%と推定された。 放射性崩壊
は、サンプリング日の時点で補正された。内部成長分析法とLSC を比較
すると、測定された放射能が良好な一致を示した。
図 6. 日本の福島県にある福島第一原子力発電所 (FDNPP) の位置。
50 mL の水サンプルを蒸発させ、5 mL の 8 M HNO3 で溶解しました。
HNO3 溶液は、分析グレードの Tamapure AA-100 試薬 (68% w/w) と M
illi-Q2 精製水 (25 °C で > 18 MΩ cm) を使用して調製されました。
ストロンチウムの分離では、粒子サイズ 100 ~ 150 μm の DGA およ
び Sr 抽出クロマトグラフィー樹脂 (Eichrom Technologies Inc、米国)
0.5 mL をポリプロピレン重力カラム (Muromac、日本、サイズ、長さ 4
2 mm、直径 5 mm) に充填し、洗浄しました。 10 mL のH2Oを使用し、流
量約 0.2 mL min-1 の 8 M HNO3 5 mL で前処理する。サンプルを 5 mLの
8M HNO3 に溶解し、準備したカラムにロードし、3 mL の 8 M HNO3 およ
び 3 mL の 3 M HNO3 ですすぎました。 最後に、3 mL の 0.05 M HNO3
を使用して Sr 樹脂から Sr を剥離しました。 この最終溶液を約0.1
mLまで蒸発させ、0.5mLのHNO3 および0.5mLのH 2O 2 と
混合した。 溶液を10分間沸騰させ、蒸発乾固させた。 その後、Sr
を含む残留物を0.25mLの1M HNO3 に溶解し、蒸発させて小さ
な滴とした。 Sr を含むこの小さな液滴を、1 マイクロリットルの TaF5
活性化剤とともに、脱気した単一レニウム フィラメント (99.999%) に
ロードする。TIMS分析の詳細 他の場所で紹介されている 。
----------------------------------------------------------------
用語解説:
注1:トリチウム(水)
原子核に陽子1個、中性子2個を擁する水素の同位体を3重水素(トリチウ
ム)と言う。本研究では、この三重水素原子を水分子に含んだ水をトリ
チウム水と呼称します。トリチウムは原子力発電所に限らず、宇宙線に
よっても生成する、比較的身近な放射性物質の一つである。半減期は
12.3年でベータ(-)崩壊する特徴があります。
注2:不透水層
主に粘土などで構成される、地下水を通しにくい層(地層)のことです。
本研究で観測した地下水は、現場の状況から地上から最初の不透水層ま
での間(不圧帯水層)からではないかと想定しています。
注3:ストロンチウム安定同位体比
天然に存在する安定なストロンチウム(Sr)の中で、87の質量数と86の
質量数のストロンチウムの濃度比(87Sr/86Sr)を示す。本研究では、地
下水中の87Sr/86Srの違いによって、水源の違いを議論することができる。
なお、この議論においては、放射性ストロンチウム(90Sr)は関連ある。
87Sr/86Sr および 90Sr/86Sr 同位体分析。 2か所で採取した水( 図6の
「*」と「**」)を用いてSr安定同位体比(87Sr/86Sr)分析と90Sr(T1/2=
28.8y)分析を行い、泉源を特定しました。 水と90Sr汚染の可能性があ
ります。この目的のために、Phoenix X62 (Isotopx、英国) の熱イオン化質
量分析装置 (TIMS) が使用されました。安定したストロンチウム濃度測
定のために、Agilent-8800誘導結合プラズマ質量分析計(Agilent Technol-
ogies, USA)を利用した。詳細なストロンチウム分析方法については、別
の場所で説明さする。TIMSには、9つのファラデー カップ (最大 10V)、
デイリー イオン カウンティング システム (光電子増倍管 PM) (50 mV
= 3 × 106 CPS)、二次電子増倍管 (SEM)、リア軸ファラデー、およびと
して知られる 4 つのダイノード チャネル電子増倍管が装備されている。
Channeltron マルチイオンカウンティングシステム。 コレクターシステ
ムには、豊富な感度と伝送効率を向上させるためのワイドアパーチャ遅
延電位 (WARP) フィルターも含まれる。ストロンチウム安定同位体分析
にはマルチダイナミック手順が適用され、90Sr 分析には静的手順が適用
された。 最初に 87Sr/86Sr 同位体比を測定し、次に 90Sr/86Sr 同位体
比を測定した。
この項つづく
【再エネ革命渦論 129: アフターコロナ時代 328】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
特異点真っ直中 ⑫
図1.さまざまな コロイド量子ドット( CQDの接合と電気伝導性(導
電性)の模式図
(a) 絶縁性オレイン酸を 配位子に 持つ二つのCQD。ドット間の距離が
大きいため、電気伝導は起こらない。
(b) 短い 有機分子の配位子で架橋された CQD。 電気伝導が発現するが 、
低移動度にとどまる。
(c) 今回開発したCQD。隣接するCQD間を直接接合し、電気伝導性を高め
た構造
高移動度の半導体コロイド量子ドット超格子を実現
エピタキシャル接合により、高性能化に成功
5月25日、理化学研究所らの共同研究グループは、半導体コロイド量子
ドットの高秩序な超格子薄膜を作製した結果、移動度の大幅な増強に成
功し、キャリアドープによる金属的伝導性を初めて実現。これまで、コ
ロイド量子ドットからなる材料を光電デバイスへ展開する場合、特に移
動度の低さが障害となっていたが、将来の光電デバイス[5]開発のため
の新たな基盤になるものと期待されている。今回、共同研究グループは、
有機配位子によって安定化された硫化鉛(PbS)コロイド量子ドットを
有機溶媒表面上で集積させました。そして、量子ドットの表面を形成す
るいくつかの結晶面から選択的に有機配位子を除去することで、量子ド
ット同士をエピタキシャル接合させ、結晶の向きをそろえて広い面積に
配列させた「量子ドット超格子」とも呼ぶべき薄膜をシリコン基板上に
写し取ることに成功。この超格子薄膜の電気伝導特性を電界効果トラン
ジスタデバイスにより調べたところ、従来の商用コロイド量子ドット薄
膜よりも1,000~100万倍以上も大きな移動度を観測。また低温での電気
抵抗測定から、この薄膜はキャリアドープによって金属的伝導性を示す
ことも明らかにした。
図2.エピタキシャル接続された PbS 量子ドット超格子 (QD-SL)。a
8.1 nmを含むQD-SLの透過型電子顕微鏡(TEM)写真 直径PbS QD。 (挿
入図) 顕微鏡写真の高速フーリエ変換 (FFT)。b 斜入射小角 X 線散乱
(GISAXS) パターン対応するサンプルは QD の2次元順序付けを示す。
単層。 c プロットは、抽出された QD の平均直径を比較。対 TEM 画像
からの中心間 (QD 間) 距離 (黒色) 正方形)、およびから作製された
QD-SLのGISAXS測定(赤い点)さまざまな直径の QD ビルディング ブロ
ック。 エラーバーは標準を表す偏差。 d 高解像度 TEM は量子ドット
のエピタキシャル接続を示す。選択視野電子回折 (SAED)、PbS 原子を
証QD-SLの方向。これは放牧事件によって裏付けられた結論であるはる
かに大きなサンプルから取得された広角散乱 (GIWAXS) パターン断面。
g 散乱 X 線波数ベクトル (q) の方位線カットオフ (χ)GIWAXS パター
ンの for {Ⅲ}AL と h {200}ALは、すべてのQD直径を注文。i PbS QD-S
Lを再構成した図に対する原子格子の配向を示す基板上の配列通常の表
面。
次に、電界効果トランジスタ により、このCQD超格子薄膜の電気伝導特
性を調べたところ、下図3aのトランジスタの出力特性から、移動度は、
13.5cm2/V・sであることが分かった。この移動度の値は、現在の商用CQD
デバイス、量子ドット ディスプレイにおける移動度の100万倍以上、量
子ドット太陽電池の移動度の1,000倍以上に相当する。今回実現した高
移動度が電子デバイスに応用されれば、量子ドットディスプレイはより
明るく、より鮮やかにより少ないエネルギーで表示できるようになり、
量子ドット太陽電池のエネルギー 変換効率は格段に向上すると考えら
れる。
図3bは CQDトランジスタの電気抵抗の温度依存性を、さまざまなゲート
電圧で測定したグラフである。ゲー電圧が低いときには、温度を下げる
と電気抵抗が上昇する絶縁体的な振る舞いであったのに対し、ゲート電
圧を高くしてキャリア密度を上昇させると(キャリアドープ、電気抵抗
が劇的に低下し、温度に依存しない、金属的な振る舞い(金属的伝導性
を示すことが分かった。このような、キャリア密度により絶縁体的な振
る舞いから金属的な振る舞いに変化する現象は、これまで CQD集合体で
は見られなかった。このことから、エピタキシャル接合したCQD超格子は、
新たな量子物性・機能の発現の場になる可能性があると考えられている。、
図3 開発した CQD超格子 の電気伝導性と 電気 抵抗 の温度依存性
(a) 電界効果 トランジスタ特性。n型半導体としての特性を示し、移動
度は 10cm2/V・ sを超えている。
(b) 赤線のように、 CQD超格子に 低いゲート電圧 VGを加えて温度を下
げると、電気抵抗が上昇した(絶縁体的な振る舞い)。ゲート電圧を
高くしてキャリア密度を上昇させると、低温においても劇的に電気抵
抗が低下して 高い電気伝導性を示し、金属的な振る舞い(金属的伝
導性に移行した。
【展望】
CQDは他の多くのナノ材料や有機半導体と比較して、優れた発光体・光吸
収体である。その波長特性は、結晶サイズを変更することで、他の材料
ではアクセスできない範囲まで調整できる。今回、このように光学特性
に優れたCQD超格子で高い電気伝導性が得られたことは、既存の技術より
もはるかに優れた性能を持つ光電デバイスの開発に貢献する。
また、電流駆動レーザー、高効率熱電材料、超高感度光検出器へのCQD
材料の利用も、従来のCQDでは無理だったが、今回の発見により大きく
変化すると考えられている。さらに、CQDは溶液プロセスによるデバイ
ス作製が可能で、真空プロセスが不要となり、二酸化炭素排出量(エネ
ルギー使用量)と材料使用量を削減できる可能性がある。この特性を生
かし 持続可能な社会構築に貢献できると期待されている。
【脚注】
※電流駆動有機半導体レーザー:現在、有機ELに続く次世代発光デバイ
スとして、有機半導体レーザの実現を目指して研究に注目されている。
有機材料の多くは、特定の電子状態が4準位系を形成し、容易に反転分
布をとることができ、低い励起密度での誘導放出が可能である一方、無
機半導体に比べてキャリア輸送特性・熱耐性で劣っているため、さらな
る低閾値化、伝播損失の抑制等が求められている。
Organic Laser Diode (OLD)
有機レーザダイオード | 安達千波矢 研究室
【関連技術論文】
・原 題:Enabling Metallic Behaviour in Two-Dimensional Superlattice of
Semiconductor Colloidal Quantum Dots
・著者名:Ricky Dwi Septianto, Retno Miranti, Tomoka Kikitsu, Takaaki
Hikima, Daisuke Hashizume, Nobuhiro Matsushita, Yoshihiro Iwasa,
Satria Zulkarnaen Bisri
・ 掲載誌 : Nature Communications, DOI:10.1038/s41467-023-3
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325 回視聴 2023/05/12
MEG 342C QD-OLED|目を奪う次世代の映像美 34.18インチ|
UWQHD(3,440 × 1,440)|175Hz|0.1ms(GTG)
量子ドットと有機ELを組み合わせた最新のパネルで次世代の映像美を実現
フィルム状有機半導体センサ
液肥を一定濃度に制御した植物工場で、レタス栽培に成功
4月17日、東京大学・NEDO・(株)ファームシップの共同研究グループは、
フィルム状の有機半導体センサーを開発し、液肥の主要成分であるカリ
ウムイオンの安定的な計測技術を確立。また、このセンサーを用いて液
肥を一定濃度に制御した水耕栽培設備でレタスの栽培実験に成功。
【概要】
植物工場は露地栽培に比べて天候に左右されず、狭い土地で安定的に生
産できることから近年、生産が拡大。一方で植物工場内の温湿度や照度
などの栽培条件は、ばらつきをモニタリングして、一定に制御する必要
があるが、従来の植物工場では液肥成分の濃度を多地点のモニタリング
でリアルタイムに計測する小型で安価な機器がなく、栽培制御の課題と
なっている。
【成果】
1.有機半導体を用いたフィルム状のセンサーを開発
液肥濃度の分布は野菜生産のばらつきを推定する重要なパラメーターで、
成長制御のためには液肥の主要成分であるカリウムイオン(K+)、アン
モニウムイオン(NH4+)、硝酸イオン(NO3-)、リン酸イオン(HPO42-)
のイオン濃度を簡便に計測できるデバイスが必要。従来、銀-塩化銀な
どの電極電位を測定する場合の基準となる参照電極を用いたイオンセン
サーが使われていますが、大型で高価なものが多く、現場では多地点で
常時モニタリングでききない。そこで今回は有機半導体を用いたイオン
センサーを組み込んだ液肥成分の検出装置の開発を進めてきた。液肥中に
置かれた有機半導体の電気伝導度は、隣接イオンとの電気的相互作用に
よって変化し、この原理により、イオン濃度を測定することが可能。東
京大学大学院新領域創成科学研究科が開発した有機半導体は、大気中で
塗布することができ、安価で大面積な有機半導体単結晶薄膜を得られる。
これをフィルム基板上に成形し、電極形成を工夫することで、電気二重
層トランジスタとして利用する。このような電気二重層トランジスタに
イオン選択感応膜を搭載し構造を工夫することで、水溶液中のイオン濃
度測定が可能となる。最初に開発する対象イオンとして、野菜成長成分
として重要とされるカリウムを対象としたセンサを開発(図1)。塗布
プロセスで作成でき、安価なデバイスが実現可能。表面の平たんな単結
晶薄膜を用いることで、水中での安定かつ鋭敏な電気的動作が可能。
図1.開発したデバイスの構造イメージ
2.液肥の主要成分であるカリウムイオンの安定的な計測技術を確立
植物工場の水耕栽培では、長方形の液肥プールの中で植物を育てる。片
側から新たな液肥を供給し、反対側から液肥を回収し、浄化後に再度供
給する循環方式が一般的。上流に生育旺盛な株が液肥成分を多量に吸収
すると、下流ではその濃度が低くなる。この状況を定量的にモニタリン
グできれば、供給する液肥の濃度流量を調整して一定の濃度を保つ。し
かし、液肥モニタリングを多地点で行うとコスト増につながることから
栽培制御に取り込めていないのが実態。その結果、収穫時の重量に大き
なばらつきが発生する。今回、植物工場の栽培で開発したセンサを使っ
て、液肥の主要成分であるカリウムイオン検出による液肥の一定濃度制
御に成功。イオンセンサーの濃度と出力との例を図2に示す(割愛)。
イオン濃度に比例した出力が得られており、一般的な水耕栽培条件の下
でイオンセンサーとして用いることができる。
3.液肥を一定濃度に制御した水耕栽培設備でレタスの栽培実験に成功
今回開発した有機半導体を用いたイオンセンサーを用いて小型の水耕栽
培液肥濃度安定化システムとして構築し、液肥を一定濃度に制御するシ
ステムの動作を確認して、レタスの栽培実験に成功しました(図3、4;
割愛)。この成功でイオンセンサーにおける基本構造の検証ができた。
【展望】
精度の向上や安定性を検証するとともに、実際の生産現場に適用できる
システムの開発を行い、レタスなどの植物工場だけでなく、温室などで
行われる養液栽培への適用、さらには農業で広く使われるイオンセンサ
への検討も進めます。本センサは、イオン選択感応膜を変えることで、
さまざまなイオンに対応できる。また、印刷プロセスで多種類の感応膜
を一度に形成でき、マルチイオンセンサへの適用も検討する。その後は
、本事業の一環で開発した市場価格の予測アルゴリズムや重量予測技術、
良苗判定技術などと組み合わせることで、フードロス削減につながる高
精度な需給調整システムの実現を目指す。
1滴の溶液と1分の時間でナノシート膜を自動製膜
ナノシートの工業化に前進
4月6日、名古屋大学の研究グループは、酸化物、グラフェン、窒化ホウ
素などの二次元物質(ナノシート)を、1分程度の短時間で基板上に隙
間なく配列して、薄膜を作製する新技術「高速薄膜作製法」を開発。
この技術は、自動ピペットを利用することで、専門的な知識、技術の必
要がなく、ワンクリックで高品質なナノシート膜の大面積製膜が可能で
あり、ナノシートの各種デバイスの工業的製造に向けた重要な技術に発
展するものと期待されている。
【要点】
・酸化物、グラフェンなどの二次元物質を用いた高速薄膜作製法を開発。
・溶液1滴、1分で高品質なナノシート膜の大面積製膜を実現。
・専門的な知識、技術の必要がなく、ワンクリックで自動製膜。
【概要】
ナノシートは、電子・イオン移動度や誘電性、透明性、耐熱性などに優
れており、その応用が期待されている。このためには、基材の表面にナ
ノシート膜を秩序正しく配列させる必要がある。ところが、従来の「ラ
ングミュア・ブロジェット」方法は、条件設定や操作が難しく専門的な
知識や技術が必要で、製膜時間も1層で約1時間を要するなど、本格的な
実用化に向けては課題があった。研究グループは今回、自動ピペットを
用い酸化物やグラフェン、窒化ホウ素といったナノシートのコロイド溶
液を、基板に1滴落とした後、これを吸引するという手法を用いた。この
結果、ナノシート同士が隙間なく秩序正しく配列。しかも、わずか約1分
という極めて短い時間で、単層膜の自動製膜に成功したという。実験結
果から、エタノールを1~2%添加した希薄コロイド水溶液(濃度は0.02
~0.05g/L)を用いた時が、最も良い結果が得られた。また、製膜も工
程を繰り返し行うことで、多層膜を作製することが可能なことも確認し
た。研究グループによれば、ワンクリックで、4インチウエハーへの製
膜や、小数ロットのオンデマンド自動製膜などが可能。
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【関連技術論文】
原 題:Automated One-Drop Assembly for Facile 2D Film Deposition
掲載誌:ACS Applied Materials & Interfaces
DOI: 10.1021/acsami.3c02250
図1.体内に入った多層カーボンナノチューブは主に免疫細胞のマクロファージ
に取り込まれ、炎症性サイトカインIL-1β分泌や細胞死により炎症を引き起こ
し、それが肺疾患の発症につながる。Tim4受容体はマクロファージ細胞表面
上に発現し、カーボンナノチューブの認識に関わる。なお、Tim4はアスベスト
を認識せず、マクロファージによるアスベスト取り込み機構は未だに不明である。
カーボンナノチューブの毒性発現機構の一端を解明
免疫細胞が病原体と誤認識して過剰応答
4月7日、立命館大学らのの研究グループは、カーボンナノチューブ(CNT)
を認識するヒト免疫受容体を「世界で初めて」(同研究グループ)発見。
【概要】
CNTは、機能特性や熱伝導性、電気伝導性にも優れている日本発の次世代
ナノ材料だ。しかし、一部のMWCNTでは、アスベストと似た炎症毒性が動
物実験において複数観察されていて、その原因については分かっていな
かったが、同研究グループは、免疫細胞の一つであるマクロファージが
細胞表面のヒト免疫受容体「Siglec-14」を介して多層CNT(MWCNT=
Multi-Walle d CNT)を取り込み、炎症を引き起こすことを明らかにした。
また、新たに作成した「抗Siglec14阻害モノクローナル抗体」や「Siglec-1
4の炎症シグナル阻害薬」を用いることで、MWCNTの炎症毒性を軽減でき
ることが分かった。今回、同研究グループは、既に結晶構造解析されて
いる約15万種のタンパク質三次元構造の中から、CNT認識に必須な芳香族
アミノ酸クラスタを持つヒト受容体を探索し、「Siglec-14」を発見し
た。Siglec-14受容体は、ヒトマクロファージにおいMWCNTを認識すると
リン酸化酵素「spleen tyrosine kinase(Syk)」の活性化を経由して、
MWCNTを取り込み、炎症シグナルを伝達する。実験では、マウスには、
Siglec-14がないため人為的にマウス肺胞マクロファージにSiglec-14を
導入してMWCNTを投与すると、Siglec-14を導入していないマウスに比べ
て肺炎が増悪した。また、このモデルマウスにSyk阻害薬を経口投与す
ると、肺炎が軽減した。
【展望】
中皮腫はアスベスト曝露およそ 20 年後に発症する疾患であり、CNTs曝
露されたヒトに おいて中皮腫が発症するかはまだ分かっていません。
しかしながら米国の CNTs を扱う工 場の複数の作業員に肺疾患が既に認
められており、その安全対策が急務とされている。本研究成果は、今後
CNTs 曝露による肺疾患において Tim4 経路を阻害する治療の開発、およ
び Tim4 に結合しない安全な CNTs の設計・開発につながることが期待
される。
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【関連技術論文】
原 題:Tim4 Recognizes Carbon Nanotubes and Mediates Phagocytosis
Leading to Granuloma Formation”
掲載誌:Cell Reports
Doi.org/10.1016/j.celrep.2021.108734
John Lennon Imagine
【J-POPの系譜を探る:2000年代】
● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)野に咲く花の名前は知らない、
だけど 野に咲く花は好き
寺山 修司