極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

南極海の巨大な炭酸ガス吸収渦

2012年07月31日 | 地球温暖化

 

 


 

 

【南極海の巨大な炭酸ガス吸収渦】

コンテンポラリー(世界同時進行性)という言葉があるが、『緊急避難策としてのCCS』をブロ
グ掲載していると同時に、南極海の存在する5つの巨大な渦のメカニズムが解明されたと研究報告
されている。それは次のようなものだ。

地球温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)が南極海(Southern Ocean)の深海に蓄積される
メカニズムを解明したと、英豪の共同研究チームが29日発表。風と渦、海流の働きが重なって、CO2
を吸収し深海へと閉じ込める漏斗(ろうと)状の水の流れが生まれる。海が吐き出したCO2で氷河期
が終わったとする研究
がある中、地球上のCO2の約4分の1は海中に吸収隔離されているが、その約

40%は南極海に集中。水深約1000メートル付近に数百年~数千年にわたって閉じ込められていると
されるものの、CO2がどのようにして深海にたまっていくのかは究明されていなかった。これまでは
風がCO2の溶け込んだ表層海水を一定海域に集め、深海へと降下させているのではないかと考えられ
てきたが、今回研究チームは小型の深海探査ロボットを使って収集した10年分のデータから、風に
加えて平均直
径およそ100キロに及ぶ巨大な「渦」も要因の1つであることを見出したという。論文

を執筆したジャンバプティスト・サレ(Jean-Baptiste Sallee)はAFPの取材に対し「渦と風、さら
に南極海の主要な海流の3つの影響が重なり、海水の表面から海中にCO2を取り込む幅1000キロもの
下降水流が生じている」と説明した。こうした下降水流は、南極海の5か所にあるという。強い風
には海を激しくかき混ぜ、海中に隔離されているCO2を大気中に解き放ってしまう効果もあるが、今
回発見した渦がこの影響を打ち消す役割を果たしていることも分かった。サレは「このこと自体は
朗報に聞こえるが、問題はこれらの渦に対する温暖化の影響だ。渦は止まってしまうのか、それと
も強化されるのか、全く不明」という。理論上は、気候変動によって海流が変化したり風が強くな
ったり、気温が急上昇したりした場合、南極海の渦の性質や働きも影響されるというのだ。

いましばらく議論を深める必要があるものの、この吸収渦の消長が地球環境へ多大な影響を与えう
ることが明らかになりそうだし、どうやら、二酸化炭素隔離(carbon dioxide capture and stora-
ge,CCS)システム構築の重要な参考にもなりそうだ。 

 

【金属酸化物中の電子同士の避け合い効果の可視化に成功】



【解説】通常の金属・半導体の場合(左)、電子は自由電子的に振る舞い、電子は空間的にも拡が
った状態を取る。金属酸化物(右)では、クーロン反発(電子相関)のために、電子は避け合いな
がら運動。このために、電子の運動・拡がりは制限されて、原子サイト付近に存在確率の高い状態
を取る。



金属酸化物は、電気抵抗が低温でゼロになる「高温超伝導」や、磁場をかけることで電気抵抗が千
分の1にまで激減する「超巨大磁気抵抗」をはじめ、劇的な物性の変化を示す。このため新しい電
子デバイス材料として大きな注目を集めている。金属酸化物が示す特異な現象は、電子の振る舞い
を大きく左右する電子相関に由来するのだが、電子相関の働きをうまく制御できれば、電子デバイ
ス材料の最適化や新機能の、省電力で発熱を抑えたコンピューターやメモリーなどの新開発に繋が
ると期待されている。とはいえ「電子相関がどのようなメカニズムで働き、どのように電子の振る
舞いが決定されるのか」については未解明の点が数多く残っていた。



このほど、産総研の研究グループは、シンクロトロン放射光を利用した世界最高水準の分解能の角
度分解光電子分光実験で、金属酸化物中の電子の振る舞いを精密に観測し、金属酸化物中の電子同
士の避け合い効果の可視化に成功しましたという。その結果、電子相関の効果が2通りの異なった
現れ方をすることを初めて明らかできた。そのうちの1つは、従来とは異なった予想のできないも
ので、一見異なった現れ方をする電子相関の効果を統一的に説明することのできる理論モデルを構
築したという。この理論モデルにより、金属酸化物をはじめ、多くの物質に広く適用可能であり、
今後、さまざまな物質で電子相関の効果を定量的に評価することが可能になるという。



【遅れる除染作業】


事故から1年以上が経過しているにも関わらず、除染活動が遅々として進んでいなくて、先行してい
る自治体が、すでに学校や公園など公共施設の除染を終了し、戸建住宅の除染に移っている一方で、
まだ測定段階にとどまっている地域があるという。先行している自治体とそうでない自治体の2極
化が進んでいるという。その主要因は、
除染方法の具体策が分からなかったことがある。そもそも
国ぱ想定外"として、事故前まで除染についての法的枠組みをつくっていなかった。事故を受けて、
昨年8月に特措法が成立し、環境省は特措法の施行のための基準やガイドラインを昨年12月までに
公表したが、これも詳細な除染効果を示した数字などを示すことができなかった。
国が除染モデル
実証事業等の成果を公表し、より具体的な方法を示したのは3月26日になってからだという。



それだけじゃない、原発事故現場では鉛カーバーを放射線測定計に被せ作業していることが暴露さ
れてもいるけれど、所詮、隔靴掻痒。遠くから見ている意外手はなしというわけで今日のところは
寝るしかない。
                                     

 

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夏期特訓 反増税講座

2012年07月30日 | 政策論

 

【こんな暑い日には風の歌を】

 

 

 

 

File:Canada-Goose-Szmurlo.jpg

 

   この午後、草原の中で、ありとあらゆる
   けったいな記憶が頭によみがえってくる。母さんに
   質問をしていたあの葬儀屋。ご主人のご遺体には、
   上下のスーツをお着せいたしましょうか、あるいは
   上着だけでよろしいでしょうか? この質問に対して、
   あるいはほかの質問に対して、どのような返事があったか、
   教える義務は僕にはない。でも、とにかくね、父さんは半ズボンを
   はいたままかまどに入っていったよ。

   今朝、僕は父の写真を見ていた。
   がっしりとした、人生最後の年を生きて
   いる男。彼は、そのとき住んでいたカリフォルニア州
   フォルトウナの小屋の正面で、巨大な鮭を
   手に持っている。それが僕の父さんだ。
   彼はもうどこにもいない。カップー杯の灰と、
   幾つかの小さな骨になってしまった。ひとりの
   人間の人生がこんな風に
   終わるなんて。
   でもヘミングウェイがいみじくも言ったとおり、
   すべての物語は、長く語っていけば、かならず
   死で終わる。実にそのとおり。

   ああ、もう秋だ。
   カナダ雁の群が、遥か頭上を
   通り過ぎていく。小柄な雌馬がふと
   頭をあげ、一度ぶるっと身を震わせ、それから
   また草を食む。甘い匂いのする草の中に
   僕も少し寝ころんでみよう。目を閉じて、風の音を、
   そして羽ばたきの音を聴こう。
   一時間ばかりただのんびりと夢を見よう。自分がここにいて、あそこに
   いないことを喜ぼう。そのことはありがたい。しかしそれと同時に、
   僕はつらい気持ちで、思わないわけにはいかない。
   僕の愛した人々が、どこかべつの、こんなに素晴らしくはない場合に、
   いってしまったのだということを。

                                                             ‘ The meadow

                    レイモンド・カーヴァー 村上春樹 訳 『草原』
                               

 


【夏期特訓 反増税講座】 

「国民の生活が第一」の小沢一郎代表と民主党の鳩山由紀夫元首相が29日、仙台市内で開か
れた新党きづなの斎藤恭紀政調会長のパーティーにそろって出席し、小沢氏は「今の政治状
況は国民の期待に反し、衆院選での約束をすべて棚上げし、自民党と増税のための談合をし
ている」と述べ、消費増税方針を改めた政府を批判。小沢氏は衆院解散・総選挙について「
民主党が変質したなら、もう一度国民に信を問うべきだ。半年以内に衆院選となるだろう
」との見通しを述べ。鳩山元首相も「消費増税に前のめりなことが心配でならない。マニフ
ェストという言葉が死語になると心配している」と述べ首相を批判したと報じられた(毎日
新聞 7月29日(日)19時10分
)。

  Robert Alexander Mundell

そこで、改めて増税の意味について現状確認するために「夏期特訓 反増税講座」と銘打っ
て、古賀茂明、高橋洋一を講師に‘インターネット講座’を開講することに。
                                     
                                     

  古賀茂明 「このまま増税したら日本も確実にギリシャへの道」

  高橋洋一 「増税をもくろむ財務省の真の意図1」

  高橋洋一 「同上 2」

増税すれば利権が増える/為替操作

  高橋洋一 「同上 3」

CDS/最適通貨圏/ギリシャのデフォルト頻度

  高橋 洋一「同上 4」

自国通貨建て/米国マネタリベースの組込み/高橋是清

 高橋 洋一「同上 5」

財務省のエゴ/組織原理/為替介入は無効 

 高橋洋一「同上 6」

金利/株価/為替

 高橋洋一「同上 7」

 高橋洋一「同上 8」

名目成長率4%あればプライマーバランスは回復する

  高橋洋一「同上 9」

増税利権/主税 VS 主計政府通貨

※「 6・13 国会公聴会 私が述べた消費税増税反対の10大理由」(ダイヤモンドオンライン
 「高橋洋一 俗論を撃つ」) 

ところで、高橋洋一は能弁な臨床経済学者で形式主義的な数学者の顔をもつ。わたし(たち)
の立場
は彼の領域と哲学・思想・言語領域の双方を含めて考えている。その意味で「古典的
な知識では片
づかない」ことを痛感している。この革命的な科学技術の発展はわたしたちの
生活を根本的
に変えて進行する。だから、実体経済(実物経済)と直視し最善を尽くしたい
と思っていてそこは共通しているものと考えている。

 

 

時間が経つのは早いものだ。いやんになってしまう。テレビを見ながらこうしてタイピングしているが、
休日らしい休日もなく仕事をダラダラ1年も続けていると気分が鬱々するのはしかたがない。そこで
ジムで短時間だが毎日汗を流す。ここ数週間珍しく続けることができている。これは結構愉快なこと
だ。ところで、「2011年の太陽電池の世界生産量は、対前年比32.3%増の32.1GWとなり、1年間
で20GW規模から30GW規模に拡大している」。しかし、2010年から国内トップのシャープは上
図を見ると逓減している。どうしたんだろうこの企業?

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緊急避難策としてのCCS

2012年07月29日 | 地球温暖化

 

 



【緊急避難策としてのCCS】

二酸化炭素隔離(carbon dioxide capture and storage,CCS)とは化石燃料を燃やしたときに
発生する二酸化炭素を大気中に放出せず、海水中に溶解したり(海洋貯留)、地中や海底に閉じ
込めること(地中貯留)をさし、二酸化炭素固定化ともいう。この技術は空になりかけた油田やガ
ス田に、二酸化炭素ガスを高圧力で送り込み石油を回収する二酸化炭素注入技術としても知られ
ている。二酸化炭素を大量に分離しやすい場合にのみ有効で、火力発電所や工場などで煙突から
出る排ガス中の二酸化炭素を取り出して隔離することが検討されている。日本では国内と近海の
帯水層に現状の二酸化炭素排出量の70〜80年分(約900億t)を隔離できるとされている。新潟県長
岡市郊外のガス田で実験が行われている。長期にわたり安全に隔離することが必要で、化石燃料
を使わない社会へ移行するための中継ぎ的な技術と見られている。

回収技術には、化学吸収法、固定化学吸収法、物理吸収法の吸収法と物理吸着法、膜分離法、深
冷分離法、酸素燃焼法があり、貯留技術としては、炭層固定、耐水層貯留、油層・ガス層貯留、
鉱物固定、海底下ハイドレート貯留、ゲスト分子置換法、メタン変換法などの地中隔離法と溶解・
希釈、海底貯留の海洋隔離法、さらには、プラズマ分解法、金属と反応させる方法、メタンを利
用する方法、化石燃料の分離などの分離法がある。



ところで、米航空宇宙局(NASA)は24日、グリーンランド(Greenland)の氷床表面が今月、30
年以上にわたる衛星の観測で確認されたことがない規模で融解したと発表。3機の人工衛星から
得られた観測データをNASAと大学研究者らが分析したところ、7月中旬のある時点で氷床表面の
97%が解けたとみられることが分かったという。NASA関係者によれば、インド宇宙研究機関(In-
dian Space Research Organisation、ISRO)の人工衛星「Oceansat-2」の観測データを分析中に
7月12日にグリーンランドで大規模な氷床表面の融解が起きたらしいことを発見。ほかの衛星か
らのデータもこれと合致するものだった。NASAが発表した融解域を示す地図によれば、7月8日
には氷床表面の40%が融解し、4日後の12日には97%に急拡大した。NASAによればグリーンラン
ドの氷床は例年、夏になると平均して表面の約半分が自然融解する。解けた水は通常、高所では
すぐに再凍結するが、沿岸地域では一部を除き海へ流れ出る。NASAは「今年は表面付近の解氷範
囲が劇的に拡大した」と述べている。この大規模融解はグリーンランド上空を暖かい空気を含む
強い高気圧が覆ったのと同時に起きた。今回の融解が海面上昇の要因となるかどうかはまだ分か
らないという。データ分析チームのメンバーで氷河学者のLora Koenigによれば、このような解
氷現象は平均して150年に1回起こるという。最後に起こったのは1889年で、今回の現象もこの周
期に沿ったもだが Koenigは「このような解氷現象が来年以降も続けば心配だ」と話したという。

  

 

地球温暖化に対するわたし(たち)の見方はこのブログでも再三記載してきている。人為説→二酸化炭素
などの温暖化ガスの削減の基本的な態度は、例外なく人類の人口ひとり当たりの排出量を算定し、削減
量設定→その上で国家単位で排出量を算定し目標値を国際的な上部機関(国連)で設定するものだ。こ
れを実行していくためには、米国と中国の排出負荷量二大国が率先垂範させるべきだ。これは覇権大国
が率先して、武器を放棄していくことが原則であるように、温暖化ガス削減も同様に基本原則だ。すなわ
ち、「武器よさらば」「温暖化ガスよさらば」という図式はこの二大国に当てはまることは自明のことだ。

さて、そのための緊急避難策として、国際的な二酸化炭素隔離(carbon dioxide capture and stor-
age,CCS)システム構築プロジェクトの始動が大前提だと考える。とはいえ、先行できる国が、前
駆体として世界を指導することも重要だ。

 

 

 

【続・たまには熟っくりと本を読もう】

 

  茂木-現代は「何か」を忘れていないか

  若いときはだれでも自分の判断にあまり疑いをもちません。でも、よくよく考えてみる
  と、あのときのあの判断は間違っていたのではないかと思うことはあります。だからこ
  そ、年齢とともに思想も変わるのだと思います。小林秀雄も「結局、思想が年齢ととも
  に変わるのは当然のことであって、現代人はそれを忘れてしまっている」という意味の  
  ことを書いていますが、いま、お話をうかがっていて思ったのはそういうことでした。
  たとえば妄想をいだいて何か行動を起してしまうと、そういう自分にうろたえたり慌て
  たりします。その結果、自分の判断力、思考というものを疑うようになる。あるいは、
  思考や判断の底が抜けていることを非常に強く実感する。しかし、そういうことを前提
  に物事を考えるようになることは、ある意味では、自分の理性や判断を疑わない若者の
  状態より一歩先に進んでいるともいえるのではないでしょうか。

  言い換えれば、われわれ現代人は若さ、力強さ、効率といったものを最高・最上のもの
  と考えが
ちですが、それによって取り残されているものがいっぱいあるように思うので
  す。京都にある茶
碗のミュージアムに行ったことがあります。茶碗というのは、銘にお
  能の
演目を記すことが多いのですが、「銕捨」と記されたものもありました。姥捨て山
  伝説に
ついては深沢七郎さんが『檜山節考』(新潮文庫)で小説化していますが、ぼく
  は能の
「銕捨」のほうは見たことがなかったので、シノプシスを読んでみたら、これが
  深沢七郎
的な世界とは全然違いました。深沢七郎的世界は、口減らしのために老婆が山
  のなかに捨
てられに行くという、ある意味では悲惨な描き方がなされていますが、能の
  「銕捨」はそ
うではありません。老婆が山のなかにひとりで入って行って月光の下で舞
  を舞う。そのう
ちに魂が浄化されて天上に昇っていくという筋書きでした。
 
  これは、同じ姥捨てを取り上げながらも、能が考案された室町時代あたりの世界観と現

  代のわれわれの世界観が全然違っているためだと思います。深沢七郎的世界というのは、
  ある意味ではわれわれが慣れ親しんでいる世界で、深沢七郎さんの文学性は素晴らしい
  と
思いますけど、能のシノプシスを読んだとき、ぼくはどうもわれわれ現代人が見落と
  して
いることがずいぶんあるのではないかと感じました。
  吉本さんのお話をうかがっていて、そんなことも思い出しました。

  吉本-ホスピス、尊厳死への疑問

  姥捨てでは、夫はもう亡くなっているということを前提にしているのでしょうが、女の  
  人が一定の年齢になると山中に捨てられる。深沢さんの小説と同じように、息子に背負
  わ
れて山に行き、置いてきぼりにされる。では、そのあとどうしたのかというと、姥捨
  て山
伝説が残っている土地の近くには「蓮台野」とか「デンデラ野」と呼ばれる場所が
  ありま
す。お婆さんたちはその「デンデラ野」や「蓮台野」でもう一度、自分と同じ境
  遇の仲間
たちと農耕をはじめたわけです。お婆さんたちが寄り集まって、まだ元気な人
  は働いて、
少し土地を耕して手っ取り早くつくれる野菜をつくったり木の実を拾ったり、
  いわゆる自
立的な営みをやっていました。相互扶助のようなものがあって、病気になっ
  たら看護して、
亡くなったら「神さま」として大切にしたといいます。

  そこまでいくと、人間って、昔からなかなかやるじゃないかという思いがします。人間、
  足腰立たなくなったって生きているかぎりはやるさ、という気概のようなものがちゃん
  と
あって、なにやら姥捨てが行われていた時代のほうがいい社会だったのではないかと
  いう
気もします。現代的な解釈だったら、姥捨てですべて終わり。お婆さんは、あとは
  死ぬ以
外にない、みたいになってしまうわけですが、それに比べたら「蓮台野」や「デ
  ンデラ
野」のほうがどれだけいいかと思わずにはいられません。
 
  最近はよく「ホスピス」ということがいわれているようですが、ぼくは、あんなのはよ  

  くないよと思っています。思うだけでなく、そう書いたりいったりしています。何かよ
  く
ないかといえば、だいたい「死」を前提とした看護とか医療は全然ダメだと思うから
  です
もう初めから問題にならないよと思います。
  だいたいホスピス医になるのは進歩的なお医者さんが多いようです。ふつうのお医者さ
  んは病院に勤めて、ある時間からある時間まで義務的に診察して、薬は何々だとか、決
  ま
りきったものを出す。そうしたルーティン・ワークに満足できないお医者さんがホス
  ピス
関係に行くケースが多いと間いたことがあります。したがって、わりあい進歩的な
  考えの
人が多いわけですが、そういう人はみな、自分では「いいことをしている」と思
  っていま
す。義務的に病院に勤めているお医者さんより、自分たちはいいことをしてい
  るのだと考
えています。

  だからぼくにいわせれば、ホスピス医は二重に悪いことになります。第一に死を前提に
  した医療なんて認めがたいし、そのうえ、自分たちは、いいことをしているんだと考え
  ているとしたら、これはもうどうしようもないわけです。だからぼくは、ホスピスなん
  ていう
のはダメだといっているわけですが、当のご本人たちは、そこのところは絶対に
  納得しま
せんね。ぼくがいままでわりあい親しくしていた医師の人と、どうもしっくり
  いかない、気分が
はぐれてしまった、と感じるのはホスピスの問題をめぐって話をした
  のがきっかけです。
ぼくが、「死を前提として医療をするのはよくないと思うよ。それ
  も、悪いことをしてい
るという自覚のうえでやるなら、それはそれでもいいかもしれな
  いけど、逆にいいことを
していると思っているなら、そんなのはいちぱんよくないよ」
  というと、向こうは「いや、
そうじゃない。ホスピスだっていろいろあるんだ」と盛ん
  に反論してきます。すると、ぼ
くはまた言い返したくなるわけです。「そりゃあ、いろ
  いろあるかもしれないけど、老人
はやがて死ぬんだから、それなら安楽にして過ごした
  ほうがいいんじやないかという発想
自体が問題なんだ。それがダメだと、おれはいって
  いるんだよ」と。
そういう言い方をしても、まるで納得してくれません。これは現在の
  さまざまな問題と
関わりがある問題で、ここを納得してくれたらたいしたものだと思う
  わけですが、絶対に
納得してくれないというのが現状です。

  だいたい、ご老人は若い人より先に死ぬのだから、それなら苦痛のうちに死ぬよりも安

  楽に死なせてやったらいいという考え方は、ナチスがユダヤ人をガス室に入れたのと同
  じ
ことなんです。優秀なアーリア人種の血統を守るためにユダヤ人は絶滅するんだとい
  うナ
チスの優生思想とどう違うんだ、といいたくなります。もっとひどいと思うのは「
  日本尊厳死協会」です。苦しんで死ぬような状態になったら延命
しないでくれといって、
  予め承認の署名をする。わたしの知っている人も日本尊厳
死協会に入っているといって
  いたので、本気かと問くと、「本気だ」と盛んにいっていま
した。ぼくなど、とんでも
  ないことだと思いましたが、ご自分が死ぬか生きるかという問
題だから、それ以上のこ
  とはいわずに済ませました。

  ついでにいっておけば、ぼくは「ボランティア」にも異和感を覚えます。仕事というの
  はやはり正当な報酬を得る賃仕事でなければいけないのに、ボランティアの人たちは無
  報
酬の善意でやっているんだ、という顔をしている。ホスピスといっしょで、いつだっ
  て
[自分たちはいいことをしているんだ」と思っているわけです。でも、「いいこと」
  という
のは密かにさりげなくやるもので、そういう常識からいえば、わざわざ「いいこ
  とをして
いる」と公言するような態度はよくないんです。このあたりのことが、ぼくが
  当面している問題です。
自分のことでいえば、精神的なものと身体的なもののズレ、そ
  こからくる不自由さ、そ
ういったことがいまいちばん考えている問題点です。

  茂木-社会全体がホスピス化している

  おそらく吉本さんの人間観が、ホスピスがいいものだと考えている人たちの人間観と違
  うのだと思います。デズモンド・モリスは『人間動物園」(新潮選書)のなかでこうい
  う
意味のことをいっています。「人間というのは動物園にいる家畜化された動物に近い。
  自分
で自分自身を家畜化している。文明の進捗によって、暮らしはどんどん便利になっ
  て
苦痛を感じないようになってきたし、抵抗なしにスムーズに生活できる方向にどんど
  ん進
んでいる。しかしそれは非常にパラドクシカルなことで、それによって、本来は非
  常に強
力な存在だった人間が最も無力な存在になってきている」と。

  これを敷街すれば、社会全体がホスピス化しているんだと思います。じっさい、駅でも
  ビルでも階段が少なくなってエスカレーターになっています。次はエレベーターになる。
  障害や階級や性差を超えて利用できるという「ユニバーサル・アクセス」や「ユニバー
  サ
ル・デザイン」ということもずいぶんいわれています。
  もちろん、こうした社会のホスピス化はおかしいという人もいます。たとえば芸術家の  
  荒川修作さんなどは、「バリアフリーなんてとんでもない」といって、三鷹に「天命反
  転」
住宅というマンションを建てています。バリアフリーとは逆に、人間が本来もって
  い
た感覚を呼び起し、さらに新しい感覚を呼び起そうというのが荒川さんの発想ですか
  ら
家のなかにわざと段差をつくったり、床を平らでなくデコボコさせたり、突起をつく
  った
りする。そういうところに住むと寿命が延びるというのが荒川さんのコンセプトで
  す。な
かぱは芸術家としての街いがあるのかもしれませんが、そこには非常に本質的な
  問題がひ
そんでいるように思います。
 

  ただしその一方で、ホスピス的なるものを推進する立場の人の議論には抗しがたいもの
  を感じるのも事実です。「苦痛を取り払う方向に文明を発達させましょう」「不便さ、
  厄介
さを取り払う方向に社会を進めましょう」という議論に抵抗するというか、反論す
  るのは
かなりむずかしいですから。

  吉本―人類は根拠のないタブーをつくらないと済まない

  ぼくの考え方からいうと、君たちはちょっと思い違いしているんだよ、といいたいと
  ころがあるわけですが、では、どうすれば思い違いではないといえるのかとなると、は
  っ
きりした解答を見出すのはなかなかむずかしい。いまの段階ではちょっとむずかしい
  なと
思います。ただし、ホスピス医や進歩的な政治家が「いいことだ」と思っているこ
  とは、
じつはけっしてよくないことなんだということだけは自分なりに確信があります。
  人間というか人類には、根拠のないタブーをつくらないと済まないようなところがあり
  ます。そういうところだけは動物の習慣性と同じで、その点ではまず動物性を脱してい
  な
いといえます。

  日本でいえば、被差別部落問題のようなものがありますが、部落差別に何か根拠がある
  のかといえば、何もない。人種的にもないし種族的な理由もない。そこで理由とされて
  い
るのは職業です。あの人たちは牛とか馬とか、動物を殺すことを職業としていて不浄
  だと
決めつけるわけですが、ぽくが調べたところでは、部落の人は農業がいちばん多い
  んです。
だとすれば、動物殺しも根拠にならないし、それに動物を殺すのがいけないと
  いうなら食
うほうがなおさらいけないじやないか。食うときだけは食っておきながら、
  動物を殺すの
はいけないなんて、そんな馬鹿な話はない。では、部落差別に何の根拠が
  あるのかといえ
ば、人間にはタブーをつくらないと生きていけないという要素がまだ残
  っている、という
こと以外には何も根拠はない。

  これがヨーロッパだと、ユダヤ人問題になります。もちろん、これにも何の根拠もあり
  ません。ユダヤ人は金権主義でお金を貯めているというけど、それも嘘です。なかには
  大
金持ちもいるでしょうが、大学者や大芸術家も大勢いて、ユダヤ人がとくにお金のこ
  とば
かり考えているわけではない。ユダヤ人問題の本質は宗数的なタブーです。そこへ
  優生思
想などを持ち出して、短期間に片づけてしまおうとしたのがヒトラーですが、ま
  ったく馬
鹿なことをしたとしかいいようがありません。ここはマルクスなどもいちぱん
  こだわった問題です。つまり、当時の進歩派の言い方に
よれば、「宗教なんていうのは
  みんな迷妄なんだから、キリスト教もイスラム教もユダヤ
教も全部すっ飛ばして唯物論
  的にすればいい」。これが当時の進歩派の考え方ですが、マ
ルクスはひとりそれに反対
  して、「そうじゃないんだ」といった。要するに、宗教をすっ
飛ばすことと人間的な解
  放はまったく別の問題だ、どいうのがマルクスの考え方でした。
当時の進歩派と比べれ
  ば、はるかに保守的な考え方ですが、ぼくは当時にあってもマルク
スの考えのほうが妥
  当だと思います。

  茂木-現代は強迫神経症にかかっている

  どうも現代における厄介な現象はみな通底しているような気がします。
  たとえば最近は犯罪が多いから、子供の安全を図るために監視カメラを設けようとか、
  警報ブザーをもたせようという動きがあります。しかし百パーセントのセキュリティな
  ど、
ありえません。子供を守るために警備員や監視員を雇ったら、そいつが変なやつだ
  ったと
いうこともありうるわけです。基本的に完璧ということはありえないのに完璧を
  求めるという、この現実世界では不可
能な命題を立てているような気がします。死を前
  にした人に不快な思いをさせてはならな
いというホスピスの命題もそうですが、現代は、
  どうも細菌がついているのではないかと
いって始終手を洗う強迫神経症みたいな構造に
  なっているのではないでしょうか。

  吉本-散歩の途中で

  ぼくは毎日、雨でないかぎりは家のまわりを散歩します。散歩といえば聞こえはいいけ
  ど、じつはそんなゆとりはなく、リハビリのつもりで百メートル、二百メートル、杖を
  つ
きながら歩いているわけです。そのとき、若いお母さんと子供がいるところを通ると、
  お
母さんが「家のなかに入ってなさい」と子供にいったりする。あるいは、子供のほう
  がお
母さんの後ろに隠れたりする。そういうのを見ると、こういう子供さんが青春期に
  なった
らどうなるのかなとか、大きくなったらどういう子になるのかな、ということは
  やっぱり
考えてしまいます。だれか得体の知れない人が歩いてきたら、まず「後ろに隠
  れなさい」
とか、「家のなかに入ってなさい」と正当に教えられているのでしょうが、
  それは少しも
悪いことではないと思います。それを怠ればいろいろな事件が起るわけだ
  から、それはけ
っして悪い指示ではないはずですが、でもこの子たちが大人になったら
  どういうことにな
るのかなということが少々気になります
    

  茂木-生きることはコントロ-ルできない

  いまふと思ったことですが、苦痛や安全もふくめて、生きるということがコントロール
  可能なものであると考えられているのではないでしょうか。そうだとすれば、それはな
  に
かひと昔前の社会主義国の計画経済に似ています。五か年計画で経済成長率は毎年何
  パー
セントと、旧ソ連でやって大失敗したわけですが、なんだかそれに近いような気が
  します。
苦痛を除くとか、完璧に近い利便性を求めるとか、そうしたやり方は結局はあ
  まりうまく
いかないんじやないかと思います。(後略)


                          第二章 老人は「超人間」か

                                     『「すべてを引き受ける」という思想』                        
                           吉本隆明 茂木健一郎 著

 


London 2012 Olympics: day one – as it happened

老人は「超人間」かといわれれば、吉本のようにものごとを深く考えているひとではなので、そ
んな自信や確信はまったくない。ここのところで言われていることは、やはり、俺とは違うねと
いうことだけだ。ある意味、「ひとは死ぬために生きているんだと達観することはダメなんだよ」
と言われているような気もするが、「死ぬために医療がある」という言い方は本末転倒だとは言
い切れる。そんなことを考えていたわけだが、引用が長くなったのはそういう認識の、あるいは
脳の皺をクリアーにさせるために?掲載した。

昨夜も、オリンピック中継を観て興奮し、それを緩和するため酒とチーズを口にしてしまい体調
を悪い方にもっていってしまった。地球環境を考えるひとが何をしているのよとまた彼女から馬
鹿にされているのだが、それもごもっと思いつつも自己嫌悪することなくまた一日が過ぎようと
している。

 

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ヤマイモの秘力

2012年07月28日 | 医療健康術

 





 

   雲の切れ目がある。山々の青い
   稜線がある。
   野原の暗い黄色。
   黒い河。僕はここで何してるのか?
   孤独で、悔恨の情に満ちて。

   僕は無心に、鉢からラズベリーを
   食べつづける。もし僕が死んでいたら、と
   僕はふと思う-今頃こんなもの食べては
   いないよな。そんなに単純なことではなくて、
   それくらい単純なことなんだ。



                           レイモンド・カーヴァー Simple ’   
                                                                    
                                 村上春樹 訳 『単純』

 

ビルトンゴールド

【ニンニクとヤマノイモ】

好きだよ、ブロ。』『大蒜のネックレス』で掲載した通り、眼精疲労は緩和されてきたので一安心。もっとも
作業時間の短縮やジム通いの励行の複合効果があってのことだが、ニンニクが効くのであれば「にんにく注射」
の静脈注射すれば良いわけで、このにんにくの注射の起源はネットで掲載されている。なんといっても最初に考
え出したひとは偉いということになるが、大発明かというそれは一寸違うだろう。さて、ヤマイモがアルツハイ
マー病の病状改善効果があるというニュースが流れている。もっともこれはネズミでの実験結果の話だが。富山
大学の和漢医薬学総合研究所の東田千尋准教授(46)らの研究チームが、山芋などに含まれる「ジオスゲニン」
という成分がアルツハイマー病の病状改善に効果的であることを発見。東田准教授らは、アルツハイマー病を発
症させたマウスに「ジオスゲニン」を20日間注射。マウスの脳に蓄積していたアルツハイマー病の原因となるタ
ンパク質が7割ほど低下し、記憶力が回復したという。ただし「(人の食べる量に換算すると)一日あたり約10
キロほどを食べなければいけない。将来的には、医薬品としてアルツハイマー病の患者さんに届ける研究につな
げていきたい」ということだ。

このジオスゲニンのステロイドサポゲニンは、塊茎のヤマイモ、ヤム芋、こころなどを強酸、強塩基、または、
酵素による加水分解・抽出されたサポニン。ジオスゲニンは、商業的にはコルチゾン、プレグネノロン、プロゲ
ステロン、および他のステロイドの合成に使用される。また、ジオスゲニンはプロゲステロンとして体内合成さ
れ、カルシウムの細胞内の取り込みを増やす働きがあると考えられている。また、ジオスゲニンの1部は体内で
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)に変化し、抗老化ホルモンとしてストレス耐性を強化し低エネルギ
ー条件への耐性を作るともいわれている。尚、骨粗しょう症対策としヤム芋の必要摂取量は、抽出物の形で1日
当たり6グラムとされている。このように、ヤムイモは昔から滋養強壮など健康によい食べ物として知られてお
り、漢方では山薬と称され、ナガイモ、ツクネイモ、イチョウイモ、ダイジョ、ジネンジョなどとして良く知ら
れている。

 

このうち上図の沖縄などで生育するヤムイモの一種のトゲドコロ(Dioscorea esculenta)は、濃厚なコクと甘味のあ
るとてもおいしいイモで、寒さに弱くまた手間がかかることから栽培量は非常にわずかで、現地でも知る人の少
ない、まさに幻のヤムイモとして知られている。タカラバイオは、このトゲドコロの機能性研究を行い、トゲド
コロが他の食用ヤムイモには見られない“ヤムスゲニン®(ジオスゲニン配糖体)”という成分を多く含んでい
ることを確認し、トゲドコロが抗疲労作用を有することを明らかにしている。また、数多くの食用ヤムイモを対
象にジオスゲニン量を測定した結果、沖縄の一部の地域でのみ栽培されているトゲドコロがジオスゲニンを多く
含んでいることを確認。前述したように、ジオスゲニンは性ホルモンの中間体、DHEA (Dehydroepiandrosterone)
と類似した構造をもち、近年、滋養強壮作用との関連が研究され始めている成分。トゲドコロ中では、ジオスゲ
ニンは糖が結合した状態で存在するという。さらに、マウスに7日間トゲドコロを飼料に混ぜて与え、おもりを
負荷した強制水泳実験を行い、トゲドコロによって水泳時間の延長が認められたという。なお、このような作用
はジネンジョでは認められなかったという。

                     


 

ヤマノイモの薬剤・サプリメントとして、ジオスゲニンが米国では販売されているらしいから、専門家によるこの手の薬剤や
補助薬品、補助栄養剤による研究開発のフォローとして今回のニュースは影響していくだろうし、 アルツハイマー病で苦し
んでいる患者、家族をある程度解放していくだろうと、昨日の今日ではないが、そんな、ホープフルモンスターの思いに駆
られた。 

 

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ホープフル・モンスター

2012年07月27日 | 時事書評

 

 

 

 

【続・たまには熟っくりと本を読もう】

 

   茂木-科学技術はニュートラルではない

   なんとなくわかるような気がします。科学技術が典型的な政治権力だったら、その使用
   法に対してわれわれは非常に敏感になるにもかかわらず、科学技術が一見ニュートラ
   なものに見えるから、何の反省もなく、できることは全部科学技術でやってしまえとい

   うかたちでやっています。しかし、じつはその裏に政治性が隠れているかもしれない。
   そ
うなったら科学技術が昔の専制君主みたいなものになってしまうというのはきわめて
   重
要なご指摘だと思います。というのも、科学を抑制的に使おうという議論はあります
   が、
科学は権力に近いからよく考えて使えという議論はあまり耳にしたことがないから
   です
ここは考えどころだと思います。

   吉本-科学的な装置は権力化する

   科学の発達はちょっと止まりようがないからどこまでいくか、ぼくなんか、もうキリが
   なくいきそうな気がします。そうだすると、古典的な知識では片づかない。
   ぼくはまた社会的なことと結びつけて考えるわけですが、昔は資本が剰余価値を生み出
   すから、資本家はそれを自分の利益として、働く人には部分的にしか与えなかった。そ
   れ
がもう少し発達すると、今度は国家が資本を独占して国家独占の資本主義になってい
   く。
こういう言い方で済んできたけれども、いまはそういう考え方では済まないぞとい
   う感じ
がします。どういうことかといえば、何か権力的なものが介入してくると怪しげ
   な方向に
いってしまうということではなく、文化とか文明の発達に役立つような装置が
   あれば、そ
れをだれがどう使おうと、それ自体が権力なんだというふうに変わってきて
   いると思うの
です。そう考えたほうがいいのではないか。いや、そういうことを考えに
   入れなかったら
ダメじやないかと思います。
   ただし、権力といっても、それは昔のような強権という意味ではなくて、要するに人が
   精神的にでも肉体的にでも外界に働きかければ外界が価値化してしまうから、人文系の
   文
化であっても科学技術と結びつく場面があれば、必ずそれは権力化する。そのもの自
   体が
権力になっていくということです。それにしろ、それはもう善悪の問題、倫理の問
   題ではなく、文化自体か権力だとか、文化が科学技術と結びつくかぎり権力化すると考
   えるべきではないでしょうか。ここのところは用心のしどころです。
    だから、資本主義の科学技術だけかおかしいのかというと、それはそうではなくて、
   資本主義であれ社会主義であれ、科学技術の使い方自体が問題になっているのだという
   べきでしょう。いまのような使い方をしていると、自分では獲得したのか知識そのもの
   であるかのように思っていても、じつはそうではなくて権力だったというふうになって
   いくはずです。
        
   茂木-ますます強固になる学校という制度

   ぼくは子供のころから、自分はこの集団になんの過不足もなく収まると感じたことが一
   度もありません。どんな集団にも、完全に同化しきれないで、いつもはみ出すものを感
   じてきました。それで考え込んでしまうたこともありますが、いや、自分は「ホープフ
   ル・モンスター」(希望に満ちた怪物)なんだと思うようになりてからずいふん気が楽
   になりました,というより、自分かやっているいろいろなことが説明できるようになり
   たといったほうが正確です。「脳科学者」という肩書きがありなから、なぜエツセイを
   書いたり評論を書いたり小説を書いたりするのか。テレビに出たり、キャスターを務め
   たりするのか。突然変異のホープフル・モンスターなんだから仕方ないじやないかと、
   いまはそう考えるよにしています。
    そういうホープフル・モンスターですから、学校という制度にはどうにも収まりきれ
   ないものを感じていました。ぼくだけでなく、いまはそう感じる子供は増えているはず
   だと思いますか、それくらい学校という制度はますます強固になりてきています。もは
   や大学で何を教えたらいいのかわからないほど教育システムは崩壊しているにもかかわ
   らず、学校は強固になりている。「お受験」といいまして、小学校ぐらいからとにかく
   いい学校に入りたいという親争もはじまっています。
    たしかに、その時々の社会の正解の外に出ることには勇気がいります。社会のレール
   の外に出ても成功するかどうかは保証されていないわけですから、多くの人か優等生で
   いようと努力するし、親も子供たちをそのように教育しようとする。こうした傾向が非
   常に強くなっているわけですが、このような現象はどう見ていらっしやいますか。

   吉本-牢固な価値観を突き崩すふたつの道

   「いい学校」と「そうではない学校」という区別があるように、なにか価値観のような
   ものが知識についても教育についても絡んでいるのだと思います。価値観というのは、
   物事には上とか下とか中間というふうな階層分けがあるという考え方です。どうもぼく
   らはそうした考えから抜けられないところがあって、それが一般社会の趨勢になってい
   るといえそうです。それが学校の問題にもあらわれているのだと思います。
    そうだとしたら、そこから抜け出す道はふたつしかない。ひとつは、要するに上のほ
   うから変わる、あるいは変える道。もうひとつは下から変える道です。下から変えると
   いうのは、一般社会に流布している価値観を関節外ししてしまうことですが、ともかく
   現実には、下から変えたほうがいい問題と上から変えたほうがいい問題と、両方ありま
   すが、教育などは上から変えたほうが早いんじやないでしょうか。
    現場でいちぱん変わりやすいのは大学の先生です。東京大学でも京都大学でも、そう
   いうところの先生が変われば、受験生もj生懸命勉強していい学校へ行こうなんて思わ
   なくなるはずです。何をいいたいのかといえば、たとえば東京大学の先生は四年間なら
   四年間、スポーツの強い大学へ行って授業を引き受ける。逆に、スポーツの強い大学の
   先生は東京大学へ行って、ガリ勉相手でも何でも勉強を教える。そういうふうに、先生
   をシャッフルしてしまうわけです。そして、誰々先生の講義を受けたいというなら、そ
   の先生が現在教えている学校へ行って授業を受け、点数を取る。点を取れば、それが自
   分か籍を置く学校の単位になって卒業できるようにする。つまりA大学に入っても、自
   分の受けたい講義が東大にあるなら東大へ行き、翌日は日大に受けたい授業があるなら
   日大へ行く。そういうシステムにすれば、東大でも京大でも、わざわざガリ勉をして行
   く必要がなくなります。
    それに並行して価値観の上下関係もなくなっていく。ぽくはそんなことを考えて、学
   校とか大学は上から変えたほうがいいと思っているわけです。上が変われば、下はおの
   ずから変わります。
    そうでなければ、上下関係があるという価値観をやめにすることです。もっとも、そ
   れはぼくが□でいうだけで、ぼくにはできませんけど、そういう考え方は成り立つと思
   います(後略)。

   茂木-優等生はスケールが小さい

   ぽくが見ているかぎり、良いといわれているような学校に所属している人、あるいはそ
   こを卒業した人ほどケチですね。ケチというのは人間としてのスケールが小さいといっ
   たような意味ですが。

   吉本-変な価値観は振り捨てろ

 

   ぼくはかつて詩を書く仲間だった鮎川信夫から、「おまえ、官立大学出だろう」といわ
   れたことがあります。ぼくは別に東京大学とかなんとか、そういうユニバーシティじや
   なくて、おれの行った学校はインスティテュートだと答えました(東京工業大学は
   “Tokyo lnstitute of Technology”という)が、鮎川は首を左右に振って、「いや、
   すぐわかるぞ」というわけです。要するに、官立大学を出たやつはやっぱり一種の目に
   見えない価値観みたいなものがひとりでに身についているというんです。鮎川は早稲田
   にいた人ですから、「そういうのはすぐわかるんだ。おまえたちが仲間で話しているの
   を聞いていると、ふだんでも専門の話をしている。おれたちは、ふだんは専門の話とか
   学問の話はしたことがないんだ。遊ぶ話ばかりだ。だからすぐわかるんだ」と。そう指
   摘されて、ヘーっと思ったことがあります。ぼくらも、意識したところでは極力そうい
   う話はしないようにと、否定的に振る舞っているわけですけど、ふとした拍子にそうい
   うあらわれみたいなものが出てしまうんでしょうね。そこで、心のどこかに変な価値観
   のようなものがあるんだな、こりやいかん、と反省したものです。
   ガリ勉をしていい大学に入ったという学生さんもおそらく、いろいろな面でそういう価  
   情観が出てしまうのではないでしょうか。だから、専門分野のことを専門家同士で話し
   ているときはいいとしても、そうじやないときにはこむずかしい話はアホらしいからや
   めます、という態度がいいのだと思います。

                        第五章 古典的知識性は淘汰されたか

                                        『「すべてを引き受ける」という思想』                        
                             吉本隆明 茂木健一郎 著




疲れと、沈鬱な阪神の試合運びに気分が鬱々としていて、サッカーの試合観戦を切り上げは就眠する。
スペインに勝てないようなぁ~と、彼女にはなしながらいつしか眠り込んでしまい、気づいたときは
払暁の4時ごろ。 寝返り打ったりしていると彼女が息子達がスペインに勝ったといっていたよと話す。
へぇ~大したものだねといいつつ起床し下階し、早速ネット検索し確認する。不思議なことに、自分
までご機嫌になっているから面白い。これが負けていたならどうだろうと考え始めた。ひょっとして
これは老人性
鬱症だけでなく、情報通信技術による? が相乗影響しているのではないだろうかと思っ
てみた。今回で3回目の掲載となる『「すべてを引き受ける」という思想』との関連でいうと、「
然変異のホープフル・モンスター」じゃなくて「普通の老人性ホープフル・モンスター」の現代的
な社会文化現象かもねと腑に落としていたら、遅れて起きてきた彼女が新聞をみながら「プラチナバ
ンド
ってなんなの」と聴くので、彼女に返事しながらパソコンのスイッチを切った。                        

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環境半導体のラ・クンパルシータ

2012年07月26日 | 環境学・環境思想

 

 

【バイオマス事業新段階へ】

この間『木質食器革命の行方』で、バイオマス事業の新段階に触れたが、「全量買取制度」が7月1日より
導入され再生可能エネルギー事業への民間、民営、公営の参入が俄然活発化している。例えば、廃棄物を燃
料に利用するバイオマス発電所「豪力」が佐世保市宮津町に完成。7月の営業運転開始を目指し試運転を続
けている。尚、電出力は2750
キロワットで、約5千世帯分の年間消費電力の供給が可能だ。建設廃材などの
産業廃棄物を環境に負荷をかけず地域内で処理する狙いで、同市の廃棄物処理会社「縣北衛生社」(外間広
志社長)など11社が出資して2007年に設立した運営会社「環境リサイクルエネルギー(ERE)」(同)が
10
年に着工していた。約9万平方メートルの敷地に、発電所のほか廃棄物の選別・破砕施設、下水汚泥など
の乾燥処理施設を整備。建設廃材や汚泥などを処理、焼却し発電。総事業費は約50
億円。環境省が約3億7500
万円を補助。3月から試運転しており6月中旬に完工式を開く。営業運転後は、県内の建設会社や廃棄物収
集・処理会社など約60社が廃棄物を搬入。廃棄物処理料と余剰電力の売却で年間13億円程度の収入を見込ん
でいるが、バイオマス発電は、昨年成立した再生エネルギー特別措置法に基づき普及が図られているという。

なるほどと思いながら、知恵を絞り、汗を流す新しい段階に入っていることを確認する。 



【環境とシリサイドの半導体】

筑波大学の末益崇教授らの研究グループは、バリウムシリサイドという半導体材料で、p型不純物を高濃度
にドープ
した「p層」を製膜することに成功。高い変換効率を持つ次世代の薄膜太陽電池として期待され
る「バリウムシリサ
イド太陽電池」を構成する全ての層を作れることになったという。2013年4月までに電
池を試作し、太陽電池性能を確
認する。分子線エピタキシャル成長(MBE)という結晶成長法を使って、
ホウ素を高濃度にドープしたバリウムシリサ
イドのp層を製膜。すでに、アンチモンを高濃度にドープし
たn層などもMBEにより製膜できることが分かっており
バリウムシリサイド太陽電池を構成する層を全
て製膜できる。今後、p型層の活性化率など基礎的な物性を調べた上
太陽電池を試作する。

バリウムシリサイド太陽電池は、資源量が豊富にあるバリウムとシリコンで作れるほか、既存の結晶性シリ
コン太陽
電池と比べ、光の吸収のしやすさが50倍で薄膜化できる。通常、光を吸収しやすい半導体材料は
、光を当てたとき発生するキャリアの寿命が短いことが多い。それに対し、バリウムシリサイドは光吸収が
高い上にキャリアの寿命が長く、光によって生じる電流が大きくなりやすい。また、量子ドット太陽電池の
ようにナノ(ナノは10億分の1)構造を形成しなくても、シンプルな膜の形状で25%以上の高い変換効率
が実現できるという。研究グループは、実用化に向けMBEより工業化しやすいスパッタリングによる製膜
法の検討を、東ソーと共同で進めている。



ところで、環境半導体とは、従来のエネルギーデバイスの材料開発では、効率や性能面だけを考慮し、環境
リスクや、人体への影響が研究主軸とならなかった背景があり、化合物半導体のなかでは、シリコン( 25.8)
アルミニウム( 7.6),鉄(4.7),カルシウム(3.4)といったクラーク数の上位元素だけを用いて、多様な
機能を持つ2元系半導体が制作されるようになった。このような半導体材料元素は、地殻中に豊富な元素で
生命誕生以来、生体に接し多くの場合は生体に積極的に取り込まれてきたため生理学的には概ね無害な物質
であり、化学的に安定で自然酸化や燃焼によって毒性が拡散しない構造や機能をとる。このように、低環境
負荷元素を使用し、今までとは異なる新しい半導体材料により、今日のデバイス産業が抱える資源問題やデ
バイス製作・廃棄時の環境負荷を考慮することを目的としたエネルギーデバイスを「環境半導体」と定義し
ているようだ。薄い、シンプル、廉価、高変換率に環境配慮と5拍子そろっているのでこの研究開発には注
目だ。

【ラ・クンパルシータ】

 

   Si supieras que aún dentro de mi alma
   conservo aquel cariño
   que tuve para ti....!

   Quién sabe, si supieras
   que nunca te he olvidado....!
   volviendo a tu pasado
   te acordarás de mi ....

   Los amigos ya no vienen
   ni siquiera a visitarme;
   nadie quiere consolarme
   en mi aflicción;

   desde el día que te fuiste
   siento angustias en mi pecho;
   decí, percanta, ¿qué has hecho
   de mi pobre corazón ?

   Sin embargo
   yo siempre te recuerdo
   con el cariño santo
   que tuve para ti;
   y estás dentro de mi alma,
   pedazo de mi vida,
   en la ilusión querida
   que nunca olvidaré.

  

 

   おまえに知って欲しい 
   私の魂には まだおまえのために抱いていたあの愛情が
   生き続けていることを
   きっとおまえは知りはしないだろう
   ただの一度もわたしがおまえを忘れたことがなかったことを
   過去を振り返れば おまえもわたしのことを思い出してくれるだろうに

   友達はもう ただの挨拶にも訪ねてこない
   つらいわたしの悩みを だれも慰めてくれようとはしない
   おまえが去っていった日から わたしの胸は痛むばかり
   おんなよ 言っておくれ わたしの哀れな心におまえは何をしたのだ

                                        高場将美対訳 フリオ・イグレシアス 歌 

   カミニート 菅原洋一 


   去りにし面影よ
   今宵もまた胸にせまりて
   悩ましくくるえる
   わが骸はてなく
   さまよい歩みゆく
   たのみなき心に我は泣きぬ

   君よ今いずこ
   町の酒場の灯に
   涙してたたずむ
   あヽひと時
   今はうつろなる
   恋し君しのび
   せめて今宵 踊り明かし
   悩み忘れん

   涙を隠して
   ほほえみ踊れば
   いとしの面影
   わが胸にかえる
   赤きバラの酒
   飲みほし歌えば
   甘き恋の日ぞ
   しのばる

                                               加茂六郎訳詩 菅原洋一 歌

 

「ラ・クンパルシータ(La cumparsita)」は純粋なスペイン語ではなく、ルンファルドというイタリア語
やポルトガル語や各地の言語が織り混ぜになった南米の現地語で、意味はカーニバルなどの「仮装行列」の
ことだが、特に菅原洋一の日本語歌詞のうたが好きで、このブログでも取り上げた記憶がある。声楽を基礎
から学んできた彼の歌唱力はフリオ・イグレシアスと比べ見劣り、いや聴き劣りはない。今夜はたっぷりと
聴き、今朝の睡眠不足を癒すことにしよう。

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木質食器革命の行方

2012年07月24日 | 新弥生時代

 

 




【言葉が漂い過ぎる日々】


先日注文した盛岡冷麺を夕食に頂いていると、彼女が「いきものがかり」ってどういう意味なのよ
と尋ねるので、メンバーの水野良樹と山下穂尊(ほたか)が小学生時代に金魚に餌をあげる「生き
物係」であったからさと答えて、それがどいうしたのかと問い返すと、いまNHKのロンドンオリ
ンピックのテーマソングを歌っているじゃない。だから聴いてみたのよとの答えがかえってきた。
そんなことをいえば、最近の「いじめ」問題から「硝子の少年時代」というキンキ・キッズの歌を
連想するが、誰が詞を書いたのだろうかと疑問がわき、食事を了えネットで下調べし、なるほど、
山下達郎と松本隆のコンビかと感心する。そんな風に考えを連想し、書き綴るだけでブログテーマ
がなんとはなしにできあがるので、このようにクオリア(感覚質)をたよりに、テーマが浮かばな
いときはこういった方法もありかなと腑に落とすことに。

 いきものがかり - 風が吹いている

  硝子の少年 山下達郎



   時代はいま 変わっていく僕たちには願いがある
   この涙も その笑顔も すべてをつないでいく
   風が次いでいる 僕はここで生きていく
   晴れわたる空に 誰かが叫んだ ここに明日はある ここに希望はある
   君と笑えたら 夢をつなぎあえたなら
   信じあえるだろう 想いあえるだろう この時代を 僕らを この瞬間(とき)を
   言葉にできないこと 涙が溢れること
   ふるえる心で感じたすべてが 僕のいままでをつくってきたんだ
   出会いとさよならとが 決意(おもい)を強くさせた
   手を振り誓った あの日があるから 僕らはここにいるんだ


                                            水野良樹 『風が吹いている』

   雨が踊るバス・ストップ
   君は誰かに抱かれ
   立ちすくむぽくのこと見ない振りした
   指に光る指環
   そんな小さな宝石で
   未来ごと売り渡す君が哀しい
   ぽくの心はひび割れたビー玉さ
   のぞき込めば君が
   逆さまに映る
   Stay with me
   硝子の少年時代の
   破片が胸へと突き刺さる
   舗道の空き缶蹴とばし
   バスの窓の君に
   背を向ける

                                               松本 隆 『硝子の少年』

【続・たまには熟っくりと本を読もう】


   茂木-いま脳科学は「欲望」に注目する

   いま脳科学では「幻想」とか「欲望」といったことが注目されていますので、ご意見をおうかがい
   したいと思います。とくに欲望といった場合、貨幣とか食べ物、性といったことだけでなく、およそ
   あらゆるものが欲望の対象になっています。しかも、脳のなかで欲望を司っている神経回路には
   かなりの自由度があることが最近わかってきました。吉本さんはそのあたりのことについてずい
   ぶんお考えになってきたと思いますが、欲望というのはそもそも幻想的なものである、といった問
   題についてどうお考えでしょうか。

   吉本-欲望の何が重要か

   欲望というと、常識的に思い浮かべるのは性とか金銭の欲望で、あえてもうひとつぐらい付け加
   えれば名誉や地位、ぼくらがたずさわっている文学の世界でいえば名声ということになります。常
   識的にそのくらいしか考えたことかありませんけれども、とくに重要なのはどういうことでしょうか。

   茂木-欲望一元論が主流になっている

   いまおっしやったことをパラフレーズすることになりますが、たとえば人間関係における承認欲求
   といいますか、母親に褒めてもらいたいといった子供の気持ち、あるいは社会に認めてもらいた
   いという気持ちはかなり強いもので、欲望が人間の行動を導いていることがかなり具体的に脳の
   活動として見えてきています。
   そうした欲望には一面、ものすごく底なしのところがありまして、仕向ければどんなものにも向か
   っていく。極端なことをいえば、快楽殺人のようなケースまであります。人を殺すことに快楽を感じ、
   それが欲望になる。現代の脳科学の視点からいうと、われわれが正義とか理想と呼んでいるも
   のもじつは欲望に駆り立てられた結果である、ということになります。自分では正義や理想に駆
   り立てられて行動していると思っていても、じつはその背後に欲望があって、それに駆り立てられ
   ている、という意味です。欲望一元論といってもいいと思いますけど、いまはそういう感じになって
   きています。

 

                                       第一章 「科学はどこまで思想するか」

                        『「すべてを引き受ける」という思想』                        
                             吉本隆明 茂木健一郎 著

  
  吉本-安藤昌益の「天然自然観」

   (前略)とにかく、聖人君子以前の人類の状態に言及して、天然自然と倫理・善悪とい
  うことを考えた日本人はこの人だけだと思います。
  こうした問題について別の言い方をすれば、人間でいえば、身体的な若さとか精神的な
  活発さを象徴する色彩としては、ふつうなら「緑」という色を選び、だんだん老齢に近
  づいていくと、衰退期の色として「褐色」とか「黒」という色を選びます。また、自然
  を見ても、春の野山の若草は緑をしているし、秋や冬の落ち葉や枯れ枝は黒ずんでいる。
  自然はそういうふうにしてちゃんと若さや衰退を象徴しています。
  では、なぜそうなんだというと、どんなふうに科学的に説明しても、それはあくまでも
  科学的であって、少しも思想的あるいは哲学的にならない。そこが、三木さんとい人が
  言い掟んでいるところではないのかなと思います。
  ゲーテは、若草の芽ばえはなぜ緑色を呈するのか、という問題をめぐってニュートンを
  論難しています。若葉はなぜ緑かということについて、ニュートンは光の反射や光の吸
  収で説明しています。たしかに科学的にはそれでいいのかもしれませんが、ゲーテが問
  題にしているのはそういうことではないんです。天然自然において若草はなぜ「緑」で、
  落ち葉や枯れ枝はなぜ「黒」ずんでいるのかという、その摂理の根拠を問うている。そ
  してそれは、人間の生き方とか身体の変遷などとどういうふうに関わっているのかとい
  うことを問うているのだと思います。
  エンゲルスの自然弁証法もそうだし、安藤昌益の考え方もそうだし、あるいはゲーテの
  色彩論もそうですが、直線的に科学には向かわないで、あくまでも哲学であり思想とし
  て問題に立ち向かおうとしている。ではさて、そこのところをはっきりいえているかと
  いうと、はっきりとはいえていないわけですが、三木さんが言い掟んでいるのもそうい
  うことなのではないでしょうか。
  

   茂木-「クオリア」とは何か
 
   わたしが考えている「クオリア」という問題も、それと微妙に関わっているように思います。文学
   でも絵画でも映画でも音楽でも、自分の最上の芸術体験を振り返ってみればわかりますが、そ
   こに立ち上がってくるのは、どんな言語にも意味にも構造にも、ましてや機能にも置き換えられ
   ないひとつの質感です。わたしはそれを「クオリア」と呼んでいるわけですが、クオリアは言語化
   やシンボル化を拒絶してはいるものの、ほかのものとは明確に区別されるユニークな質感とし
   て捉えられます。たとえ言葉にはできないとしても、ある作品にはそれ固有の印象があり、人格
   のようなものがあり、質感があります。そういうことを知らない芸術家はひとりもいないし、それ
   を体験したことのない芸術愛好家もひとりもいないと思いますが、ではさて、そのクオリアとはい
   ったい何かというと、これを定義するのは至難の業です。

  吉本―科学から哲学までつなげた全体の学

  たしかにそれは大きな問題で、そうした大きな問題は言い尽くさないといけないという
  
意識はありますし、何かが重要なんだということはわかるけれども、ではその「何か」
  と
いうのがむずかしいわけです。こういった問題は、科学と哲学、あるいは社会学、人
  類学
……そういうようなものと全部つながっているように思います。
  ぽくは、多田富雄さんという世界的な免疫学者に感心したことがあります。それはあの
  人の専門分野に関したことではなくて、いまどき花粉症とかぜんそくが多くなったのは
  ど
うしてなのかというエッセイを読んだときのことです。
  五十年前の子供は二本銕を垂らして平気で遊びまわっていた。鼻水が垂れてくると袖で
  拭ったりこすったりするから、袖口がぴかぴか光っていた。それでも親のほうは構わな
  い。
そんなことはさほど重要なことではないと思うのか、あまり文句をいわなかった。
  ところ
がいまの親は、そういうのを見るとすぐ「洟をかめ」といって子供をしつける。
  それが要
するに花粉症やぜんそくが多くなった理由だ、と書いていました。
  それを読んだときぼくは、ああ、この人がいっていることはごもっともだと感じたわけ
  です。ぼくらも子供時代、放り出されっぱなしでいましたから実感が湧く。やっぱり学
  校
の制服の袖口は洟でぴかぴか光っていて、それでも平気で遊んでいましたから、とて
  もよ
くわかる。そういう二本洟の話と免疫学が関係があるのかどうか、詳しいことはわ
  かりま
せんが、この人は専門のことと関連させながらいろいろなことを考えているんだ
  なと、す
ぐわかりました。この人はきっと専門のことをよくやっているに違いない、だ
  から科学か
ら思想のほうへ触手を伸ばして発言できるのだなと感心しました。


                        第一章 「科学はどこまで思想するか」

                        『「すべてを引き受ける」という思想』                        
                             吉本隆明 茂木健一郎 著


 

 【木質食器革命の行方】

未来のバイオマス産業の俯瞰をしばらくつづけていくうちに(『バイオマスと食器』)、「手作り
木工辞典」(婦人生活社)とであうこととなりしばらくあれこれと考え、山中漆器の「浅田木工」
を訪れ(『山中漆器の旅』)、やはり産業として考えるなら、サブトラック法(削り出し法)の限
界やバイオマス産業トータルとして考えた場合やはり、大量生産・大量消費性向は捨てきれないと
結論することに。勿論、故秋岡芳夫の 70年代、画一化し行き過ぎた工業社会への危機感から"消費
者"から"愛用者"転向運動やデザイン産業の在り方の批判活動を否定する立場ではない。寧ろ、木質
バイオの自然特性の短所、ゆがみ、ソリなどの変形の克服や加工度のさらなる拡大、あるいは、木
工仕上げの耐候・耐久性、演色・色彩の自在性を考慮すると、アディティブ(積層)法や金型加工
が用いられる木質バイオに流動性を持たせた成形体技術を取り入れた方が良いと考えた。

 

 特開2011-207920

 

【符号の説明】

1 材料搬送装置 2 粉砕装置 3 浸漬槽 31 撹拌羽根 4 スラリーポンプ 5 叩解装置 6 ドラム式固液
分離装置 61 処理槽 62 固液分離ドラム 63 転写ローラ 64 スクレーパ 7 ポンプ 8 回収手段 9 金
型 10 射出スクリュ 11 射出成形金型 12 スクリュコンベア 13 乾燥装置 14 ローラ 100 木質系材
料 101 木質系粉粒体 102 水(溶媒) 102a 給水源 103 混合液 104 懸濁液 105 木質系微細繊
維材料 106 木質成形体 PC プレコート層 S1 前処理工程 S2 微細繊維化工程 S3 固液分離工程 
S4 乾燥工程 S5 熱圧縮成形工程 S6 射出成形工程 S7 熱間圧延あるいは押出成形する工程

大きくは、ネグロマスでも、バイオマスでも木質マスを粉砕することを大前提とし、(1)燃料化する方向と(2)
プラスチック化を行う産業であることが特徴。勿論、上記のようなグリーンバイオケミストリー領域などとのク
ロスオーバーも含めての話だがここに総括することにする。まとめながら、「選択と集中」の段階、つまり、各
地に散らばっている公的関連研究機関を全国7箇所程度に集約し、跡地を民営・民間化促進センタとして展
開し、持続可能社会構築の未来型バイオマス領域促進できる段階にあることを確信した次第。ソシアルデザ
インされた白磁様態のランチプレートやパスタプレートが世界中に普及していくことを夢見てこのテーマーに
ひと区切りをつけたい。

                                                           

 

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大蒜のネックレス

2012年07月22日 | 時事書評

 

 

 

               フロントに  しばし併走 秋茜 雨も上がりぬ ロンドンを行く 





梅雨明けにしては、しばらく不安定な気象が続いて、例年なら祇園祭が終われ夏を迎えるが、波乱含みだ。そう
いえば、東京大学大気海洋研究所の横山祐典准教授らのグループは、現在進行中の南極氷床およびグリーンラン
ド氷床そして山岳氷河の融解が2万年前の氷期から引き続き起こっている氷床融解現象ではなく、近年に特有の
現象で、人為起源の気候変調による極域氷床の変動可能性があるとのことだが(2012.07.13発表)、それも影
響しているのだろうと考えながら、継続は力ということで毎日通うジム帰り、マイ・スニーカーを走らせると、
天井に止まっていたのか秋茜(あかとんぼ)がフロント硝子越しに見え、不思議なことにマラソンのペースメー
カのごとく道案内役をかってでて暫く併走してくれているかのように飛んでいて、まったりとした気分を楽しん
だのだがそれを歌として詠む。

 

 [研究方法の概要]

 青森県下北半島の過去の海水準の変化を、堆積物中のプランクトン組成(塩分変化の指標)や地形によって
 求め、また海水準の変化のタイミングを、放射性炭素年代測定により正確に求めました。2万年前以降の海
 水準の上昇にともなって、海洋全体(つまり地球表層の70%)に均質に分散されたおよそ 120~130mの厚み
  をもつ海水の荷重によって海水の器である海洋全体が押し下げられています。それにより、ゆっくりした地
  殻変動がおこり、過去の海水準(つまり標高0m)が氷床からの距離や地下構造により、現在の海水準より高
  いところに現れます。今回の研究では、それらを物理計算によって比較検討することにより、氷床の融解の
  規模とタイミングについて検討しました。

  [結果と考察]

  南極やグリーンランドの氷床からは離れた日本列島から採取された地質データと、固体地球の変形モデルを
  併用することにより、氷床融解の以下の3つのモデルについて検討しました。すなわち、(1)およそ1万
  9千年前の氷期の終焉から引き続き現在まで融解がつづいているとするモデル(2)北米や北欧氷床が融解
  し終わった6,000年前までに融解し終え、その後は海水量の変化がないモデル、そして(3)その間の3,000
 ~ 4,000年前までに融解し終え、その後は海水量の変化がないモデル、の3つです。その結果、氷期から現
 在まで融解しているモデル(1)は、現在よりもおよそ2m高い位置にある 3,000~4,000年前の海水準の観
  測
値の存在を説明することができませんでした。つまり、モデル(2)あるいは(3)が妥当である、すな
 わ
氷期終焉後の主な氷床融解は、数千年前、おそらく3,000~4,000年前までに終了していたことがわかり
 まし
た。したがって、現在観測されている氷床融解の加速は近年に特徴的な現象であり、現在の温暖化にと
 もな
って引き起こされた可能性が示唆されます。

【大蒜のネックレス】

火山ガスなどに含まれる硫化水素が心筋梗塞の悪化を防ぐことを、熊本大大学院生命科学研究部の赤池孝章教授
らの研究グループが4日までに発見、米科学誌ネイチャー・ケミカルバイオロジー電子版に発表。心不全の予防
や治療薬開発につながる可能性があるという。それによると、心筋梗塞状態にしたマウスを使って実験。体内で
活性酸素が代謝される過程でできる物質と「H-Rasタンパク質」という分子が反応することで、心筋細胞が
老化し心不全へと進行することと、マウスに硫化水素を投与すると、活性酸素やH-Rasタンパク質の働きが
抑えられ、心臓の機能が改善することを発見した。心筋梗塞を起こすと活性酸素が過剰に作られることは知られ
ていたが、心不全の発症につながる仕組みや、硫化水素の投与で心機能が改善する効果を解明したのは初めて。
硫化水素は温泉にも低濃度含まれ、ニンニクやネギを摂取すると体内でも生成されるというからやはり古からの
言い伝えは→にんにくヨーロッパではにんにくの強いにおいは、悪いものをとりはらってくれると、吸血鬼ドラ
キュラから身を護るものとして、にんにくを部屋に吊るしておくとドラキュラが退散すると信じられているし、
日本では『古事記』(712年)の記述の中で、日本武尊が山越えの折、悪事をする神に襲われ、とっさにかんでい
た蒜(にんにく)を投げつけて追い払ったという神話があり、青森県弘前市にある「鬼神社」では、神前ににん
にくを供え、民家の戸口ににんにくを吊るして悪魔や病魔を祓う習慣がある-現代にも充分通じるところがある
ようだ。




そんなことを考えていると、スクワットや水泳に緑茶に加え、眼精疲労対策にも効果あるのだし、国民医療費の
削減策として「大蒜のネックレス」を商品化するのも良いのではと思ったりしている(匂い対策はいるが)。


ところで、『限定された類と盛岡冷麺』で報告した茹で上げた麺の残りものを彼女が昨日の夕食でたべたところ
麺がパサパサし粘りを失っているというので口にしてみたところやはり彼女の言うように時間劣化していた。中
華麺冷麺、うどん、そば等の通常の麺、ラザニア、スパゲッティ、マカロニ等のパスタ類、ワンタンの皮、餃子
の皮類等は高リン型馬鈴薯澱粉用いることによって嗜好性の高い食感良好な品質が顕著に向上する(下表参照)。
一般に即席麺の原料となりうる穀物粉、例えば、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、そば粉、トウモロコシ粉、米粉、
アワ粉、ヒエ粉、ハトムギ粉などの1種または2種以上の粉に馬鈴薯澱粉を数%~数10%副原料として添加し、
食塩、かん水等を配合し、ミキシング、製麺して得られた麺線を蒸煮によってα化後、熱風乾燥、フライ乾燥、
凍結乾燥することで製造されている。馬鈴薯澱粉の添加量が40%以上だと、ヌルヌルした感じになり好ましくな
い。冷麺として、盛岡冷麺が最も有名で全国各地に種々の配合、製法の冷麺があり、小麦粉等の穀物粉と馬鈴薯
澱粉から製造される。冷麺は、小麦粉等の穀物粉と馬鈴薯澱粉の混合粉にかん水を配合して生地を調製し、押し
出し装置を使用し製造する。勿論、冷麺原料粉には、小麦粉、馬鈴薯澱粉以外にサツマイモ澱粉、加工澱粉、ソ
バ粉、トウモロコシ粉等の各種穀物粉を添加したものを用いられている。馬鈴薯澱粉の配合割合としては20%~
80%(
好ましくは30%~70%)で、20%以下だと冷麺らしい弾力性が不十分になり、80%以上だと製麺時の麺のつ
ながりが極端に悪くなるという。



つまりは、上記の特許の特性を維持するため茹で上げ麺の品質保持時間の外延策の創意工夫がいるというこのだ
が、これを問題解決するにはいま抱えている残件ボリュームから考えると非常に厳しい。とりあえず、他のメー
カの盛岡冷麺を食しみて考えることにした。

【3年目のWBCのごたごた】




それにしても話題に事欠かない昨今だ。頼みの阪神はこのまま最下位すれすれでシーズンを終えそうだし、野球
中継もレインジャーズ戦のテレビ観戦のみになりそうだし、WCBの利益配分のごたごたはそれに輪を掛けそう
だが米国気質にも嫌気がさす。そういえばオスプレー配備は懸念していたように内部事故報告が出てきている。
素人眼でも「事故発生の特異領域」が了解できるし、日本の技術力でそれを解決できそうだと思える。要するに
日米合作で作り直した方が良いものができだろうと。そうかと思えばリンパック(環太平洋合同演習)は完璧に戦
前のABCD包囲網を思い出させる。また、そのことは1991年の湾岸戦争で問題提起済みで、憲法改正と集団自衛権の
国連編入化と、そして国連による「刀狩り」運動による世界平和希求である。先ずは、米国をはじめとした覇権
国の武器兵器の放棄が基本原則だ。それ以外に解決道はないという故吉本隆明の遺言は絶対条件だ(こんなこと
書くのも青臭くて気恥ずかしいがね)。

それにしても、「米銃乱射で12人死亡、59人負傷」というニュースはいまさらながらに驚く。「海のごとし民族
は さびしい船である 」( 小島ゆかり)との歌が頭を過ぎる。

 

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限定された類と盛岡冷麺

2012年07月20日 | 時事書評

 

  

【続・たまには熟っくりと本を読もう】

本(「「塗る環境発電」」)が2日で届いたので、さっそく速読する-その間彼女が登場し中断させら
れるわけだが-手際よく編集された本でスッキリと読み終えることができた。吉本隆明が茂木健一郎の
脳科学の現状と問題点を整理紹介し、それに答えるという形式で「歴史」をどのように考え、彼の「芸
術言語論」の大集成へと繋がるのかがよくわかった。彼によると、歴史とは、文明・文化の進歩の度合
がどうなっているかといった「外在史」と、身体性の順序、遺伝子の変化→風俗習慣の変遷→地域的差
異に
基づく言語の発展差異→文明・文化の進展具合(自然へのはたらきかけ方)を内包した身体性の「
内在史」の2つがあり、この媒介項として「思想」を土台として思索展開されてきたという。

 

   茂木-有限の脳を補うものは感情である

   人間の脳はもともと有限ですから、不定なものである死を考え切ることはできないと思いま
   す。また知識として、すべての歴史を知るわけにもいかないし、すべての学問体系に通暁す
   るわけにもいかない。この世にあるすべての著作を読破するわけにもいかない。そう考えた
   とき、人間はどうしても無限とか不可能性に向き合うわけです。つまり、百科全書派的にす
   べてを網羅することは不可能である、と。どうするか。最新の脳科学の理論では、そういう
   事柄は感情において引き受ける、といっています。人間の卑小さということをいえば、宇宙
   の広がりは137億光年ですけれども、そのなかでは自分はこんなにも小さい。有限である
   人間はとても137億光年の宇宙全体を引き受けることはできません。ただし、一方で自分
   というものを想像し、もう一方で宇宙というものをイメージしたとき、そのコントラストに
   おいて自分の卑小さを感じることはできる。そうした感性がおそらく文学とか詩というもの
   になってきたのだと思います。そういう意味で、最近の脳科学は、無限とか不可能性という
   ものに向き合う形式は感情らしといいだしているわけです。

   吉本-有限の超え方もあるのではないか

   いや、よくわかります。わかりますけど、ぼくはそうした言い方を好みません。たしかに人
   間の脳は有限ですから、いくらいろいろなことを考えようとしても有限なことしか考えられ
   ないのは事実です。でもぼくだったら、複数の人、つまり世界中の先進地域の人々、さらに
   は後進地域の人々の知恵も全部借りればいいじやないか、ということになります。自分にと
   って重要なのは、自分がもっぱらやってきたことから得た経験および、その経験に伴う脳の
   はたらきです。自分はそれをもっていればいいのであって、ほかの人はほかの人で、それぞ
   れの経験および脳のはたらきをもっているわけだから、必要とあればほかの人の知恵を全部
   借用すればいい。そうすれば無限とまではいかなくても、人類は相当広い範囲の事柄まで認
   識することができるようになるのではないかという、そういう考え方を失いたくありません。
   無難な例を挙げると、ぼくは小さいころから相撲が好きで、子供のころに双葉山という大横
   綱がいて、69連勝をしたあと安藝ノ海という力士に負けたことをよく覚えています(1939
   〈昭和十四〉年)。それで双葉山の前人未到の連勝記録がストップしてしまったわけですが、
   決まり手は外掛けでした。立ち上がるとすぐ安藝ノ海が外掛けをかけ、それがあっさり決ま
   ってしまった。ぼくにはそのイメージが明瞭に残っています。どうしてそんなに鮮明なイメ
   ージがあるのかといえば、昔はニュース映画というのがあって、映画館に行くと劇映画の合
   間にそれが流された。ぼくはそのニュース映画を見て、強いイメージをもっていたから、い
   い気になって、左右どちらの足で掛けたと書いたのか、いまはもう忘れてしまいましたが、
   とにかく「双葉山は安藝ノ海の外掛けで敗れた」と書いたことがあるんです。そうしたら相
   撲オタクの人から手紙がきて「あなたの書いている足は間違っている」といって、当時の新
   聞のコピーも同封してありました。これは無難な例ですが、こんなふうに自分の間違ったこ
   とや知らないことを教えてくれる人がいるわけです。あるいは、わからなければ徹底して調
   べればわかる。そういう意味で、人間の脳に有限性はないぞという感じをぼくはもっている
   のです。そういう考え方ですから、いまおっしやったような脳の有限性はよくわかって理解
   できているつもりですが、でも、脳は有限だといった言い方は、おれはしないな、したくな
   いなという気持ちがあります。

                            第三章 人間は「限定された類」か
  
                          『「すべてを引き受ける」という思想』                        
                               吉本隆明 茂木健一郎 著


   茂木-忘れがちな空間の多様性

   
   最近ちょっとベルクソンを読み返していたら、彼は徹底的に時間軸と空間軸の差ということ
   を考えています。それに関連していいますと、われわれは空間というものの広がりを一覧で
   きません。しかし、空間的な広がりのなかには多様なものが非常にたくさんありま
す。どう
   もわれわれはそうした条件をつい忘れがちなのではないでしょうか。たとえば、ネーション・
   ステート(国民国家)にしても、なにかネーション・ステートの雛型があるように思いがち
   ですが、実際にはそれこそみな違います。東アジアだけ見ても、日本があり、北朝鮮があり、
   韓国があり、また中国があって、台湾があってと、それぞれの国民国家のあり方はまったく
   違います。最近よくいわれることですが、インターネットのようなグローバルなメディア
   も、その国によってずいぶん使われ方が違います。自由主義経済にしても、日本のそれはア
   メリカとまるで違う。同じ原理に基づいているといっても全然連ったものになっています。
   このように、空間にはきわめて多彩な多様性があります。そうした認識が現代の問題を考え
   るうえでもなにか重要なヒントになるような気がします。

   吉本-空間的多様性は盲点になっている

   それはぼくらも考えどころです。たしかに空間的な多様性は一種の盲点になっているように
   思います。しかもぼくはマルクスから大きな影響を受けていますから、やっぱり時間的な意
   識のほうが強いようです。マルクスは労働でも何でも、「時間だ、時間だ」といいます。ま
   た、みな均一化する。『資本論』では、男と女の労働力の差異とか体力の差、それから身体
   障害者と健常者との体力差などは全然考慮に入れないで同じものとして考えます。そういう
   区別をしてはダメだという思いがあるから全部均一にするわけでしょうが、そうした均一な
   労働が何時間なされたかということを問題にします。そして、平均というのとはちょっと意
   味が違うのでしょうが、ある時代にはある水準の労働価値を想定することができるというこ
   とを前提にしています。ぼくはそうしたマルクスの考え方に影響を受けた時期がありますか
   ら、やはり空間より時間に力点を置いた考え方をする傾向があるかもしれません。しかし、
   どうもマルクスの考え方は観念的にすぎるように思えてきて、いまは辛うじてそれを訂正で
   きたように思います。(中略)言い換えれば、思想は、種の問題や遺伝子の問題を別とする
   なら、かなりの程度において地域的差異に基づいている。ひとつは地域的な風俗習慣の違い、
   もうひとつは地域的な言語の違いで、主としてこのふたつの差異に基づく考え方の違いとい
   えます。要するに、言語というのはすべて「地域言語」にすぎない。世界性のある言語など
   というのはいまのままではありえない。はやっている言語もあれば、はやらない言語もある
   し、未開地域の言語もある。風俗習慣によって言語は違ってしまうし、同じ人種だって違っ
   てしまう。地方と都会では、方言と標準語で落差ができる。そういうものはみな地域性の問
   題、地域の風俗習慣の問題、それに基づく言語の違いの問題で、こうしたものが身体性の「
   内在史」と、一般的にいわれる「外在史」の連繋項になっているわけですから、そうした媒
   介項のはたらきを考えに入れないとダメなのではないか。そういうふうに考えて、ぼくはい
   まいったような媒介項を「思想」と呼ぶようにしたのです。

   

                         第七章 「つづまりの仕事」へ向かって
  
                          『「すべてを引き受ける」という思想』                        
                               吉本隆明 茂木健一郎 著 

            

【続・塗る環境発電】

塗る環境発電」をアップしてしばらくして大規模蓄電システムに使えないものか考えてみた。簡単に
いうとヒートポンプのように、余剰電力を使いコンプレッサーで冷媒を圧縮し、水を氷結させておき、
電力として供給する時には解凍して電気を取り出すもの。「チューブラー革命」のように熱交換器の配
管(チューブ)にこの環境発電をコーティングしておけば、水と二酸化炭素があれば蓄電装置として使
える
のではないかとのアイデアだ。



ところで、電子の電荷以外にスピンという自由度を利用したスピントロニクスの応用として、電子の磁
気的性質の流れ「スピン流」を利用する次世代の省エネルギー電子情報技術として期待されているが、
量子コンピュータや超低消費電力情報処理デバイスといった、スピンを利用した次世代電子デバイスを
実現するためには、あらゆる物質に利用できる汎用的なスピン流の注入方法の確立が課題だった。しか
しスピン流を作り出すことは容易ではなく、これまで物理的な制限から非常に限定された物質にしかス
ピン流を注入できなかったが、東北大学金属材料研究所が中心となり「スピン波スピン流伝導の開拓に
よる超省エネルギー情報処理デバイスの創出」をテーマとして研究されてきた。今回、安藤和也助教ら
は磁気のダイナミクスを利用することで、制限を一切受けない極めて汎用的なスピン流注入手法を発見
した。の方法は電界により制御可能で、これにより従来用いられてきた方法の千倍以上のスピン流を作
り出すことに成功したことが昨年6月27日に報じられた。しかし、何度も書くが『灼熱のデジタル革命
の季節』を実感する毎日だ。何だかんだと言っても、日本人として仕合わせだね。


インピーダンスミスマッチ
スピン流を注入する物質とスピン流注入源のそれぞれの電気抵抗率が同程度であるときスピン流の注入
効率が最大となり、電気抵抗率が大きく異なると注入効率は著しく小さくなる。一般的にはスピン注入
源として電気抵抗率の小さな金属が用いられるため、電気抵抗率が大きな半導体や有機物といった物質
にスピンを注入することは困難であり、この問題をインピーダンスミスマッチと呼ぶ。

※逆スピンホール効果
スピン流と垂直な方向に電圧が発生する現象。スピンが物質中を流れると、流れを横向きに曲げる力が
働く「スピン軌道相互作用」という現象が以前から知られている。このとき、上向き状態のスピンと下
向き状態のスピンでは逆向きの力を受ける。スピン流では上向き状態のスピンと下向き状態のスピンが
逆向きに流れているため、両者とも同じ方向に曲げられる結果となり、スピン流の流れと垂直な方向に
電圧が発生することになる。スピン情報と電気情報をつなぐ現象として、スピントロニクスにおいて重
要である。

※論文名・著者名
“Electrically tunable spin injector free from the impedance mismatch problem”
(電気的に制御可能なインピーダンスミスマッチフリースピン流注入源)


 

尚、金属だけでなく半導体・有機物・高温超伝導体といったあらゆる物質への高効率なスピン流注入が容易に可
能となり、スピントロニクスデバイス設計の自由度が大きく拡大されることで、環境負荷の極めて小さい次世代省
エネルギー電子技術への貢献が期待されている。この研究開発は、独立行政法人日本原子力研究開発機構先
端基礎研究センター、ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所と共同で行われている。 

 

昨夜は、通販で業務用の生麺とスープセットの盛岡冷麺(「盛岡冷麺とタンカツサンド」)を早速頂い
た。上の写真のようにリンゴの果肉はいれず、庭のトマト、胡瓜に卵、ハムと好みで米酢を加え、白菜
キムチを多めに入れ食べたが、美味かった。家庭でも本場の盛岡冷麺が手軽に頂ける時代に感謝。さて、
『「すべてを引き受ける」という思想』については適宜、引用掲載していこうと思うが、これはこれで
作業ボリュームが膨らんでしまい、ある意味苦痛だが楽しみでもある。  

                                                

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「4」の憂慮

2012年07月19日 | 時事書評

【いちごの周年供給】

なつおとめ(広島の桃でなく栃木の苺)という夏秋どり栽培に適した四季成り性いちごの苗の販促メールが届
いたのでその背景
をネットで下調べてみる。初期の「とちひとみ」の育成により栃木県産いちごの周年供給体
制の道筋を開いたものの「とちひと
み」は盛夏期の受精不良により秀品率が低下しやすく、秀品率を高めるた
めには花房摘除などの労力が多大に必要になること
等が問題となり、その後継品種の育成として、「とちひと
み」より生産性が高く外観品質等の果実品質が優れる夏秋どり栽培に
適した四季成り性品種の開発が行なわれ
たという。夏秋どり栽培に適する四季成り性品種の育成を目的に、2005年に四季成り性系統「栃木24号」
を母
親、促成系統「00-25-1」を父親として交配を行い、得られた130個体の実生の中から翌年
に05-201-2の系統を
選抜し、
2007年に系統選抜試験を行い、盛夏期の受精能力が極めて優れ、外観品質、食味が優れることから、
特性検定予備試験および特性検定試験を省略し、系統名「栃木
25号」を付した。平成20年から2か年にわたって
現地適応性を検討した結果「とちひとみ」に比べ
て、正形果の発生割合が高く、果実の着色などの外観品質が
優れ、花房整理の必要がなく作業性が
良い等の優れた特性を有することが実証されたため、2009年12月に品種
登録を出願し、2010年
2月12日に「なつおとめ」( 204 いちご属Fragaria L. なつおとめナツオトメ 20766 H23.3.
28 栃木県)として出願公表された。



その特徴は、(1) 果実は鮮赤色の円錐形で、光沢は良い。果心も淡赤に着色し、切断しても見栄えがする。ま
た、「とちひとみ」に比べて盛夏期でも種子浮きが少なく、外観品質が優れる。糖度は8%程度、酸度0.8%程
度で、食味は「とちひとみ」と同等である(上表)。(2) ランナーの発生数は、「とちひとみ」に比べてやや
少ないが、一般の四季成り性品種と比べると多い。(3) 四季成り性は「とちひとみ」に比べて弱く、着花数も
少ないが、花房の出蕾が適度に続く。草姿は立性で、草勢は旺盛である。(4) 収量性は、平成20年度試験にお
いて「とちひとみ」、「ペチカ」より優れ、不受精果などの発生が少なく、正形果率が高い。平成21年度試験
でも同様の結果であった。(5) 「とちひとみ」に比べて、炭疽病および萎黄病に対する耐病性は強いという。



この情報をまとめていて、もういちごの品種改良競争のピークは過ぎたね。後は工業化(情報化=サービス化)
の焦点は、全天候・防災型ハウス量産化のみだということになった。政策に間違いがなければ日本の高品位イ
チゴが世界を席捲する日は間近だと。

 
Fukushima 's Impact on Oceans

【島と井の「4」の憂慮】

福島第1原発で、2011年3月の事故後初めて4号機の燃料プールから試験的に核燃料を取り出す作業が行われた。
燃料棒は、長さ4.5メートル、重さ300kgあり、クレーンの先端につけたワイヤで、慎重につり上げた。周辺で
は、白い防護服を着た作業員が見守る様子が見られた。ほとんどむき出しのプールの中に、燃料が保管されて
いる4号機。燃料プールは、建屋の3階から5階の部分にあり、強い放射線を出す使用済み燃料も含む、1,535体
が保管されている。東京電力は、18日から19日にかけて燃料を1体ずつ運び出すことにしていて、40年程度かか
るとされる廃炉作業に向けて、損傷の程度などを確認することにしている。本格的な燃料の取り出し作業は、
2013年12月から行われる予定だという。



ところで、 東電は6月25日、水素爆発により原子炉建屋が破損した福島第1原発4号機の耐震性について「問
題ない」とする報告書を経産省の原子力安全保安院に提出しているが、元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤
政志は「政府は昨年12月、原発事故は収束し、原子炉は『冷温停止状態』にあると宣言しましたが、とんでも
ありません。損傷が激しい1~4号機は予断を許さない状況が今も続いています。そのなかでも、最も危険な
のが4号機。水素爆発で原子炉建屋の屋根は吹っ飛び、壁の一部は崩れ落ち、ひしゃげた鉄骨がむき出しにな
っています」と話しているほど危険な状態にある。震災前から原発の運転停止などを訴えてきた元スイス大使
で東海学園大学名誉教授の村田光平も「4号機の5階には燃料棒など数多くの重たい機材が置かれ、事故直後
から復旧作業に当たっている業者の話では、重さは1800tにも及ぶそうです。それらのすべてが、地上30mの
5階部分で宙づりになっているのが現状。しかも下層部は事故で耐震強度が弱まっている。もう一度大地震が
来れば、建物の崩壊は避けられません」「(
万が一、4号機建屋が崩壊したらどうなるのか)被害は東日本だ
けにとどまらない」「実は、4号機から50mほどの場所に1号機から6号機の共有の使用済み核燃料プールが
あり、そこには6375本もの燃料棒が保管されています。至近距離にある4号機建屋が崩壊すると、その影響で
共用プールの冷却機能が停止するなど深刻なトラブルにつながりかねない。そうなれば膨大な量の放射能が放
出され、日本に住めなくなるのみならず、地球規模の大惨事に発展する危険性も否定できません」と指摘して
いる(「東電の“安全宣言”と相反する福島第一原発4号機の危険な現状」)。

関西電力は18日午後9時、福井県おおい町の大飯原発4号機(加圧水型軽水炉、出力118万キロワット)の原子
炉を起動。4号機は19日午前6時に原子炉で核分裂が連続して起きる臨界に達した。東京電力福島第1原発事
故後、定期検査で停止した国内の原発の運転再開は大飯3号機に続いて2基目。順調に作業が進めば21日にも
発電・送電を始め、25日にフル稼働を想定しているという。

 

再稼働した関西電力大飯原発と、北陸電力志賀原発の敷地内地下に活断層がある疑いが指摘された問題で、経
済産業省原子力安全・保安院は18日、関電と北陸電に対し、敷地や周辺の再調査を行うよう指示した。志賀原
発について、保安院が過去の耐震安全性評価(バックチェック)などで断層を見落とした可能性があり、枝野
幸男経産相は保安院に対し、審査経緯の検証や他に見落としがないかの確認を命じた。保安院の森山善範原子
力災害対策監は同日の記者会見で「再調査は大飯原発の再稼働に影響しない」と断言する一方、審査中の志賀
原発のストレステスト(耐性評価)について「結論を出すのは難しいと思う」との見通しを示した。再調査の
対象は大飯原発が2、3号機の間を走る「F―6断層」、志賀原発が1号機原子炉建屋南西角の地下を走る「S―1断
層」。志賀原発のS―1断層は、17日の専門家意見聴取会で「典型的な活断層」などとする意見が続出。保安院
は指摘を踏まえ、掘削調査などで断層を直接確認し、この断層にずれを生じさせる可能性がある周辺の断層を
調査するよう求めた。今月25日までに調査計画を報告させると報じられた。

  桑田佳祐 / 100万年の幸せ!!

「4」という数字は発音から日本でも、韓国(中国でも?)でも敬遠されているが、ここでは、いまでは、不気味な数字だ。
そう思いながら、ここは四の五の言わず「桑田佳祐/100万年の幸せ!!」を聴きながら、次の作業の準備をしよう。

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塗る環境発電

2012年07月18日 | 開発企画

 

 

【塗る環境発電】

旧聞になるが、NECと東北大学は2012年6月18日、塗布プロセスを用いて温度差から電流を取り出す手法で
ゼーベック効果を用いた熱電変換モジュールの制約を解き放つ技術を開発した報じた。小型の素子を大量
に並べる既存の手法と比べて、塗布プロセスでは製造がたやすく、塗布面積を増やすだけで取り出す電力
を増加させることができる他、パイプなどの曲面や凹凸面に沿った形状にも対応しやすくなる。今回は液
体を基板上に垂らして均一な膜を形成するスピンコート法を用いたが、今後、研究が進めば、ペンキのよ
うに塗ったり、スプレーで塗布するといった方法で発電層を形成できる可能性があるという。電流は、電
子の持つ電気の性質を使うが、実は電子は、電気だけではなく「スピン」と呼ばれる磁気の性質も併せ持
ち、従来のエレクトロニクスは、電子の持つ電気の性質しか使っていなかったが、スピン、つまり磁気の
性質も積極的に取り入れようとする試みが、約10年前からで盛んに行われてきた。このスピンを使うエレ
クトロニクスを「スピントロニクス」と呼ばれている。



ところが、エレクトロニクスの場合、既に物理は全部わかっている。例えば、電流をどうやって使えば良
いのかは全部わかっているし、それを支配している物理法則もわかっているから、どうやって小さく集積
化していくかとか、そういうところなのだがスピントロニクスの場合、それを支配している物理法則すら
わかっていないのだ。エレクトロニクスが、電気の流れである電流によって駆動されるように、スピント
ロニクスは、電子スピンの流れである「スピン流」という磁気の流れによって駆動され、電流については、
いろいろな生成法が既にわかっているが、スピン流については、生成法があまり明らかでない。具体的に
は、磁性体―磁石にくっつく金属(磁性金属、Nature, 2008)や絶縁体(磁性絶縁体、Nature Materials,
2010)、冷蔵庫にくっつくありふれた磁石(焼結体磁石、Applied Physics Letters, 2010)といった磁
性体というものに温度差をつけることでスピン流が生じることを発見。温度差から電流をつくる現象は「
ゼーベック効果」と呼ばれているので、そのスピン版として温度差からスピン流をつくる現象を「スピン
ゼーベック効果」と呼ばれる。

 

例えば、一般的に電流は当然、金属には流れて、絶縁体には流れない。実はスピン流に関しては、そうで
はないことが明らかになる。電流に対し絶縁体であっても、スピン流に対しては絶縁体ではないという物
質がある。加えて、最近の成果として、東北大学金属材料研究所の内田健一氏により、温度差からスピン
流をつくる現象・スピンゼーベック効果が、金属だけでなく絶縁体でも出ることを明らかにした。つまり
温度差をつけた絶縁体から電気・磁気エネルギーを取り出す新しい手法を発見する。この成果はセンセー
ショナルに
、2010年「Nature Materials」に掲載される。

特開2012-109367|熱電変換素子
【符号の説明】

1 熱電変換素子 2 磁性体 3 起電体 4 導電体 5 出力端子 6 出力端子 7 基板 8バリア層

応用面では、電気は通さないけれども、スピン流は通すという絶縁体の性質を使うことにより、今日のエ
レクトロニクスにおけるデバイスの設計原理を根本的に変える可能性があり、特に、スピンゼーベック効
果の応用研究は、環境に優しい電力技術開発への貢献が期待されている。そんな中、コスト的にも性能的
にも絶縁体を使う方が良いということで注目されている。つまり、身近にありふれた材料でもスピンゼー
ベック効果が出ることが、コスト面で非常に優位な点だ。スピンゼーベック効果を観測するのに、基本的
には磁石なら何でも良く、例えば冷蔵庫に付いている永久磁石に金属(プラチナなど)の薄膜を付けるだ
けで良い。


次に、スピンゼーベック効果は、例えば熱電変換技術にも応用でき、温度差をつけるとスピン流を生じる
のがスピンゼーベック効果。スピン流は電気にも変換できるから、熱から電気を取り出す、例えば排熱な
どから電気を取り出すような省エネデバイスなどにも応用できる。この時、絶縁体を使う理由は、電気を
取り出すためには温度差をキープする必要があるが、絶縁体の方が熱伝導率は低いので、温度差をキープ
しやすいため、熱から発電機をつくる場合でも、熱伝導率が低い絶縁体が大変有利なのだ。金属を使った
熱電素子はいろいろあるが、熱伝導率を低くしようとすると発電効率も下がる
物理的な制限があり、絶縁
体を使うことで従来の制約を回避することができる。



 

こう考えていくと、エネルギー問題は解決したのではという「確信レベル」に乗り上げているという感じがしないでも
ない。これって、楽しいね、実に!

Jon Lord has sadly passed away

  Smoke On The Water

 Highway Star



【たまには熟っくりと本を読もう】

じっくりと読書する余裕もなくしこれではいけないと毎日を過ごしていると駄目になると思って、ネット検索している
と偶然、故吉本隆明と茂木健一郎共著が発刊されていることを知る。これまた、“過剰適応症”でネット通販で購入
する。

   
  ぼくはいま、おサルさんと分かれたときからの歴史をやる以外にないよと考えているわけで
  す。そうすればはっきりと見通しがきくというか、これから未来のことについてもわりあい
  誤解・誤用が少なく観測できるはずです。それ以外のやり方では、世界がどう展開するか、
  ちょっとわからないのではないでしょうか。〈中略〉つまり精神の問題として、あるいは精
  神活動の問題として、人間の歴史をぶっ通しにわかっていなければ多分間違えるだろうと思
  います。

                                         『「すべてを引き受ける」という思想』
                                              吉本隆明 茂木健一郎 著

さて、読書感想は後日ということで今夜はこの辺で。

 

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好きだよ、ブロ。

2012年07月16日 | 日々草々

 




【好きだよ、ブロ。】

 夜の海 

 月のあかり

 桑田正博・押尾コータロー

 

   うちに電話をかけてくる前
      君はテレビの前でうたた寝していたが
   まだベッドに入ってはいなかった。僕は寝ていたか、
   あるいはほとんど寝かかっていた。そこにベルが鳴った。
   君は自分が開いたパーティーのことを僕に
   話したかったのだ。君も来られればよかったんだけれどね。
   なんだか昔を思わせるしろものだったな、
   と言って君は笑った。
   ディナーは災厄だった。
   テーブルに料理が出てくるころには
   全員がぐでんぐでん。みんな上機嫌で、 
   楽しく調子よく盛り上がって
   いたんだけれど、誰かが別の誰かの婚約者を
   二階に運れていったものだから、
   やっこさんナイフを持ち出した。

   でも君は階段を上ろうとする
   その男の前に立って、
   落ち着くように言い聞かせた。
   すんでのところで惨事は免れたというわけさ、
   と君は言ってまた笑った。
   そのあとで起こったことを
   君はほとんど覚えていなかった。
   人々はみんなコートを着て
   帰っていった。君はテレビの前で
   しばらく寝入ってしまった
   みたいだった。
   というのは、君が目を覚ましたとき
   それは君にむかって、おい酒をよこせと
   がなりたてていたから。
   とにかく君はピッツバーグにいて、
   僕は国の反対側にある
   この小さな町に暮らしている。共通の知り合いの
   ほとんどは今ではもう僕らの人生からさっぱりと姿を消してしまった。
   君は僕に電話をかけて、ちょっと話をしたかった。
   僕のことやら、昔の出来事やらを
   あれこれ思いだしていたということ。
   僕に会いたいっていうこと。

   そのとき僕は昔のことをふと思いだした。
   当時の電話はベルが鳴るたびに
   ぴょんと飛び上がったものだよな。
   そして、明け方にうちにやってきて
   恐れおののきながら
   ドアをどんどんと叩いた人たちのこと。
     こっちの心の怯えについては言うまでもない。
   ナイフがあたりにごろごろしていて、
   それがトラブルのもと。夜眠るときに、
   ずっとこのまま目が覚めなければなと思ったこと。

     好きだよ、兄弟(プロ)、と君は言った。

   それから僕らはふたりでちょっと涙声に
   なってしまう。僕は親友の腕を握るみたいに
   受話器をぎゅっと握った。
   そして相手の身体をこの腕で抱くことができたら
   どんなにいいだろうと君のぶんまで願った。
   好きだよ、プロ。
   僕はそう言った。そして僕らは電話を切った。
                                                       


                                                            The old days /『昔のこと』
                          レイモンド・カーヴァー/村上春樹 訳




彼が生きていれば58歳だ。この不況でやせ細った公共事業の形振り構わぬ受注を巡る事件に巻き込ま
れ自殺する。そんな彼とは自治会活動の昔なじみだったのだが、宮世話の役で再び一緒に活動すること
になる。それじゃということで飲みに出かけ、久しぶりに世間話をした。しこたま飲んだ帰りのタクシ
ーから降り、僕は「きみが大好きだよ」と言って分かれた。なぜそんなことを口にしたのかいまでも不
思議なのだが、彼と僕の間には分け隔てがなにもない信頼感が育っていた。こんなことは希なのだが、
カーヴァーの『昔のこと』の「好きだよ、ブロ。」という村上春樹の訳詞のところがぴったりと融け合
う。今朝、桑名正博が脳幹出血のため、意識不明の重体とのニュースが流れた。彼も58歳という。こ
んなことを思い出させたが、ここは奇蹟が起きることを祈る他なし。

 ビルトンゴールド

ひとのことを心配している場合ではないのだ。酷い状態が続き、本当のところ眼精疲労のため1週間程度この作
業はやめなければいけないと思っている。やれ、アリナミンVだとかリポビタンとか、徳兵衛の大トロとか
いままでやってきたことを服用したものの効果が表れずこのビルトンゴールドが効果があった。つまり
ニンニクがよいのかわからないが当面1日2本を目安に服用することに。



【地盤災害のワンポイント・レッスン】

九州北部の未体験・集中豪雨の爪痕はものすごいものだった。しかし、予想外で想定外でないことはこ
のブログの熱心な読者ならわかることだが。上の図は、降雨予測手法の種別と期待される精度を予測時
間とともに示している。まず、レーダによって時間・空間的に密に観測される雨域の移動を、数理工学
的にとらえて予測する運動学的手法が、1時間程度先までの手法として利用されていて、数理学的な方
法ながら、最近では比較的大規模場での水蒸気流れを考慮し、移動しない地形性降雨を推測しレーダ情
報から分離して、非地形性降雨のみ移動させる手法が現業化されているという。現在では、アンサンブ
ル予報とすることで、さらなる精度向上が目指されている。一方、大気の運動方程式や連続の式、熱力
学的方程式、降水粒子の形成方程式(雲物理)などで構成される大気モデルをコンピュータで積分して
予測する手法がある。



降雨強度の変化に比較的迅速に反応して、変化するような浅層地下水(自由地下水)が存在する斜面に
おいて、山が崩れるかどうかを科学的に知る方法 は、上図に示したように斜面上での力学的なバランス
関係により示される。傾斜に平行な方向の山を崩そうとする力(せん断応力:机)と、土がもっている
崩れに抵抗しようとする最大の力(最大せん断抵抗カ:Sまたは稲のつり合いである。T>Sで山は崩
れ、T<Sのときには崩れないということになる。



【続・チューブラー革命】

  
上の図は普通の蛇口に取り付けるコンセプトライト。水の流れを利用して電球に電力を供給し、エネルギーを節
約することができる。特に電力不足地域で実用性が高いデザインとかと紹介されていたが、世の中、同じような
ことを考えるものが多いということを実感する。後はそのデザインを実現する意志のみということ。そして、2つの
言葉が続く。「天は自ら助すく者を助く」、「無知が栄えたためしなし」と。後者は情況的な意味で強調しておきたい。

 

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英国金利歪曲スキャンダル

2012年07月13日 | マネー行動学

 





【イタリア版食いしん坊万歳:イチゴの香り揚げ】



具 材:イチゴ 20個、リンゴジャム 60g、オレンジジュース 30CC、レモンジュース 30CC、オリーヴオイル 

    大さじ 2、白ワイン 大さじ3、薄力粉 100g、イースト菌 5g、卵 1個、パウダーシュガー 適宜
作り方:卵を卵黄と卵白に分け、卵白をよくホイップしておく。ボールにリンゴジャム、オレンジジュース、レモ
    ン
ジュース、オリーヴオイル、白ワイン、卵黄、生イーストを入れて、よく混ぜ合わせてから、薄力粉を
    徐々
に加え、トロリとした衣を作る(A)。ボールをこのまま少し暖かいところにしばらく置いておくと、
    表面が
膨らんでくる。そこヘホイップした卵白の泡をつぶさないように混ぜる(B)。イチゴに小麦粉をま
    ぶし、衣
をたっぷりとつけて揚げる(C)。油をよく切り、パウダーシュガーをふって、熱いうちに食べる。 



【金利裁量のオン・ザ・エッジ】

英国で定められている世界的な融資金利「ロンドン銀行間出し手金利(LIBOR)」が、金利計算の元となる数字を毎
日報告する銀行界によって集団的、隠密的に操作の疑惑がスキャンダルになっているという(「田中宇の国際ニュ
ース解説」2012.7.12)。それによると、ロンドンに拠点を置く英米独スイスなど世界の主要銀行20行が、毎朝、翌
日ものから1年ものまでの、ドルなど各主要通貨建ての融資についての他銀行からの借入金利を、11時に英国銀行
協会(BBA)に報告し、その平均値がLIBOR金利とし世界で使われ、各行が銀行協会に報告した個別金利は、ロイタ
ー通信を通じて発表する。この情報は世界の主要金利の一つとして、各国の銀行から企業への融資、ローンの金利
決済の基本指標となり、デリバティブを含めた総額16兆ドル(約1280兆円)の資金金利に影響を与える。米国のサ
ブプライムによる金融危機が起きた07年夏から翌年秋のリーマンブラザーズ倒産の後まで、欧米金融界は債券の下
落で経営難に陥いったことは周知のことだが、金融界は信用不安で融資が激減し金利高となり、信用恐慌の連鎖を
招きかねないために各行は、金利を実態より低めに不正報告していたというのだが、今回、英国のバークレイズ銀
行に関し、同行幹部間の当時のメールから発覚し、同行の首脳が相次いで引責辞任し、米英当局に罰金を支払う事
態となり、「バークレイズのスキャンダル」として報じられている。


Barclays Libor Scandal: How Big Will This Get?



が、一つの銀行だけが金利をごまかして報告していたのなら、当然、その時点ですぐ業界内やマスコミにばれ、長
続きしなかったとの疑念が残るというわけだ。一行の問題でなく、米欧の大手銀行界の全体が談合し、あるいは暗
黙の了解でやっていたことと推測される中、バークレイズだけが今のところ悪者にされていることに注目が集まる。

英中銀は、バークレイズに金利報告を求めたことはなく、バークレイズが勘違いして金利の虚偽報告を行ったと弁
明しているが、関係者の話では、金融界全体が金利歪曲されていることが当時から知られていたという。ウォール
ストリート・ジャーナルは08年3月の時点で、各銀行のCDS(債券破綻保険)が、LIBORより最大で0.87%ポイ
ントも高くなっていると報じている。WSJの記事によると、米国のシティやJPモルガン、独ウエストLB、英
HBOS、スイスのUBSなどが、特に金利の乖離が激しく、LIBORをごまかしている疑いがあった。半面、この
記事には、バークレイズの名前が全く出てこないという。これは日本の特異体制の「護送船団方式」の形をかえた
ものと言える。



ところで、英銀行協会が疑惑を調査すると発表した直後からLIBORが急上昇する。米当局は、08年に指摘されたこ
の歪曲も今も続いていると疑っているという。その根拠はEURBORの乖離だ。ユーロ圏の43銀行が毎朝報告する金利
を平均したEURBORのドル建て3カ月もの金利が0.99に対し、LIBORの同条件の金利は0.46%と半分。この乖離を見
て、米国の商品先物取引委員会(CFTC)は、LIBOR歪曲が今も続いていると。CFTCは、バークレイズを取り締まっ
て罰金を払わせた米当局の担当機関。金融界がLIBORの歪曲を開始した時期について、07年のサブプライム危機以
降だという指摘がある一方で、1980年代にLIBORの仕組みが発明された当初から歪曲があり、英当局も歪曲を看過
していたともいう。有望な産業がなくなった英国では、85年の米英の金融自由化(ビッグバン)以来、金融界が経
済の大黒柱であると同時に、米英の圧倒的な金融の強さが80年代末から08年のリーマンショックまでの、米英の世
界支配の力の源泉だったと田中宇は解説する。そして、米国やEUでは、LIBORにかわる国際的な利回りの指標が
必要とみて「英国外し」が起きているという。その査証として、ユーロ危機が一段落し、EUがユーロ危機の対策
として政治統合を進め、自らを強化しつつある中で、英国の弱体化や英国を外し、独仏主導のEUは、ユーロ危機
を逆手にとり、危機対策の口実で、EUの政治統合・行政統合を進め、現に加盟各国の予算編成権や金融監督権、
景気対策の実行権などを奪取しEUに統合しているというのだ。

さらに、LIBORの歪曲を知った上で各行のトレーダーが市場で儲けていたというインサイダー取引の疑いも出てい
て米議会も追求を強めているという。米国の中枢には、世界の覇権体制を従来の米英中心型から、米国、EU、中

露(BRICsなどが立ち並ぶ多極型に転換しようとする「隠れ多極主義」(田中宇の持論)が必要だというが、米国当
局が銀行を規制するには余りにも大きくなりすぎ弊害が大きいので縮小すべきだとの批判もでている(上図をダブ
ルクリック)。つまりは「金利裁量の、ディスクレションのオン・ザ・エッジ」の誤謬・錯誤・作為・不作為によ
る反社会的影響が余りにも大きく、新たなる国際的な市場調整機構の模索過程として、このスキャンダルを位置付
けることができる。

【地盤災害のワンポイント・レッスン】



九州がえらい目にあっている。これらの災害からえられたデータは未来に向けて蓄積解析し利用しなければならな
い。なにせ、自然現象あるいは人為的大規模気候変動による未体験領域だから。そんなことはわかっている?!そ
こでワンポイント。レッスン。地盤災害は、平野や埋立地のような平地において発生するものと、丘陵地や山地の
ような傾斜地で発生するものに分類できる。前者の代表として、土地盤の圧密沈下や砂地盤の地震時液状化による
こ盤災害が、後者の代表として、地震や降雨ニよる地すべりの発生があります。近年では、環濁問題の重要性が広く
認識されるようになり、瓦礫や産業廃棄物などを処分・貯蔵するために建設される造成地の地震時災害の問題など
も、広い意味で地盤災害としてとらえられるようになってきた(上下図)。


自分に出来ること?まずは自分を信じることだ。そして、目の前にある自分しかできないことを発見して、それを
実現することだ。たとえ小さなことでも拘りを持ってやり抜くことだと心得ている。

コメント

エレクトロニック・トラック登場

2012年07月12日 | 開発企画

 

 

 

【地球温暖化受難時代の物流】

地球環境・国際環境協力

九州熊本では観測史上未体験の降雨に見舞われている。とアナウンサーが伝えている。この百年間に日本で

は平均温度で約1℃で上昇。東京では2.9℃上昇。真夏日、熱帯夜の日数も都市部を中心に増加、真冬日の日
数は減少していて、時間降水量50 mmを超える大雨の発現回数はやや増加傾向にある(2005年1月27日時点)。
また、1970~2003年において、日本沿岸では年間2 mm程度海面水位が上昇し、所的に、記録的な豪雨による
浸水被害が最近多発している。水害による浸水面積(水害面積)は減少傾向だが、水害密度(浸水面積あた
りの一般資産被害額)は増加する傾向にある。熱帯夜が増加し、琵琶湖の湖底水温の上昇、溶存酸素濃度が
低下傾向にある。それは何を意味するか、ひとことでいえば「世界動乱時代への突入」ということになろう。
ここではあらゆる事象変動に対し予断なく俊敏に対処しなければならない。と、言ってみても具体性に欠け
るじゃないか?との反質も聞こえそうだ。例えば、ことしの茨城で発生した竜巻・突風発生を予防・減災的
側面からみるとどうなるだろう。勿論、いろんな意見や反響がありそうだ。ここでは物流という側面から1
つ自問してみよう。道路を走っているトラックが竜巻に巻き込まれたらそのように対処すればいいか?ガソ
リンタンク車や、危険物搬送車はどうすればよいのか?交通渋滞時ならどうするのか?東京都内の高速道路
で未体験突風が発生したならどうなるのだろうか?そのような想定実験データなり、シミュレーション結果
はなさそうだ。米国にはマニュアルがあるだろうから?それを参考にするのもよいだろうが、至急、点検整
備する必要があると思われる。これは、トラックだけではない、列車、航空機、船舶などの物流を担うすべ
ての移動体に通じる。

 

【ポリフォームで屋根の防衛】

ポリフォーム工法は、米国で猛威をふるうハリケーンから屋根を守るための工法として、1992年に米国で開
発されました。ポリマー接着剤(ウレタン発泡体接着剤)を使用して瓦面を屋根材に接着するために耐風、耐
震、断熱の効果が著しいという評価を得てきた。メーカであるポリフォームプロダクツ社は、革新的なポリ
ウレタン発泡技術のリーダーだといわれる。高度な発泡体、接着剤、調剤システムを使用すると、低コスト
で優れた完成したプロジェクトを与え、大幅に減少し、メンテナンスや修理のフォローアップ。 Polyset ®
=専門瓦屋根システムは、カテゴリ5のハリケーンの強風時にも瓦屋根は安全でそのまま維持で新しい標準
を設定。典型的な家の屋根は、釘やネジが原因で防水下敷きに穿刺穴の文字通り何千ものとなってしまい、
穴だらけのレインコートを着て雨の中で立っているようなもの。POLYSET®タイル屋根システムは、防水下敷
の穴を塞ぐ瓦やタイルをロックするポリウレタン系接着剤。釘やネジなしで使用し、釘やネジのいずれより
も50から100パーセント以上の風の抵抗を持っているという。



こういった方法はある意味ネオコンバーテックと共通するところがある。シール性や接着強度という点では現行法を上
回る技術の開発販売も可能だろう。さらに、太陽光発電パネルとの一体型屋根・壁にも応用展開も考えられる。地球
温暖化防止と同時に防災強化を同時に解決できるはずだ。さぁ~善は急げだ。

 

【エレクトロニック・トラック登場】

昨年の12月2日(金)から12月11日(日)まで東京都の東京ビッグサイトで開催された第42回東京モーター
ショー2011モーターショーで、日野自動車株式会社が世界初公開となる商用EVのコンセプトモデル、プラグ
インハイブリッドトラックなど参考出展車5台、市販車の小型ハイブリッドトラック日野デュトロハイブリ
ッド2台の計7台を出展していたことをすっかり忘れていた。トラックといえばディーゼルエンジンで、バイ
オ燃料ということが定着しているが?ハイブリッドで電動車を世界に先駆け出典いたことはもっと評価され
るべきだと思い直しネットで下調べした。他社との比較データを調べていないので評価できないが、社会的
システムとして政府・自治体のサポートが整えば、量産効果に期待できるため日野自動車が世界のトラック
市場のトップに踊りで、自然・社会環境の改善に大きく貢献できる。例えば、搬送用PHVトラック用途対象
は、大都市部のコンビニ向け配送の場合、「ルートを一巡した場合の距離はあよそ30~40キロメートル程度」。
今回出展したPHVのトラックなら、往宅地なとで排ガスを出すこともな<、途中で給電しなくても一日の配送業
務をこなせる。充電時間は200ボルトで通常6時開かかるが、約20分の急速充電も可能だという。一方でディー
ゼルエンジンの役割を重視。「スピードを出したり、坂道を上ったりするときにはディーゼルが効率的」遅延
が許されない配送業務では、電池だけでは信頼性を担保できないとの判断もあったという。このため幹線道路
ではハイブリッド走行し、市街地に入るときにスイッチを押すと電池走行に切り替わるという。

 

  特開2008-213720
 【符号の説明】

1 内燃機関 2 クラッチ・ユニット 3 変速機 4 差動歯車 5 車輪 6 クラッチ 7 電動発電機 7a 回転子 7b 固定
子 8 (機械式)油圧ポンプ 9 スタータ 10 油圧駆動系 11 インバータ 12 バッテリ 13ハイブリッド制御回路 
14 エンジン制御回路 15 変速機制御回路 16 クラッチ制御回路 



【 Che'Nelle - Story】

  Che'Nelle - Story

 Che'nelle - Believe
 Che'Nelle - BABY I LOVE U

【糖尿病を恐れる】



糖尿病と目の病気が気になり、調子を崩し本日は禁酒の戒厳令を敷く。それほどまで視力に不安を抱えている。そん
な風にジムの帰り近くの家で見つけた花の写真を撮った。これは余裕ではなく気晴らしなのだが、「肥満症」が食料危
機に関係するように、「糖尿病」も医療費増や食料危機に関係する以上、自制は義務だろうと思い定めた。それが今
夜の我が家だけの禁酒戒厳令と言うわけだ。血中にブドウ糖があふれ、足の切断、失明、腎臓病などの合併症を引
き起こす「糖尿病」はここ50年で患者数は40倍に増え、「予備軍」も合わせるとその数は2千万人を超えると推計。発
症の若年化も進んでおり、40代女性も18.2パーセントが糖尿病もしくは予備軍とされるなど、糖尿病はもはや「国民
病」なのだ。




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デジタル革命真っ盛り

2012年07月11日 | デジタル革命渦論

 

 



【究極の太陽電池】

 
3D Photonic Band Gap Crystal

量子ドット型のような効率の良い太陽光発電素子開発が着々と進んでいる。先日、野田進京大教授グループのフォトニ
クス結晶型太陽電池素子で変換効率が40%まで高めることが可能だという。次世代型太陽電池として現段階で考えら
れているもので2通りある。その1つが結晶シリコンを使った量子系(『マルチエキシトンな僕たち』)と2つめは、
他の新たな技術との融合系があり今回の発明は後者。ところで、フォトニック結晶は、屈折率が周期的に変化するナノ
構造体で、これを通過する光の波長を制御(フォトニック結晶を構成する物質の組み合わせ方により、結晶中にある波
長域の光が伝播しないフォトニックバンドギャップという部分をつくることができる。実質的に光が存在できないフ
トニックバンドギャップ
の性質を利用し、結晶内部で光を制御する(「フォトニック結晶型太陽光発電」))することが
できる
。次世代の半導体面発光素子として、2次元フォトニック結晶(以下2DPCと称す)を用いたフォトニック結
晶面発光レーザ(以下PCSELと称す)が提案されている。PCSELは、その光学特性が微細構造の寸法・形状に
より決まり、材料に依らないという特徴を持ち、大面積・単一モード、2次元的な偏光制御、出射角度の制御といった、
従来の半導体発光素子単体では実現困難な新しい特性を有し、高出力半導体レーザの可能性を切り拓くポテンシャルを
有している。

 
 

※太陽光発電効率の飛躍的な向上を目指し、フォトニック結晶を核とするフォトニック・ナノ構造の活用により、新し
い光マネジメント技術の開発が京都大学野田進教授らが行っている。フォトニック結晶のバンド端効果に基づく大面積
共振作用を用いて、薄膜シリコン(マイクロクリスタルシリコン・アモルファスシリコン等)の光吸収の減少が顕著と
なる波長域(600-1000nm)において、効果的な光閉じ込め利用するもの。

 
ところで、2次元フォトニック結晶をつくるには次のような問題がある。

(1)大面積の2DPC作製が困難である。すなわち、貼合わせるウェハが反りを有している場合、ウェハ間にゴミが
  ある場合、ウェハ表面に大きな凹凸がある場合などの場合には、これらのウェハを上手く貼り合わせることができ
  ない。
(2)2DPC層に空洞を含んでおり、結合係数κが大きく、大面積化に不向きである。その理由は、2DPC層に均
  一に光を分布させるために、電極長Lに対して面内方向の規格化結合係数κLを1~2程度とすることが望ましい
  が、2DPC層に空洞を含む場合、κの値が1000cm-1以上の値となり、Lの値が数10μmに制限されるからである。
(3)2DPC層界面をエピ層で埋め込むため、欠陥が少なく、信頼性が改善する。
(4)2DPC層に空洞を含まないので、放熱性に優れ、大出力化に向いている。

※ 高出力PCSELの実用化を目指す上では、再成長型PCSELが、貼り合わせ型のPCSELよりも優位。

特開2012-033749「半導体面発光素子及びその製造方法」

※上図は、半導体面発光素子を一部破断して示す半導体面発光素子の斜視図。半導体面発光素子は、半導体基板1上に
順次形成された下部クラッド層2、下部光ガイド層3、活性層4、上部光ガイド層5、フォトニック結晶層6、上部ク
ラッド層7、コンタクト層8を備えている。半導体基板1の裏面側には、電極E1が全面に設けられており、コンタク
ト層8の中央部には電極E2が設けられている。

これらの化合物半導体層の材料/厚みは以下の通りである。なお、導電型の記載のないものは不純物濃度が1015/cm3
下の真性半導体である。なお、不純物が添加されている場合の濃度は、1017~1020/cm3である。また、下記は本実施の
形態の一例であって、活性層4およびフォトニック結晶層6を含む構成であれば、材料系、膜厚、層の構成には自由度
を持つ。なお、括弧内の数値は、後述の実験で用いた数値であり、MOCVD法によるAlGaAsの成長温度は500℃~850
℃であって、実験では550~700℃を採用し、成長時におけるAl原料としてTMA(トリメチルアルミニム)、ガリウム
原料としてTMG(トリメチルガリウム)およびTEG(トリエチルガリウム)、As原料としてはAsH3(アルシン)、N
型不純物用の原料としてSi26(ジシラン)、P型不純物用の原料としてDEZn(ジエチル亜鉛)を用いた。

  1. コンタクト層8:P型のGaAs/50~500nm(200nm)
  2. 上部クラッド層7:P型のAlGaAs(Al0.4Ga0.6As)/1.0~3.0μm(2.0μm)
  3. フォトニック結晶層6:基本層6A:GaAs/50~200nm(100nm)、埋め込み層6B:AlGaAs(Al0.4Ga0.6As)
    /50~200nm(100nm)
  4. 上部光ガイド層5:上層:GaAs/10~200nm(50nm)、下層:P型または真性のAlGaAs/10~100nm(50nm)
  5. 活性層4(多重量子井戸構造):AlGaAs/InGaAs MQW/10~100nm(30nm)
  6. 下部光ガイド層3:AlGaAs/0~300nm(150nm)
  7. 下部クラッド層2:N型のAlGaAs/1.0~3.0μm(2.0μm)
  8. 半導体基板1:N型のGaAs/80~350μm(150μm)

 
【符号の説明】6A・・・基本層、6B・・・埋め込み層、H・・・穴

このようにして、閃亜鉛構造の第1化合物半導体からなる基本層6A内に複数の穴Hを周期的に形成し、穴H内に、閃
亜鉛構造
で、第2化合物半導体で埋め込み層6Bを成長させ積層したフォトニック結晶層6と、この結晶層に光を供給
する活性層4と、を備
え、穴の側面は、{110}面(結晶構造)で、埋め込み層6Bは、穴の側面との界面である少
なくとも1つの{110}面から突出した
凸部HB1を持つことで、発光出力や寿命などの特性を改善できる半導体面
発光素子の製造するというものだ。後は製造システ
ム、プロセス、装置開発の出番といういうわけだ。



 

「もはや技術なし」(星野芳郎)ではなく「もはやバルク技術ない」といいかえていいだろう。マルメイディアが、デ
ジタル革命の別称
であるように、この革命は「知価革命」(堺屋太一)の別称でもあるといえる。この世界の経済でも
その変化が顕れているのだが、
政治経済体制は旧態のままだ。そのことを洞察できない限り、威勢のいいことを語って
も、いずれ馬脚を現すと、タイピングしなが
らそう思った次第。

 

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