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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 279

2025年06月30日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代
の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

Say ‘Buh-Bye’ to Strangle Vines for Good | Texas Heritage for Living

【季語と短歌:6月30日】

      暑気払い凌霄花とトリスかな 

                高山 宇(暑鬼)

人工光合成の3つのプロセス

🔴 人工光合成の3つのプロセス
1. 太陽光と光触媒を使って、水を水素と酸素に分解
2. 分離膜を使って、発生した水素と酸素の混合気体から水素を分離
3. 触媒技術を使って、水素と二酸化炭素を反応させてオレフィンを製造

✳️ 最新技術情報 「光触媒」
光触媒とは、一般的に二酸化チタンを成分としたコーティング剤のこ
とを指します。光(紫外線)が当たると表面に「酸化還元反応」が起
き、有害物質を分解したり、汚れを防止する効果を持つ。光触媒には
「強力な酸化力を生む」「超親水性」という性質があり、6つのはた
らきー①大気浄化、②防汚、③脱臭、④防曇、⓹抗菌、⑥浄水ーを利
用する。

光触媒の仕組みと化学式の例
光触媒は日本オリジナルの技術。発明は1972年、水中の酸化チタン単
結晶に紫外線を当てると、水が分解され酸素と水素に分解されること
を発見したことが光触媒の発明の由来。特に酸化チタンは安定的、安
価、再利用が可能と使い勝手が抜群に良かったため一気に広まり、研
究が進みます。そして1980年頃、有機物の分解に成功した。1990年代
〜2000年代にシックハウス症候群が問題になった時代に、家庭用の光
触媒空気清浄機が誕生。現在では病院やホテルなど多くの場所で使用
されていく。

▼出典:太陽とCO2で化学品をつくる「人工光合成」、今どこまで進んでる?
🔸人工光合成は太陽光によるエネルギー蓄積反応(光エネルギーを

学エネルギーに変換するプロセス)を利用して、水から人類の活動に
必要なエネルギーを人工的に生成するものである。近年、無尽蔵の太
陽光エネルギーによって、水と二酸化炭素から水素や有機化合物など
を作り出すことができる人工光合成の社会実装が視野に入ってきた。
特に、光触媒において世界トップクラスの研究成果を有する日本にお
いて、実用性検証などの動きが活発化している。
第一期(2012~2021年度)の人工光合成化学プロセス技術研究組合
ARPChem)では、NEDOプロジェクト「二酸化炭素原料化基幹化学品
製造プロセス技術開発」において、社会実装の鍵を握る可視光応答型
光触媒を数多く開発した。こうした知見をベースに、NEDOはグリー
ンイノベーション基金事業の一環として、プロジェクト「アルコール
類からの化学品製造技術の開発」を2021年度にスタートさせ、可視光
応答型光触媒の見かけの量子収率(Apparent Quantum Yield:AQY)
を高めていくことで、数年以内に実用レベルの太陽光エネルギー変換
効率(Solar to Hydrogen:STH)5%の達成を目指すという。
また、本プロジェクトにおいて、㎡級の光触媒パネル製造技術、水素
/酸素混合ガスの分離システム、大規模設備によるソーラー水素製造プ
ロセスなどの開発を進めている
🔸
人工光合成の研究開発において、可視光応答型光触媒技術で世界
リードする日本では、2030年頃に国内でソーラー水素(水分解により
生成される水素)のヘクタール級実証プラントが世界に先駆けて稼働
する見通しである。その後、日照時間が長く条件の良い海外にも展開
され、2035年頃には海外でソーラー水素製造プラントが本格稼働する
と予測する。水素の世界需要の拡大も見込まれており、再生可能エネ
ルギー由来水素も供給が増えることから、ソーラー水素の世界市場規
模(プラント引渡し金額ベース)は、2040年に6億6,600万円、2050
年には95億400万円に拡大すると予測する。(via 矢野経済研究所;人工
光合成の世界市場に関する調査を実施;
2022年)

2️⃣サステイナブル酸化物薄膜を用いた高効率量子ドット
   太陽電池 
【要点】ミシガン工科大学の研究チームは、量子ドット(CdSe)を用
いた薄膜型太陽電池において、UVパルスレーザー堆積(UV-PLD)法
で電子・ホール輸送層の品質を高め、変換効率11%を達成。これは従
来の量子ドット太陽電池に比べ大きな進歩で、将来的には複数のQDを
組み合わせることでシリコンセル並みの効率も期待される。コスト面・
製造面で優位性があり、次世代太陽電池技術として注目されている。


量子ドット太陽電池で高効率な再生可能エネルギー実現へ(Solar Cells: Back to the Basics, Forward to the Future)

要約:薄膜太陽電池は、低コストで大面積の太陽光発電デバイスにより
有望。テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、
およびペロブスカイト薄膜をエネルギーハーベスティングに使用するこ
とに多大な努力が払われてきた。対照的に、酸化亜鉛(ZnO)と三酸化モ
リブデン(MoO3)は、比較的地球に豊富に存在し環境的に安定しており、
薄膜太陽電池にとって持続可能です。ZnOナノ構造は、最近、効果的な(
約8.55%)量子ドット太陽電池(QDSC)の製造に成功しています。ナノ構
造は、量子ドット(QD)から電子を受け取るための高い表面積をするが
表面にぶら下がる結合によって支配される。これらの欠陥は、電子をト
ラップし、ZnOナノ構造と量子ドットとの間の界面での効果的な輸送を
制限する可能性がある。薄膜材料に基づくQDSCは、このような界面捕
捉状態を最小限に抑え、ZnOナノ構造で実証されたものよりも効率的
であると期待している。高品質のZnOとMoOを戦略的に開発している。
11.4%という高い電力変換効率を持つQDSC生成薄膜。私たちのアプロ
ーチは、持続可能なZnOとMoO3に基づく太陽エネルギーハーベステ
ィングのためのスケーラブルな薄膜技術とQDを他の人々にもたらす。
-----------------------------------------------------------------------------
関連情報:
https://www.mtu.edu/unscripted/2025/06/solar-cells-back-
to-the-basics-forward-to-the-future.html
 
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsaem.5c00612

光触媒でプラ分解、回収モノマー7割以上…山口大が開発したケミカルリサイクル新手法の凄み   
プラスチックの分解後。モノマーを濾過して
回収するとプラスチックを合成できる

 ✳️触媒でプラ分解、回収モノマー7割以上
Photocatalytic decomposition of plastic, recovering over 70% of the monomer.
概要:
ラスチックのリサイクルを阻むのが強力な化学結合だ。結合を
簡単に解くことができれば、品質を保った再生プラスチックを増やせる。
山口大学の西形孝司教授は「プラスチックの頑丈な構造を分解するの
が我々、科学者だ」と使命感を持ち、ケミカルリサイクル(CR)技
術の新しい設計概念を開発した。プラスチックに組み込んだ「分解コ
ア」が、光触媒の反応をきっかけにプラスチック製品をモノマーに分
解する方法。

分解コアは化学反応が起きやすい部位であり、一般的な化学物質で作れ
る。既存の重合工程に投入することで、合成したポリマーに分解機能を
付与できる。
分解時は、プラスチックと光触媒を有機溶媒と混合し、光
を照射する。光で励起した触媒から発生した電子で分解コアを壊し、モ
ノマーの結合を解く。濾過して回収したモノマーを再重合すると、プラ
スチック原料に再生できる。分解コアも回収し、別のプラ材料に再利用
できる。
分解コアは、プラスチックを化学的に分解して元の原料を再生
するCRの新しい方法として期待される。既存のCRは高熱を必要とす
る工程があってエネルギー消費が大きい。分解コアは光の照射に電力を
使うものの高熱を必要とせず、省エネ化できる。また、既存のCRがポ
リエチレンテレフタレート(PET)での実用化にとどまっているが、
分解コアは理論上、どのプラスチックにも適用できる。

西形教授は3年前に分解コアの基礎的な技術を発見した。実験室では、
あらゆる縮合系ポリマーに分解コアを組み込めることを確認した。ま
た、原料の7割以上を回収でき、回収モノマーから透明なフィルムを
成形できた。ただし「まだプラスチックとして必要な物性を確認でき
ていない。研究の余地がある」とし、実用化に向けて企業との連携を
望んでいる。
分解コアはプラスチックにとって追加的な構造であり、
通常
プラスチックとは物性が変わる。ただし、現状でも過剰スペックの
プラスチックがあり、「どこまで物性の変化を許容できるのか、企業と
取り組まないと分からない面がある」(西形教授)。
コストも課題だ。エネルギー消費を抑えたとはいえ、分解コア技術で
再生したプラスチックは、バージン品のコストにはかなわない。そこ
で再生プラスチックの使用を促進する法制度が必要となりそうだ。「各
国で法制度が整備されており、現在のプラスチック製品を使いにくく
なる社会が来るかもしれない。プラスチック問題を解決したいと思っ
ている方々と、社会実装に向けてアイデアを出し合っていくことが重
要」と語る。
プラスチック循環利用協会によると、023年の国内
の廃プラ
スチ
ックは768万トン。そのうち63%が、燃料代替とし
て焼却された。
22%は製品材料に再生されたが、マテリアルリサイクル(MR)が
流。MRは製品を砕いて溶かし、ペレット状に整えて材料に戻す工
でプラスチックが劣化するため、再生回数に限度がある。CRなら
返し製品にできるため、プラスチックの資源循環に不可欠な技術。
(日刊工業新聞 2025年06月23日)


 ✳️ 貴金属不要の人工光合成へ有機高分子光触媒
京都大学,大阪大学,岡山大学は,高効率二酸化炭素変換を進行する
錯体触媒内蔵型の有機高分子光触媒を開発。光反応の効率を示す指標
の一つである反応量子収率が30%を超える値が報告されている,比較
的高効率なCO2変換用光触媒には,ルテニウムやレニウムなどの希少
金属が光吸収部位として用いられてきた。(via  オプトロニクス 2025
.6.17)。そによると、これら希少金属を用いることで,光吸収によっ
て生じる励起状態ある
いは電荷分離状態が長寿命化し,反応効率が高
くなる
と報告されている。一方で,これら希少金属からの脱却を目指
し,有機材料を光吸収
部位として活用する光触媒系の開発が近年盛ん
に行なわれている


本研究の光触媒設計指針:多様な有機分子団のエネルギーに着目し、3種類の分子団を適
切な順序で配列させ
ることで階段状のエネルギー傾斜を導入。長距離の電荷分離状態に
より高効率な光触媒として働くことを実証


抽象的なイメージ
従来の二元系と本研究で開発した三元系光触媒の比較:CO2変換の反応量子収率32.2%を達成 

踏まえ、研究グループは,多様な共役系有機分子骨格から,ドナー,
πスペーサー,アクセプターとして適した3種類の組み合わせを選択し
適切な配列で繋ぎ合わせアクセプター部位に金属錯体からなる反応
中心を導入することで,従来系をはるかに凌駕する高効率な光触媒
開発。連結した各有機ユニット間のエネルギー準位差を制御すること
で,天然光合成も採用している,多段階のエネルギー傾斜し,電極や
導線に頼ることなく光触媒材料内部で,自発的に電荷分離状態を形成
可能な設計指針を確立した。そして、実際に光吸収によって生成した
励起電子が速やかに反応中心へと移動し,優れた電荷分離状態を形成
できることを超高速分光測定と理論計算で明らかにした。光触媒構造
を最適化することで,炭素・窒素・水素・酸素・硫黄からなる有機高
分子を光吸収部位とした光触媒により,可視光の照射によるCO2変換
の量子収率は最大32.2%に達し,0.48mol/Lの高濃度のギ酸を生成す
ることに成功した。また、反応量子収率は,上述した2種類のユニッ
トを連結した従来系の18倍と飛躍的に向上し,これまで報告されてい
る有機分子骨格のみの光吸収で進行するCO2還元光触媒反応で最も高
い値を記録した。
▶️今後は本光触媒設計を様々な分子変換反応へと適用するとともに,
天然光合成と同様に豊富でクリーンな水を反応剤とした分子変換反応
すなわち真の人工光合成反応の実現を目指す
----------------------------------------------------------------------------
掲載誌:
タイトルMolecular-Level Tailoring of Energy Structure in Ternary Conjugated
Polymers with a Built-in Ru-Complex Catalyst for Efficient CO2 Reduction Photocatalysis

(3元系共役高分子の分子レベルでのエネルギー構造制御による高効率な光触媒的CO2還元)
掲載誌:Journal of the American Chemical Society

DOI10.1021/jacs.5c04222

✳️ナノ粒子スポンジが光触媒を促進
1️⃣
可視光を使って水を分解する「光触媒」
そもそも人工光合成研究のきっかけとなった「本多・藤嶋効果」とは
どのようなものか。これは、水の電気分解で酸素を生成する電極に酸
化チタンと呼ばれる化合物を用いて紫外光を当てると、電気だけでな
く紫外光のエネルギーも使って水を酸素と水素に分解できるという現
象。この発見以降、酸化チタンのように光で水を分解する「光触媒」
の研究が展開されてきた。通常、水に太陽光を当てても酸素と水素に
分解されることはない。酸化チタンは水の分解という化学反応を助け
る役割を果たす。
植物による光合成では、太陽光を利用して水が酸素になる「酸化反応」
と、二酸化炭素からさまざまな有機物を生成する「還元反応」を行っ
ている。人工光合成の研究開発においても、太陽光による「水の酸化
(酸素の生成)」と「二酸化炭素の還元(炭化水素の生成)」の両面か
ら、これらの反応を促進するための光触媒の研究が進められている。
植物による光合成では、太陽光を利用して水が酸素になる「酸化反応」
と、二酸化炭素からさまざまな有機物を生成する「還元反応」を行っ
ている。人工光合成の研究開発にも、太陽光による「水の酸化(酸素
の生成)」と「二酸化炭素の還元(炭化水素の生成)」の両面から、こ
れらの反応を促進するための光触媒の研究が進められている。

本多・藤嶋効果では、酸化チタンが水を分解する光触媒としての機能
を有していることが発見したが、実は酸化チタンには大きな課題があ
る。それは、酸化チタンは可視光よりも波長の短い紫外光と呼ばれる
波長の光しか吸収しない(図1)。太陽光に含まれる紫外光の割合は数
%程度。仮にそのわずかな紫外光成分を全て利用できたとしても、酸
化チタンによる太陽光のエネルギー変換効率は1%未満しかない計算。
人工光合成の実用化に向けては、少なくとも5~10%のエネルギー変
換効率が必要とされている。それに対し、2001年の講演で堂免先生
が可視光を吸収する光触媒の存在を示した、以来20年以上にわたり、
可視光を使って水の分解を促進する光触媒の研究を続けてきたと東京
科学大学 理学院 化学系 教授の前田和彦氏は話す。

図1:太陽光の波長ごとの強さと酸化チタンの光の吸収
酸化チタンでは、太陽光に含まれる紫外光領域(数%程度)しか使えない。太陽光を使っ
て水を分解するには、太陽光の主成分である可視光を吸収できる物質が必要。しかし、エ
ネルギーの小さい(波長の長い)光ほど、人工光合成に使うのが難しくなる。※赤線は太
陽光の強さ(右軸)、青線は酸化チタンの光の吸収(左軸)

2️⃣ 可視光を吸収する「複合アニオン化合物」を合成
現在、複合アニオン化合物と呼ばれる光触媒に取り組んでいる。酸
化チタンは金属元素であるチタンに酸素が結合した金属酸化物。酸化
チタンをはじめとする金属酸化物の酸素イオンの一部を別のアニオン
で置き換えたものが複合アニオン化合物。酸化チタンは白色の粉末。
白色は可視光を吸収しないことを表す。それに対し、金属酸化物をア
ンモニアガスの中で、800℃~1,000℃の高温で蒸し焼きにすると、
さまざまな色がついた酸窒化物(酸素と窒素の複合アニオン化合物)
がきる(図2)。色がついているということはその色以外の可視光を吸
収しているということを意味する。酸窒化物だけでもさまざまな組成・
結晶構造の化合物があり、未知の新物質も眠っています。複合アニオ
ン化合物は酸窒化物に限定されたものではなく、酸硫化物や酸フッ化
物など組成のバリエーションも広く、常識にとらわれずそれらを探索
することで、幅広い波長の可視光を吸収できる光触媒ができる。
図2:可視光を吸収する酸窒化物光触媒 異なる金属を使った金属酸化物をアンモニアガスの中で、高温で蒸し焼きにすると、さまざまな色の酸窒化物を合成することができる。

図2:可視光を吸収する酸窒化物光触媒
異なる金属を使った金属酸化物をアンモニアガスの中で、高温で蒸し
焼きにすると、さまざまな色の酸窒化物を合成することができる。と
はいえ、実用化に向けては複合アニオン化合物にも大きな課題があり
ます。それは合成そのものに大きなエネルギーを要する。しかも光触
媒として作用するには、高品質である必要もある。
「そのため、実用化に向けた障壁は高いが、障壁は高ければ高いほど
挑戦してやろうと意欲に溢れる研究室の学生たちと一緒に奮闘する日
々を送っていという。

3️⃣常識や先入観にとらわれない研究スタイル
前田は約10年前から、二酸化炭素の還元に不可欠な光触媒の研究も進
める。共同研究者が、有機物である窒化炭素を光触媒に使えないかと
提案したことがきっかけで、有機物を使った光触媒の研究を始める。
そのころ、光触媒といえば無機物が常識で、有機物を研究している人
はいないが、窒化炭素は可視光を吸収する上、高温にも酸や塩基にも
非常に安定でしたので、試してみたところ、光触媒として機能するこ
とが分かり、大きな衝撃を受けました。また、窒化炭素を、触媒機能
を持つ分子と組み合わせることで、二酸化炭素の還元にも応用できた
(図3)。
図3の1。窒化炭素の光触媒としての有用性を示す。世界初の有機半導体光触媒、高い化学的・熱的安定性、 高い分子設計・構造設計自由度、安価な原料から容易に合成可能.:図3の2。窒化炭素を還元反応末端に金属錯体を 用いると CO 2 の還元的変換にも応用可能(CO 2 をHCOOH(水素 キャリア)に還元)。
図3:有機物である窒化炭素を用いた光触媒の開発と二酸化炭素の還元への応用

以来、常識や先入観にとらわれず、可能性のありそうな物質は何でも
試してみようというのが、研究スタイルとなり、そのスタイルがさま
ざまな光触媒の発見につながりました。2018年からはクラリベイト
社が選出する高被引用論文著者に、化学分野で4年連続して選出され
るなど国内外から注目を集めるようになった。

4️⃣ 人工光合成は炭素循環社会に不可欠な技術
一方、人工光合成の実用化に関し、「人工光合成の研究は大変難しく
、実用化には課題がまだまだあり、近年、国内外を含め研究者同士が
協力し合うというスタイルが定着化してきていくので、相乗効果によ
り実用化に向けた研究開発は間違いなく加速する。もう1つの低炭素
技術である太陽光発電は非常に素晴らしい技術だが、単独で大規模に
電力を貯蔵することは困難。一方、人工光合成は使いたいときに水を
分解し、炭素循環社会実現の切り札とされる水素を生成したり、化石
燃料に頼ったりすることなく炭化水素などの化学燃料を作り出すこと
ができるという点で、炭素循環社会の実現において不可欠な技術。今
後も研究と人材育成の両面から人工光合成の分野に貢献していきたい
と話す。
【成果と展望】
岡崎助教らは、ルテニウム錯体[用語6]光増感剤[用語7]とした水の光
酸化反応を応用することで、金属酸化物ナノ粒子触媒の「水の酸化反
応に対する駆動力」を非電気化学的に見積もることができることを見
出した。水の光酸化反応は、半世紀ほど前にHarrimanらによって報
告された(図2)。この反応では、可視光によって励起されたルテニウ
ム錯体の電子(e)が電子受容体に移動することで、ルテニウム錯体の
一電子酸化種(Ru3+種)が生成します。そこへ水の酸化触媒からe
移動し、触媒中の金属種が高酸化状態となることで水の酸化反応が進
行する。本研究で触媒として用いた金属酸化物ナノ粒子は、光触媒に
よる水の酸化反応の助触媒としても広く用いられている。


図2. 水の光酸化反応のスキーム概略

✳️ナノ粒子触媒に潜在する「水の酸化反応に対する駆動力」の実験的
観測伝統的な光化学反応を突き詰め新概念を提唱
【概要】
東京科学大学(Science Tokyo) 理学院 化学系の岡崎めぐみ助教と
前田和彦教授らの研究チームは、水の酸化触媒として作用する金属酸
化物ナノ粒子[用語1]に対し、反応の進行に必要な「駆動力」を見積も
る非電気化学的な手法を見出した。(本成果は、11月4日付(現地時間
)の「Chem Catalysis」誌に掲載された)

光エネルギーを用いて化学エネルギーを得る「人工光合成」系の構築
を目指す研究において、ナノ粒子触媒は水の酸化に高い活性を示すこ
とが知られているが、ナノ粒子であるが故に精密な分析が難しく、水
の酸化反応に関与する電子の情報は実験的に得られなかった。そこで
研究グループは、半世紀以上前から確立されている水の光酸化反応[用
語2]
語2)を突き詰めることで、ナノ粒子触媒が水の酸化反応を進行さ
せるための電子に関する情報、すなわち「反応の駆動力」を定量的に
観測できることが分かった。これまでは経験則から優れた触媒を見出
していましたが、本成果によって、より合理的な触媒デザインが可能
になると期待される。研究グループは、今回見出した「駆動力」を
「反応ポテンシャル」と命名し、ナノ粒子触媒に対する研究をさらに
行っていく予定。
水の光酸化反応が進行する条件の一つに、金属酸化物ナノ粒子から
Ru3+種へeが移動することが挙げられます。つまり、金属酸化物ナ
ノ粒子が有するe化学ポテンシャル[用語8]が、Ru3+種の還元電位
[用語9]
よりも正側に位置している場合、水の光酸化反応は進行しない
ことになります。逆に、金属酸化物ナノ粒子が有するeの化学ポテン
シャルが、Ru3+種の還元電位よりも負側に位置していた場合は、水
の光酸化反応が進行すると予想される
。そのため、金属酸化物ナノ粒
子が有するeの化学ポテンシャルと、Ru3+種の還元電位を調整し、
それらの値を等しく、もしくは非常に近づけた場合、水の光酸化反応
の進行の有無が分かれる境界領域(しきい値)が存在すると考えられ
ます(図3)。本研究では、金属酸化物ナノ粒子のeの化学ポテンシャ
ルと、Ru3+種の還元電位をそれぞれ調整することにより、反応が進行
するための「しきい値」が存在することを、初めて実験的に明らにし
た。Ru3+種の還元電位は定量的に測定することが可能である一方、
金属酸化物ナノ粒子のeの化学ポテンシャルを直接観測した例はない。
そのため、具体的数値が明らかなRu3+種の還元電位を基準として、詳
細な電位が一切不明だったeの化学ポテンシャルを見積もることがで
きました。すなわち、本研究で確認された「しきい値」の意味すると
ころとしては、金属酸化物ナノ粒子中のeの化学ポテンシャルを直接
観測できたということになる。さらに、観測したeの化学ポテンシ

ルと水の酸化電位の差は、金属酸化物ナノ粒子が有する「水の酸化反
応に対する駆動力」に値する。言い換えると、本研究で観測したe
化学ポテンシャルは、金属酸化物ナノ粒子が水の酸化反応を進行させ
るために必要なeの化学ポテンシャルを反映していると考えられる。
これはつまり、今まで観測が困難とされていた不均一系ナノ粒子触媒
に対し、水の酸化反応に対する駆動力を可視化できたことになる。岡
崎助教らは、今回水の光酸化反応によって観測されたeの化学ポテン
シャルを、論文中で「反応ポテンシャル」と命名した。さらなる詳細
な調査の結果、反応ポテンシャルは金属酸化物ナノ粒子ごとに固有の
値を示し(図4)、その序列は水の酸化触媒能の優劣にほとんど一致し
ていることが明らかとなった。


図3. 金属酸化物ナノ粒子が有する電子の化学ポテンシャルのしきい値を見積もる際の電位
の相関の概略。金属酸化物ナノ粒子が有するeの化学ポテンシャルとRu3+種の還元電位の
値が近い場合を想定した図であるが、わかりやすくするためにそれぞれの値に明確な差が
あるように示している



図4. 金属酸化物ナノ粒子が有するeの化学ポテンシャルの見積もり結果。それぞれの化学
ポテンシャル(長方形の上端)と水の酸化電位(O2/H2O)の差が、反応ポテンシャルに値する。
本研究では、比較的複雑な反応機構を有する水の酸化反応に対し、反応ポテンシャルの概
念を打ち立てたことで、それに基づいた(光)触媒の設計に向けた実現可能性を広げるこ
とができた。今後、岡崎助教らが最終目標としている、「反応ポテンシャルの考え方に基づ
き、水の酸化(光)触媒を戦略的かつ新規に探索する」ことを達成するためには、さらな
る調査が必要になります。本研究では調査対象を金属酸化物ナノ粒子に限定したが、過去
水の酸化触媒として報告されている金属ナノ粒子や金属硫化物ナノ粒子に対しても調査を
行う予定。また、反応ポテンシャルの値は、触媒反応における特定の条件に依存する可能
性もあるため、より詳細な調査を行うことでその実態を理解する必要がある。    了

概要図
                             
✳️しみこむ染み込む:ナノ粒子スポンジが光触媒を促進する(Soaking

it up:Nanoparticle sponge boosts photocatalysis) 2023-05-12 オー
ストラリア連邦研究会議(ARC)
要約:我々は、光吸収ポルフィリンに基づいた三次元分子有機ケージ
で装飾された銀ナノ粒子からなる新しい複合材料を報告します。ポル
フィリンケージは、粒子を安定化させるとともに、金属表面近くで小
分子が拡散し、閉じ込められることを可能にします。これら二つの光
活性成分を組み合わせることで、ポルフィリンのソレートバンドとナ
ノ粒子局在表面プラズモン共鳴との間にファノ共鳴相互作用が生じま
す。時間分解分光法により、銀ナノ粒子がその励起状態エネルギーの
最大37%をポルフィリンケージの安定化層に転送することが明らかに
なりました。これらの異常な光物理は、光電化学的水分解測定におい
て2倍の電流増加を引き起こします。この複合構造は、光触媒および
センシング用途における内在的な多孔性を持つ高度な光感受性システ
ムのコンセプトの確証を提供します。

染み込む: ナノ粒子スポンジが光触媒を促進する(Soaking it up: Nanoparticle sponge boosts photocatalysis)
図解:プラズモニック銀ナノ粒子を含む新しい材料が、ナノ粒子の表面を装飾するリガン
ドとしてポルフィリンベースの多孔性有機ケージのみを使用して合成した。ナノ粒子は、
励起状態のエネルギーをポルフィリンに転送することにより、ポルフィリンケージの光感
受性剤として機能します。光感受性効果とリガンドの多孔性により、個々の成分と比較し
て優れた光電気化学水分解が可能。                  この項つづく

               

 

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エネルギーと環境 278

2025年06月29日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
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兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

ラムネ瓶のおしゃれなアレンジ・飾り方のインテリア実例 | RoomClip(ルームクリップ)
【季語と短歌:6月29日】

         ラムネ瓶
床伏す友を甦えす 

                 高山 宇(甦鬼)

🪄北近江出身のラムネ洗浄機を発明した父の鉄工所を引き継いだ同級
 生の思い出が泉のように甦える。漏れ止めのガラス玉を凸型の栓抜き
で手押しボンと音し泡がこぼれ出るさまは、天神祭りの愛が溢れる夏
の風物詩。

再エネの余剰電力を熱として蓄える…BlossomEnergyが開発、「黒鉛蓄熱電池」の機能
図.  開発した開発した蓄熱電池の内部ユニット

【概要】BlossomEnergyは、黒鉛を使用した蓄熱電池「
Blossom Energy G―TES」を開発し、今夏から広
島県内で実証実験を始める。再生可能エネルギーの余剰電力を蓄熱材
の黒鉛で熱として蓄える。
日中に余剰になった再生エネを熱として貯
蔵し、必要な時に温水や温風として取り出す。商用モデルの蓄熱電池
では約200キロワット時―600キロワット時を貯蔵可能。1日あ
たりの給湯需要換算で10―30世帯分の熱量を貯蔵できる。蓄熱電
池の大きさは小型コンテナ程度。
24年公開したコンセプト機ではで
きなかった一定温度のガスの長時間安定供給を実現した。温浴施設や
大規模空間の暖房、陸上養殖施設、工業用乾燥炉などに利用可能。設
置検討から導入まで3~6カ月を想定


✳️参考特許
1️⃣ 特開2014-32755 耐熱電池およびその充放電方法 住友電気工業株
式会社(有効)

【要約】例えば120℃~300℃の高温域で使用する場合でも、優
れたサイクル特性を達成することができる耐熱電池を提供する。正極
集電体および正極集電体に固定化された正極活物質を含み、正極活物
質は、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出可能なナトリ
ウム含有遷移金属化合物を含む、正極と、負極集電体および負極集電
体に固定化された負極活物質を含み、負極活物質は、ナトリウム含有
遷移金属化合物よりも卑な電位でナトリウムイオンを吸蔵および放出
可能なナトリウム含有チタン化合物および黒鉛化性炭素よりなる群
から選択される少なくとも1種を含む、負極と、少なくとも正極と負
極との間に介在し、ピロリジニウム骨格を有する有機カチオンとビス
(パーフルオロアルキルスルフォニル)イミドアニオンとの塩を含む、
ナトリウムイオン伝導性電解質と、を具備する、耐熱電池


図5  実施形態に係る耐熱電池の電池ケースの一部を切り欠いた斜視図
【符号の説明】
  100:耐熱電池、1:セパレータ、2:正極、2a:正極リード片、
3:負極、3a:負極リード片、7:ナット、8:鍔部、9:ワッシ
ャ、10:電池ケース、11:電極群、12:容器本体、13:蓋部、
14:外部正極端子、15:外部負極端子、16:安全弁
【0033】
  黒鉛化性炭素とは、不活性雰囲気中で加熱しても黒鉛構造が発達し
ない炭素材料であり、微小な黒鉛の結晶がランダムな方向に配置され、
結晶層と結晶層との間にナノオーダーの空隙を有する材料をいう。ナ
リウムイオンの直径は、0.95オングストロームであることから、
空隙の大きさは、これより十分に大きいことが好ましい。結晶層の平
均層面間隔は、特に限定されないが、例えば0.37nmより大きけ
ればよく、0.38nm以上であることが好ましい
【発明の効果】  本発明の耐熱電池によれば、電解質と電極材料とが、
さらには電解質とセパレータとが、高温環境下でも副反応を生じにくい
ように組み合わされている。よって、高温環境下でも、充放電を安定し
て行うことができる。本発明の耐熱電池は、例えば120℃~300
℃の高温域で使用する場合でも、優れたサイクル特性を達成すること
ができる。
【産業上の利用可能性】  本発明の耐熱電池は、例えば120℃以上
300℃以下の高温域でも安定的に稼動することから、同温度域での
使用が想定される用途、例えば電気炉に設置されるセンサーや油田掘
削用ドリルなどの電源として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  正極集電体および前記正極集電体に固定化された正極活物質を含み、
前記正極活物質は、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出
可能なナトリウム含有遷移金属化合物を含む、正極と、
  負極集電体および前記負極集電体に固定化された負極活物質を含み、
前記負極活物質は、前記ナトリウム含有遷移金属化合物よりも卑な電
位でナトリウムイオンを吸蔵および放出可能なナトリウム含有チタン化
合物および難黒鉛化性炭素よりなる群から選択される少なくとも1種
を含む、負極と、
  少なくとも前記正極と前記負極との間に介在し、ピロリジニウム骨格
を有する有機カチオンとビス(パーフルオロアルキルスルフォニル)
イミドアニオンとの塩を含む、ナトリウムイオン伝導性電解質と、を
具備する、耐熱電池
【請求項2】
  前記ピロリジニウム骨格を有する有機カチオンが、一般式(1):
【化1】
000005
で表され、ただし、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1~8
のアルキル基である、請求項1記載の耐熱電池
【請求項3】
  前記ビス(パーフルオロアルキルスルフォニル)イミドアニオンが、
一般式(2):
【化2】
000006
で表され、ただし、X1およびX2は、それぞれ独立に、炭素数1~8
のパーフルオロアルキル基である、請求項1または2記載の耐熱電池
【請求項4】
  前記ナトリウムイオン伝導性電解質は、更に、ナトリウムイオンと、
ビス(パーフルオロアルキルスルフォニル)イミドアニオンとの塩を
含む、請求項1~3のいずれか1項記載の耐熱電池
【請求項5】
  前記正極と前記負極との間に、更に、セパレータが介在しており、
  前記セパレータは、ガラス繊維およびポリフェニレンサルファイト
よりなる群から選択される少なくとも1種により形成されている、請
求項1~4のいずれか1項記載の耐熱電池
【請求項6】
  前記正極は、前記正極活物質を前記正極集電体に結着する第1耐熱
性結着剤を含み、
  前記負極は、前記負極活物質を前記負極集電体に結着する第2耐熱
性結着剤を含み、
  前記第1耐熱性結着剤および前記第2耐熱性結着剤が、それぞれ独
立に、ポリアミド、ポリイミドおよびポリアミドイミドよりなる群か
ら選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか1項記
載の耐熱電池
【請求項7】
  前記難黒鉛化性炭素に含まれる微結晶の平均層面間隔が、0.37
nmより大きい、請求項1~6のいずれか1項記載の耐熱電池
【請求項8】
  耐熱電池の充放電方法であって、
  前記耐熱電池は、
  正極集電体および前記正極集電体に固定化された正極活物質を含み、
前記正極活物質は、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出
可能なナトリウム含有遷移金属化合物を含む、正極と、
  負極集電体および前記負極集電体に固定化された負極活物質を含み、
前記負極活物質は、前記ナトリウム含有遷移金属化合物よりも卑な電
でナトリウムイオンを吸蔵および放出可能なナトリウム含有チタン化
合物および難黒鉛化性炭素よりなる群から選択される少なくとも1種
を含む、負極と、
  少なくとも前記正極と前記負極との間に介在し、ピロリジニウム骨
格を有する有機カチオンとビス(パーフルオロアルキルスルフォニル
)イミドアニオンとの塩を含む、ナトリウムイオン伝導性電解質と、
を具備し、  前記耐熱電池を、120℃以上300℃以下の温度範囲
に加熱された状態で充放電する工程を有する、充放電方法。
                            以上

インクジェット技術の生産装置の全体システム画像

マイクロジェットは、ペロブスカイト溶液に対応した高耐液のペロブ
スカイト太陽電池
試作用インクジェット塗布装置を発売。ペロブスカ
イト太陽電池の液開発や薄膜の塗布実験に対応する。
同塗布装置には
高耐液のコニカミノルタ製インクジェットヘッドを搭載。DMF(ジ
メチルホルムアミド)や、DMSO(ジメチルスルホキシド)を溶媒
とするペロブスカイト前駆体溶液への耐性が高く、ペロブスカイト層
の薄膜の安定形成が可能となる。
コニカミノルタのインクジェットヘッドは高解像度で実現可能な吐出
量範囲が広い。さらに対応可能な粘度範囲が低粘度から高粘度まで広
いため、使用可能な液種が多い点が特徴。また、安定した吐出を実現
しやすいヘッドであり、従来の画像印刷用途以外の多くの用途で応用
されているという。
ペロブスカイト太陽電池の製造には、発電層であ
るペロブスカイト層など複数の機能層が形成される。その中でもペロ
ブスカイト層や一部の輸送層は、インクジェット法による薄膜形成が
研究されている。
ペロブスカイト層の原料となるペロブスカイト前駆体を溶解させるた
めに用いられる液体は、DMFやDMSOなどの有機溶剤が使用され
る。
これらの有機溶媒は高い溶解性を持つため、インクジェットヘッ
ド部材にダメージを与えやすい。さらに液の粘性が低いため、長期的
な安定吐出を実現しづらいという課題がある。この課題をインクジェ
ット工業応用でが蓄積したマイクロジェットの知見とコニカミノルタ
のインクジェットヘッドの組み合わせで解決した。

🟡 日本発革命 
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

✳️特許事例:高品位水電解装置及びシステム構成

1️⃣特開2025-75699 電極および水電解装置 ノリタケ株式会社(審査
前)❸
【発明を実施するための形態】
1.水電解装置
2.電極
(1)導電性基材
(2)触媒層
(2-a)第1層
(2-b)第2層
(3)本実施形態の効果
3.電極の製造方法
4.他の実施形態
2.性能評価試験
【0084】
3.構造分析試験
  次に、本試験では、各例の電極の構造を分析した。ここでは、電極の
構造分析において、TEM-EDX分析と、TEM-EDXラインス
キャンと、XRD分析と、XPS測定と、ICP発光分析とを実施し
た。以下、各試験について説明する。【0085】
(1)TEM-EDX分析
  本試験では、例1~4の電極に対してTEM-EDX分析を実施し、
Ni元素とFe元素とO元素の各々の元素マップを取得した。具体的
には、例1~4の電極に対して収束イオンビーム(FIB:Focused 
 Ion  Beam)処理を行うことによって薄片化したサンプルを得
た。次に、この分析用サンプルの断面TEM観察を行うと共に、ED
X分析に基づいた元素マップを作製した。詳細な測定条件は以下の通
りである。また、各例の断面TEM写真と元素マップを図5~図8に
示す。図5は、例1の分析結果である。図6は、例2の分析結果であ
る。図7は、例3の分析結果である。図8は、例4の分析結果である。

図5(a)例1の断面TEM写真(650,000倍)であり、
図5(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたFe,O,Ni
の元素マップ

図6(a)は、例2の断面TEM写真(2500,000倍)であり、
図6(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたFe,O,Ni
の元素マップ

図7(a)は、例3の断面TEM写真(2500,000倍)であり、
図7(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたFe,O,Ni
の元素マップ

図8(a)は、例4の断面TEM写真(1250,000倍)であり、
図8(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたFe,O,Niの
元素マップ

【0086】[測定条件]
    使用装置      :日本電子製  JEM-F200
    加速電圧      :200kV
    プローブ径    :0.3nm
【0087】
  図8に示すように、例4では、導電性基材(Ni基材)の上に、Ni
元素とO元素を多量に含む層(酸化ニッケル層)が形成されていた。
そして、この酸化ニッケル層の上には、Ni元素と、0価のFeとを
含む層(NiFe層)が形成されていた。すなわち、例4の電極は、
特許文献1に記載の電極(触媒)と同等の構成を有していた。一方で、
図5~図7に示すように、例1~3では、例4に示すような酸化ニッ
ケル層が形成されておらず、Ni元素とFe元素とO元素の各々が触
媒層の全体に亘って存在していた。このことは、例1~3が例4より
も優れた電極性能を発揮できる原因の一つと解される。【0088】
(2)TEM-EDXラインスキャン
  次に、例3が特に顕著な電極性能を発揮した理由を調べるため、例1
~3を対象としたTEM-EDXラインスキャンを実施した。具体的
には、上記TEM-EDX分析において取得した元素マップに、導電
性基材から触媒層の表面に向かう(換言すると、厚み方向に沿った)
測定ラインを引いた。そして、このラインスキャンでは、測定間隔を
1秒毎に設定し、75秒間で導電性基材10から触媒層20の表面20a
に到達するように走査速度を設定した。この条件で測定を実施し、T
EM-EDXラインスキャンのグラフを得た。そして、WebPlot
Digitizerを用いて、グラフからデータに変換した。そのと
きの解析条件は、以下の通りである。
【0089】
[解析条件]
    解析ソフト        :WebPlotDigitizer
    Algorithm:ΔXstep  w/Interpolation
    ΔXstep      :1nm
    Smoothing:0%  of  ΔX
【0090】
  次に、各々の測定点においてNi元素とFe元素の総カウント数を
100%としたときのFe元素のカウント数の比率(Fe率)を計算
した。そして、横軸を「電極の厚み(nm)」をとし、縦軸を「Fe率
(%)」としたグラフ上に計算結果をプロットした。結果を図9~図
11に示す。なお、図9は、例1の厚み方向におけるFe率の変動を
示すグラフである。図10は、例2の厚み方向におけるFe率の変動
を示すグラフである。図11は、例3の厚み方向におけるFe率の変
動を示すグラフである。

図9は、TEM-EDXラインスキャンに基づいた例1のFe率の勾
配を示すグラフ

図10は、TEM-EDXラインスキャンに基づいた例2のFe率の
勾配を示すグラフ

図11は、TEM-EDXラインスキャンに基づいた例3のFe率の
勾配を示すグラフ
【0091】
  また、この分析では、上述した手順に基づいて、各層の厚み(nm)
と平均Fe率(%)とFe率の増加率(%/nm)を測定した。結果
を表2に示す。
【0092】
【表2】

000004

図9~図11及び表2に示すように、例1~3では、導電性基材の上
に、上方に向かってFe率が増加する濃度勾配を有する第1層が形成
されていた。この第1層では、下層に向かうにつれて金属Niが増大
し、上層に向かうにつれてFe-Ni酸化物が増大していると推測さ
れる。また、第1層の上には、平均Fe率が高く、かつ、Fe率増加
割合が低い第2層が形成されていた。この第2層では、多量のFe-
Ni酸化物が均一に存在していると推測される。ここで、例3は、例
1や例2と比べて第2層が極端に薄いことが分かった。かかる点が電
極性能の改善の理由と予想される。具体的には、電子伝導性が低い第
2層を薄くすることによって、触媒層の表層と導電性基材との電子の
授受が生じやすくなるため、電極性能が顕著に改善されたと推測され
る。
【0094】
(3)XRD分析
  本試験では、XRD分析を実施し、例1~5の触媒層の結晶構造を分
析した。XRD分析の条件は以下の通りである。そして、測定後のX
RDチャートの2θ=52°付近に現れるピークを「FCC構造の金属
Ni(導電性基材由来のNi)の200面に由来するピーク」とみなし、
そのピーク強度を測定した。また、2θ=65°付近に現れるピークを
「BCC構造の金属Feの200面に由来するピーク」とみなし、そ
のピーク強度を測定した。そして、FCC構造の金属Niのピーク強
度と、BCC構造の金属Feのピーク強度との比率(BCC/FCC)
を算出した。測定結果を表3に示す。【0095】
[測定条件]
    測定機器    :株式会社リガク製  全自動多目的X線回折装置  
SmartLab
    スキャン速度:2.00℃/min
    ステップ幅  :0.01°
    スキャン範囲:2θ(5~80°)
    入射角      :ω=1.0°
【表3】
000005

 表3に示すように、例1~3では、BCC構造の金属Feが顕著に少
なくなっていた。特に、例2、3では、BCC/FCCピーク強度比
が0%であった。すなわち、例2、3では、BCC構造の金属Feが
実質的に存在していなかった。一方で、例4では、BCC構造の金属
Feが多く存在していた。かかる点も、例1~3と例4との電極性能
の違いに影響している可能性がある。【0098】
(4)XPS測定
 本試験では、例3、5の電極を5mm×5mmに切断することによっ
て測定用サンプルを準備した。そして、XPS測定装置(アルバック
ファイ社製  PHI-4700V)を使用し、例3、5の触媒層中の
NiとFeの酸化状態を分析した。結果を図12~図15に示す。図
12は、例3のNi元素の酸化状態を示す測定結果である。図13は、
例3のFe元素の酸化状態を示す測定結果である。図14は、例5の
Ni元素の酸化状態を示す測定結果である。図15は、例5のFe元素
の酸化状態を示す測定結果である。【0099】



図12は、例3のNi元素の酸化状態を示す測定結果

図13は、例3のFe元素の酸化状態を示す測定結果

図14は、例5のNi元素の酸化状態を示す測定結果
図12および図14に示すように、例3および例5の触媒層では、0
価、+2価、+3価のNiが確認された。しかし、例5は、例3と比
べて、+3価のNiのカウント数が少ないことが確認された。また、
図13および図15に示すように、例3および例5の触媒層では、0
価、+2価、+3価のFeが確認された。ここで、例5は、例3と比
べて、0価のFeのカウント数が多いことが確認された。上述したX
RD分析と、このXPS測定の結果を考慮すると、例5では、BCC
構造の金属Feが多く生じていると推測される。【0100】
(5)ICP発光分光分析
  本試験では、例1~5の電極を5mm×5mmに切断し、酸性溶液に
溶解させることによって測定用サンプルを準備した。そして、ICP
測定装置(Agilent社製  5800  ICP-OES)を使用し、
各例の触媒層中の鉄含有率(%)を測定した。測定結果を表4に示す。
【0101】
【表4】
000006
【0102】
  表4に示すように、例4と比較して例1~3は、Fe含有率が顕著に
低下していた。これは、例1~3において、Fe電着処理の時間を短
くし、かつ、Fe電着用電解液中のFeイオン濃度を低下させたため
と推測される。
【0103】
  以上、ここに開示される技術を詳細に説明したが、これらは例示に
すぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に
記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したもの
が含まれる。すなわち、ここに開示される技術は、以下の項目1~項
目10に記載の形態を包含する。【0104】
<項目1>
  導電性基材と、
  前記導電性基材の表面に形成され、少なくともNi-Fe酸化物と金
属Niとを含む触媒層と
を備え、
  前記触媒層は、
    前記導電性基材の上に形成されており、Ni元素の含有量よりもFe
元素の含有量の方が少ない高Ni領域を含む第1層と、
    前記第1層の上に形成され、Fe元素の含有量が前記第1層よりも
多い第2層と  を備えており、
  前記導電性基材から前記触媒層の表面に向かうTEM-EDXライン
スキャンにおけるNi元素とFe元素の総カウント数に対する前記F
e元素のカウント数の比率をFe率(%)としたとき、
  前記第1層は、前記TEM-EDXラインスキャンに沿った前記Fe
率の増加割合が0.17%/nm以上であり、
  前記第2層は、前記TEM-EDXラインスキャンに沿った前記Fe
率の増加割合が0.17%/nm未満であり、
  前記第1層の厚みに対する前記第2層の厚みの割合が0.9以下であ
る、電極。【0105】
<項目2>
  前記第1層は、前記TEM-EDXラインスキャンに沿った前記Fe
率の増加割合が3.17%/nm以上である、項目1に記載の電極。
<項目3>
  前記第1層における前記Fe率の平均値が5%以上45%以下である、
項目1または2に記載の電極。
<項目4>
  前記第2層における前記Fe率の平均値が45%以上85%以下であ
る、項目1~3のいずれか一項に記載の電極。
<項目5>
  前記触媒層の断面の電子顕微鏡観察に基づいた前記第2層の緻密度
が50%以下である、項目1~4のいずれか一項に記載の電極。
<項目6>
  前記触媒層の断面の電子顕微鏡観察に基づいた前記第1層の緻密度が
50%以上である、項目1~5のいずれか一項に記載の電極。
<項目7>
  前記触媒層は、BCC構造の金属Feを実質的に含有しない、項目1
~6のいずれか一項に記載の電極。
<項目8>
  前記触媒層は、NiOを実質的に含有しない、項目1~7のいずれ
か一項に記載の電極。
<項目9>
  前記導電性基材は、Ni基材である、項目1~8のいずれか一項に
記載の電極。
<項目10>
  第1基材の表面に第1触媒層を有する酸素発生極と、
  第2基材の表面に第2触媒層を有する水素発生極と、
  前記酸素発生極と前記水素発生極との間に介在するアニオン交換膜と、
  前記第1触媒層の表面近傍に取り付けられた水供給管と、
  前記第1基材と前記第2基材とを電気的に接続する導電ラインと
を備えており、
  前記酸素発生極が、項目1~9のいずれか一項に記載の電極であるこ
とを特徴とする、水電解装置。
                           この項了

1光子2原子励起を観測した超伝導量子回路の写真の図
1光子2原子励起を観測した超伝導量子回路の写真

✳️ 最新技術情報集
1️⃣1光子で2原子を同時励起する現象を観測
理化学研究所(理研)は,量子コンピュータへの応用が期待される基
本素子である超伝導量子回路を用いて,1光子が2原子を同時励起する
現象を観測(理化学研究所 6月17日)
【概要】
通常1光子は原子のエネルギー準位にエネルギーが一致した場
合に原子を励起する。しかし,量子力学的には複数の現象が起こる可
能性が重ね合わさって存在しており,1光子2原子励起や,2光子1原子
励起が起こる可能性も非常に低い確率で存在している。そのため自然
に観測することは困難だが,研究グループは,特別な状況をつくれば
確率が高まり観測することができると考えた。
そこで,これまで観測
されてこなかった,1光子が2原子を同時励起する現象を観測するため
に,超伝導量子回路の高い設計自由度を生かし,特別な回路をデザイ
ンした。この特別なデザインにおいては,原子と光子の結合エネルギー
が光子のエネルギーの10%を超える超強結合という特異な領域を利用
た。
研究グループは,2016年に1光子2原子励起の理論提案に基づき,
一つの共振器に,二つの人工原子が非常に強く結合したサンプルの回
路を作製した。この理論提案では,原子と光子の結合エネルギーが光
子のエネルギーの10%程度あれば,1光子が2原子を同時励起する現象
を観測できると予測されていた。
しかしながら,実際の回路上では,
原子と光子だけでなく,二つの原子が直接相互作用する結合も考慮す
る必要があり,この直接相互作用は,共振器と原子との結合を弱めてし
まう効果があることが今回の研究で明らかになった。

二つの人工原子が一つの共振器に超強結合した系のエネルギースペクトルの図
図1  二つの人工原子が一つの共振器に超強結合した系のエネルギー
スペクトル
(a)しわのような緑色の濃い線が測定した系のエネルギー構造を示す。

(b)測定データに対し、構築した物理理論モデルによるフィット(黒い
線)を行った結果。測定データと物理理論モデルはよく一致している。
ωp:測定周波数、ε1:片方の原子の周波数(もう一方の原子の周波数
は一定)。エネルギーはすべて周波数の単位(ギガヘルツ(GHz、1G
Hzは10億ヘルツ))で示している。

【成果と展望】
本研究では、超強結合を使って、1光子が2原子を同時に励起する現象
を観測することができた。原子と共振器の非常に強い結合である超強
結合は、超伝導量子回路の高い設計自由度が可能にする新しい量子力
学現象を探索するためのツールの一つ。超強結合を使った高速な量子
情報処理や、高効率な量子情報処理理論が提案されており、今後の応用
が期待する。加えて、量子力学現象をつくり出す基本素子として、
間がどこまで自由に量子系を設計することができるのか、どのような
新しい量子力学現象を見ることができるのかといった、科学の根本的
な問いと発展に貢献することができると期待している。

ト音記号 イラストや に対する画像結果
『生涯と名曲:プッチーニ』







 

 

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エネルギーと環境 277

2025年06月27日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時
代の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

【季語と短歌:6月28日】

            献上伊吹そば つる亀庵|加盟店検索|株式会社滋賀ディーシーカード
 
      夏暖簾挙げて見えるは断末魔 

              高山 宇(怒鬼)

関連する画像の詳細をご覧ください。うどん県はお蕎麦も美味しい! 食を通じた地域活性化に取り組む島ヶ峰地区のそば、香川県まんのう町のふるさと納税に登場 | LR株式会社のプレスリリース

🪄冬でも三十度超、悲惨なガザ・ウクライナ住民そしてトランプ劇場。
 席に着き、「オヤジ、いつもの十割蕎麦!」(笑)

🟡 日本発革命 ⓮
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

✳️特許事例:高品位水電解装置及びシステム構成

1️⃣特開2025-75699 電極および水電解装置 ノリタケ株式会社(審査
前)❷

2.電極

図2.一実施形態に係る電極を模式的に示す断面図
【符号の説明】  1      電極  10    導電性基材  20    触媒層  21    
第1層  22    第2層  100  水電解装置  110  酸素発生極(アノ
ード)  111  第1基材  112  第1触媒層  120  水素発生極(カ
ソード)  121  第2基材  122  第2触媒層  130  アニオン交換
膜  140  導電ライン  150  電源  162  水供給路  164  酸素回
収管  166  水素回収管
  次に、ここに開示される電極の一実施形態に
ついて説明する。図2は、本実施形態に係る電極を模式的に示す断面
図である。なお、図2中の符号Zは、「(電極の)厚み方向」を示す。
また、符号Uは「上方」を示し、符号Dは「下方」を示す。但し、こ
れらの方向は、説明の便宜のために定めた方向に過ぎず、ここに開示
される電極の設置態様を限定するものではない。
  図2に示すように、本実施形態に係る電極1は、導電性基材10と、
触媒層20とを備えている。上述の通り、この電極1は、図1に示す
水電解装置100の酸素発生極110に使用される。以下、電極1の
構造について具体的に説明する。【0031】

(1)導電性基材
導電性基材10は、導電性を有する金属部材である。図1に示す水電
解装置100を構築する場合、導電性基材10は、第1基材111と
して導電ライン140と接続される。導電性基材10は、水電解装置
用の電極に使用され得る従来公知の基材を特に制限なく使用できる。
かかる導電性基材10の材料の一例として、Ni、Ti、NiCr合
金、SUSなどが挙げられる。これらの中でも、Ni製の導電性基材
10(Ni基材)は、Niを含む触媒層20との接合性に優れている
ため特に好適である。また、詳しくは後述するが、Ni基材は、触媒
層20を容易に形成できるという利点も有している。なお、図2に示
すように、本実施形態における導電性基材10は、板状部材である。
しかし、導電性基材の形状は、ここに開示される技術を限定するもの
ではない。導電性基材の形状は、適用対象の水電解装置の構造に応じ
て適宜変更できる。

 導電性基材10は、複数の細孔を有する多孔体であることが好ましい。
これによって、水や酸素ガスなどの流体が導電性基材10を通過しやす
くなる。この結果、水電解装置100の動作効率の向上に貢献できる。
例えば、導電性基材10における平均細孔径は、0.05mm以上が
好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上がさら
に好ましく、0.2mm以上が特に好ましい。これによって、導電性
基材10の流体透過性を十分に確保できる。一方、導電性基材10に
おける平均細孔径は、5.5mm以下が好ましく、5.0mm以下が
より好ましく、4.5mm以下がさらに好ましく、4.0mm以下が
特に好ましい。これによって、導電性基材10の強度を十分に確保で
きる。【0033】
また、導電性基材10の気孔率は、70%以上が好ましく、75%以
上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、85%以上が特に
好ましい。これによって、導電性基材10の流体透過性をより好適に
向上できる。一方、導電性基材10の強度を考慮すると、導電性基材
1
0の気孔率は、98%以下が好ましく、97%以下がより好ましく、
96%以下が特に好ましい。なお、本明細書における「導電性基材の
気孔率」は、以下の手順に従って測定されたものである。先ず、導電
性基材を1cmに切り出して重量を測定し、実際の比重を算出する。
次に、導電性基材の材料(Ni、Tiなど)の比重に基づいて見かけ
の比重を算出する。そして、見かけの比重/実際の比重の計算結果を
「気孔率」とする。【0034】
 また、導電性基材10の厚みTは、50μm以上が好ましく、10
0μm以上がより好ましく、150μm以上が特に好ましい。これによ
って、導電性基材10の強度を十分に確保できる。一方、導電性基材
10の厚みTの上限は、500μm以下が好ましく、450μm以下
がより好ましく、400μm以下が特に好ましい。これによって、導電
性基材10における流体透過性を十分に確保できる。【0035】
 なお、本明細書における各層の厚みは、以下の手順に従って測定され
たものである。まず、導電性基材10から触媒層20の表面20aに
向かうTEM-EDXラインスキャンを実施する。このラインスキャ
ンでは、測定間隔を1秒毎に設定し、75秒間で導電性基材10から
触媒層20の表面20aに到達するように走査速度を設定する。次に、
75個の測定点の各々のFe率を計算する。ここでの「Fe率」とは、
Ni元素とFe元素の合計カウント数を100%としたときのFe元
素のカウント数の比率(%)
である。そして、75個の測定点の中か
ら、Fe率が1%前後(例えば0.9%~1.1%)となる任意の測
定点を一点選出し、この測定点を「高Ni基準点」とする。次に、こ
の高Ni基準点におけるNi元素とFe元素の合計カウント数を基準
カウント数とする。そして、この基準カウント数を100%としたと
きのカウント数が0.1%以上である領域を「厚み方向において電極
が存在する領域」とみなし、0.1%未満となった領域を「電極(測
定対象)が存在しない領域」とみなす。これによって、TEM-ED
Xラインスキャンに基づいて「電極1の厚みT」を測定することが
できる。【0036】
 次に、75個の測定点の各々におけるFe率の傾きを測定する。本明
細書において「n番目の測定点におけるFe率の傾き」は、n番目の
測定点とn+2番目の測定点とを接続する線分を引き、当該線分の傾
きを算出することによって測定できる。次に、上記高Ni基準点を「
導電性基材10の始点」とする。また、高Ni基準点から電極1の表
面に向かうFe率の傾きの測定において、当該Fe率の傾きが0.5
超となった測定点が連続して3つ以上確認された場合に、当該連続し
た測定点の中で、上記導電性基材10の始点に最も近い測定点を「導
電性基材10の終点」とする。そして、導電性基材10の始点から終
点までの距離を「導電性基材10の厚みT」とみなす。次に、上記
導電性基材10の終点を「第1層21の始点」とする。また、第1層
21の始点から電極1の表面に向かうFe率の傾きの測定において、
当該Fe率の傾きが0.5以下となった測定点が連続して3つ以上確
認された場合に、当該連続した測定点の中で、上記第1層21の始点
に最も近い測定点を「第1層21の終点」とする。そして、第1層21
の始点から終点までの距離を「第1層21の厚みT」とみなす。換言
すると、本明細書における「第1層21の厚みT」は、連続したFe
率の傾きの測定において、Fe率の傾きが0.5超となり始めた測定
点を始点とし、Fe率の傾きが再び0.5以下まで低下した測定点を
終点とすることによって測定できる。次に、上記第1層21の終点を
「第2層22の始点」とする。また、上記電極1が存在する領域の終
点を「第2層22の終点」とする。そして、第2層22の始点から終
点までの距離を「第2層22の厚みT」とする。すなわち、本明細
書における「第2層22の厚みT」は、連続したFe率の傾きの測
定において、Fe率の傾きが0.5以下まで低下した測定点を始点と
し、電極1の表面を終点とする領域である。【0037】


図1.水電解装置を模式的に示す断面図

(2)触媒層
  触媒層20は、導電性基材10の表面に形成されている。図1に示
すように、水電解装置100を構築する場合、触媒層20(第1触媒
層112)は、アニオン交換膜130と対向するように配置される。
また、触媒層20の表面20aの近傍(例えば、後述の第2層22)
には、水供給路162が接続される。そして、触媒層20は、少なく
ともNi-Fe酸化物と金属Niとを含んでいる。Ni-Fe酸化物
は、酸素発生反応を促進する触媒作用に優れた成分である。一方、金
属Niは、電子伝導性に優れた成分である。なお、触媒層20は、他
のNi系成分やFe系成分を含んでいてもよい。触媒層20に含まれ
得るNi系成分の一例として、Ni酸化物などが挙げられる。また、
Fe系成分の一例として、Fe酸化物、金属Feなどが挙げられる。
【0038】また、触媒層20の主要金属元素はNiとFeである。
ここでの「主要金属元素がNiとFeである」とは、NiとFe以外
の金属元素が意図的に触媒層へ添加されていないことを指す。換言す
ると、触媒層20は、原料や製造工程等に由来する不可避的不純物と
して、NiやFe以外の金属元素を含んでいてもよい。触媒層20に
含まれ得る不純物としては、カリウム(K)、アルミニウム(Al)、
銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、
マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)などが挙げら
れる。より具体的には、本明細書における「主要金属元素がNiとFe
である」とは、触媒層中の金属元素の総数を100atm%としたと
きに、NiとFeの合計原子数が70atm%以上(好適には75a
tm%以上、より好適には80atm%以上、特に好適には85at
m%以上)であることをいう。また、触媒層20中のNiとFeの合
計原子数の上限値は、特に限定されず、100atm%でもよく、9
5atm%以下でもよく、90atm%以下でもよい。なお、ここで
の「原子数」は、触媒層20の断面TEM画像に対してエネルギー分
散型X線分析(EDX:Energy  Dispersive  X-
ray  spectroscopy)を実施して得られた元素分析に
基づいた数値である。【0039】

  また、触媒層20は、体心立方(BCC:Body  Centered  
Cubic)構造の金属Feを実質的に含有しないことが好ましい。
具体的には、触媒層20で複数のFeイオンの協働作用が生じると、
酸素ガスの生成が好適に促進される。しかし、BCC構造の金属Fe
は、Fe元素の間の距離が長いため、このFeイオンの協働作用が生
じにくくなる。このため、触媒層20におけるBCC構造の金属Fe
の存在量が少なくなるにつれて触媒活性が向上すると解される。なお、
BCC構造の金属Feの有無は、電極に対してX線回折分析(XRD:
X-ray  diffraction)を実施することによって評価
できる。具体的には、触媒層20の表面に対して1.0°の入射角で
X線を照射したXRD分析を実施すると、2θ=65°付近に「BCC
構造の金属Feの(200)面を示すピーク」が確認される。また、
このXRD分析では、2θ=52°付近に「FCC構造の金属Niの(
200)面を示すピーク」が確認される。そして、FCC構造の金属
Niを示すピークの強度INiとBCC構造の金属Feを示すピーク
の強度IFeとの比率(IFe/INi)を計算することによって、B
CC構造の金属Feの存在量を評価できる。ここで、本明細書におけ
る「BCC構造の金属Feを実質的に含有しない」とは、上記ピーク
強度比IFe/INiが20以下(好適には15以下、より好適には
10以下、特に好適には5以下)であることをいう。【0040】

 さらに、触媒層20は、NiOを実質的に含有しないことが好ましい。
具体的には、NiOは、非常に安定した酸化物であり、Feが導入さ
れにくい。このため、触媒層20の生成過程においてNiOが生じる
と、後述するFe電着工程S20におけるNi-Fe酸化物の生成量
が低下する。すなわち、NiOを多量に含む触媒層20は、Ni-Fe
酸化物の生成量が少ないため触媒活性が低下するおそれがある。なお、
本明細書における「NiOを実質的に含有しない」とは、触媒層20
を対象としたX線光電子分光法(XPS:X-ray  Photoel
ectron  Spectroscopy)のNi2pの解析において、
NiOのピークの積分値が45%以下(好適には40%以下、より好
適には35%以下、特に好適には30%以下)であることをいう。な
お、上記NiOのピークの積分値(%)は、上記XPSスペクトルに
よるNi2pの解析において、サテライトを除くその他のピークの積分
値を100%としたときの値である。また、NiOのNiのピークは、
XPS測定において854eV付近に確認される。【0041】

また、触媒層20の総厚みTは、5nm以上が好ましく、10nm
以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましく、20nm以上
が特に好ましい。これによって、好適な触媒活性を有する電極1を構
築できる。一方、触媒層20の総厚みTの上限は、100nm以下
が好ましく、90nm以下がより好ましく、80nm以下がさらに好
ましく、70nm以下が特に好ましい。これによって、触媒層20の
表面20aと導電性基材10との距離が短くなるため、触媒層20の
表面20aへの電子の授受をより好適に生じさせることができる。な
お、「触媒層20の総厚みT」は、上述した電極1の総厚みTと、
導電性基材10の厚みTとの差を求めることによって得られる。
【0042】
  ここで、本実施形態に係る電極1は、第1層21と第2層22を有
する多層構造の触媒層20を備えている。以下、触媒層20に含まれ
る各層について説明する。【0043】
(2-a)第1層
  第1層21は、導電性基材10の上に形成された層である。この第
1層21は、Ni元素の含有量よりもFe元素の含有量の方が少ない
高Ni領域を含む。このため、第1層21の一部には、Ni元素のみ
からなる金属Niが存在している。この金属Niは、導電性に優れて
いるため、導電性基材10と触媒層20との電子の授受を促進できる。
なお、導電性基材10との電子の授受をさらに促進するという観点か
ら、高Ni領域は、導電性基材10に隣接していることが好ましい。
【0044】  また、本実施形態に係る電極1では、導電性基材10
から触媒層20の表面20aに向かうTEM-EDXラインスキャン
(図2中の直線L参照)を実施した際に、第1層21におけるFe
率の増加割合が0.17%/nm以上となる。換言すると、第1層21
では、触媒層20の表面20a側(上方U)に向かうにつれてFe元
素が増加するという濃度勾配が生じている。この結果、対向電極(水
素発生極120)からの水酸化イオンと接触しやすい第1層21の上
層では、触媒活性に優れたNi-Fe酸化物が多くなる。一方で、こ
の第1層21では、導電性基材10側(下方D)に向かうにつれてNi
元素が増加する。このため、導電性基材10との電子の授受が直接行
われる第1層21の下層では、電子伝導性に優れた金属Niが多く存
在する。このように、本実施形態における第1層21では、厚み方向
Zにおける各地点において、触媒活性と電子伝導性とのバランスが好
適に変化している。【0045】
なお、第1層21におけるFe率の増加割合は、1.17%/nm以
上が好ましく、2.17%/nm以上がより好ましく、3.17%/
nm以上がさらに好ましい。これによって、第1層21における触媒
活性と電子伝導性とのバランスをより好適に変化させることができる。
一方、第1層21におけるFe率の増加割合の上限値は、15%/n
m以下が好ましく、14%/nm以下がより好ましく、13%/nm
以下がさらに好ましく、12%/nm以下が特に好ましい。これによ
って、第1層21におけるFe元素(Ni元素)の濃度勾配が必要以
に急になることを防止できる。この結果、厚み方向における触媒活性
と電子伝導性とのバランスの変化をより好適に生じさせることができ
る。【0046】
また、本明細書における「Fe率の増加割合」は、以下の手順に従っ
て測定されたものである。まず、TEM-EDXラインスキャンを実
施し、上述した各層の厚みの測定手順に従って、各層(導電性基材10、
第1層21、第2層22)を示す領域を特定する。そして、第1層の
始点と終点を接続する直線Lと、第2層の始点と終点を接続する直
線Lを設定する。そして、直線Lの傾きを「第1層におけるFe
率の増加割合(%/nm)」とし、直線Lの傾きを「第2層における
Fe率の増加割合(%/nm)」とする。【0047】
 また、第1層におけるFe率の平均値は、5%以上が好ましく、10
%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましく、20%以上が
特に好ましい。これによって、十分なNi-Fe酸化物を第1層に生
じさせることができるため、当該第1層における触媒活性を向上でき
る。一方、第1層におけるFe率の平均値は、45%以下が好ましく、
40%以下がより好ましく、35%以下がさらに好ましく、30%以
下が特に好ましい。これによって、十分な金属Niを第1層に生じさ
せることができるため、当該第1層における電子伝導性を向上できる。
【0048】また、第1層21の厚みTは、5nm以上が好ましく、
10nm以上がより好ましく、15nm以上が特に好ましい。一定以
上の厚みの第1層21を形成することによって、触媒層20全体の電
子伝導性をさらに改善できる。一方、第1層21の厚みTの上限は、
35nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以
下が特に好ましい。これによって、後述する第2層22の厚みT
十分に確保できるため、より優れた触媒活性を有する触媒層20を構
築できる。なお、「第1層21の厚みT」は、上記TEM-EDXラ
インスキャンにおいて触媒層とみなされた領域のうち、Fe率の増加
割合が0.17%/nm以上である領域(実質的なFe元素の濃度勾
配が生じている領域)を「第1層」とみなし、当該領域の厚みを測定
したものである。【0049】
また、第1層21は、第2層22と比べて緻密な層であることが好ま
しい。これによって、第1層21内で電子伝導パスが形成されやすく
なるため、触媒層20と導電性基材10との電子の授受をさらに促進
できる。具体的には、第1層21の緻密度は、50%以上が好ましく、
55%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、65%以
上が特に好ましい。一方で、第1層21の緻密度は、95%以下が好
しく、94%以下がより好ましく、93%以下がさらに好ましく、
92
%以下が特に好ましい。これによって、第1層21の表面積が増
大す
るため、酸素ガスの生成における触媒性能を向上できる。なお、
本明細書における「第1層の緻密度」と「第2層の緻密度」は、以下
の手順に従って算出したものである。先ず、TEM-EDXラインス
キャンを実施し、導電性基材と第1層と第2層の各々において、Ni
元素とFe元素とO元素のネットカウント数の和を算出する。次に、
導電性基材のネットカウント数の和を100%としたとき、第1層の
ネットカウント数の和の比率(%)を「第1層の緻密度」とする。同
様に、導電性基材のネットカウント数の和を100%としたとき、第
2層のネットカウント数の和の比率(%)を「第2層の緻密度」とす
る。【0050】
  また、第1層21におけるNi元素とFe元素の合計カウント数の
平均値は、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、30
%以上がさらに好ましく、35%以上が特に好ましい。これによって、
ある程度緻密な第1層21を形成できるため、第1層21における電
子伝導性を十分に確保できる。一方、第1層21におけるNi元素と
Fe元素の合計カウント数の平均値は、95%以下が好ましく、90
%以下がより好ましく、85%以下がさらに好ましく、80%以下が
特に好ましい。これによって、第1層21の表面積が増大するため、
酸素ガスの生成における触媒性能を向上できる。なお、「第1層21
におけるNi元素とFe元素の合計カウント数の平均値」は、上記高
Ni基準点における基準カウント数を100%とし、上記第1層21
とみなされた領域に存在する複数の測定点の合計カウント数の平均値
を算出することによって求めることができる。【0051】

(2-b)第2層
  第2層22は、第1層21の上に形成されている。本実施形態に係
る電極1では、触媒層20の表面20aに第2層22が配置されてい
る。上述した通り、この触媒層20の表面20aには、アニオン交換
膜130を介して、水素発生極120から水酸化イオンが供給される。
これに対して、本実施形態における第2層22は、Fe元素の含有量
が第1層21よりも多いという特徴を有している。このため、第2層
22では、触媒活性に優れたNi-Fe酸化物が多量に存在している。
これによって、触媒層20の表面20aにおいて特に効率よく酸素ガ
スを生成できる。【0052】
 また、第2層22では、第1層21と異なり、厚み方向ZにおけるFe
元素の濃度勾配が実質的に生じていない。具体的には、第2層22で
は、TEM-EDXラインスキャンに沿ったFe率の増加割合が0.
17%/nm未満となる。この第2層22は、多量のNi-Fe酸化
物が厚み方向Zにおいて均一に存在しているため、より優れた触媒活
性を発揮できる。なお、第2層22におけるFe率の増加割合は、0.
15%/nm以下が好ましく、0.13%/nm以下がより好ましく、
0.1%/nm以下が特に好ましい。これによって、第2層22にお
ける触媒活性をさらに向上できる。一方、第2層22におけるFe率
の増加割合の下限値は、特に限定されず、-0.17%/nm以上で
もよく、-0.1%/nm以上でもよく、0%/nm以上でもよく、
0.01%/nm以上でもよい。
【0053】なお、第2層22におけるFe率の平均値は、40%以
上が好ましく、45%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ま
しく、55%以上が特に好ましい。一方、第2層22におけるFe率
の平均値は、85%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、7
5%以下がさらに好ましく、70%以下が特に好ましい。これによっ
て、Ni-Fe酸化物を構成するFe元素とNi元素の両方が第2層
22に十分に存在するため、第2層22における触媒活性をより好適
に向上できる。【0054】
  さらに、本実施形態に係る電極1では、第1層21の厚みTに対す
る第2層22の厚みTの比率(T/T)が0.9以下である。
これによって、さらに優れた性能の電極1を実現できる。具体的には、
第2層22は、金属Niの含有量が少ないため、電子伝導性が低くな
る傾向がある。このため、第2層22が厚くなりすぎると、触媒層20
の表面20aから導電性基材10までの電子の授受が生じにくくなる。
これに対して、本実施形態に係る電極1では、第2層22の厚みT
が薄いため、導電性基材10までの電子の授受が第2層22によって
阻害されることを抑制できる。なお、触媒層20の電子伝導性をさら
に改善するという観点から、上記厚み比率(T/T)は、0.8
以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.6以下がさらに好
ましく、0.5以下が特に好ましい。また、優れた触媒活性を有する
第2層22を確保するという観点から、上記厚み比率(T/T
の下限値は、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、
0.15以上がさらに好ましく、0.2以上が特に好ましい。
【0055】なお、第2層22の厚みTの具体的な値は、30nm
以下が好ましく、25nm以下がより好ましく、20nm以下がさら
に好ましく、15nm以下が特に好ましい。これにより、触媒層20
の電子伝導性をより好適に向上できる。一方、触媒層20全体の触媒
活性を考慮すると、第2層22の厚みTの下限は、0.5nm以上
が好ましく、1nm以上がより好ましく、2nm以上が好ましく、3
nm以上が特に好ましい。なお、「第2層22の厚みT」は、上記
TEM-EDXラインスキャンにおいて触媒層とみなされた領域のう
ち、Fe率の増加割合が0.17%/nm未満である領域を「第2層」
とみなし、当該領域の厚みを測定したものである。【0056】

また、第2層22は、第1層21と比べて過疎な層であることが好ま
しい。これによって、第2層22の表面積が増大するため、酸素ガス
をさらに効率良く生成することができる。具体的には、第2層22の
緻密度は、50%以下が好ましく、48%以下がより好ましく、46
%以下がさらに好ましく、44%以下が特に好ましい。一方で、第2
層22の緻密度は、2%以上が好ましく、4%以上がより好ましく、
6%以上がさらに好ましく、8%以上が特に好ましい。これによって、
第2層22の強度を十分に確保できる。【0057】
また、第2層22におけるNi元素とFe元素の合計カウント数の平
均値は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%
以下がさらに好ましく、25%以下が特に好ましい。これによって、
第2層22の表面積が増大するため、より好適な触媒性能を発揮でき
る。一方、第2層22におけるNi元素とFe元素の合計カウント数
の平均値は、0.1%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、
1%以上がさらに好ましく、1.5%以上が特に好ましい。これによ
って、第2層22における電子伝導性をある程度確保できる。なお、
「第2層22におけるNi元素とFe元素の合計カウント数の平均値」
は、上述した「第1層21におけるNi元素とFe元素の合計カウン
ト数の平均値」と同様の手順で測定することができる。【0058】

(3)本実施形態の効果
  上記構成の電極1は、顕著に優れた電極性能を発揮できることが実
験で確認されている。ここに開示される技術を限定することを意図し
たものではないが、この電極性能の改善は、以下のような作用によっ
て生じると推測される。【0059】
まず、この電極1の触媒層20は、第1層21と第2層22とを含む
多層構造を有している。そして、下方Dの第1層21は、Ni元素に
対してFe元素が少ない高Ni領域を含む。このことから、第1層21
には、多量の金属Niが存在していると予想される。これによって、
導電性基材10と接している第1層21において、高い電子伝導性を
発揮できる。一方、上方Uの第2層22は、第1層21よりもFe元
素が多くなっている。このことから、この第2層22には、多量のNi
-Fe酸化物が存在していると予想される。かかる構成の触媒層20
では、水酸化イオンが直接供給される第2層22において、優れた触
媒活性を発揮できる。
【0060】  加えて、第1層21には、触媒層20の表面20aに向
かうにつれて、Fe量が増加するという濃度勾配が生じている。すな
わち、第1層21は、水酸化イオンが供給されやすい上方Uに向かう
につれて触媒活性が高くなる。一方、第1層21は、導電性基材10
に向かうにつれて、Ni量が増加し、かつ、Fe量が減少する。この
め、導電性基材10がある下方Dに向かうにつれて電子伝導性が高く
なる。このように、第1層21は、厚み方向Zにおける各地点におい
て、触媒活性と電子伝導性とのバランスが好適に変化している。

さらに、第2層22は、Ni-Fe酸化物を多く含むため、優れた触
媒活性を発揮する。一方で、第2層22は、金属Niの含有量が少な
いため、電子伝導性が低くなる傾向がある。このため、第2層22が
厚くなりすぎると、触媒層20の表面20aから導電性基材10まで
の電子の授受が阻害されるため、電極性能が却って低下する可能性が
ある。これに対して、本実施形態に係る電極1では、第1層21の厚
みTよりも第2層22の厚みTが薄くなっている。これによって、
触媒層20における電子の授受を適切に生じさせることができる。
  以上の通り、本実施形態における触媒層20は、厚み方向Zにおける
各地点において、触媒活性と電子伝導性とのバランスが好適に変化し
ている。これによって、非常に優れた電極性能を発揮できると予想さ
れる。【0063】

3.電極の製造方法
  図4は、電極の製造方法の一例を説明するフローチャートである。図
4に示すように、この電極の製造方法は、酸化工程S10と、Fe電
着工程S20とを備えている。

図4.電極の製造方法の一例を説明するフローチャート
(1)酸化工程
  酸化工程S10は、導電性基材10の表面に酸化ニッケル層を形成
する。例えば、導電性基材10がNi製である場合、当該導電性基材
10の表面を酸化させるとよい。これによって、均一な酸化ニッケル
層を容易に形成することができる。なお、導電性基材10の酸化処理
の一例として、電解酸化処理が挙げられる。この電解酸化処理では、
導電性基材10と対向電極とを電解液(アルカリ溶液など)に浸漬さ
せた状態で、導電性基材10と対向電極の間に電圧を加える。これに
よって、Ni製の導電性基材10の表面に、均一な酸化ニッケル層を
形成できる。なお、本工程は、導電性基材10の表面に酸化ニッケル
層を形成できればよく、電解酸化処理に限定されるものではない。例
えば、酸や酸化剤などを用いた化学的酸化処理を行っても、Ni製の
導電性基材10の表面に酸化ニッケル層を形成できる。また、加熱処
理によってNi製の導電性基材10の表面を酸化してもよい。また、
化学蒸着や物理蒸着などによって導電性基材10の表面に酸化ニッケ
ルを付着させてもよい。また、導電性基材10の表面にNi薄膜を形
成し、当該Ni薄膜を酸化させてもよい。これらの処理を使用した場
合には、Ni基材以外の導電性基材10の表面に酸化ニッケル層を形
成できる。【0065】
なお、酸化工程では、+3価の酸化ニッケルを含む酸化ニッケル層を
形成することが好ましい。これによって、後述のFe電着工程におい
てFe元素が酸化ニッケル層に導入されやすくなる。この結果、製造
後の触媒層20に多量のNi-Fe酸化物を存在させることができる。
一方、上述した通り、NiOは、Fe元素が導入されにくい。このた
め、酸化工程では、NiOが実質的に含まれないように酸化ニッケル
層を形成することが好ましい。なお、上述の酸化処理の中でも、電解
酸化処理や化学的酸化処理は、NiOの生成量が少なく、かつ、+3
価の酸化ニッケルの生成量が多いため、特に好適に採用することがで
きる。【0066】
(2)Fe電着工程
 次に、Fe電着工程S20は、導電性基材10表面の酸化ニッケル層
にFe元素を電着させる。これによって、酸化ニッケル層にFe元素
が導入されるため、Ni-Fe酸化物を含む触媒層20が生成される。
このFe電着工程S20では、上述した電解酸化処理と同様に、導電
性基材10と対向電極とを電解液に浸漬させた状態で、導電性基材10
と対向電極の間に電圧を加えるとよい。このとき、Fe元素を含む電
解液を使用することによって、酸化ニッケル層にFe元素を導入できる。
【0067】
ここで、この製造方法では、電解液中のFe濃度を少なくし、Fe電
着時の電圧を低くし、かつ、処理時間を短くする。これによってFe
元素の濃度勾配を有する第1層21と、多量のNi-Fe酸化物を均
一に含む第2層22とを形成できる。ここに開示される技術を限定す
ることを意図したものではないが、かかる構成の触媒層20は、以下
の作用によって形成されると推測される。まず、電解液中のFe濃度
を少なくすることによって、電着開始直後の酸化ニッケル層の表面に
多量のFeが導入されることを抑制する。これによって、触媒層20
の内部(下層側)に酸化ニッケル層が残留することを防止できる。次
に、Fe電着工程S20における電圧を低くすると、酸化ニッケル層
の内部までFe元素が除々に導入される。これによって、触媒層20
の下層側に、Fe元素の濃度勾配を有する第1層21が形成される。
一方で、Fe元素が直接導入される触媒層20の表面側には、多量の
Ni-Fe酸化物を均一に含む第2層22が形成される。ここで、処
理時間を短くし、かつ、電圧を低くすることによって、過剰な厚みの
第2層22が形成されることを防止できる。【0068】

なお、上述した電解液のFe濃度、Fe導入時の電圧、処理時間は、
特定の条件(数値)に限定されるものではない。上記構成の触媒層20
が適切に形成される条件は、導電性基材10の面積や表面粗さによっ
て変動するからである。但し、本発明者らが行った実験によると、電
解液のFe濃度を多くし、Fe導入時の電圧を高くすると共に、処理
時間を長くした場合、特許文献1に記載の触媒層(酸化ニッケル層と
NiFe層とを備えた触媒層)が形成されることが確認されている。
このことから、ここに開示される電極を量産するには、導電性基材の
種類を変更する度に、電解液のFe濃度とFe導入時の電圧と処理時
間の各々を段階的に低下させ、製造後の触媒層の構造を分析するとい
う予備実験を行うことが好ましい。これによって、適切な構造の触媒
層が形成できる条件で電極の量産を開始することができる。【0069】
  以上、本実施形態に係る電極1を製造する方法の一例について説明
した。なお、上述した説明は、ここに開示される電極を、特定の製造
方法によって製造されたものに限定することを意図したものではない。
例えば、化学蒸着などの他の手段を用いて、上述した多層構造の触媒
層を導電性基材の表面に形成した場合でも、非常に高い性能を有する
電極を実現することができる。【0070】
4.他の実施形態
以上、ここに開示される電極の一実施形態について説明した。しかし、
ここに開示される電極は、上述の実施形態に限定されない。例えば、図
2に示すように、上述した実施形態に係る電極1は、導電性基材10と
触媒層20からなる2つの部材で構成されている。しかし、ここに開示
される電極は、導電性基材と触媒層以外の層状部材を備えていてもよ
い。例えば、ここに開示される技術の他の実施形態では、触媒層(第
2層)のさらに上に接着層が形成されていてもよい。この接着層は、
イオン伝導性樹脂、触媒材料、導電材料などを主成分とした層である。
この接着層を有する電極は、水電解装置のイオン交換膜との密着性が
向上するため、セル性能の向上にさらに貢献できる。【0071】
[試験例]
  次に、ここに開示される技術に関する試験例を説明する。なお、ここ
に開示される技術は、以下の試験例に限定されるものではない。
1.試験用電極の準備
  本試験では、触媒層の構成が異なる5種類の試験用電極(例1~5)
を準備した。以下、各例の詳細を説明する。【0073】
(1)例1
(a)導電性基材の作製
  本試験では、まず、Ni製の導電性基材を作製した。具体的には、最
初に、住友電工株式会社製の多孔質Ni材料(ニッケルセルメット#
8)を200μmの厚みに圧延した。次に、圧延後のNi板から、面積
が25cmの導電性基材を切り出した。次に、エタノールとヘキサン
と水を用いて基材表面を順次洗浄した。その後、導電性基材の表面を
1mol/Lの塩酸で洗浄して酸化膜を除去した後に、水とエタノー
ルで塩酸を洗い流した。【0074】
(b)酸化処理
次に、電解酸化処理を行うことによって、導電性基材の表面に酸化ニ
ッケル層を形成した。具体的には、上記(a)導電性基材の作製と同
じ手順に従って、Ni製の対向電極(面積が30cmのNi板)を
作製した。次に、導電性基材と対向電極とを対向させた状態で1mo
l/LのKOH溶液に浸漬した。そして、導電性基材と対向電極との
間に電圧を加えることによって、基材表面に酸化ニッケル層を形成し
た。なお、この電解酸化処理では、電圧を1.7Vとし、処理時間を
3分間とした。【0075】
(c)Fe電着処理
  次に、Fe電着処理を行うことによって、基材表面の酸化ニッケル層
にFe元素を導入した。具体的には、まず、25mmol/LのFe
2+と、25mmol/Lの(NHSOと、1mmol/Lの
SOと、水とを混合することによって、混合液を調製した。そし
て、この混合液のpHを3以下に調整した後に、窒素による脱気処理
を行うことによってFe電着用電解液を調製した。次に、上記(a)
導電性基材の作製と同じ手順に従って、Ni製の対向電極(面積が30
cmのNi板)を作製した。そして、導電性基材と対向電極とを対
向させた状態でFe電着用電解液に浸漬した。そして、導電性基材と
対向電極との間に電圧を加えることによって、基材表面の酸化ニッケ
ル層にFe元素を導入した。これによって、例1の電極を作製した。
なお、例1におけるFe電着処理では、電圧を-1.3Vとし、処理
時間を3分間とした。【0076】     以下任意割愛

2.性能評価試験
  本試験では、各例の電極性能を評価するために、酸素発生反応(O
ER:Oxygen  evolution  reaction)におけ
る過電圧を測定した。本評価では、まず、作用電極と対電極と参照電
極とが水系電解液に浸漬された三電極式電気化学セルを構築した。具
体的には、作用電極には、各例の電極を1cmに切断したものを使
用した。対電極には、面積が18cmのAu製の基板を使用した。
参照電極には、銀-塩化銀(Ag/AgCl)参照電極を使用した。
また、水系電解液には、1mol/LのKOHを使用した。【0081】
  次に、上記構成の電気化学セルに対して、リニアスイーブボルタンメ
トリー(LSV)分析を実施することによって、OER活性における
過電圧を測定した。具体的には、本試験では、10mV/秒の掃引速
度で作用電極の電位を変化させながら水系電解液の分解を実施した。
そして、電流密度が10mA/cmに達したときの電位(V)を、
水系電解液の分解が開始した電位(換言すると、上述した式(1)お
よび式(2)の反応が開始する電位)を「第1電位E)」とみなして
測定した。また、本試験では、電流密度が20mA/cmに達した
ときの電位を「第2電位E」とみなして測定した。なお、第1電位
zEと第2電位Eは、可逆水素電極(RHE)に変換した電位値
である。そして、熱力学に基づいて算出した分解反応の理論電位(平
衡電極電位E)を1.23Vに設定し、以下の式(3)および式(
4)に基づいて第1過電圧V及び第2過電圧Vを算出した。第1
過電圧Vが同程度の2つの電極が存在する場合、第2過電圧V
小さい方が単位面積あたりの有効触媒担持量が多いと解釈できる。こ
れらの過電圧の算出結果を表1に示す。
      第1過電圧V=E-E      (3)
      第2過電圧V=E-E      (4)
【表1】
000003
表1に示すように、例1~3では、例4~5と比べて第1過電圧V
が低下していた。すなわち、例1~3の電極は、低電圧で水系電解液
の分解が開始するという優れた電極性能を発揮していた。さらに、例
1~3は、第2過電圧Vも低下していた。このことから、例1~3
の電極は、単位面積あたりの有効触媒担持量も多いと推測できる。ま
た、例1~3の電極の中でも、例3は、第1過電圧Vと第2過電圧
が特に顕著に低下していた。これらの点から、酸化処理とFe電
着処理を実施して電極を製造した場合、顕著に優れた電極性能を有す
る電極が製造される可能性があることが分かった。そして、各例の製
造条件を比較検討した結果、Fe電着処理の電圧と、処理時間と、Fe
電着用電解液中のFe濃度とを低下させると、電極性能が向上する傾
向があることが分かった。              この項続く

ト音記号 イラストや に対する画像結果 映画主題歌ベスト『Celine Dion /  My Heart Will Go On 』




 

 

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エネルギーと環境 276

2025年06月26日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代
の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

                   ミニひまわり に対する画像結果
【季語と短歌:6月27日】 

         小向日葵が一斉に咲きお辞儀する 

               高山 宇(黄鬼)

ミニひまわり プランター に対する画像結果


図1. 層状二酸化マンガンδ-K0.33MnO2nH2Oの水インターカレーション反応

図2. インターカレーションと表面吸着による二段階蓄熱の様子と、表面吸着水の状態
2025-06-24 東北大学他
✳️
100℃以下の熱も高密度で蓄えられるナノシート

【要約】
東北大学と日本原子力研究開発機構の研究チームは、層状二酸化マン
ガン(MnO₂)を厚さ数ナノメートルに微細化したナノシートを開発
し、100℃以下の低温域でも高密度に熱を蓄える新材料を実現した。
ナノ化によって比表面積が増大し、従来130℃で機能した層間インタ
カレーションに加え、60℃以下で表面吸着が寄与する二段階蓄熱メカ
ニズムを明らかにした。これにより、蓄熱エネルギー密度は約1.3倍
向上し、昼間の太陽熱を夜間暖房に利用するなど、低温廃熱の再利用
やカーボンニュートラル技術への応用が期待できるという。
注1. 蓄熱エネルギー密度
単位体積あるいは単位重量あたりの蓄熱材料に貯蔵可能な熱量。
注2. インターカレーション機構、インターカレーション反応。
層状構造などの結晶がその
結晶構造を保ったまま、イオンや分子を結晶構造中の空隙に収容する可逆的な化学反応。
注3. 表面吸着

イオンや分子が酸化物結晶などの表面に吸着する現象。
【詳細な説明】 
研究の背景 
蓄熱材料は、余剰な熱エネルギーを一時的に蓄え、必要なタイミング
で放出
することで、熱エネルギーの有効利用を促進する。例えば、工
場廃熱の回収、
昼間の太陽熱を利用した夜間暖房、自動車エンジンな
どの機器の暖気、熱電変
換あるいは中温域で稼働する蓄電池を利用す
るための熱源など様々な用途への
応用が期待されています。現在、相
変化型蓄熱材料(注4)や化学吸着型蓄熱材料
(注5)、物理吸着型蓄
熱材料(注6)、化学反応型蓄熱材料(注7)など多様な蓄熱材料
が提
案されていますが、蓄熱エネルギー密度・応答速度・可逆性などの諸
性能
をバランスよく兼備する材料の開発に難航。 
こうした中で注目されているのが、層状構造を有し層間にカリウム(
K)と
水分子(H2O)を含む二酸化マンガン(δ-K0.33MnO2・nH2O
)。本材料は、
130℃付近でインターカレーション機構により、環境中
の水分子を層間に繰り
返し収容・放出することが可能(参考文献1)。
このとき、層間に収容され
た水分子が外部に放出される際には熱の吸
収(吸熱反応)が、再び層間に取り
込まれる際には熱の放出(発熱反
応)が起こる(図1)。一連の反応は僅か
な体積変化で進行するため、
高密度かつ高速な蓄放熱が可能であり、130~
200℃の低温熱向け蓄
熱材料として有望視されています。加えて、層状二酸化
マンガンは安価
で毒性が低く、実用的観点でも利点の多い材料です。 

しかしながら、太陽熱をはじめとして、環境に膨大に存在する「100
℃以下
の低温未利用熱」をより有効に活用していくためには、インタ
ーカレーション
機構では依然として動作温度が 130℃付近と高いのが
現状であり、蓄熱反応そ
のものの低温化が不可欠です。また、現行の
層状二酸化マンガンでは、インタ
ーカレーション機構による水分子の
収容密度に制約があり、蓄熱エネルギー密
度を実用化レベルまで向上
させるためには、収容密度を飛躍的に増大させる新
たな材料設計が求
められている


図3. インターカレーションおよび表面吸着による水分子収容密度とシート厚みの関係を
示す幾何学モデル

【展望】
本研究成果である、インターカレーション水・表面吸着水の収容サイ
ト数とシート積層厚みの関係(図2)と、吸着状態の相違に基づくイ
ンターカレーション・表面吸着それぞれの蓄熱エネルギー密度への寄
与を解明したことは、インターカレーションと表面吸着の二段階蓄熱
メカニズムを用いた蓄熱性能設計の基盤になることが期待されます。
図3の幾何学モデルに基づく吸着量の観点からは、蓄熱エネルギー密
度の更なる向上には、少なくとも10層(約7 nm厚)以下に薄シート
化、究極的にはモノシート化することで表面吸着を積極的に活用する
ことが有効だと考えられます。今後は、より薄いシート構造を持つ層
状二酸化マンガンを作製し、吸着量が蓄放熱量へどの程度寄与するか
をより詳細に解明していく必要がある。また現時点では、吸着水の状
態は熱分析による推測に過ぎず、実際に物質内でどのように振舞って
いるかについては、エネルギー分光的な手法を用いたより詳細な検証
が必要になる。
【論文情報】
タイトル:Utilizing surface water adsorption on layered MnO2 nanosheets for enhan-
cing heat storage performance
著者:Hiroki Yoshisako*, Norihiko L. Okamoto, Kazuya Tanaka* & Tetsu Ichitsubo
掲載誌:Communications Chemistry
DOI:10.1038/s42004-025-01567-2

アニオン交換膜(AEM)水電解装置向け高性能電極の開発に成功~カーボンニュートラルの実現に向けて、水素を「つくる」分野で新技術~

✳️ アニオン交換膜(AEM)水電解装置向け高性能電極

北海道大学,川崎重工業株式会社 2025.6.2

北海道大学と川崎重工業は、アニオン交換膜(AEM)水電解装置向け

の高性能電極を共同開発し、ラボスケール試験で世界最高水準の電解
効率4.23 kWh/Nm³を達成しました。これは現行技術より約10%の省
エネを実現し、欧州の目標値(4.30 kWh/Nm³)も上回る成果。
本技術は、貴金属使用量の削減と装置の小型化・低コスト化に寄与し、
カーボンニュートラル実現に向けた水素製造の新技術として期待され
ている。



現在、販売されている水電解装置の主な水電解方式には、アルカリ水
解、プロトン交換膜(PEM)水電解がありますが、このたび、北海
道大学と川崎重工が水素製造の効率化に成功したアニオン交換膜水電
解(以下「AEM水電解」)は、商用化された製品は少ないものの、これ
までの主な水電解方式と比べて、高価な貴金属の使用量を抑えること
ができ、低コストで高性能が見込める方式として、将来の適用が期待
されている。
【概要】
北海道大学と川崎重工は、本共同研究により、北海道大学が有する表面
処理技術と、川崎重工の水電解装置の知見を合わせて、AEM水電解にお
ける電解効率を高める電極を開発した。 電気分解を行う電解槽の性能
は、水素製造原単位という、水素 1Nm3を製造するのに必要な電力量
(kWh)で評価されいる。今回、共同開発した電極を使用してラボス
ケールで電解試験を行った結果、世界最高レベルの性能である4.23 kWh
/Nm3(電流密度1.5A/cm2)を達成した。これは、現在、商用化され
ているAEM水電解装置の4.8 kWh/Nm3と比べて、約10%のエネルギ
ー削減に相当するだけでなく、水素技術の研究とイノベーション活動
の支援を目的とした欧州の官民パートナーシップ「Clean Hydrogen
Partnership(※2)」が定める、2030年の AEM開発目標値4.30 kWh/
Nm3をも達成している(※3)。大きな電流密度の条件で、小さな電圧
による水素製造を実現することで、本共同開発のAEM水電解装置の少
ない設置面積・機器容量および優れた省エネルギー性が、水素普及の
大きな課題である水素コストの低減に貢献することが可能となる。
本共同研究では耐久性向上やスケールアップ等に向けて研究を継続す
るとともに、川崎重工では、電解槽全体の貴金属の使用量ゼロを目指
し、開発を進めます。また、今後は、他社との協業も視野に入れ、製
品化に向けた取り組みを推進し、水素社会の早期実現に貢献する。 


※1 水電解装置:水を電気分解することで水素を製造する装置。主な
水電気分解技術は以下の通り。 
・アルカリ水電解(AWE):Alkaline Water Electrolysis の略。水酸化
カリウム水溶液に電極を挿入し電圧を印加して水や水蒸気(H2O)を
電気分解し、水素を取り出す技術。 
・プロトン交換膜(PEM):Polymer Electrolyte Membraneの略。電
流が印加されると、水素プロトンが膜を通過し、陰極側に水素ガスが
生成される技術。 
・アニオン交換膜(AEM):Anion Exchange Membraneの略。陽極と
陰極の電極でアニオン交換膜を挟み水と反応させることで、陽極側で
水から水素(H₂)と水酸化物イオン(OH-)を生成させ、水酸化物イ
オン(OH-)がアニオン交換膜を通り陰極に移動し、陰極側で水(H₂
O)と酸素(O₂)を生成する技術。 
※2 Clean Hydrogen Partnership:クリーンな水素の生産、流通、貯
蔵、最終用途のアプリケーションを刺激することを目的として、水素
および燃料電池技術の研究と革新活動を行うことを任務とする制度化
された欧州のパートナーシップ。
HP:https://www.clean-hydrogen.europa.eu/index_en 
※3 今回の評価セルは、北海道大学の開発電極を陽極に、プラチナ触
媒電極を陰極に使用。Clean Hydrogen Partnershipが定める2030年の
AEM開発目標は貴金属フリーでの目標設定となるため、今後、貴金属
フリーかつ高性能な電解槽の開発を目指す。
                           つづく 

二酸化炭素と水、電気からプラスチックを製造する新技術を開発(Making Plastic from Carbon Dioxide, Water, and Electricity)
図:電気化学的CO2還元(eCO2R)と有機金属重合触媒を統合するこ
とにより、CO2のみを原料
とする非生物由来ポリマーを生成する新た
なシステムを開発しました。このシステムは、CO2
からポリマーへの
化率14%、電流ポリマーへの効率51%を達成しています。また、
なる電極触媒を組み合わせることで、eCO2Rから得られる生成物組
成を調整する戦略も導入
いたた。eCO2R由来の潜在的毒物の存在下でも
CO-エチレン共重合活性は維持される。

✳️ CO2、水、電気でプラスチックプラスチック;タンデム電気化学的

      CO2還元と熱学的エチレン-CO共重合   2025.4.7
概要】カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究チームは、二酸化
炭素(CO₂)、水、電気のみを用いてプラスチックを合成する二段階プ
ロセスを開発した。第1段階ではCO₂を電気化学的に還元してエチレン
と一酸化炭素を生成し、第2段階でそれらをパラジウム触媒下で共重合
して耐久性の高いポリケトンプラスチックを製造。従来は化石資源を
必要としたが、本手法は完全に再生可能資源由来で、カーボンニュー
トラルな製造が可能。今後は分子制御やスケールアップが課題となる
が、CO₂資源化の新たな道を示す重要な技術である。
【掲載誌】
・Plastic from CO2, Water, and Electricity: Tandem Electrochemical
 CO2 Reduction and Thermochemical Ethylene-CO Copolymerization
・Angewandte Chemie International Edition  Published: 07 April 2025


過電圧が加えられた白金―タングステン固溶合金ナノ粒子から、
水素ガスが発生するイメージ図
✳️ 固溶白金・タングステン合金ナノ粒子で水素発生電極触媒
日本曹達株式会社 (同社内千葉研究所) 小林大哉 研究員らと京都大学
大学院理学研究科 北川宏 教授らのグループは、新たに白金とタングス
テンの固溶合金(1)ナノ粒子 (白金-タングステン固溶合金) の合成に成
功した。また、この白金-タングステン固溶合金を用いた水の電気分
解による水素発生反応 (Hydrogen evolution reaction (HER))(2)にお
いて、触媒活性の世界最高レベルの高性能化を達成した。 
HERは白金原子上におけるプロトン(水素イオン)の還元反応(3)と、
それに続く吸着水素原子間の結合反応(4)によって、水から水素ガスを
発生する反応であり、化石燃料に代わるクリーン燃料の水素の製造方
法として極めて重要な技術です。HERにおいて、白金は最も高活性な
元素であることが知られていますが、白金の地殻存在量は極めて低く、
かつ高価なため、白金を用いた触媒には更なる効率化が求められてい
ます。今回開発した白金-タングステンの新規な固溶合金は、10 mA
/cm2(ミリアンペア毎平方センチメートル)の電流密度(5)に必要な過
電圧が、従来の白金単体の触媒と比較して7割程度でよく、高効率な水
素発生触媒であることが明らかとなりました。さらに、単位白金質量
当たりの水素発生効率が白金よりも3.6倍高く、性能が劇的に向上する
ことを確認した。
<論文タイトルと著者> 
タイトル:Significant Enhancement of Hydrogen Evolution Reaction
Activity by Negatively Charged Pt through Light Doping of W(タ
ングステンのライトドーピングによって負に帯電した白金による水素
発生反応活性の大幅な向上) 
掲 載 誌:Journal of the American Chemical Society
DOI:10.1021/jacs.0c07143

Abstract Image

✳️特許事例:高品位水電解装置及びシステム構成
1️⃣特
開2025-75699 電極および水電解装置 ノリタケ株
式会社(審査前)
【要約】 ここに開示される電極1は、導電性基材10と、少なくとも
Ni-Fe酸化物と金属Niとを含む触媒層
20とを備えている。こ
の触媒層20は、導電性基材10
の上に形成された第1層21と、第
1層21の上に形成
され、Fe元素の含有量が第1層よりも多い第2
層22
とを備えている。そして、導電性基材10から触媒層20の表
面20aに向かう元素分析において、第1層21におけるFe率の増
加割合が0.17%/nm以上であり、
第2層22におけるFe率の
増加割合が0.17%/nm
未満である。そして、第1層21の厚み
に対する第2
層22の厚みTの割合が0.9以下である。かか
る構成
電極1は、水電解装置用の電極として優れた性能を発揮でき
る。優れた電極性能を発揮できる水電解装置用の
電極を提供する。

000002

図1 一実施形態に係る水電解装置を模式的に示す断面図

【符号の説明】  1      電極  10    導電性基材  20    触媒層  21    
第1層
  22    第2層  100  水電解装置  110  酸素発生極(アノ
ード)
  111  第1基材  112  第1触媒層  120  水素発生極(カ
ソード)
  121  第2基材  122  第2触媒層  130  アニオン交換
  140  導電ライン  150  電源  162  水供給路  164  酸素回
収管
  166 水素回収管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
  導電性基材と、
  前記導電性基材の表面に形成され、少なくともNi-Fe酸化物と金
属Niとを含む触媒層と
を備え、
  前記触媒層は、
    前記導電性基材の上に形成されており、Ni元素の含有量よりもFe
元素の含有量の方が少ない高Ni領域を含む第1層と、
    前記第1層の上に形成され、Fe元素の含有量が前記第1層よりも
多い第2層と  を備えており、
  前記導電性基材から前記触媒層の表面に向かうTEM-EDXライン
スキャンにおけるNi元素とFe元素の総カウント数に対する前記Fe
元素のカウント数の比率をFe率(%)としたとき、
  前記第1層は、前記TEM-EDXラインスキャンに沿った前記Fe
率の増加割合が0.17%/nm以上であり、
  前記第2層は、前記TEM-EDXラインスキャンに沿った前記Fe
率の増加割合が0.17%/nm未満であり、
  前記第1層の厚みに対する前記第2層の厚みの割合が0.9以下であ
る、電極
【請求項2】
  前記第1層は、前記TEM-EDXラインスキャンに沿った前記Fe
率の増加割合が3.17%/nm以上である、請求項1に記載の電極
【請求項3】
  前記第1層における前記Fe率の平均値が5%以上45%以下である、
請求項1に記載の電極
【請求項4】
  前記第2層における前記Fe率の平均値が40%以上85%以下であ
る、請求項1に記載の電極
【請求項5】
  前記触媒層の断面の電子顕微鏡観察に基づいた前記第2層の緻密度が
50%以下である、請求項1に記載の電極
【請求項6】
  前記触媒層の断面の電子顕微鏡観察に基づいた前記第1層の緻密度が
50%以上である、請求項1に記載の電極
【請求項7】
  前記触媒層は、BCC構造の金属Feを実質的に含有しない、請求項
1に記載の電極
【請求項8】
  前記触媒層は、NiOを実質的に含有しない、請求項1に記載の電極
【請求項9】
  前記導電性基材は、Ni基材である、請求項1に記載の電極
【請求項10】
  第1基材の表面に第1触媒層を有する酸素発生極と、
  第2基材の表面に第2触媒層を有する水素発生極と、
  前記酸素発生極と前記水素発生極との間に介在するアニオン交換膜と、
  前記第1触媒層の表面近傍に取り付けられた水供給管と、
  前記第1基材と前記第2基材とを電気的に接続する導電ラインと
を備えており、
  前記酸素発生極が、請求項1~9のいずれか一項に記載の電極である
ことを特徴とする、水電解装置
【発明の詳細な説明】

 エネルギー問題や環境問題の観点から、再生可能エネルギーを電力に
変換する技術(太陽電池や風力発電など)が種々提案されている。し
かし、再生可能エネルギーを電力の状態で貯蔵すると、大規模な蓄電設
備が必要になるため、設備コストが高騰する原因になる。そこで、近年
では、電力を使用して水系電解液(アルカリ水溶液など)を酸素と水素
に分解する水電解装置が提案されている。これによって、再生可能エネ
ルギーを有用ガスに変換できるため、再生可能エネルギーの貯蔵に要す
る設備コストを低減できる
【0003】この種の水電解装置の一例として、AEM型水電解装置
が挙げられる。AEM型水電解装置では、アニオン交換膜(Anion
  Exchange  Membrane)を介して、酸素発生極(アノー
ド)と水素発生極(カソード)とが対向している。そして、特許文献1
(国際公開第2022/250119号)には、AEM型水電解装置
酸素発生極の一例が開示されている。具体的には、特許文献1に記載の
電極(触媒)は、ニッケル基材上に、NiOOHを含む酸化ニッケル層
と、NiFeを含む層と、をこの順に有する。上記構成の電極は、ニ
ッケル基材とNiFe層との間に酸化ニッケル層が介在しているため、
アルカリ環境下でも、優れた耐久性と触媒活性を発揮できるとされてい
る。なお、特許文献1には、ニッケル基材に対して酸化工程とFe電着
工程を実施することによって、上記構成の電極が製造される旨が開示さ
れている。
【図面の簡単な説明】【0022】

図2は、一実施形態に係る電極を模式的に示す断面図

図3は、各層におけるFe率の増加割合の算出方法を説明するグラフ

図4は、電極の製造方法の一例を説明するフローチャートる。

図5(a)は、例1の断面TEM写真(650,000倍)でありb~(
d)はそれぞれEDX分析に基づいたFe,O,Niの元素マップ

図6(a)は、例2の断面TEM写真(2500,000倍
)であり、
図6(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたFe,O,Niの
元素マップ

図7(a)は、例3の断面TEM写真(2500,000倍)であり、
図7(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたFe,O,Ni
の元素マップ

図8(a)は、例4の断面TEM写真(1250,000倍)であり、
図8(b)~(d)はそれぞれEDX分析に基づいたFe,O,Ni
の元素マップ
図9は、TEM-EDXラインスキャンに基づいた例1のFe率の勾
配を示すグラフ。
図10は、TEM-EDXラインスキャンに基づいた例2のFe率の
勾配を示すグラフである。
図11は、TEM-EDXラインスキャンに基づいた例3のFe率の
勾配を示すグラフ
図12は、例3のNi元素の酸化状態を示す測定結果
図13は、例3のFe元素の酸化状態を示す測定結果図14は、例5
のNi元素の酸化状態を示す測定結果
図15は、例5のFe元素の酸化状態を示す測定結果。

【発明を実施するための形態】
1.水電解装置
まず、ここに開示される電極が使用される水電解装置について説明する
。図1は、本実施形態に係る水電解装置を模式的に示す断面図である。
なお、以下は電極の用途の一例を説明するものであり、ここに開示さ
れる技術の用途を限定することを意図したものではない。
【0025】
  図1に示す水電解装置100は、AEM型水電解装置である。かかる
水電解装置100は、酸素発生極(アノード)110と、水素発生極
(カソード)120とを備えている。酸素発生極110は、第1基材1
11の表面に第1触媒層112を有する電極である。詳しくは後述す
るが、この酸素発生極110に、本実施形態に係る電極1が使用され
る。一方、水素発生極120は、第2基材121の表面に第2触媒層
122を有する電極である。そして、酸素発生極110と水素発生極
120との間には、アニオン交換膜130が介在している。なお、酸
素発生極110を除く部品は、この種の水電解装置で使用され得る部
品を特に制限なく使用できるため、詳細な説明を省略する。
【0026】
  また、水素発生極120には、水供給路162が取り付けられている。
この水供給路162を通じて水素発生極120に水系電解液が供給さ
れる。水系電解液としては、NaOH水溶液などのアルカリ水溶液が
好適に使用される。また、酸素発生極110には、酸素回収管164
が取り付けられている。この酸素回収管164は、第1基材111を
貫通し、第1触媒層112と接続されている。一方、水素発生極120
には、水素回収管166が取り付けられている。水素回収管166は、
第2基材121を貫通し、第2触媒層122と接続されている。
【0027】
  次に、酸素発生極110と水素発生極120は、導電ライン140に
よって電気的に接続されている。具体的には、導電ライン140は、酸
素発生極110の第1基材111と、水素発生極120の第2基材12
1とを接続している。また、この導電ライン140上には電源150
が設置されている。電源150には、例えば、再生可能エネルギーを
電力に変換する発電機(太陽電池や風力発電機など)が用いられる。
 次に、この水電解装置100の動作について説明する。まず、この
電解装置
100では、水供給路162から水素発生極120に水系電
解液が供給される。また、水素発生極120には、電源150から電
子(e)が供給される。このとき、水素発生極120では、水系電
解液(HO)が水素ガス(H)と水酸化イオン(OH)に分解さ
れる(下記の式(1)参照)。そして、水素発生極120で生じた水素
ガスは、水素回収管166から回収される。一方、水素発生極120
で生じた水酸化イオンは、アニオン交換膜130を通って酸素発生極
110に移動する。これによって、酸素発生極110では、下記の式(2)
に示すように、酸素ガス(O)と水(HO)が生じる。そして、酸
素ガスは、酸素回収管164から回収される。また、水は、排液管(
図示省略)を通じて装置外部に排出される。以上の通り、この水電解
装置
100によると、電源150で生じた電力を酸素ガスと水素ガス
に変換することができる。
      4HO+4e→2H+4OH          (1)
      4OH→O+2HO+4e            (2)

                         この項つづく                  
ト音記号 イラストや に対する画像結果
     『バッハ《ミサ曲 ロ短調》全曲 マゼール指揮/ベルリン放送響』 

                         



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エネルギーと環境 275

2025年06月25日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代
の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

                 

【季語と短歌:6月26日】 

         愛おしや凌霄花梅雨晴間 

                高山 宇(可憐鬼)

🪄眠れぬ夜の徹夜明け。さたやみの凌霄花の手入れする妻。


有機高分子光触媒

🟡 日本発革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

✳️蟻酸製造光触媒法
1️⃣ 特許7678511 蟻酸生成装置 飯田グループホールディングス株
式会社他(有効)※ブログ掲載済み(エネルギーと環境 261)

※1︓蟻酸は、水素と二酸化炭素からなる有機物の一種であり、常温
常圧で液体であることから、水素エネルギーの貯蔵媒体。例えば、本
全自動制御システムで製造する10%の蟻酸水溶液20 Lには、約1,000
L
相当の水素が含まれており、これは約3kWhのエネルギーに相当し、
日本の家庭で一日に必要なエネルギーの1/5に相当。このことからも、
蟻酸は水素エネルギーを安全に貯蔵・運搬できる物質として非常に有
益な有機物といわれている。(公知日:2025/05/16)


大阪公立大学との共同研究「人工光合成技術」において 世界最高水準

の蟻酸生成効率を実現(2025年4月29日)

2️⃣特許第7207672号 蟻酸生成装置 飯田グループホールディングス
株式会社他
(【特許請求の範囲】
【請求項1】
  二酸化炭素を還元して蟻酸を生成するための蟻酸生成装置であって、
  電解液を収容する第1収容室と、
  前記電解液及び二酸化炭素を収容する第2収容室と、
  前記電解液に接した状態で前記第1収容室に配置されるアノード電極
と、前記電解液に接した状態で前記第2収容室に配置されるカソード
電極と、前記アノード電極及び前記カソード電極に電圧を印加するた
めの外部電源と、を備え、前記カソード電極は、二酸化炭素還元触媒
を担持するための多孔質の導電性を有する炭素材料と、該炭素材料を
挟む同一の一対の集電板とを有して構成され、前記一対の集電板は、
複数の開口が形成された開口領域と、該開口領域を取り囲む位置に設
けられる非開口領域を有し前記一対の集電板は、前記電解液に対し
電気化学的に不活性な樹脂材料により形成され、
前記炭素材料は、前
記開口領域と重なる位置に配置されている
ことを特徴とする蟻酸生成

装置。
【請求項2】
  前記カソード電極は、一方側が前記電解液に接するとともに他方側が
前記二酸化炭素に接した状態で前記第2収容室に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載の蟻酸生成装置。
【請求項3】
  前記一対の集電板のそれぞれは、前記開口領域において前記炭素材料
と電気的に接続される導電性のメッシュ状部材を有し、前記メッシュ
状部材は、複数の開口から構成されたハニカム構造を有することを特
徴とする請求項1又は請求項2に記載の蟻酸生成装置。
【請求項4】
  前記カソード電極は、気体透過性膜と、第1ガスケット、第2ガスケ
ット及び第3ガスケットからなる複数のガスケットと、第1炭素材料
と第2炭素材料からなる一対の炭素材料と、第1集電板と第2集電板
からなる一対の集電板とを有し、
  前記第1集電板と前記第2集電板との間には前記第1ガスケットに支
持された前記第1炭素材料と前記第2ガスケットに支持された前記第
炭素材料が配置され、
  前記第1炭素材料と前記第2炭素材料との間には前記第3ガスケット
に支持された前記気体透過性膜が配置されることを特徴とする請求項
1乃至3の何れか1項に記載の蟻酸生成装置。
【請求項5】
  前記カソード電極は、半透膜と、第1枠体と第2枠体からなる一対の
枠体と、集電板と、仕切板とを有するとともに、前記半透膜、前記第
1枠体、前記集電板、前記第2枠体、前記仕切板がこの順に配置され、
  前記第1枠体は、平面視で矩形状に形成されるとともに中央部に第1
貫通孔が形成され、上下に第1切欠き部と第2切欠き部が形成され、
前記第2枠体は、一対の垂直部と該垂直部に略直交する一対の水平部
を有するとともに、前一対の垂直部と前記一対の水平部により第2貫
通孔が形成され、前記一対の水平部にはそれぞれ流入口と流出口が形
成され、前記一対の垂直部の一方には吸気孔が形成されるとともに前
記一対の垂直部の他方には排気孔が形成され、
  前記集電板には、上下に一対の第1開口と第2開口が形成され、
 前記半透膜、前記一対の枠体、前記集電板及び前記仕切板に封止され
た状態で、前記電解液が前記流入口、前記第1開口、前記第1切欠き
部、前記第1貫通孔、前記第2切欠き部、前記第2開口、前記流出口
をこの順に通過し、前記二酸化炭素は前記吸気孔、第2貫通孔及び前
記排気孔をこの順に通過することを特徴とする請求項1乃至3の何れ
か1項に記載の蟻酸生成装置。

【要約】炭素材料を電極に使用して電力損失を減少させるとともに、
耐久性を有する蟻酸生成装置を提供する。二酸化炭素を還元して蟻酸
を生成するための蟻酸生成装置1は、電解液100を収容す
る第1収
容室11と、前記電解液100及び二酸化炭素を収容する第
2収容室
12と、前記電解液100に接した状態で前記第1収容室11
に配置
されるアノード電極21と、前記電解液100に接した状態で前
記第
2収容室12に配置されるカソード電極22と、前記アノード電
極21
及び前記カソード電極22に電圧を印加するための外部電源と、
を備
え、前記カソード電極22は、二酸化炭素還元触媒を担持するた
めの
多孔質の導電性を有する炭素材料と、該炭素材料を挟む一対の集
電板
とを有して構成され、前記一対の集電板は、複数の開口が形成さ
れた
開口領域と、該開口領域を取り囲む位置に設けられる非開口領域
を有
している。

【図1】本発明の第1の実施形態に係る蟻酸生成装置の構成例を表す模式図
【符号の説明】  1  蟻酸生成装置、11  第1収容室、12  第2収容室、21  アノード電
極、22  カソード電極、40  炭素材料、50  集電板、50a  開口領域、50b  非開口
領域、61  メッシュ状部材、70  気体透過性膜、81  第1ガスケット、82  第2ガスケ
ット、83  第3ガスケット、100  電解液、141  第1炭素材料、142  第2炭素材料、
151  第1集電板、152  第2集電板、210  第1枠体、210a  第1貫通孔、211
  第1切欠き部、212  第2切欠き部、220  第2枠体、220a  垂直部、220b  
水平部、220c  第2貫通孔、221  流入口、222  流出口、223  吸気孔、224  
排気孔、230  集電板、231  第1開口、232  第2開口、240  仕切板、
【発明の効果】  本発明によれば、電力損失を減少させるとともに、耐
久性を有する蟻酸生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】

【図2】本発明の第2の実施形態に係る蟻酸生成装置の構成例を表す模式図である。

【図3】本発明の第1の実施形態に炭素材料及び集電板の斜視図である。

【図4】本発明の第1の実施形態に係る集電板の平面図である。

【図5】本発明の第3の実施形態に係る蟻酸生成装置のカソード電極の分解斜視図である。

【図6】本発明の第4の実施形態に係る蟻酸生成装置の電解ユニットの構成例を表す模式図
である。
【発明を実施するための形態】  まず本発明の実施形態に係る蟻酸生成装置について説明す
る。なお、共通の構成要素については、共通の指示符号を図中に付して説明する。また、本
発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更
可能であることは言うまでもない。
図1は、本発明の実施形態に係る蟻酸生成装置1の構成例を表す模式図である。蟻酸生成装
置1は、水と大気中あるいは排気二酸化炭素から人工光合成により蟻酸を生成するものであ
る。蟻酸生成装置1は、第1収容室11と、第2収容室12と、第1収容室11に配置され
るアノード電極21と、第2収容室12に配置されるカソード電極22と、アノード電極2
1及びカソード電極22に電圧を印加するための外部電源(不図示)とを備える。蟻酸生成
装置1は、例えば図示しない太陽電池に接続して使用されてもよい。なお、水に代えて、炭
酸水素カリウム水溶液を使用してもよい。【0020】
  第1収容室11には、電解液100が収容されるとともに、電解液100に接した状態でア
ノード電極21が配置される。アノード電極21では、水を分解して水素イオンと電子が得ら
れる。第1収容室11と第2収容室12との間には、水素イオンを選択的に透過するような
半透膜(ナフィオン膜)23が配置されている。
【0021】第2収容室12には、電解液100及び二酸化炭素が収容される。第2収容室
12には、二酸化炭素が溶解した電解液100に接した状態でカソード電極22が配置され
る。カソード電極22では、アノード電極21により水を分解して得られる水素イオンと電
子を利用して、カソード電極22に担持された二酸化炭素還元触媒(例えば、Ru錯体等)に
おいて、大気中の二酸化炭素及び/又は排気二酸化炭素から人工光合成により蟻酸が生成さ
れる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る蟻酸生成装置1の構成例を表す模式図である。図2
に示すように、第2収容室12を電解液100が収容される第1収容空間12aと二酸化
炭素が供給される第2収容空間12bとに分割し、カソード電極22の一方側が電解液10
0に接するとともに他方側が二酸化炭素に接することとしてもよい。
  蟻酸生成装置1では、水と大気中あるいは排気二酸化炭素から人工光合成により蟻酸が生
成される。以下、蟻酸の生成過程について説明する。
  アノード電極21では、水を分解して水素イオンと電子が得られる。アノード電極21と
カソード電極22は導線で接続されており、アノード電極21で生成された電子はカソード
電極22へと送られる。アノード電極21で生成された水素イオンは、半透膜23を透過し
てカソード電極22側へ移動する。カソード電極22は、アノード電極21により水を分解
して得られる水素イオンと電子を利用して、大気中の二酸化炭素及び/又は排気二酸化炭素
から人工光合成により蟻酸を生成する。
【0025】
  蟻酸生成装置1は、光化学反応装置として使用される。使用時には、カソード電極22に
が照射される構造とすることが好ましい。カソード電極22に光を照射する光源としては、
太陽、人工光源等を用いることができる。
【0026】
  蟻酸生成装置1では、まずアノード電極21において下記(1)式に示すように、水が分解
され酸素と水素イオンと電子が生成される。
2HO→O+4H+4e  ・・・(1)
【0027】
  アノード電極21は上記反応が生じる手段であれば特に限定はされないが、例えば、光触
媒を担持した基板のような水分解デバイスが用いられる。
【0028】
  カソード電極22では、光反応(人工光合成)プロセスを経て水素イオンと電子、及び二
酸化炭素から蟻酸が生成される(下記式(2))。この時、アノード電極21で生成した水
素イオンと電子が消費される。また、二酸化炭素は、大気中及び/又は他の機関からの排
ガス中に存在するものを利用することができる。
CO+2H+2e→HCOOH  ・・・(2)
【0029】  カソード電極22は、炭素材料40と、炭素材料40を挟む一対の集電板5
0とを有して構成されている。図3は、炭素材料40及び集電板50の斜視図である。
【0030】  炭素材料40は、二酸化炭素還元触媒を担持するための多孔質の導電性を有
している。具体的には、炭素材料40は、カーボンファイバーなどの均一な薄膜によって構
成され、二酸化炭素を還元するための導電性材料である。炭素材料40の厚みは特に限定さ
れるものではないが、薄い方が望ましい。
【0031】  一対の集電板50は、同一の構成を有している。各集電板50は、正面視で矩
形状に形成された板状部材である。集電板50は、炭素材料40を覆うことができる程度の
大きさであることが好ましい。各集電板50は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
ガラスエポキシ等の電解液100に対し電気化学的に不活性な樹脂材料により形成されてい
ることが望ましい。集電板50における両側の面のうち炭素材料40側の面は第1面51と
され、反対側の面は第2面52とされる。電気化学的に不活性な樹脂材料により形成された
2枚の集電板50により炭素材料40を挟み込むことで、カソード電極22は構造体として
高い剛性を確保することができる。また、集電板50の面積を大きくすれば、体積抵抗率が
高くても大面積化時の電極全体としての抵抗は、小面積時の抵抗に保ったままにすることが
できる。すなわち、オーミック損失を抑えて大電流を流すことができる。なお、2枚の集電
板50を、螺子や磁石等により結合することにより、更に剛性を高めることができる。
【0032】  ここで、例えば炭素薄膜が円形に形成されていると仮定した場合、直径Dを
有する炭素薄膜(表面抵抗率:ρs)の中心から外径迄の2点間抵抗Rsは、中心に配置し
た単芯棒(直径d)で測定したとして、以下の(3)式により算出される。
【数1】000002
【0033】  炭素薄膜の直径Dが100cm、探針棒の直径dが1mmの場合、抵抗値R
sは1.10ρsとなる。一方、本実施形態では、どのような直径の炭素薄膜でも、その抵抗
値は、各開口部の大きさによってのみ決まり、円形開口部の直径が1cmの場合、抵抗値R
sは0.37ρsに低減される。
【0034】
  図4は、集電板50の構成を示す図である。図4(a)は、集電板50の第1面51の構成
を示し、図4(b)は、集電板50の第2面52の構成を示している。図示するように、集
電板50には開口領域50aと、非開口領域50bが設けられている。開口領域50aは集
電板50の中央部分に形成され、非開口領域50bは開口領域50aを取り囲む位置に設け
られている。開口領域50aは、炭素材料40が配置される場所である。電解液100及び二
酸化炭素との接触面積を増加させることが望ましいことを考慮すると、開口領域50aは、炭
素材料40よりも広い面積を有するように形成されていることが望ましい。
【0035】
  開口領域50aは、複数の開口により構成されており、各開口の形状は、円形状、多角形
状等、特に限定されるものではない。集電板50における開口領域50aが占める面積の割
合は、特に限定されるものではないが、開口領域50aが占める割合が低いほうが望ましい。
【0036】
    図4(a)に示すように、第1面51側にはメッシュ状部材61と、メッシュ状部材61
の周囲に設けられる接続部材62と、複数の電極63が設けられている。メッシュ状部材6
1は、集電板50において開口領域50aに対応する箇所に設けられている。各電極63は、
第1面51側における集電板50の両側において設けられ、外部電源に接続される。接続
部材62は、非開口領域50bにおいてメッシュ状部材61と複数の電極63とを接続す
るように設けられている。メッシュ状部材61、接続部材62及び複数の電極63は、それ
ぞれ薄膜程度の厚みを有していればよく、例えばメッキによって製造されている。このよう
にすることで、金属の使用量を大幅に削減することができ、調達コストや環境負荷コストを
削減することができる。
【0037】
  メッシュ状部材61は、開口領域50a全体に亘って配置されている。具体的には、メッシ
ュ状部材61は、開口領域50aを構成する複数の開口それぞれの周囲に設けられる導電性の
配線パターンである。なお、一部の開口の周囲にはメッシュ状部材61が設けられなくても
よい。メッシュ状部材61が設けられる位置には炭素材料40が配置され、メッシュ状部材
61と炭素材料40は電気的に接続される。
【0038】
  メッシュ状部材61は、開口領域50aを構成する開口の形状と同じ形状であればよく、
例えば開口領域50aが六角形の複数の開口から構成されたハニカム構造を有しているの
であれば、メッシュ状部材61も複数の開口から構成された導電性のハニカム構造を有して
いればよい。開口領域50aがハニカム構造を有することにより、集電板50の強度を高め
ることができる。但し、導電性を有し、複数の開口が形成されているのであれば、メッシュ
状部材61はハニカム構造に限定されるものではない。
【0039】
  炭素材料40が一対の集電板50に挟まれた状態では、炭素材料40は集電板50のうち
開口領域50aと重なる位置に配置される。このため、炭素材料40が効率よく電解液10
0及び二酸化炭素と接することができる。また、炭素材料40の全体が、導電性の配線パタ
ーンであるメッシュ状部材61と接した状態で集電板50と電気的に接続されている。この
ため、炭素材料40に対し電気を効率良く供給することができる。従って、蟻酸生成装置
1において蟻酸を効率よく生成することができる。なお、一対の集電板50には、複数の炭
素材料40が挟まれてもよい。また、炭素材料40は、一部にメッシュ状部材61と接しな
い範囲があってもよい。
【0040】
  このように、カソード電極22は、二酸化炭素還元触媒を担持するための多孔質の導電性
を有する炭素材料40と、この炭素材料40を挟む一対の集電板50とを有して構成され、
一対の集電板50は、複数の開口が形成された開口領域50aと、開口領域を取り囲む位置
に設けられる非開口領域50bを有している。このため、炭素材料40を電極に使用して、電
力損失を減少させるとともに、蟻酸生成装置1の耐久性を確保することができる。
【0041】
  図5は、本発明の第3の実施形態に係るカソード電極22の構成を示す図である。なお、
以下に記載する第3の実施形態の説明においては、上述した実施形態と共通する点については
説明を省略し、第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0042】
  図5に示すように、カソード電極22は気体透過性膜70と、複数のガスケット80と、
一対の炭素材料140と、一対の集電板150とを有している。具体的には、一対の炭素材
料140は、第1炭素材料141と第2炭素材料142により構成されている。一対の集
電板150は、第1集電板151と第2集電板152により構成されている。第1炭素材料
141と第2炭素材料142との間には、気体透過性膜70が配置され、第1炭素材料14
1と第2炭素材料142は第1集電板151と第2集電板152との間に配置されている。本
実施形態において、X軸方向及びY軸方向を水平方向とし、Z軸方向を上下方向とした場合、
第1集電板151、第1炭素材料141、気体透過性膜70、第2炭素材料142、第2
集電板152は、X軸方向においてこの順に配置されている。
【0043】
  気体透過性膜70は、本体部70aと、本体部70aと一体的に形成されている第1突出片
70bとを有している。本体部70aは、平面視四角形状に形成され、炭素材料140とほ
ぼ同じ寸法を有している。気体透過性膜70は、二酸化炭素等の気体を透過し、液体は透過
させないように構成されている。気体透過性膜70は、撥水性の多孔質材料により形成され
ていることが望ましく、更には多孔性テフロンにより形成されていることが望ましい。
【0044】
  複数のガスケット80は、第1炭素材料141を支持する第1ガスケット81と、第2炭
素材料142を支持する第2ガスケット82と、気体透過性膜70を支持する第3ガスケッ
ト83とを有して構成されている。第1ガスケット81は第1突出片70bと同じ側に第2
突出片81aを有し、第2突出片81aには第1通気孔81bが形成されている。
【0045】
  第1集電板151には開口領域151aと、開口領域151aを取り囲む位置に非開口領
域151bが設けられている。非開口領域151bには、二酸化炭素の通過を許容する第2
通気孔153が形成されている。第2通気孔153は、非開口領域151bにおいて、第1通
気孔81bと重なる位置に形成されているのであれば、場所は特に限定されるものではない。
【0046】
  カソード電極22において、気体透過性膜70の一方の面側には第1通気孔81bが形成さ
れた第1ガスケット81及び第2通気孔153が形成された第1集電板151が配置され、
第1突出片70b、第1通気孔81b及び第2通気孔153及が重なる位置に配置されてい
る。即ち、気体透過性膜70の一方側において、ガスケット80及び集電板150に気体の
通過を許容する通気孔が形成され、これらの通気孔が連通するように配置されている。この
ため、供給した二酸化炭素が第2通気孔153及び第1通気孔81bを介して気体透過性膜
70に到達する。一般的に、ガス拡散電極の構造は、セルの壁が気体と液体との相分離の役
割を担うが、この制約のため実装密度はセルの内壁面積で決まってしまう。一方、本実施形態で
は、電流のみならず気体(二酸化炭素)も炭素材料140に直接供給することができるため、
複数の集電板150を設けることができる。これにより、カソード電極22の実装密度を高
めることができる。
【0047】
  図6は、第4の実施形態に係る蟻酸生成装置の電解ユニット200の分解斜視図である。な
お、以下に記載する第4の実施形態の説明においては、上述した実施形態と共通する点につ
いては説明を省略し、第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。電解ユニット200
は、半透膜23、第1枠体210、集電板230、第2枠体220、仕切板240をこの順
に有している。本実施形態では、X軸方向及びY軸方向が水平方向であり、Z軸方向が上下
方向である。
【0048】
  第1枠体210は、板厚が薄い平面視で矩形状に形成され、中央部に第1貫通孔210a
を有している。第1枠体210は、半透膜23と集電板230との間に配置される。第1枠
体210には、上下に一対の第1切欠き部211と第2切欠き部212が形成されている。以
下の説明では、第1枠体210の厚みをTとする。
【0049】
  集電板230は、上下に一対の第1開口231と第2開口232が形成されている。第1
開口231はX軸方向において第1切欠き部211と重なる位置に形成され、第2開口23
2はX軸方向において第2切欠き部212と重なる位置に形成されている。以下の説明では、
集電板230のY軸方向における寸法(幅)をW1とする。
【0050】
  第2枠体220は、X軸方向に厚みを有する平面視で矩形状に形成されている。第2枠体
220は、Z軸方向に延びる一対の垂直部220aと、Y軸方向に延びる一対の水平部220b
を有して構成されている。一対の垂直部220aと一対の水平部220bにより、第2貫通
孔220cが形成されている。一対の垂直部220aのうち、一方にはY軸方向に連通され
た吸気孔223が形成され、他方にはY軸方向に連通された排気孔224が形成されている。
一対の水平部220bのうち、上方にはX軸方向及びZ軸方向に貫通する流入口221が形
成され、下方にはX軸方向及びZ軸方向に貫通する流出口222が形成されている。流入口
221はX軸方向において第1開口231と重なる位置に形成され、流出口222はX軸
方向において第2開口232と重なる位置に形成されている。
【0051】
  電解ユニット200は、第1枠体210、集電板230及び第2枠体220が半透膜23と
仕切板240により封止された状態である。即ち、第1貫通孔210aは半透膜23により
封止され、第2貫通孔220cは仕切板240により封止され、集電板230が閉じ込めら
れた状態となる。この状態で、電解液は流入口221、第1開口231、第1切欠き部21
1、第1貫通孔210a、第2切欠き部212、第2開口232及び流出口222を通過し
て電解ユニット200の外部に排出される。また、二酸化炭素等の気体は、吸気孔223、
第2貫通孔220c及び排気孔224を通過して電解ユニット200の外部に排出される。
【0052】
  このように、簡易な構成を有する電解ユニット200に集電板230を閉じ込めることで
、第1枠体210の厚みTと集電板230の幅W1を自在に設定することができる。第1枠
体210の厚みTの寸法が小さいほど溶液抵抗による電力損失を低減することができる。ま
た、電解ユニット200の体積が小さいほど、高濃度の生成物を含む電解液が第2収容室12
から排出されることを期待することができる。
【0053】
  なお、上記のように本発明の一実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明の
新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容
易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれる
ものとする。
【0054】
  例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共
に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換
えることができる。また、蟻酸生成装置の構成も本発明の一実施形態及び実施例で説明したも
のに限定されず、種々の変形実施が可能である。                 了

3️⃣特許7133819 水素供給システム及び水素供給方法
飯田グループ
ホールディングス株式会社 他

【要約】太陽光エネルギーを有効に利用して、水素をエネルギー源とし
て安全且つ効率よく供給することができる水素供給システムおよび水
素供給方法を提供す水素供給システム100は、水と大気中あるいは
排気二酸化炭素から人工光合成により蟻酸を生成する蟻酸生成装置50
と、蟻酸生成装置50により生成された蟻酸を貯蔵する蟻酸貯蔵タンク
55と、蟻酸貯蔵タンク55から供給される蟻酸を、常温・常圧の脱
酸素環境下で、触媒反応により水素と二酸化炭素に分解する蟻酸分解装
置60と、蟻酸分解装置60から供給される水素を燃料として駆動す
る水素エンジン121と、水素エンジン121を駆動源とする発電部
121aとを有する発電機120とを備え、蟻酸分解装置60から水
素と分離されることなく供給された二酸化炭素を発電機120を介し
て蟻酸生成装置50に循環させる。また、発電機120により生成さ
れた二酸化炭素をギ酸生成装置50に循環させる。

    
 図1 本発明を実施する水素供給システムの構成例を示すブロック図。 
 

【符号の説明】10  蟻酸生成デバイス、11  基板、12  酸化チタン
微粒子、13  色素、14  メチルビオローゲン、15  蟻酸脱水素酵素
20  水素イオン発生手段、22  高分子ビーズ、30  蟻酸生成手段、
40  流路、50  蟻酸生成装置、55  蟻酸貯蔵タンク、60  蟻酸分
解装置、61  貯蔵部、62  反応部、63  制御部、100  水素供給
システム、110  一般住宅、120  発電機、121  水素エンジン、
121a  発電部、122  熱回収装置、123  インバータ、130  
貯湯タンク、140  太陽電池パネル、1000  エネルギー供給シス
テム
   
              
【発明の効果】  以上説明したように本発明によれば、太陽光エネルギ
ーを有効に利用して、水素をエネルギー源として安全且つ効率よく供
給する水素供給システムおよび水素供給方法を提供することができ、
水素をエネルギー源とする実用的な住宅のエネルギー供給システムを
実現することができる。

【図2】上記水素供給システムにおける蟻酸生成装置の構成例を表す模式図である。

【図3】上記蟻酸生成装置に備えられる蟻酸生成デバイスの構成例を示す模式図である。

【図4】上記蟻酸生成デバイスでの反応を示す概要図である。

【図5】上記蟻酸生成デバイスの作成方法の概略を示すフロー図である。

【図6】上記水素供給システムにおける蟻酸分解装置の構成例を表す模式図である。

【図7】上記水素供給システムにより実行される水素供給方法の実行過程を示す工程図である。

【図8】本発明を適用した住宅用エネルギー供給システムの一例を示す斜視図である。

【図9】発電機の構成例を示すブロック図である。


【図10】発電機における処理の概略を示すフロー図である。

20250429_press_02_resize
ト音記号 イラストや に対する画像結果   『懐かしの季節楽曲:六月の雨 小椋佳』
                               1971年




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エネルギーと環境 274

2025年06月25日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代
の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。



【季語と短歌:6月25日】 

         青葉梅雨いつまでもつかわが庵 

               高山 宇(土砂降鬼)

🪄午後どきの雷雨激しさ増す豪雨。トランプ劇場もいや増すばかり
  ”人命は地球より重し”と短歌詠む。

   くつろぎて きみ口ずさむ イマジンに 秋の日差しと茶屋に漂う
                         掲載 72歳のジョン・レノン


アメリカで 聴くジョン・レノン 海のごとし民族は さびしい船である
                          小島ゆかり


有機高分子光触媒
🟡 日本発革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収
昨日のつづきは戦略開発核の話。二つの基本技術は、①超ろ過純水膜
と⓶光熱触媒による水素製造・人工炭化水素化合物製造であり、機構
構築となる。これらの革新技術成果は、生物・生命・医療・農工業技
術・工学に遍く貢献、進化革新されており、自然災害・政治・社会的
(枠組み構築)障害がなければ、10年後には日本を核にモデル出現
するはず。さて、ここまでくるのに四半世紀かかった。先を急がなく
ちゃ!(笑)

🟠 最新光触媒工学事情再生可能エネルギ 2015
✳️金属ナノ粒子の光エネルギー捕集効果
より高効率に太陽光のエネルギーを利用することが可能になる。
応用例は①太陽電池:金属ナノ粒子を太陽電池材料、光の吸収効率を向
上させ発電効率を高める。
⓶光触媒反応の効率を向上させ、環境浄化
や水素製造他分野への応用。③高感度センシングデバイスの開発。

1️⃣3層構造材料(Ni(OH)₂/Co₃O₄/3C-SiC)で「グリーン水素」効率
的に生成、2025.6.23 via Tii (要観察:耐放射性半導体;立方晶炭
化ケイ素)
要約:3層構造のこの材料(Ni(OH)₂/Co₃O₄/3C-SiC)は、太陽光を吸
収し電荷を生じさせ、水を水素と酸素に分解。従来のキュービック炭
化ケイ素(3C-SiC)単体と比べ水分解性能は8倍向上。


図1.Ni(OH)2/Co3O4/3C-SiC 光陽極は、図 S1 に示す手順に従って作
製。これまでに、昇華法を用いて高品質 n 型 3C-SiC 膜の成長に成功
している。合成した 3C-SiC の X 線回折 (XRD) パターンには、3C-SiC
の (111) および (222) 反射に対応する 2 つの明瞭な回折ピークが見ら
レる (図 S2)。(111) ブラッグ反射の高解像度 XRD (HRXRD) ω スキャ
ン ロッキング カーブは、半値全幅 (fwhm) が 34 秒角である対称ロッ
キング カーブを示し、3C-SiC サンプルの結晶品質が高いことを示す。
 図 1a は、滑らかな表面形態を示す純粋な 3C-SiC の走査型電子顕微
鏡 (SEM) 画像。超小型コロイド状Co3O4ナノ粒子は、水熱合成法を
用いて合成。 コロイド溶液中のCo3O4ナノ粒子の粒度分布を評価に、
動的光散乱(DLS)測定を実施し、約5nmの均一な粒度を明確にした
(図S3)。透過型電子顕微鏡(TEM)による分析では、粒子径は4.74
±1.20nm。(図1bおよび図S4)。また、高解像度TEM(HRTEM)で、
Co3O4の(311)面に対応する0.241nmの格子縞を観察(図1c)。

2️⃣機械学習が解き明かす新たな水素化反応メカニズム
  超高密度水素貯蔵材料開発への画期的突破口
要約:東北大らの国際研究チームは、最先端の機械学習を駆使して「
スーパーハイドライド」と呼ばれる超高密度水素化物の合成反応を再
現。その手順は、①機械学習が迫る反応の謎:機械学習を駆使したシ
ミュレーションにより、加圧時に材料表面が一時的に液状化し、水素
を効率的に取り込む全く新しい反応メカニズム発見。
画期的成果:
シミュレーションにより、従来と比べ飛躍的に水素貯蔵能力を高めた
「スーパーハイドライド」の合成過程を理論的に解明に成功。②スー
パーハイドライドは、水素社会実現の鍵となる高効率水素貯蔵材料や
次世代超伝導材料開発に革命をもたらす可能性を秘める。

1:高温・高圧(1200 ˚C、40 GPa)でのCaH4合成反応の分子動力
学シミュレーション  材料表面が溶けて乱れ、水素分子(紫線、大き
さは1 Å(読み方はオングストローム、100億分の1 m)以下)が吸収
されていく。反応が完全に進行すると分子状の水素のようなものを含
んだCaH4の固相が得られる。シミュレーションの時間スケール(t)
は、ピコ秒(1兆分の1秒)。 機械学習が明らかにしたスーパーハイド
ライド合成プロセス。カルシウム水素化物(CaH₂
)の表面が溶けて
水素分子(H₂)が吸収され、カルシウムスーパーハイドライド(Ca
H₄)
の固相が得られる。
(注1)スーパーハイドライド
超化学量論組成水素化物。10 GPa~数100 GPaの圧力下で合成される
水素含有量の非常に
高い材料。材料内の水素の密度が高いため、水素
が互いに相互作用し電子を共有するため
超伝導性能を発現することが
報告されている。

✳️麦わらを断熱材に:有機素材の3Dプリント技術
ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究チームは、小麦わらを原
料とする持続可能な断熱材を3D印刷で製造する技術を開発した。小麦
わらの繊維構造と有機バインダーによる水素結合により、断熱性・圧
縮強度・難燃性に優れたパネルが生成される。この素材は従来のグラ
スファイバーよりも環境負荷が低く、住宅や商業施設での利用が期待
されている。

✳️7割の屋根にPV設置で電力自給率85%
東北大学の研究グループは,日本全国1741市町村を対象に,住宅など
の屋根上太陽光パネルと電気自動車(EV)を組み合わせて家庭の電力
をまかなうシミュレーションを行ない,大幅な脱炭素効果。

要約: 住宅など建物屋根の約70%に太陽光パネル(変換効率20%)を
設置すると、 ①
日本全国で年間1,017TWh(Tはテラ:1兆)の発電
となり、現在の日本の年間総発電量834.8TWh(2022 年度)を上回
る可能性があることをシミュレーションから明らかにした。②電力需
要と供給のバランスのため太陽光のみでは平均 45%程度だった電力自
給率が、電気自動車(EV)を家庭の蓄電池として活用することで平均
85%にまで向上し、CO2排出も 87%削減できることを確認した。④
力の自給によるコスト削減効果も 33%と試算され、経済的メリットも
期待できる。⓹地方の農村部では電力需要の最大98%を太陽光+EVで
まかなえる一方、都市部や日照の少ない北日本では自給率が低くなる
ことが分かった。各地域の条件に応じて再生エネルギー導入を支援し、
車載電池を有効活用する政策の重要性が示されたと結ぶ。

全国の「実発電量」実績|太陽光発電ならソーラーフロンティア

1️⃣タンデム型太陽電池で効率30%超ペロブス+シリコン  
      エネコートとトヨタ自動車が共同開発 2025/01/2

(出所:エネコートテクノロジーズ)
                   出所:エネコートテクノロジーズ     
要約:京都大学発のベンチャー企業でフィルム型ペロブスカイト太陽
電池の開発・製品化に取り組むエネコートテクノロジーズ(京都府久
御山町)は1月17日、トヨタ自動車との共同開発プロジェクトで、ペ
ロブスカイト太陽電池と結晶シリコン太陽電池を積層したタンデムセ
ル(積層型発電素子)で世界最高クラスの変換効率30%超を達成。

(出所:エネコートテクノロジーズ)7

20220712-pr-sobun-01-01.png
掲載誌:「ACS Applied Energy Materials」(オンライン版:7月8日)
論文タイトル:Semi-Transparent Perovskite Solar Cells for Four-T
erminal Perovskite/CIGS Tandem Solar Cells
著者:Motoshi Nakamura, Ching Chang Lin, Chie Nishiyama, Keishi
Tada, Takeru Bessho, and Hiroshi Segawa*
DOI番号:10.1021/acsaem.2c00620
2️⃣特開2024-125939光電変換素子及びその製造方法 株式会社エネコ
ート
テクノロジーズ(請求前)
【要約】下図のごとく、本発明は、特性を向上させつつ、ペロブスカ
イト層の表面が比較的平らな光電変換素子やその製造方法を提供する。
【解決手段】第1の電極、正孔輸送層、光電変換層、ペロブスカイト
含有膜、電子輸送層、及び第2の電極をこの順で積層した光電変換素
子であって、光電変換層は3次元ペロブスカイト化合物を含み、ペロ
ブスカイト含有膜は、2次元ペロブスカイト化合物を含む、光電変換
素子。特に、3次元ペロブスカイト化合物、及び2次元ペロブスカイ
ト化合物は、スズを含むペロブスカイト化合物である光電変換素子。
000002
図1 本発明の光電変換素子における構成例を示す概念図
【符号の説明】
1  光電変換素子;    11  支持体;  12  第1の電極;  
13  正孔輸送層;    14  光電変換層;    15  電子輸送層;    16  
第2の電極;    17  ペロブスカイト含有膜
【発明の効果】本発明によれば、特性を向上させつつ、ペロブスカイ
ト層の表面が比較的平らな光電変換素子やその製造方法を提供できる

【特許請求の範囲】

【請求項1】第1の電極、正孔輸送層、光電変換層、ペロブスカイト
含有膜、電子輸送層、及び第2の電極をこの順で積層した光電変換素
子であって、
前記光電変換層は3次元ペロブスカイト化合物を含み、
  前記ペロブスカイト含有膜は、2次元ペロブスカイト化合物を含む、
  光電変換素子。
【請求項2】請求項1に記載の光電変換素子であって、前記3次元ペ
ロブスカイト化合物、及び前記2次元ペロブスカイト化合物は、スズ
を含むペロブスカイト化合物である、
  光電変換素子。
【請求項3】  請求項1に記載の光電変換素子であって、  前記3次元
ペロブスカイト化合物は、
  Xα1β1γ1で示される化合物で
あり、
  Xは、Cl、Br、及びIのいずれか1種又は2種以上であ
り、
  Yは、Snであるか、Sn及びPbであり、  Zは、N,N-
ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドである、
  光電変換素子。
【請求項4】  請求項3に記載の光電変換素子であって、  前記2次元
ペロブスカイト化合物は、
  Xα2β2γ2で示される化合物で
あり、
  Xは、Cl、Br、及びIのいずれか1種又は2種以上で
あり、
  Yは、Snであるか、Sn及びPbであり、  Zは、R
-NHで示される(Rは、直鎖又は分鎖のC~Cアルキル基、
直鎖又は分鎖のC~Cアルキル基で置換されてもよいC~C
リール基、又はC~C12アラルキル基を示す。)、

  光電変換素子。
【請求項5】  請求項4に記載の光電変換素子であって、前記光電変
換層は、前記ペロブスカイト含有膜と接する面にボイドがない光電変
換層である
光電変換素子。
【請求項6】請求項5に記載の光電変換素子であって、前記ペロブス
カイト含有膜が、R
-NHで示される化合物を含む、光電変換素子。
【請求項7】請求項1~6のいずれかに記載の光電変換素子であって、
  前記光電変換素子が太陽電池である光電変換素子。
【請求項8】
  3次元ペロブスカイト化合物を含む溶液を用いて光電変換層を得る
光電変換層取得工程と、

  前記光電変換層取得工程で得られた光電変換層に2次元ペロブスカ
イト化合物の前駆体の飽和溶液を塗布し、前記ペロブスカイト含有膜
を得るペロブスカイト含有膜取得工程と、

  を含む、光電変換素子の製造方法。
【請求項9】  請求項8に記載の光電変換素子の製造方法であって、
前記光電変換素子が、
  第1の電極、正孔輸送層、光電変換層、ペロ
ブスカイト含有膜、電子輸送層、及び第2の電極をこの順で積層した
光電変換素子である光電変換素子の製造方法。

【請求項10】  請求項8又は9に記載の光電変換素子の製造方法で
あって、前記光電変換素子が太陽電池である光電変換素子の製造方法。


【詳細の説明】
※なお、長文につき、恣意的に、文章・図・写真、中略、割愛してこ
とをご容赦にがいた。
【実施例】

【産業上の利用可能性】以上、説明したとおり、本発明によれば、
優れた光電変換特性を示す光電変換素子を提供することができる。本
発明の光電変換素子は、例えば、太陽電池として有用である。本発明
の光電変換素子の用途及び使用方法は特に限定されず、例えば、一般
的な光電変換素子(例えば、一般的な太陽電池)と同様の用途及び使
用方法で、広範な分野に適用可能である。

[実施例1]
  以下のようにして、本発明の光電変換素子を作製した。
  ITOガラス上にスピンコートを用いてPEDOT:PSS(Her
aeus,  Clevios  P  VP.  Al  4083)を製膜し、
140℃で20分加熱乾燥を行った。次いで、ヨウ化スズ(372.
5mg)、ヨウ化ホルムアミジン(172.0mg)、フッ化スズ(1
5.7mg)をジメチルスルホキシド(DMSO、1.0mL)に溶
解し、45℃で30分攪拌した溶液へ、還元剤であるテトラメチルジ
ヒドロピラジン(TM-DHP)のN,N-ジメチルホルムアミド(
DMF)溶液(1.0M)をヨウ化スズに対して1.0mol%にな
るまで加え、得た溶液を45℃で15分加熱攪拌を行った。この溶液
を、先に形成したPEDOT:PSS上にスピンコートを用いて製膜
し、65℃で30分、100℃で20分加熱を行い、ペロブスカイト
層を形成した。次いで、2次元ペロブスカイトとしてPEASnI
(PEA=2-フェニルエチルアミン)の結晶を酢酸エチル(2.7
mM)に溶解し、65℃で1時間加熱攪拌を行った。この溶液を、先
に形成したペロブスカイト層上にスピンコートを用いて製膜し、70
℃、10分加熱を行った。ここまでに作製した光電変換層のSEM画
像を図2に示す。次いで、この膜上にC60(フラーレン)とバソク
プロイン(BCP、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,
10-フェナントロリン)、Agを、それぞれ真空蒸着で20nm、
8nm、80nm形成して光電変換素子を作製した。
表1.
000003
【産業上の利用可能性】

  以上、説明したとおり、本発明によれば、優れた光電変換特性を示
す光電変換素子を提供することができる。本発明の光電変換素子は、
例えば、太陽電池として有用である。本発明の光電変換素子の用途及
び使用方法は特に限定されず、例えば、一般的な光電変換素子(例え
ば、一般的な太陽電池)と同様の用途及び使用方法で、広範な分野に
適用可能である。
 

3️⃣特願2023-202273 株式会社エネコートテクノロジーズ 株式会社
エネコートテクノロジーズ(申請前)
【要約】      (修正有)
優れた光電変換特性を示す光電変換素子の提供を目的とする。
光電変換素子は、下記一般式(I)で表されるビシクロ化合物、その
互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を含有する。

000002
前記一般式(I)において、Z及びZは、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、それぞれC-Rまたは窒素原子を表す。X、X
およびXは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ中央の
ビシクロ環と共に環状構造を形成する二価の連結基を表す。


【符号の説明】  10    光電変換素子   11    支持体   12    第1
の電極   13    電子輸送層   14    光電変換層   15    正孔輸送
層  16    第2の電極   20    光電変換素子 21    支持体 22    
第1の電極  23    電子輸送層  24    光電変換層  25    正孔輸送層
26    第2の電極
【発明の効果】本発明によれば、優れた光電変換特性を示す光電変換
素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の光電変換素子における構成の一例を示す断面図である。
図2は、本発明の光電変換素子における構成の一例を示す断面図である。
図3は、実施例で製造した化合物のH-NMRチャートである。
図4は、実施例で製造した化合物の119Sn-NMRチャートである。
図5は、実施例で製造した化合物のH-NMRチャートである。
図6は、実施例で製造した化合物の119Sn-NMRチャートである。
図7は、実施例で製造した化合物のH-NMRチャートである。
                          以下割愛
  実施例5におけるA-56(0.5mg)を溶解したトルエン溶液
(1.0mL)を、フェニルエチルアミン(0.5mg)を溶解した
2-プロパノール溶液(1.0mL)に変更した以外は実施例1と同
様にして光電変換素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
表1
000016
【産業上の利用可能性】  以上、説明したとおり、本発明によれば、
ビシクロ化合物を用いることにより優れた光電変換特性を示す光電変
換素子を提供することができる。本発明の光電変換素子は、例えば、
太陽電池として有用である。本発明の光電変換素子の用途及び使用方
法は特に限定されず、例えば、一般的な光電変換素子(例えば、一般
的な太陽電池)と同様の用途及び使用方法で、広範な分野に適用可能
である。また、本発明の化合物は、例えば、本発明の光電変換素子の
正孔輸送層に用いることで、優れた光電変換特性を示し、かつ高い耐
久性を有する光電変換素子を得ることができる。ただし、本発明の化
合物の用途及び使用方法はこれに限定されず、任意の広範な分野に適
用可能である。車体の側面に設けられた太陽電池パネルにおける発電
量を向上させた車両を提供すること。

4️⃣特開2024-39144 車両 トヨタ自動車株式会社(有効)
【要約】図1のごとく、本発明の一態様に係る車両1は、車体の上面
に取り付けられた第1の太陽電池パネル10a、10bと、車体の側
面に取り付けられた第2の太陽電池パネル20a、20bと、を備え
た車両である。第1の太陽電池パネル10a、10bを構成する太陽
電池セル11の材料が、シリコン系材料であり、第2の太陽電池パネ
ル20a、20bを構成する太陽電池セル21の材料が、CIS系材
料又はペロブスカイト材料である。

000002
図1 第1の実施形態に係る車両の斜視図

【符号の説明】1  車両 1a  ルーフ 1b  ボンネット 10a、
10b  太陽電池パネル(第1の太陽電池パネル) 
11、21  太陽
電池セル 
12  封止層 13  カバーガラス 14  バックシート
20a、20b  太陽電池パネル(第2の太陽電池パネル) FD  フ
ロントドア 
RD  リアドア

【発明の効果】本発明により、車体の側面に設けられた太陽電池パネ
ルにおける発電量を向上させた車両を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
 車体の上面に取り付けられた第1の太陽電池パネルと、
  車体の側面に取り付けられた第2の太陽電池パネルと、を備えた車
両であって、
前記第1の太陽電池パネルを構成する太陽電池セルの材
料が、シリコン系材料であり、
前記第2の太陽電池パネルを構成する太陽電池セルの材料が、CIS
系材料又はペロブスカイト材料である、
車両。
【請求項2】
前記第1の太陽電池パネルが、ルーフ及びボンネットのそれぞれに取
り付けられている、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第2の太陽電池パネルが、左右のドアのそれぞれに取り付けられ
ている、
請求項1又は2に記載の車両。
                             了

✳️50年以上経過 迫る老朽化Ⅰ

我が国の社会資本ストックは高度経済成長期に集中的に整備され、今
後急速に老朽化することが懸念されている。今後20年間で、建設後50
年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込みであり、この
ように一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理・更新すること
が求められている。「儲け先行!格差深刻経済!待ったなしの解決が求
められている!」(頷)。


国内のCO₂、港湾、鉄道等のインフラ分野に関わりのある排出とな
っており、そのなかでも道路は大きな割合を占めている(2022年度)。
今後、LED街路灯設置や道路空間への太陽光発電設備をはじめとする
再エネ導入、アスファルト製造における低炭素化など様々な対策が必
要だ。本特集では、道路の脱炭素化に向けて最新動向を探る。
                        この項つづく


ト音記号 イラストや に対する画像結果  
 『生涯と名曲:チャイコフスキー 』




        

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エネルギーと環境 273

2025年06月23日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。


【季語と短歌:6月24
日】 

         夏山と水辺狭間青々と 

               高山 宇(緑風鬼)

🪄Summer mountains and Biwa-lakeside, lush and green.

1回無安打無失点2K…第4打席に三塁打、第5打席に26号
【MLB】ドジャース 13ー7 ナショナルズ(日本時間23日・ロサンゼルス)


ドジャースの大谷翔平(30)が本拠地でのナショナルズ戦に“1番・DH兼投手”の“二刀流”で出
場し、1回、18球を投げて、被安打0、奪三振2、四死球0、失点0。二刀流復帰後初となる三振
を奪うなど、1回2奪三振無失点に抑えた。打撃では4打数2安打5打点、8試合ぶりの26号を放
った。

✳️  全固体電池の容量劣化メカニズム 
  マクセルが解明
電極間のSOCバランスずれが要因
マクセルは、硫化物系全固体電池の容量劣化について、そのメカニズム
を解明した。
今回の成果を活用し、150℃耐熱の全固体電池開発を継続するとともに、
次世代モビリティやインフラ監視用IoTセンサー電源などに向けた全固
体電池の開発に取り組む。

液系リチウムイオン電池(上)と全固体電池(下)における反応様式の差[クリックで拡大] 出所:マクセル
図 液系リチウムイオン電池(上)と全固体電池(下)における反応様式の差 出所:マクセル

硫化物系全固体電池の容量劣化について、そのメカニズムを解明したと
発表した。今回の成果を活用し、150℃耐熱の全固体電池開発を継続す
るとともに、次世代モビリティやインフラ監視用IoTセンサー電源など
に向けた全固体電池の開発に取り組む。
全固体電池は理論的に長寿命で、寿命予測がしやすいといわれている。
しかし、実際に容量劣化の詳細なメカニズムは明らかにされていなかっ
た。そこでマクセルは、全固体電池の容量劣化メカニズムを詳細に調べ
ることにした。

この結果、材料自体はほとんど劣化せず、容量減少の主な要因は電極間
のSOC(State Of Charge)バランスずれであることが分かった。また、
対称セルを用いた実験では電極固有の副反応速度を定量化し、全固体電
池における副反応電流が、液系電池に比べ1桁以上低いことを実証した。
つまり、電極での副反応電流が極めて低いことが、長寿命の本質的な要
因であることを明らかにした。さ
らに、全固体電池では105℃でもクロ
ストーク反応が観測されなかった。このため、副反応速度を見積もる場
合には、材料固有の副反応電流のみを考慮すれば良いことが分かった

🟡 日本発革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収


有機高分子光触媒
✳️海水から国産肥料の原料を回収
多量のナトリウムが含まれる海水からカリウム資源を選択的に回収する
技術の開発
🔸産業技術総合研究所は、海水からカリウム資源を高効率で回収する技
術を開発しました。プルシアンブルー型錯体を電極に塗布し電気を流す
ことで、ナトリウムイオンを99%以上排除し、カリウムイオンを10倍以
上に濃縮。複数回の処理により、従来困難だった選択的回収が可能に。
本技術は日本の肥料自給率向上に貢献し、食料安全保障を強化する鍵と
期待されます。今後は、濃縮技術や固体肥料化の開発が進められる予定。

海水から国産肥料の原料を回収~多量のナトリウムが含まれる海水からカリウム資源を選択的に回収する技術の開発~

プルシアンブルー型錯体による海水からのカリウム資源回収

図1
図1 プルシアンブルー型錯体を金属集電体に塗布した電極

図2
図2 電気化学セル概要図

図3
図3 複数回処理時にそれぞれで回収された液の濃度
【掲載誌】
 ・Water Research
Adsorption selectivity of nickel hexacyanoferrate foam electrodes
   and influencing factors: extraction of a 98% potassium fraction solu-tion
   from pseudo-seawater
   DOI:10.1016/j.watres.2025.123796


🔸昨日作業で開発事業全貌想定を終了。残件課題案件の考察に移行。
🔴有機高分子光触媒開発情報
6月16日、シリコンで作製したモスアイ構造に厚さ100 nmのカーボ
ン薄膜をコートすることで,1〜1200THzという極めて広い周波数領域
において98%以上の吸収率を示す人工材料を実現したことが報告された。
今回作製した超広帯域吸収材料は、モスアイ構造によるインピーダンス
整合と、炭素被膜の広帯域吸収特性を組み合わせるという新しい設計手
法により、これまでにない超広帯域かつ高効率の光吸収を実現。

蛾の目の表面構造
わずかな月明かりも逃さない蛾の眼の秘密 via Tech Times(テックタイムズ)

東京大学ではこれまでに,フェムト秒レーザー加工を用いて,サブミリ
サイズのピラミッド状の構造が周期的に配列したモスアイ構造を作製す
る技術を開発してきた。今回、これを活用し、高さ240mm、周期が67
mmのシリコンモスアイ構造を作製。▶️化学気相成長法(CVD)を用い
てその表面と基板裏面を、カーボン薄膜でコーティング▶️光学特性の
ーボン膜厚依存性をシミュレーション。膜厚が100nmの場合に周波
1THz以上の領域でほぼ100%吸収する





図2:作製したカーボンコートモスアイ構造の模式図とスペクトルのシ
ミュレーション結果
(a)カーボンコートモスアイ構造の俯瞰図(左)と断面図(右)断面図の
灰色部分(Si)はシリコンに相当し、水色部分(PyC)はカーボン薄膜
を表す。(b)カーボンモスアイ構造の光学特性のカーボン膜厚依存性のシ
ミュレーション結果。上から順番に、吸収スペクトル、透過スペクトル、
反射スペクトルを表す。厚さが100 nmの時に吸収の大きさが最大になる。
【掲載誌】
・Advanced Optical Materials
・Carbon-Coated Moth-Eye Structure : An Ultrabroadband THz-DUV
 near-Perfect Absorber
10.1002/adom.202500948


🟢ナノインプリントリソグラフィ(NIL)とはなにか
ナノスケールのスタンプの押印技術。従来の露光法と違って露光波長に
解像度が依存しないことや、大面積転写性や高スループット性などを有
していることから、半導体における次世代リソグラフィ技術の一つとし
て期待されるている。

🔸光電融合も見据えたシリコンフォトニクス分野拡大へ
特にポリマー製の透明スタンプを使うソフトUV-NILは、半導体製造環境
との互換性を担保し、半永久的な機能層を大面積かつ高解像度でパター
ニングできることから、ARグラス等の導入実績があるほか、メタマテリ
アルやメタサーフェスなどの開発にも活用される。
半導体の製造技術を
用いてウェハ上に大規模な光回路を構築する集積フォトニクス分野でも,
100nm程度の解像度が保証されれば十分なため、
NILを導入できる可能
性がある。
研究では,シリコンフォトニクスプロセスに合わせたNIL用の光硬化性樹
脂の開発とともに,ウェハレベルでUVナノインプリントを行なうオース
トリアEV Groupの「SmartNIL」技術に基づいたロールオンプロセスの
最適化を行なった。


Choose your UV-NIL / SmartNIL® System

これにより開発したプロセスを用いて作製したシリコン導波路では、従
来の90nm CMOSプロセスラインや電子線描画を用いて作られた光導波
路と同程度の性能を得ることに成功した。
今回開発した光硬化性樹脂は
UV-NILの標準仕様に加えて,シリコンフォトニクスプロセスに必須とな
る,①SF6-C4F8混合ガスによるエッチング耐性、②O2アッシングによる
除去性、③ワーキングスタンプ剤との親和性、の特徴を備えている。

また,開発したプロセスは「NIL工程」と「光回路形成工程」の2つのプ
ロセスフローに分かれており,このプロセスで作製したシリコン導波路
の伝搬特性を評価した結果、波長1550nmのTEモード光に対する単位長
さ当たりの伝搬損失は1.6 dB/cm程度となった。
これは,従来のドライ
ArFが用いられる90nm CMOS試作ラインや電子線描画を用いて作られた
シリコン導波路と遜色ない値であり,NILによって十分な性能を持つ光回
路が形成可能であることを示しているという。
半導体と比べフォトニクス分野では露光プロセスにそれほど高い解像度
を必要としないため,NILの大面積転写性や高スループット性を大いに活
かすことができる。研究グループは,コストの観点からも優位性がある
としている。

【関連資料】
UVナノインプリントを用いたシリコンフォトニクス
半導体プロセスを開発
光電融合も見据えたシリコンフォトニクス分野拡大へ
【要点】
・シリコンフォトニクスプロセスに適したナノインプリント用の光硬化
 性樹脂を開発。
・UVナノインプリントを用いた大面積・高スループットのシリコンフォ
 トニクスプロセスを確立。
・電子線描画による光導波路と変わらない特性を持つシリコン導波路の
 作製に成功
【背景】ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は、ナノスケールのス
タンプを用いた押印技術であり、従来の露光法と違って露光波長に解像
度が依存しないことや、大面積転写性や高スループット性などを有して
いることから、半導体における次世代リソグラフィ技術の一つとして期
待されています。特にソフトUV-NIL[用語4]は、半導体製造環境との互換
性を担保しつつ、半永久的な機能層を大面積かつ高解像度でパターニン
グできることから、近年、拡張現実(ARグラス)や生物医学診断(DNA
シーケンサー)などの新たなアプリケーションに対する実用的な量産技
術として導入実績があります。さらに基礎研究レベルでも、メタマテリ
アルやメタサーフェスなどのウェハ光学素子を実現する際に活用されて
いる。そのような中で、半導体の製造技術を用いてウェハ上に大規模な
光回路を構築する集積フォトニクス分野でも、NILを導入できる可能性
があり、集積フォトニクス分野において特に高い解像度が必要とされる
場面は、DFB(分布帰還型)レーザー[用語5]における回折格子の形成、
光回路の入出力に使用するグレーティングカプラ[用語6]の形成、シリコ
ンフォトニクス光回路における導波路の形成などであり、いずれも100
nm程度の解像度が保証されていれば十分(図1の赤帯域)。そのため、
上記プロセス工程では、NILの大面積転写性や高スループット性を大い
に活かすことができ、コストの観点からも優位性があると考えている。
本研究背景から、集積フォトニクスの一分野として近年発展が著しいシ
リコンフォトニクスに着目し、実際にUV-NILを導入したプロセスを開発。


図1. 各種リソグラフィ技術の性能指数


2. 開発したシリコンフォトニクスプロセスに適した光硬化性樹脂

光回路形成工程
工程A:SF6-C4F8混合ガスによるドライエッチングにより光硬化性樹脂の残膜除去(図3bの1)
工程B:連続してSF6-C4F8混合ガスによるドライエッチングにより、シリコン層をエッチング(図3bの2)
工程C:O2アシング処理により、マスクとして用いた光硬化性樹脂を除去(図3bの3)
工程D:プラズマCVDにより、上部クラッドとしてSiO2を堆積(図3bの4)

NILによるパターン形成後は、光硬化性樹脂の除去にO2プラズマアッシ
ングを用いる点を除いて、標準的なシリコンフォトニクスプロセスと同
一の手順です。エッチング工程では、十分な垂直性を維持したまま、標
準的なシリコン導波路パターンを形成できることを確認しました(図4b)。


図3. UV-NILによるシリコンフォトニクスプロセスの(a)NIL工程と(b)光回路形成工程

今回開発したプロセスで作製したシリコン導波路の伝搬特性を評価した
結果、波長1,550 nmのTEモード光に対する単位長さ当たりの伝搬損失
は1.6 dB/cm程度となりました(図5)。これは、従来のドライArFが用
いられる90 nm CMOS 試作ラインや電子線描画を用いて作られたシリ
コン導波路と遜色ない値であり、NILによって十分な性能を持つ光回路
が形成可能であることを示している。


【展望】EUVなどの超高解像露光技術を必要とする先端電子デバイス・
集積回路分野と比較すると、フォトニクス分野では露光プロセスにそれ
ほど高い解像度を必要としないため、NILの大面積転写性や高スループ
ット性を大いに活かすことができます。将来的には、シリコンフォトニ
クスを扱っている各ファウンドリの標準プロセスラインへのNIL導入も
期待されます。また、従来の露光法では難しい3次元露光も可能であり、
それを積極的に利用した新たな光デバイスの実現も示唆する。

「光半導体」需要増を取り込む…浜松ホトニクス、370億円投資で新棟
✳️ 浜松ホトニクス、本社工場に新棟 光半導体の生産能力増強
17日、浜松ホトニクスは1浜松市の本社工場に光半導体製造を担う新
棟が完成したと発表した。総工費は約370億円で、12月に稼働を始める。
光半導体製品の前工程の生産能力を現状の約2倍に高め、医療分野や産
業分野などで拡大する需要を取り込む。2023年7月に着工。構造は地上
4階、地下1階で、延べ床面積は約1万960平方メートル。

ト音記号 イラストや に対する画像結果 『生涯と名曲:ビゼー』


           

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エネルギーと環境 272

2025年06月22日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

【季語と短歌:6月23日】 

         明易や草刈る音で飛び出しぬ 

               高山 宇(繊細鬼)

🪄隣町の自治会の知り合いを確認し朝食を済せるとこん度は、米軍の
イラン核施設襲撃の速報が入る。気分の悪い思いでブログを打ち込むも
こころ穏やかにあらず。「災いかなパリサイ人よ」の一節が口をつく。
聡明なリーダーが希求されている。

トランプ大統領「米軍がイラン核施設3か所を攻撃」SNSで表明
@025年6月22日 9時05分、NHK
トランプ大統領 SNSの投稿全文

トランプ大統領はSNSに「われわれはイランのフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンを含む3
つの核施設への攻撃を大きな成功のうちに完了した。すべての航空機は現在、イランの空
域を
出ている。主要な核施設のフォルドゥには大きな爆弾が投下された。すべての航空機は
安全に
戻っている途中だ。偉大なアメリカの戦士たちよ、おめでとう。世界中にこのような
ことを
できる軍隊はほかにない。今こそ平和の時だ
」と投稿した。

🟡 本発革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

超高容量かつ低コストの鉄系全固体フッ化物イオン二次電池正極材料の開発
図1.本研究で開発したSrFeO2Fx、Ca0.8Sr0.2FeO2Fx正極と既存正極材料の重量あたりの容量
と体積あたりの容量の比較。SrFeO2Fx
Ca0.8Sr0.2FeO2Fx正極は結晶構造から分子状酸素形成
を伴って予想さ
れるよりも多くのフッ化物イオン(x > 1)を可逆的に挿入することで高い容
量を示す。

📝
日本発で高品位全固体蓄電池の実用化達成?!
超高容量かつ低コストの鉄系全固体フッ化物イオン二次電池正極材料
東京科学大学などの研究チームは、鉄・カルシウム・酸素を主成分とす
る新規正極材料Ca₀.₈Sr₀.₂FeO₂Fₓを開発。全固体フッ化物イオン二次電
池に適用し、従来のリチウムイオン電池の2倍超にあたる580 mAh/gの
可逆容量を実現しフッ化物イオンの挿入・脱離時に構造内で分子状
素を形成する機構により、高容量と高サイクル安定性を両立。安価で

富な元素を用いる点でも優れ、次世代電気自動車用電池として期待さ

る。

【要約】全固体フッ化物イオン電池(FIB)は、リチウムイオン電池(
LIB)
に比べて優れたエネルギー密度と安全性を持つため、次世代バッテリー
の有望な候補です。それにもかかわらず、実用的なカソード材料が依然
として見つからず、FIBの完全な潜在能力は実現されていない。ここで
は、ペロブスカイト酸フッ化物SrFeO2Fxが、トポタクティックF−の(
脱)挿入を示し、体積膨張がほとんどない状態(≈0.5%)で350 mAh g
−1(1843 mAh cm−3)の大容量を提供することが報告されている。こ
の大容量は、SrFeO2Fx内でのFe2+/Fe3+ レドックスおよび酸素レドッ
クスによる約2.3 molの過剰F−(脱)挿入に起因している。さらに、Sr
が置換されたCaFeO2Fx(Ca0.8Sr0.2FeO2Fx)は、LIBを含むトポタク
ティックイオン(脱)挿入を利用したカソード材料
の中で、580 mAh g−1(2595 mAh cm−3)の最高容量を持っている。
初めて、イオン(脱)挿入に関連した究極のアニオンレドックスの利用
により、特定の容量を超える可能性が示された。

【結果及び考察】
2.1 SrFeO2のフッ化物イオン
挿入/抽出挙動の活性化前SrFeO2は、以前の研究に従って、前に調製さ
れたSrFeO3をCaH2で還元することにより合成されました。合成手順と
特性評価の詳細は、実験セクション、図S1、および表S1(補足情報)で
説明されています。調製されたSrFeO2は、固体電解質(La0.9Ba0.1F2.9)
およびVaper-Grown Carbon Fiber(VGCF)と、以前の報告と同様に、
30:60:10の重量比でボールミリングにより混合した。
SrFeO2カソードの電気化学的特性を評価するために、二電極セルが組み
立てられ、PbF2の急速なフルオリネーション/デフルオリネーション速
度と広いフルオリン含量における一定のレドックス電位のために、過剰
な量のPb/PbF2/La0.9Ba0.1F2.9/VGCFアノードがSrFeO2カソードに使
用された。図1aに示されているように、SrFeO2カソードは、最初の充
電で1.8Vの電圧プラトーで350mAh g−1の顕著な容量を示す。

Details are in the caption following the image

図1.初回初回充放電プロセス中のSrFeO2の結晶および電子構造の変化
a) 140 °Cでの電流密度5 mA g−1での初回循環中の充電/放電曲線。b)
初回充放電前後のSrFeO2を含むカソード複合材料のXRDパターン。X線
の波長は1.240 Å。La0.9Ba0.1F2.9固体電解質が参照として示されてい
ます。挿入はXRDの約25.5°の拡大図。c) Fe K端XASスペクトルの吸収端
エネルギー(E0)、d) 図1aに示される充電/放電プロファイルのさまざ
まな状態に対するO K端XASスペクトル。図中のxはフッ素含量(SrFe
O2Fxのx)。最初の充電と放電中の結晶および電子構造の変化は、Feお
よびO K-エッジに対してシンクロトロンX線回折(XRD)およびX線吸
収スペクトロスコピー(XAS)によって調査された。XRDパターン(図
b)では、すべての回折ピークがP4/mmm空間群のSrFeO2および充電前
のLa0.9Ba0.1F2.9電解質によってインデックスした。x = 0.5まで充電し
た後、SrFeO2の結晶構造は、化学的フルオリン化によって得られたSrFe
O2Fと同じ空間群のものに変化した。ピーク位置は格子の膨張により低
角にシフトしたが、その後の充電において同じ結晶構造を保持した。放
電後、ピーク位置は高角側にシフトしたが、SrFeO2Fxの結晶構造は空
間群P4/mmmによって特徴付けられる元のものには戻らず、むしろ
空間
群に留まった。

放電後、ピーク位置は高角度側に移動したが、SrFeO2Fxの結晶構造は、
空間群P4/mmmによって特徴付けられる元のものには戻らず、むしろ空
間群に残り続けた。Fe K辺XASスペクトル(図1c; 図S3、補足情報)で
は、吸収端エネルギー(E0)がF−の早期挿入段階で高エネルギー側に
シフトした(x ≤ 1)、しかしその後のF−挿入(x > 1)では変化しなか
った。E0は完全放電後に元のエネルギーに部分的に戻る。O K辺XASス
ペクトル(図1d)では、O 1sレベルからFe 3dおよびO 2p軌道の混成状
態への遷移に起因する2つのピークが充電前に約530 eVで観察された(S
rFeO2)。約527.5 eVの強度はF−挿入の初期段階(x ≤ 1)で増加し、こ
れは他の鉄系挿入材料でも観察されており、スーパーオキシド種の形成
起因すると考えられる。

2.2 活性化後のSrFeO2Fxのフッ化物イオンの挿入/抽出挙動
活性化プロセス後のSrFeO2Fxは優れた電気化学的特性を示す。図2aに
示されているように、SrFeO2Fxは353 mAh g−1の容量を提供し、これは
1 F−の容量を超え、2.3 F−の挿入に相当し、充電時に約1.5 Vのプラトー
が1つあり、続いて放電時に1つのプラトーで350 mAh g−1の容量を提供
した。SrFeO2Fxの充電/放電容量は、最低30サイクルの間、電圧の減衰
なく320 mAh g−1以上を維持し、各サイクルのクーロン効率はほぼ100
%でした(図2b; 図S4、サポート情報)。さらに、SrFeO2Fxは比較的高
いレート能力を示し(図2bに示すように、100 mA g−1で200 mAh g−1)、
これはLa1.2Sr1.8Mn2O7−δF2と同等であり、その結果はバルク内での
F−の迅速な拡散を示唆。
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図2. SrFeO2Fxの活性化プロセス後の電気化学的特性と結晶構造の変化。
a) 140 °Cでの5 mA g−1の電流密度による充電/放電曲線。b) 140 °Cで
の5から200 mA g−1の異なる電流密度におけるレート性能とクーロン効
率。c) 充電/放電前後のSrFeO2Fxを含む陰極複合体のXRDパターン。X
線の波長は1.240 Å。La0.9Ba0.1F2.9固体電解質が基準として示す。挿
入部分はXRD ≈25.5°の拡大図。図中のxはフッ素含量(SrFeO2Fxのx)
を表す。d) 充電/放電前後のSrF充電前の活性化されたSrFeO2Fxの結晶
構造(x = 0)は、格子定数a = 3.9505 Åを持つ空間群であり、これは非
活性化SrFeO2の最初の放電後の結晶構造と同じ(図2c)。

その後の充電では、SrFeO2Fxの110ピークは同じ空間群で低い角度に向
かって連続的にシフトし、放電後には充電前と同じ状態に戻った。これ
らの結果は、結晶構造の可逆的変化を示す。Le Bail解析によるXRDパタ
ーンフィッティングから計算された格子定数は、3.9505 Åから3.9569 Å
に可逆的に変化し、F−(脱挿入)に伴う格子体積膨張比は約0.5%(図2d)。
この格子体積膨張比は、ゼロひずみのリチウムイオン挿入電極として知
られるLi1.25V0.55Nb0.2O1.9F0.1(0.7%)の値と同等であり、カソー
ドと固体電解質の界面での堅牢な接触を維持する利点がある。eO2Fxの
格子定数aと体積膨張率。

2.3 SrFeO2Fx の活性化後の電荷補償メカニズム
SrFeO2Fx における過剰な F− 挿入と電荷補償メカニズムの展開のため、
シンクロトロンハード/ソフト XAS を用いて (脱)フルオリネーションを
調査した (図 3a–c; 図 S7, 補足情報)。充電および放電中の SrFeO2Fx の
Fe K-端 XAS スペクトルの E0 は、x ≤ 1 の範囲で高エネルギーおよび低
エネルギーに可逆的にシフトし、SrFeO2 および SrFeO3 の E0 の間に
あった (図 3a)。これは、x ≤ 1 の範囲で可逆的な Fe2+/Fe3+ レドック
スが発生することを示唆しています。O K-端 XAS スペクトルでは、充
電前 (x≈0) に ≈530 eV で広いピークが観察され、F− 挿入の初期段階 (
x ≤ 1) では強度が ≈527.5 eV に増加しました (図 3b)。x≈1 を超えるさ
らなる F− 挿入は、新しいピーク ≈530.8 eV の出現を引き起こし、これ
は最初のサイクルで観察されたものに似ており、そのピーク強度は x の
増加と共に増加しました。このピーク ≈530.8 eV は、その後の F− 抽出
により可逆的に消失した。
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図3.活性化プロセス後のSrFeO2Fxの電気構造変化について、a) Fe K端XASスペクトルの吸
収端エネルギー (E0)、b) O K端XASスペクトル、c) F K端XASスペクトル、図2aに示す充放電
プロファイルのさまざまな状態について。図内のxはフッ素含有量 (活性化プロセス後のSrFeO
2Fxにおけるx) を示します。d) 活性化プロセス後の完全充電及び完全放電されたSrFeO2Fxに
ついて、530.8 eVでの励起エネルギーの高分解能RIXSスペクトル。

SrFeO2Fxは、小さな体積膨張で過剰なF−の挿入/抽出を促進し、そのペ
ロブスカイト構造を維持することができる。SrFeO2あたりの通常の陰イ
オン空孔に収容できるF−の量は1であるため、1以上のF−を収容するた
めには、SrFeO2Fxに追加の陰イオンサイトが必要。SrFeO2Fxの後の充
電プロセス中のO–O結合の形成(x > 1)は、充電補償に寄与するだけでな
く、過剰なF−を収容するための追加の陰イオンサイトを生成する二重の
機能を果たす可能性があります。しかし、中性のO2が過剰なF−の挿入(1
.3 e−)の電荷を補償すると仮定すると、生成された陰イオン空孔は約0.33
であり、さらに不規則なサイトにかなりの量のF−が収容される必要があ
ります。定電流間欠滴定法(図S13、補足情報)は、オープン回路電圧の
分極とヒステリシスがx > 1の方が0 < x ≤ 1よりも大きいことを示した。

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図4.
活性化プロセス後のCaySr1-yFeO2Fx(y = 0、0.2、0.4、0.7、0.8、1.0)の電気化学
的特性。a)140℃での電流密度5mA g−1でのCaySr1-yFeO2Fx(y = 0、0.2、0.4、0.7、0.8、
1.0)の放電容量。b)LIBとFIBの酸化フッ化物およびカソード材料に対するSrFeO2FxとCa0.
8Sr0.2FeO2Fxの体積/重量容量の比較。[7、9、19、26、27]

2.4 Sr置換CaFeO2のフッ素イオン挿入/抽出
SrFeO₂Fxが示す称賛すべき可逆容量にもかかわらず、Fe2+/Fe3+のレド
ックス反応とO–O結合形成(酸素レドックス)を利用した過剰F−挿入に
よるものであり、ストロンチウム(Sr)の比較的高い原子量は材料の全
体的な容量に制限をもたらす。SrFeO2Fxカソード材料の容量を向上させ
る追求において、Srはより低い原子量と地球に豊富なCaに置換された
表S2、補足情報)。一連のCaySr1-yFeO2(y = 0.2、0.4、0.7、0.8、お
よび1.0)化合物が合成され、全固体状態FIBのカソード材料に適用した。
合成手順と特性評価の詳細は、実験セクション、図S14およびS15、表S3
–S7(補足情報)に記載されている。CaySr1-yFeO2(y=0.2、0.4、0.7、
および0.8)のXRDパターンは、SrFeO2と同じP4/mmmの空間群にイン
デックスされた(図S16a、補足情報)。CaySr1-yFeO2の格子定数は、Ca
含有量の増加に伴い減少した。

一方、CaFeO2(y = 1)は、[FeO4]平面四角形の歪みによって対称性が
低下した(図S16b、補足情報)。これらの結果は、以前の報告と良く一
致している。 活性化プロセス後のCaySr1-yFeO2Fxは、SrFeO2Fxと類
似の充放電特性曲線を示した(図4a)。特筆すべきは、Ca0.8Sr0.2FeO2
Fxが580 mAh g−1(2595 mAh cm−3)の超高容量を示す。最高容量は
CaFeO2FxではなくCa0.8Sr0.2FeO2Fxで得られ、これはCaFeO2の望ま
しくない歪んだ結晶構造に起因する可能性がある。O、F、Fe K-edge
XASは、Fe2+/Fe3+のレドックスがx ≤ 1.0の範囲での電荷補償に、そし
てx > 1.0の範囲での酸素レドックスがCa0.8Sr0.2FeO2FxにおけるF−の
挿入/抽出に責任を持つことを示し、これはSrFeO2Fxと同じメカニズム
である(図S17、補足情報)。

SrFeO2Fx と Ca0.8Sr0.2FeO2Fx は、Fe2+/Fe3+ 酸化還元および酸素酸
化還元による過剰の F− 挿入/抽出を利用して、LIB および FIB で従来の
カソードよりも高い重量容量と体積容量を示す (図 4b)。[7、9、19、26、
27] 特に、Ca0.8Sr0.2FeO2Fx は、主にカルシウム、鉄、酸素などの豊富
な元素で構成される市販の LIB カソードよりもほぼ 3 倍高い容量を提供
し、大規模な実用アプリケーションに特に魅力的です。 Ca0.8Sr0.2FeO2Fx
カソード/LaF3 アノードで構築された FIB のプロトタイプは、活物質に
基づいて従来の LiCoO2/グラファイトセル (1550 Wh L−1) の 2.4 倍に
あたる、巨大な体積エネルギー密度 (3392 Wh L−1) を提供できる (表
S8、補足情報)。 FIB は、サイクル安定性、レート特性などの電気化学
的特性の点で、さらなる改善の余地があることを強調しておく必要があ
る。その戦略には、活物質の化学組成、複合電極内のイオン/電子経路、
電極と電解質間の界面接触の制御が含まれる。 さらに、ペロブスカイト
酸フッ化物内の O–O 結合と過剰な F⁻ の存在の背後にあるメカニズムは、
十分に解明されていないままです。このメカニズムを理解することは、
優れたカソード、より一般的には、様々な物理的・化学的機能を有する
混合アニオン化合物を設計する上で非常に重要であり、今後明らかにさ
れるべきである。
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1.タイトル:Ultra-High-Capacity of Earth-Abundant Cathodes Enabled by Excess Fluoride-
 Ion Insertion/Extraction
2.著  者:Yanchang Wang, Kentaro Yamamoto, Yuki Sakaguchi, Jun Miyawaki, Toshiyuki
Matsunaga, Datong Zhang, Hisao Kiuchi, Zulai Cao, Koji Nakanishi, Toshiki Watanabe, Neha
Thakur, Mukesh Kumar, Hidenori Miki, Hideki Iba, Kazuhiko Maeda, Yoshihisa Harada,
Hiroshi Kageyama, Yoshiharu Uchimoto
3.掲 載 誌:Advanced Energy Materials
4.DOI:10.1002/aenm.202406131

🟠 淡水化有用物循環回収編
✳️
海洋の窒素循環を解明する新たな研究
    ーアナモックスの酸素同位体分別測定に初めて成功ー
6月20日北海道大学らの研究チームは、海洋窒素循環の鍵であるアナモ
ックス反応において、酸素同位体分別(¹⁸ε)の測定に世界で初めて成功
した。海洋性アナモックス細菌Scalinduaを用いた実験で、NO₂⁻とH₂O
の間で酸素同位体が非生物的交換の8~12倍の速度で交換され、NO₂⁻か
らNO₃⁻への酸化で逆同位体分別が起こることを確認。これによりNO₃⁻
の同位体比が周囲の水の値に急速に近づくことが判明し、アナモックス
由来の地球化学的指標が消失する可能性が示された。

海洋の窒素循環を解明する新たな研究~アナモックスの酸素同位体分別測定に初めて成功~
図 1.海洋の窒素循環における窒素(15ε)、酸素(18ε)同位体分別。「?」は最後の欠けてい
るピース(アナモックス反応の 18ε)を示す。
【将来展望】
アナモックスプロセスは、持続可能な水処理技術として大
きな可能性を秘めています。今後の技術発展により、以下のような展開
が期待されている。
・小規模施設への適用拡大

・途上国での普及(低コスト・省エネルギーの利点を活かして)
・バイオリファイナリーとの統合(廃水からの資源回収)
・宇宙ステーションなどの閉鎖系環境での水再生システムへの応用



✳️塩化ナトリウムウム・マグネシウム回収法
1️⃣ 特開平8-197049 ミネラル成分の回収方法 株式会社日立製作所
【要約】尿105はpH調整器101でpHをアルカリ性に調整される
ので、それに含まれる二価イオンがリン酸塩を作り沈澱物となる。この
沈澱物は固液分離器102で分離される。その後、電気透析部103での
処理により電気透析部103から一価イオンを含む濃縮液108が排出
され、温度差晶析部104に導かれる。90℃のタンク109にて濃縮
され析出した塩化ナトリウムはフィルタ110で分離される。濃縮液
108は、更にタンク111に供給され20℃に冷やされ、塩化カリウ
ムを析出させる。析出した塩化カリウムは、フィルタ112で除去される。
【効果】尿に含まれる人間に有用なミネラル成分である塩化ナトリウム
を高効率かつ高純度に回収できる。




【図1】本発明の一実施例であるミネラル成分回収装置の構成図

【図2】本発明の他の実施例であるミネラル成分回収装置の構成図

000009
【図3】図1及び図2の固液分離器の具体的な一例を示す構成図

【符号の説明】
101…pH調整器、102…固液分離器、103…電気透析部、104…
温度差晶析部、109,111…タンク、110,112…フィルタ。
【特許請求の範囲】

【請求項1】ミネラル成分であるナトリウムイオン,カリウムイオン,
塩素イオン及びリン酸
イオンを含むミネラル溶液のpHをアルカリ性に
調整して二価以上の不純物陽イオンをリン酸
塩として析出させ、このリ
ン酸塩を前記ミネラル溶液から分離し、その後、このミネラル溶液
から
一価イオンを含むミネラル溶液を取り出し、一価イオンを含むミネラル
溶液から塩化ナト
リウムを回収するミネラル成分の回収方法。

【請求項2】前記ミネラル溶液から一価イオンを含むミネラル溶液を取
り出す工程が、一価イ
オン選択性を有するイオン交換膜を使用した電気
透析である請求項1のミネラル成分の回収方法。

【請求項3】前記ミネラル溶液から一価イオンを含むミネラル溶液を取
り出す工程が、Cl型
の陰イオン交換樹脂層を通過させることによって、
溶液中の二価イオンとClイオンを置換・
除去する請求項1のミネラル
成分の回収方法。

【請求項4】前記一価イオンを含むミネラル溶液から前記塩化ナトリウ
ムを回収する工程に、
混合水溶液中の各成分の溶解度差を利用した濃縮
晶析を用いる請求項1のミネラル成分の回収
方法。
【請求項5】Cl型の陰イオン交換樹脂の再生に、前記回収したKCl
溶液を用いる請求項3
のミネラル成分の回収方法。
【請求項6】前記リン酸塩を前記ミネラル溶液からの分離は、遠心分離
である請求項1のミ
ネラル成分の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、ミネラル成分の回収方法に係り、各種
ミネラルを含んだ排水から有用な成分(例えばNaCl等)を回収する
方法に関する。
【従来の技術】各種ミネラル成分を含む水から有用成分を分離回収する
方法としては、海水からの塩(食塩)の回収が考えられる。海水中には
約3.4% のNaClが含まれており、人間が食する塩はこの海水から製
造されている。海水からの食塩製造は、塩田法,蒸発濃縮法及び電気透
析法によって行われている。この製塩に関する従来例としては、例えば
「最近の膜処理技術とその応用」フジテクノシステム554頁等がある。
これらの従来の塩化ナトリウム回収方法は、特にミネラル成分を分離・
除去することなく含まれる塩分を濃縮して全て回収するものである。こ
れは、から塩を回収する場合には、回収する塩の成分と海水中に含
まれる成分との間に差が無いためで、海水中の塩の大部分がNaClで
あることから可能となる。しかしながら、排水のように多くのミネラル
成分が含まれている場合には、ミネラル成分として必要な物質及び不要
な物質が存在するために、不要な物質を分離除去後に必要な物質を回収
しなければならない。特に、宇宙空間等の閉鎖環境系では人間の食べる
食塩(NaCl)を尿から回収することが考えられている。さらに、
NaCl除去後の排水は全て植物の肥料として使用されるが、植物にと
ってNaClはあまり良いものでなく、含まれるNaClはなるべく高効率
に分離回収する必要がある。また、人間の食べる塩にあまり不純物が含
まれると、これも良い影響を与えないことから、高純度でNaClを回
収する必要がある。【0004】
そこで、ミネラル成分としてNaClを回収する場合を想定する。まず、
排水に含まれるミネラル成分中の一価イオン成分と二価以上のイオン成
分とを分離し、分離回収した一価イオン成分の中からNaClだけを分
離すれば、多くのミネラル成分を含む排水中からNaClだけを回収す
ることが可能になる。この方法によれば、回収する成分と同じ価数のイ
オンを分離回収するために処理液中に含まれるイオン成分の数を大きく
低減することが可能になる。このために、最終的に回収するミネラル成
分をこの中から分離することが容易になるとともに、回収物質の純度も
向上させることができる。ここで、排水中に含まれるイオン成分の中か
ら、イオンの価数で分離できる方法としては、価数選択性を有するイオ
ン交換膜を用いた電気透析法が考えられる。価数選択性のイオン交換膜と
しては研究開発がなされているが現在では一価選択性の膜が実用の域に
達している。電気透析法は、イオンを通すイオン交換膜を交互に設置し
その両端から直流通電することで、イオンを移動させ、イオンの濃縮(
同時に片方は希釈)を行う方法である。従って、このイオン交換膜とし
て一価選択性のイオン交換膜を使用した場合、いろいろなイオン成分を
含む溶液から、一価のイオンだけを選択的に分離・濃縮することができ
る。このようにして同じ価数のイオン成分だけを分離,濃縮した後、さ
らに、有用な成分を分離する方法としては、各成分の溶解度の差を利用
した温度差による晶析法を適用する方法がある。溶解度の差を利用した
温度差晶析法は、例えばNaClとKClを分離する場合、この2成分
の溶解度変化を表1に示す。
000003
ここで、NaCl及びKClを含む混合溶液をKClの濃度が27.2%
になるまで混合溶液の濃縮を行う。この時、NaClの濃度が29.2%
以下の場合には何も析出しないが、その濃度以上になった場合にはNa
Clが析出する。次に、この溶液だけを20℃まで冷却した場合、Na
Clの溶解度は変わらないがKClの溶解度が14.9% まで低下する
ので、KClが析出する。これら処理を繰り返し行うことによって、
NaClとKClを分離することが可能になる。この方法に関する公知
例としては、例えばSAE Technical Paper,941449 等がある。

000004
【発明が解決しようとする課題】上記の様な従来の回収方法では、一価
イオン選択透過性イオン交換膜の性能が完全であり、一価イオンと二価
イオンが高効率に分離できれば問題ないが、実際には陰イオン交換膜及
び陽イオン交換膜のどちらもかなりの二価イオンを透過する。どちらか
といえば、陰イオン交換膜における二価イオンの除去率は高いのに対し
て、陽イオン交換膜における除去率はあまり高くない。この結果、二価
イオン分離後の晶析操作によって生じる塩の成分の純度は大きく低下し
てしまうという課題がある。ここで、宇宙空間等の閉鎖環境系で人間の
食べる食塩(NaCl)を尿から回収するシステムを考えた場合、尿は湿
式酸化され、含まれる有機物成分は完全に分解されることから、このミ
ネラル回収システムに入る不純物は表2の様になる。
【0013】
000005
ン酸イオンとカルシウムイオンによる塩の溶解度をリン酸イオンの形
態別に示した。
リン酸イオンの価数が増大するにつれてその溶解度は小さ
くなり、水中にほとんど溶けなくなる
。これは、マグネシウム塩におい
ても同様な傾向であることから、ミネラル溶液中に含まれる
カルシウム
イオンとマグネシウムイオンはリン酸塩としてその大部分を沈澱分離す
ることがで
きる。

【実施例】以下、図1~図4を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
【0017】(実施例1)図1に本発明に係るミネラル成分回収装置の一
実施例を示す。本実施例は、pH調整器101,固液分離器102,電
気透析部103,温度差晶析部104を有する。pH調整器101,固
液分離器102及び電気透析部103は、配管10によって接続される。
温度差晶析部104は、タンク109,フィルタ110,タンク111及び
フィルタ112を有する。電気透析部103の濃縮室は、配管20によ
って温度差晶析部104のタンク109に接続される。温度差晶析部1
04のタンク109,フィルタ110,タンク111及びフィルタ11
2は、配管30によって接続される。電気透析部103は、内部に複数
の一価イオン選択透過イオン交換膜を設置し、負の電極106及び正の
電極107を有している。

【0018】湿式酸化等によって処理された人間の尿105は、まず、
pH調整器101に送られここでpHをアルカリ性に調整される。この
結果、前述したように処理された尿105に含まれるリン酸イオン,カ
ルシウム及びマグネシウムのような二価イオンが溶解度の小さいリン酸
塩を作り、沈澱物を生成する。この沈澱物を含む溶液は、pH調整器1
01から固液分離器102に導かれる。固液分離器102によって沈澱
物が分離される。沈澱物が除去された溶液が、配管10を通して電気透
析部103に送られる。ここで、電気透析部103に送られた溶液中に
含まれるイオンの主なものは、ナトリウム,カリウム,塩素,硫酸及び
リン酸の各イオンである。電気透析部103の左右の電極106及び1
07に直流電流を印加すると、一価イオン選択透過イオン交換膜によっ
て溶液中の一価イオンが選択的に透過・濃縮される。前述のイオンのう
ち濃縮されたナトリウムイオン,カリウムイオン及びそして塩素イオン
を含む濃縮液108が、電気透析部103の濃縮室から配管20に吐出
され、温度差晶析部104のタンク109に導かれる。脱塩液は配管1
06によって電気透析部103から排出される。

【0019】タンク109及びフィルタ110は90℃に保持され、タ
ンク111及びフィルタ112は20℃に保持されている。濃縮液10
8は、まず、90℃のタンク109にて濃縮され塩化ナトリウムを析出
させる。析出した塩化ナトリウムを含む濃縮液108は、フィルタ11
0に送られる。ここで、析出した塩化ナトリウムはフィルタ110で分
離される。その後、他のイオンを含む濃縮液108はタンク111に供
給され、20℃まで冷やされる。この結果、塩化カリウムが析出する。
析出した塩化カリウムは、フィルタ112で除去される。濃縮液108
は、再びタンク109に戻され90℃の温度で濃縮される。以上のよう
な温度差晶析部104内で濃縮液108の90℃での加熱及び20℃で
の冷却を交互に数回繰り返すことにより、濃縮液108中の塩化ナトリ
ウム及び塩化カリウムの回収効率が向上する。また、温度を変えて塩化
ナトリウム及び塩化カリウムを個々に析出させているので、純度の高い
塩化ナトリウム及び塩化カリウムを得ることができる。

【0020】本実施例は、上記したように高純度の塩化ナトリウム及び
塩化カリウムを高効率で回収できる。また、本実施例は、電気透析法を
用いて塩化ナトリウム及び塩化カリウムの濃縮を行っているので、脱塩
液及び濃縮液が別々になる。このため、電気透析部103で溶液中のイ
オン濃度を増加させることでき、後段の温度差晶析部104での濃縮液
の量を低減できる。これは、温度差晶析部104での加熱,冷却による
塩化ナトリウム及び塩化カリウムの回収効率を向上させる。電気透析部
103は、通電することで溶液を連続的に処理できる。


【0026】実施例1及び2に用いる固液分離器102の一例を図3に
示す。前述のpH調整器101でのpH調整にて沈澱するリン酸塩の析
出物は非常に粘りけのある固体であることから、上澄みである溶液とそ
の析出物との分離に通常のろ過方式を用いると、ろ過体がすぐに目詰ま
りを起こす可能性がある。図3の固液分離器は、遠心力を用いた分離器
である。

【0027】本固液分離器は、分離槽302及びこれを回転させるモー
タ301を備える。pH調整器101に接続される配管10の部分であ
る供給管303が、分離槽302内に挿入されている。電気透析部103
または陽イオン交換樹脂塔201に接続される配管10の部分である排
出管304も分離槽302内に挿入されている。アルカリにpH調整さ
れリン酸塩が析出している溶液は供給管303から分離槽302内に導
入される。この分離槽302はモータ301によって高速回転しており、
分離槽302内の溶液には遠心力が作用する。このため、溶液に含まれ
るリン酸塩は分離槽302の外側に分離される。排出管304はこの分
離槽302の中心部に位置しているので、排出管304からはリン酸塩
の固体が除去された上澄み溶液を取り出すことができる。また、分離さ
れたリン酸塩はこの分離槽302の外側に付着されていくので、この分
離槽302内に多くのリン酸塩の固体を蓄えることができる。このリン
酸塩は酸性溶液に溶解するので、リン酸塩を廃棄するばかりでなく、酸
溶液によってこのリン酸,カルシウム,マグネシウムイオンを再利用す
ることも可能である。
                                      
                                        
ト音記号 イラストや に対する画像結果
         『夏聴きたい曲:テンションあがる夏ソング①』 











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エネルギーと環境 271

2025年06月22日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

                     

【季語と短歌:6月22日】 

         明易や小さき虫這う枕元 

               高山 宇(繊細鬼)

🪄朝方、虫這う気配し目覚め、部屋の掃き口を開放。これも暑さかと
  俳句詠む。
【俺の好物レシピ ⓶】



ブロッコリーをやわらかくなるまでゆでてペースト状に。具のベーコ
ンと、にんにく、赤とうがらしの香りづけで、うまみアップ!最後に粉
チーズでコクを出し、黒こしょうを振ってできあがり。新食感のパスタ
NHK あさイチ 2025年6月19日
🪄栄養価も高く、彩もよい。是非もない、さっそくチャレンジ。

概要図

🟡 日本発革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

🟠 淡水化有用物回収編
分離技術とは、混合物から目的成分を取り出す、または不要物を取り除
く技術に関する研究
開発領域。化学プロセスにおいて目的成分を低環境
負荷・低エネルギーで取り出す技術、火
力発電所や工場などから生じる
CO2の分離、グリーン水素の分離・精製、海水の淡水化や排
水からの有
用物回収
、鉱物資源や都市鉱山からの目的金属の分離、医療用途(人工
透析、酸
素濃縮)など幅広い産業の基盤となっている技術。環境保全、
資源循環型社会の実現のため
にも重要な技術である。以下では、膜分離
技術、化学プロセスにおける気体・液体の分離技
術、CO2分離技術、固
体を対象とした分離濃縮技術を対象とする。
尚、ここでは。海水中の「リチウム 臭素 塩化ナトリウム 金属類 
沃素他」の回収・溶出物分離に関する特許技術等を考察する。

🟦沃素回収
1️⃣特開2025-65038 イオン選択透過特性を持つ炭化水素系アニオン交
換膜を備える電気透析装置の運転方法 株式会社アストム他(有効)
【要約】ヨウ化物イオンの生産性に優れた電気透析装置の運転方法を提
供する。電気透析装置の運転方法は、電気透析装置を用いて、ヨウ化物
塩および溶媒を含むヨウ化物含有溶液を電気透析する工程を含み、電気
透析装置が、直流抵抗測定法に従って直流電流と電圧との関係を表すI
Vカーブを取得し、そのIVカーブを二次微分して得られる二次微分値
カーブにおいて極小が現れる、1価イオン選択透過性層を有するアニオ
ン交換膜を備えており、電気透析する工程において、アニオン交換膜の
有効面積(dm)をdとし、二次微分値カーブに表れる極小に対応す
る直流電流(A)の値をa1としたとき、電流密度(A/dm)を
a1/d以上に設定するものである。

【図1】電気透析装置の構成の一例を模式的に示す断面図

【符号の説明】1  電気透析装置 2  濃縮室 3  脱塩室 4  陽極 
5  陰極 6  電源 7  アニオン交換膜 8  カチオン交換膜 10  廃
液 11  廃液タンク 12、13  ライン 20  濃縮液 21  濃縮液
タンク 22、23、24  ライン 30  脱塩液 31、32  ライン 
100  ヨウ素回収システム 4  陽極 5  陰極 6  電源 7  アニオ
ン交換膜 8  カチオン交換膜 10  廃液 11  廃液タンク 12、
13  ライン 20  濃縮液 21  濃縮液タンク 22、23、24  ラ
イン 30  脱塩液 31、32  ライン 100  ヨウ素回収システム
【発明の効果】本発明によれば、ヨウ化物イオンの生産性に優れた電気
透析装置の運転方法、およびそれに用いるアニオン交換膜が提供される。

000003
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  電気透析装置を用いて、ヨウ化物塩および溶媒を含むヨウ化物含有溶液を電気透析する工程
を含み、
  前記電気透析装置が、直流抵抗測定法に従って直流電流と電圧との関係を表すIV
カーブを取得し、そのIVカーブを二次微分して得られる二次微分値カーブにおいて極小が現
れる、1価イオン選択透過性層を有するアニオン交換膜を備えており、
  前記電気透析する工
程において、前記アニオン交換膜の有効面積(dm)をdとし、前記二次微分値カーブに
表れる極小に対応する直流電流(A)の値をa1としたとき、電流密度(A/dm)をa1
/d以上に設定する、電気透析装置の運転方法。

【請求項2】
  請求項1に記載の電気透析装置の運転方法であって、  a1/dの下限が、0.5A/dm
以上である、電気透析装置の運転方法。

【請求項3】
  請求項1又は2に記載の電気透析装置の運転方法であって、  a1/dの上限が、10A/
dm以下である、電気透析装置の運転方法。

【請求項4】
  請求項1又は2に記載の電気透析装置の運転方法であって、  前記IVカーブを二次微分して
得られる二次微分値カーブに表れる極大に対応する直流電流(A)の値をa2としたとき(た
だし、a2>a1)、
  前記電気透析する工程中の電流密度(A/dm)をa2/d以下に
設定する、電気透析装置の運転方法。

【請求項5】
  請求項4に記載の電気透析装置の運転方法であって、  a2/d-a1/dが、0.5A/
dm以上10A/dm以下である、電気透析装置の運転方法。

【請求項6】
  請求項1又は2に記載の電気透析装置の運転方法であって、  下記の海水濃縮試験に従って
測定される、前記アニオン交換膜におけるSOインデックスが、3.0×10-3N以上
50.0×10-3N以下である、電気透析装置の運転方法。

海水濃縮試験>
  膜抵抗が1.5Ω・cm以上2.5Ω・cm以下であるカチオン交換膜を対に使用し、
評価対象の陰イオン交換膜を一価選択面が脱塩室に向くように組入れられた小型電気透析装
置(通電膜面積100cm)を用い、脱塩室に25℃の海水を流速6cm/秒で流し、濃
縮室に3.5mol/LのNaCl水溶液を満たして、電流密度3A/dmで濃縮室の濃
度変化がなくなるまで電気透析を行った際に得られる濃縮液中のSO2-濃度を、上記S
インデックスとして測定する。

【請求項7】
  請求項1又は2に記載の電気透析装置の運転方法であって、  前記アニオン交換膜が、4級
アンモニウム基を有する、スチレンジビニルベンゼンの共重合体を含む、電気透析装置の運
転方法。

【請求項8】
  ヨウ化物塩および溶媒を含むヨウ化物含有溶液の電気透析にのみ用いる、1価イオン選択透
過性層を有するアニオン交換膜であって、

  直流抵抗測定法に従って測定される当該アニオン交換膜の直流電流と電圧との関係を表す
IVカーブを取得したとき、そのIVカーブを二次微分して得られる二次微分値カーブにお
いて極小が表れる、
アニオン交換膜。
                             了
🟦リチウム回収
1️⃣特開2025-33148 リチウムイオン伝導シートの製造方法 株式会社日
本触媒
【要約】大型化しても耐久性に優れたリチウムイオン伝導シートの製造
方法を提供すること。リチウムイオン伝導シートの製造方法は、リチウ
原料、ランタン原料およびチタン原料を含むスラリーの塗工物を乾燥
することによって、複数のグリーンシートを成形する第1工程と、複数
のグリーンシート同士を積層して、積層体を形成する第2工程と、積層
体を圧着する第3工程と、圧着された積層体を焼成する第4工程と、を
備える。
000002
図3(a),(b),(c)は、一実施形態に係るリチウムイオン伝導シー
トの製造方法を説明するための図

【発明の効果】  本発明の一側面によれば、大型化しても耐久性に優れ
リチウムイオン伝導シートの製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
  1…リチウムイオン伝導シート、1a,10a…第1主面、1b,
10b…第2主面、10…グリーンシート、50…セッター、50a…
載置面、S1…積層体、S2…圧着された積層体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
  リチウム原料、ランタン原料およびチタン原料を含むスラリーの塗工物を乾燥することによ
って、複数のグリーンシートを成形する第1工程と、

  前記複数のグリーンシート同士を積層して、積層体を形成する第2工程と、
  前記積層体を圧着する第3工程と、
  圧着された前記積層体を焼成する第4工程と、を備えるリチウムイオン伝導シートの製造方法。
【請求項2】
  前記スラリーは、バインダーと、可塑剤と、分散剤と、溶媒と、を更に含み、
  前記バインダーの含有量は、前記スラリー中の固形分全量を基準として、10.0質量%以
上40.0質量%以下であり、
  前記可塑剤の含有量は、前記スラリー中の固形分全量を基準
として、1.0質量%以上20.0質量%以下であり、
  前記分散剤の含有量は、前記スラリ
ー中の固形分全量を基準として、1.0質量%以上5.0質量%以下である、請求項1に記
載のリチウムイオン伝導シートの製造方法。

【請求項3】
  前記第3工程では、30℃以上200℃以下の条件下で、130kPa以上1380kPa
以下の圧力で前記積層体を加圧することによって、前記積層体を圧着する、請求項1または
に記載のリチウムイオン伝導シートの製造方法。

【請求項4】
  前記第2工程では、前記複数のグリーンシートのうち少なくとも1枚のグリーンシートの表
面に有機溶媒を付着させた後、前記複数のグリーンシート同士を積層する、請求項1または
2に記載のリチウムイオン伝導シートの製造方法。

【請求項5】
  前記第2工程にて前記積層体の側面に存在する前記複数のグリーンシート同士の界面は、前
記第3工程後までに消失する、請求項1または2に記載のリチウムイオン伝導シートの製造
方法。

2️⃣特開2025-14996  低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する
方法 株式会社アサカ理研(審査中)
【要約】リチウム濃度が低いリチウム塩水溶液から短時間で、高純度の
水酸化リチウム又はリチウム塩を高収率で製造できる方法を提供する。
【解決手段】低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法が、
この低濃度リチウム塩水溶液中のリチウムリチウム吸着剤に吸着させ、
リチウムを吸着したこのリチウム吸着剤中のリチウムを鉱酸で溶離し、
この低濃度リチウム塩水溶液から第1のリチウム塩水溶液を得るリチウ
抽出工程、この第1のリチウム塩水溶液を精製して第3のリチウム
水溶液を得る精製工程、この第3のリチウム塩水溶液を蒸発濃縮して第
4のリチウム塩水溶液を得る蒸発濃縮工程、及び、この第4のリチウム
塩水溶液を膜電解して水酸化リチウム水溶液と、鉱酸と、この第4の
チウム
塩水溶液よりも希薄な第5のリチウム塩水溶液を得る膜電解工程
を含む。

000002
図1 低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法の1実施態様を示す説明図
【符号の説明】
1・・・低濃度リチウム塩水溶液、  2・・・カルシウム、マグネシウム及びマンガン
3・・・水酸化リチウム水溶液、  4・・・鉱酸又は塩酸、
5・・・水酸化リチウム・一水和物、  6・・・炭酸リチウム、  11…電解槽、
12…陽極板、  13…陰極板、  14…陽極、  15…陰極、  16…イオン交換膜、
17…陽極室、  18…陰極室。
【発明の効果】本発明の低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収す
る方法は、リチウム濃度が低い前記
リチウム塩水溶液から短時間で、高
純度のリチウム塩を高収率及び低コストで、かつ、環境汚
染を引き起こ
さないリチウム塩を製造できる方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、
  当該低濃度リチウム塩水溶液中のリチウムリチウム吸着剤に吸着させ、リチウムを吸着し
た該リチウム吸着剤中のリチウムを鉱酸で溶離し、当該低濃度リチウム塩水溶液から第1の
チウム
塩水溶液を得る工程、

  当該第1のリチウム塩水溶液を精製して第3のリチウム塩水溶液を得る精製工程、
  当該第3のリチウム塩水溶液を蒸発濃縮して第4のリチウム塩水溶液を得る蒸発濃縮工程、
及び、
  当該第4のリチウム塩水溶液を膜電解して水酸化リチウム水溶液と、鉱酸と、当該第
4のリチウム塩水溶液よりも希薄な第5のリチウム塩水溶液を得る膜電解工程を含む、低濃
リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項2】
  請求項1に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、
  沈殿が発生しない量のアルカリを前記低濃度リチウム塩水溶液に添加する前処理工程を更に
含む、低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項3】
  請求項1に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、
  前記リチウム吸着剤中のリチウムの溶離は、前記膜電解工程で得られた前記鉱酸を含む鉱酸
を前記リチウム吸着剤と接触させて実施される、低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回
収する方法。

【請求項4】
  請求項1に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記
精製工程が、水酸化リチウム水溶液及び炭酸リチウム水溶液を前記第1のリチウム塩水溶液に
添加し、前記第1のリチウム塩水溶液中のカルシウム、マグネシウム、及びマンガンを除去
し、第2のリチウム塩水溶液を得る第1の精製工程を含む、低濃度リチウム塩水溶液から
チウム
を回収する方法。

【請求項5】
  請求項4に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記
精製工程が、前記第2のリチウム塩水溶液とキレート剤を接触させ、前記第2のリチウム塩水
溶液中のカルシウム、マグネシウム、及びマンガンを除去し、前記第3のリチウム塩水溶液
を得る第2の精製工程を更に含む、低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項6】
  請求項1に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記
膜電解工程で得られる前記第5のリチウム塩水溶液中の、膜電解で生成する残留塩素及び塩
素酸を鉱酸で処理し、第6のリチウム塩水溶液を得る第3の精製工程を含み、当該第6の
チウム
塩水溶液を前記蒸発濃縮工程で前記第3のリチウム塩水溶液と共に蒸発濃縮する、低
濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項7】
  請求項1に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記
膜電解工程で得られる前記水酸化リチウム水溶液を、晶析、及び炭酸化からなる群から選ば
れる少なくとも1つに付す製品化工程を更に含む、低濃度リチウム塩水溶液からリチウム
回収する方法。

【請求項8】
  請求項7に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記
炭酸化で使用する炭酸ガスが、大気から二酸化炭素を吸収して生成された炭酸ガスを含む、低
濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項9】
  請求項6に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法において、前記
鉱酸は前記膜電解工程で得た鉱酸を含む、低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する
方法

【請求項10】
  請求項4に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法において、前記
水酸化リチウム水溶液は前記膜電解工程で得られた水酸化リチウム水溶液を含み、前記炭酸
チウム
水溶液は、前記膜電解工程で得られた水酸化リチウム水溶液を炭酸化した炭酸リチウム
水溶液を含む、低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項11】
  請求項1に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記
蒸発濃縮工程で発生する蒸留水は、前記リチウム吸着工程で使用される前記鉱酸の希釈水、
前記膜電解工程の陰極液、及び前記膜電解工程で得られる鉱酸の希釈水からなる群から選ば
れる少なくとも1つとして利用される、低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項12】
  請求項7に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記
製品化工程で発生する蒸留水は、前記リチウム吸着工程で使用される前記鉱酸の希釈水、前
記膜電解工程の陰極液、及び前記膜電解工程で得られる鉱酸の希釈水から選ばれる少なくと
も1つとして利用される、低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項13】
  請求項1に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記
鉱酸は、塩酸、硫酸、及び硝酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む、低濃度
チウム
塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項14】
  請求項1に記載され低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前記鉱
酸は塩酸を含む、濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項15】
  請求項1~14のいずれか1項に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収
する方法であって、前記膜電解工程で用いる電力は、再生可能エネルギーによって得られた
電力を含む、低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

【請求項16】
  請求項15に記載された低濃度リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法であって、前
記再生可能エネルギーによって得られた電力は、太陽光発電、風力発電、水力発電、及びバ
イオマス発電からなる群から選択される少なくとも1つによって得られた電力を含む、低濃度
リチウム塩水溶液からリチウムを回収する方法。

🟦カリウム回収
1️⃣特開2025-41196 冷却撹拌装置、及び、結晶の製造方法 公益財団法
人  塩事業センター(審査請求前)
【要約】粒径の大きな塩化カリウム含有結晶を得ることが可能な冷却撹
拌装置、及び、結晶の製造方法の提供。冷却撹拌装置1は、液体Lが収
容されることになる撹拌槽3と、撹拌槽3の内部に配置され、回転軸周
りに回転することによって液体Lを軸方向から吸引して径方向に吐出す
る撹拌翼5と、撹拌翼5と撹拌槽3の底面L2との間に配置され、撹拌
翼5及び底面L2に向けて開口する筒形状を有する筒状体4と、液体L
を冷却する冷却体6と、を備える。結晶の製造方法は、冷却撹拌装置1
の撹拌槽3に所定の晶析対象物が溶解された液体Lを収容する工程と、
冷却体6によって液体Lの温度を低下させながら撹拌翼5を回転させて
液体を撹拌する工程と、を備える。

000002
図1本発明の実施形態に係る冷却撹拌装置の概略図
【符号の説明】
  1    冷却撹拌装置  3    撹拌槽  4    ドラフトチューブ(筒状体)
  4a  液面側の開口部  4b  底面側の開口部  5    撹拌翼  6    冷却体
【発明の効果】
 本発明に係る冷却撹拌装置及び結晶の製造方法によれば、撹拌槽の内
部に配置される撹拌翼と、撹拌槽の底面と、の間に、筒状体(いわゆる、
ドラフトチューブを)が配置される。そのため、撹拌翼が液体に沈む程
度に撹拌槽に液体を収容すると、撹拌翼のほうが筒状体よりも液体の液
面に近い位置に配置されることになる。このように配置された撹拌翼を
回転させると、撹拌翼の回転によって径方向に吐出された液体は、撹拌
槽の内壁面に沿って撹拌槽の底面に向かって下方に流れ、撹拌槽の底面
の中央付近で合流した後、撹拌翼に向かって上方に流れ、撹拌翼に吸引
されて再び撹拌翼から吐出される。更に、筒状体の筒壁によって上述し
た下方への流れと上方への流れとが隔離されることで、下方への流れと
上方への流れとが混ざり合うことが抑制されて、筒状体が無い場合に比
べてより強い上方への流れの形成が促進される。これにより、撹拌槽の
槽内を循環する整流された液体の流れを生じさせることができる。

この冷却撹拌装置を用いて液体(例えば、製塩苦汁)を冷却しながら撹
拌すると、液体の温度低下に伴って析出した結晶(例えば、塩化カリウ
ム含有結晶)は、撹拌槽の槽内を循環する液体の流れに沿って撹拌槽の
底面の中央付近に集まる。これにより、単に液体を撹拌する場合(例え
ば、撹拌槽の底面の近くに撹拌翼を配置する場合)に比べ、結晶同士の
間の距離が小さくなることで、結晶の凝集が促進される。更に、凝集し
た結晶が液体の流れに晒されることで、強く凝集した結晶を選択的に残
存させることができる。加えて、上述したように上方への流れの形成が
促進されることから、凝集の度合いの小さい結晶を、撹拌槽の底面から
引き離して(即ち、筒状体から溢流させて)再び冷却することで、過剰
な結晶核の発生が抑制される。このように結晶の凝集を促進することで、
見かけ上の粒径が大きな結晶を得ることができる。           了
🪄当面、このシリーズ関連情報を考察していこう。                
ト音記号 イラストや に対する画像結果
              『もう一度聞きたい楽曲:The Long And Winding Road』
                          1970年

                      

ポール・マッカートニーは、1966年6月に購入したスコットランドの
ャンベルタウン
近くのハイ・パーク・ファームに初めて訪れた際に
The Long and Winding Road」というタイトルを思いついた
このフレー
ズは、湖と遠くの山々に囲まれた人里離れたハイランド地方の「丘陵地
帯に伸びる」道路の光景に触発されたもの。彼は1968年に農場で、ビー
トルズ内の緊張の高まりに触発されてこの曲を書いている。


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エネルギーと環境 270

2025年06月21日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:6月21日】 

        梅雨晴れ間丸ごとトマト啜る朝 

                  高山 宇(精欲鬼)

🪄消耗時のリゲインにガーリックぺーストを加えることにしているが
   頻度は適宜適時。お呪いだが料理に旨味増す。(笑)


「キャベツと卵のみそ汁」のレシピ動画  
巣ごもり風!キャベツと卵のみそ汁
【俺の好物レシピ ①】


✳️ Hondaの新たな電動スクーター『CUV e: 』が登場!



BYDのNIB版定置用蓄電池システム
BYDのNIB版定置用蓄電池システム BYDが中国・上海交通大学などと共同で2024年後半に
中国・唐山三友集団の敷地に設置。2025年1月に電力系統に接続された
出所:上海交通大学

✳️ ナトリウムイオン2次電池(NIB)が話題に
中国の大手電池メーカーが続々と実用化して大規模量産を始めているこ
とによる。例えば、中国・比亜迪(BYD)が2024年11月に、主に定置
用蓄電池向けにNIBの量産を開始した。100億中国元(1中国元=20円で
2000億円)を投資した年産30GWh規模の工場も近く稼働する見通しで
ある。また、中国・寧徳時代新能源科技(CATL)は電気自動車(EV)
向けNIBを2025年6月に量産出荷する計画だ。BYDも近く、EVや電動二
輪車、電動フォークリフトなど向けにも量産を始めるとみられている。
他にもNIBの開発や製造を手掛ける中国メーカーは多いという。
※経クロステック/日経エレクトロニクス 2025.06.20

折板屋根を模した屋根上に設置した
折板屋根を模した屋根上に設置した(出所:日揮)
✳️日揮とPXP、フィルム型太陽電池をシート工法で設置・実証
太陽電池ベンチャーのPXP(神奈川県相模原市)は、横浜市内の日揮グ
ループ所有施設において、フィルム型のCIS化合物型太陽電池(カルコパ
イライト太陽電池)を用いた実証実験を開始した。5月15日に発表した。
日揮ホールディングスおよび国内EPC(設計・調達・施工)事業会社の
日揮(横浜市)と共同で実施する。実
証で設置した太陽電池モジュール
は、あらかじめ電気的に接続した複数のセル(発電素子)を基材シート
状に並べたもの。実証では、幅0.5m×長さ5mの大面積モジュールを4枚
(合計10m2)を設置した。合計出力は約1kW、年間発電量は一般的な
結晶シリコン型太陽電池と同等の約1000kWh程度かそれ以上を見込む。

工場や倉庫などの折板屋根を模した屋外環境に、日揮が開発した産業関
連施設の屋根向け施工方法「シート工法」を用いて設置した。同工法は、
遮熱シートに薄膜太陽電池を載せたものを発電モジュールとして一体化
し、筒状の金具(グリッパー)を用いて着脱可能な状態で固定するもの。

モジュールの重さは1m2あたり約2kgと軽量で、配線を削減したことで
設置作業・配線作業の能率化・効率化を実現した。また、作業員1人あ
たり1日に換算して100m2の施工ができることを確認した。
実証では、
フィルム型太陽電池の大面積化におけるシート工法の適用可能性、振動
や衝撃に強い特性の有効性を確認する。発電量や耐久性といったデータ
をシート工法および薄膜太陽電池の開発にフィードバックすることで、
次世代太陽電池の早期社会実装を目指す。
日揮は、すでに太陽電池ベン
チャーのエネコートテクノロジーズと連携して、フィルム型ペロブスカ
イト太陽電池をシート工法によって設置・運用する実証に取り組んでい
る。

タイムズ南本町第一駐車場(大阪市中央区)に垂直ソーラー発電システム「VERPA」を導入
タイムズ南本町第一駐車場(大阪市中央区)に垂直ソーラー発電システム「VERPA」を導入

✳️ 都市部の駐車場に太陽光パネルを「垂直設置」 大阪市で稼働を開始
パーク24が運営する「タイムズ南本町第一駐車場」(大阪市中央区)で、
垂直設置タイプの太陽光発電システムが稼働を開始した。運営するタイ
ムズ南本町第一駐車場(大阪市中央区)に垂直ソーラー発電システム
「VERPA(ヴァルパ)」を納入し、2025年5月9日より実用運転を開始。
<タイムズ南本町第一駐車場に導入された「VERPA」の概要>
ユニット数:6ユニット(南北受光タイプ)
発電出力   :モジュール総発電能力 6.3 kW-DC/パワコン出力 5.5kW-AC
設備の特徴:停電時にも太陽光発電が可能となる自立運転システムを採用
設置場所   :大阪市中央区南本町1-8 駐車場 北側境界近く
年間発電量:4,000~4,500kWh/年(予測値)
CO₂削減量:1.7~1.9t-CO₂/年(関西電力のCO₂排出係数0.434kg-CO₂/kWhで計算
2025年05月13日 08時00分 公開 [スマートジャパン]

抽象的なイメージ
本研究の光触媒設計指針:多様な有機分子団のエネルギーに着目し、3種類の分子団を適切な
順序で配列させることで階段状のエネルギー傾斜を導入。長距離の電荷分離状態により高効
率な光触媒として働くことを実証。従来の二元系と本研究で開発した三元系光触媒の比較:
CO2変換の反応量子収率32.2%を達成
✳️貴金属不要の人工光合成へ有機高分子光触媒を開発
京都大学,大阪大学,岡山大学は,高効率二酸化炭素変換を進行する錯

体触媒内蔵型の有機高分子光触媒を開発.
【概要】緑色植物の光合成反応を模倣し、光エネルギーにより二酸化炭
素(CO2)を変換する優れた光触媒の開発が期待されています。光反応
の効率を示す指標の一つである反応量子収率が 30%を超える値が報告
されてる、比較的高効率なCO2変換用光触媒には、ルテニウムやレニウ
ムなどの希少金属が光吸収部位として用いられてきました。本研究では、
炭素・窒素・水素・酸素・硫黄からなる有機高分子を光吸収部位とした
光触媒により、30%を超える量子収率でCO2のギ酸への変換を実証した。
多様な共役系有機分子団を原料とし、そのエネルギー準位に着目して適
切に連結させ、多段階のエネルギー傾斜を光触媒内に導入することで、
貴金属に頼ることなく光触媒の高効率化に不可欠な電荷分離を実現した。
光触媒構造を最適化することで、可視光の照射によるCO2変換の量子収
率は最大32.2%に達し、0.48 モル毎リットルの高濃度なギ酸を生成する
ことに成功した。 
【展望】波及効果
本研究では、光吸収特性を希少金属に頼らずとも優れた電荷分離状態を
形成し、高効率な光触媒的CO2変換反応を進行可能であることを実証で
きた。一方で今回、反応中心としては希少金属のルテニウムを使用して
いるため、今後は反応中心を置き換えることで完全に地球上豊富な元素
のみから構成される高効率光触媒の開発を目指。また、この光触媒設
計は、原理的にはCO2変換に限らずさまざまな分子変換反応に適用可能
であるため、水からの水素製造や、創薬や材料開発などに欠かせない様
々な有機合成反応の反応量子収率を飛躍的に向上できる可能性を秘めて
います。今後は本光触媒設計を様々な分子変換反応へと適用するととも
に、天然光合成と同様に豊富でクリーンな水を反応剤とした分子変換反
応、すなわち真の人工光合成反応の実現を
目指す。
-------------------------------------------------------------------------------
関連論文:
タイトル:Molecular-Level Tailoring of Energy Structure in Ternary Conjugated Polymers
with a Built-in
Ru-Complex Catalyst for Efficient CO2  Reduction Photocatalysis (3 元系共
役高分子の分子レベルでのエネルギー構造制御による高効率な光触媒的CO2
還元)
掲 載 誌:Journal of the American Chemical Society  、OI:10.1021/jacs.5c04222 

✳️全固体電池向けの固体電解質市場、2030年以降に急加速か
富士経済は、全固体電池や半固体電池・疑似固体電池に用いられる「固
体電解質」の世界市場を調査し、2045年までの予測を発表した。
これによると、2045年の世界市場は硫化物系固体電解質が7553億円、
酸化物系固体電解質が4022億円の規模に達すると予測。

1️⃣硫化物系固体電解質

上は硫化物系固体電解質、下は酸化物系固体電解質の世界市場
2️⃣ 酸化物系固体電解質の世界市場

上は硫化物系固体電解質、下は酸化物系固体電解質の世界市場

🟡 日本発革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収
分離技術とは、混合物から目的成分を取り出す、または不要物を取り除く技術に関する研究
開発領域。化学プロセスにおいて目的成分を低環境負荷・低エネルギーで取り出す技術、火
力発電所や工場などから生じるCO2の分離、グリーン水素の分離・精製、海水の淡水化や排
水からの有用物回収、鉱物資源や都市鉱山からの目的金属の分離、医療用途(人工透析、酸
素濃縮)など幅広い産業の基盤となっている技術。環境保全、資源循環型社会の実現のため
にも重要な技術である。以下では、膜分離技術、化学プロセスにおける気体・液体の分離技
術、CO2分離技術、固体を対象とした分離濃縮技術を対象とする。

🔵ブルー水素の製造技術編
1️⃣特表2024-537161 ブルー水素の生成方法及びシステム  ブルー  プラ
ネット  システムズ  コーポレーション 
【要約】CO2を水素合成生成物流から分離してCO2枯渇水素流を生
成する方法が提供される。この方法の態様は、CO2隔離固体を生成し、
水素合成生成物流からCO2を分離してCO2枯渇水素流を生成するた
めに十分な様式で、水素合成生成物流を捕捉液体及びカチオン源と組み
合わせることを含む。本方法を実施するためのシステムも、また、提供
される。
000002
🪄長文につき割愛:参考に「ブルー水素の製造、特長、産業利用、課
題とその展望についての詳細な解説
」を願参照。

ト音記号 イラストや に対する画像結果 『もう一度聞きたい楽曲:超特急 Revival Love

ダンサーが前方、ボーカルが後方でパフォーマンスを披露する「メイン
ダンサー&バックボーカル」という唯一無二のスタイルが特徴[。スタイ
リッシュなのに親近感あるキャラクターと、カラフルな個性も魅力。バ
ラエティ番組や旅ロケにもチャレンジし、メンバーそれぞれがドラマ・
映画での俳優業、ファッション誌やコスメブランドとのコラボレーショ
ン、ゲーム実況、自身のライブの総合演出を務めるなど、得意分野を活
かし多彩なジャンルでマルチに活躍。






今月20日、ロシア大統領府のペスコフ報道官はタス通信に、米国がイス
ラエル・イラン紛争に介入する場合「紛争の地理的範囲が拡大する」と
し、プーチン大統領が今回の複雑な紛争を解決する方法を探すことがで
きると信じていると伝えている(本当かい?)。
ペルシア湾(ガルフ海域)沿岸にあるブシェール原発はイランの首都テ
ヘランよりオマーン、バーレーン、カタール、サウジアラビア、アラブ
首長国連邦(UAE)など親米アラブ国家と地理的に近い。 オマーンで
は核事故発生時の対処法がソーシャルメディアで広まっていると、
米C
NNが報じた。住民はイランで原発爆発など「最悪の状況」が発生
する
場合、閉鎖された室内空間に入ってすべての扉と窓を閉め、エアコ
ンや
換気システムを消すべきなどという内容を共有している。 他の中東
国家
もメディアで相次いで放射能流出事故時の対処法を伝えるなど、核
爆発
による放射性物質に対する懸念が強まっているとCNNは伝えた。
特に
砂漠国はイランと共有するガルフ海域の海水を淡水化して利用する
が、
ブシェール原発などで大規模な核事故が発生する場合、この海水は
汚染
を避けるのが難しいとみられる。
今年3月、カタールのアルサニ首相は米メディアのインタビューで「ブ
シェール原発が爆発した場合に発生する被害を分析した場合、カタール
国民は3日以内に水が枯渇する」とし「これはカタールだけでなくクウ
ェート、UAEも同じ」と述べていたという。(トランプがエルサレム首
都移転承認が招いた「悲惨な代償」
2017年12月9日ロイターの記事のよ
うに
混乱の始まりだろうと小生は考えるが如何に?!

             

 

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エネルギーと環境 269

2025年06月20日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果  
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:6月20日】 

         熱中症背に草刈りて青時雨 

                 高山 宇(受難鬼)

🪄午後から草刈り機の新しい替え刃の試し刈りをおこない、寄稿作業を
行うが、
イスラエル(+USAトランプ)vs イラン戦争、フェイク&詐欺
に家庭内などの情報が溢れ、誤操作で午前中の情報が吹っ飛び消滅。疲
労倍増、「心狂えるならば神のためなり、心確かならば自らのためなり」
が口を衝き前節に心を重ねた、そんな句を詠む。(笑)

🟡 日本発革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

✳️ 大気・空気中から飲み水を回収技術編





水不足 備える 備蓄 保存食 災害 保存食料 防災対策 ソーラー発電 自家発電 ソーラーパネル ソーラーパネル 防災 断水 災害対策 水確保 備蓄水 ウォーターサーバー 製水器 空気 から 水 AWG

水不足 備える 備蓄 保存食 災害 保存食料 防災対策 ソーラー発電 自家発電 ソーラーパネル ソーラーパネル 防災 断水 災害対策 水確保 備蓄水 ウォーターサーバー 製水器 空気 から 水 AWG
1️⃣ 特開2024-143504 複合半透膜および造水方法 東レ株式会社(審査前)※
【要約】

【課題】初期造水量に優れ、高温度かつ高圧力運転後においても高い透
水性保持性、塩除去性を有する複合半透膜を提供すること。

【解決手段】基材と、前記基材上に設けられた多孔質層と、前記多孔質
層上に設けられた分離機能層を有する複合半透膜であって、前記多孔質
層の走査型電子顕微鏡による断面画像を厚み方向に20個に等分し、基
材側から分離機能層側に向かってそれぞれ断面画像R1、R2、・・・
Rn・・・R20(nは1~20までの整数である。)としたとき、前
記多孔質層の平均孔径最大値が、前記断面画像R3~R18のいずれか
に存在し、前記断面画像R1および前記断面画像R2における多孔質層
の平均孔径がそれぞれ0.1μm以上0.6μm未満である、複合半透
膜。
000002
【選択図】図1 複合半透膜の模式断面図
【符号の説明】1  複合半透膜 2  基材 3  多孔質層 4  分離機能層
11  表面 12  裏面
【発明の効果】本発明によると、高温度かつ高圧力運転後であっても高
い透水性保持性、塩除去性を有する複合半透膜を得ることができる
※ブログ掲載
【特許請求の範囲】
【請求項1】  基材と、前記基材上に設けられた多孔質層と、前記多孔
質層上に設けられた分離機能層を有する複合半透膜であって、  前記多
孔質層の走査型電子顕微鏡による断面画像を厚み方向に20個に等分し、
基材側から分離機能層側に向かってそれぞれ断面画像R1、R2、・・・
Rn・・・R20(nは1~20までの整数である。)としたとき、
  前記多孔質層の平均孔径最大値が、前記断面画像R3~R18のいず
れかに存在し、  前記断面画像R1および前記断面画像R2における多
孔質層の平均孔径がそれぞれ0.1μm以上0.6μm未満である、複合
半透膜。
【請求項2】前記断面画像R1における多孔質層の平均孔径をXとし、
前記断面画像R1~R20における多孔質層の平均孔径最大値をYと
したとき、Y/Xが1.1以上10以下である請求項1に記載の複合半
透膜。
【請求項3】前記断面画像R1、前記断面画像R2、および前記断面画
像R3における多孔質層の平均孔径がそれぞれ0.1μm以上0.6μm
未満である、請求項1に記載の複合半透膜。
【請求項4】前記断面画像R1、前記断面画像R2、前記断面画像R3、
および前記断面画像R4における多孔質層の平均孔径がそれぞれ0.1
μm以上0.6μm未満である、請求項1に記載の複合半透膜。
【請求項5】  前記断面画像R1、前記断面画像R2、前記断面画像R3、
前記断面画像R4、および前記断面画像R5における多孔質層の平均孔
径がそれぞれ0.1μm以上0.6μm未満である、請求項1に記載の複
合半透膜。
【請求項6】 前記断面画像R1~R20における多孔質層の平均孔径
最大値は、0.5μm以上2.0μm以下である、請求項1に記載の複
合半透膜。
【請求項7】前記複合半透膜の基材側のみに0.05質量%のメチルバ
イオレット水溶液を5分間接触させ、前記基材を多孔質層から剥離させ
た後の前記多孔質層の剥離面において、染色された剥離面の面積割合が、
剥離面全体面積の15%以上、50%以下である、請求項1に記載の複
合半透膜。
【請求項8】前記多孔質層の厚みが20μm以上70μm以下である、
請求項1に記載の複合半透膜。
【請求項9】請求項1~8のいずれか1項に記載の複合半透膜を用いて、
温度35℃以上、TDS(Total  Dissolved  Solids
総溶解固形物)40000mg/L以上の水溶液を濃縮水と透過水とに分
離する分離工程を有する造水方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】

【0002】
  基材、多孔質層、分離機能層を有する複合半透膜は、海水淡水化など
原水から溶質を除く逆浸透処理用の複合分離膜として用いられている。
逆浸透処理では、供給水側の浸透圧と透過水側の浸透圧の差以上の圧力
が複合分離膜の供給水側にかけられる。近年では、排水をゼロにするZ
LD(Zero  Liquid  Discharge)や有価物回収工程
の濃縮にも使用されることがあり、溶質濃度によっては従来よりも高圧
力で運転されるケースも増えてきている。
このような逆浸透処理の高圧
力運転では、複合半透膜の透水性は、低下することがある。透水性低下
の原因として、多孔質層の高圧力運転下で圧密化による内部の孔の閉塞
が、特許文献1~4で指摘されている。
【0004】
  特許文献1では、5.5MPaの圧力を3時間加えてから圧力を解除し
た後の多孔質層の平均膜厚t(μm)と純水透過係数p(g/(c
・s・MPa))、膜厚方向に10MPaの圧力を3時間加えてから
解除した後の多孔質層の平均膜厚t(μm)と純水透過係数p(g/
(cm・s・MPa))において、t/tおよびp/pが特定
の数値範囲を満たす複合半透膜が開示されている。特許文献1によると、
/tおよびp/pは、多孔質層の圧密化に抵抗する能力を表
す指標、つまり、複合半透膜の骨格部分の強度を表す指標であり、上記
条件を満足する膜は圧密化が抑制される。

  特許文献2の複合半透膜は、多孔質層が分離機能層に接する緻密層と、
緻密層と基材との間に位置するマクロボイド層を備える。特許文献2で
は、特に、マクロボイド層における膜面方向の単位長さあたりのマクロ
ボイドの数が特定の範囲にあると、高圧力での運転においても多孔質層
の厚みが維持されることが開示されている。

  特許文献3では、運転中の性能の変化を小さく抑えるために、予め2
時間以上、複合半透膜を圧密化することが開示されている。
 特許文献4
では、多孔質層表面への分離機能層の落ち込みを抑制するために、多孔
質層表面を細径化し、樹脂密度を高め、分離機能層から基材方向へかけ
て孔径が順次大径化していくような多孔質層の設計が開示されている。

【先行技術文献】
【特許文献1】 特開2001-252538号公報
【特許文献2】 特開2018-039003号公報
【特許文献3】 特開2014-014739号公報
【特許文献4】 特開2001-252537号公報
【図面の簡単な説明】

図2は、比較例2の複合半透膜における多孔質膜のSEM断面画像

図3は、実施例2の複合半透膜における多孔質膜のSEM断面画像

図4は、実施例および比較例で作製した複合半透膜における多孔質層
のSEM断面画像と平均孔径の分布を表す図

以下、任意割愛箇所あり
【発明を実施するための形態】
  1.複合半透膜
  (基材)基材を構成する材料としては、ポリエステル系重合体、ポリ
アミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、またはこれらの混合物や共
重合体等が挙げられる。中でも、機械的、熱的に安定性の高いポリエス
テル系重合体が特に好ましい。また、基材の形態としては、機械的、熱
的に安定性の高い布帛が好ましい。布帛としては、長繊維不織布や短繊
維不織布、織編物を好ましく用いることができる。ここで、長繊維不織
布とは、平均繊維長300mm以上、かつ平均繊維径3~30μmの不
織布のことを指す。
  (基材の厚み)
  基材の厚みは10~200μmの範囲内にあることが好ましく、より好
ましくは30~150μmの範囲内である。
  (基材の目付量)
  基材の目付は、40~120g/mであることが好ましい。目付を好
ましくは40g/m以上、より好ましくは50g/m以上とするこ
とにより、高分子溶液流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得るこ
とができ、高い膜剥離強度および機械的強度を有し耐久性に優れた複合
半透膜を得ることができる。一方、目付を好ましくは120g/m
下、より好ましくは100g/m以下とすることにより、複合半透膜
の厚さを低減し、複合半透膜エレメント1本あたりの半透膜面積を増大
させることができ、さらに十分な通水性を確保できるため、多孔質層の
形成時に、後述する「凝固流体流れ」を樹脂溶液中に形成しやすい。
  (基材の純水透過係数)
  基材の25℃における純水透過係数は、100以上1400以下[×
10-9/m・sec・Pa]であることが好ましく、200以上
1000以下[×10-9/m・sec・Pa]であることがより好
ましい。基材の純水透過係数は以下の方法で求めることができる。まず、
直径4.3cmの円形に基材を切り抜き、切り抜いたサンプルを撹拌型
ウルトラホルダー(アドバンテック東洋株式会社製  UHP-43K)
にセットする。続いて、セル内に25℃の純水を入れ、キャップを取り
付けた後、窒素や圧空で一定圧力となるように昇圧する。最後に、一定
時間における純水透過量を測定し、以下の式から純水透過係数[×10-9
/m・sec・Pa]を算出する。
  純水透過係数=純水透過量/(基材有効ろ過面積×採水時間×供給圧力)
  基材の純水透過係数を上記範囲とすることで、多孔質層の形成時に、
後述する「凝固流体流れ」を樹脂溶液中に形成しやすい。【0019】
  (多孔質層)
  多孔質層は熱可塑性樹脂によって形成されることが望ましい。ここで、
熱可塑性の樹脂とは、鎖状高分子物質からできており、加熱すると外力
によって変形または流動する性質が表れる樹脂のことをいう。
  熱可塑性樹脂の例として、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、
ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、
ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマー、
あるいはこれらのコポリマーを単独で、あるいはブレンドして使用する
ことができる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、
硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル、ポリアクリロニトリルな
どが使用できる。中でもポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリア
ミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィ
ドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルファイド、
リエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポ塩
化ビニルあるいは塩素化塩化ビニル
が好ましい。

  熱可塑性樹脂として、より好ましくは酢酸セルロース、ポリ塩化ビニ
ルあるいは塩素化塩化ビニル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィ
ドスルホン、またはポリフェニレンスルホンが挙げられ、さらに、これ
らの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易で
あることからポリスルホンが一般的に使用できる。多孔質層は、これら
列挙された化合物を主成分として含有することが好ましい。

  ポリスルホンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
でN-メチルピロリドンを溶媒に、ポリスチレンを標準物質として測定
した場合の質量平均分子量(Mw)が、10000以上200000以
下であることが好ましく、より好ましくは15000以上100000
以下である。ポリスルホンのMwは、10000以上であることで、多
孔質層として好ましい機械的強度および耐熱性を得ることができる。ま
た、Mwが200000以下であることで、溶液の粘度が適切な範囲と
なり、良好な成形性を実現することができる。【0023】

  (多孔質層の平均孔径分布)
  一般的に、非溶媒誘起相分離により、基材上に多孔質層を得る場合、
樹脂溶液表面は、大量の凝固流体と接触するため、瞬時に相分離が進行
し、凝固することで微細かつ緻密孔が形成される。
  一方で、樹脂溶液内部は、樹脂溶液中を拡散してきた凝固流体と接触
することになるため、比較的遅く凝固流体と接触することになり、凝固
が遅くなり、粗大かつ疎な孔が形成され、多孔質層は非対称構造を形成
する。【0024】
  上記非対称構造の圧密化について考えると、高温度・高圧力運転にお
ける圧密化は、空隙率が低いほど、圧縮強度が高くなるので、圧密化は
抑制される。一方で、空隙率は高いほど、圧密化には不利であるが、多
孔質層内での透水経路が多くなるので、透水性が向上する。このように
相反する潰れ抑制と透水経路の確保という要求に対して、発明者らは、
多孔質層の平均孔径の孔径分布の形状を、従来の非対称構造ではなく、
凸形構造として設計する検討を行った。
  図2には、比較例2で作製した従来の複合半透膜における多孔質膜の
SEM断面画像を示す。図2に示すように、従来の多孔質層は、平均孔
径が、基材側の主面(裏面)付近において最大となり、分離機能層側の
主面(表面)にかけて小さくなる、すなわち孔径分布の形状が非対称構
造となることが通常である。
  図3には、実施例2で作製した本発明の複合半透膜における多孔質膜
のSEM断面画像を示す。図3に示すように、本発明の実施形態に係る
複合半透膜における多孔質層では、平均孔径が多孔質層の表面付近や裏
面付近では小さく、表面付近や裏面付近を除く範囲で、好ましくは中心
部分において、最大となる、すなわち平均孔径分布の形状が凸形構造と
なる。
  その結果、従来の非対称構造を有する多孔質層を用いた複合半透膜に
比べ、本発明の実施形態に係る複合半透膜は、高温度・高圧力運転にお
ける複合半透膜の圧密化が抑制される。
  本発明の実施形態に係る多孔質層を得るためには、多孔質層の、基材
側の主面(裏面)と分離機能層側の主面(表面)の両面から凝固流体
を接触させる手段が挙げられる。そのため、凝固流体との接触に基材
を介さない中空状多孔質膜や、樹脂シートの例では、樹脂溶液と凝固
流体が両面から直接接触するため、容易に上記凸形構造の孔径分布は
得られる。
【0026】
  しかし、海水淡水化、かん水淡水化など高圧運転が必要である複合半
透膜および、当該複合半透膜を用いたスパイラル型分離膜エレメントで
は、複合半透膜の強度が必須となり、基材の存在が不可欠となるために、
従来の技術では、多孔質層の裏面に緻密孔を有し、かつ孔径分布の形状
が凸形構造を有する多孔質層から成る複合半透膜は得られていなかった
【0027】
  本発明に実施形態に係る複合半透膜は、基材と、前記基材上に設けら
れた多孔質層と、前記多孔質層上に設けられた分離機能層を有し、かつ
多孔質層は、裏面(基材側の主面)から表面(分離機能層側の主面)へ
の平均孔径分布が上に凸形の構造であって、裏面に緻密孔を有する。
【0028】
  具体的には、多孔質層の走査型電子顕微鏡による断面画像を厚み方向
に20個に等分し、基材側から分離機能層側に向かってそれぞれ断面画
像R1、R2、・・・Rn・・・R20(nは1~20までの整数であ
る。)としたとき、多孔質層の平均孔径最大値が、断面画像R3~R1
8のいずれかに存在する。これは、多孔質層の平均孔径分布が上に凸
形の構造であることを意味する。
  また、断面画像R1および断面画像R2における多孔質層の平均孔径
がそれぞれ0.1μm以上0.6μm未満である。これは、多孔質層が、
裏面(基材側の主面)側に緻密孔を有することを意味する。
  なお、平均孔径は多孔質層の断面構造をSEMで10,000倍にて
観察することで測定できる。詳細は後述する。
【0029】
  多孔質層の平均孔径最大値は、圧密化に耐え得る緻密層を多孔質層両
面に有することが望ましいため、断面画像R3~R18のいずれかに存
在することが好ましく、断面画像R6~R15のいずれかに存在するこ
とがより好ましい。
  また、多孔質層の平均孔径が、表面付近や裏面付近よりも、表面付近
や裏面付近を除く範囲で大きいことが、圧密化抑制の観点から有効であ
り、多孔質層の平均孔径の極大値は、断面画像R3~R18に複数存在
してもよい。この場合、平均孔径分布は2以上の凸形構造を有すること
となる。
【0030】
【0035】
(多孔質層の基材側主面(裏面))
  さらに、高造水性を発現させるために、多孔質層の基材側主面に十分
な流路が確保されることが好ましい。ここで、流路の有無を検証するた
めに、たとえば特定の染料が用いられる。
  一例として、染料物質であるメチルバイオレットを0.05質量%の
濃度で含む水溶液を複合半透膜の基材側のみに5分間接触させ、基材か
ら多孔質層を剥離させた場合に、多孔質層の基材剥離面において、メチ
ルバイオレットで染色された剥離面の面積が、剥離面全体面積の15%
以上50%以下が好ましく、20%以上50%以下がさらに好ましい。
  多孔質層の基材との接触面の染色部分は、基材側から染料を接触させ
て染めていることから、透水流路を可視化していると考えられる。よっ
て、染色面積が大きいほど、多孔質層裏面は流路が多いことを表してお
り、透水性を向上できる。
  また、透水性は、孔径の累乗で影響を与えるため、メチルバイオレッ
トで染色された染色部の平均孔径は0.5mm以上が好ましく、1.0
mm以上がさらに好ましい。
【0036】
  多孔質層において、基材と接触していた箇所は孔が存在しないため染
色されない。そのため、染色面積が15%以上であれば、多孔質層は
裏面側で流路を十分確保できており、さらなる高造水性を発現できる。
また、染色面積が50%以下であることで、基材との接触面積は大きく、
基材と多孔質層の接着強度が十分確保できる。
  染色部の平均孔径と染色面積は、多孔質層の基材側剥離面をマイクロ
スコープで50倍にて観察することで測定できる。詳細は後述する。
  (多孔質層の厚み)
  多孔質層の厚みは、10μm以上70μm以下が好ましく、20μm以
上50μm以下であることがさらに好ましい。多孔質層の厚みは、上記
範囲内に制御することによって、耐圧性のための十分な強度を保ち、か
つ透水抵抗層を小さく設計できるため加圧運転による透水性変化を抑制
できる。
  また、基材と多孔質層との複合体(以下「多孔質支持体」とも称する)
の厚みは、30μm以上300μm以下であることが好ましく、100μm
以上200μm以下であるとより好ましい。
【0038】
  (多孔質層の表面平均孔径)
  多孔質層の表面(分離機能層と接する主面)平均孔径は3nm以上10
nm以下であることが好ましい。表面平均孔径がこの範囲にあることで、
分離機能層の落ち込みを小さく抑えることができ、その結果、高圧運転
後の脱塩率を安定させることができる。

  多孔質層の表面平均孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による表面
観察によって測定することができる。複合半透膜の場合には、分離機能
層を除去することで、多孔質層表面を観察できる。複合半透膜から分離
機能層を除去する手法として、分離機能層が後述するようにポリアミド
で構成されている場合には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に複合半透膜
を好ましくは24~100時間浸漬する方法が挙げられる。多孔質層
(多孔質支持体であってもよい)を室温で風乾し、SEMにて200,
000倍で表面観察する。得られた画像において、孔部分を画像解析し
て円相当直径を算出する。同様の操作を5つのサンプルで行い、全ての
孔の円相当直径のデータの相加平均を算出し、表面平均孔径とする。な
お、SEMで観察する前には、サンプルに、たとえば白金、白金-パラ
ジウム、または四酸化ルテニウムから選ばれる材料を限りなく薄くコー
ティングするのが好ましい。また、SEMとしては走査型電子顕微鏡(
例えば日立ハイテクノロジーズ製S-5500型)が使用でき、2~5
kVの加速電圧で観察する。画像解析には、解析ソフト(imagej
)を用いることができる。
【0039】
  (加圧した多孔質層の純水透過係数)  
  多孔質層(または多孔質支持体)は、7MPa、45℃、6時間で加
圧した後の純水透過係数が、0.15(×10-9/(m・sec・
Pa))以上が好ましく、更に0.20(×10-9/(m・se
c・Pa))以上がより好ましい。多孔質層(または多孔質支持体)の
透水性が0.15(×10-9/(m・sec・Pa))以上であ
ることで、高圧運転時の複合分離膜における多孔質層の抵抗が十分小さ
くなる。その結果、複合半透膜での高圧運転後の造水量低下を抑制でき
る。
上記条件で加圧した後の多孔質層の純水透過係数が上記範囲にある
ということは、多孔質層内で水が通る経路が高温かつ高圧条件下でも維
持されることを意味する。すなわち、この条件を満たすことで、複合半
透膜は高温高圧条件下でも透水性を維持することができる。

【0041】
  

【0082】
  (複合半透膜の利用方法)
  本発明の実施形態に係る複合半透膜は、プラスチックネットなどの供
給水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性
を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周
りに巻回され、スパイラル型の複合分離膜エレメントとして好適に用い
られる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器
に収納した複合分離膜モジュールとすることもできる。

  また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに
供給水を供給するポンプや、その供給水を前処理する装置などと組み合
わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いる
ことにより、供給水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水
とに分離して、目的にあった水を得ることができる。

【0084】
  本発明の実施形態に係る複合半透膜によって処理される供給水としては、
海水、かん水、排水等の500mg/L以上100g/L以下のTDS
(Total  Dissolved  Solids:総溶解固形分)を含
有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指
し、「質量÷体積」あるいは「質量比」で表される。定義によれば、0.
45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5℃以上40.5℃
以下の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実
用塩分(S)から換算する。

【0085】流体分離装置の操作圧力は高い方が溶質除去率は向上する
が、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久
性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、
0.5MPa以上、12MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くな
ると溶質除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少す
るので、5℃以上、55℃以下が好ましい。

  一般的な複合半透膜は、35℃以上のTSD40000mg/L以上
の運転において、多孔質層の圧密化による造水量低下が著しいため、流
体分離装置の造水量を一定にするため操作圧力を上昇させる必要があり、
運転に必要なエネルギーが増加する。

  本発明の実施形態に係る複合半透膜を用いる造水方法では、35℃以
上のTSD40000mg/L以上の運転においても多孔質層の圧密化
が進行しないために、複合半透膜の造水量低下が抑制され、流体分離装
置の造水量を一定に保つための操作圧力の上昇幅を小さくでき、運転に
必要なエネルギーの増加幅を小さくできる。

  また、供給水pHが高くなると、海水などの高溶質濃度の供給水の場
合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH
運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい


【実施例】
【0087】
1.多孔質層の平均孔径 
2.メチルバイオレット水溶液の染色面積
3.多孔質層の厚み
4.加圧後の多孔質層の純水透過係数 
5.複合半透膜の脱塩率(NaCl除去率)、造水量(Flux)
.複合半透膜の脱塩率(MgSO除去率)、造水量(Flux)
7.加圧後脱塩率(NaCl除去率)、加圧後造水量
8.加圧後脱塩率(MgSO除去率)、加圧後造水量
9.基材の純水透過係数
【0097】
【0112】
  以上より得られた多孔質層の特性を表1に、複合半透膜の性能を表2
および表3に示す。また、実施例2、6、7及び比較例1、2における
多孔質層のSEM断面画像と平均孔径の分布を図4に示す。さらに、比
較例2の複合半透膜における多孔質膜のSEM断面画像を図2に示し、
実施例2の複合半透膜における多孔質膜のSEM断面画像を図3に示す。
【0113】
【表1】
000003
【0114】
【表2】
000004

【0115】【表3】
000005
表1、表2、表3およびに示す結果から明らかなように、多孔質層の平
均孔径最大値が画像R3~R18のいずれかに存在し、画像R1および
画像R2における多孔質層の平均孔径がそれぞれ0.1μm以上0.6
μm未満である実施例1~9の複合半透膜は、高温度かつ高圧力運転後
においても、十分な造水性、塩除去性を備え、かつ造水量低下を抑制で
きているといえる。

  さらに、多孔質層の平均孔径最大値が画像R10や画像R11におい
て観察された実施例2および実施例3の複合半透膜は、多孔質層の中心
付近において平均孔径が最大となり、特に高い造水性、塩除去性、かつ
造水量低下抑制効果が得られた。
またさらに、画像R1~画像R5にお
ける多孔質層の平均孔径がそれぞれ0.1μm以上0.6μm未満であ
る実施例6、実施例7、実施例10の複合半透膜も、特に高い造水性、
塩除去性、かつ造水量低下抑制効果が得られた。これは、平均孔径の小
さい孔が存在する領域が多孔質層の裏面側(基材側)に広く存在するこ
とにより、高圧運転でも孔がつぶれにくく圧密化抑制効果が得られやす
いためと考えられる。

  画像R2における多孔質層の平均孔径が0.6μmを超えた比較例1、
比較例4および比較例5の複合半透膜は、高温度かつ高圧力運転後に造
水量が低下した。これは、平均孔径の小さい孔が存在する領域が多孔質
層の裏面側(基材側)に存在しないため、高圧運転により孔がつぶれて
しまい圧密化抑制効果が得られなかったためと考えられる。

  多孔質層の平均孔径最大値が画像R1に存在する比較例2および比較
例3の複合半透膜も、高温度かつ高圧力運転後に造水量が低下した。こ
れは、多孔質層の孔径分布が、裏面(基材側)から表面(分離機能層側)
に向かって凸形構造を有さないため、十分な透水経路が確保されなかっ
たためと考えられる。
【産業上の利用可能性】【0117】
  本発明の実施形態に係る複合半透膜は、複合分離膜として有用であり、
たとえば、海水淡水化、かん水淡水化、飲料水製造、工業用超純水の製
造、排水処理、有価物の回収などに用いられる
                              了
                            
                    

ト音記号 イラストや に対する画像結果『懐かしい楽曲:ベスト3』






 

 

 

 

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エネルギーと環境 268

2025年06月19日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-    

                    
【季語と短歌:6月19日】 

       草刈りやカム・バック・エロス梅雨晴れて 

                    高山 宇(受難鬼) 

🪄朝起きると腰が痛い、日曜の町内会の草刈りが尾を曳く。疲労と加
  齢鬱が同伴する。こんな時、回復力が欲しいものよと詠い、県内の
  山登りを計画する。
 

🟡 日本発Z革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

さて、今日のテーマはと考えたが午前中には纏まらず水素・二酸化炭
素・窒素による①アンモニウムの合成、②蟻酸/炭化水素化合物の合
合成の最新技術情報考察にする。

画期的なアンモニア合成法|環境エネルギー|事業成果|国立研究 ...
✳️アンモニア(NH3)は窒素肥料や衣服の材料となるナイロン繊維、
薬剤などの原材料として幅広く利用されている。また、燃焼させても
温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を発生させない上、液体にな
りやすく貯蔵や運搬が容易なことから、火力発電などのエネルギー源
として使える。現在、アンモニアは「ハーバー・ボッシュ法」により、
工場で窒素(N2)と水素(H2)を化学反応させて合成。しかし、ハー
バー・ボッシュ法は、窒素と水素を反応させるのに、400~600℃、100
~200気圧という高温・高圧の環境を必要とする。また、現在、水素は
主に石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料から作っており、それに大
のエネルギーが必要な上、その過程で大量のCO2が発生する。日本の
科学技術振興機構(JST)・CRESTによる発明はさておき最新特許技術
事案・事例を考える。
------------------------------------------------------------------------------
1️⃣ 特開2025-88833 アンモニアの合成装置 日本特殊陶業株式会社
他(審査請求前)
【要約】下図1のごとく、合成装置は窒素を含むガスが流れる反応場
にプラズマを発生するプラズマ発生装置と、反応場に水素を発生する
カソードを含む電気化学セルと、を備え、カソードは、プラズマ発生
装置のアース電極を兼ねる。電気化学セルは、プロトン伝導性の電解
質を含んでいても良い。水素の反応性を向上できるアンモニアの合成
装置を提供する。

図1.第1実施の形態におけるアンモニアの合成装置の模式的な断面図
【符号の説明】  10,30  合成装置  11        プラズマ発生装置
  13,33  カソード(アース電極)  16        反応場
  20,31  電気化学セル  34        電解質
【発明の効果】本発明によれば、反応場に水素を発生する電気化学セ
ルのカソードは、プラズマ発生装置のアース電極を兼ねる。カソード
に発生した水素が、プラズマにより活性化された窒素と反応する確率
が高くなるため、水素窒素に対する反応性を向上できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】窒素を含むガスが流れる反応場にプラズマを発生するプ
ラズマ発生装置と、前記反応場に水素を発生するカソードを含む電気
化学セルと、を備え、アンモニアを合成する合成装置であって、 前記
カソードは、前記プラズマ発生装置のアース電極を兼ねる合成装置。
【請求項2】
前記電気化学セルは、プロトン伝導性の電解質を含む請
求項1記載の合成装置。

【発明を実施するための形態】
  以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明
する。図1は第1実施の形態におけるアンモニアの合成装置10の模式
的な断面図である。合成装置10はプラズマ発生装置11と、電気化
学セル20と、を備えている。

  プラズマ発生装置11は、大気圧以上の高密度媒体で反応性プラズマ、
いわゆる大気圧プラズマを発生する装置である。プラズマ発生装置11
は、第1電極12と、第1電極12と隔てて配置された第2電極13
と、第1電極12と第2電極13との間に配置された誘電体14と、
第1電極12と第2電極13との間に電圧を印加する電源15と、を
備えている。
  第1電極12の材料は金属、炭素が例示される。第1電極12の材料
が金属の場合、第1電極12はIUPAC1990年勧告に基づく周
期表の第4族から第14族までの間から選択される1種または2種以
上の元素を含む。元素はAl,Ti,Cr,Fe,Ni,Co,Cu,
Zn,Ru,Ag,Pd,Pt,Auが例示される。第1電極12の
形は棒状、板状、網状、繊維状など適宜設定される。第2電極13の
材料はサーメットが例示される。

 誘電体14は、第1電極12と第2電極13との間に介在し、第1電
極12と第2電極13との間に大電流が局所的に流れることで起こる
アーク放電を抑止する。誘電体14には電荷が蓄積されるため、最初
の放電後に電圧の向きが変わったときに最初の放電よりも低い電圧で
放電が可能となる。従って小さな投入エネルギーでプラズマを発生し
得る。

  誘電体14は、ガラス、セラミックス、合成樹脂などから選択される
材料で作られた板、フィルム、筒、箱などが例示される。水や電解液
などの液体を誘電体14として用い、第1電極12を液体に浸しても
良い。
  電源15は第1電極12と第2電極13との間に交流電圧を印加する
装置である。交流電圧は、50Hzから100MHz程度の正弦波、
三角波、のこぎり波、パルスが例示される。第2電極13は接地され
ている。第2電極13は大地に接続されたアース電極である。
【0017】
  本実施形態では板状の第1電極12と板状の第2電極13とが対向す
る、いわゆる平行平板タイプであるが、これに限られるものではない。
電極の配置に制限はない。他の電極の配置は、筒状の第2電極13の
中に棒状の第1電極12が同軸状に配置され、筒状の誘電体14が第
1電極12の外周に配置された、いわゆる同軸円筒タイプが例示され
る。その他の電極の配置として、筒状の第1電極12の中に筒状の第
2電極13が同軸状に配置され、筒状の誘電体14が第1電極12の
内周に配置された、いわゆる同軸二重円筒タイプが例示される。

 第1電極12と第2電極13との間に交流電圧が印加され、電圧が放
電開始電圧に達すると、第1電極12と第2電極13との間の空間(
反応場16)のガスが絶縁破壊し、反応場16に誘電体バリア放電が
生じる。反応場16に窒素を含むガスを流すと、窒素は、誘電体バリ
ア放電によって活性窒素分子、又は、窒素窒素三重結合が切断され
て原子状窒素となる。ガスは窒素ガス、窒素ガスの他に水蒸気やアル
ゴン等の不活性ガスを含むガスが例示される。

  電気化学セル20は、水(水蒸気)の電気分解によって水素酸素
を発生する装置である。電気化学セル20は、アノード21と、カソ
ードと、アノード21とカソードとを隔離する電解質22と、を備えて
いる。カソードは、プラズマ発生装置11のアース電極(第2電極13)
を兼ねている。従って第2電極13と同じ符号をカソードに付し、カ
ソード13と称する。電源23(直流電源)はアノード21とカソー
ド13とに接続されている。電気化学セル20のカソード13が、プ
ラズマ発生装置11のアース電極を兼ねているため、合成装置10を
小型化できる。

カソード13は電源23の負極に接続された集電体を含み、カソード
13上で還元反応が起こる。カソード13は、電子伝導性を有する金
属触媒と、酸化物イオン伝導性を有する酸化物と、を含むサーメット
が例示される。金属触媒はCr,Fe,Co,Cu,Ru,Pd,Ag,
Pt,Au,Niが例示される。酸化物は固体電解質であり、安定化
ジルコニア、セリア系固溶体が例示される。安定化ジルコニアの安定
化剤は、CaO,MgO,Y,Sc,Ybが例示さ
れる。セリア系固溶体のセリアに固溶する元素は、Gd,Sm,Yが
例示される。セリア系固溶体は電子伝導性および酸素イオン伝導性を
有する。
  アノード21は電源23の正極に接続された集電体を含み、アノード
21上で酸化反応が起こる。アノード21の材料は、ペロブスカイト
型酸化物であるLa1-XSrMnO3-δ,La1-XSrCoO3-δ
La1-XSrCo1-YFe3-δ,Pr1-XSrMnO3-δ
が例示される。またアノード21の材料は、これらのペロブスカイト
型酸化物から選択される1種または2種以上の酸化物と電解質22を
構成し得る固体電解質との複合材料が挙げられる。
【0022】
  電解質22は、電気化学セル20の作動条件で酸化物イオン伝導性を
示す固体酸化物からなる。固体酸化物は、安定化ジルコニア、セリア系
固溶体が例示される。また固体酸化物は、安定化ジルコニア及びセリ
ア系固溶体から選択される1種または2種以上とアルミナとの固溶体
が例示される。安定化ジルコニアの安定化剤は、CaO,MgO,
,Sc,Ybが例示される。セリア系固溶体のセ
リアに固溶する元素は、Gd,Sm,Yが例示される。
カソード13を含む空間に水(水蒸気)が供給される。水蒸気はアル
ゴン等の不活性ガスや空気などに乗ってカソード13に運ばれる。水
蒸気はカソード13で還元され、水素酸素イオンとが発生する。

  プラズマ発生装置11によって反応場16のプラズマ中に活性窒素
子や原子状窒素などの反応性の高い活性種が存在する。カソード13
は反応場16に出ているため、カソード13の表面に生成した原子状
水素が、水素分子になる前に、活性窒素分子や原子状窒素と反応す
る確率が高くなる。これにより水素の反応性を向上できる。その結果、
アンモニアへの選択性が向上するため、合成装置10で作られるアン
モニアの量を増やすことができる。

 カソード13に発生した酸素イオンは、電解質22を通ってアノード
21に達し、アノード21で酸化され、アノード21に酸素が発生す
る。アノード21に発生した酸素は、例えば燃焼器(図示せず)に供
給される。酸素が供給された燃焼器は、燃焼に関与する窒素量を低減
できるため、効率を著しく向上でき、さらにNOxの発生も低減でき
る。
合成装置10は、電気化学セル20の作動温度(400℃から900
℃程度)が高いことから活性化過電圧が非常に低く、投入する電力に
対して高効率で水素を製造できる。さらに電気化学セル20を作動温
度にしたり水蒸気を作ったりするために、燃焼器などの排熱源から出
た熱を利用できる。これにより先行技術における水の電気分解のとき
に投入する電力に比べ、同じ量の水素を得るために電気化学セル20
に投入する電力を少なくできる。従ってアンモニア合成の電力原単位
を低減できる。
  電気化学セル20は酸化物イオン伝導性の電解質22を含むため、電
解質22中のイオン伝導の輸率を大きくできる。これにより合成装置1
0のファラデー効率を向上できる。
 図2を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施形態では
酸化物イオン伝導性の電解質22を含む合成装置10を説明した。これ
に対し第2実施形態ではプロトン伝導性の電解質34を含む合成装置
30を説明する。第2実施形態では、第1実施形態で説明した部分と
同一の部分は、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。

図2 2実施の形態におけるアンモニアの合成装置の模式的な断面図

図2は第2実施の形態におけるアンモニアの合成装置30の模式的な
断面図である。合成装置30はプラズマ発生装置11と、電気化学セ
ル31と、を備えている。電気化学セル31は、水(水蒸気)の電気
分解によって水素酸素とを発生する装置である。電気化学セル31
は、アノード32と、カソード33と、アノード32とカソード33と
を隔離する電解質34と、を備えている。カソード33は、プラズマ
発生装置11のアース電極(第2電極)を兼ねている。【0030】
  アノード32の材料はペロブスカイト型酸化物であるLa1-XSr
MnO3-δ,La1-XSrCoO3-δ,La1-XSrCo1-Y
Fe3-δ,Pr1-XSrMnO3-δが例示される。またアノー
ド21の材料は、これらのペロブスカイト型酸化物から選択される1
種または2種以上の酸化物と電解質34を構成し得る電解質との複合
材料が挙げられる。
【0031】カソード33の材料は、電子伝導性を有する金属触媒と、
プロトン伝導性を有する酸化物と、を含むサーメットが例示される。
金属触媒はCr,Fe,Co,Cu,Ru,Pd,Ag,Pt,Au,
Niが例示される。酸化物は、YやIn等の3価の金属イオンでBサ
イトを置換したBaZrO等のペロブスカイト型酸化物が例示される。

 電解質34の材料は、電気化学セル31の作動条件でプロトン伝導性
を示す物質が挙げられる。プロトン伝導性を示す物質は、YやIn等
の3価の金属イオンでBサイトを置換したBaZrO等のペロブスカ
イト型酸化物(セラミックス)が例示される。【0033】
アノード32を含む空間に水(水蒸気)が供給される。水蒸気は窒素
アルゴン等の不活性ガスや空気などに乗ってアノード32に運ばれる。
アノード32において水から水素がプロトン(H)として引き離される。

アノード32に発生したプロトンは、電解質34を通ってカソード33
に達し、カソード33で還元され、カソード33に水素が発生する。
カソード33はプラズマ発生装置11のアース電極を兼ねるため、プラ
ズマ中の窒素イオンや活性窒素分子、原子状窒素などが、カソード33
の表面に到達する確率が高くなる。そのためカソード33の表面に生
成した原子状の水素が、水素分子になる前に、活性窒素分子や原子状
窒素窒素イオンと反応する確率が高くなる。これにより水素窒素
に対する反応性を向上できる。【0035】
  プロトン伝導性の電解質34を含む電気化学セル31の作動温度は、
第1実施形態における電気化学セル20の作動温度よりも低いため、
第1実施形態に比べ、反応場16の温度を低くできる。その結果、
水素からアンモニアを合成する反応の、反応場16における平衡
到達濃度を高くできる。従って合成装置30は高濃度のアンモニアを
得るのに有利である。【0036】
  以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形
態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内
で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0037】
  実施形態では誘電体バリア放電を利用する合成装置10,30を説明
したが、これに限られるものではない。他のプラズマを利用することは
当然可能である。他のプラズマはコロナ放電、沿面放電、大気圧グロ
ー放電、マイクロ波放電、液中プラズマが例示される。複数のプラズ
マを組み合わせることは当然可能である。【0038】
  第2実施形態では、プロトン伝導性の電解質34としてBaZrO
のペロブスカイト型酸化物を含むものを説明したが、必ずしもこれに
限られるものではない。パーフルオロカーボン系や炭化水素系の高分
子電解質を電解質34に採用することは当然可能である。パーフルオ
ロカーボン系のプロトン伝導体は、パーフルオロアルキル系のポリマ
ーにスルホ基を連結したナフィオン(NAFION登録商標)やアクイヴ
ィオン(AQUIVION登録商標)が例示される。プロトン伝導体の特性
の改善のため、ポリマーと無機粒子とを複合化しても良い。【0039】
炭化水素系のプロトン伝導体は、芳香族炭化水素系のエンジニアリン
グプラスチックにスルホ基やリン酸基を連結したポリマーが例示され
る。炭化水素系のプロトン伝導体は、例えばポリエーテルエーテルケ
トンの主鎖にスルホ基を導入したポリマー(SPEEK)が挙げられる。
プロトン伝導体の特性の改善のため、フッ素、硫黄、窒素、リン等の
ヘテロ元素やそれらを含むユニットを導入しても良い。
炭化水素系のプロトン伝導体は、芳香族炭化水素系のエンジニアリン
グプラスチックにスルホ基やリン酸基を連結したポリマーが例示され
る。炭化水素系のプロトン伝導体は、例えばポリエーテルエーテルケ
トンの主鎖にスルホ基を導入したポリマー(SPEEK)が挙げられる。
プロトン伝導体の特性の改善のため、フッ素、硫黄、窒素、リン等の
ヘテロ元素やそれらを含むユニットを導入しても良い。
【0040】

高分子電解質を電解質34に採用する場合、アノード32やカソード
33は、PtやPt-Ru等の触媒を担持した多孔質炭素が例示され
る。高分子電解質を電解質34に含む電気化学セル31の作動温度は
60℃から80℃程度のため、それに伴って反応場16の温度を低く
できる。
【0041】
実施形態では説明を省略したが、反応場16の温度は、例えば室温か
ら500℃までの範囲で適宜設定される。反応場16の圧力は、例え
ば101kPaから1000kPaまでの範囲で適宜設定される。
実施形態では説明を省略したが、反応場16に触媒を配置することは
可能である。触媒は反応場16に存在すれば、特に制限はない。例え
ば誘電体14の反応場16に接する面に触媒を付着させることができ
る。誘電体14に付着した触媒の形は網状、板状、膜状が例示される。
触媒はIUPAC1990年勧告に基づく周期表の第4族から第14
族までの間から選択される1種または2種以上の元素を含む。元素は
Al,Ti,Cr,Fe,Ni,Co,Cu,Zn,Ru,Ag,Pd,
Pt,Auが例示される。
【0043】
反応場16に触媒を充填しても良い。反応場16に触媒が充填される
場合、触媒は、アルミナやジルコニア等の酸化物製の多孔体からなる
三次元網目構造の骨格が、触媒を担持したものが例示される。
                             了

2️⃣ 特開2025-52190 アンモニア合成触媒及びその製造
方法
 株式会社日立製作所 (請求前)
【要約】下図5のごとく、アンモニアを効率よく合成可能なアンモニア
合成
触媒及びその製造方法を提供する。【解決手段】担体と、該担体上に
担持された活性金属とを備えるアンモニア合成触媒であって、活性金属
が、ルテニウム及びニッケルから選択される少なくとも一種を含み、
鉄を主成分とせず、担体が、希土類酸窒化物である、アンモニア合成
媒に関する。


図5 本発明のアンモニア合成触媒における効果を模式的に示す図
【発明の効果】  本発明により、アンモニアを効率よく合成可能なアン
モニア合成
触媒及びその製造方法が提供される。前記した以外の課題、
構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
表3
000003
 図5より、表面積当たりのRu活性点数が同等と仮定した場合、担体
におけるセリウム-ランタン複合酸化物への窒素のドープにより、触媒
性能が劇的に向上することがわかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  担体と、該担体上に担持された活性金属とを備えるアンモニア合成触媒
であって、  活性金属が、ルテニウム及びニッケルから選択される少なく
とも一種を含み、鉄を主成分とせず、
  担体が、一般式:

(式中、Aは四価のランタノイドを表し、Bは三価のランタノイドを表
し、xはランタノイド全体のランタノイドAのモル分率を表し、
0.4≦x<1であり、yはランタノイド全体のランタノイドBのモル
分率を表し、0<y≦0.6であり、x+y=1であり、aは担体にお
ける酸素原子のモル比を表し、1.0≦a<2であり、bは担体におけ
窒素原子のモル比を表し、0<b≦0.60であり、1.4≦a+b
<2である)で示される希土類酸窒化物である、アンモニア合成触媒。
【請求項2】
  1.3≦a≦1.8である、請求項1に記載のアンモニア合成触媒。
【請求項3】
  0.05≦b≦0.30である、請求項1に記載のアンモニア合成触媒。
【請求項4】
  活性金属がルテニウムである、請求項1に記載のアンモニア合成触媒。
【請求項5】
  Aがセリウムである、請求項1に記載のアンモニア合成触媒。
【請求項6】
  Bがランタンである、請求項1に記載のアンモニア合成触媒。
【請求項7】
  四価のランタノイドAの塩と、三価のランタノイドBの塩とを、ラン
タノイドAのモル分率をx、ランタノイドBのモル分率をy(x+y
=1)とした場合に、x及びyが0.4≦x<1、0<y≦0.6を
満たす割合で含有する複合酸化物前駆体溶液を用いて、共沈法により、
ランタノイドA及びランタノイドBを含む複合酸化物を調製する工程と、
  前記複合酸化物をアンモニア雰囲気下で焼成することにより、ランタ
ノイドA及びランタノイドBを含む複合酸窒化物を調製する工程と、
  前記複合酸窒化物に、活性金属を担持させて、前記複合酸窒化物に活
性金属が担持された触媒を得る工程と、を含む、アンモニア合成触媒
の製造方法。
【請求項8】
  一般式:

(式中、Aは四価のランタノイドを表し、Bは三価のランタノイドを表
し、xはランタノイド全体のランタノイドAのモル分率を表し、0.4
≦x<1であり、yはランタノイド全体のランタノイドBのモル分率を
表し、0<y≦0.6であり、x+y=1であり、aは担体における
原子のモル比を表し、1.0≦a<2であり、bは担体における窒素
原子のモル比を表し、0<b≦0.60である)で示される希土類酸窒
化物。

3️⃣特開2025-35771 ギ酸製造方法 国立高知大学(請求前)
【要約】
本発明は、再生可能資源でもある糖類からギ酸を容易かつ効率的に製
造できる方法を提供することを目的とする。本発明に係るギ酸製造
方法
は、酸素の存在下、酸化セリウム触媒を含む糖類水溶液に光を照
射する工程を含み、前記酸化セリウム触媒が、酸化セリウム(Ⅳ)、
酸化セリウム(Ⅲ)および水酸化セリウムを含むことを特徴とする。

図5 酸化セリウム触媒と、照射光として太陽光、紫外光または青色
光を使った場合におけるギ酸の収率を示すグラフ

【発明の効果】
  本発明方法によれば、加熱しなくても、再生可能資源でもある糖類を
常温でギ酸に分解することが可能である。また、反応の進行に必要な光
も、紫外光のみでなく可視光であってもよい。更に、本発明方法によれ
ば、目的化合物であるギ酸は、それ以上分解されないか或いはほとんど
分解されることはない。従って本発明は、再生可能資源でもある糖類か
ら有用なギ酸を容易かつ効率的に製造できる技術として、産業上非常に
優れている。  

表3
000004

表4   
000005
  表4に示される結果の通り、本発明方法によれば様々な糖類からギ酸
を製造することができ、グルコースよりも高い収率でギ酸が得られた例
もあった。

🔴水素吸蔵材料、水素放出・貯蔵システム
1️⃣特開2025-34896 水素吸蔵材料、水素放出・貯蔵システム 三菱重
工業株式会社 国立大学法人  筑波大学
【要約】【課題】水素放出温度が低く、水素を放出するためのエネルギ
ーを削減することができる水素吸蔵材料、および水素吸蔵材料を含む
放出・貯蔵システムを提供する。【解決手段】ホウ化水素と前記ホウ
水素に担持されたニッケルとから構成されるホウ化水素-ニッケル担
持体と、前記ホウ化水素-ニッケル担持体にさらに担持された水素化マ
グネシウムと、を含み、前記ニッケルの含有量が5質量%以下である、
水素吸蔵材料。


図1 二次元ホウ素含有シートの分子構造を示す模式図であり、(a)
がXY平面を示す図、(b)がYZ平面を示す図、(c)がZX平面を
示す図


図2 水素放出・貯蔵システムの構成を示す模式図
【符号の説明】100  水素放出・貯蔵システム101  水素製造反応部
102  水素吸蔵部 103  容器 104  加熱装置
【0079】上記構成によれば、水素製造反応部で生成した水素
吸蔵部に吸蔵させて後、より低い温度で水素吸蔵部から水素を放出
することができる。従って、第5の態様に係る水素放出・貯蔵システ
ムは、水素の放出および貯蔵に要するエネルギーを少なくすることが
できる。

                             以上 
🪄次回は、海水の最新利用技術動向などを考察することに。           
                                     



✳️ 太陽光パネルのリサイクル体制構築へ
関西電力、TREホールディングスおよびトクヤマの3社は2025年6月3日、
使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクルに関する協定書を締結し
たと発表。今後国内では2030年代後半をめどに、使用済み太陽光パネ
ルの排出量が急増するとみられている。ピーク時には年間約50万トン
の廃棄が発生するという予測もあり、太陽光パネルを構成するガラス
やシリコンなどのリサイクル手法の確立が急務となっている。  
今回3社は、こうした使用済み太陽光パネルの資源循環システムの構築
を目的に、低温熱分解リサイクル技を用いた太陽光パネルの水平リサイ
クル
を軸とする事業モデルの構築を検討する。  

コンソーシアムの取り組みイメージ

北海道電力は6月12日、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル体制の構築を目指す「
使用済太陽光パネル資源循環推進・北海道コンソーシアム」への参画を発表した。脱炭素社会
の実現と循環型社会の構築を見据え、道内における再資源化の仕組みづくりに貢献する

掲載
               

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エネルギーと環境 267

2025年06月18日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

【季語と短歌:6月18日】 

      梅雨夕焼水辺静かに染ゆきぬ  

                  高山 宇(耽美鬼) 

🪄今朝雨上がり九羽直線飛行し賑やかに空を舞う。(裸眼で識別できた!)。
     昼間は制限時速越えの車が行き通うが、ささやかな安息を楽しむ。



  
🟡 日本発Z革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

✳️ 水素貯蔵技術と課題                                                                                                                               
水素製造技術への投資が盛り上がりを見せる一方で、水素貯蔵技術はい
まだ発展途上。
水素を今よりも気軽に利用するためには貯蔵段階のコス
ト、利便性、安全性などの課題について解決が必要とされる。様々な形
で模
索される水素貯蔵。

常温常圧で水素貯蔵法
常温常圧で水素を貯蔵するにあたっては、地下の巨大な岩塩空洞を利用
する方法が検討されてきた。こちらは三菱重工が米国ユタ州に建設する
水素製造・貯蔵ハブが知られている。ただし、岩塩空洞をはじめとした
ガスバリア性の高い地下空洞は現有する地域が限定的であり、動かすこ
ともできない。一時的な保存のためには有用だが、他の用途に利用する
ためには別の形で貯蔵し、運搬する必要がある。効率的に運搬・利用す
るならば、パイプラインを建設する、または、水素を圧縮する技術が不
可欠。

パイプラインでの輸送・供給
水素は天然ガスと同様、パイプラインを通じて供給することができ、石
油メジャーのExxonMobil(米)、TotalEnergies(仏)と日本の鉄鋼メー

カーJFEスチールなどが共同で研究開発が知られている。パイプライン建
設に関しては大量の資本や政治的合意形成の他、安全性も課題だ。水素
は鋼材を腐食し脆くする性質を持ち、一度漏れだせば火気がなくとも爆
発する危険がある。圧縮して運搬する場合、その方法は大きく分けて4つ。
❶高圧貯蔵・❷液化・❸吸蔵・❹化学変化。それぞれの方法はメリッ
ト・デメリットを有し、利用目的に応じて使い分けられる。

高圧貯蔵法
体を高圧にして圧縮・貯蔵する方法は、プロパンガスなどの可燃性ガス
の貯蔵・運搬にも用いられてきた。
水素においてもこの方法は有効であるが、水素が金属中に入り込み脆く
する性質から、プロパンガスボンベと同じ素材のボンベで水素を貯蔵す
ることはできない。水素を高圧で貯蔵するためには水素によって脆くな
らない特殊な合金や複合樹脂材料などが必要。
高圧貯蔵は水素の貯蔵方法として最も一般的な方法で、水素燃料電池車
などのタンクにおいても圧縮した水素が貯蔵されている。圧縮水素タン
クの開発に携わる企業も自動車と関連する業界に多い。

🟦水素燃料タンクを開発するNPROXX
オランダのスタートアップNPROXXは高積載のトラックやバス、船舶用
の水素燃料タンクを開発。NPROXXの強みは炭素繊維強化樹脂を用いる
ことによる高耐久・長寿命の実現だ。最大700barの圧力で水素を貯蔵で
き、交換することなく30年間の使用を保証している。
また、NPROXXは、
電解槽技術を保有するCummins(米)と2020年に合弁会社を設立した。
この合弁会社は鉄道用途の水素貯蔵タンク開発を進めている。

 🟦水素燃料電池で高圧貯蔵を活用
トヨタも水素燃料電池自動車用のタンクを開発。水素燃料電池自動車MI
RAIでは700barの圧力をかけ、体積にして1/450にして水素を貯蔵。
水素
を車載燃料として利用する際に問題となるのは水素の体積エネルギー密
度。ガソリンが約9,600Wh/Lの体積エネルギー密度を有するのに対し、7
00barにおける圧縮水素の体積エネルギー密度は1,290Wh/Lと、
約1/8し
かない
。これは水素元来の性質であり、仮に液体水素を用いたとしても
体積エネルギー密度は2,330Wh/Lと、ガソリンには遠く及ばず、改善の
余地があまりないデメリット。
一方で、質量エネルギー密度で比較すると、
ガソリンが約12,800Wh/kgであるのに対し、700barの圧縮水素は39,400
Wh/kgと、3倍以上のエネルギー密度となりメリット

🟦液化貯蔵法
水素は-253℃(20K)まで冷却すると液体となり、気体状態と比較した
体積は約1/800になる。
天燃ガスも冷却・液化させてタンカーで運搬さ
れるが、水素でも同様の運搬が可能。こちらの方法は圧縮水素と比べ、
大量の水素を一度に運搬できるというメリットがある。
ただし、天然ガ
スの沸点が-162℃程度であることと比較すると、水素の沸点は極めて低
い。液化させる段階でも、液体状態を維持するためにも大きなエネルギ
ーが必要。具体的には、現在の水素液化システムでは投入した電力の75
%以上が液化のために消費されてしまう
結果として、水素を液化させ、
貯蔵・運搬すると莫大なコストの発生が避けらず、現状での液体水素利
用は、極低温までの冷却が必要な場合や、ロケットエンジンなどコスト
度外視で高い性能が求められる用途に限られる

🟦NIMSによる磁気冷凍
液化して水素を運搬するためには冷却技術の効率化が不可欠であり、研
究が進められている。例えば、物質・材料研究機構は金沢大学などと協
力して、磁気を用いた新たな冷凍技術を開発中。

🟦 水素貯蔵合金
水素原子は金属の結晶構造内部に容易に侵入し、金属を脆くする性質を
持つが、この性質を利用した水素貯蔵方法も検討されている。
水素吸蔵
合金は、水素と化学結合を形成、または、その結晶構造中に水素を取り
込むことで水素を貯蔵できる。圧力を操作することで水素の出し入れが
可能。
水素は吸蔵合金中で結晶構造に従って配列されるため、気体状態
と比較して極めて高い水素充填率を実現できる。中には、体積にして液
体水素の1/2、気体水素の1/1600にまで圧縮して水素を吸蔵できる合金
も存在する。
圧縮水素と比較しても保存のためにそれほど大きな圧力が
必要なく(10bar程度)、水素の出し入れが緩やかに進行するため、安
全性が高いこともメリット。
実用化に向けた課題は重量と材料の希少性。車載などの用途を目指す場
合、現状の重量ではエネルギー効率を大きく損なうため燃費が悪く、希
少金属を利用するため車自体も高額になる。
これら課題を解決するため
に、合金以外の水素吸蔵物質も検討されてきた。水素吸蔵に求められる
物性は水素を結晶構造内に取り込めるスペースを持つこと、なおかつ、
繰り返しの水素の出し入れで自身が破壊されない。

🟦金属有機構造体(MOF)の応用
これら性質を満足する吸蔵物質としては、多孔質カーボンや金属有機構
造体(MOF)が挙げられる。多孔質カーボンはリチウムイオン電池の電
極に用いられるなど、製造と利用に関して多くの蓄積がある。

🟦化学変化法
水素はそのままでは大きな空間を占有する上に液化が難しく扱いづらい
物質だが、複素環式化合物やアンモニアなどに変換することで輸送が容
易になる。

水素・アンモニアを取り巻く現状と今後の検討の方向性より引用
(令和4年4月19日資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 資源・燃料部)
例えばアンモニアの場合、沸点は-33℃で火を近づけても容易に発火する
ことはなく、自身のみで燃焼を持続させることはできない。つまり、貯
4蔵・輸送コストを大幅に下げられる上、漏出したとしても深刻な被害
に繋がる可能性が低い。

このように別の物質に変換して水素を貯蔵・運搬する方式では、可逆性
や変換コストが問題となる。トルエン、メチルシクロヘキサンなどは触
媒存在下で加熱することで容易に化学反応が起き、逆の反応も可能だ。
こうし可逆的な水素の出し入れが可能なキャリアを有機ハイドライドと呼ぶ。
一方、アンモニアを水素から製造する方法として有名なハーバー・ボッ
シュ法は高温・高圧が必要だ。逆反応としてアンモニアから水素を取り
出すことも容易ではないため、実用的な意味で可逆性はない。アンモニ
アにする場合には、水素に戻すことを前提としない活用も検討されてい
る。
日本の重工業企業であるIHIはCO2を排出しないアンモニア燃焼ガ
スタービ
ンモニアは水素と同様、燃焼時にCO2を排出しない。ただし、
CO2以上の温室効果を持つ窒素酸化物を排出することには注意が必要だ。
IHIのガスタービンでは窒素酸化物の排出も抑えることに成功し、実用
化へ大きく近づいた。


✳️ 水素貯蔵合金


✳️関連特許事例
1️⃣ 特開2023-102303 水素貯蔵装置 株式会社ジェイテク他
2️⃣特開2023-71811 水素吸蔵合金 三井金属鉱業株式会社(審査中)
【要約】 Mm(Mmはミッシュメタルを表す。)、Ni、Mn、Al及
びCoを含有し、CaCu型の結晶構造の母相を有する水素吸蔵合金
であって、Mmに占めるLa及びCeの合計の割合が95質量%以上で
あり、1モルのMmに対する、Ni、Mn、Al及びCoのモル比をそ
れぞれa、b、c及びdとしたとき、dが0.00以上0.15未満で
あり、d/bが0.00以上0.35以下であり、a+b+c+dの合
計が5.22以上5.44以下であり、以下の方法で測定される比表面
積増加量ΔCSが0.11m/cc以上0.22m/cc以下であ
る、水素吸蔵合金。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  Mm(Mmはミッシュメタルを表す。)、Ni、Mn、Al及びCoを
含有し、CaCu型の結晶構造の母相を有する水素吸蔵合金であって、
  Mmに占めるLa及びCeの合計の割合が95質量%以上であり、1
モルのMmに対する、Ni、Mn、Al及びCoのモル比をそれぞれ
a、b、c及びdとしたとき、dが0.00以上0.15未満であり、
  d/bが0.00以上0.35以下であり、亜+b+c+dの合計が
5.22以上5.44以下であり、以下の方法で測定される比表面積増
加量ΔCSが0.11m/cc以上0.22m/cc以下である、
水素吸蔵合金。
〔比表面積増加量ΔCSの測定〕
  比表面積増加量ΔCSは、(サイクル後CS値—サイクル前CS値)で
定義される。
  CS値は、水素吸蔵合金の粒子が球形であると仮定し、粒度分布測定
装置を使用して得られた体積基準粒度分布のチャートから求めた粒径か
ら計算上得られた比表面積である。
  水素吸蔵合金の粉末は、20gの水素吸蔵合金の粉末を、サイクロミ
ルで30秒間粉砕し、篩目20μm及び篩目53μmの篩を用い、両篩
間で篩い分けしてD50=45μm±0.5μmに調整したものである。
  サイクル後CS値は、以下のPCT測定を10サイクル行った後の水
素吸蔵合金の粒子の比表面積である。サイクル前CS値は、以下のPC
T測定を行う前の水素吸蔵合金の粒子の比表面積である。
〔PCT測定〕
  前記水素吸蔵合金の粉末2gを、PCTホルダー内に入れ、活性化装
置によって活性化処理を行う。活性化処理はマントルヒーター(300
℃)中、PCTホルダーを加熱した状態で1時間真空引きを実施し、次
いで1.75MPaの水素を導入し、30分間放置後、真空引きを行う
一連の操作を2回実施する。次に、マントルヒーターからPCTホルダ
ーを取り出し、PCTホルダーをPCT特性測定装置に接続し、45℃
の恒温槽内にPCTホルダーを入れて該PCTホルダーの真空引きを
45分間行う。その後、PCT測定を下記条件設定の下で行う。
  (収束時間)1min
  (収束差圧)0.0001MPa
  (収束判断時間)1Min
  (吸蔵終了圧力)1.7MPa
  (放出終了圧力)0.01MPa
  (サイクル数)10サイクル
  10サイクル終了後、PCTホルダーの真空引きを30分間行った後、
水素吸蔵合金の粉末を取り出す。
【請求項2】
  前記比表面積増加量ΔCS×アルカリ処理後の磁化が0.145(em
u・m)/(g・cc)以上0.326(emu・m)/(g・c
c)以下である、請求項1に記載の水素吸蔵合金。
〔アルカリ処理の条件〕
  20gの水素吸蔵合金の粉末を、サイクロミルで1分間粉砕し、目開
き32μmの篩で分級して、D50=21μm±2μmの処理用サンプルを
得る。得られた処理用サンプル3gを、120℃、濃度31質量%のK
OH水溶液30ml中に投入して、振とう機を用いて3時間振とうさせ
てアルカリ処理を行う。
【請求項3】
  硬度H(GPa)が1GPa以上11GPa以下である、請求項1に
記載の水素吸蔵合金。
【請求項4】
  前記CaCu型の結晶構造におけるa軸長に対するc軸長の比が0.
8080以上0.8110以下である、請求項1に記載の水素吸蔵合金。
【請求項5】
  c/bが0.30以上0.85以下である、請求項1に記載の水素吸
蔵合金。
【請求項6】
  前記水素吸蔵合金の断面を走査型電子顕微鏡で観察したとき、該断面
の面積に対する、偏析相の面積の割合が0.01%以上1.60%以下
である、請求項1に記載の水素吸蔵合金。
【請求項7】
  水素吸蔵合金の原料を溶解して溶湯とする工程と、
  溶湯を冷却して合金塊を得る工程と、
  合金塊に第1回目の熱処理を施す工程と、
  合金塊を粉砕して合金粉末を得る工程と、
  合金粉末に第2回目の熱処理を施す工程と、を有する水素吸蔵合金の
製造方法

【詳細説明】
              ー 中 略 ー
表3
000004
【0079】

  表3に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた水素吸蔵合
金は、微粉化残存率指数が小さく且つ比表面積増加量(ΔCS)×アル
カリ処理後の磁化の値が小さいことが分かる。つまり、各実施例で得ら
れた水素吸蔵合金は、寿命特性と出力特性とがバランスしていることが
分かる。特に実施例1ないし3は、それら以外の実施例に比べて寿命特
性と出力特性とが非常に良好にバランスしている。これに対して各比較
例で得られた水素吸蔵合金は、寿命特性は良好であるが出力特性が劣る
か、あるいは出力特性は良好であるが寿命特性が劣ることが分かる。

【産業上の利用可能性】
  以上、詳述したとおり、本発明によれば、Coの使用量を低下させつ
つ、十分な寿命特性と出力特性を併せ持つ水素吸蔵合金が提供される。

3️⃣特開2025-18552 アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金 日本重化学工業
株式会社
(審査請求前
【要約】アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金は、A型結晶構造及びA
19型結晶構造から選ばれるいずれか一方又は両方を主相とし、かつ、
下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
000002
(一般式(1)において、M;Al、Zn、Snから選ばれる少なくと
も1種、T;Cr、Mo、V、Nb、Wから選ばれる少なくとも1種、
0<a≦0.10、0≦b≦0.10、0<a+b≦0.18、0.
10≦c≦0.30、0≦e≦0.14、0≦f≦0.05、0<g≦
0.35、3.0≦d+e+f+g≦4.0を満たす。)
【課題】サイクル寿命特性に極めて優れ、放電容量が大きいアルカリ蓄
電池に用いることができ、電池に搭載する合金量を減らすことができ、
かつ、安価で実用に供することができるアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金
を提供する。
000003
図2 本発明の水素吸蔵合金に関するPCT特性の一例で
【発明の効果】 本発明のアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金は、電池の低コ
スト化をもたらすとともに、この水素吸蔵合金を用いたアルカリ蓄電池
は、高出力密度を有し、特に優れた充放電サイクル寿命特性(耐久性)
も優れているため、放電容量特性に優れる。このため、本発明に係るア
ルカリ蓄電池用水素吸蔵合金は、各種用途、特に車載の使用条件でも十
分に高い高率放電ができるアルカリ蓄電池に用いることができる。

4️⃣特開2024-150766  水素吸蔵放出方法 産業技術総合研究所他(審査中)
【要約】温度40℃以下、水素圧1.1MPa(abs)以下で水素吸
蔵し、かつ温度50℃以上、水素圧0.1MPa(abs)以上1.1
MPa(abs)以下で水素放出する水素吸蔵合金であって、一般式
TiFeMnNb(0.761≦x≦0.837、0.101≦
y≦0.205、0.008≦z≦0.091)で表される組成を有す
る水素吸蔵合金。


図1 実施例1の水素吸蔵合金のPCT特性(水素吸蔵および放出特
性)を示す図
表8
000009
表9
000010
表8の結果から、夏季以外を想定した場合、実施例1~実施例6の水素
吸蔵合金は、比較例の水素吸蔵合金よりも水素貯蔵率が13.7%以上
向上することが確認された。  表9の結果から、夏季を想定した場合、
実施例1~実施例6の水素吸蔵合金は、比較例の水素吸蔵合金よりも水
素貯蔵率が12.1%以上向上することが確認された。
  以上の結果から、実施例1~実施例6の水素吸蔵合金は、ごく微量の
Nbを含有することによって、夏季以外および夏季において、Nbを含
有しない比較例の水素吸蔵合金よりも、水素貯蔵率が向上することが分
かった。

5️⃣特開2023-181794 樹脂複合化水素吸蔵合金の製造方法及び水素貯
蔵モジュールの製造方法 株式会社神戸製鋼所(審査中)
【要約】下図1のごとく、樹脂複合化水素吸蔵合金の製造方法は、水素
吸蔵合金粉末、バインダー樹脂及び溶媒を混合する混合工程と、上記混
合工程後に、上記溶媒を蒸発させる蒸発工程と、上記蒸発工程によって
得られた塊体を粉末状に粉砕する粉砕工程と、上記粉砕工程によって得
られた粉末を加圧成形する成形工程と、上記成形工程によって得られた
圧粉成形体を加熱することによって、上記水素吸蔵合金粉末に上記バイ
ンダー樹脂を融着させる融着工程とを備える。成形性に優れ、かつ水素
吸蔵量を向上可能な樹脂複合化水素吸蔵合金の製造方法及び水素貯蔵モ
ジュールの製造方法を提供する。

000002
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂複合化水素吸蔵合金の製造方法
を示すフロー図

【発明の効果】当該樹脂複合化水素吸蔵合金の製造方法は、成形性に優
れ、かつ水素吸蔵量を向上可能である。          以下割愛

6️⃣特開2024-138164 構造体および水素吸蔵構造体 キヤノンアネル
バ株式会社(審査中)
【要約】下図1のごとく、各々が水素吸蔵金属元素を含む複数の粒子が相
互に離隔されるように固定部材の中に配置された構造体において、前記
複数の粒子の各々の表面の全体が前記固定部材によって取り囲まれ、前
記固定部材が酸化物および窒化物の少なくとも1つを含み、前記固定部
材は、下地と、前記下地の表面の上に配置された膜とを含み、前記複数
の粒子は、前記下地の前記表面の上に配置され前記下地の前記表面から
の距離が互いに異なる2以上の粒子を含み、前記膜は前記複数の粒子の
各々の表面の全体と接している。水素吸蔵金属元素を含む複数の粒子の
凝集を抑制する。

図1 本発明の第1実施形態の構造体の模式的な断面図
【発明の効果】本発明によれば、水素吸蔵金属元素を含む複数の粒子の
凝集が抑制される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  各々が水素吸蔵金属元素を含む複数の粒子が相互に離隔されるように
固定部材の中に配置された構造体であって、
  前記複数の粒子の各々の表面の全体が前記固定部材によって取り囲ま
れ、前記固定部材が酸化物および窒化物の少なくとも1つを含み、
  前記固定部材は、下地と、前記下地の表面の上に配置された膜とを含
み、前記複数の粒子は、前記下地の前記表面の上に配置され前記下地の
前記表面からの距離が互いに異なる2以上の粒子を含み、
  前記膜は前記複数の粒子の各々の表面の全体と接している、ことを特
徴とする構造体。
【請求項2】
  各々が水素吸蔵金属元素を含む複数の粒子が相互に離隔されるように
固定部材の中に配置された構造体であって、
  前記複数の粒子の各々の表面の全体が前記固定部材によって取り囲まれ、
  前記固定部材が酸化物および窒化物の少なくとも1つを含み、前記固
定部材は、下地と、前記下地の表面の上に配置された膜とを含み、前記
複数の粒子は、前記下地の前記表面の上に配置され前記下地の前記表面
からの距離が互いに異なる2以上の粒子を含み、前記複数の粒子の各々
における前記下地の表面からの距離が1nm以上かつ10nm以下の範
囲である、ことを特徴とする構造体。
【請求項3】各々が水素吸蔵金属元素を含む複数の粒子が相互に離隔さ
れるように固定部材の中に配置された構造体であって、
  前記複数の粒子の各々の表面の全体が前記固定部材によって取り囲まれ、
  前記固定部材が酸化物および窒化物の少なくとも1つを含み、
  前記固定部材は、下地と、前記下地の表面の上に配置された膜とを含
み、前記複数の粒子は、前記下地の前記表面の上に配置され前記下地の
前記表面からの距離が互いに異なる2以上の粒子を含み、
  前記複数の粒子が、400℃、10時間の熱処理後も相互に離隔され
ている、ことを特徴とする構造体。
【請求項4】各々が水素吸蔵金属元素を含む複数の粒子が相互に離隔さ
れるように固定部材の中に配置された構造体であって、前記複数の粒子
の各々の表面の全体が前記固定部材によって取り囲まれ、前記固定部材
がMgO、ZrO、Y、CaO、Al、Siおよび
AlNの少なくとも1つを含み、前記固定部材は、下地と、前記下地の
表面の上に配置された膜とを含み、前記複数の粒子は、前記下地の前記
表面の上に配置され前記下地の前記表面からの距離が互いに異なる2以
上の粒子を含む、ことを特徴とする構造体。
【請求項5】
  各々が水素吸蔵金属元素を含む複数の粒子が相互に離隔されるように
固定部材の中に配置された水素吸蔵構造体であって、
  前記複数の粒子の各々の表面の全体が前記固定部材によって取り囲ま
れ、前記固定部材が酸化物および窒化物の少なくとも1つを含み、
  前記固定部材は、下地と、前記下地の表面の上に配置された膜とを含
む、ことを特徴とする水素吸蔵構造体。          以下割愛

🔵水分子のクラスターとは何か
化学ではクラスターは次のように定義される。「2個以上の分子又は原
子がファンデルワールス力や水素結合などの比較的に弱い相互作用で集
合したものをクラスターと呼ぶ。」 液体の水は水素結合によりクラスタ
ーを形成している代表的な物質。水のクラスターの例を下図に模式的に
示す。

液体状態の水は孤立した水の分子、H2O、が集まったものではない。古
くは六方晶系の結晶構造をした氷に類似した形の水素結合を作って集ま
った会合体と水素結合をしていない水分子の平衡状態を考えていた。し
かし近年は実験と分子軌道法と呼ばれる方法による計算の両者が進歩し
た結果、液体の水のイメージが大分変化してきたといわれる。
液体水の
水素結合の数をある方法で計算した結果によりますと、1個の水分子の
水素結合数は、0個、1個、2個、3個、4個の5種類。つまり全く
他の水分子と水素結合を作っていないもの(0個)と他の水分子1個乃至4
個と水素結合を作っているもの(1個、2個、3個、4個)から成り立ってい
ることになり、この分布を見ると、2個水素結合したものが最も多く、
一山型の分布になっています。平均値は2.3個です。この結果は何を意味
しているか考えてみましょう。液体の水が、氷に類似した形の水素結合
を作って集まった会合体と水素結合をしていない水分子の平衡状態より
成り立っているとしますと、1つの水分子が作る水素結合の数は、0か
4ということになり、上記のような分布にはならないとか。

液体状態の水は孤立した水の分子、H2O、が集まったものではない。古
くは六方晶系の結晶構造をした氷に類似した形の水素結合を作って集ま
った会合体と水素結合をしていない水分子の平衡状態を考えていが、近年
は実験と分子軌道法と呼ばれる方法による計算の両者が進歩した結果、
液体の水のイメージが大分変化する。

 液体水の水素結合の数をある方法で計算した結果によりますと、1個
水分子の水素結合数は、0個、1個、2個、3個、4個の5種類。つま
り全く他の水分子と水素結合を作っていないもの(0個)と他の水分子1個
乃至4個と水素結合を作っているもの(1個、2個、3個、4個)から成り立
っていることになる。この分布を見ると、2個水素結合したものが最も
多く、一山型の分布になっています。平均値は2.3個。この結果は何を意
味しているのか?。液体の水が、氷に類似した形の水素結合を作って集
た会合体と水素結合をしていない水分子の平衡状態より成り立っている
とし、1つの水分子が作る水素結合の数は、0か4ということにる。
このように、液体水のクラスター状態でもう一つ重要なことは、クラス
ターが長時間安定して存在しているものではなく、1ps(10−12秒)のオー
ダーで生まれたり壊れたりしているというもの。つまり、非常に動的な
構造をしているわけです。これは重要な知見であって、しばしば言われ
ている、「普通の水は巨大なクラスターを形成しているが、何らかの微
弱なエネルギーを受けるとその構造が小さくなって、例えば生物細胞で
あるとか、固体物質の極微小な組織内に浸透し易くなる
」といった説が
非常に怪しいことがうかがわれる。
🔵内径が1、2,3、9、27、81、243nm、長さ1、2、3、9、27、81㎜
の①麦わら、②ポリエチ、③カーボン、④テフロン、⓹ガラス、⑥銅の
チューブで海水・水道水・純水溶液を吸引圧、液温条件変え、吸引速度
を観測評価実験できないかと。そう、海水の漸近常圧脱塩効果を確認で
きないかと。

ト音記号 イラストや に対する画像結果『生涯と名曲:ショパン』

今日の言葉:
人命は地球より重し
          何という野蛮な映像!?狂っている。


        春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』


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エネルギーと環境 266

2025年06月17日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。

                   

季語と短歌:6月17日】 

         六月も異常気象深まれり 

                    高山 宇(恨鬼) 

🪄2008年の6月の短歌を詠い、現在の立脚地点を追認。

104(神奈川)小田原 梅太郎 - 和菓子の国の人だから


✳️ 次世代パワエレ向け軟磁性ナノ結晶圧粉コア開発
トーキンは、次世代パワーエレクトロニクスに向けた「軟磁性ナノ結晶
圧粉コア」を、東北大学と共同開発した。新材料は従来材料を大きく上
回る超低損失と高飽和磁束密度を実現しており、電力変換機器のさらな
る高効率化と小型化が可能となる。

開発した材料と既存材料におけるコア損失と飽和磁束密度の比較[クリックで拡大] 出所:トーキン、東北大学
図1 開発材と既存材のコア損失と飽和磁束密度の比較

図1 各種圧粉磁心のコア損失Pcvとコア飽和磁化μ0Msの関係。Pcv値は
f = 100 kHz、Bm = 100 mTで測定。青色のマークは従来の軟磁性材料、
青色の丸は市販の圧粉磁心、青色の十字は当社のプロトタイプコア(未
発表)、青色の三角と四角は文献[[4]、[5]、[6]]からのもの。紫色の三角
は、文献[22,23,25,27,30]からの最近の高μ0Ms NC合金。赤色の丸は本
研究の結果。*と†の記号は、それぞれ文献の値から、充填密度を70 %と
仮定して推定されたコアμ0Msと、Bm1.6のべき乗法則を使用して推定さ
れたPcvを示す。
【論文情報】
タイトル:Ultra-low core loss and high core saturation magnetization
of nanocrystalline Fe-B-P-Cu powder cores fabricated by using a hot-
process
著者: M. Kuno, N. Ono, Y. Imano, A. Urata, H. Oikawa, S. Okamoto,
掲載誌:Acta Materialia 294 (2025) 121159.
DOI:10.1016/j.actamat.2025.121159


図1. a) 本研究で使用した光アップコンバージョンを行う三量体発光体分
子:トリ(9-アントリル)ボラン(TAB)の構造式。b) 三重項-三重項消
滅(TTA)を行う中間体立体構造と、その励起子が持っている二つの電子ス
ピン密度分布画像。c) オクタエチルポルフィリン(PtOEP)を増感剤と
して用いたトルエン-流動パラフィン混合溶液において得られたTAB三重
項励起子の時間分解電子スピン共鳴スペクトル。図2によるモデル解析に
よって、分子内において三重項励起子ホッピングが8ピコ秒(1兆分の8秒)
の時間で進行することが分かった。

✳️
アップコンバージョンの変換効率制御に知見
6月12日、神戸大学らの研究グループは、
人体に無害な長波長光を高いエネルギーをもつ短波長光に変換するアッ
プコンバージョン過程の中間体が、分子内部の励起子ホッピング運動を
1兆分の1秒の単位で繰り返し起こす現象を明らかにした。このホッピン
グ速度は溶媒の粘性を変えるだけで大きく変化させることが可能で、そ
れにより光の波長変換の効率を制御できることを示した。 
 今後は、分子振動を巧みに利用する光エネルギー変換デバイス開発が
進展し、人体に害のない近赤外光を利用する光線力学的ながん治療や、
その細胞内部のミクロな流体環境センシングへの応用など幅広い分野へ
の展開が期待されます。
この研究成果は、2025年5月19日に、独国科学雑誌「Angewante Chemie
International Edition」に掲載された。
【要点】
■持続可能社会の実現に向け、これまで利用されてこなかったエネルギ
ー源を有効活用することが重要。光アップコンバージョンと呼ばれる長
波長光を短波長光に変換する現象を活用し、超高効率光エネルギー変換
システムの実現が期待できる。
■光アップコンバージョンの光エネルギー変換効率は改良されてきてい
るが、この反応のメカニズムが十分に理解されておらず、材料開発のボ
トルネックとなっていた。
■今回、アントラセン三つをホウ素で架橋させた分子内において生成す
る三重項励起子によるアップコンバージョン発光と電子スピンのホッピ
ング運動の両者を観測。この中間体が分子内部において回転しながらホ
ッピングする時間が溶媒によって大きく変化し、それにより光の波長変
換効率を制御できることが明らかとなり分子周囲のミクロな領域で流動
性をセンシングするのに適していることが分かった。

 
図2. 光アップコンバージョンを起こすTAB分子内の三重項励起子ホッピ
ング運動モデル。khopは、ホッピング時間の逆数であるホッピング速度
を表す。


【論文情報】
タイトル:“Vibronic Trimer Design Enhancing Intramolecular Triplet-
Exciton Hopping to Accelerate Triplet-Triplet Annihilation for Photon
Upconversion”
著者:Kousuke Higashi, Tsubasa Okamoto, Nanami Iwaya, Eri Sakuda,
Christopher W. Kay, Tadaaki Ikoma, Masahiro Higashi and Yasuhiro Kobori
掲載誌:Angewante Chemie International Edition
DOI:https://doi.org/10.1002/anie.202503846
図3. a)発光体であるTABおよびDPAについて得られたTTA速度定数に対
する溶媒粘度の効果。ホッピング時間は、TAB励起子の分子内ホッピン
グにかかった時間を示す。b)粘度がより小さいトルエン中でTTA発光が増
強されるメカニズム。トルエン-流動パラフィン混合溶液では、励起子ホ
ッピングが1兆分の8秒に抑制されており、励起子の出会いで生成した三
重項ペアの反応性が低下しやすいためTTA発光が起きにくい(TTA OFF)。
トルエン中の出会いで生成した三重項ペアの場合は、衝突錯体における
超高速ホッピング運動により、三重項間の電子軌道の重なりが生じやす
く反応性が大幅に向上する(TTA ON)。三重項-三重項消滅によるTTA-
UC発光は、三重項TAB分子同士の出会いによる反応で起きることから、
この発光の経時変化を解析することでその反応速度定数(TTA速度定数)
を決定できる。そこでこのTTA発光体による励起子ホッピング時間と反
応速度定数との相関を直接観測するため、溶媒の粘度※5によるTTA速
度定数の効果を二つの発光体TABとジフェニルアントラセン(DPA)に対
して調べた(図3a)。その結果、TABでの溶媒粘度低下によるTTA速度の
増強効果がDPAによる効果を大きく上回ることがわかりました。これは、
従来に用いられている分子よりもTAB分子周囲のミクロ環境を励起子が
敏感に捉え発光が増強されたことを示す。図3bに示すように、トルエン
中のホッピング運動は2ピコ秒(1兆分の2秒)よりも高速。これにより、励
起子同士の出会いによる衝突時間(2ピコ秒)内の三重項ペアの電子軌道の
重なりが生じやすく、TTA反応性が大幅に向上したためにこのような増
強効果が起きたことが明らかになる。

2025press_図1.png
図1. 本研究の概念図:太鼓型分子との連結による有機半導体の開発.

✳️
有機エレクトロニクスに期待の分子性物質開発
6月12日、香川大学と兵庫県立大学は,既存の有機半導体に対して,太
鼓型分子を連結させることで,新しい有機半導体を開発し,酸化還元に
対する優れた安定性を見出した。
フェロセンは,太鼓型の特徴的な構造
をもつ分子で,電子を安定に出し入れ(酸化還元)することができ,有
機化学と無機化学の融合領域である有機金属化学という学問分野の代表
的な分子でもある。
一方で,ベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)は,
軽くて,曲げられるフレキシブル素子の実現を目指す有機エレクトロニ
クス分野において,有望な分子性有機半導体として注目されている。
この連結分子は,元のフェロセンに起因して,安定に酸化還元できるこ
とを確認した。また,デバイス動作でポイントとなる酸化された状態を
詳細に評価した。近赤外領域に特徴的な吸収が観測されたことから,フ
ェロセン部位とBTBT部位が電子的に相互作用することが分かった。
また,
結晶状態では,フェロセン部位同士,BTBT部位同士が接触する凝集形態
に加え,フェロセン部位とBTBT部位が接触する新しい凝集形態を含むこ
とを明らかにした。
研究グループは,この研究は,有機金属化学と有機
エレクトロニクス分野の境界領域における研究成果であり,今後,有機
トランジスタ素子の活性層への応用や新機能の創出が期待されるものだ
としている。


 ✳️竹中工務店と那須電機鉄工小型・軽量「水素タンク」
6月15日、竹中工務店と那須電機鉄工は共同で、水素ガスを安全に貯蔵・
運搬できる小型・軽量のタンクを開発した。「ナノ化鉄チタン水素吸蔵合
金」を用いて水素を貯蔵しており、火炎を近づけても着火しないため危
険物に該当せず、特別な資格がなくても安全に取り扱える。災害現場や
建設現場など幹線からの電力供給が困難な場所、オフィスや一般家庭ま
で幅広い用途で活用を見込んでいる

1️⃣ 取り扱い資格不要
水素ガスを数百―1000分の1程度の体積でコンパクトに貯蔵できる「
ナノ化鉄チタン水素吸蔵合金」を採用。タンクから放出される水素ガス
の圧力は1メガパスカル未満(メガは100万)で、高圧ガス保安法の
適用範囲外となり、特別な届け出や免許なしで取り扱える。また直径140
ミリ×高さ606ミリメートル、重量29キログラムと小型・軽量化。
宅配便で配送でき、水素燃料の流通促進や適用拡大が期待できる。
タン
ク内部には効率的な熱交換構造を採用した。タンクの小型化による水素
吐出量低下を克服し、燃料電池による安定的な発電のための水素供給が
可能となる。
今後、竹中工務店は可搬型電源装置の開発、那須電機鉄工
は水素タンクの容量向上や熱交換効率の向上などの技術開発を継続。
素発電を基盤とした電源システム構築を目指
す。
✳️ 関連特許技術
1️⃣ 特開2025-12960 水素吸蔵合金タンク 那須電機鉄工株式会社
【要約】円筒管から成るタンク筐体1内に、当該タンク筐体1の内径の
8割以上の外径を有する長手方向に連続して形成された、熱伝導材から
成る螺旋形状フィン2が設けられ、当該螺旋形状フィン2の間に水素吸
蔵合金4が充填され、前記螺旋形状フィン2のピッチはタンク筐体1の
外径の2倍以下とした。構造が簡単でかつ水素吸蔵合金の粉末を容易か
つ迅速に充填でき、水素吸蔵合金粉末が細密凝集化しない、縦置きが可
能な水素吸蔵合金タンクを提供する。

図1 この発明の実施の形態例1の水素吸蔵合金タンクを縦置きにした
状態の縦断面図

【符号の説明】A  水素吸蔵合金タンク B   水素吸蔵合金タンンク
1  タンク筐体    2  螺旋形状フィン 2a   上面の仕切り   2b    下面
の仕切り 3   中心空洞部  4  水素吸蔵合金 5 バルブつまみ  6 内周縁
7 小柱   8  管体 9  メッシュ板   10  仕切り


【発明の効果】請求項1の発明によれば、従来から使用されている伝熱
用フィンの形状を連続した螺旋形状にし、その螺旋形状フィンの間に水
素吸蔵合金が充填されているため、水素吸蔵合金タンクを縦置きした場
合でも、重力方向に複数仕切りがあるような状態となり、水素吸蔵合金
の水素吸蔵放出における膨張、収縮、さらに自重の関係から発生するタ
ンク底部の細密凝集化を防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【図2】この発明の実施の形態例1の水素吸蔵合金タンクを縦置きにし
た状態の上部キャップを外した状態の正面図である。
【図3】この発明の実施の形態例1の水素吸蔵合金タンクを縦置きにし
た状態の拡大横断面図である。

【図4】この開発の実施の形態例1の水素吸蔵合金タンクを縦置きにし
た状態の拡大一部縦断面図

【図6】この発明の実施の形態例1の水素吸蔵合金タンクの螺旋形状フ
ィンによる合金層に作用する力のイメージ図である。


【図8】この発明の実施の形態例1の水素吸蔵合金タンクを縦置きにし
た状態の他の例を示す拡大一部縦断面図
【図11】従来の水素吸蔵合金タンクの繰り返し水素吸蔵放出試験結果
を示すグラフ図で、(a)図は吸蔵1回目、(b)図は吸蔵10回目の夫
々の水素量に対する応力を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態例1の水素吸蔵合金タンクの繰り返し
水素吸蔵放出試験結果を示すグラフ図で、(a)図は吸蔵1回目、(b)
図は吸蔵10回目の夫々の水素量に対する応力を示す図である。

【図13】この発明の実施の形態例2の水素吸蔵合金タンクを縦置きに
した状態の縦断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】  円筒管タンク筐体内に、当該タンク筐体の内径の8割以
上の外径を有する長手方向に連続して形成された螺旋形状フィンが設け
られ、当該螺旋形状フィンの間に水素吸蔵合金が充填されていることを
特徴とする、水素吸蔵合金タンク。
【請求項2】  前記螺旋形状フィンのピッチはタンク筐体の外径の2倍以
下としたことを特徴とする、請求項1に記載の水素吸蔵合金タンク。
【請求項3】 前記螺旋形状フィンの長さは、タンクの長さの2/3以上
としたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素吸蔵合金タンク。
【請求項4】前記螺旋形状フィンは熱伝導材から成ることを特徴とする、
請求項1に記載の水素吸蔵合金タンク。
🪄次回は水素吸
合金について考察する

                                                   

🔴
このままではペロブスカイトも危ない
🔸負けを呼ぶ補助金政策に見直しを 日経エレクトロニクス 2025.06.11
日本の太陽光発電技術に対する経済産業省の助成事業についてだ。実態
としては、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施して
いる助成事業ということになる。

1️⃣日本の太陽電池メーカーをダメにしたPV2030
PV2030は技術革新で太陽電池の変換効率を高め、それによって太陽光
発電の発電コストを下げていくことを目標にしており、2020年に14円/
kWh、2030年に7円/kWhという目標値を掲げた。2000年代初頭の太陽
光発電のコストは50円/kWhなどと高く、当時としては野心的なロード
マップだったのは間違いないという。
PV2030における太陽光発電に関するロードマップ

2010年前後から中国メーカーが太陽光パネルを当時としては異次元の規
模で量産を始め、ちょうどスワンソンの法則を証明するかのように太陽
光パネルの価格を大幅に下げ始めた。
2010年代半ばには既に太陽光パネ
ルが非常に安くなり、海外で日照条件の比較的よい土地では、5円/kWh
前後の発電コストが実現。中東では1円/kWh台という例も出現。最近で
は日本でも4~6円/kWhといった例が実際に出てきている。
2010年代半ばに筆者は太陽電池の研究者の1人に、量産規模を増やすこ
とによるコスト低減についての意見を聞くと、その研究者は「日本は太
陽光パネルの施工時の人件費などが高い。変換効率を高めて発電量を増
やせば相対的に人件費の割合を低減できる」と回答した。
もし、製造コストを上げずに変換効率を高められるのであればその通り
だが、多くの場合、デバイスの性能を高めようとすると、製造コストも
量産しない限りは上がってしまう。太陽電池の場合はそれが特に顕著で、
変換効率を1~2ポイント高めると、製造コストは場合によっては数倍に
なってしまった。それではいくら変換効率が高くても、幅広い用途での
実用化は難しい。つまりは量産できない

2️⃣市場ではなく博物館に直行
太陽光パネルの性能指標には、1W発電するのに必要な導入コストを示
す「円/W」という値があるが、NEDOの研究開発の“成果”の多くは、変
換効率を高めることには成功したが、円/Wの点では前進するどころか、
大幅に後退する結果につながった。「変換効率を高め、それによって発電
コストを下げる」という当初の目標は、ほとんど幻想だった。
実際、NEDOプロジェクトの“成果”として2016年以降、世界最高効率の
結晶Si太陽電池などが開発されたが、その太陽電池は最近まで量産され
ずに博物館に飾られることになった。2023年になって車載用に生き返っ
たものの、それはNEDOがPV2030で目指した方向とは言えないという


スワンソンの法則。太陽光発電学習曲線
一方で、中国メーカーなどが進めた大規模な量産による製造コストの低
減効果は非常に大きく、現在は20米セント/W(1米ドル=150円で30円/
W)を割り込んでいる。1976年時点の100米ドル/Wから500分の1にな
った計算だ。しかも、ただ安くなっただけではない。事業で資金に余裕
の出た中国メーカーは太陽電池の変換効率の向上にも取り組み、現時点
ではNEDOの成果を超える変換効率を実現したメーカーも出ている。

果として、中国メーカーの太陽光パネルは世界を席巻し、量産競争に乗
り遅れた日本のメーカーのほとんどは太陽光パネルの製造から撤退する
ことになった。PV2030に決定的に足りなかったのは、スワンソンの法則、
すなわち量産効果によるコスト低減の巨大さへの理解だった。ただ、火
力や原子力のようなスケールメリットと、太陽電池の量産効果との違い
を誤解してはいけない。50年続いてきたスワンソンの法則が証明してい
るように、太陽電池の量産効果は巨大で、しかも今後も当分続く見通。
熱力学の効果によるスケールメリットの有無と、量産効果による製造コ
ストの低減とを混同してはいけない。
政府は2025年度からペロブスカイト太陽電池の国内市場を立ち上げ、
2040年には原発20基分に相当する20ギガワットまで普及させる目標を

正式に発表した。原料を輸入に頼らず量産可能で経済安全保障上の理由
からも、ペロブスカイト太陽電池の社会的意義は大きく、原料価格でも
優位性があり、積水化学は今年中に屋外耐久性20年相当を、発電効率に
ついては2030年18%を目指している。
日本が生んだ技術であり、薄くて軽くて曲げられるため従来のシリコン
太陽光パネルが設置できない場所にも設置できる次世代太陽電池「ペロ
ブスカイト太陽電池」。昨年11月、政府は2025年度から国内市場を立ち
上げ、2040年には原発20基分に相当する20ギガワットまで普及させる
目標を正式に発表した。もともと政府は2030年までに普及させる方針を
打ち出していたが、より具体的な目標が策定された格好だ。2040年には
世界の市場規模が2兆円以上に拡大する(富士経済による)と予測

via 日経エレクトロニクス 2025.06.11

3️⃣ 日本発ペロブスカイト太陽電池
       再生可能エネに革命…日本で原発20基分に普及
【概要】
政府は2025年度からペロブスカイト太陽電池の国内市場を立
ち上げ、2040年には原発20基分に相当する20ギガワットまで普及させ
る目標を正式に発表し、
原料を輸入に頼らず量産可能であるという経済
安全保障上の理由からも、ペロブスカイト太陽電池の社会的意義は大き
く、原料価格でも優位性がある。
日本が生んだ技術であり、薄くて軽くて曲げられるため従来のシリコン
太陽光パネルが設置できない場所にも設置できる次世代太陽電池「ペロ
ブスカイト太陽電池」。昨年11月、政府は2025年度から国内市場を立ち
上げ、2040年には原発20基分に相当する20ギガワットまで普及させる
目標を正式に発表した。もともと政府は2030年までに普及させる方針
を打ち出していたが、より具体的な目標が策定された格好だ。2040年に
は世界の市場規模が2兆円以上に拡大する(富士経済による)と予測さ
れており、注目が高まっているが、社会的にどのような意義のある技術
なのか。

4️⃣
薄くて軽く柔軟な日本のペロブスカイト太陽電池
ペロブスカイト太陽電池の特長は、ペロブスカイト結晶が有機溶剤に溶
けるので、その液体を「塗る」もしくは「印刷する」ことで太陽電池パ
ネルを製造できるということだ。「塗る太陽電池」なので、薄いフィルム
状のものに液体を塗れば、超薄型でしなやかに曲げられるフィルム状の
太陽電池ができる。ぺ
ロブスカイト太陽電池には、基板にフィルムを使
うものとガラスを使うものの2種類があり、今注目されているのは日本で
開発が進むフィルム型だ。重さは従来のシリコン型に比べて10分の1で、
建物の屋上や壁面、自動車の屋根など様々な場所に貼り付けられる。フ
ィルム型は主に積水化学工業が開発を進めている。
そうした特長について、有機系太陽電池技術研究組合(RATO)理事を
務める東京大学先端科学技術研究センターの瀬川浩司教授に話を聞いた。
RATOではペロブスカイト太陽電池の発電システムに必要なエンジニア
リング技術(構成材料の評価、モジュール設計、システム構築、新規用
途等)を研究開発している。
「ペロブスカイト太陽電池の発電層原料の重量比は約60%がヨウ素で鉛
が約30%、その他有機物部分が10%以下なので、“ヨウ素太陽電池”と呼
んでもいいほど。ヨウ素の生産量で日本は世界2位、シェアも3割くらい
ある。資源少国の日本にこんな資源はなかなかない。シリコン太陽電池
で本当に困ったのは、太陽電池用原料シリコンの調達であり資源的に日
本が優位性を発揮できなかったが、ペロブスカイト太陽電池にはこのよ
うな問題がない」
原料を輸入に頼らず量産可能であるという経済安全保障上の理由からも、
ペロブスカイト太陽電池の社会的意義は大きい。そして、原料価格でも
優位性がある。
「例えば、1MWのシリコン太陽電池を作るのに必要な原
料のシリコンは、シリコンの結晶をすごく薄く作って削りカスを減らし
ても、最低2トンは必要。シリコン価格は高騰したり下落したり大変で、
高いときは600万円、安くなると100万円くらい。原料に結構なコストが
かかる。それに対し、ペロブスカイト太陽電池は1MW作るのに、たった
16kgのヨウ素で済む」。ヨウ素の国際価格、2023年は1kgあたり61ドル
だったので、16kgだと976ドル≒14万1520円(1ドル145円換算の場合)
だ。ヨウ素の価格優位性は歴然としている。瀬川教授の研究室では現在、
ヨウ素メーカーと共同で太陽電池グレードになる高性能のヨウ素を含む
材料についても研究開発している。

5️⃣日本のトップバッターは積水化学工業
実は、中国では一足先にペロブスカイト太陽電池の量産化が進められて
いる。しかし、中国で作られているのは主としてガラス基板タイプのも
ので、タンデム型(シリコン太陽電池と組み合わせたもの)に用いるの
が主流。現状、世界でシリコン型を製造しているのは、ほとんどが中国
メーカー。
しかし、瀬川教授は「中国のペロブスカイト太陽電池は既存
のシリコン型より重い」とエンジニアリングの点からも日本に大きな優
位性があることを指摘する。ぺ
ロブスカイト太陽電池の課題は発電効率
と耐久性だと言われてきた。しかし、積水化学は既に発電効率15%を達
成し、屋外耐久性も10年相当を確認している。今年中に屋外耐久性20年
相当を目標に掲げており、発電効率については2030年18%を目指してい
る。実
用化について同社は、共同実証研究を3月18日から開始したと発
表した。1年の実証期間後に本格的に事業化され、生産ラインは2027年
度に量産開始の予定だ。今現在、最大規模で設置されているのは、大阪
関西万博のバスターミナルの屋根上である。

パナソニックは2026年にも実用化の方針を明らかにしており、窓の中に
埋め込むような建材と一体化したタイプを試験販売する予定。アイシン
は3月31日、愛知県安城市の本社工場で社内実証を開始した。区分とす
れば、パナソニックもアイシンもガラス型だが、アイシンは薄ガラスを
用いた独自のフィルム構造による高い耐久性を特徴としていて、見た目
や重さはフィルム型と間違えそうなほどである。日本
本メーカーによる
国内での製品化と量産は2年以内ということになるが、気になるのは発
売価格だ。
「太陽電池の価格はパネルだけで決まるものではない。既存の太陽電池
は一般的には電気店で購入するが、それを屋根に据え付けるには2~3人
必要。場合によってはクレーンも使う。実は施工費とパネル代でどちら
が高いかと言えば、施工費の方がよほど高い。その点、ペロブスカイト
型は軽いので、1人で簡単に施工できる。なので、kWh(キロワットア
ワー)コストで考えるべき」(瀬川教授)
現在、太陽電池パネルの屋根への施工費は、新築住宅の場合は1kWあた
り約26~28万円、既存住宅の場合は約28~30万円が相場だ。よって、一
般的な4〜5kWのシステムで150〜200万円程度になってしまう。自治体
からかなりの補助金があるので100万円以下にはなり高額だと見られて
いる。

3️⃣
環境汚染とリサイクル
「ペロブスカイト型も鉛が3割入っているので、適切な管理は必須。現在
のシリコン太陽電池はリサイクルが難しいのだが、ペロブスカイト層は
はきれいに極性溶媒に溶けるので、そういう意味では鉛含有部分は完全
に取り除くことができる。それに加えてもともと鉛の使用量が少ないの
で、仮にパネルが壊れて地面に染み込んだとしても、日本の環境基準を
超えるほどにはならずそれほど心配する必要はない。一方、ヨウ素はX線
造影剤や偏光フィルムなどに使われる貴重な資源でもあるので、こちら
の回収と再利用も進めるべきであろう。
ペロブスカイト型の原料はヨウ
素が6割なので、ヨウ素の環境への影響にも注意を払う必要があるが、
まずは簡単には壊れないペロブスカイト太陽電池作るということが必要
だろう(瀬川教授)」と話す。
via.BUSINESS.journal

           

ト音記号 イラストや に対する画像結果  『生涯と名曲:ベートーヴェン』





今日の言葉:世界のカオスは
ドン(首領)、ガキ(餓鬼)次第。


        春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

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エネルギーと環境 265

2025年06月15日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩の当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと兜(か
ぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-

                     

【季語と短歌:6月16日】

        蛇苺伸びる向日葵湧く発意 

                    高山 宇(蛇鬼) 

🪄  イワツバメが一羽電線で囀り、借り終えた法面の花木観察のモーニ
ング散策。自生の黄色い蛇苺を刈り込んでいたことに気付き、それなら
カバーグラスとして四季詰めようと思い立ち、広い面積の刈り込み用の
電動手動の草刈り機を考案することに悪い癖だ(蛇)。


特開2024-79479 作業機工機ホールディングス株式会社 図1 作業機1の回路ブロック図

🟡 日本発Z革命
気候変動禍ゼロ・再エネ・人工燃料・超資源回収

✳️ 淡水化技術とは何か
今夜は、海の淡水化について考察してみる。昨夜も述べたように、海水
を直接循環利用するには、そのポイントでの海流・水質などの変動定点
観測が国際的な枠組みの制定と協議が将来的に必要となる。
さて、「海水の淡水方法」には、多段フラッシュ・逆浸透法・超音波霧
化分離法などがある。そのうち、「超音波霧化分離(Wilipedia)」を取
り上げる。勿論、その折、「二酸化炭素の分離固定化」▶️「貯蔵及び再
利用方法」の考察も必要であり、前回も事例研究した。淡水化と同時に
水以外を除外(下図のフッ素化ナノチーブ」)も話題となっているので
下図をクリック願参照。

水不足を解消する?!海水の淡水化に応用できるフッ素化ナノチューブを東京大学が発表 - アジアの時代。シンガポールREIT投資部




1️⃣特開2024-128978 二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム並び
に炭酸カルシウムの製造方法(審査前)

【要約】二酸化炭素を含む気体(G)から形成される平均気泡径が
100μm以下の微細気泡(X1)と、塩基(A)と、カルシウムイオ
ン含有水(B)とを接触させて、炭酸カルシウムを生成する工程(S)、
及び前記微細気泡(X1)中の二酸化炭素量が減少した微細気泡(X2
)を破壊する工程(T1)と、前記微細気泡(X1)を供給する工程(
T2)とを含む工程(T)を含む、二酸化炭素の固定化方法とした。
酸化炭素の固定化効率に優れる二酸化炭素の固定化方法及び固定化シス
テム、当該二酸化炭素の固定化方法を利用した炭酸カルシウムの製造方
法を提供する。

【選択図】図1 二酸化炭素の固定化方法を実施するためのシステム図
【符号の説明】1、1a、1b、1c、1d    二酸化炭素の固定化シ
ステム 10    炭酸カルシウム生成部11、11’、11’    タンク
12    大型タンク 20    微細気泡破壊・供給部  21    (微細気泡(
X2)を破壊するための)第一装置  22    (微細気泡(X1)を供給
する(発生させる)ための)第二装置  25    送液ポンプ  26    真空
ポンプ 40   (塩基水溶液用の)貯留タンク 40a  (塩基水溶液の)
送液ライン50    (カルシウムイオン含有水用の)貯留タンク 50a  
(カルシウムイオン含有水用の)送液ライン (P)  反応タンク(Q)    
回収部
【発明の効果】本開示によれば、二酸化炭素の固定化効率に優れる二酸
化炭素の固定化方法及び固定化システム、当該二酸化炭素の固定化方法
を利用した炭酸カルシウムの製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】

【図2】工程(T)を実施するための装置構成の一例を示す概略図



【図3】工程(T)を実施するための装置構成の他の例を示す概略図

【図4】二酸化炭素の固定化方法を実施するためのシステム例図


図14 実施例D2におけるにおける混合液(AB)の温度及びpHの経
時変化を示す図
                                                                                                  了

2️⃣ WO2020/040129 ナノ構造複合半透膜 国立大学法人  東京大学
【要約】 微多孔性支持膜と高分子化された液晶薄膜からなる複合半透膜
であって、該高分子化された液晶がスメクチック構造を呈することを特
徴とする、水処理用の複合半透膜。透水性及び分離性の高い複合半透膜
を提供すること。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
  微多孔性支持膜と高分子化された液晶薄膜からなる複合半透膜であっ
て、該高分子化された液晶がスメクチック構造を呈することを特徴とす
る、水処理用の複合半透膜
【請求項2】
  前記高分子化された液晶が、一般式(I)で表される化合物の少なく
とも1つを高分子化して得られたものであることを特徴とする、請求項
1に記載の水処理用の複合半透膜
【化1】
000016

(一般式(I)において、
は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
は、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基又は水素原子であり、
Xは、存在する場合は、酸素原子又は-CHO-であり、
Yは、存在する場合は、酸素原子又は-CHO-であり、
nは、1~2の整数であり、
mは、1~12の整数であり、
sは、1~12の整数であり、
Lは、陽イオン性基、陰イオン性基又は中性基である。)
【請求項3】
  前記陽イオン性基が、以下の式(1)~(3)のいずれかで表される、
請求項2に記載の水処理用の複合半透膜
【化2】
000017

(式(1)において、
、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、(CHk-1
CH、(CFk-1CF、(CH(CFk-1CFまた
は(CHCHO)CHであり、またkおよびgは、R、R
びRにおいて、同一でも異なっていてもよく、ここで、gは1~8の
整数、kは1~8の整数であり、Xは、Cl、Br、I、F
BF、PF、CFSOおよび(CFSOのいず
れかである。)
【化3】
000018

(式(2)において、
は、炭素数1~6の直鎖又は分岐のアルキル基であり、
は、式(1)において定義した通りである。)
【化4】
000019

(式(3)において、Xは、式(1)において定義した通りである。)
【請求項4】
  前記陰イオン性基が、-Bz-On+(Bzは、ベンゼン環を表
す)、-SOn+、-COOn+、-O-CO=C(CN)
n+、又は-SO-N-SO-CF・Yn+(ここで、Yn+は、
金属イオン又はアンモニウムイオンである)のいずれかで表される、請求
項2に記載の水処理用の複合半透膜
【請求項5】
  前記中性基が、以下の式(4)で表される、請求項2に記載の水処理用
複合半透膜
000020

(式(4)において、tは1~6の整数である。)
【請求項6】
  前記高分子化された液晶が、一般式(I)で表される少なくとも1種
のモノマーに由来する繰り返し単位を有する、請求項1に記載の水処理
用の複合半透膜
【化5】
000021

(一般式(I)において、
は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
は、存在する場合は、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、
は、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基又は水素原子であり、
Xは、存在する場合は、酸素原子又は-CHO-であり、
Yは、存在する場合は、酸素原子又は-CHO-であり、
nは、1~2の整数であり、
mは、1~12の整数であり、
sは、1~12の整数であり、
Lは、陽イオン性基、陰イオン性基又は中性基である。)
                              了

3️⃣特開2012-20266 海水淡水化前処理用分離膜、海水淡水化前処理装
置、海水淡水化装置および海水淡水化方法(有効)住友電気工業株式会社
【要約】逆浸透膜を用いた海水淡水化の前処理に用いられる海水淡水化
前処理用分離膜であって、一定流束で濾過を行い、初期30分の平均膜
間差圧P1と、120分経過以降30分間の平均膜間差圧P2との間で、
P2≦1.5×P1を満足することができる流束の最高値として定義さ
れる標準流束Aが、2m/d以上であると共に、下式で示される糖類除
去率Bまたは粒状カーボン除去率Cが、0.3以上、望ましくは0.5
以上である海水淡水化前処理用分離膜。
      糖類除去率B=(1-濾過水中の糖類量/原水中の糖類量)
      粒状カーボン除去率C=(1-濾過水中のPOC/原水中のPOC)
        但し、POC:懸濁体有機炭素量(全有機炭素)

高い除去率でTEPの除去を行いながらも、高い流束を維持して、圧力
を上げることなく、充分な量の原水をコンスタントにRO膜に供給する
ことができる海水淡水化前処理用分離膜と海水淡水化前処理装置および
海水淡水化方法を提供する。

000002
【符号の説明】  1  結節部  2  細孔  3    細繊維 10  脱塩装置
11    前処理装置
【発明の効果】
  本発明によれば、高い除去率でTEPの除去を行いながらも、高い流
束を維持して、圧力を上げることなく、充分な量の原水をコンスタント
にRO膜に供給することができる
【特許請求の範囲】
【請求項1】
 逆浸透膜を用いた海水淡水化の前処理に用いられる海水淡水化前処理
用分離膜であって、一定流束で濾過を行い、初期30分の平均膜間差圧
P1と、120分経過以降30分間の平均膜間差圧P2との間で、
P2≦1.5×P1を満足することができる流束の最高値として定義さ
れる標準流束Aが、2m/d以上であると共に、
  下式で示される糖類除去率Bが、0.3以上であることを特徴とする
海水淡水化前処理用分離膜。
      糖類除去率B=(1-濾過水中の糖類量/原水中の糖類量))
【請求項2】
  前記糖類除去率Bが0.5以上であることを特徴とする請求項1に記
載の海水淡水化前処理用分離膜。
【請求項3】
  逆浸透膜を用いた海水淡水化の前処理に用いられる海水淡水化前処理
用分離膜であって、
  一定流束で濾過を行い、初期30分の平均膜間差圧P1と、120分
経過以降30分間の平均膜間差圧P2との間で、P2≦1.5×P1を
満足することができる流束の最高値として定義される標準流束Aが、
2m/d以上であると共に、
  下式で示される粒状カーボン除去率Cが、0.3以上であることを特
徴とする海水淡水化前処理用分離膜。
      粒状カーボン除去率C=(1-濾過水中のPOC/原水中のPOC)
        但し、POC:懸濁体有機炭素量(全有機炭素量と溶存有機炭素量
との差)
【請求項4】
  前記粒状カーボン除去率Cが0.5以上であることを特徴とする請求
項3に記載の海水淡水化前処理用分離膜。
【請求項5】
  前記海水淡水化前処理用分離膜が、ポリテトラフルオロエチレン製で
あることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の
海水淡水化前処理用分離膜。
【請求項6】
  前記海水淡水化前処理用分離膜の孔径が、1μm以上であることを特
徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の海水淡水化前
処理用分離膜。
【請求項7】
  前記海水淡水化前処理用分離膜が、親水化加工されてないことを特徴
とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の海水淡水化前処
理用分離膜。
【請求項8】
  請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の海水淡水化前処理用
分離膜が濾過膜として用いられていることを特徴とする海水淡水化前処
理装置。
【請求項9】
  請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の海水淡水化前処理用
分離膜を用いた前処理手段の後に、精密濾過膜または限外濾過膜を用い
た前処理手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の海水
淡水化前処理装置。
【請求項10】
  請求項8または請求項9に記載の海水淡水化前処理装置と、
  逆浸透膜を用いた脱塩処理装置と
を有することを特徴とする海水淡水化装置。
【請求項11】
  請求項8または請求項9に記載の海水淡水化前処理装置を用いて濾過
された原水を、逆浸透膜法を用いて脱塩処理することを特徴とする海水
淡水化方法。

【発明の詳細な説明】
しかしながら、海水中には、プランクトンや微生物が細胞外に分泌する
TEP(transparent  exopolymer  partic
les:
透明細胞外高分子粒子)と呼ばれる粘着性物質が、1~数pp
m程度存在している。
TEPは主成分が糖質で、ポリマー架橋体に水を取り込んで100倍も
の体積に膨れあがる粒径が1~200μm程度のゼリー状粒子であり、
本発明者らは、海水をMF膜やUF膜で濾過した場合、このTEPが膜
表面に粘着して広がり、MF膜やUF膜のファウリング(目詰まり)を
発生させることを見出した。そして、ファウリングが多くなるに伴って、
流束(単位面積、単位時間あたりの濾過量)が急速に低下する。
  このため、MF膜やUF膜による濾過に先立って、1μm以上の平均孔
径を有する濾過膜(LF膜)を用いて、予めTEPの除去を行うこと等
を本発明者らは検討しているが、このLF膜においても、前記したファ
ウリングの発生に伴う流束の低下が早い段階で引き起こされる場合があ
り、充分とは言えない。

【0009】
  即ち、従来の前処理においては、TEPの除去率と流束との間には負
の相関関係があり、除去率を増加させた場合には、より短時間でファウ
リングが発生して、流束の急速な低
下を招く。このため、流束の低下に
合わせて圧力を上げることにより、流束を一定に保って、RO膜にTEP
が除去された原水をコンスタントに供給することが行われている。

  しかし、圧力が上がると膜を薬品などで洗浄する必要がありコストが
嵩み、目詰まりすると洗浄しても回復しなくなり膜交換が必要となって
メンテナンスコストが大きくなる。また、流束が小さくなると多くの膜
面積を必要とし設備コストが大きくなる。そして、圧力を上げるために
はより強力なポンプが必要となり、余分な設備コストが発生する。また、
膜の耐圧性の面からも、圧力を上げることには限度がある。

  そこで、本発明は、高い除去率でTEPの除去を行いながらも、高い流
束を維持して、圧力を大きく上げることなく、充分な量の原水をコンスタ
ントにRO膜に供給することができる海水淡水化前処理用分離膜と海水
淡水化前処理装置および海水淡水化方法を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】
  本発明者らは、従来の前処理用分離膜は、連通孔を有する多孔質体を用
いて、その孔径により径の大きなTEPを捕捉しているが、捕捉と同時
に孔が封止されてファウリングが発生し、流束を低下させていることを
考慮して、TEPを確実に捕捉することができる膜材を求めて、種々の
実験と検討を行った。

  その結果、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、この膜材とし
て好適であることが分かった。即ち、PTFEは、島状に分布する樹脂
の塊により形成された大きな孔と、この樹脂の塊間に微細繊維が入り組
んだフィブリル構造とを有する多孔質体であるため、大きな孔径により
充分な流束を確保することができる一方、孔径がTEPの径よりも大き
い場合であっても、入り組んだ微細繊維によりTEPの捕捉を行うこと
ができる。

【0060】
4.海水淡水化装置
  次に、海水淡水化装置について説明する。図2に示す海水淡水化装置は、
前処理装置11と前処理した海水を脱塩する脱塩装置10とから構成さ
れている。図中の矢印は処理対象である水の流れを表し、前処理装置11
の前段にはポンプが配置されている。以下、中略
【0075】  ロ.除去率
  測定結果を表1に示す。
000003
 表1より、POCは0.23ppmから0ppmに除去されている、
即ち、粒状カーボン除去率1.0で除去されていることが分った。なお、
シリカ、アルミニウム、鉄についても除去されていることが確認された。
  以上より、本発明の海水淡水化前処理用分離膜を用いると、流束を高く
することができ、さらに、除去率も高くできることが分かる。
(2)除去率の測定結果
  下表3に結果を示す。
000005
表3より、糖類除去率は、以下のように計算され、金網に比べてガラク
トースおよびグルコースが良く除去されていることが分かる。
    糖類除去率B  =  (  1  -  濾過水中の糖類量  /  原水中の糖類量  )
海水中の糖類:0.021+0.031=0.052ppm
      親水TT濾過液中:0.012+0.022=0.034ppm
      疎水TT濾過液中:0.006+0.012=0.018ppm
  よって、
    親水TTの糖類除去率B=(1-0.034/0.052)=0.34
    疎水TTの糖類除去率B=(1-0.018/0.052)=0.65
【0089】
  このように、本発明によれば、有機濁質を高効率で除去することがで
き、脱塩装置の目詰まりを長期に防ぐことができ、コストを低減するこ
とができる。また、親水TT方式に比べて疎水TT方式ではその効果が
大きいことが分かる。      
                              了  
🪄尚、 
超音波霧化分離法は、省エネの側面から二流体ノズル噴霧例も
 調査考案する(要最適化実験)。


ト音記号 イラストや に対する画像結果 懐かしき歌曲 『雨に唄えば』1952年
                 作詞:アーサー・フリート
                 作曲:
ナシオ・ハーブ・ブラウン  

                     



 

今日の言葉:
         歌集でも詠つたように、世界は混沌の必然性に帰着にたどってい
         る。偶然かもしれないが、これまでのように洞察通りにならない
   ことを祈るのみ。       
      
     
        春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                                                   春だというのに自然は沈黙している。    
                                                   レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

       

コメント (1)
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