極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

秋の波間に果てにけり

2019年10月31日 | 環境工学システム論



            
                               

8.泰 伯 たいはく
ことば------------------------------------------------------
「人のまさに死せんとするや、その言うこと善し」(5)
「士はもって弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し」(8)
「民はこれによらしむべし。これを知らしむべからず」(10)
「その位に在らざれば、その政を謀らず」(15)
「学は及ばざる がごとくするも、なおこれを失わんことを恐る」(18)
------------------------------------------------------------
  
11.元気がいいのは結構だが、貧乏をきらって悪あがきしだすと、
元気のいい人間ほどハタ迷惑になる。不仁の人間を憎むのは結構だ
が、その一念にこりかたまると、これもまたハタ迷惑になる。
(孔子)

子日、好勇疾貧亂也、人而不仁、疾之已甚亂也。

Confucius said,'A country will be in disorderd if the courage
people hate poverty. A country will be in disorder if people
hate bad people excessively."


 
【ポストエネルギー革命序論81】



【蓄電池事業編:35年に約2兆6700億円
ポストリチウム二次電池の市場拡大30年以降

2018年比:1,115.5倍
富士経済は2019年10月、全固体型リチウム二次電池市場について調
査、35年には2兆6772億円となる予測している。今回の調査は、全
固体電池4品目の他、ポストリチウム二次電池5品目、次世代電池
材料6品目、次世代電池応用製品3品目について行っている。これ
によると、18年の全固体電池市場は24億円。量産されているの
は、海外企業が xEV向けに展開する高分子系全固体電池のみ。日本
企業が注力する硫化物系全固体電池は、20年代前半に xEVへの搭
載が始まるとみている。xEV 以外の用途では、小型の硫化物系全固
体電池が21年ごろからセンサなどの用途でサンプル出荷が始まる
と予測。酸化物系全固体電池は、バルク型や薄膜型、積層型に加え、
微量のイオン液体やポリマーを添加したバルク型疑似固体電池も調
査対象に、バルク型全固体電池は実用化に向けて解決すべき技術課
題もあり、xEVなどでの採用は30年ごろと予想する。 回路基板上
に実装可能な薄膜型は13年ごろから製品化されており、ウェアラ
ブル機器やICカード、医療用途で採用が進むもの見る。


開発中の錯体水素化物系全固体電池は、20年代後半より製品化に
向けた動きが加速する。次世代電池として、既に市場が形成されて
いるのは全固体電池のみ。こうした中、ポストリチウム二次電池と
も、最も実用化が近いともいわれるのはナトリウムイオン二次電池。
これ以外の電池は基礎研究レベル。ポストリチウム二次電池市場が
本格的な拡大は30年以降。今回の調査では、35年におけるポス
トリチウム二次電池の市場規模を268億円と予測している。尚、
今回の調査は19年5~7月に実施。同社専門調査員が対象製品に
参入企業などから聴集、関連文献など参考にしながら予測をまとめ
ている。


最新ポストリチウム二次電池特許技術
①特開2019-189994 リチウムイオン伝導性ナノファイバー、その
造方法
、ナノファイバー集積体、その製造方法、複合膜、高分子
体電解質およびリチウムイオン電池 公立大学法人首都大学東京
【概要】
現在市販されているリチウムイオン二次電池の多くは電解質として
有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられ、何らかの理由
で内部短絡が生じてしまうと大きな発熱が生じて発火する危険性が
ある。そこで、この安全性の課題を解決する方法で、固体中でリチ
ウムイオンを伝導できるリチウムイオン伝導体を固体電解質として
用いる、全固体電池が注目されている。全固体電池は安全性に優れ、
サイクル寿命にも優れている。高分子全固体電池を作成できれば
軽量化や小型化が容易で、薄膜化もできるため、全く新しい用途展
開が期待されるが、高分子電解質を用いた場合、室温で高いリチウ
ムイオン伝導性を実現には至っていない。全固体電池として最適な
電解質膜に種々の検討がなれている。全固体電池に用いられる電解
質膜として、①セラミックス系と②有機高分子系とが提案されてい
るが、有機高分子系のものは、柔軟性や軽量化において有利である。

例えば、特許文献1にはリチウムイオン電池の性能を上げるため、
より高いイオン伝導性を有するリチウムイオン電池用高分子電解質
を提供するべく、芳香族ビニル化合物由来の構造単位、共役ジエン
由来の構造単位、およびイオン伝導性基を有する共重合体を含有す
ることを特徴とするリチウムイオン電池用高分子電解質を提供する
ことが開示され、特許文献2には、高い伝導性を有するリチウムイ
オン電池用固体電解質の提供に、高分子材料のナノファイバーであ
って、該高分子材料は、リチウムイオンを含有し、高分子材料には、
A)脂肪族あるいは芳香族ポリマーの主鎖あるいは/かつ側鎖に、
エチレンオキサイドユニットを含む繰り返し単位を有する、及びエ
チレンオキシドユニットと相互作用するリチウム塩あるいはリチウ
ムイオンを含有する、構成成分を有し、高分子材料には、エチレン
オキサイドユニットを主鎖に有するポリエチレンオキサイド高分子
およびその共重合体、ポリエチレンオキサイドユニットを側鎖グラ
フト構造として有するグラフト高分子、および該ポリエチレンオキ
サイド高分子と形状安定化を志向した異種高分子のブレンド物の群
で選択される高分子材料であるナノファイバーの提供を開示。しか
し、特許文献1の提案にかかる電解質では、十分に高いイオン伝導
度でなく、また特許文献2の提案にかかる電解質膜は、高いイオン
伝導度では実現できているが、用いるナノファイバーが高価であり、
また、より高いイオン伝導度を実現すべき要請もある。本発明の目
的は、高いイオン伝導度を実現できると共に、製造が容易で安価な
原料を用いて製造できる高分子電解質膜、及びその原料となるリチ
ウムイオン伝導性ナノファイバー、その製造方法、ナノファイバー
集積体、その製造方法、複合膜、およびリチウムイオン電池を提供
する。

課題を解決するための手段
電解質膜の原料をナノファイバーとすることにより、物質移動を飛
躍的に向上させることができ、またリチウムイオンのデンドライド
の抑制も可能であることを見出し、更に検討した結果、ナノファイ
バーの電気的安定性、柔軟性、強度、表面官能基などの観点からポ
リビニルアルコールをナノファイバー化して原料繊維として用いる
ことで優れたイオン伝導性を実現すると共に安価で製造も容易な
分子
電解質膜が得られることを知見し、完成するに至る。

① 表面にリチウムイオン伝導に寄与するイオン伝導性基を有する
高分子材料を含んでなることを特徴とするリチウムイオン伝導性ナ
ノファイバー。
② 上記イオン伝導性基は、リチウムイオンあるいはリチウム塩と
相互作用可能な官能基を含有する請求項1記載のイオン伝導性ナノ
ファイバー。
③.上記の相互作用可能な官能基が、水酸基、ニトリル基、エステ
ル基、アミド基、カーボネート基、ウレタン基、尿素基、カルボン
酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルホニルイミド基、アンモ
ニウム基、ピリジニウム基あるいはエチレンオキサイドユニット、
プロピレンオキサイドユニット、エチレンスルフィドユニット、エ
チレンイミンユニットの繰り返しからなる基である、請求項1およ
び2に記載のイオン伝導性ナノファイバー。
④ 上記イオン伝導性基が、末端に親水性基を有する請求項1~3
のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバー。
⑤ 上記高分子材料が、前駆体高分子材料に上記イオン伝導性基を
導入してなり、上記前駆体高分子材料が、ポリビニルアルコールで
ある請求項1~4のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバー。
⑥ 請求項1~5のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバー
製造方法であって、前駆体高分子を用いて微細ファイバーを作成
する微細ファイバー製造工程と、得られた微細ファイバーに、イオ
ン伝導性基を導入するイオン伝導性基導入工程とを具備し、上記イ
オン伝導性基導入工程は、疎水性の官能基を導入する第1官能基導
入工程と第1官能基導入工程により導入された疎水性基にさらに親
水性基を導入する第2官能基導入工程とを具備するか、 又は 疎水
性の化合物と親水性の化合物とを反応させてイオン伝導性化合物を
調製するイオン伝導性化合物調整工程と、イオン伝導性化合物を微
細ファイバーの反応点と反応させてイオン伝導性基を導入する導入
工程とを具備する イオン伝導性ナノファイバーの製造方法
⑦ 請求項1~5のいずれかに記載のイオン伝導性ナノファイバー
の集積体であるナノファイバー集積体。
⑧ 請求項7記載のナノファイバー集積体の製造方法であって、前
駆体高分子を用いて微細ファイバー集積体を作成する微細ファイバ
ー集積体製造工程と、得られた微細ファイバー集積体における各微
細ファイバーに、イオン伝導性基を導入するイオン伝導性基導入工
程とを具備し、上記イオン伝導性基導入工程は、疎水性の官能基を
導入する第1官能基導入工程と第1官能基導入工程により導入され
た疎水性基にさらに親水性基を導入する第2官能基導入工程とを具
備するか、又は疎水性の化合物と親水性の化合物とを反応させてイ
オン伝導性化合物を調製するイオン伝導性化合物調整工程と、イオ
ン伝導性化合物を微細ファイバーの反応点と反応させてイオン伝導
性基を導入する導入工程とを具備する ナノファイバー集積体の製造
方法

⑨ 請求項7記載のナノファイバー集積体と、該ナノファイバー集
積体の内部空隙に設けられたリチウムイオンを含有するイオン含有
化合物とを具備するナノファイバー繊維集積体の複合膜。
⑩ 請求項9に記載の複合膜を具備してなることを特徴とする、リ
チウムイオン伝導性の高分子固体電解質膜。
⑪ 請求項10に記載の高分子固体電解質膜を具備することを特徴
とする、リチウムイオン二次電池。

発明の効果
本発明の高分子電解質膜は、高いイオン伝導度を実現できると共に、
製造が容易で、更にはリチウムイオンのデンドライドの生成を抑制
できるという効果もある。本発明のリチウムイオン伝導性ナノファ
イバー及びナノファイバー集積体は、安価な原料を用いて製造でき
るものであり、本発明の高分子電解質膜の原料として最適なもので
ある。本発明の複合膜は、高いイオン伝導度を実現できると共に、
製造が容易なものである。また、リチウムイオン伝導性ナノファイ
バーの製造方法及びナノファイバー集積体の製造方法によれば、簡
易且つ簡便に目的物であるリチウムイオン伝導性ナノファイバーの
製造方法及びナノファイバー集積体を得ることができる。本発明の
リチウムイオン二次電池は、高いイオン伝導度を実現でき、柔軟性
を有し、種々用途に用いることが可能なものである。

図面の簡単な説明
図1 図1(a)~(j)は、それぞれ、実施例1~6で得られた
ナノファイバー集積体又はその原料の微細ファイバー集積体のSE
M画像を示す図(図面代用写真)である。


図2(a)は、実施例1で得られたナノファイバー集積体とその原
料の微細ファイバー集積体のIRチャートであり、(b)は実施例
2,4,6で得られたナノファイバー集積体のIRチャートである。


図3(a)及び(b)は、それぞれナノファイバー集積体と複合膜
との断面を示すSEM写真(図面代用写真)である。

図4は、実施例13及び比較例1で得られた複合膜を用いた電池の
充放電特性を示すチャートである。

表2


②特開2019-192610 全固体電池 トヨタ自動車株式会社
【要約】
図3のごとく、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極
活物質層、及び負極集電体層を、この順で積層してなる単位全固体
電池
を1以上有する全固体電池積層体;並びに全固体電池積層体の
側面を被覆している樹脂層を有し、正極集電体層及び負極集電体層
のうちの少なくとも一層の少なくとも一方の面が、積層部及び延出
部を有し、積層部が、隣接する他の層との重なる部分であり、延出
部が、当該隣接する他の層よりも延び出た部分であり、かつ延出部
の表面粗さが、積層部の表面粗さよりも大きい、全固体電池全固
体電池
積層体の側面が樹脂層で被覆されている全固体電池おいて、
全固体電池積層体と樹脂層との接着性が向上されて、構造上を安定
化することができる全固体電池を提供する。




【符号の説明】  1、1a、1b、1c、1d    正極集電体層  
 2、2a、2b、2c、2d    正極活物質層   3、3a、3b、
3c、3d    固体電解質層   4、4a、4b、4c、4d    
負極活物質層   5、5a、5b、5c、5d    負極集電体層  
 6a、6b、6c、6d    単位全固体電池   7、9    正極活
物質層   8    正極集電体層   10、20    全固体電池積層体   
11、21    樹脂層   100、200    全固体電池

③特開2019-192609 全固体リチウム電池及びその製造方法 日本碍
子株式会社
【要約】
図1のごとく、隙率が0%以上10%以下のリチウム複合酸化物
結体板である低角配向正極板と、Tiを含み、かつ、0.4V(対
Li/Li)以上でリチウムイオンを挿入脱離可能な負極板と、
組成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電
解質部材とを備える、全固体リチウム電池は、低角配向正極板と組
成式3LiOH・LiSOで表される固体電解質を含む固体電解
質部材とを用いた全固体リチウム電池において、充放電性能を顕著
に改善することができる。



【符号の説明】 
10  全固体リチウム電池   11  一次粒子   12  正極板   
13  正極集電体   14  固体電解質部材   16  負極板   17  
負極集電体   18  容器

④特開2019-192598 硫化物固体電解質の製造方法 トヨタ自動車株
式会社
【要約】
図2のごとく、本開示は、Li元素、P元素およびS元素を含有す
硫化物ガラスを、流動させながら200℃以上、220℃以下の
加熱温度で加熱する流動加熱工程を有し、上記流動加熱工程は、大
気圧下で、上記硫化物ガラスを流動させながら上記加熱温度まで昇
温加熱する昇温加熱処理と、上記昇温加熱処理後に、大気圧未満の
減圧下で、上記硫化物ガラスを流動させながら加熱する減圧加熱処
理と、を有する硫化物固体電解質の製造方法で、硫化物固体電解質
中に存在する単体硫黄を十分に除去することができ、かつ工程に要
する時間を短縮することが可能な硫化物固体電解質の製造方法を提
供する。
図2


⑤特許6597922 複合構造物および複合構造物を備えた半導体製造装
置並びにディスプレイ製造装置 TOTO株式会社
【要約】
基材と、前記基材上に設けられ、表面を有する構造物とを含む複合
構造物であって、構造物が多結晶セラミックスを含んでなり、その
TEM画像解析から算出される輝度Saが所定の値を満たす複合構
造物は、耐パーティクル性が求められる半導体製造装置の内部部材
として好適に用いることができる。基材と、前記基材上に設けられ、
表面を有する構造物とを含む複合構造物であって、構造物が多結晶
セラミックスを含んでなり、そのTEM画像解析から算出される輝
度Saが所定の値を満たす複合構造物は、耐パーティクル性が求め
られる半導体製造装置の内部部材として好適に用いることができる。

⑥特開2019-185973 固体電池 FDK株式会社
特開2019-179665 蓄電素子 株式会社GSユアサ
特開2019-164980 複合体電極及び全固体リチウム電池 セントラ
ル硝子株式会社
【要約】
図1のごとく、電極活物質と固体電解質を含む、焼結体である複合
体電極であって、前記複合体電極が、酸化物系電極活物質を含むシ
ート状の電極活物質層と、酸化物系固体電解質を含むシート状の固
体電解質層が交互に並ぶ交互配列体であり、前記電極活物質層の
幅が、10nm以上20μm以下であり、前記固体電解質層の幅が、
10nm以上20μm以下であり、前記固体電解質層が前記複合体
電極を貫通することを特徴とする、リチウムイオン伝導パスの形成
に寄与していない固体電解質を削減することで、電極に含まれる多
くの電極活物質を充放電に寄与させ、従来に比べてより理論容量に
近い容量を持つ複合体電極を提供する。
特開2019-163446 樹脂組成物、無機微粒子分散スラリー組成物、
無機微粒子分散シート、全固体電池製造方法及び積層セラミクス
コンデンサの製造方法 積水化学工業株式会社
【要約】
メチルメタクリレートに由来するセグメントを20~50重量%、
2-エチルへキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、
イソノニルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、末端
にエトキシ基又はエチルへキシル基を有するポリエチレングリコー
ルメタクリレート、及び、末端にエトキシ又はエチルへキシル基を
有するポリプロピレングリコールメタクリレートから選択される少
なくとも1種に由来するセグメントの合計が10~39重量%、グ
リシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するセグメ
ントを1~10重量%含有する(メタ)アクリル樹脂を含有する樹
脂組成物で、低温で優れた分解性を有するとともに、高い強度の成
形体が得られ、更なる多層化及び薄膜化を実現して、優れた特性を
有する全固体電池や積層セラミクスコンデンサ等のセラミクス積層
体を製造することが可能な樹脂組成物の提供。


 今夜の一品:あさりのトムヤムスープごはん

 
タイ料理のトムヤムスープの味つけを、豆板醤、レモン、ナンプラー
を使って簡単に再現。熱々のスープの中に、冷凍ごはんを入れれば
完成。しいたけ、しめじなど、食物繊維が摂れる食材を入れて一緒
に食べるのもオススメ。ごはんを冷凍するときはフリーザーパック
に平たく入れておくと、使いたい分だけをパキッと折って使えるの
で便利。冷凍庫内の場所もとらない。レジスタンス”とは消化され
にくいこと、“スターチ”とはでんぷんの意味。この“レジスタン
トスターチ”は、熱々のごはんが冷えた時に生まれる成分、糖質の
消化吸収を緩やかにする効果があるとする研究が注目を集めている。
(出展:Panasonic Cooking


 
ころで、息子がいなくなり二人だけになるとご飯炊飯量は激
減する。そこで、昼はご飯だけのファーストランチ----ご飯に卵、
納豆、醤油、お酢に花かつおなどのトッピング、風味が欲しいなら、
ご飯に、バター、チーズを入れ電子レンジで一旦加熱するか、ラー
油胡麻油などを振りかけ----に緑茶でササッと済せているが、納豆
は少しかき混ぜるだけで、納豆臭さが気にならない生卵のホップが
利いたボイルドエッグライスを頂くがこれがまた、ご馳走であるこ
とに感動する。紅茶は軽いアレルギー症状を引き起こすので、緑茶
に、有田焼風の急須に入れ黒漆碗のご飯をセット。




君の恋秋の波間に果てにけり   稲畑廣太郎
The end of your fall in love

サブウエイ特急 矢沢永吉 作曲:矢沢永吉 作詞:松本 隆

地下鉄には淋しい顔の奴らが
肩を並べてすわっている
背中に暮らしを引きずりながら
奴らは寝ぐらに帰るただそれだけ
エリナーリグピィーは
そう教会で死んだそうだぜ
でも俺は畳じやしなねえぞ
カラスの向こうは何も見えない闇だぜ
何かを見つけに行くんだ

ジェームス・ボンドは
そう髪の毛がはげるまでも
長生きなんて様にはならねえぜ
聞こえないぜそんな小声でびくびく
地下鉄みたいに吠えてみろよ
あの嬢が待ってる駅は素通りするのさ
まだしばられるには早すぎるぜ
ジェームス・ディーンはそう立ちふさがる
白いカベにただ一人命を燃やしたよ
ヤミに向って突走るのさ何処までも
ホームのあの娘にHELLO GOOD-BYE ..

ジェームス・ディーンはそう立ちふさがる
白いカベにただ一人命を燃やしたよ
ヤミに向って突走るのさ何処までも
ホームのあの娘にHELLO GOOD-BYE




ひき潮 矢沢永吉 作曲:矢沢永吉 作詞:山川啓介

さらば夏よつらい恋よ
あなただけは幸せに
あなたとたたずむ渚はもう秋
ひと晩がかりの別れは終った
海よわかってくれ
たった一度だけの
いのちも賭けたそんな愛を
ふりむくあなたの
別れの叫びを
空しくかき消す
冷たい潮騒

海よ笑ってくれ
いのち賭けた人を
奪って行けない弱い俺を
こんなさようならに
なるとわかりながら
真夏のめまいに負けた二人
さらば夏よつらい恋よ
あなただけは幸せに 

 理髪をすませ改装前の図書館に本を返却し、城内をショートツ
ーリングし、湖岸を矢沢永吉のアルバムを聴き流し帰ってくる。夏
から秋が本格化する。ユーチューブから2曲チョイスする。


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忘れられた巨人最終章⑤

2019年10月30日 | 環境工学システム論




                     

8.泰 伯 たいはく
ことば------------------------------------------------------
「人のまさに死せんとするや、その言うこと善し」(5)
「士はもって弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し」(8)
「民はこれによらしむべし。これを知らしむべからず」(10)
「その位に在らざれば、その政を謀らず」(15)
「学は及ばざる がごとくするも、なおこれを失わんことを恐る」(18)
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10.人民を心服させることが為政者の要件なのだ。政策まで理解
させる必要はない。(孔子)

子曰、民可使由之、不可使知之。
民はこれによらしむべし。これを知らしむべからず

Confucius said, "You can make people follow you. But it is
difficult to make people understand the reason."

 政策が間違っているのに人民が心服することはない、と考える。
          

   
忘れられた巨人最終章⑤ 第4部 
ガウェインの追憶-そのⅡ
 
第17章
 

「わたしは信用しますよ、アクセル,あの船頭さんは約束を守る」
「どうしてわかる、お姫様」
「わかるの、アクセル。いい人よ。わたしたちを裏切ったりしない。
いまは言われたとおりにして、戻ってくるのを陸で待っていて。す
ぐ迎えにきてくれますよ。あの船頭さんのやり方でいまやらないと、
千載一遇の好機を逃すことになるかもしれない。二人一緒の生活を
約束してもらえたんだもの。そんなこと、一生添い遂げた夫婦でも
めったに認められないのよ。しばらく待つのがいやだからって、そ
んな大きなご褒美をふいにしていいの? 船頭さんと喧嘩しないで。
つぎの船頭さんが獣みたいな人だったらどうするの。だから仲直り
して、アクセル。腹立ちまぎれに気を変えられたら困る。いるの、
アクセル?」
「おまえの目の前だよ、お姫様。わたしたちは、いま、ほんとうに
別れ別れになる話をしているんだろうか」 
「ほんの一瞬だけね、あなた。船頭さんはいま何をしている?」  
「まだあそこにじっと立っている。長い背中とつるつるの頭をこっ
ちに向けて立っているよ、お姫様。ほんとうにあの男を信用できる
と思うかい」
「思いますよ、アクセル」
「あの船頭と話したんだろう? 弾んだかい」 「そう、楽しかっ
た。あなたは違ったの?」
「いや、弾んだと思うよ、お姫様」  

入り江の夕日。背後には静寂。そろそろ後ろを向いてもいいだろう
か。  
「教えておくれ、お姫様」爺さんが言っている。
「おまえは霧が晴れるのを待っているかい」  
「この国に恐怖をもたらすものかもしれないけど、わたしたち二人
には、ちょうど間に合ったって感じね」  
「わたしはな、お姫様、こんなふうに思う。霧にいろいろと奪われ
なかったら、わたしたちの愛はこの年月をかけてこれほど強くなれ
ていただろうか。霧のおかげで傷が癒えたのかもしれないI  
「いまはもうどうでもよくなくって、アクセル? 船頭さんと仲直
りしてね、そして島へ渡してもらいましょう。最初一人なら、つぎ
はもう一人。 なぜ船頭さんと喧嘩するの。ね、アクセル?」  
「わかったよ、お姫様。おまえの言うとおりにしよう」 
「じゃ、いまは下りて、岸に戻って」
「そうするよ、お姫様」  
「ほら、いつまでもぐずぐずしていないの、あなた。船頭さんだっ
て、いつかは痺れを切らしますよ」  
「わかったよ、お姫様。だが、もう.度だけ抱きしめさせておくれ」

「なんだ、いま抱き合っているのか。さっきおれが赤ん坊みたいに
包んで置いてきたのに。爺さんのほうは膝を突いて、硬い舟底で奇
妙に体をくねらせねばならんだろうに。そうしているんだろうな、
この静けさのつづいている間は。いまは振り向くまい。おれの手に
は擢。おや、揺れる波に擢の影が落ちているのではないか。あとど
れほどだ。おっと、ようやく声が、戻ったか。  
「島でもっと話そう、お姫様」爺さんが言っている。  
「そうしましょう、アクセル。霧が晴れたら、いくらでも話すこと
がありますよ。船頭さんはまだ水の中?」  
「ああ、そうだ、お姫様。では、わたしは仲直りに行こう」  
「じゃ、さようなら、アクセル」
「さようなら、わが最愛のお姫様」  

爺さんが水の中を歩いてくる音がする。
おれに言葉をかけるつもりかな。仲直りすると言うっていたよな。
おや、こっちがせっかく振り向いたのに、向こうは見てこないぞ。
陸地と、入り江に低くかかる太陽なんか見ている。ま、おれもとく
に目を合わせたいわけじゃない。爺さんはおれの横を通り過ぎ、な
のに振り返らない。じゃ、陸で待っていてくれたまえ、友よ。おれ
はぽつりと言う。だが、爺さんは聞いておらず、先へ進んでいった。  



 以上、ここで物語は終わる。アクセルも島へ行ったとは言って
いない。それではどこに行ったのか。陶友公(2018.03.10)の「
《忘れ去られた巨人》に隠された希望」によると、イシグロはこの
小説のことを「ラブストーリーだ」と述べたとし、「ラブストーリ
ーだ」とすれば、結末 は悲しいものだが、あの「ラブストーリー」
を題とするクラシックなアメリカ映画のような「死別」はけっして
偉大な愛情に遜色を与えるものではないと評している。❏

物語の設定:当時のイングランドにはクエリグ(Querig) という
雌龍がいて、その吐息で形成される霧によって、人々が健忘になっ
ている。実は一昔、ブリトン人 の名君アーサー王が、魔法師マー
リン(Merlin)の計略を 取り入れて危険極まりない雌龍を穴に陥
れて魔法をかけ、その吐息を利用して直前にあったサクソン人への
殺廖を人々の記憶から覆い隠す。その御陰で国に住むブリトン人も
サクソン人も共生していたが、クエリグの霧は人々を一様に健忘に
させているで、その影響がいろいろな形で表れる----老夫婦は息子
の住む村へ行くと言っているが、実はその村がどこにあるのか不明
のままであったものの、この小説の中で、イシグロの思いとは異な
る----少なくともガウェインとマーリンの二人の登場人物はアーサ
ー伝説の中の人物に忠実に描かれているが、この雌龍のほかに、鬼
や死後の地を象徴する神秘な島など、「ファンタシック」な要素が
組み入れた「ファンタジー小説」だと評価される。老夫婦は、小説
の終わりで別れ別れになった。ベアトリスはクエリグが殺されてか
ら、夫とのいざこざ(不実)で我が子をなくしことを想起し→夫が
自分の最愛なる子供への墓参りを長い間禁じたことも想起→今まで
持ちつ持たれつここまでに来た二人の将来を考えるより→まずは最
愛の子のいる世界へ行ってみることを優先→その一方で、過去の自
分を思い出し去っていく妻の最後の旅路を同伴しながら→世の中の
将来の不安----クエリグが殺されたことで血なまぐさい過去史が呼
び起され、動乱に乗じてサクソン人が侵攻、ブリトンの村々が血の
海に---なると予感する。

「教えておくれ、お姫様」爺さんが言っている。「おまえは霧が
晴れたのを喜んでいるかい」「この国には恐怖をもたらすものかも
しれないけど、私たち二人には、ちょうど間に合ったって感じね」
「わたしはな、お姫様、こんなふうに思う。霧にいろいろと奪われ
なかったら、わたしたちの愛は年月を かけてこれほど強くなれて
いただろうか。霧のおかげ で傷が癒えたのかもしれない」とアク
セルがたずねると、「いまはもうどうでもよくなくって…」とペア
トリスは、終わりになったことはどうでもよいことだと答える。も
う一つ、ペアトリスは記憶が戻り、二人が知り合う以前の、アクセ
ルはいかに大きな夢を抱いて活躍をし、いかに深く傷づいて自分の
ところに接近し、あの悲惨な戦争と共にその前に短い平和があった
ことを査証する「法」と「協定」が一方的に破壊され、報復の到来
を予告するアクセルがこの世に踏みとどまらんとする「意志」を「
希望」を暗示させ物語が結ばれたことを、陶友公と供に共感。


このようにBG(The Buried Giant)一作品からでなくNLMG(Never Let
Me Go)の共通するイシグロの愛情の存在確認を巡る特異なプロセ
スに直目する池園宏の「The Buried Giantにおけるイシグロの文学」
----イシグロの作品群を顧みれば,初期の頃から提示の仕方を変え
つつ変奏曲のように繰り返されてきた事実に思い至る。たとえば,
A Pale View of Hills(1982)やWhen We Were Orphans(2000)で
は親子の関係,An Artist of the Floating World(1986)では親
子関係に加えて芸術家の師弟関係,またThe Remains of the Day
では執事と主人の主従関係ならびに男女の異性関係, というように
広い意味での愛情のあり方が様々に形を変えて問いかけられていた。
しかし,21世紀に書かれた二作品NLMG とBG においてひときわ目を
引くのは,愛情の所在を問う確認行為,あるいは「愛情のテスト」
(test of love)がプロット上の重要な要素として組み込まれ,か
つ,そのプロセスが一風変わった,かつ極めてストレートな形で訴
えかけられるという共通点----によれば、BG では,息子探しの旅
に出かけた主人公のアクセル(Axl)とベアトリス(Beatrice)老
夫妻が,互いの愛情の絆をやはり第三者の前で問われており、夫妻
が旅の途上で出会った船頭は,自分が船渡しする目的地の島へ夫婦
ともども赴くには,二人の最も大切な記憶を別々に話してもらい,
それによって“an unusually strong bond of love between them”,
“a bond of love unusually strong”が証明される必要があると
告げる。奇抜で風変りな愛情の立証方法であるが,これらのエピソ
ードは両作品に共通してプロット上の核となる不可欠な要素だと指
摘する。二人がそれぞれ船頭と話をし,自分たちの意に反して,ベ
アトリスがアクセルを残して先に船に乗ることになった場面での最
後の対話は“Farewell then, Axl.”“Farewell, my one true love
というもので、何気ない簡潔なやりとりは,二人の行く末について
必ずしも明示的でなく,オープンエンディングの様相を呈すとする。

“Are you still there, Axl?” “Still here, princess.”
“Axl, are you still there?” “Of course I’m still here.”

でさらに特筆すべき点は,こうした愛情と記憶の乖離の問題が,以
上のような対幻想レベルのみならず,社会,国家,民族のレベルへ
と拡大され,両者がパラレルに提示されているという事実に注目し、
池園は、以前までの作品とは異なるこの新たな試みについて,イシ
グロは以下の----I’ve written all these books about individ-
uals struggling with their personal memories....and not know-
ing when to hide from their past and when to confront their
past for some sort of resolution. But what I really wanted
to do was to write about that kind of struggle at the societal
level. Most countries, when you look at them, have got big
things they’ve buried.----最後の表現は小説のタイトルとオーバ
ーラップするものであり、過去のイシグロ作品においても,私的な
個人に相対するものとしての公的な国家の歴史は扱われてきたが、
公の歴史そのものは動かさざる明確な事実であるという確固とした
前提があったが、それがなく、公の歴史や社会の「集的記憶」(
collective memory) そのものが疑問視され,覆される。これも記
憶の消失を前提とした世界観を持つ本作品だからこそ可能となった
プロット設定だと指摘し----『忘れられた巨人』は,「社会におけ
る記憶」を扱った作品です。人間はいかにして憎しみを作り上げる
のかについて
書きました。この社会では時として,過去をあえて掘
り起こして,今では存在しないはずの憎しみを過去の記憶から新た
に作ったり,世代から世代へと伝えていくことがあります。歴史を
コントロールすることによって,憎しみが再創出されること
がある
のかという
問題を描きました(「平成の原節子,世界的作家に会い
に行く:綾瀬はるか×カズオ・イシグロ」『文藝春秋』2(2016)
:220.))----を引用し、BGは,太古を舞台としたファンタジー小
説という表向きのイメージとは裏腹に、実は希望のない悲観的なデ
ィストピア小説であるという結論が導き出せるかもしれない。と、
問題提起しつつ、愛情の特異な提示手法を皮切りに,消失する記憶
という新たに試みられた主題の意味,それらが個人のみならず民族
や国家といった従来の作品以上に大きく動的なスケールで提示され
ている事実,そして公私両方に通底する生死や存亡の可能性に対す
る作者の姿勢について考察を行ってきた。

その中で,イシグロが長年にわたる構想期間を経て生み出したこの
小説が,過去の作品群,とりわけイシグロ自身が共通点の存在を認
めるNLMGと深い結びつきを持っている点,加えて,この作品には、
単なる関連性や継承性のみならず,記憶の扱い方や歴史認識のあり
方等を巡って新たな発展的要素が随所に盛り込まれている点を確認
した。本作品は出版直後よりファンタジー的要素を巡る議論が書評
等でさかんになされてきたが,イシグロもいろいろな場所で発言し
ているように,それ自体は第一義的な問題とは言えない。むしろ、
そのジャンル的枠組みをまとった本作品が,本質的にはいかなる思
想的,手法的側面を追究しているのか,結果としてイシグロ文学の
中でどのように位置づけられるのかを検証することにこそ意義があ
るだろうと結んでいる。このように、文学的価値の評価を確認する
とともに、歴史修正(歴史的反動)のバイアス(=神話)の取り扱
いに思いをいたす好機となったことに感謝する。

                         この項了

 
【ポストエネルギー革命序論80】




サリドマイド 発育に必要なたんぱく質分解で薬害か
安全なサリドマイド系新薬の開発へ


【要点】
①サリドマイドは胎児に催奇形性を示す薬剤ですが、サリドマイド
はp63というタンパク質の分解を誘導することで手足や耳の発生を
阻害していることがゼブラフィッシュのモデル実験系により明らか
となる。
②サリドマイドは本研究グループが以前に同定したサリドマイド標
的タンパク質、セレブロンに結合し、セレブロンの働きを乗っ取るこ
とで、p63の分解を誘導する。
③本成果により、サリドマイド催奇形性の詳細なメカニズムが判明
した。本研究の知見を活かして、サリドマイドの副作用を軽減した
新薬が開発されることが期待される。



10月30日、妊婦が服用して世界的に薬害を起こした「サリドマ
イド」は、手足などの初期の発育に欠かせないたんぱく質を分解す
ることで、障害を引き起こす可能性が高いことを東京医科大学など
の研究グループが動物を使った研究で明らかにした。「サリドマイ
ド」は、1960年代までに妊婦の「つわり」を和らげるために処方さ
れ、生まれた赤ちゃんの手足や耳などに深刻な障害が起きる薬害が
世界的な問題となったが、薬害を引き起こすメカニズムは正確には
分かっておらず、現在は再び一部のがんやハンセン病の治療薬とし
て使われている。
東京医科大学の半田宏特任教授などのグループは、
サリドマイドをゼブラフィッシュと呼ばれる魚の卵に投与して解析
したところ、細胞の中の不要なたんぱく質の分解に関係する酵素に
結合した結果、「p63」と呼ばれるひれの発育に欠かせないたんぱ
く質を分解し、成長が十分に進まないことが分かった。
「p63」は
人では手足や耳の発育に必要なたんぱく質であることが分かってい
て、グループではこのたんぱく質が分解されることで、薬害が引き
起こされた可能性が高いとしている。
半田特任教授は、現在は一部
のがんなどに投与されるようになっていて、メカニズムが分かるこ
とでより安全な使い方ができるようになると話している。


「緑のダム」はムダ?
最新科学から考える森林の治水機能

大雨による災害が立て続けに起こる日本列島。とくに今秋は、台風
19号から洪水続きで各地に大被害をもたらしているが、水源地、と
くに山はどうなっているだろうか。森林に覆われていたら「緑のダ
ム」効果で水があふれるのを留めてくれる。そう期待する向きもあ
るに違いない。あるいは、(コンクリートの)ダムや堤防がなけれ
ば今回のような水害は防げないという主張もあるだろう。国交省の
HP
では、「森林は、中小洪水に一定の効果を有するものの、治水
計画の対象となるような大雨の際には、森林域からも降雨はほとん
ど流出することが観測結果からも伺えます」とある。大雨が降ると、
土壌内の間隙に水が飽和してしまい、雨水は地表面流として流れる
から治水機能は限界に達するという。だから緑のダムに、それほど
期待しない方がよい、コンクリートのダムも築かなくてはならない
と暗に匂わせている?。しかし、水文学が専門の人間環境大学の谷
誠特認教授は「俗説」とする。そもそも森林の持つ治水機能とは、
単に森林地域が水を溜めて河川の流量を減らすことではない。山に
降った雨が河川に流れ出すまでに時間差をつけて、ピーク流量を減
すると水位が急激に上がることを抑制できる。



土壌は大雨になると含水率を増やす
付け加えれば、森林、つまり草木が生えていると光合成で常日頃か
ら土壌水分を吸収して蒸散させるから、全体に土壌を乾燥させる効
果がある。これは降雨時の水を貯留できる間隙を増やしていること
になるだろう。この理論に沿えば、森林(の土壌)には洪水の規模
を抑える効果があると言えるのではないか。コンクリートのダムだ
と降雨が強くても貯水量が拡大することもなく、あっと言う間に限
界に達してしまう。たとえば台風19号の際に空っぽの八ッ場ダムが
一夜にして満水になったと話題に上がったが、あの程度の貯水量で
は、河川の水位を数センチ引き下げる程度の効果しか望めない。
もちろん、地表が水没するほどの降雨量なら、土壌層の間隙すべて
に水が入ることもあるかもしれない。そうなると治水効果もなくな
るが、そんな状態では土壌が地下水の浮力によって安定を失ってし
まうから、崩壊し流れてしまう。「緑のダム」そのものがなくなる。
その意味では限界はある。ただ平地や部分的な斜面はともかく、山
全体が水没することは考えにくい。やはり洪水など水害を防ぐには、
「緑のダム」を充実させることが重要だと思わせる。そこで林野庁
などは「森林整備」を進めて森林の治水機能を高めようと呼びかけ
るわけだが……これまた「俗説」 となる。
森林整備と言えば、植
林や下草刈り、間伐などを林業的な作業を指すことが多い。しかし
それが「緑のダム」を強める効果につながるだろうか。

森林整備の名の元に、林内に道を伸ばし車両などを入れると、森林
土壌がえぐれて斜面が傷つくことも増える。昨今、進めている主伐
(という名の皆伐)は森をなくしてしまうのだから、雨が降れば土
壌を流し去ってしまいかねない。むしろ逆効果だ。間伐で地表を明
るくし草を生やす効果もあるが、それは治水機能とは別の役割だろ
う。ときには落葉樹を植えたら落葉が土壌をつくる……という意見
もある。だが腐葉土では地表水に流されるし、落葉が分解して土壌
になるのは 100年で数ミリの単位だ。目先の森林整備で土壌がすぐ
に分厚くなることは望めない。何より土壌とは、長い時間の間に基
盤の岩が地球的な活動(造山運動や地震、地熱、水の浸透……)に
よって風化してつくられるものであり、人為的に操作できるもので
はない。当然、土壌の間隙のサイズを変えたり量を増やしたりする
ことなどできない。

結論としては、「緑のダム」を軽んじてはいけないが、同時に万能
でもないし、また人が手を加えて機能を強化することなど無理だと
いうことになる。ただし「緑のダム」を壊すのは、ある意味たやす
い。人は、長い年月をかけて築き上げてきた森林と土壌の相互作用
をなるべく壊さないようにするべきだろう(「緑のダム」はムダ? 
それとも……最新科学から考える森林の治水機能(田中淳夫)2019.
10.30)。

 と、すると限界推量は想定でき、ハザードマップが作製できる
が、決壊・越水は一応想定できるわけだが、齟齬が起きないように
水流制御システムを構築しなければならないのだからその作業量は
膨大になろうし、それの対応整備工事は膨大な資金を必要とする。
これが、地球温暖化下の日本の防災プラス罹災を想定した国土強靱
化計画の骨格である。その根底思想は「人命は地球より重し」(故
福田赳夫首相)と腹に据えたら自ずと道は拓ける。細かいことなの
だが、いま、「水量と地表含水率の深さ方法ののリアルタイムな
3次元マッピングシステム」の開発は急げないのだろうかとわたし
は考えている。


コメント
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鯰料理に乾杯

2019年10月29日 | 新自給自足時代



                           
                
8.泰 伯 たいはく
ことば------------------------------------------------------
「人のまさに死せんとするや、その言うこと善し」(5)
「士はもって弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し」(8)
「民はこれによらしむべし。これを知らしむべからず」(10)
「その位に在らざれば、その政を謀らず」(15) 「学は及ばざる
がごとくするも、なおこれを失わんことを恐る」(18)
------------------------------------------------------------
  
9.詩を読んで人間的感情をよびさまし、礼にのっとって人格内容
を充実し、音楽を学ぶことによってハーモニーを完成させる、これ
が教養の過程である。(孔子)

子曰、興於詩、立於禮、成於樂。

Confucius said, "You must be inspired by poem, realize your
duty by the courtesy and complete yourself by music."

   
忘れられた巨人最終章へ④
第4部 ガウェインの追憶-そのⅡ  
第17章
火も安定して燃えだしたところで、おれは立ち上がる。
「さて、ご覧ください」と海を指差しながら言う。
「舟はあそこの浅瀬で揺れています。ですが、わたしは擢を近くの
洞窟に隠してあります。潮溜りができて、小さな魚が泳いでいると
ころです。これからそれをとりに行きますから、あなた方は、わた
しという邪魔者がいない間にゆっくり話し合ってください。島へ行
きたいのかどうか、はっきりと結論を出してください。では、しば
ら く欠礼します」  

だが、婆さんはそう簡単に放してくれはしない。

「行くまえにもう一言だけ、船頭さん」と言う。
「ここへ戻って、わたしたちの島行きを認めてくださるまえに、あ
なたはわたしたち一人一人に質問をなさるのですか。島で二人一緒
に暮らせる夫婦を見つけるため、船頭さんはそうするものだと聞き
ました」  

顔に夕方の光を受けて、夫婦しておれを見つめている。爺さんの顔
はじつに疑り深い。おれは爺さんを無撹して、婆さんと撹線を合わ
せる。  

「奥さん、思い出させてくれてありがとうございます」とおれは言
う。
「そうする習慣であるのに、急ぐあまり忘れるところでした。おっ
しゃるとおりです。ですが、お一人の場合は形式的なものにすぎな
いでしょう。申し上げたとおり、あなた方はとても強い愛情で結ば
れておいでです。さて、今度こそ失礼します。わたしも時間に追わ
れています。戻るまでには決めておいてください」

おれは二人を残して、夕方の海辺を歩いた。しだいに波の音が大きく
なり、足の下の小石が砂に変わっていく。何度かニ人を振り返った。
見るたびに少しずつ小さくはなっていくが、毎回同じ光景が見えた。
灰色の老人がしゃがみ、女とまじめに話し白っている。女のほうは
ほとんど見えない。寄りかかっている岩にほぼ全身が隠れていて、
見えるのは□をきくたびに上下する手だけだ。愛情で結ばれた夫婦
……だが、おれには義務がある。おれは洞窟とそこに隠してある擢
に向かって歩いた。擢を肩に二人のところに戻った。何も間かなく
ても、その目の申に結論が見えた。

「船頭さん、わたしたちを島に連れていってください」と爺さんが
ご言う。 
「では、海まで急ぎましょう。わたしもずいぶん遅れてしまいまし
たから」おれはそう言って、波に向かって急ぐかのように動きかけ
るが、振り返って言う。
「ああ、そうだった。あのばかばかしい儀式がありましたね。では、
おニ人さん、こうしましょう。ご二人、立って、ここから少し離れ
てください。あなたが十分遠くへ離れたと見たら、わたしが奥さん
とちょっと話をします。奥さんはそのままで結構です。そのあと、
今度はわたしがご二人のところまで行きます。浜辺のどこでもいい
ですから、そこでお待ちください。すぐ終わります。そのあとで奥
さんを迎えにきて、みなで舟まで行きましょう」  

爺さんがおれをじっと見ている。爺さんの一部は、おれを信用した
くてたまらないはずだ。

「では、船頭さん、浜辺をぶらついています」とおれに言い、婆さ
んには「離れるのは一瞬だからな、お姫様」と言う。  
「心配いりませんよ、アクセル」と婆さんが言う。
「ずいぶん元気になったし、この親切な方が守ってくださるから安
心」  

爺さんが遠ざかっていく。ゆっくりと入り江の東、絶壁の大きな影
に向かっている。爺さんに追い散らされるように鳥が飛びべつが、
すぐに戻って、また海草や岩をつつきはじめる。爺さんは少し足を
引きずり、背中を曲げている。何かの敗者といった感じだが、体の
内にはまだ小さな火が燃えている」  

婆さんはおれの前にすわり、柔らかな笑顔を向けてくる。さて、何
尋ねよう。  

「わたしの質問を怖がらなくていいですよ、奥さん]と伝える。こ
こに壁でもあれば、と思う。あれば、顔をそちらに向けながら話せ
るのに……。だが、いまあるのは夕方のそよ風と、顔に当たる低い
太陽だけだ。おれは爺さんがやっていたように、婆さんの前にしゃ
がみ、衣を膝まで引き下げる。.  

「怖がったりしませんよ、船頭さん」と婆さんが静かに言う。
「心の内であの人をどう思っているかわかっていますから。なんで
もどうぞ。正直に答えます。証明されるのは一つのことしかありま
せん」

おれは手始めにいつものやつを一つ二つ尋ねる。これだけ数をこな
していれば、もう手慣れたものだ。そしてときどき、相手にしゃべ
る気を出させ、こちらがちゃんと聞いていることをわからせるため
の質問を混ぜる、さらに一つ,だが、もう必要はなさそうだ。婆さ
んは屈託なくしゃべる。ときに目を閉じ、常に明瞭で安定した声で
しゃべりつづける。おれの視線は入り江のあたりをさまよい、小さ
な岩の間を心配げに歩いている疲れた老人を探しているが、耳は注
意深く聞いている。それが義務だ。そして、ほかでまだおれを待っ
ている仕事のことを思い、婆さんの思い出話を打ち切る。
「ありがとうございました、奥さん」と言う。
「では、つぎにご主人のところへ行ってきます」  

そろそろおれを信用しはじめているだろう。そうでなければ、女房
からこんなに離れたところまで来るだろうか。爺さんはおれの足音
を聞いて、夢から覚めたような顔で振り向く。夕方の光を浴びた顔
には、もう疑り深さはなく、代わりに深い悲しみがある。目には小
さな涙もある。  

「どうでしたか、船頭さん」と尋ねてくる。  
「奥さんのお話は楽しかったですよ」と爺さんの柔らかな声に合わ
せて答える。そろそろ風が荒れはじめている。
「では、手短にすませて、さっさと出発しましょう」  
「では、どうぞ、船頭さん」
「何かを探り出そうという質問ではないんです、ご主人,いまうか
がった奥さんの思い出話の一つに、二人で市場から卵を持ち帰った
ときのことがありました。体の前にこう而を抱いて、その中に入れ
て運んだそうですが、乱暴な歩き方に中の卵が傷つきはしないかと
心配したご主人が、ずっと家まで躾に張りついていたそうですね。
楽しそうに話していましたよ]  
「わたしも覚えていますよ、船頭さん」

爺さんはそう旨って笑顔にな た。

「あれはまえに転んで一つ二つ割ったことがあって、また割りはし
ないかと気をもんだだけです。ちょっとした散歩のようで、二人と
も満足でした」  
「奥さんもそう言っていました」とおれは言う。
「時間の無駄ですからこれで切り上げましょう。もともとただの形
式でしたから。では、奥さんを迎えにいって、晦にお連れしましょ
う」  

おれは先に立ち、婆さんのいる小屋に向かったが、なぜか爺さんの
足取りがひどく鈍い。当然、こちらも合わせせざるをえない。

「波が心配ですか、ご主人」とおれは言う。海が荒れるのを心配し
ているのかと思った。
「河口はしっかりと保護されていますから、ここと島の間は 安全で
す」  
「あなたの判断を信用しています、船頭さん」  
「ところで、ご主人、じつは……一とおれは言う。どうせのろのろ
行くなら、少し話をしてもよかろう。
「さっきお尋ねしようかと思った質問があるのですが、いまこうし
て一緒に歩いているので、ついでにうかがってもいいでしょうか」  
「もちろんです、船頭さん」  
「お尋ねしたかったのはこれです。長年一緒に暮らしていて、特別
にこれが苦痛だったということがありますか。それだけの質問です」
「これは例のことの判断材料としての質問ですか、船頭さん」
「いえ、違います」とおれは言う。
「あれはもう終わりました。同じことを奥さんにもお尋ねしました。
単にわたしの好奇心を満足させるための質問です,いやだったら答
えなくてもかまいません。ほら、ご覧なさい」と、ちょうど通り過
ぎた岩を指差した。

「あれはただの藤壷ではありません。時間があれば、岩からの剥が
し方をお見せするんですが。夕食として重宝しますよ。わたしはよ
く火であぶります」
「船頭さん」と爺さんが重々しく言う。その足取りがいっそう重く
なる。
「お望みなら、その質問に答えましょう。妻がどう答えたかはよく
わかりません。というのも、わたしたちのような夫婦間では多くが
沈黙のうちに保たれているものです。それに、いままでは雌竜の息
で空気が汚染され、楽しい記憶も悲しい記憶も全部奪われていまし
たからね。ですが、その雌竜が退治され、わたしの心の中ではすで
に多くのことが明瞭になってきています。船頭さんは、特別に苦痛
をもたらす記憶は何か、とお尋ねです。息子のこと以外にあります
まい。最後に見だのはほぼ成長した姿ですが、まだ顔に髭もないう
ちにいなくなりました。何かいさかいがあって、そのあと近くの村
へ行って………何日かすれば.戻ると思っていましたが」
「奥さんも同じことを言っていました」とおれは言う。
息子さんがいなくなったのは自分の責任だ、と」  

「妻が、最初の部分を自身の責任だと言うなら、つぎの部分につい
ては、わたしが多くの責任を負わねばなりますまい。確かに、ほん
の一瞬、妻はわたしに不実でした。ですが、そもそもわたしのした
何かが、妻を別の男の腕の中に追いやったのかもしれません。それ
とも、言うべきなのに言わなかった何かとか、すべきなのにしなか
った何かとか。いまとなっては遠い昔、飛び去って空の染みになっ
た鳥のようなものです。ですが、息子は一人の間のとげとげしさを
見てしまいました。取り繕いの言葉に騙されるほど幼くなく、心の
複雑な綾を知るには若すぎ、もう戻らないと言って去りました。そ
の後、妻とわたしは心から和解しましたが、その場に息子はいませ
んでした

「その部分は奥さんからも聞きました。すぐあとに国中に疫病が広
まって、息子さんもそれで倒れたという知らせが来たとか。じつは
わたしの両親も同じ疫病で死んでいますから、よく覚えていますよ
で、なぜそのことで自分を責めるのですか,神が遣わしたか悪魔が
よこした疫病、その責任があなたにあるというのは?」  
「わたしは息子の墓に行くことを妻に禁じたんです、船頭さん。残
酷なことでした。息子の眠る場所に妻は一緒に行きたがった。わた
しははねつけた。それからずいぶん年月が過ぎて、その場所を見つ
けに行こうと思い立ったのがほんの数日前です。もちろん、何をど
こに探すのかという知識すら、雌竜の霧によって奪われていたわけ
ですが」  
「なるほど、そういうことですか」とおれは言う。「奥さんの墓参
をあなたがiめた。奥さんはその部分を言いたくなかったみたいで
すね」  
「残酷なことをしました。わたしを一、ニカ月寝取られ男にしたぐ
らいの小さな不実など、問題にもならないほど大きな裏切りです」  
「息子さんの墓参りを奥さんだけでなくご自身にも禁じるとは、そ
れで何をしたかったのですか」  

「したかった?したかったことなどありません、船頭さん。ただ愚
かだっただけです。それと自尊心。そして人間の心の奥底に潜む何
か。もしかしたら罰したいという欲望だったかもしれません。わた
しは許しを説き、実践していました。しかし、復讐を望む小さな部
屋を心の中につくっていて、そこに、長年、鍵をかけてきました。
つまらないことで妻にひどいこ とをしました、息子にもです」  
「打ち明けてくださって感謝します、ご主人」とおれは言う。

「それに、よかったかもしれませんよ。いまの会話はわたしの義務
とは無関係で、わたしたちはいま二人の友人として時間つぶしをし
ていただけです。ですが白状しますと、まだすべてをお聞きしてい
ないのではないかという、ちょっとした不安があったのも事実です。
これでなんの不安もなく舟を漕ぐことができます。教えてください、
ご主人。何年も抱きつづけてきた決心を反故にし、この旅に出よう
と思わせたのは何だったのですか。きっかけがありましたか。それ
とも眼前の潮や空と同じく、いわくいいがたい心の変化ですか」  

「自分でもよく考えます、船頭さん。いま思うのは、何か一つのき
っかけで変わったのではなくて、ニ人で分かち合ってきた年月の債
み重ねが徐々に変えていった、ということです。結局、それがすべ
てかもしれません。ゆっくりしか治らないが、それでも結局は治る
傷のようなものでしょうか。ごく最近のある朝のことです。夜明け
が春の最初の兆候を運んできました。部屋には朝日が射していまし
たが、妻はまだ眼っていて、わたしはその寝顔を見ていました。そ
のときです。わたしの中の最後の闇がついに去ったと感じたのは。
それでこの旅に出る決心がつきました。そしていま、わたしたちよ
り先に息子がこの島に渡ったことを、妻が思い出しました。ならば、
息子の墓はきっとこの森か、穏やかな海岸にあるに違いありません。
船頭さん、わたしは正直にお話ししました。わたしたちについての
あなたの判断が、そのために変わったりしないことを願っています,
わたしの話を聞いて、わたしたちの愛情には傷があるとか、壊れて
いるとか考える方もいるでしょう。しかし、老夫婦の相互への愛が
緩やかに進むこと、黒い影も愛情全体の一部であることを、神はお
わかりくださるでしょう」  

「心配いりません、ご主人。いまおっしやったことは、あなたと奥
さんがくたびれた馬に乗って雨の中を来たとき、わたしがお二人に
最初に見たもののこだまにすぎません。さ、おしやべりはここまで
です。嵐がまたいつくるかわかりません。奥さんのところに急ぎ、
舟にお連れしましょう」

婆さんは岩に寄りかかり、煙を上げながら燃える火の躾で満足そう
に眠っている、  
「今度はわたしが妻を運びます、船頭さん」と爺さんが言う。
「なんだか力が戻った感じがします」  

そんなことをさせてよいだろうか。おれの仕事が楽になるわけでも
ないのに。

「小石の上を歩くのは大変です」とおれは言う。
「運ぶ途中、つまずいて転んだらどうなるか考えてください。わた
しなら慣れています。舟まで人を運ぶのはこれが初めてではありま
せんから,ご主人は横を歩いて、奥さんに話しかけながら来てくだ
さい。奥さんが卵を運び、ご主人が心配そうに横に張りつくという、
あの感じでいきましょう」

爺さんの顔に恐れの色が戻るが、静かに「わかりました」と言う。
「では、そうしましょう、船頭さん」  

爺さんはおれの横を歩きながら、婆さんを元気づけようとしている。
おれの足が速すぎるのか、爺さんが遅れはじめる,婆さんを抱いた
まま海に入ろうとするおれを、爺さんが後ろから手を仲ばし、必死
に引き止めようとする。だが、いまはぐずぐずできる場合ではない。
この冷たい海面下に隠れた埠頭を、おれはこの足先だけで探らねば
ならんのだから。おれは石に乗る。打ち寄せる波がまた浅くなる。
おれは舟に乗り込む。婆さんを腕に抱いていても、舟はほとんど傾
きもしない。舟尾近くにあって雨で濡れている敷物のうち、ぐしょ
ぬれの最初の数枚を蹴り飛ばし、婆さんをゆっくり下ろす。上半身
を起こしてやって、頭が舷側のすぐ下に来るようにすわらせる。海
風から婆さんの体を守れるよう、箱に乾いた毛布を探す。婆さんに
毛布を巻きつけていると、爺さんが舟に乗り込んできた。その反動
で舟底が揺れる。

「ご主人」とおれは言う。
「海面の動きが不穏になっているのがわかるでしょう。これは小さ
な舟です。一度に一人も客を乗せるようなことはしたくありません」

爺さんの中で火が大きくなる。目で炎が燃えている。

「船頭さん、妻と私が一緒に島に渡ることは了解ずみのことと思っ
ていました」と言う。
「あなた自身が何度もそう言ったし、そもそもあの質問はそれを確
定させるためのものではなかったのですか」  
「誤解しないでください、ご主人」とおれは言う。
「わたしは、いま、舟で水を渡るという現実問題のことだけを言っ
ています。あなた方おニ人が島で一緒に暮らすことには、なんの問
題もありません。いままでどおり、腕を組んで歩けるでしょう。息
子さんのお墓がどこかの木陰に見つかったら、野の花を摘んで供え
てやることもいいでしょう。島にはいろいろな花が咲いています。
ベルヘザーがあります。森にはマリーゴールドだってあります。で
すが、今日渡るためには、ご二人にいましばらく岸で待ってくださ
るようお願いしなければなりません。島に渡った奥さんには気持ち
よくお待ちいただけるよう、手を尽くします。じつは舟着き場の近
くにいい場所を知っています。三つの古い大岩が昔からの仲間のよ
うに集まっていて、雨風をよけるには完璧です。波を見ながら、の
んびりお待ちいただきましょう。そして、わたしはご主人を迎えに
急ぎ戻りましょう。ですから、いまだけは岸に戻って少しお待ちく
ださい」  

日没の赤い輝きが爺さんを照らしている。それとも、あれは目にま
だ残る炎だろうか。

「妻が舟にいるかぎり、わたしもこの舟からは下りません、船頭さ
ん。約束どおり、二人を渡してください,自分で漕げというなら、
やりますとも」
「櫂はわたしが持っていますよ、ご主人。そして、この舟に何人乗
せるかは、船頭であるわたしが決めます。せっかく、いま仲良くな
れましたのに、わたしが何か企んでいるとお考えですか。わたしが
戻ってこないとでも?」
「船頭たちの行動についていろいろな噂があるのは知っていますが、
わたしはそんなことを思っていません。これは非難ではなくて、さ
っさと二人一緒に乗せていってほしいというお願いです」

「船頭さん」おっと、これは婆さんの声だ。振り返ると、婆さんが
目を閉じたまま、おれを探り当てようとするように手を空中に伸ば
ていた。

「船頭さん、二人に少し時間をください。夫としばらく話させてく
ださい」  

舟に一人だけ残すとは、また大胆な。だが、いまの婆さんはきっと
おれの代弁をしてくれるだろう。それに、擢はしっかりこの手にあ
る。おれは爺さんの横を通って水に入る。海が膝まで上がって、衣
の裾を濡らす。舟はしっかり固定され、おまけに擢はこの手の中。
そんな舟にどんないたずらができるだろう。それでも、あえて遠く
へは離れまい。体を岸に向け、岩のように立ちながら、おれはまた
夫婦二人の話を盗み聞きする。静かに打ち寄せてくる波の音越しに
二人の声を聞く。  

「船頭さんは行った、アクセル?」
「水の中に立っているよ、お姫様。いやいや出ていったし、あまり
長い時間はくれないだろう」  
「アクセル、いまは船頭さんと喧嘩している場合じやありませんよ。
あの船頭さんでとっても運がいい。わたしたちにずいぶん好意的な
船頭さんだもの」  
「だが、船頭が食わせものというのは有名な話だ。違うかい、お姫
様」  
      
                     『忘れられた巨人』

さて、老夫婦の息子の死因は、紀元5百年代にまん延したペストだ
ったのか、雌竜の記憶喪失は何を意味するのか・・・・・・そんなことを
考え、いよいよ、老夫婦の離別(他界)の刻が来たというのかと想
像してみる。

    
                       この項つづく  

 
【ポストエネルギー革命序論79】



ソーラーシェアリング事業が拓く未来
①地球環境保全とエネルギーの自給自足

一昨日のブログで紹介した「水と食物とエネルギーの関係でトレー
ドオフ可能
の日本初の「ソーラーシュアリング事業」の普及の兆
しへの言及としたが、今夜はそれを深めてみる。再生可能エネルギ
ー(プラス蓄電池)の普及は「仮想発電所」を出現させつつ、「エ
ネルギーの自給自足」を普及させる。だからと言って、再生可能エ
ネルギーの過剰消費(=浪費)という"緩み"は慎まなければなけれ
ばならないことを踏まえ、オーガニックな食用普及とその循環社会
ここでは、そのコンパクトで、スマートな「高度生産/消費=循環
システム」(これを国内では農業の第6次産業革命と呼称)のプラ
ットフォームの世界展開事業のミッションを携えていることを強調
しておこう、そして、第5次産業革命のデジタル革命渦とネオコン
バーテック創成論を基調に、農耕作用物に留まらず、林業も同様に
普及は勿論、畜産・漁業までに波及することをブログ掲載済してお
り、水(water)+エネルギー(energy)+食料(food)→環境(
environment)保全+経済(economy)の安定→"自由+平等+共生”
社会の実現・堅持することにある。



②地球環境保全と食料の自給自足
10月28日、なまず養殖経営事業として、新宮港埠頭株式会社事
例モデルが、NHK総合の「うまいッ!『ヘルシーで美味!』ナマ
ズ~和歌山・新宮市~」で放送されている(昨日のことだ)。さて、
同社は、熊野灘に面する和歌山県南部(紀南地域)唯一の外 国貿
易港「新宮港」の一画に在り、昭和53年より港湾運送、船舶代 理
店、貨物運送などの事業を行ってきたが、「食」の多様性にも注目
し「とる漁業から育てる漁業」への転換が叫ばれる中、「なまず」
養殖事業に取り組むなど、食ビジネス事業への展開をスタートさせ
同社の食品部は「シングウポートフーズ」と改名。近くて遠い食材
だった「なまず」。きれいな水(地下18メートルの 揚水)、水質・
衛生管理を徹底した、独自開発技術の養殖で丁寧に 育てられ、低
カロリー、低脂質、高タンパクなヘルシー食材として注目されれて
いる。養殖池では、薬品は一切使用せず無添加状態で、世界遺産の
豊かな自然と温暖な気候の中で、ストレス無く育て、 出荷際には、
きれいな水の掛け流しと餌抜きを行った後、素早く血抜き、ぬめり
取りを行うことで、臭みのない「熊野なまず」の鮮度保持を第一に考
えている。養殖場から素早く加工場に移送し、これら工程を経て、
商品として「セミドレス」や「フィレ」に素早く加工し冷凍保存し、養
殖から加工・販売まで一貫生産。



①水が汚いとナマズの臭みに繋がる。ここでは、地下18mからく
み上げた細菌がほとんどいない澄んだ水を飼育に使っている。出荷
の5日前から、エサを与えず、地下水をかけ流して臭みを取る。
②和歌山のナマズのうま味のヒミツは、2種類のエサを与える。魚
粉の多いエサは、タンパク質を多く含むが、これだけではうま味が
少なくあっさり過ぎる味だった。そこで、魚の油を多く含むエサも
与えることで、適度に脂ののったうま味があるナマズに育つように
なる。



わたしたちが、30年前になまずの畜養・養殖を考えた時から共食
い、臭み、などの諸問題は解決されており、①コスト、②調理法・
レシピ、③品種改良(食餌・環境による肉質改良)などが残件する
だけであるが、ブログでも、食感や味において、河豚、鰻、鮪など
比較しても遜色なく、上グラフのように、①高タンパク、②低カロ
リー、③コラーゲン量、⑤ミネラル・ビタミンなど豊富で、赤身/
白身の双方を兼ね、⑥廃棄部位がないという特長もっている。また、
再生可能エネルギー(プラス蓄電池)をつかい揚水・廃水や温調の
電力費は限りなくゼロなるメリット生かせる。レシピ至っては、刺
身・鉄鎖・天ぷら・どんぶり・寿司・ハンバーグ・魚肉ハム・ソー
セイジ・和・洋・中・無国籍とレパートリーが広い。




わたし(たち)が注目しているのは、分散型ソーラー&バッテリー
シュアリングシステムのコンパクトでスマートな高次元食用生産工
場システムの世界展開であり、将来への食料問題ソリューションで
あり、その地域・地方でしか味合うことができないグローカル展開
例えば、和歌山のミカン・梅・柿などのフレーバーで栄養価の高く
ヘルシーなナマズ料理と循環環境の提供にある。今夜、わたし(た
ち)は確信する。今夜は鯰料理に乾杯(ホットウイスキー)で乾杯
!である。

●洗浄水はナノバブル洗浄+機能性ガス混合の導入をおすすめする。
参考特許:特開2019-122374 貝類の浄化方法および貝類の浄化シス
テム トスレック株式会社


電気自動車×太陽光」で若者の地元離れを防ぐ
ソーラーシュアリング(プラス蓄電池)事業は農産物だけではない
事例がが岐阜県で新事業が解されようとしている。それは、岐阜県
多治見市で始まった“バッテリーシェアリング”という取り組み、
いま全国から注目を集める。バッテリーシェアリングとは①「電気
自動車(EV)のレンタルサービス」、②「太陽光発電設備付きカー
ポート」、③「新電力事業」の3つをパッケージにした、これまで
にないビジネスモデル。それは、地方都市に共通する地域課題を、
ビジネスを通して解決する取り組み。

バッテリーシェアリング事業を手掛けるのは、多治見市で新電力事
業「たじみ電力」を運営するエネファント。同社はもともと、設立
以来、太陽光発電設備の販売・施工を行ってきた地域エネルギーベ
ンチャ。19年4月から、「働こCAR」という愛称で、バッテリーシ
ェアリング事業をスタートさせている、バッテリーシェアリング「
働こCAR」のシステムは、エネファント(たじみ電力)が、若者を雇
う地元企業と、1台当たり月額3万9800円で電気自動車契約を
結び。同時にエネファントは、その企業の駐車場に、太陽光発電設
備と充電器を備えたソーラーカーポートを無料設置する。契約を結
んだ企業は、新入社員を対象に、レンタル電気自動車を貸与。貸与
された新入社員は、そのクルマを通勤や休日に使い、保険料を含む
使用料として月額1万9800円を負担する。

ソーラーカーポートで発電した電気は、電気自動車の充電に使われ
るとともに、たじみ電力の小売電力事業の電源としても用いられる。
また、電気自動車のバッテリーに蓄えられた電気は、状況に応じて、
カーポートが設置された企業の電力としても活用される。「働こC
AR」は、再生可能エネルギーの地産地消を可能にし、地元企業、新
入社員、地域社会それぞれにメリットをもたらす取り組みとなって
いる。



新入社員にとって、月額1万9800円だけでクルマに乗り続けられる
という金銭的メリットが大きい。電気自動車だからガソリン代はか
からない、会社のソーラーカーポートに駐車しておけば、勤務中に
充電しておいてもらえる。会社の通勤に使うことが必須条件だが、
休日にプライベートで乗ってもOK。クルマでの移動が不可欠な地
方都市の若者を公私ともにサポートする。地域社会として、若者の
流出を抑え、地元就職を促すきっかけにしたい。若者が地元に根付
けば、地域は活性化し、衰退をまぬがれる道も開けてくる。「若い
人が楽しく生活し、働き、家庭を営むまちをつくるためには、住ん
でもらうことが大前提。現在の多治見市は、若い人が進学で一度出
ていくと二度と帰ってこないまちになりつつある。多治見に住み続
ける者として、何か行動を起こさなくてはと考え、このプロジェク
トを立ち上げたと関係者は話す。

バッテリーシェアリングの要となる太陽光関連機器は、パナソニッ
クがサポート。ソーラーカーポートの屋根上には、同社の太陽電池
モジュール「HIT」を供給。クルマ4台が駐車できる標準タイプのカ
ーポートで、設置されるHITは40枚、最大出力13kWを発生する。これ
を2台のパワーコンディショナ(合計定格出力9.9kW)で制御し、同
じくパナソニック製のEV充電器とともに、エネファント(たじみ電
力)が遠隔でコントロールする。


数百万人の子どもの目と命を救ったはずが
遺伝子組み換え作物「ゴールデンライス」が普及しない理由

ゴールデンライス」は遺伝子組み換え技術によって生まれ、ビタ
ミンAを多量に含むイネ。ゴールデンライスは発展途上国の子ども
たちの命と目を救う食品として期待されているが、遺伝子組み換え
作物に対する規制が原因で、困窮している子どもたちがゴールデン
ライスを食べられない状態にある。ところで、
大豆やとうもろこし
を始めとする 種子植物の遺伝子組換え食品。そ の有用な形質の代
表的なものが、 除草剤に抵抗性(耐性)を示す遺伝 子を組み入れ
た「除草剤耐性」や、特定の害虫に対してだけ有害に作用する物質
を作り出す遺伝子を組み入れた「害虫抵抗性」。ど ちらも農薬使用
の効率化や労力の軽減、収穫量の増大などの利点を持っているが。
ほかにも成長促進や、冷害・干ばつ等への耐性、新しい栄養素の付
加など、多くの可能性が研究開発されている。今日の科学データか
らは予測不能な影響を不安視する声もあり、こうした不安も考慮し
ながら、リスク評価は慎重に進められている。



ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりす
る働きのある必須栄養素。先進国では多数の食品にビタミンAが含ま
れているためあまり問題にならないが、ビタミンA欠乏症が続くとし
だいに目が見えなくなり、失明し、最終的には命を落とします。世
界規模でみると、5歳未満の子どもの約3分の1がビタミンA欠乏によ
る失明の危険性があると考えられており、1日あたり約2000人の子ど
もがビタミンAの欠乏により亡くなっている。

そんな途上国におけるビタミンA不足を解決に生み出されたのが「ゴ
ールデンライス」。ゴールデンライスは、ドイツのフライブルク大
学らの研究グループが開発、ビタミンAの前駆体であるβ-カロテン
を細胞内で合成するように遺伝子を組み換えたイネ。「ゴールデン」
の名は、精米後の色が明るい黄色をしていることに由来。普通の米
に比べて、ゴールデンライスはオレンジ色に近い黄色。

普及を阻む原因にカルタヘナ議定書で承認されないことによる。こ
の議定書は03年より発効された、生物多様性に悪影響を及ぼすお
それのある遺伝子組み換え生物の管理・輸出入・使用に関する国際
条約。バイオテクノロジーによる製品が人間の健康や環境に危険を
もたらす『可能性がある』場合、規制を講じるべきとあり、ゴール
デンライスが「無罪だと証明されるまでは有罪」と扱われるように
なっており、ゴールデンライスは実験室での生成から農場での耕作
試験、スクリーニングテストの各段階において規制によってがんじ
がらめにされる。アメリカとカナダがゴールデンライスを認可した
のは18年。そして、ゴールデンライスが本当に必要であるはずの
貧しい発展途上国ではまだ認可が下りていない。フィリピンやバン
グラデシュでは、ゴールデンライスの認可は早くとも199年末頃
までかかる見込み。



尚、日本では、従来品種に、どのような目的で、どのような遺伝子
組換えを行ったのか、挿入された遺伝子やそれにより作られるたん
白質に有害性はないか等について評価します。その際には、これま
で得られている安全性の知見や毒性試験の結果を用いる。特にアレ
ルギーについては、遺伝子組換えにより新たに生じたたん白質がア
レルギーを誘発しないか、既知のアレルゲンと構造が似通っていな
いか等を評価。これらは食品安全委員会で決定された安全性評価基
準基づく(表記図参照)。遺伝子改変リスクについては残件扱い(
ずいぶん前から引きずっているテーマですが)。



インクジェットプリンターでオフィスが変わる
持続可能性の観点からみると、ビジネスシーンで使用するプリンタ
を『環境に優しいもの』に切り替えていくことが必要となるが、こ
こで力を発揮するのがインクジェットプリンタ。トナーを紙に接触
させて転写し熱と圧力で定着させるレーザープリンタに比べ、微細
なインクを紙に噴射するだけの熱を使わないシンプルなインクジェ
ットプリンターは、電力使用量や消耗品が少なく、その構造自体、
環境負荷が低いものとなっている。エプソン社では、ビジネスユー
スプリンターのリリース当初から自らのオフィスにも製品を導入し、
その効果を検証している。この事例も社内で検証済みだが、レーザ
ー方式のプリンターをインクジェット方式のプリンターに置き換え
ることで、印刷コスト、電力使用量、廃棄物量の大幅削減が実現。

  
紙の再利用で循環型オフィスを実現
「導入のメリットは2つ。ひとつめは利便性を犠牲にしたり『紙を
消費している』といった心理的な負担なく、循環型オフィスを実現
できる。ペーパーレス化はもはや当たり前の流れではあるが、どう
しても紙の利用が必要なシーンはある。もうひとつは、クローズな
環境のなかで機密文書を完全に粉砕し再生紙にできること。情報漏
洩リスクを低減できた。このシステム最大の特徴は、一般的な紙の
再生に比べ、水の使用量を圧倒的に低減できること。使用済の紙を
繊維状まで粉砕するため、紙のリサイクル過程で欠かせないといわ
れる多量の水が不要であり、環境負荷低減につながる。同社では、
19年1月からPaperLabを活用し、グループ内で『紙資源循環プロ
ジェクト』を展開している。19年度中には、国内主要8拠点に19
台のPaperLabを設置し、社内で使用した紙を集めてサーキュレーシ
ョンする計画である。



コメント
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忘れられた巨人最終章へ③

2019年10月28日 | WE商品開発



          
                
8.泰 伯 たいはく
ことば------------------------------------------------------
「人のまさに死せんとするや、その言うこと善し」(5)
「士はもって弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し」(8)
「民はこれによらしむべし。これを知らしむべからず」(10)
「その位に在らざれば、その政を謀らず」(15)
「学は及ばざるがごとくするも、なおこれを失わんことを恐る」(18)
------------------------------------------------------------
  
8.士は見識が大、意志が強固でなくてはならない。なぜなら、そ
の使命は重く、道は遠いからだ。仁の実現、これは重い使命ではな
いか。死ぬまで歩きつづける、これは遠い道ではないか。(曽子)

曾子曰、士不可以不弘毅、任重而道遠、人以爲己任、不亦重乎、死
而後已、不亦遠乎。

Zeng Zi said, "A person who aspires the Way must have broad-
mind and strong-will. His mission is very important. And his
road is very far. His mission is to be benevolent. How impor-
tant it is! He never stop aspiring after the Way until his
death. How far it is!"

   
第4部 ガウェインの追憶-そのⅡ  
第17章
松の本の下で雨宿りしていると、あの二人が馬に乗って風雨の中を
やってきた。老人二人----がそれもあんなくたびれた馬で----旅を
する天気ではないのに、あの爺さん、あと一歩でも歩かせたら馬の
命が危ないとでも思ったのだろうか。そうでなければ、近くの木ま
でまだニ十歩もあるのに、なぜあんな泥の中で止まるんだろう。土
砂降りのなかでも馬はけなげだ。爺さんが婆さんを抱き下ろすのを、
じっと待っている。それにしても、雨中の人物だって何かをあれほ
どゆっくりはできまい。

「早くお二人さん」とおれは呼んだ。
「急いで木下ヘ」と。

どちらにも聞こえない。雨の音がやかましいのか、年のせいで耳が
ふさがっているのか。おれはもう一度呼んだ。今度は爺さんのほう
があたりを見回し、おれを見つけた。その腕の中へ婆さんがようや
く滑り落ちてきた。ほんの痩せこけた雀みたいな婆さんなのに、爺
さんには受け止めるだけの力がない。しかたなく、おれが出ていく。
水しぶきを上げて草の上を近づくと、爺さんは警戒するように振り
向いたが、結局、おれの中し出を受け入れるしかない。そうしなけ
れば、首にしがみつく奥さんともども地面に転がる。爺さんから奥
さんを抱き取り、急いで本まで戻った。少しも重くない。すぐ後ろ
を爺さんがはあはあ言いながらついてくる。奥さんを見知らぬ男に
預けて心配だったんだろう。だから、ただの親切心でやっているだ
けだと示すために、そっと婆さんを下ろし、頭を柔らかい木の皮に
当ててやった。

たまに一、二滴落ちてくることがあっても、ここなら十分に雨を防
いでくれる、爺さんは婆さんの横にしやがみ、励ましている。おれ
はそんなニ人の仲に遠慮して、少し離れた。木々と開けた地面の境
目あたりの、もともといた場所に移動して、雨が荒れ地面に降り注
ぐのをながめていた。こんな雨だ。少しくらいの雨宿りはしかたが
なかろう。この遅れは少し急げば収り戻せるし、これから何週間も
ぶっ続けで仕事することを考えれば、いま無理をしないほうがいい。
後ろにいるニ人の話し声が聞こえてくる。だが、だからと言ってど
うすればいい。二人のつぶやきが聞こえないよう、おれが雨の中に
出ていくのか。 

「そんなことを言うのは熱のせいだ、お姫様」
「違いますよ、アクセル。また一つ戻ってきたんです。いったいど
うして忘れていられたのかしら。息子は島に住んでいるんです。小
屋のある入り江から見える島で、絶対にもうこの近くですよ」  
「なぜ言えるんだい、お姫様」  
「聞こえないの、アクセル? わたしには聞こえますよ。近いわ。
あれは 海じゃないの」  
「雨だよ、お姫様。それとも川かな」  
「霧のせいで忘れていたんですよ。でも、霧が晴れはじめた。近く
に島があって、息子はそこで待っています。アクセル、海の音が聞
こえない?」  
「熱のせいだと思うぞ、お姫様。すぐに雨を凌げる場所を見つけよ
う。そうすれば大丈夫だ」  
「この方に尋ねてみましょうよ。わたしたちよりこのあたりには詳
しいはずだもの。近くに入り江がないか聞いてみて」  
「手を貸してくれただけの親切なお方だ。そんなことに特別な知恵
があるとも思えないよ、お姫様」  
「聞いてみて、アクセル。聞いても損はないでしょう?」  

おれは黙っていたほうがいいのか。どうする。振り向いて、

「奥さんの言うとおりです、ご主人」と言う。爺さんがひるむ。目
に怯えがある。おれの一部は黙っていろと言う。反対側を向き、雨
の中にじっと立っている老馬でも見ていろと言う。だが、しゃべり
出したからには、つづけるしかない。二人が身を寄せ合っている場
所の向こうを指差す。  

「あそこに木々の間を通る小道があります。あの先に、奥さんが言
うような入り江があります。大部分は小さな丸い石で覆われていま
すが、潮が引くとこれからが引き潮です----その丸石の向こうに砂
が現れてきます。で、奥さんの言うとおり、海を少し行ったところ
に島があります」

二人は黙ったままおれを見ている----婆さんはぐったりと嬉しそう
に、爺さんは恐怖を募らせて。二人はなぜ何も言わない。おれがも
っと言うのを待っているのか。  

「空の様子からして、雨はすぐ上がります。夕方は晴れるでしょう。
だから、その島まで漕ぎ渡ってほしければ、喜んでやりますよ」
「言ったでしょう、アクセル」
「では、あなたは船頭さんですか」と、爺さんがまじめな顔で言う。
「まえ にどこかでお会いしましたか」  
「確かに船頭です」とおれは言う。
「お会いしているかどうかは……毎日長時間、大勢の人を運びます
からね、とても覚えていられません」  

爺さんはいっそう恐ろしそうな顔をして、奥さんの横にしゃがみ、
しっかりと抱き寄せる。これは話題を変えたほうがいいのか。おれ
はこう言っ てみる。

「お二人の馬はまだ雨の中です。つながれていませんから、その気
になれば近くの木の下へでも逃げ込めるんでしょうが・・・・・・」  
「老いても軍馬なんですよ、船頭さん」爺さんは入り江の話から離
れたことが嬉しいらしく、反応よく答える。
「本来の所有者はもういませんが、やはり訓練されていますから。
勇敢だった所有者との約束もありますし、いずれニ入で面倒を見て
やるつもりですが、いまは妻のことが心配で。ちゃんとした屋根の
ある場所をご存じありませんか。暖まれる火があれば申し分ありま
せんが」

おれは嘘をつけない。義務もある。
「じつはあります」と答える。
「その入り江に小屋が一つあります。わたしがこつこつと造った小
屋で、屋根は小枝や布切れという粗末なものです。つい一時間ほ
ど前には火が燃えていましたから、まだくすぶっていて、燃え立た
せることもできるでしょう」  

爺さんはためらい、おれの顔をじっとうかがっている。婆さんは目
を閉じ、頭を夫の肩に預けている。
「船頭さん」と爺さんが言う。
「妻がいま言ったのは、熱に浮かされての言葉だと思います。わた
したちに島は必要ありません,この木の下で雨が過ぎ去るのを待っ
て、先へ進みます」
「何を言うの、アクセル]婆さんがそう言って、目を開けた。
「息子はもう待ちくたびれているころですよ。この船頭さんに入り
江まで案内してもらいましょう」

爺さんはまだためらっているが、腕の中で奥さんが震えているのを
感じて、おれを見る。目に必死の懇願がある。  

「お望みなら、わたしが奥さんを運びましょう」とおれは言う,
「入り江まで少しは楽に行けるでしょう」  
「いえ、妻は自分で運びます」と爺さんが言う。この期に及んで負
け惜しみか。

「妻は自分の足で行けなければ、わたしの腕の中で行きます」

おれはなんと言えばいい,爺さんだって、弱り具合は婆さんとあま
り変 わらないぞ。  

「入り江は遠くありません」とおれはそっと言う。
「ですが、急な下りで、穴ぼこやらねじれた根っこやらもあります。
やはり、わたしが運びましょう。それが一番安全です。道のよいと
ころを選んで、わたしのあとがら来てください。ほら、雨が小降り
になりました。急ぎましょう。奥さんは寒 くて震えていますよ」  

やがて雨が止み、おれは婆さんを抱えて丘の道を下った。爺さんも
よろよろとついてきた。三人が砂浜に出るころには、黒い雲がすっ
かり空の片側に築まっていて、まるで短気な手で払いのけられたよ
うだ。霧でかすんだ太陽が海に落ちていこうとし、浜辺全体がいか
にも夕方らしい赤色に染まり、おれの晦が波間に揺れていた。もう
一度、親切さをひけらかすことにして、乾いた包皮や枝葉で作った
粗末な覆いの下に婆さんを横たえ、頭を苔むした岩のクッションに
祓せてやった。おれが横にどくのを待ちかねて、爺さんがあれこれ
と妻の世話をやきはじめた。  

「あれをご覧なさい」と、くすぶる火のわきにしやがみながら、お
れは言う。
「あれが島です」  

婆さんが首を少しひねる。海の景色が見え、柔らかい叫び声が上が
る。爺さんのほうは硬い小石の上で体の向きを変えなければならな
い。当惑した表情で、波のあちこちを見ている。  

「あそこです」と示してやる。
「ほら、あそこ。岸と水平線の中間あたり」  
「わたしの目はあまりよくなくて」と爺さんが言う。
「ですが、ええ、見えたと思います。あれは木々のてっぺんでしょ
うか、尖った岩でしょうか」  
「木でしょう。穏やかな島ですから」おれはそう言いながら、本の
枝を折り、火にくべる。二人は島を見つづけ、おれはひざまずいて、
燃えさしを吹く。骨に硬い小石が当たる。この夫婦は自分たちの意
志で来だのではないのか、とつぶやく。まあ、行く道は自分で決め
てもらおう。  

「暖かいかい、お姫様?」と爺さんが言う。
「すぐにまたもとのおまえに戻 るよ」  
「島が見えますよ、アクセル」と婆さんが言う。ここはどうしても
聞き茸 を立てずにはいられない。

「あれが息子の待っているところなんですね。それを忘れるなんて
なんて不思議だこと」  

爺さんは何事かぶつぶつと答え、しだいに困ったという顔つきにな
る。

「まだ決めていなかっただろう、お姫様」と言う。
「ほんとうにあんな場所に渡りたいのかどうか。それに船賃がない
よ。錫と硬貨を馬に預けてきてしまった」  

おれは黙っているべきだろうか。

「それは問題ありませんよ、お二人さん」と言う。
「料金は、あとで鞍からいただきます。軍馬なら、ふらふら出歩か
ないでしょう」これを校鮒と呼ぶ人もいるかもしれないが、おれは
単純な善意のつもりだ。あの馬に出くわすことなどないことはわか
っている。ニ人は穏やかな声で話しつづけ、おれは一人に背を向け
て、火の番をしていた。さて、この場面でおれは盗み聞きをするべ
きか。だが、婆さんの声が大きくなった。口調もさっきよりしっか
りしている。  

「船頭さん」と婆さんが言う。
「以前、たぶん小さな子供だったころ、こんな話を聞きました,穏
やかな森や小川のある島の話です。そこは不思議な性質を持った場
所で、そこへ渡る人は多いのに、誰にとっても住民は自分だけだと
いうんです。つまり、隣人がいるはずなのに、見えないし、聞こえ
ないというんです。あそこに見える島も、そういう島なんでしょう
か」

おれは小枝を折りつづけ、それを注意深く炎の周りに並べつづける。
「奥さん、その話にあてはまる島をいくつも知っています。ですが
この島がその一つかどうかはわかりません」

つかみどころのない答えに、婆さんがもっと大胆になる。

「こうも聞きました、船頭さん。条件によっては、そういう不思議
な状態が解消されるんだそうです。つまり、特定の条件を満たす旅
人は、そうならないと聞きました。そうなんでしょうか、船頭さん」

「奥さん、わたしはただの船頭です]とおれは言う。
「そういう問題について語る立場にはありません。ですが、ここに
はほかに誰もいないことですし、これくらいは申し上げていいでし
ょう。特別の時間や時間、たとえばさっきあったような嵐のときと
か、夏の満月の夜などには、島の住人が、自分以外の誰かが歩いて
いるように感じることがあるそうです。お聞きになったというのは、
そういう話ではありませんでしたか、奥さん」
「いいえ、船頭さん、それ以上のことでした」と婆さんが言う。
「生を分かち合い、並外れた強い愛情で結ばれた男女は、孤独な島
暮らしの心配をせずに島に渡れるという話でした。そういう二人は、
それまでの人生でしてきたように、変わらず二人一緒の生活を島で
もつづけられる、と。わたしが聞いた話はほんとうでしょうか、船
頭さん」  

「もう一度わせてください、奥さん。わたしはただの船頭で、島へ
渡りたい人を運ぶのが仕事です。毎日の仕事のなかで見聞きするこ
としかお話しできません」  

「でも、わたしたちを導いてくださる方が、ここにはほかに誰もい
ません。ですから、お尋ねします、船頭さん,いまわたしと夫を渡
してくださるとして、わたしたちニ人は引き裂かれず、手と手をと
り合って島を歩けるでしょうか」  

「いいでしょう、奥さん。正直に申し上げましょう。あなたとご主
人は、わたしら船頭がめったに目にすることのないご夫婦です。雨
の中を馬で来られたとき、常になく強い愛情で結ばれたご夫婦であ
るとわかりました。お二人が島で一緒に暮らすことを許されるのは、
疑いのないところでしょう。その点での心配はご無用です」

「それを聞いて、もう嬉しさでいっばいです、船頭さん」そう言う
婆さんの全身から緊張が抜けていった。
「それに、嵐のときや腿やかな月夜、アクセルとわたしは息子が近
くを通るのも見られるかもしれないんですね。一言二言話せたりも
するかしら」
                     『忘れられた巨人』
                         
                       この項つづく

   

DIY日誌:台風後の雨漏り防止補修作業①】
台風19号の北西からの吹き込みによる雨漏りが酷く補修計画の立
案をおこなう。と言うのも、雨漏りを放置すると、カビの発生によ
る喘息・肺炎・気管支炎はおろかアレルギーの発症などの罹患を併
発するとあり、補修工事の計画立案に移る(上絵をクリックすると
「図解生活百科事典」で「雨漏り(雨漏り補修」及び「関連特許」
(下)参照)。液体セメント補修材を調べ手配にかかる。ところで、
モルタル、セメント、コンクリートにしろエコで安全で強靱な「補
修剤及び補修方法」開発は不可欠。これは面白い。




①特開2019-172564 コンクリート補修 国立大学法人山口大学他
【概要】
コンクリートは火災などにより高温加熱を受けると、セメント水和
反応生成物の分解・変質及びセメントペーストと骨材の間に不均一
の膨張や収縮が生じて、コンクリートの内部組織が破壊され、強度
及び弾性係数などの力学性能が低下する。また、水酸化カルシウム
が高温で分解すると、コンクリートのアルカリ性が失われる。更に、
コンクリートの表面にひび割れが多発するため、物質侵入抵抗性が
低下し、炭酸ガス、酸素、塩分及び水などがコンクリートの内部に
侵入し拡散しやすくなる。これにより、コンクリートの中性化抵抗
性が低下し、当該コンクリート中の鉄筋が錆びやすくなる。  一方
、高温加熱を受けたコンクリートの性能は、再養生によって時間と
ともに回復するが、高温加熱を受ける前の水準までは回復できない。
そこで、日本建築学会「建物の火害診断及び補修・補強方法指針・
同解説」は、コア強度が設計基準強度以下やひび割れの幅が数mm
以上のひどく劣化した部位のコンクリートをはつりとって打ち直し、
コア強度が設計基準強度以上であるコンクリートのひび割れを補修
すると規定している。しかし、コンクリートの打ち直しは、手間と
時間がかかる。また、0.2mm以上のひび割れであればエポキシ
樹脂やポリマーセメント補修することができるが、0.2mm未
満の微細なひび割れ及び微小な損傷の補修は困難であるため、大き
なひび割れを補修しても、高温加熱を受ける前に比べ、コンクリー
トの性能は劣ることになり、高温加熱を受けたコンクリートの補修
技術の開発が望まれ、ケイ酸系ナトリウムを主成分としたコンクリ
ート改質剤の塗布や含浸による、高温加熱を受けたコンクリートの
性能回復方法が提案されている。この性能回復剤はコンクリートの
内部までの浸透が十分ではないため、更に優れた性能回復促進剤や
補修が求められている。また、高温加熱を受けていない一般コン
クリートについても同様に、優れた改質剤や性能回復剤といった
が求められている。

従って下図4のごとく、ケイ酸リチウムなどの珪酸塩類と、水酸化
ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物の1種
または2種以上とを含む水溶液よりなる、コンクリート補修であ
る。珪酸塩類とアルカリ金属の水酸化物とのモル比は、珪酸塩類:
アルカリ金属の水酸化物=0.5~5.0:5.0であることが好
ましく、珪酸塩類とアルカリ金属の水酸化物との合計の質量濃度は
5~80%であることが好ましい、コンクリートの内部への浸透性
に優れ、当該コンクリートの性能を回復ないし向上させる、塗布や
含浸や注入用などのコンクリート補修の提供する。




②特開2018-104492 建材からの雨漏り防止用塗付剤 日本特殊膜開発
株式会社
【概要】
マンションやオフィスビル、一般家屋等の建築物は経年劣化し、種
々の箇所から雨漏りが起こる。この雨漏り水は必ずしも建材表面で
雨が侵入した場所の近辺に沁み出すことはまれで、建材中の水の通
路(ミズ道)は複雑である。ミズ道の特定は困難であるが、従来技
術ではこの特定が必須であった。各種の防水のための補修工事はこ
のミズ道の特定を必須条件としている。すなわちミズ道を特定する
技術を選定し、ミズ道を特定した後にミズ道の入口と出口とに有機
撥水剤や樹脂コーテイング剤を塗布する。特開2000-88692には雨漏
箇所と推定される箇所に建物の外側から蛍光染料又は蛍光顔料を
含む水溶性の液体又は粘液あるいはベーストを塗り込み、建物の外
側からその特定箇所に放水し、建物内部に染み出した水に紫外線を
照射し、蛍光を発生させるかどうかで判定する技術が開示されてい
る。濾水調査のなかでミズ道の確定方法として、電気抵抗試験によ
る方法、散水・高圧洗浄・水溜などの水を強制的に流す方法、ガス
や発煙筒などの気体を流す方法、特定の臭いの空気を圧入し、臭い
センサで探す方法、石鹸泡による方法、赤外線による方法など多数
の提案があるが、ミズ道の特定は容易ではない。ミズ道の特定によ
って濾水対策が可能となるのが一般的である、ミズ道が特定された
後の対策としての例として特開平10-53728がある。ミズ道を形成す
る箇所に油性の撥水剤を塗布したり水性のエマルジョン剤を塗布し
たり、あるいは樹脂やゴム系の合成高分子を有機溶媒に溶解した溶
液を流し込み有機溶媒の蒸発により該高分子を固化させて水の出入
り口をなくする。上述のマンションの場合は、屋上が緊急避難場所
であったり、貯水槽(高架水槽など)等の設備があり、さらに日常
点検業務等で屋上を土足で歩行する場合がある。そのため屋上防
水用のシートが破損したり、日光でシートが疲労や劣化してシート
に亀裂が生じる。通常屋上防水工事は10年に1回は実施される。
その間に発生した亀裂によりシートの下地のコンクリート内には無
数のミズ道が生じ、このミズ道の詳細を明らかにするのはほとんど
不可能である。すなわち、マンションでの雨漏り箇所として、屋上、
ベランダ、廊下、非常階段がある。雨漏り以外に給水管・排水管の
周りのコンクリートとの接着部分に生じる隙間を結露水が流れて想
定外の箇所から水漏れが生じる。屋外やベランダに設置されている
電気温水器、給湯機(ボイラーを含む)、温調機からの凝集水など
がコンクリート等の建材から滲出する。そこで、下図1のごとく、
非電解質でかつ水溶性の有機化合物で単独では結晶性を示すオリゴ
マーを主成分として含む水溶液であり、該水溶液は該オリゴマーを
0.1重量%以上で5重量%以下の濃度で溶解させることで作製さ
れる水溶液を塗布剤とする。無機性の骨材を用いて作製された建築
物からの雨漏りを解消する補修を提供する。補修の際にはコンク
リートなどの建材内部のミズ道を確定する必要性はなくかつ耐光性
や耐摩耗性を材料として要求されない水もれ防止用塗布剤を提供す
る。



【特許請求の範囲】
【請求項1】非電解質で水溶性の結晶性オリゴマーを主成分として、
該オリゴマーを0.1重量%以上5重量%以下の濃度で水に溶解させる
ことによっていられる水溶液であることを特徴とする無機性建材の
水漏れ防止用塗付剤。
【請求項2】請求項1において該オリゴマーの分子量が1000以上1万
未満であり、融点は50℃以上でかつ凝固点が40℃以上であることを
特徴とする水溶液塗付剤。
【請求項3】請求項1あるいは2においてオリゴマーとしてポリエ
チレングリコール単独あるいは該オリゴマーに加えて、ポリプロピ
レングリコールあるいはポリビニールピロリドンとの複数のオリゴ
マーとの混合物であることを特徴とする水溶液塗付剤。
【請求項4】 請求項1あるいは2あるいは3において、水溶液中に
アルギン酸ソーダを該オリゴマーに対して重量比で1/5未満1/50以
上添加し、かつ酸性染料を1ppm以上100ppm以下添加すること
を特徴とする水溶液塗付剤。
③特開2011-26924 コンクリートのひび割れ補修方法及び該方法に用
いるコンクリート材料 住友大阪セメント株式会社
④特開2001-152131 漏水防止方法 日本化薬株式会社

 
【ポストエネルギー革命序論78】


特開2019-187226 筒型リニアモータ KYB株式会社他

筒型リニアモータは、たとえば、軸方向に並べて配置される複数の
ティースを外周に持つ筒型のコアとティース間のスロットに装着さ
れるU相、V相およびW相の巻線を有する電機子と、電機子の外周
に設けられた円筒形のヨークと軸方向にS極とN極とが交互に並ぶ
ようにベースの内周に取付けられた複数の永久磁石とでなる固定子
とを備えるものがある。このように構成された筒型リニアモータで
は、電機子のU相、V相およびW相の巻線へ適宜通電すると、電機
子が永久磁石に吸引されて電機子が可動子として固定子に対して軸
方向へ駆動される。このような筒型リニアモータでは、推力を向上
するため固定子における永久磁石をハルバッハ配列として、径方向
着磁の主磁極の永久磁石と軸方向着磁の副磁極の永久磁石とを交互
に並べたものがある(たとえば、特許文献1参照)。

前記筒型リニアモータでは、主磁極の永久磁石の残留磁束密度を高
くして、推力向上を図っているが、主磁極の永久磁石と副磁極の永
久磁石とでは副磁極の永久磁石に大きな磁界が作用するため副磁極
の永久磁石の保磁力を主磁極の永久磁石よりも高くして減磁を防止
している。 しかしながら、主磁極の永久磁石と副磁極の永久磁石の
軸方向長さが等しいため、主磁極の永久磁石と電機子との間におけ
る磁気抵抗が大きく、主磁極の永久磁石の残留磁束密度を高くして
も筒型リニアモータの推力のより一層の向上は難い。そこで、本発
明は、推力を効果的に向上できる筒型リニアモータの提供を目的と
している。

上記の目的を達成するため、本発明の筒型リニアモータは、筒状の
コアとコアの外周に設けられたスロットに装着される巻線とを有す
る電機子と、筒状であって内方に電機子が軸方向へ移動自在に挿入
されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁とを備え、界
磁がハルバッハ配列にて軸方向に交互に並べられる径方向に着磁さ
れた主磁極の永久磁石と軸方向に着磁された副磁極の永久磁石とを
有する積層磁石体と、積層磁石体の外周に配置され磁性体で形成さ
れる筒状のバックヨークとを有し、主磁極の永久磁石の軸方向長さ
が副磁極の永久磁石の軸方向長さよりも長くなっている。

このように筒型リニアモータが構成されると、主磁極の永久磁石の
軸方向長さを長くして、主磁極の永久磁石とコアとの間の磁気抵抗
を小さくできるとともに、副磁極の永久磁石の軸方向長さを短くし
てもバックヨークを設けているので磁気抵抗の増大を抑制でき、コ
アへ作用させる磁界を大きくできる。また、筒型リニアモータでは、
主磁極の永久磁石の軸方向長さと副磁極の永久磁石の軸方向長さが
0.15≦L2/L1≦0.6を満たすように設定されてもよい。
このように構成された筒型リニアモータによれば、推力をより一層
向上できる。なお、主磁極の永久磁石の軸方向長さと副磁極の永久
磁石の軸方向長さが0.2≦L2/L1≦0.5を満たすように設
定される場合、筒型リニアモータの推力をより効果的に向上できる。 
また、バックヨークの軸方向長さを積層磁石体の軸方向長さよりも
長くしてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、
積層磁石体の末端の磁力線の大気への洩れを阻止して、推力低下を
防止でき、推力を効果的に向上できる。

 

【符号の説明】1,20・・・筒型リニアモータ、2・・・電機子
3・・・コア、4・・・スロット、5・・・巻線、6・・・界磁、
8・・・バックヨーク、10a・・・主磁極の永久磁石、10b・
磁極の永久磁石、M・・・積層磁石体

 

永遠のマドンナ逝く                           
                            合掌

なぜか安立明が歌う『女学生』がマッチする夜となる。

歌:安遅明    作詞:北村公一 作曲:越部信義

うすむらさきの藤棚の
下で歌ったアベ・マリア
澄んだひとみが美しく
なぜか心に残ってる
君はやさしい
君はやさしい女学生

セーラー服に朝霧が
流れていった丘の道
赤いカバーのラケットを
そっと小脇にかかえてた
君は明るい
君は明るい女学生

はるかな夢とあこがれを
友とふたりで語った日
胸いっぱいのしあわせが
その横顔に光ってた
君はステナな
君はステナな女学生

 

コメント
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忘れられた巨人最終章へ②

2019年10月27日 | 環境工学システム論




                
8.泰 伯 たいはく
ことば------------------------------------------------------
「人のまさに死せんとするや、その言うこと善し」(5)
「士はもって弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し」(8)
「民はこれによらしむべし。これを知らしむべからず」(10)
「その位に在らざれば、その政を謀らず」(15)
「学は及ばざるがごとくするも、なおこれを失わんことを恐る」(18)
------------------------------------------------------------
  
7 幼君の後見として適格であり、安んじて一国の政治をまかせら
れ、どんな不測の事態にもけっして勤揺することのない人物、そう
いう人物こそ疑う余地なき君子人である。(曽子)

曾子曰、可以託六尺之孤、可以寄百里之命、臨大節而不可奪也、君
子人與、君子人也。

Zeng Zi said,"A person, to whom infant successor's care can
be left, to whom country affairs can be left, who is never
discouraged when he is faced to an important matter. Can we
call him a gentleman?  Yes, indeed."


人口減少時代のまちづくり⑯
24 「自己破産」は増加しているのか  
【要点 
①自己破産の理由「生活苦・低所得」が最も多い。。 
②破綻債務者の半数近くが、負債額500万円未満。 
③自己破産者は「女性」より「男性」が多い。

1.自己破産の現状  
「自己破産」とは、借急が膨らんで返済できなくなり、裁判所に自
ら申しに吠てる破産のことで、消費茜‥破産、個人破産とも いう、
法が自己破産を認めた場合、債務所の必要限度の生活費や財産以外
を貨て換価し(モノの値段を見積もること)、各債権者(クレジッ
ト会社など)に、その債権額に応じて借浙を返済する代わりに、残
りの借金の支払義務を免除する制度。「破産法」は1922年に制
定され、2005年に「新破産法」が改正され、自己破産制度は今
まで以上に利用しやすくなりました。裁判所の司法統計によると、
バブル経済がはじける前の1990年の自己破産件数は年間で約1
万1千件程度。1991年~2003年まで増加を続け、03年に
ピークを迎え、年間の破産件数は約25万2千件となる。それ以降
15年まで減少し続けたが、16年に増加に転じ、17年は前年度
比6・09%の増加(6万8791件)。16年から自巳破産が下
上昇した背景には、銀行のカードローンが自己破産の一因と言われ
ている。無担保で個人に融資する銀行のカードローンの事業拡大が
要因の一つと見られている。過剰融資の恐れのあるカードローンを
めぐっては全国銀行協会が17年3月に各行に過剰融資の防止策の
策定を求める「申し合わせ」する。その後の状況について、金融融
庁が国内の都市銀行・地方銀行を対象に調査。その結果国内106
行の約9割が、何らかの融資上限枠を設定した。金融庁が銀行のカ
ードローン業務に目を光らせるようになり、銀行側も対応を打ち出
さざるを得なくなったと言われている、

 Feb. 13, 2018

2.自己破産するとどうなるのか  
日本弁護士連合会「破綻事件及び個人再生事件録調査(2014年)
)」によると、破産債務者の年代で一番多いのが「40歳代」27・
02%、続いて「50歳代」21・05%となっています「20~
30歳代」は減少傾向にあるのに対して、「60~70歳代」は年
々増加傾向となり、医療費や介護費が家計を逼迫することで、自己
破産申請を行い、支払い能力も高齢化が進んでいます。裁判所に自
己破産申請を行い、支払い能力が不能であると認められると、支払
い義務を免除する「免責」手続きが行われ、毎月取り立てに追われ
ていた人は、それから解放される。ただし、デメリットもある。債
務者 の住所・氏名が国の「官報」で掲載される。また、弁護士・
宅建業者・警備員に一定期間就くことが出来ない職業制限がかかる。

3.自己破産を防ぐには
自己破産にがった理由として、「生活苦・低所得」が60・24%
と最も多く、次に債務者が履行しない場合に変わって行われる「保
証債務」が22・42%、「病気・医療費」が20・73%、「浪
費・遊興費」、「ギャンブル」の合計が9・84%となっている。
そして、破綻債務者の半数近くが、負債額500万円未満で。一方
で「住宅購入」により破産にいたった人が、全体の約16%と、年
々増加傾向にあり、男女比については「男性」が57・74%、「
女性」が42・26%と男性が少し多い。このような破産に至る理
由から、「貧困による生活の困難化」、「賃金格差・資産格差」、
「失業やリストラなどにより住宅口ーンが払えない」など、破産せ
ざるを得ない状況が深化している。このよう状況は格差社会、階級
社会の弊害が原因と考えれている。
キーワード 低所得と生活苦/カードローン/賃金格差
 
   
第4部 ガウェインの追憶-そのⅡ   第15章

では、急いで終わらせてください。雌竜は弱ってるとはいえ、死
ぬのを 見るまで安心できませんから」  

だが、ウィスタンはもうベアトリスの言葉を聞いていないようだっ
た。いま、遠くを見る表情でアクセルを見つめていた。  

「大丈夫ですか、ウィスタン殿」とやがてアクセルが言った。  
「アクセル殿」と戦士がごった。

「もうお会いすることはないかもしれません。ですから、最後にも
う一度だけお聞きします。わたしが少年のころ、村を賢い王子様の
ように問歩し、罪のない人が戦の悲惨さから守られるという夢を見
させてくれたやさしいブリトン人がいました。もし少しでも記憶が
あれば、お別れするまえに、わたしに打ち明けてくれませんか」  
「仮にその男であっても、わたしはいまこの竜の吐き出す霧を通し
てしかその男を見ることができません。夢を追う愚か者でしたが、
根は善良な男です。ですが、固い誓いが残酷な殺戮の中で反故にさ
れたことに苫しみました.サクソンの村々に協定を広めた人はほか
にもいましたが、もしわたしの顔を見て、あなたの胸の中で何かが
騒ぐのなら、別人だと思うことも ないのではありませんか」  

「最初に会ったときにそう思いましたが、確信できませんでした。
率直なお答え、感謝します」  
「では、わたしにも率直にお話しいただけませんか。昨日お会いし
てから いや、たぶんずっと以前から ああでもないこうでもないと
考えつづけてきたことです。覚えているというその男、やはりあな
たが復讐したい男の一人なのですか」  
「何を言っているの、あなた」とベアトリスが前に出てきて、アク
セルと 戦士の間に割り込んだ。

「あなたとこの戦士様の間にどんないさかいがあるというの。もし
何かあるとしても、あなたにはわたしが触らせませんよ」  

「ウィスタン殿は、お姫様と出会うまえにわたしがかぶっていた皮
のことを話しておられる。はるか以前、忘れ去られた道で跡形なく
消えたものと思っていた皮だ」ついでウィスタンに向かい、「いか
がです」と尋ねた。

「その剣はまだ濡れています。復讐をお望みなら簡単でしょう。た
だ、わたしの前で震えている妻は見逃してください」  

「その男はわたしの憧れでした。のちに、裏切りに加担した罪でき
つく罰せられろ、と幾度となく望んだことは確かですが、いまはわ
かります。最初から騙すつもりではなく、ブリトン人にもサクソン
人にもよかれと思ってやったことかもしれない、と思います。もし
また会うことがあれば、平和のうちにお進みなさい、と言うでしょ
う。ま、もはや平和などありえませんが。さて、失礼します。いま
から穴に降りて、使命を果たします」

穴の底の竜は、位置も姿勢も変えていなかった。見知らぬ者の接近
をとくに、いま梁穴の険しい壁を下りてくる男の接近を五感から警
告されていたとしても、クエリグは警戒するそぶりを見せなかった。
いや、背骨の上下運動が少し人きくなっていはしないか。そして、
瞼の開閉にいささかの緊張が見られはしないだろうか。アクセルに
はよくわからなかった。だが、底の生き物をながめているうち、ふ
と思ったことがあった。それは、この梁穴で竜以外の唯一の命ある
もの、あの山査子が、竜に とって大きな慰めになっているのでは
なかろうか、ということだ。いまも、竜はその心の目でこの山査子
を見、手を伸ばしているのではなかろうか。愚にもつかない空想で
あることはわかっていたが、竜を見ていればいるほど、ありうる話
のように思えてきた。なぜなら、こんな場所で山査子が一本だけ育
つなどということに、ほかにどんな説明がつくだろう。竜の孤独を
慰めるものとして、マーリンその人がこの山査子の成長を許したの
ではなかろうか。ウィスタンは鞘から抜いた剣を手にして、巣穴を
下りつづけた。その視線は常に底にいる生き物に当てられ、それる
ことはほとんどなかった。突然立ち上がり、恐るべき悪魔に変身す
ることを半ば予期していたのかもしれない。途中で一度足を滑らせ、
背中から滑り落ちそうになったが、剣を地面に突き立てて落下を防
いだ。そのとき石ころや砂利が斜面を流れ落ちていったが、依然、
クエリグからの反応はなかった。ウィスタンは巣穴の底に安全に下
り立った。額を拭い、アクセルとベアトリスをちらりと見上げると、
竜に近づいていき、あと数歩のところで立ち止まった。そして剣を
掲げ、刃を念人りに調べはじめた。なぜかそこに血の痕を発見して、
大いに驚いたようにも見えた。そして、しばらくの間そのまま勤か
ずにいた,さきほどの勝利からウィスタンの様子がおかしい、とア
クセルは思った。あのおかしさがつづいて、いま戦士は自分が ぜ
梁穴に入っているのか、その理由を忘れたのではなかろうか。 だ
が、老騎士との戦いで見せた意外性がここでも発揮された。ウィス
タンが突然前進した。走りはしなかったが、きびきびと速足で歩き、
そのまま歩調を緩めることなく竜の体をまたいで、早く巣穴の反対
側にたどり置きたくてたまらないかのように急ぎつづけた。だが、
竜をまたいだ瞬間、手の剣が素早く低い弧を描いていた。竜の頭が
くるくると回転しながら宙に飛ぶのを、アクセルは見た。頭は石の
床に落下し、少し転がって止まった。だが、その場所に長くはとど
まれなかった。なぜならその周囲に濃い 流れが発生した。流れは、
最初、枝分かれして頭を取り巻いたが、やがて集まってそれを浮き
上がらせ、巣穴の床の上を押し流しはじめた。結局、頭は山査子の
本に引っかかり、喉を空に向けた形で止まった。アクセルはトンネ
ルの中でガウェインが切り落とした悪魔犬の首を思い出し、また物
悲しさに押し包まれそうになった。慌てて心から目をそらし、まだ
歩きつづけているウィスタンを見た。戦士は広がりつづける血溜り
を避け、ぐるりと円を描くように戻ってくると、剥き出しの剣を下
げたまま巣穴の底から地上を目指しはじめた。

「終わりましたね、アクセル」とベアトリスが言った。  
「終わったな、お姫様。だが、あの戦士に一つ尋ねたいことができ
た」

               *  

ウィスタンが穴から出てくるまでに、意外なほどの時間がかかった。
ようやく一人の前に現れたウィスタンは少しも浮き立った様子がな
く、むしろ意気消沈しているように見えた。一言も発しないまま巣
穴の縁の焼け焦げた地面にすわり、いまさらのように剣を上中に深
々と突き刺した。眼差しはうつろで、その向かった先は巣穴ではな
く、それを越えた先にある雲と、遠くに見える跨白い山々だった。  
ややあって、ベアトリスがウィスタンのところに行き、その腕にそ
っと触れた。

「今回のこと、とても感謝しています、ウィスタン様]と言った。
「もしここにいれば、同じように感謝する人が国中にたくさんいる
はずです。なぜそんなに元気がないのですか」  
「元気がない……いや、すぐに元気になりますよ、奥さん。ですが、
いまは……」ウィスタンはベアトリスから目をそらし、また雲を見
つめた。
そして「あなた方ブリトン人の間に長くいすぎたのかもしれません」
と言った。

「あなた方のなかの卑怯者を軽蔑し、勇気ある人や賢い人を尊敬し、
愛してきました。幼いころからずっとです。いまこうして震えなが
らすわっているのは、疲れたからではなく、この手でいま何をした
かを考えるからです。来るべき世で、わたしは心を鋼鉄に鍛え上げ
ねば、王のためには役立たずの戦士に堕してしまいます]  

「なんのことでしょう、戦士様」とベアトリスが尋ねた。

「これから何があると言うのですか」  
「正義と復讐です、奥さん。これまで遅れていた正義と復讐が、い
まや大急ぎでこちらへやってきます。もうすぐです。わたしの心が
いま乙女のように震えているのは、わたしがあなた方の間に長くい
すぎたからに違いありません」  
「最前おっしやった言葉が耳に残っています」とアクセルが言った。
「平和のうちに進めと言いながら、もはや平和などありえないとも
言われました。あなたが竜の巣穴に下りていくのを見ながら、どう
いう意味だろうと考えていました。ここで説明していただけません
か」  
「アクセル殿はわかりはじめておられるようです。わたしの王が雌
竜退治を命じられたのは、かつて虐殺された同胞への記念碑を建て
るためだけではありません。もうおわかりでしょう。竜退治は、来
るべき征服に道を開くためです」  

「征服ですか」とアクセルはウィスタンに身を寄せて言った。「あ
りうることでしょうか、ウィスタン殿。あなた方サクソンの軍隊は、
海外からの同胞で膨れ上がったのですか。それとも獰猛な戦士ぞろ
いで、平和裏に統治されている国々でも征服を口にするのですか」  

「わが軍の兵力は、沼沢地においてさえまだまだ貧弱です。ですが、
国土全体を見渡してみてください。谷という谷、川辺という川辺に
サクソン人の村があります。どの村にも強い男たちと成長しつつあ
る少年たちがいます。西に向かって進軍するわが軍勢は、途中でそ
の男たちを吸収して勢力を拡大するでしょう」  
「これは勝利後の混乱がしやべらせているのでしょう、ウィスタン
様?」 とベアトリスが言った。「なぜそうなるのです。あなたもご
覧になったはず。ここでは、どの村でもサクソン人とブリトン人が
ともに暮らしています。子供のころから愛してきた隣人を襲う人な
どいるでしょうか」 

「そうです。いまや竜が死に、あの子を呼ぶ力が消えましたから、
すぐに落ち着くでしょう。あの少年は、たぐいまれな本物の戦士の
魂を持っています。ほかのことは学べばいい。わたしが鍛えます。
わたしと違って甘い感傷などに侵されない、鋼鉄の心を鍛え上げま
しょう。来るべき世界で、あの子は慈悲の心など微塵も見せないよ
う育つはずです」  

「ウィスタン様」とベアトリスが言った。「あなたの言葉がうわ言
なのかどうか、わたしにはまだわかりません。ですが、夫とわたし
は弱っています。山を下りなければなりません。あの騎士様の埋葬
のお約束、覚えていてくださいますか」  

「約束しますよ、奥さん。そろそろ鳥どもが集まってくるころでし
ょう。あなた方は、今後この国がどうなるか、その一端をお知りに
なった。逃げる時間はあります。騎士殿の馬に乗り、この土地から
お逃げなさい。息子さんの村へ行くなら、そうなさるといいが、と
どまるのはせいぜい一日か 二日。わたしたちの軍隊はまだでも、
憎しみの炎がいつ燃え上がるか誰にもわかりません。息子さんにも
警告を。聞き入れないようなら捨て置いて、ご自分はできるだけ西
へ逃げることです。まだ虐殺は逃れられるかもしれません。さあ、
行って騎士殿の馬をお探しなさい。ああ、エドウィンのあの不思議
な熱がさめて、落ち着いているようなら、ロープを切ってやってく
ださい。そして、ここへ来るように、と。あの子には荒々しい未来
が待っています。つぎの段階へ進むためにも、この場所を----倒れ
た騎士と倒れた雌竜を----ぜひ見せておきたい。それに、あの子は
墓掘り上手だったことを思い出しました。さあ、お急ぎなさい、や
さしい友よ。そして、さようなら」



第16章
しばらくまえから山羊がエドウィンの頭の近くを歩きまわって、ガ
サガサとうるさい。なぜこんなに近くに来るんだろう。同じ杭に結
びつけられているのは確かだけど、場所ならそっちにもたっぷりあ
るじやないか。起き上がって山羊を追い払ってもよかったが、あま
りにも疲れていた。ついさっき不意に疲労感に襲われた。それはじ
つに強い感覚で、エドウィンはそのまま前のめりに地面に倒れ伏し
た。以後、頬をマウンテングラスに押しつけたまま横たわっている。
眠りに落ちかけたとき、突然、母さんが去ったという確かな思いが
湧き上がってきて、眠りから引き戻された。それから動かず、目を
閉じて、ただ「母さん、いま行くから。もうちょっと待って」と地
面につぶやきつづけていた。答えはなく、エドウィンの内部に大き
な空っぽの穴ができた。その後、眠ったり覚めたりを繰り返し、ま
た何度か母親に呼びかけてみた。どの呼びかけにも、返ってきたの
は沈黙だけだ。そして、いま、山羊が耳の近くで草を食べている。  

「母さん、許して」と土に向かってそっと言った。
「縛られてしまって、抜 け出せなかった」  

上のほうから声がする。そのとき初めて、周りで聞こえているのは
山羊の足音ではない、と気づいた。誰かが手をほどいてくれている。
体の下からロープが引き抜かれた。やさしい手が伸びてきて、エド
ウィンの頭を持ち上げた。目を開くと、老婦人の顔があった。ベア
トリスさん………ヘアトリスはエドウィンの顔をのぞき込むように
していた。もう縛られていないことに気づき、エドウィンは立ち上
がった。片方の膝がひどく痛んだ。だが、不意の突風に体を揺さぷ
られても、ちゃんと立っていられる。あたりを見回すと、灰色の空
と、上り斜面と、隣の山の頂にある岩の並びが見えた。少し前まで、
あの岩こそすべてのように思えていたのに、いま、母さんは去って
しまった。そのことはもう疑いようがない。戦士に言われた言葉を
思い出した。救出には遅すぎたとしても、復讐にはまだ間に合う。
戦士の言うとおりなら、母さんを連れていったやつらに、借りを返
してやる。思い切り返してやる。 

ウィスタンの気配がなかった。ここには老夫婦しかいない。だが、
いてくれることにエドウィンの心が和んだ。二人は前に立って、心
配そうに見ている。親切そうなベアトリスさんの姿に、突然、涙が
出そうになった。だが、何か言っていることに気づいた。ウィスタ
ンさんのことを何か言っている。エドウィンは一所懸命聞こうとし
た。ベアトリスさんのサクソン語は聞き取りにくいし、風が邪魔を
する。エドウィンはとうとう相手の言葉をさえぎり、

「ウィスタンさんは倒されたんですか」と尋ねた。  

ベトリスは目を閉じ、答えなかった。エドウィンが問いかけを繰り
返し、その声が風より大きく響いたとき、ベアトリスははっきり首
を横に振って、言った。  

「聞こえなかったの、エドウィン?ウィスタン様は無事です。あの
道のてっぺんであなたを待っていますよ」  

聞いて、エドウィンはほっとし、駆け出した。だが、すぐに目まい
がて、しかたなく、言われた道までも出ないうちに足を止めた。気
を落ち着かせ、後ろを振り返った。老夫婦が自分の方向へ数歩踏み
出すのが見えた。なんて弱くて、頼りなさそうな人たち、と思った。
風の中に並んで立ち、支え合っている。初めて出会ったときよりず
っと老いて見える。あれで、山を下りるだけの力が残っているんだ
ろうか。いまぼくを見ているけど、あの奇妙な表情は何。二人の後
ろでは、いつも動きまわってしかたがない山羊までが、立ち止まっ
てぼくを見ている。不思議な思いがエドウィンの心を通り抜けてい
った。ぽくはいま頭のてっぺんから足の爪先まで血 に濡れている、
と思った。だから、みんながああやってじろじろ見つめているんだ。

だが、足元を見下ろしてみると、服のあちこちに泥と草がついてい
るだけで、とくに変わったことはなかった。不意に、老人が何か叫
んだ。プリトン人の言葉で、エドウィンには理解できなかった。あ
れは注意だったんだろうか。頼みだったんだろうか。ベアトリスさ
んの声が風に乗って聞こえてきた。  

「エドウィン、わたしたち二人からのお願い。これからも、わたし
たちを忘れないで。あなたがまだ少年だったころ、老夫婦と友達に
なったことを思い出して」  

それを聞いたとき、ほかにもよみがえってきたものがある。戦士と
の約束があった。ぽくにはすべてのブリトン人を憎む義務がある。
でも、このやさしいご夫婦も含めろとは、ウィスタンさんも言わな
いだろう。いま、アクセルさんが、おずおずと手を上げている。さ
ようならのつもりかな、 行くなということかな……… エドウィン
は前を向いた。今度は、走り出しても体がちゃんと応えてくれた。
風が一方から体を押してきても、もう平気だ。母さんは去った。た
ぶん、どうやってももう取り戻せない。でも、戦士は無事で、ぼく
を待ってくれている。エドウィンは走りつづけた。道は険しくなり、
膝の痛みは ひどくなったが、走りつづけた。 

                     『忘れられた巨人』

次回から最終章(第17章)に入る。

時代設定:前カンタベリーのアウグスティヌス(Augustinus Cantuar-
iensis, 生年不明 - 604年5月26日か605年)はイングランドへのキリ
スト教布教で知られる7世紀の司教。初代カンタベリー大司教。正教
会・カトリック教会・聖公会で聖人)時代(ブリテン先史時代以降~
前中世期)。グレートブリテン島には紀元前9世紀ころから紀元前5
世紀
ころにかけてケルト系民族が侵入。これによってグレートブリテ
ン島の鉄器時代が始まり、ブリテン島各地にケルト系の部族国家が成
立。紀元前55年ローマユリウス・カエサルがグレートブリテン島に
侵入、西暦43年ローマ皇帝クラウディウスがブリテン島の大部分を征
服。ローマ帝国時代のブリタニアはケルト系住民の上にローマ人が支
配層として君臨。ただしローマの支配はブリテン島北部のスコットラ
ンドとアイルランド島には浸透せず、ケルト系住民の部族社会が続い
た。5世紀になって西ローマ帝国がゲルマン系諸集団の侵入で混乱す
ると、ローマ人はブリタニアを放棄。ローマの軍団が去ったブリタニ
アはゲルマン人の侵入にさらされる。

ゲルマン人のアングロ・サクソン諸部族がブリタニアに侵入し、グレ
ート・ブリテン島南東部を征服。この地域には後世アングロサクソン
七王国と呼ばれるようになる小国家群が成立。5-7世紀にブリテン島
南部のピクト人はアングロ・サクソンによって吸収・消滅する。この
ブリテン島南部の小国家割拠状態の中から次第にイングランド地方
形成された。イングランドの名称はアングロ・サクソン諸部族の中の
アングル人に由来。一方、ウェールズにはゲルマンは浸透せず、ロー
マから取り残されたケルト系の住民が中世的世界。スコットランドと
アイルランドもゲルマンに征服されることなく、ケルト系部族国家が
継続。それぞれの地域はこの頃から次第に独自の歴史性をもって分離
していく。この後、イギリスの歴史は、イングランド、ウェールズ、
スコットランド、アイルランド(現在では北アイルランドのみ)より
構成される連合王国(イギリス)の歴史となる。イングランドはまず
ウェールズを併合し、アイルランドを植民地化し、スコットランドと
連合、さらにアイルランドを併合するも、その大部分が独立して現在
の形となった。

                        この項つづく

 
【ポストエネルギー革命序論77】

画像処理事業:血管のなかも通れる砂粒大の極小カメラ
10月22日、 OmniVision Techonologiesは同社のイメージセンサ
「OV6948」が商用イメージセンサーで世界最小としてギネス世界記録
登録されたことを発表。内視鏡などの医療用イメージセンサで、サ
イズはわずか0.575×0.575mmとなっている。200×200ドット(4万画素)
解像度の映像を30fpsでキャプチャ可能。本センサーを搭載したカメ
ラモジュール「OVM6948 CameraCubeChip」も、本体サイズが0.65×
1.158×0.65mm(幅×奥行き×高さ)に抑える。高効率なウェハレベル
パッケージング技術により小型化を実現。センサにはバックサイド光
源を備えており、LED光源の発熱を抑えながら、低照度環境下におい
ても優れたイメージを出力可能という。独自の「OmniBSI」技術を搭
載し、容易にキャリブレーション可能なほか、4ピンのインターフェ
イスによりシンプルな接続性を実現。カメラモジュールとしては、
120度の視野角と、3mm~30mmのフォーカスレンジを備えており、アナ
ログ出力は4m超の転送が可能。消費電力は25mW。本センサおよびカメ
ラモジュールにより、神経、眼科、耳鼻咽喉科、心臓、脊椎、泌尿器
科、婦人科および関節など、身体のもっとも細い血管内の映像を映し
出すことができるとしており、需要が拡大を続けている内視鏡分野の
ニーズに応える。



40年までに洋上風力発電事業は110兆円に成長
10月25日、国際エネルギー機関の報告書によると、洋上風力は今
後20年間で指数関数的に成長し、エネルギーシステムの脱炭素化と大
気汚染の削減が世界の電力供給の大部分を占めると予測。


IEAは、2040年までに世界の洋上風力発電の容量を15倍に増やし、1兆
ドルの累積投資を誘致できると判断しています。ただし、これはほん
の始まりに過ぎず、政策立案者からの強化支援により、急速成長する
可能性がある。洋上風力資源は非常に豊富であり、IEAは最終的に年間
420,000テラワット時(TWh)以上を生成できると計算。これは現在の
世界の電力需要の18倍に相当する。欧州は洋上風力技術の先駆者、
この地域は将来の発展の原動力となる位置する。今日、欧州連合(EU
)の洋上風力発電容量はほぼ20ギガワット。現在の政策設定では40
年までに130ギガワット近くまで上昇するように設定。炭素中立性の
目標に達すると、洋上風力発電容量は2040年までに約180ギガワット
に跳ね上がり、地域最大の単一電源となる。政策が洋上風力のクリー
ンな水素の需要を大幅に増加させる野心的なビジョンは、欧州の洋上
風力発電容量を劇的に増加させる可能性がある。

過去10年間、エネルギーシステムの変革----シェール革命と太陽光発
電----に続き洋上風力発電は、大幅なコスト削減の観点からランクに
加わる可能性がある。洋上風力の大きな期待は、海上でさらに展開で
きるフローティングタービン開発の貢献による。理論的には、洋上風
力発電は、欧州、米国、日本など、複数の主要な電力市場の電力需要
全体を数回満たせる、現在、洋上風力発電は世界の発電量のわずか、
0.3%の供給だが、クリーンエネルギーの移行の主力になるためには、
政府と民間による作業が残っており、長期ビジョンを提供することで、
洋上風力発電開発による加速推進される。これには、低コストの資金
調達と、発電の効率的な統合を提供する陸上送電網の拡張に関する規
制が含まれる。IEAは、石油およびガス会社がオフショア技術の専門知
識を活用する大きなビジネス機会でもあると述べ、建設・保守を含む
洋上風力事業トの推定40%の生涯コストは、洋上石油およびガス部
門と大きな相乗効果をもたらし、最大の洋上風力エネルギー市場では、
今後20年間4千億ドル(約44兆円円以上の市場機会となると試算
する。

 

二酸化炭素捕捉ファラデー電気スイング反応吸着システム

10月25日、マサチューセッツ工科大学は、空気の流れから二酸化
炭素を除去する新しい方法----大気中の約100ppm二酸化炭素濃度まで
捕捉できるシステムの開発に成功したことを公表。



本件の炭素回収は、温室効果ガスの排出を削減するための最も重要な
方法の1つ。従来の技術は、熱エネルギーの損失、大きな設置面積、
または吸着剤の劣化により、本質的に非効率的。二酸化炭素の二酸化
炭素への還元的付加を利用して炭素を捕捉する電気化学セルを備えた
固体ファラデー電気スイング反応吸着システムである。このデバイ
スはコンパクトで柔軟性があり、補助装置の必要性を排除し、電気化
学的に活性化されたレドックスキャリアを使用し、エネルギー損失を
排除。ポリアントラキノン–カーボンナノチューブ複合負極を備えた
電気化学セルは、還元されたキノンのカルボキシル化により充電時に
二酸化炭素を捕捉し、放電時にを放出する。セル構造は、ガスにさら
される表面積を最大化、平行通路接触器ベッドでのセルの積み重ねを
容易にします。ファラデー効率が90%超とし、一定の二酸化炭素容
量で、0.6%(6000 ppm)から10%までの二酸化炭素濃度の入口ストリ
ームから、密閉チャンバーと吸着床の両方で捕捉することを実証した。
 捕捉された二酸化炭素モルあたり40〜90 kJの仕事。電気化学セルの
優れた耐久性は、7000サイクル後の容量の30%未満損失を示す。

 
水と食物とエネルギーの関係でトレードオフ可能

10月5日、米国オレゴン州立大学(OSU)のキャンパスで進行中の
実証研究を報告する調査チームは、世界の農地のわずか1%に太陽光
発電システムを設置するだけで、世界の電力需要に十分であることを
公表。この結果によると、農業生産性と生物多様性、特に受粉者の著
しい増加を明確にした。

農地での農業エネルギーシステムの実践:太陽光発電の利点を取り入
れるPVパネルの下および周辺で植物を栽培(日本発ソーラーシュアリ
ング)すると、植物の成長、水保全、固有の生物多様性、およびより
高い太陽エネルギー変換効率につながる微気候と生息地が生まれる。
太陽光発電の可能性は耕作地を超えて最大にする。 同研究チームは、
さまざまな種類の土地での太陽光発電システムのもと、太陽光発電と
農業生産に重要な変数(日射量、気温、相対湿度、風速と風向、土壌
水分)を調査。農地は、17の科学的土地利用分類の単位面積あたり
最大の太陽光発電ポテンシャルの中央値であり、約28ワット/平方メー
トル(W / m2)であった。この研究結果は、農業とエネルギー生産の
土地利用でのトレードオフに関して、水と食物とエネルギーの関係で
利益相反を調整できることにある。



二重用途の農業システムの可能性は、太陽光発電開発の土地の競争ま
たは他の空間的制約を緩和し、将来のエネルギー持続可能性に重要な
機会を与える可能性がある。

【要約】
太陽エネルギーは、世界中の再生不可能な電力需要のかなりの部分を
相殺する可能性があるが、このレベルで展開されると、広範囲の領域
を占める可能性がある。大規模な再生可能エネルギー施設が他の土地
利用に取って代わるという懸念が高まっている。最高のエネルギー生
産を達成し、限られた土地資源を最大限活用に、将来の太陽光発電設
備はどこに配置すべきか----この作業前提は、太陽電池パネルの効率
が、その中にある場所の微気候関数。現在の研究では、太陽光発電(
PV)パネルの機能に影響を与える環境要因の多くはほとんど無視され、
パネルの微気候の影響を取り入れた太陽電池パネルの効率のモデルは、
第一原理から導き出され、野外観察で検証。結果は太陽電池パネルの
効率が日射量、気温、風速、相対湿度の影響を受けることを確認。モ
デルは、バイアス補正された再解析データセットを使用してグローバ
ルに適用され、太陽電池パネルの効率と、地域の条件を考慮した太陽
光発電の可能性をマッピング。太陽光発電のポテンシャルは、地域の
土地被覆分類に基づいて分類され、耕作地の最大太陽光ポテンシャル
の中央値は約28µW/m2。二重用途の農業システムの可能性は、太陽光
発電開発のための土地の競争または他の空間的制約を緩和し、将来の
エネルギー持続可能性のための重要な機会創出できるだろう。世界の
エネルギー需要は、農地の1%未満でも農業システムに変換された場
合、太陽光発電によって相殺できる。

※Solar PV Power Potential is Greatest Over Croplands,Scientific
Reports
 volume 9, Article number: 11442 (2019), https://www.
nature.com/articles/s41598-019-47803-3#article-info
           

 

コメント
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