極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

新規スマート再エネ事業 ①

2023年06月30日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

【寄せ植え計画 Ⅳ】

   





最上部のペンタスプレミアムは、春から秋まで長期間開花し、暑さ
に負けずによく開花するが、本来は低木状(0.3~1.5m)に育ち、
タネから育てる矮性に改良された品種が小型~中型の鉢物や花壇苗
に普及拡大。原産地は熱帯東アフリカからイエメンで、常緑性,開
花期が長い、耐寒性弱いの特徴。中段のルドベキア・アマリロゴー
ルドは、一年草で、これまでのプレーリーサンよりもひとまわりコ
ンパクトな品種。夏らしい黄色の花と、扱いやすい大きさが特徴(
開花期: 6~11月 草丈: 40~50cm  学名:Rudbeckia hirta キク科
)。下段の斑入りゼラニウムは、葉に模様のあるゼラニウムの一種。
江戸時代後期に輸入され、昭和初期まで「花」よりも「葉」が好ま
れ高値で取引きされるほど人気があるが、日本の高温多湿の気候に
弱く、しだいに栽培が少なくなっていたが、近年アメリカで品種改
良されたものが多く販売されるようになり、日本の気候にあった斑
入りゼラニウムの人気が高まる。フウロソウ科・テンジクアオイ属
で南アフリカ・ケープ地方が原産、常緑性多年草(別名。テンジク
アオイ・モンテジクアオイ)、草丈は20~100cm、開花時期は3~12
月上旬。特に高温多湿に弱い。大規模気候変動時代に入り、北限・
南限が交差する滋賀県「地植え」「鉢植え」にしろ寒さ(雪害・暑
さに弱いのは外さなければいけないが、今年いっぱいで見極めしな
いと焦る。



世界初の「バッテリータンカー」、2026年にデビューへ
日本のPowerX社は、愛媛県今治市で開催されたバリシップ国際海事
展示会において、史上初の「バッテリータンカー」の詳細設計を公
開となる。

     
 
 

【再エネ革命渦論 144: アフターコロナ時代 143】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中  ㉗

ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


日本経済新聞出版
異次元エネルギーショック 2050年への日本生き残り戦略
著者名:橘川武郎【編著】/平沼光【編著】
【内容説明】
橘川武郎、高村ゆかり、瀬川浩司、平沼光、田辺新一、杉本康太、黒崎
美穂――。 第一人者が集結し、政策を大胆に見直す。 気候変動問題へ
の対応、コロナ禍からの復興、地政学的なエネルギー安全保障への対応
そして、脱炭素経営の必要性など、様々な要素が複雑に絡み合い、我々
はこれまでにない異次元のエネルギー危機に直面しています。国産エネ
ルギーの積極活用、再生可能エネルギー政策の注目点、エネルギー高
騰時代のクリーンエネルギー技術、住宅・建築分野での徹底した省エネ、
投資家・金融家視点でのエネルギー政策など、各分野の第一人者が大
胆な改革を提示。
目次
第1章 ウクライナ危機の最大の教訓――エネルギー自給率の向上(橘
 川武郎)
第2章 再生可能エネルギー政策の三つの注目点(高村ゆかり)
第3章 エネルギー高騰時代のクリーンエネルギー技術を見極めよ(瀬
    川浩司)
第4章 エネルギーとのセクターカップリングでEV普及を(平沼光)
第5章 生き残りのカギは「徹底した省エネ」(田辺新一)
第6章 日本の電力市場の設計――これまでとこれから(杉本康太)
第7章 エネルギーショックに対峙する投資家の視点(黒崎美穂)
第8章 メッセージ 日本の生き残る道(共同執筆)


First ever beaming of orbital solar power


赤外偏光を分離・結像するメタレンズ作製 赤外線を分離する
熱輻射に隠された偏光情報を可視化するメタレンズを実現
6月29日、東京農工大学とタムロンは,メタサーフェスを利用して,熱放射
に対応する波長の赤外線を制御し,偏光方向ごとに分離して結像させる
メタレンズを製作することに成功。 【概要】 波長7~14μmの長波長赤外線
は,サーモグラフィに利用されている。発光を見ているので照明光が不要
で,夜間の人体検出などに応用されている。また,光が持っている偏光情
報を解析すると,滑らかな表面を検知することができる。そのため,長波
長赤外線で偏光情報を可視化できれば,夜間無照明での人体検知や車
両検知への応用が期待される。通常,このような測定には,イメージセン
サの各画素に方向の異なる偏光子を配置した偏光イメージセンサが用い
られる。しかし,偏光イメージセンサは高コストで,偏光子が入射光の半分
を吸収・反射するので効率が下がってしまう。これは,イメージセンサの高
感度化が求められる長波長赤外線において特に大きな課題だった。 これ
に対し研究グループではメタレンズを利用し,偏光を吸収するのではなく
分離することで,長波長赤外線においても高効率な検出が,既存のレン
ズを交換するだけで簡単に実現できるのではないかと着想した。 今回,
単結晶シリコン基板上に,長方形断面を有する柱構造をメタアトムとして
数千万本配置した偏光分離メタレンズを設計・製作した。これは直交する
2つの方向の偏光成分を,それぞれ別の場所に結像させることができる。
スーパーコンピュータ上での電磁場解析によって,設計通りの動作ができ
ることを確認した。電子線描画装置,反応性イオンエッチング装置を用い
てこのレンズを実際に製作し,はんだごてや右手のような対象を2つに分
離して結像することを確認した。また,電車のおもちゃに長波長赤外線を
照射すると,窓部分において偏光方向によって異なる反射率が得られる
ことを可視化した。今回のメタレンズは波長10μm(周波数約30THz,温度
約27℃に対応)で設計されたものだが,この研究成果はシリコン柱の導波
路効果に基づいており,非共鳴型であるため,複数の波長に対応させるこ
とが期待されるという。 研究グループは,熱輻射の持つブロードな波長帯
域を広くカバーするレンズやカメラの実現によって,熱輻射の制御やセン
シングへの応用が期待されるとしている。



図5 (a) メタレンズで撮像した偏光分離画像による偏光情報の可視化。
電車模型の窓部に反射率の違いが見え る。 (b)実験の様子。ホットプレ
ートからの赤外線が模型で反射し、メタレンズを搭載したカメラで観察し
て いる。
【展望】
今回のメタレンズは波長10μm(周波数約30テラヘルツ、温度約27℃に対
応  )で設計されたものですが、本研究成果はシリコン柱の導波路効果に
基づいており、非共鳴型であるため、複数の波長に対応させることを期待。
熱輻射の持つブロードな波長帯域を広くカバーするレンズやカメラの実現
によって、熱輻射の制御やセンシングへの応用が期待される。
【関連論文】
論文タイトル: Linear polarization-separating metalens at long-wavelength
         infrared DOI:
         https://doi.org/10.1364/OE.492918

  森を守る最新システム開発 ⑤
仮に環境条件の気温を主要因として平均気温1℃上昇した場合、日本
の森林の成長に伴う、全植林重量及び体積は変化(増加)するのだろう
かと鬱蒼とした河川敷の間食する雑木林をみて考える。



特別企画|小規模再エネ発電をコアに独自な地域活性化に取り組む
花粉症対策で全国のスギを大量伐採
間伐材が木質バイオ発電特需を生む

本年4月、岸田首相は花粉症対策の関係閣僚会議を開き、花粉症の根源
“スギ"の伐採を今後10年間全国で進める。伐採によって大量の間伐材が
発生する。その受け皿として、最注目されるのが木質バイオマス発電。ゼ
ロカーボンシティ宣言した自治体にとっては、手立てがなかった推進策に
光明を得た。 閣僚会議でスギ伐採加速を指示  本年4月、政府は首相
官邸で花粉症対策を議論する初の関係閣僚会議を関いた。岸田文雄首
相は、花粉症は我が国の社会問題と位置づけ、スギ伐採の加速化を柱
に今後10年間に向けた政府の対策を取りまとめるよう閣僚らに指示した。  
3本柱として、スギ伐採などの発生源対策、人工知能(AI)を活用した予
測の充実、治療法の普及を挙げ、6月に決定する「経済財政運営と改革
の基本方針(骨太の方針)」に反映させる方針。 花粉症は、これまで長い
間各省庁で取組が行われてきたが、いまだ多くの国民を悩ませ続けてい
る。

この問題に対処するためには、関係省庁の縦割りを排し、様々な対策を
効果的に組み合わせて実行していくことが重要とした。  会議は松野官
房長官がトップを務め、人工林の約7割がスギ・ヒノキ林 花粉症の約70
%はスギ花粉症だと推察されている。日本の国土に占めるス構成員は農
林水産省、環境省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省
の各大臣が参加する。スギ林の面積は広大で、全国の森林の18%、国土
の12%を占める。  日本では、戦時中や戦後の過度な伐採により荒廃し
た山地の復旧や高度経済成長期における木材需要の増大など、木材と
して好まれ、成長が早く、日本の自然環境に広く適応できるスギ・ヒノキの
造林を推進してきた。  現在、日本の国土面積(3,779万ha)の約70%を占
める森林(2,505万ha)のうち、国民の生活圏を取り巻いている人工林面積
は1,020万haで、森林面積全体の約40%にも及ぶ。そのうち、スギ・ヒノキ
林が約70%を占めている。面積ベースで 人工林の半分が50年生を越え
て成熟し、利用期を迎えている。 1県で毎年900万本のスギ伐採が必
要 林野庁のデータによると、人工林1ha当たり、約3,000本のスギ・ヒノキ
森林面積に占めるスギ・ヒノキ人工林の割合の苗木が植えられ、除伐、
間伐を経て、成長すると500~600本になる。 今後10年間で、伐採すべき
スギ・ヒノキ(成木と間伐木)は、全国で40億本以上にも達する計算になる
。この本数のスギ・ヒノキを10年かけて伐採するには、45都府県(北海道
縄はスギ・ヒノキ 林がほとんどない)1県当たりに換算すると、年間900万
本、毎日2~3万本ものスギ・ヒノキを、10年間にわたり伐採し続けなけれ
ばならないことになる

衰退した林業の窮地を教えるか  
しかし、現状の林業・木材産業は、この豊富な資源を有効活用する、受け
皿となる市場が存在しないのが実情である。 2020年の林業経営体数は
約3.4万経営体で、2005年の約20万経営体から大幅に減少。林業従事者
4.4万人であり、森林保有面積10ha未満が林家数の約9割を占めるな
ど、小規模、零細である。国は、森林・林業・木材産業の復興に向け、新た
なまちづくりに向けた木材の活用、エネルギー安定供給に向けた木質バ
イオマスの活用などに取り組んでいるが、目覚ましい成果に至っていない。
 林業が衰退する我が国にあって、花粉症対策のスギ伐採を、林業復興
の窮地脱出の恵みの雨にしない手はない。

地方公共団体の説炭素化に弾み
さらに国が縦割り行政を崩してまで取り組む花粉症対策の“スギ伐採"は
ゼロカーボンシティを表明した自治体にとっても朗報だ。
 2050年二酸化炭素排出実質ゼロを表明した自治体は(2023年3月31日
時点)、東京都・京都市・横浜市を始めとする934自治体(46都道府県、531
市、21特別区、290町、46村)にのぼる。  しかし、表明はしたものの有効
な実施策が見当たらない自治体がほとんど。環境省は、モデルケースに
なる自治体づくりに必死だったが、具体的な実行計画を見いだせない状
況に窮迫していた。CO2などの温室効果ガスの実質排出量ゼロを達成す
るために人為的な発生源による排出量と森林等の吸収源による除去量
との間の均衡を達成することを掲げており、花粉症対策によるスギ伐採
が自治体の脱炭素化の切り札的存在として原動力になりえる。

製材後の廃材ぱ燃料"資源 
経度省としても、エネルギー新ミックス改定では、2030年度の温室効果ガ
ス46%削減に向けて、バイオマス発電を5%程度80GW(2020年時点で
2.9%)と設定している。再エネのFITを活用した木質バイオマス発電施設
が各地で稼働し、地塗地酒の地域経済への効果も期待している。 バイ
オマス発電では、 国産木質ペレットなどを活用することを優先したいが燃
料の安定供給が難しく、安価なことから輸入燃料に頼っているケースが
多い。大手商社が進めているの東南アジアや北米などで森林を伐採して
製造 (イメージ写真) した燃料を大量に輸入して、火力発電所で燃やすバ
イオマス発電が主流だ。 しかし、国策としてスギ伐採が全国で造めば、全
国の多くの自治体では、大量に発生するスギ廃材を、ゴミとして処分する
こともできないことから、より賢明な活用方法を整備・構築し、対処しなけ
ればならない。  再エネの地産地酒目的で小規模木質バイオマス発電の
導入が進めば、分散型エネルギー社会の実現に向けても一歩前進する。
災害時の電力確保という視点だけでなく、エネルギーの効率的活用や地
域活性化等の意義もある。比較的小規模で、かつ様々な地域事情に対
応しやすい小規模な木質バイオマス発電は、過疎地の電力自給にもなる
ので、系統負荷の軽減にもつながってくる。

林業の整備で地元雇用も促進ヘ 
  スギ伐採で発生する廃材は、間伐、収穫の伐採で発生する枝・葉・伐根・
梢端などだけではない。苗木を植える前に取り除いた雑草、植栽後の下
草刈り、余分に生えた潅木、除伐、枝打ち等、廃材の種類は様々あり膨
大な量になる。製材の作業工程でも、さまざまな種類類と形状のものが
排出される。主なものとしては、はく皮工程で生じる“樹皮"、ひき材工程
で発生する“のこ屑"および“背板(丸太外周を含む部分)"、かんな仕上げ
によって生じる“プレーナ屑"などである。  背板や端材はチップに加工さ
れた後、主に製紙原料として利用され、のこ屑と樹皮の一部は,家畜敷料
として提供されている。樹皮の主な利用用途は、堆肥および土壌改良材
原料である。 捨ててしまうような木材でも、細かく粉砕加工することで、貴
重なエネルギー資源や資料になる。

発電事業としては多難な木質バイオマス発電だが 
木質バイオマス発電は、エネルギー自給率の向上、災害時等におけるレ
ジリエンスの向上、我が国の森林整備・林業活性化等の役割を担い、地
域の経済・雇用への波及効果が大きい等の多様な価値を有する電源で
ある。 しかし、木質バイオマス発電の運営コストの7割を占める木質バイ
オ燃料費の高騰に加え、木質バイオ燃料の安定供給、持続可能確保が
乏しいことから、太陽光や風力発電に比べ、普及に至ってない。 農林水
産省及び経済産業省は、木質バイオ燃料の供給元としての森林の持続
可能性の確保と木質バイオ発電の発電事業としての自立化を両立させ
るため、課題解決に向けた方策を官民連携により検討するための場とし
て「林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向け た研究会」を令和2
年に間催している。


小規模な木質バイオマス発電に期待
今後、日本各地の山間部で進むスギ伐採は、2050年ゼロカーボンシティ
(二酸化炭素実質排出ゼロ)を表明している自治体にとっては、森林由来
の未利用資源エネルギーとして最大限に利用するチャンスでもある。  
それは、同時に資源の収集や運搬、バイオマスエネルギー供給施設や
利用施設の管理・運営など、新しい産業と雇用が創られ、山村地域の活
性化にもつながる。 そのためには、自治体の規模や立地、財政等に合
致した、独自のゼロカーボンシティ化実行プランを描かねばならない。 小
規模な木質バイオマス発電は、より地域の実情に即した地域主導の取組
として取り組みやすく、地域に賦存する資源の最大限の活用と、それに伴
う地域利用の観点からも重要である。廃熱を活用し、ハウス栽培や養殖
等の新たな産業への取組みによる農山村の活性化 や防災など、多様な
効果が期待できる。  反面、ゼロカーボンシティを表明した自治体では、
スギ伐採に関わる様々な産業、作業を自治体内で担える受け皿を整えな
ければならない。  

 スギ伐採のための林業産業の補強、林業専用道、作業道の整備に加え
て、木質ボイラーや木質ペレットの製造施設の整備、未利用間伐材等の
収集・運搬の効率化に資する機材等の整備は容易でない。 しかし、「花
粉症対策/スギ伐採」が重点国策となったことで、農林水産省以外の省
庁からの補助も期待できる。脱炭素化、再エネ導入、産業振興、地元人
材の雇用促進等、財源が乏しい自治体にとっては高いハードルであった
が、スギ伐採から広がる林業の活性化、木 質バイオマス発電と周辺産業
の振興に現実昧が出てくる。                         ●
via 環境ビジネス 2023年夏号
 

   
【最新光触媒特許技術】
今回は、システムをリサーチする

1.特開2023-035949 水素製造装置および水素製造方法
【要約】 図1のごとく、補助電極106は、Na2[FeII(ox)3]を黒鉛と混合し、こ
れを集電極に塗布する。正電極107は、プルシアンブルーを黒鉛と混合し、
これを集電極に塗布する。負電極108は、電解還元用のものを使用する。
セパレータ119は、陽イオン交換膜である。電解液104は、炭酸ナトリウ
ムあるいは炭酸水素ナトリウム水溶液を用いる。補助電極の電解液105
は、シュウ酸ナトリウムを用いる。負電極は電極端子202bと電極端子
202a間に可変直流電源112aが接続されている。スイッチ回路115aが
オンすることにより負電極と正電極間に電流が流れ、水素が発生する。
負電極で発生した水素(H2)は、気体収集器109で収集され、配管110
を通して、気体貯蔵器120に集められることで、素製造時に二酸化酸素
が発生せず、環境に優しく、低消費電力で水素を製造することができる装
置および方法を提供する。

【図1】本発明の水素製造装置の構成図および水素製造方法の説明図
【符号番号】101 コントロール回路 102 容器 103 攪拌ファン 104 電
解液 105 電解液 106 補助電極 107 正電極 108 負電極 109 気体
収集器 110 配管 111 電解液循環器 112 可変直流電源 114 電極電
圧制御回路 115 スイッチ回路 116 スイッチ回路 117 光発生装置 118
光 119 セパレータ 120 気体貯蔵器 121 塩橋 122 光発生制御回路
201 水素発生器(水素発生装置) 202 端子電極 203 水素取出し穴
301 反射板 302 導光板 303 拡散板 401 印加電流(電圧)制御装置
403 ポンプ 404 フィルタ 405 電磁弁 407 液体タンク 408 気体分離
タンク 409 レベル検出器 410 ドライヤー 411 気体流量計 501 水素
発生ユニット 502 集光レンズ 503 光ファイバー 504 光透過窓 505
負荷 506 空洞 507 流入穴 508 流出穴 509 光拡散材 510 ヒータ

【発明の効果】 本発明は、水素製造時に二酸化酸素が発生しない。また、
水素分離時の印加電圧が小さいため、環境に優しく、低消費電力で水素
を製造することができる。 水の電気分解において、正電極で水を酸化す
る(酸素発生)代わりに鉄(II)錯体を酸化する。これにより、水素発生の
印加電圧を従来の約1/2にできる。

2.特開2021-178754 水素供給システム
【要約】図1Aのごとく、エチリジンを含むカーボン電極と、亜鉛、アルミ、マ
グネシウムを含む典型金属または銅を含む遷移金属から選ばれる金属
極とを組み合せ、金属極をイオン化しうる電解液中で電解液から水素ガ
スを発生させることを特徴とする水素ガス供給システム。下式のように、
エチリジンを含むカーボン電極と金属電極とをアルカリ又は酸性電解液
中で接触又は対向させ、エチリジンの作用により水を分解して水素ガス
を発生させる  

           CH3C+O→CH3CO++e--、2H++2e-→H2

 エチリジンを含むカーボン電極を利用して水素ガスを形成するシステム
を提供する。



【発明の効果】 本発明によれば、カーボン電極中の、層状に分離した膨
化したグラファイト層は、カルビンラジカルの代表であるエチリジンを含み
、水中で銅電極を対極として使用すると、最初はカーボン電極側からの静
かな水素の発生で始まるが(図2A)、カーボン電極はエチリジンを水中に
放出するので、対極にある銅電極と接触すると激しく水分解を開始し、水
素を含む気体を生成することが見出される(図2B)。その結果、カーボン
電極からの電解液中へのエチリジン滲出と金属電極からの金属イオンの
形成が水素ガス発生に次のように関与していると考えられる。エチリジン
CH3Cは水中で酸素と反応し、 CH3C+O→CH3CO++e-となり、
H2Oとの反応では:CH3CO++e- +H2O→CH3COOH+H2↑により、
酢酸CH3COOHを形成するとともに水素ガスH2を発生すると思われる。
また、金属は水中でエチリジンと反応し、 CH3C+Me→CH3CMe++e-
となり、 H2Oとの反応:CH3CMe++e- +H2O→CH3COMe+H2↑に
より、酢酸CH3COMeを形成するとともに水素ガスH2を発生すると思わ
れる。

そして、中間体CH3CO+やCH3CMe+は金属電極の金属イオンの形成
により電子を受けて還元され、中間体を介してエチリジンに還元され、金
属がイオンとして消失するまでこの反応が繰り返されると思われる。 他方
エチリジンを含むカーボン電極内でのナノ空間での次の現象も関与する
ものと思われる(図8)。 金属イオンMe+はグラファイト層間化合物のナノ
空間に侵入すると、グラファイト層 に付着して対極との接触電位差により
マイクロセルを構成するが、その起電力はマイクロセルに隣接するグラ
ファイト層間隔のマイクロキャパシタに蓄積されることになる。この起電力
でナノ空間ではマイクロセルが水素ガスを発生させると、微小容量Vのナ
ノ空間では圧力が急激に高まる結果、ナノ空間での温度は急激に高まり
、PV=nRTの気体状態方程式より沸騰現象が生ずることになる。本件
水素供給システムにおいて、電解槽が沸騰する原因はここにあると考え
られる。また、マイクロキャパシタでは蓄電容量が大きくなると金属を電
界蒸発させ、隣接するグラファイト層に移動付着させ、マイクロセルが移
動する結果を招来すると思われる。カーボン電極での水素発生位置が順
次変化する現象の原因と思われる。 【0011】 本発明で用いるカーボン
電極はグラファイト材料から製造されるのが好ましい。グラファイトは高
温下で急激に熱分解し、その分解に伴う生成物のガス化圧力でグラファ
イト層間を層面(六角網平面)に垂直な方向に膨化させて嵩高い膨張グ
ラファイトとなるからである。また、カーボン電極はエチリジンの作用する
正極又は空気極として使用される層間化合物であると、金属イオンは層
間化合物中に侵入して対極となるカーボン層との間に接触電位差の違い
からマイクロセルを構成し、それに隣接するカーボン層との間にマイクロ
キャパシタを形成するものと思われる(図8)。 【0012】 カーボン電極は
均一に層間隔が拡張された膨張させると、層間化合物のイオン挿入容
量を大きくすることができ、電池容量を大きくするので好ましい。 本発明
では、CH3C+O→CH3CO++e- →CH3COO-+H2↑のエチリジン
による水素ガスの形成だけでなく、カーボン電極内でのナノ空間での次
の現象が関与するものと思われる。金属イオンMe+はグラファイト層間
化合物のナノ空間に侵入すると、グラファイト層に付着して対極との接触
電位差によりマイクロセルを構成する。その起電力はマイクロセルに隣
接するグラファイト層間隔のマイクロキャパシタに蓄積されることになるが
、この起電力でナノ空間ではマイクロセルが水素ガスを発生させると、微
小容量Vのナノ空間では圧力が急激に高まる結果、ナノ空間での温度は
急激に高まり、沸騰現象が生ずることになる。発熱の原因はここにあると
考えられる。また、マイクロキャパシタでは蓄電容量が大きくなると金属を
電界蒸発させ、隣接するグラファイト層に移動付着させ、マイクロセルが
移動する結果を招来すると思われる。
※光触媒の特性をナノ・サブナノレベルで可視化することで、あるいは、
波長(電磁波)を最適化することで、さらには、触媒構成材質を持続可能
技術レベルに最適化することで飛躍するものがあることを学ぶ。書ききれ
ない。                                 この項つづく

 風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す) ベッドで俺は死なねいぞ。

サブウェイ特急
作詞 松本隆
作曲 矢沢永吉


 

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正直な筋肉 ②

2023年06月28日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



曲げられる太陽電池開発
トヨタが京大発新興企業と協業へ
EV搭載目標

6 月27日、エネコートテクノロジーズとトヨタ自動車が共同開発を
開始。毎度掲載してきているが、ペロブスカイト太陽電池は、軽量
かつ柔軟に製造可能という特徴を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さ
い屋根、あるいは車体などの曲面といった、さまざまな場所に設置
できる次世代太陽電池として期待されている。また、塗布などによ
る連続生産が可能であること、レアメタルを必要としないなどのメ
リットも持つ。エネコートテクノロジーズは、2018年に創業の京都
大学発スタートアップ企業。高効率なペロブスカイト太陽電池の材
料技術や成膜技術を有しており、2023年4月時点でモジュール変換効
率19.4%を持つフィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発に成功し
ている。また、トヨタ自動車では「トヨタ環境チャレンジ2050」の
実現に向けたさまざまな取り組みの中で、省エネルギーやエネルギ
ー多様化の観点からカーボンフリー電力の自給自足を目指し、結晶
シリコンセルを用いた車載太陽光発電システムの実用化を進めてお
り、さらなる発電効率向上や低コスト化を目指す。このように「ペ
ロブスカイトタンデムソーラー/
ネオンスキン製造事業」は最終段階
の商用化に入っている。間違いない。


via スマートジャパン

  ネオビジネスマン考 ④

知識ゼロからの空き家対策
著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればい
いかわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことを
お教えします!
【要点】
●多様化する空き家の活用法
●親が元気なうちから対策を
●空き家対策の流れ ほか
【目次】
第1章 ●空き家問題と対策のポイントを理解する ●負不動産にな
る空き家と富動産になる空き家 ほか
第2章 ●空き家の履歴書を作成し、実態を把握する ●空き家の履
歴書の作り方 ほか
第3章 ●空き家の片づけ ●空き家の管理 ●外部に相談する ●相
続登記 ほか
第4章 相続争いを防ぎ、“未来の空き家”に備える ●未来の空き
家の原因 ●家族信託とは ●遺言とは ほか
第5章 これだけは知っておきたい トラブルを防ぐ不動産取引の基
礎知識 ●不動産取引の基本 不動産会社の選び方 査定 媒介契約
など ●売るとき 全体の流れ インスペクション 測量 など ●貸
すとき全体の流れ 賃貸条件 賃貸借契約 など 知識ゼロからの空き
家対策著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
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“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればい
いかわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことを
お教えします!空き家対策でまずしなければな’りないのは、空き冪
をどうするか、軍旅で話し合うことです。ここを先延ばしにしてい
ると、活用法も管理法も決められず、空き家はどんどん劣化してい
きます。"富動産"になったはずの物件でも、活用できなくなってし
まうのです。
 話し合いをしないまま、所有者や相視人の誰かが判断能力を失っ
てしまったらヽ空き冪の活用はますます困難になります。話し合い
に遅すぎることはあっても、早すぎることはありません。ぜひ自分
から話を切り出してみてください。



 

人口減少時代の地域再生概論 ③



重要事項&用語 図解 最新 不動産契約基本法律用語辞典
森 公任/森元 みのり【監修】•NDC分類 324.2/Cコード C2032

【内容説明】
重要解説+用語辞典の2つの機能を1冊に集約。売買から賃貸、相
続・登記、税金まで、「難しい」「複雑」「なじみにくい」取引の
全体像と、実務上重要な法律用語が短時間でわかる!
目次;重要解説+用語辞典の2つの機能を1冊に集約。売買から賃
貸、相続・登記、税金まで、「難しい」「複雑」「なじみにくい」
取引の全体像と、実務上重要な法律用語が短時間でわかる! 第2
部 用語解説編(RC造;青田売り;悪意;悪意占有;言い値 ほ

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第1部 不動産をめぐる法律
◆基本事項は民法に規定がある
 不動産は一般に高い価値がありますし、土地や建物は人の生活に
とって不可欠です。そこで、土地・建物の取引については、他人の
権利との利害を調整するため、あるいは居住者をはじめとする利用
者の権利・利益を保護するため、さまざまな法律の規制があります。
 不動産をめぐるおもな法律としては、土地・建物の売買や賃貸借、
建築請負、抵当権の設定、相続が挙げられます。これらについての
基本事項は、民法に定められています。ただ、民法の決まりだけで
は、多種多様な問題に対して十分な対処ができないため、多くの特
別法が定められています。

売買にかかわる法律
 不動産売買については、農地法や宅地建物取引業法(宅建業法)
などによる規制があります。農地法は、耕作者の地位の安定、農業
生産力の増進を目的として、農地所有権の移転や利用権の設定につ
いて制限を加えています。宅地建物取引業法は、不動産購入者の保
護を目的として、不動産業者を規制する法律です。
 その他、限りある土地を合理的に利用できるようにするために、
国土利用計画法に一定の制限があります。また、欠陥住宅の販売を
規制するために、住宅の品質確保の促進等に関する法律が制定され
ています。さらに、欠陥補償の確保を目的として、特定位宅瑕疵担
保責任履行確保法が制定されています。

◆賃貸借に関する法律
 土地・建物は生活の重要な基盤になりますから、不動産賃貸借は
の賃貸借契約と区別して特に保護する必要があります。そこで、借
地に求法が制定され、民法の原則を修正し、賃借人を手厚く保護し
ていいます。建物の所有を目的とする借地権あるいは借家権につい
ては、賃主による一方的な解約を制限するなど、借主の権利が強化
されています。

◆マンションについての法律
 マンションなどの集合住宅は、複数の住人が敷地や建物の共用部
分を共有する点で、通常の一戸建てとは異なるため、建物の管理や
使用について居住者相互の関係を規律する必要があります。そこで、
建物の区分所有等に関する法律が制定されました。その他、マンシ
ョン管押適正化法やマンション建替え法といった法律もあります。



 

『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか

【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 -)は、
日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等を
経て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。 
------------------------------------------------------------
 第2章 出生率低下の構造・
  要因の分析 日本の出生率の構造的な変化
  ここで、わが国の出生率の動きを、構造面から見てみよう。  
  わが国の出生率は、197O年代半ば以降、ほぼ一貫して低
 下し続け、2005年には過去最 低の1・26となった。その後、
 持ち直したが、最近は再び低下に転じている。 図(2-2)は、
 こうした出生率の動きを、女性の年齢別出生率の視点から分析し
  たものであ る。これを見ると、わが国では出産の先送りをめぐ
  って、次のような3つの動きがあり、出生率 の構造そのものが
 きく変わっていったことが分かる。  

 【Aの動き」20代は、前後半を通じて出生率が大幅に低下した。
 四域の出生率は、O・22 (1975年)からO・05(2019
 年)へと、4分の1にまで大幅に低下した。
 【Bの動き】出生率のピーク年齢が25歳(1975年)から30
 
歳(2019年)へと、5歳高齢化し 図2-2女性の年齢別出生
 率の動き(1975⇒2019年)た。30震の出生率は、1975年と2
 019年を比べると、途中でわずかな上下動はあったものの、
 最終的にはほとんど変化がなかった。
  その結果、ピーク年齢時の出生率は、1975年のO・22(
 25歳)から、2019年のO.11%(30歳)へと半減した。
 【Cの動き】 一方、30~40代の出生率は上昇した。ただし、
 35震の出生率を見ても、O・03(75
 言からO・08(2019年)へと、その上昇幅は限られたもの
 だった。
 こうした結果、20代の出生率の大幅な低下によるマイナスの影
 響を、30~40代の出生率の上昇ではカバーし切れず、わが国の
 出生率は、全体として大きく低下していったのである-―-。

 「晩婚化」から「非婚化」へ「晩産化」から「少産化・非産化」
  ただし、このことだけでは、先ほど述べたように、テンポ効
 果による一時的な出生率低下に止まる可能性もある。ところが、
 わが国の場合は、それが2つのルートを通じて、趨勢的な出生
 率低下へと結び付いていった。
  一つは「結婚行動」に関する動きで、結婚が遅れるという「
 晩婚化」が、結婚しないという「非婚化」に結びついていったこ
 とである。
  晩婚化は、30代のみならず40代でも歯止めがかからず199
 0年代以降は、非婚に至るケー スが増えていった。図(2-4
 )にある「生涯未婚率」(50歳の時点でT厦も結婚したことの
 ない人の割含 の推移を見ると、男性は・1990年に5・6%
 であったのが、2015年には23・4%へと約4倍にも上昇し
 ている。女性も1990年の4・3%から2015年の14・1
 %へと、約3倍とな っている。こうした典婚化の動きは、出
 生率に重大な影響を与えた。もう1つは「出生行動」に関する
 動きで、「晩座化」が「少座化・典座化」をもたらしたことで
 ある。晩婚化に伴い、晩座化の動きも歯止めがかからなかった
 ため、出産の機会は30代後半以降にまで先送りされていった。
 30代後半以降になると、女性の妊娠確率の低下と高齢出産を忌
 避する傾 向によって、本来意図していなかった「出産の速失」
 につながる可能性が高まる。統計データ (図2-5)におい
 ても、結婚した時の妻の年齢が高齢であればあるほど、出生完
 敗が減っていくことが明らかとなっている。この結果、199
 0年代から、第2子や第3子を持たない「少座化」や子どもを
 持たない「典座化」が進み、出生率が低下していったのである。
  このように結婚行動と出生行動の2つの要因が重なり合うこ
 とによって、わが国の出生率は急速に低下していった。専門家
 の分析によると、19ZO年代半ばから2012年までの出生
 率の低下要因を、結婚行動と出生行動の変化の2つに分解する
 と、前者(結婚行動の変化)による効果が、後者(出生行動の
 変化)に比べて、格段に大きいとされている----。
                       この項つづく


     

 
 

【再エネ革命渦論 143: アフターコロナ時代 142】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中  ㉖

ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。



毎秒1テラビットデータのレーザー通信転送に成功
海底ケーブルが不要になる可能性は?
6月20日、スイス・チューリッヒ工科大学の研究グループは、首都ベ
ルンからユングフラウヨッホまで53kmを結んだレーザー通信で毎秒
1テラビット単位のデータ転送に成功。今後、衛星を用いたレーザー
通信が実用化されると、海底ケーブルは不要になる可能性があと言
う。この実験は2014年から800億ユーロ(当時のレートで約9兆8000
億円)を投じて行われた。インターネットのバックボーンは光ファ
イバーケーブルを用いた高密度ネットワークで形成されており、ネ
ットワークノード間で転送されるデータ量は毎秒最大100テラビット
を超える。大陸間の接続は海底に敷設されたケーブルを介して行わ
れており、世界中に530以上の海底ケーブルが張り巡らされている。
海底ケーブルの数は今後さらに増えると見込む。海底ケーブルは費
用がかかり、大西洋横断ケーブルの場合は1本で数億ドル(数百億円
)の投資が必要であり、テラビット単位のデータ転送が可能なレーザ
ー通信により、地球に近い衛星群を介して、海底ケーブルよりもコ
スト効率がよく、より高速なバックボーン接続が可能になるとみら
れている。
【関連論文】

原 題:Tbit/s line-rate satellite feeder links enabled by coherent modulation 
                and full-adaptive optics

掲載誌::Science & Applications (2023) 12:153, Published: 20 June 2023
DOI https://doi.org/10.1038/s41377-023-01201-7


【要約】
自由空間光 (FSO) 通信テクノロジーは、帯域幅需要に対処するソリ
ューションを構成する。将来の衛星と地上のネットワーク。 RF ボ
トルネックを克服し、Tbit/s のオーダーのデータ レートを達成で
きる可能性がある。 地上局はほんの一握りしかない。ここでは、
スイス アルプスのユングフラウヨッホ山頂 (3700 m) とツィマーヴ
ァルトの間の 53.42 km の自由空間チャネルを介したシングルキャ
リア Tbit/sラインレート伝送を実証。 ベルン市近くの天文台 (895
m)、最大 0.94 Tbit/s のネットレートを達成。このシナリオでは、
衛星と地上のフィーダーリンクは乱流条件下で模倣されます。悪条
件にもかかわらず、完全な補償光学システムを採用してチャネルの
歪んだ波面を補正し、偏波多重高次複素変調フォーマットを使用す
ることにより、高いスループットが達成されました。補償光学によ
り受信が歪まないことが判明 コヒーレント変調フォーマットの。
また、最低の SNRで高いデータ レートを送信する技術として、新
しい 4 次元 BPSK (4D BPSK) 変調形式であるコンスタレーション変
調も導入します。 このようにして、ビット誤り率 1 ∙ 103 。実験
では、完全適応光学と組み合わせた高度なコヒーレント変調符号化
が示されています。フィルタリングは次世代Tbit/s衛星通信を実用
化する適切な手段である。

森を守る最新システム開発 ④
仮に環境条件の気温を主要因として平均気温1℃上昇した場合、日
本の森林の成長に伴う、全植林重量及び体積は変化(増加)するの
だろうかと鬱蒼とした河川敷の間食する雑木林をみて考える。

   

今回は、合成プロパンシステムをリサーチする。

燃料の脱炭素化で期待される「合成メタン」
水素は、電化が難しい熱利用の脱炭素化や電源のゼロエミッション
化に向けた重要な技術であり、水素と炭素を原料とする合成メタン
や合成燃料は、カーボンリサイクル製品と位置付けられている。ま
た、2023年6月に改定された新たな「水素基本戦略」では、水素そ
のものだけでなく、アンモニアや合成メタン、合成燃料等も基本戦
略の対象とされている。特に、都市ガスの2050年カーボンニュート
ラル実現に向けては、合成メタン(e-methane)がその中核的な役割
を果たすと期待されている。都市ガスの脱炭素化手法の一つとして
今後の利活用が期待されている「合成メタン」。一方、合成メタン
によるCO2削減効果の定量化手法や、その取り扱いに関する制度は
整備されておらず、その確立が急務となっている。合成メタンはそ
の燃焼時にはCO2を排出するため、「企業活動レベル」及び「国レ
ベル」それぞれについて、CO2排出の取扱いを明確化する必要があ
る。 このため合成メタンの普及に向けて、メタネーション推進官
民協議会では、大規模サプライチェーンの構築やコストダウンなど
のほか、CO2の取扱いに関する制度・ルールの検討が進められている。


出所:経産省(エネルギー庁)

合成メタンの利用に係る「国レベル」の論点
合成メタンのコスト内訳の大半を水素が占めるため、安価で大量の
グリーン水素が入手可能な海外でメタネーションを行い、日本に輸
入するプロジェクトが複数進行中である。


海外で合成メタンの製造(メタネーション)を行う場合、CO2の回
収は合成メタンの製造国(図2のA国)で生じるが、CO2の排出は合成
メタンの利用国(日本)で生じることとなる。現在各国は、IPCCの
ガイドラインに基づき、温室効果ガス(GHG)インベントリを作成
しているが、現在のIPCCガイドラインは、合成メタン等のカーボン
リサイクル燃料の製造・利用について明確なCO2排出量の計上方法を
示していない。
パリ協定に基づき日本政府が作成したNDC(国が決定する貢献)達
成の観点から、合成メタンの利用が日本の排出削減に貢献すること
が重要であるため、今後、IPCC等の多国間もしくは二国間協議を通
じて、CO2削減価値の帰属ルールの整備が必要とされている

via スマート・ジャパン            この項つづく
最新メタン合成特許技術
1.特開2023-18241 循環型反応器を用いた無触媒の合成メタン製
 造技術
【要約】
循環型反応器を用いて、二酸化炭素と水素とからメタンを合成する
工程を含む、メタンの製造方法で、循環型反応器を用いた合成メタ
ン製造技術を提供する事を目的とする。

2.特開2022-108779 バイオメタンガス生成装置と利用技術
【要約】
本発明に係るメタンガス生成技術と利用方法は、過酸化水素水とエ
タノールの分子融合のメタンガス予備的液体を精製する添加剤が必
要である。その添加剤は本発明者の需要な組成分として守秘する。
またメタンガスの燃焼生成工程における科学反応は、圧力と温度帯
の技術によって可能になるが、本発明者の開発触媒によって簡易に
メタンガスが発生できる物を利用する事を特徴とする有機物や有機
廃棄物のメタンガス発酵や化石自然メタンガスの精製工程を一切経
ない方法で、簡易に人工的合成メタンガスを生成する技術と簡易に
利用できる利用方法を提供する。
3.特開2012-140382 二酸化炭素と水素からメタンを合成する方
 法
【要約】
下図1のごとく、二酸化炭素と水素を原料とするメタン合成反応は
(1)式で示されるが、実際には、(2)式で示される第一反応工
程、(3)式で示される第二反応工程の熱平衡関係から成り立って
いる。CO2+4H2→CH4+2H2OΔH=-49.4kcal/mol(1)、
CO2+H2→CO+H2OΔH=+9.8kacl/mol(2)、
CO+3H2→CH4+H2O2H=-49.3kcal/mol(3)。
第二反応工程前の組成比に関わらず、1/((3CO+4CO2)/H2
なるパラメータにより反応後の残留CO、CO2濃度を管理できるこ
とを見出した。これを利用して、合成メタンの用途に求められるC
O/
CO2許容度に応じて反応を制御することができる2段階の素反
に分離した反応工程を経て、最終的にメタンを合成する技術を提
供する。

4.特開2023-080453 気相反応用反応器及び気相反応 用反応器を
  用いたメタン又はメタノールの製造方法


【符号の説明】
1:ベッセル 2:触媒複合体 3:気体分離膜 4:気体入口 
5:気体出口 6:分離気体出口 7:掃引気体 8:ポッティン
グ部位 9:原料気体 10:非透過気体 
【概要】
図1のごとく触媒複合体2及び気体分離膜3を独立して内包する気
相反応用反応器であって、前記触媒複合体は、繊維状の構造体であ
り、その比表面積が10㎡/g以上であり、前記気体分離膜は、繊
維状の構造体である、反応器で高い反応効率を実現可能な反応器を
供する。

5.特開2023-067262 メタンガス生成装置の操業方法、高炉の操業
 方法、メタンガスの製造方法、溶銑の製造方法およびメタンガス
 生成装置

【概要】
高炉ガス中のCO/CO2ガスと水素ガスとからメタンを合成して還元
材として利用できるので、これらはCO/CO2削減に効果的な方法
である。一方で、CO/CO2ガスと水素ガスとからメタンを合成す
るためにはニッケルなどの触媒を用いて反応を高速化することが必
須であるが、触媒は高温にさらされると劣化して反応効率が落ちて
しまう。特にCO/CO2ガスおよび水素ガスからのメタン合成反応
は大きな発熱を伴う反応となるため、シェルアンドチューブのよう
な強力な冷却機構を用いて温度を制御しながら合成反応を行うこと
となる。しかしながら、合成反応器を完全に均一に温度制御するこ
とはかなり難しく、局所的にホットスポットが発生して触媒が劣化
してしまうことは避けられない。加えて、高炉では1~3か月に1
度程度しか定期修理をするタイミングがなく、それ以外は昼夜連続
運転を行っており、触媒が劣化したとしても設備を停止させて触媒
交換作業を行うことは困難である。図1のごとく、高炉から排出され
る高炉ガスを含む原料ガスからメ
タンガス合成反応器を用いてメタ
ンガスを生成する工程と、前記メ
タンガス中のメタン濃度を求める
工程と、前記メタン濃度と予め定められたメタン濃度の目標値との
比較に基づいて前記メタンガスの
生成条件を調整する工程と、を有
する、メタンガス生成装置の操業
方法で高炉、およびメタンガス生
成装置の操業条件を適正に調整す
ることで、触媒の劣化速度を制御
することを可能とするメタンガス
生成装置の操業方法および高炉の
操業方法の提供する。


図1.実施形態に係るメタンガス生成装置の操業方法に用いる高
  炉、およびメタンガス生成装置などの高炉附帯設備の模式的図

6.特開2023-64434 MFI型/MEL型ゼオライト複合体
【概要】
ゼオライトは結晶性アルミノ珪酸塩の総称であり、その組成式は、
M2/nO・Al2O ・xSiO・yHOで表され(Mは陽イ
オン、nは陽イオンの価数、x≧2,y≧0である)、吸着材や種
々の反応の触媒等として用いられる。ゼオライトは結晶構造による
分類がなされており、例えば、3.8×3.4オングストロームの
酸素8員環から構成される3次元細孔構造を有するABW型ゼオラ
イト、3.8×3.4オングストロームの酸素8員環から構成され
る3次元細孔構造を有するCHA型ゼオライトや、酸素5員環が連
結した構造を有するペンタシル型ゼオライトが挙げられる。上記ペ
ンタシル型ゼオライトは、低級炭化水素合成反応や流動接触分解の
ような石油精製プロセスにおける触媒として、従来種々検討されて
いる。ペンタシル型ゼオライトの中でもZSM-5型ゼオライトは、
酸素10員環で構成された結晶構造を有し、b軸方向に直線状の貫
通細孔と、a軸方向にジグザグ状の貫通細孔を有している。ZSM
-5型ゼオライトは特有の細孔構造と固体酸性により、炭化水素の
異性化反応やアルキル化反応の酸触媒として種々検討されている。
ZSM-5(MFI)型ゼオライトとZSM-11(MEL)型ゼ
オライトの複合体であって、該MFI型/MEL型ゼオライト複合
体は、一次粒子のアスペクト比(粒子の平均長軸径/粒子の平均短
軸径)が1.5以上、10以下であり、X線回折で観測される、結
晶格子(101)面及び/又は(011)面に帰属される回折ピー
クの強度I1と、結晶格子(200)面及び/又は(020)面に
帰属される回折ピークの強度I2との比(I2/I1)が1以上、
3以下であることを特徴とするMFI型/MEL型ゼオライト複合体
を用いて、従来のゼオライトよりもコーキングが起きにくい構造の
ゼオライトを提供する。


7. 特開2023-56800 電気化学セル及び炭化水素製造装置
【概要
図1のごとく、電気化学セル1は、酸化物イオン伝導体11の対向
する2つの面12、13に設けられるカソード2及びアノード3を
備える。カソード2は、銀を主成分とする第1粒子21により構成
され、二酸化炭素と水蒸気とを含む原料ガスGに接して設けられる
導電性金属層2Aと、遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とす
る第2粒子22により構成され、酸化物イオン伝導体11に接して
設けられる複合酸化物層2Bと、導電性金属層2Aと複合酸化物層
2Bとの間に設けられ、第1粒子21と第2粒子22により構成さ
れる中間層2Cと、が積層された構造を有する二酸化炭素及び水蒸
気の共電解による炭化水素を生成に用いられる電気化学セルを提供
する。

図1.
【発明の効果】
上記電気化学セルの三層構造のカソードに、二酸化炭素と水蒸気と
を含む原料ガスが導入されると、まず、銀を主成分とする第1粒子
を含む導電性金属層において、水蒸気の電解による水素が生成し、
中間層へ拡散する。中間層は、第1粒子と、遷移金属元素を含む複
合酸化物を主成分とする第2粒子とを含み、水蒸気の電解がさらに
進むと共に、二酸化炭素の電解による一酸化炭素が生成する。中間
層では、導電性金属層から拡散する水素により、水素リッチな雰囲
気となっていると考えられ、そのために、生成した一酸化炭素が速
やかに水素と反応して炭化水素の前駆体を生成し、さらに、第2粒
子の触媒作用により、前駆体が電解還元して、炭化水素に変換され
るものと考えられる。このとき、中間層又は複合酸化物層のみでは、
炭化水素の生成が確認されていないことから、これら両層を含むこ
とにより、前駆体の生成と、その電解還元が段階的に進行し、炭化
水素の生成が可能になると推測される。 

このような電気化学セルを用いた炭化水素製造装置は、ガス導入部
の外周にガス導出部を有するガス流通部を設けて、その一端側に電
気化学セルを配置すると、小型で効率のよい炭化水素製造部を構成
することができる。この構成のガス流通部では、ガス導入部が電気
化学セルのカソードに対向し、垂直な方向から原料ガスが導入され
る一方、ガス導出部は、ガス流れが反対の方向となるので、段階的
に反応が進行しながら、複合酸化物層に達した前駆体を含むガスが
、そのまま流れ出ずに滞留しやすい。また、中間層では、吸熱反応
である電解が進行して温度低下しており、隣接する複合酸化物層に
おけるメタン生成の進行に適した状態となる。そのために、前駆体
の電解還元が進行しやすくなり、メタン転化率を高めることができ
る.

以上のごとく、上記態様によれば、二酸化炭素及び水蒸気を電気化
学プロセスにより炭化水素に変換可能な電気化学セル、及び、電気
化学セルを用いた炭化水素製造装置を提供することができる。 なお
特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は
後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであ
り、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
※触媒の技術として、次回、は新規性のある光・熱触媒及び炭化水
素化合物製造システムについてさらに考察する。
                        この項つづく


 風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine


● 今夜の寸評:(いまを一声に託す) 俺はまけないぞ!
所用があり、沙汰止みなっていた打ち合わせを兼ね近親者と飲み会
ありマウンテンバイクで家との往復が加わり、ストレッチと市内ウ
ォーキングの負荷を軽めにチェンジしキープするが、折からの記録
的な暑さで心がなえてしまった。

 

コメント
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正直な筋肉 ①

2023年06月26日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



          薬撒く 凌霄花のうぜんかずら 輝ぬ              

中国原産で平安時代の本草書『本草和名(ほんぞうわみょう)』
(918年)に「乃宇世宇(のうせう)」の名が見られる。金沢市の
玉泉園には、豊臣秀吉が朝鮮出兵の折に持ち帰ったとされる、樹齢
400年になるノウゼンカズラの古木があり、栽培は容易で、濃紅、
黄などの花色が流通している。「すすぎ場に 凌霄花 花をたれ/長
谷川素逝]。今朝、雨模様を気にしていたが、例年より、少し強力
な濃度に調整し庭木の害虫駆除液散布作業を行いソフィスケイトな
俳句を詠む。

 EU 2027年までにロシア依存脱却できるか
EUでは、ユーザーが交換可能なバッテリーを義務付け
2010年代に、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、その他
のデバイスのメーカーは、バッテリーを取り外し不能にすることが
増えた。Appleがバッテリーを密閉した新しいMacBookを発表したと
き、バッテリー寿命が大幅に向上し、他の企業がすぐに続く傾向を
確立した。5年にリリースされたSamsung Galaxy S2014は、取り外し
可能なバッテリーを備えた最後のフラッグシップ電話の<>つになり
その後、恒久的に組み込まれた交換不可能なバッテリーが標準に
なった。 この変更の背後には、いくつかの動機が存在する。たとえ
ば、取り外し可能なバッテリーコンパートメントを収容する必要が
なければ、設計がよりシンプルになり、デバイスがよりスリムで軽
量になる。バッテリーはさまざまな物理的形態を取り、より大きく

より迅速に充電され、はるかに多くの充電サイクルを処理できる。
しかし、この傾向は、不便さと多くの潜在的な問題のために抵抗に
直面。密閉型バッテリーが故障した場合、デバイスをベンダーまた
は技術者に返送する必要があり、ユーザーに大幅な遅延が発生し、
場合により、バッテリーが時間の経過とともに膨らむと、デバイス
の敏感なコンポーネントが損傷する可能性がある。ユーザーは、計
画的な陳腐化するとの批判、環境活動家も、増大する電子廃棄物の
山へ警告。これらの問題は、規制の要求に帰着し、2023年これらの
懸念に応える形で、欧州連合(EU)は、2027年までにすべてのデバイ
スでユーザーが交換可能なバッテリーを義務付けることを提案。
新しい規則は、EU内で販売されるすべての充電式バッテリーの設計
製造、リサイクルを対象とし、電話、タブレット、カメラなどのデ
バイスで使用される「ポータブルバッテリー」の場合、消費者は「
簡単に取り外して交換できる」必要があると規定。これには、メー
カーによる大幅な設計の再考が必要となる。さらに、欧州議会は非
充電式バッテリーの計画を持っており、2030年までに段階的に廃止
される予定であるとFutureTimeLine"The EU ends all energy imports from
Russia", 2023.06.23;
は伝える。
また、この「未来タイムライン」の2027年シリーズ特集に小型水素
燃料の普及を次のように予測する


小型水素燃料電池車、年間販売台数100万台達成
水素燃料電池を搭載した最初の車両は、冷戦時代の宇宙開発競争中
に登場したが、これらはかさばり、非効率で、高価でした。自動車
メーカーがこのコンセプトをより真剣に受け止め始めたのは 21 世
紀初頭になってから。 2003年にジョージ ブッシュ大統領は水素燃
料イニシアチブ (HFI) を提案し、その後、2005年のエネルギー政策
法と 2006 年の先進エネルギーイニシアチブを通じて法律により施
行。これは、商用燃料電池車の生産を目標として、水素燃料電池と
インフラをさらに開発することを目的としていました。2008年まで
に、このプロジェクトには、10億ドル以上が寄付された。

しかし、米国エネルギー省はその後、燃料電池からバッテリー自動
車に関心を移した。高コストとインフラの不足が大きな問題であり、
これほど広大な地理的エリアに燃料ステーションを展開するという
課題がさらに悪化。これにより、米国の自動車メーカーは水素自動
車の展開を遅らせたが、欧州では状況が異なり、カバーできる地理
が少なく、政府が必要なインフラを開発する真剣な計画を持ってい
た。日本と韓国でも、同様の取り組みが進められている。
インフラの拡充に加え、技術のさらなる進歩により、水素燃料電池
自動車のサイズ、重量、コストが削減される。2027年までに、これ
らの無公害自動車の世界販売台数は初めて年間 100万台に達します。
自動車販売全体に占める割合はごくわずかであるが、この業界は現
在、爆発的な成長期を迎えると言う。
     
 
   

【再エネ革命渦論 142: アフターコロナ時代 141】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ㉕

ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。



レーザー金属3DプリンティングでCO2をCH4に100%変換する触媒開発
高活性・高選択性・高温耐久性の次世代触媒を作製


同研究グループは,温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を有用なメタ
ン(CHa4)にほぼ100%の選択性で変換できる金属製自己触媒反応器
の作製に,レーザー金属3Dプリンティング(AM)技術と電気化学的
表面処理を組み合わせに成功。
【要点】
1.レーザー金属3Dプリンティング(AM)技術と電気化学的表面処理
 を組み合わせることで、ニッケル(Ni)を基盤とした金属製自己
 触媒反応器の作製に成功。
2.これは、二酸化炭素(CO2)を原料とし、化学工業で有用なメタ
 ン(CH4)の製造反応に高い活性と100%近い選択性を示す触媒とし
 て機能する。
3.従来のセラミクス製反応器に不可欠な触媒層の充填ステップが
 不要となり、均一な温度分布、高温での高耐久性も示す。
4.レーザー金属AMプロセスのスキャンストラテジーにより触媒性
 能を制御できる可能性を示した。

 
図. レーザービーム粉末床融合結合法 (LB-PBF)の概略図と作製
  した自己触媒反応管

【概説】

CO2のメタン化,いわゆるサバティエ反応は,高密度でエネルギーを
貯蔵するだけでなく,CO2を無毒で豊富なC1原料として利用すること
で大気中のCO2削減を指向したカーボン ニュートラルサイクルを実
現する手法としても有望視されている。安定性の高いCO2のメタン化
には大量のエネルギー投入が必要であるため,一般に活性化エネル
ギーを下げて変換を促進するために信頼性の高い触媒開発が研究さ
れている。さらに現状では,粉末状の金属ナノ粒子担持触媒を充填
した反応器が用いられているが,化学プラントの省エネルギー化に
向けて新たな触媒形状を提案する必要がある。


図1.a) 2つの異なるスキャン戦略を使用した選択的レーザー溶
解プロセスの概略図。 b) 4種類のパターンを備えた印刷された
ままの SCR の写真。c) 120℃で 50 wt% NaOH に浸漬した X およ
び XY スキャン SCR のアノード分極曲線。 d) 選択的電気化学的
溶解プロセスの概略図。RE、WE、CE はそれぞれ参照電極、作用電
極、対電極を表します。


図 2.a) 異なる印加電位での選択的溶解後の SCR の低倍率および
高倍率の SEM 画像。 b) 異なる印加電位での選択的溶解後の SCR
の EDS 結果。 c) 異なる印加電位での選択的溶解後のSCRのXRDプ
ロファイル。 d)異なる印加電位での選択的溶解後のSCRのNi 2p
XPSスペクトル。


図 3.a) 50 mVHg/HgO の電位を印加した場合の X および XY スキ
ャン SCR-P2 試験片の電流密度対時間曲線のプロット。 b) 過渡電
流密度対時間を両対数スケールでプロット。 c) 50 mVHg/HgOでの
選択的電気化学的溶解後のXおよびXYスキャンSCR-P2試料のナイキス
トスペクトル。 d) 50 mVHg/HgO での選択的電気化学的溶解後の
X および XY スキャン SCR-P2 試験片の断面図。e) 低角度および
高角度の粒界を持つ X および XY スキャン SCR の EBSD 逆極点図
画像の 3D 可視化 (それぞれ LAGB と HAGB)。

同研究グループは,レーザー金属AMプロセスでチャンネル構造を付
与し,電気化学的表面処理により触媒機能を示す活性金属を表面に
露出させることで,触媒機能と反応管としての機能を併せ持った金
属製の自己触媒反応器(SCR:Self Catalytic Reactor)を作製した。
今回,原料に用いたHastelloy XはNi-Cr-Fe-Moなどを主成分とした固
溶強化型合金であり,高温強度,耐酸化性に優れ,宇宙航空用途に
使用されている。レーザー金属AMプロセスで作製した反応管は触媒
機能を示さないが,最適な印可電圧のもとで電気化学的表面処理を
施すと,触媒作用を示すNi金属を表面に露出させることができる。

 触媒性能を,環境・エネルギー分野で切望されている二酸化炭素
(CO2)の資源化反応にて評価したところ,100%近い選択性でメタン
CH4が得られた。 また,400⁰Cで数日間利用しても活性が変化しない
だけでなく,NaOH水溶液に浸すだけで自己溶解メカニズムにより表
面の再構築が起こり,触媒活性が向上した。さらに,レーザー金属
AMプロセスのスキャンストラテジーにより,結晶方位が変化し,そ
れにより触媒性能が変化することを示した。開発した金属製の自己
触媒反応器は,レーザー金属AMプロセスを利用することで多様な触
媒プロセスに最適な構造を提案できる,安定性が高く触媒の交換が
容易なバルク状であるなど,実用化触媒に不可欠な基盤要素を兼ね
備える。また,CO2資源化反応において,実用触媒に資する性能を示
した。研究グループは,レーザー金属AMプロセスによる触媒性能の
カスタム制御の可能性を秘めるとしている。

【成果インパクト】
今回開発した金属製の自己触媒反応器は、レーザー金属AMプロセス
を利用することで多様な触媒プロセスに最適な構造を提案できる、
過酷な環境下においても安定性が高く触媒の交換が容易なバルク状
であるなど、実用化触媒に不可欠な基盤要素を兼ね備えています。
さらに、この研究では、レーザー金属AMプロセスによる多結晶から
単結晶へのマイクロオーダーでの結晶方位・組織制御を駆使するこ
とで、触媒性能のカスタム制御の可能性を示しており、カーボンニ
ュートラルを指向した触媒分野のみならず、レーザー金属AM技術を
基盤とした先進的なマテリアルサイエンス分野へも多大な波及効果
をもたらすことが期待される。 

【関連技術情報】
1.関連論文

1)掲載誌:Wiley誌Advanced Functional Material 
2)原 題:Robust self-catalytic reactor for CO2 methanation fabricated
         by metal 3D printing and selective electrochemical

3)著者名:Hyo-Jin Kim, Kohsuke Mori, Takayoshi Nakano, Hiromi
         Yamashita
4)DOI:10.1002/adfm.202303994

森を守る最新システム開発 ③
仮に環境条件の気温を主要因として平均気温1℃上昇した場合、日
本の森林の成長に伴う、全植林重量及び体積は変化(増加)するの
だろうかと鬱蒼とした河川敷の間食する雑木林をみて考える。

   

今回は、切り出した木屑原料発電の最新技術をリサーチする。

特開2022-157059 タール除去フィルタ、フィルタ装置、及びバイ
オマス発電システム 三機工業株式会社
【概要】
木質バイオマスは、例えば、間伐材、製材後の端材などの廃材、公
園や植物園から出る剪定、刈込みで生ずる木屑、家屋の解体作業か
ら出る木材などである。このような木質バイオマスは、再生可能な
資源であり、地球環境保全の面でも優れた資源であり、木質バイオ
マスの利用は、化石燃料の使用を抑制し、同時に、二酸化炭素の削
減や地球温暖化を抑制する。 木質バイオマスを用いたバイオマス発
電システムとして、例えば、木質バイオマスをボイラーなどにより
直接燃焼し、燃焼時の熱で発生する高圧の蒸気を用いてタービンを
回転させて発電を行う方式(直接燃焼方式)が挙げられる。また、
バイオマス発電システムとして、例えば、木質バイオマスをガス化
炉において加熱分解により生成される可燃性ガス(燃料ガス)を燃
料としてエンジンを駆動させて発電を行う方式(ガス化方式)もあ
る。


出所:三機工業 経産省「持続可能な木質バイオマス発電」

①直接燃焼方式の発電システムは、木質バイオマスを燃焼させたと
きの熱により発生した高圧の蒸気を用いてタービンを回転させるシ
ステムである。このため、直接燃焼方式の発電システムは、システ
ム全体が小規模であればあるほど放熱の影響が大きくなり、発電効
率が悪いという欠点がある。一方、②ガス化方式の発電システムは、
加熱分解により発生する可燃性ガスの発生量に応じて発電出力を制
御できるので、安定したエンジン稼働が可能となる。したがって、
例えば、アップドラフト式ガス化炉等のガス化方式の発電システム
は、直接燃焼方式の発電システムに比べて効率が良く、システム全
体を小規模とすることが可能となる。 

図1.バイオマス発電システムの一つであるガス化発電システムの
  一実施形態を模式的に示す図
【符号の説明】
1…ガス化発電システム;11…ホッパー;12…ガス化炉;13
…生成ガス冷却器;14…湿式電気集塵機;15,15’…フィル
タ装置;16…ブースターファン(ファン);17…HEPAフィ
ルタ;18…ガスエンジン;19…熱交換器;20…排気塔;21
…木質チップ;23…ガス化剤;24…可燃性ガス(燃料ガス);
25…タール;26…タール含有水;27…排気ガス;28…温水;
31…装置本体;33…フィルタ設置枠;34…扉;35、35’
…タール除去フィルタ;36…流入口;37…送出口;41…棚段
;42…整流板;51…枠体;52…上部金網;52a…把持部;
53…下部金網;53a…クリンプ金網;53b…金網;54…充
填材;61…石灰石;62…消石灰;63…活性炭;64…くん炭
;65…おがくず(符号番号は下図にも適応)

しかし、ガス化方式の発電システムは、木質バイオマスの加熱分解
により生成される可燃性ガスが、高分子の炭化水素であるタールを
含み、このタールは、高温ではガス状であるが、低温になると凝集
する性格を有する。可燃性ガスに含まれるタールは、ガスエンジン
に送り込まれる過程で、配管の内部や、ファンなどに付着する。例
えば、タールの付着量が多いと、ファンの回転が停止する可能性も
あることから、タールの発生は、発電システム全体の発電性能を低
下させ、ガス化方式の発電システム(ガス化発電設備)では、可燃
性ガス(生成ガス)中のタールは、安定した操業にも悪影響を及ぼ
す。特に、ブースターファンやガスエンジンの清掃時には、設備の
停止に伴い、発電出力が抑制されるため、清掃頻度が多くなると所
望の発電量が得られない。 
そこで、例えば、ガス化発電システムでは、ガス冷却器や湿式電気
集塵機などの他に、HEPAフィルタ(高性能エアフィルタ:High
Efficiency Particulate Air Filter
)を用いて、排気ガスや可燃性ガスに
含まれるタールを除去する。また、出願人は、おがくずを充填した
ソーダストフィルタ(おがくずフィルタ)を開発し、当該ソーダス
トフィルタ(おがくずフィルタ)を用いることによって、ブースタ
ーファンの清掃頻度を大きく低減させることに成功した。さらに、
がおがくずを充填したソーダストフィルタ(おがくずフィルタ)を
用いたところ、ガスエンジンのターボ(ターボチャージャー)の清
掃頻度を低下させる大きな変化も見られた。(下図10)


図10 図8に示す性能確認の結果


図8.比較例としてタール除去フィルタに充填する充填材におがく
  ずを用いた場合の性能確認の概要を示す図

【要約】
下図3のごとく、タール除去フィルタは、上面及び下面が開口され
た扁平筒形状の枠体と、枠体の内部に詰められた充填材と、枠体の
上面の開口部分に設けられる上部金網と、枠体の下面の開口部分に
設けられ、少なくとも、充填材の大きさよりも細かい網目を有する
下部金網とを備え、充填材は、消石灰、活性炭、またはくん炭のい
ずれかであることを特徴とすることで、おがくずよりもガス状のタ
ールの除去性能が良いフィルタ充填材を用いることにより、ガスエ
ンジンのターボ及びブースターファンの清掃頻度を従来よりも低減
させ、バイオマス発電システムの発電効率を従来よりも向上させる。


図3.図2に示すタール除去フィルタの一例を示す図
35…タール除去フィルタ;51…枠体;52…上部金網;52a…
把持部;53…下部金網;53a…クリンプ金網;53b…金網


出所:三機工業
【発明の効果】
本件開示によれば、おがくずよりもガス状のタールの除去性能が良
いフィルタ充填材を用いることにより、ガスエンジンのターボ及び
ブースターファンの清掃頻度を従来よりも低減させ、バイオマス発
電システムの発電効率を従来よりも向上させることができる。

※コスト高が問題であるが、これは政府政策の帰結であり、①経済
政策ビジョンの大転換が前提。つぎに、②乾燥システム(含水率4
5%以下)の問題で、生産現地パウダー処理するのが理想であり、
これを集積所で「再エネ」「廃熱エネ」を利用することであるが、
さほど難しい問題ではないだろう。残りは、木質パウダー研究開発
でこれは、2つに分かれ、1つは「パウダーの最適化」であり、①
比表面率及び表面形状の最適化・②分別で➲ⓐ燃料・ⓑ雑貨消費
材・ⓒ建築土木資材・ⓓ医薬・食品・ⓔセルロースファイバー・化
成品などの素材展開。
                        この項つづく



『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------
  あるいは思いこみかもしれぬが、これは作者紫式部がじぶん
 の出身にあたえた讃歌のようにきこえる。またこの『物語』に
 底流した作者の意地や自己主張の影を宿しているようにみえる。
 そしてこの作者のモチーフは、しいていえば空蝉がみせる意地
 の描き方や夕顔の悲劇や、明石夫人の強運にまで席みこんでい
 るとおもえる。わたしたちぱ〈雨夜の品定め〉で 『源氏物語』
 の説話的な骨組みをきめるぱじめの鍵をみている。だが内在的
 には作者が冷静 におしかくした自己存在の主張をみているかも
 しれない。たとえば左馬の頭が話のなかで 「さて世間からは知
 られずひっそりと住んでいて、寂しく荒れはてた葎の門の家に、
 思いも かけずあでやかな女性が龍り居しているのがあったら、
 この上もなく目ざましいことにおも うでしょう。」と語って
 いるとき、やがてやってくる「夕顔」の巻の説活性を予告して
 いるにちがいない。だが同時に光源氏に身をゆだねるとすぐに
 とり憑かれて死んでしまう夕顔のうでしょう。」と語っている
 とき、やがてやってくる「夕顔」の巻の説活性を予告している
 にちがいない。だが同時に光源氏に身をゆだねるとすぐにとり
 憑かれて死んでしまう夕顔の非運に、「中の品」の出身として
 作者が浴びている悲哀が内在化されているようにおもえる。
 〈雨夜の品定め〉は、頭の中将と気心のしれた下僚の若者、左
 馬の頭や藤式部丞のあいだで、光源氏をきき役のように展開さ
 れる女性談議である。その女性談議は『源氏物語』の語り手の
 女性観につながっている。なかでも頭の中将や左馬の領が「中
 の品」や受領の階層の女性がどんなに優れているかを強調する
 ところは、ひとりでに作者が、じぶんの生活体験や教養や見識
 や、まわりからかしずかれておっとりと受身に育った上層の女
 性にはない個性や、自主性の自覚を、語り手に讃美させている
 ようにみえる。この女性の品定めを介して『源氏』の作者は、
 主人公として設定した光源氏と、物語のなかで源氏にかかわっ
 てゆく「上の品」から「中の品」までの女性たちの、かかおり
 方の間合いを測っている。ある〈距離〉の感受性を内在化して
 いるともいえる。
 『源氏物語』のなかで、理想の出自と地位と容貌と心ばえをも
 つ人物に設定された光源氏が、つぎつぎ仕掛けてゆく懸想に、
 はじめからおわりまで拒否的な情緒を貫いてゆく女性は、藤壷
 の宮と空蝉の二人である。そして藤壷は父桐壷帝の女御であり、
 光源氏にとっては血縁のない継母にあたる。先帝の第四の内親
 王で、いねばもっとも「上の品」の女性に属する。だが空蝉は
 家格は相応でも、受領である伊予の介の後添えに設定されてい
 る。いねば「中の品」の女性なのだ。『源氏物語』は、光源氏
 を主人公としているあいだは、藤豆にたいする源氏の遂げられ
 ぬ慕情と、光源氏とのわずかな過失のはてに源氏の子を帝の子
 として身罷フて生んだ藤壷の情念の罪障感と、源氏にたいする
 深く微細なエロス的な否認の内面性を軸に、展開されている。
 いねば『源氏物語』は潜在的には〈藤壷物語〉であるといって
 いいほどだだが底を流れる作者の自己主張のモチーフからいえ
 ば、藤壷とまったく同格に、光源氏が優雅で巧みに言い寄るの
 をしりぞける空蝉の挙動は大切な意味をもっている。空蝉が象
 徴するものは「中の品」の女性の極限にひきのばされた自己主
 張と美と、あやふい見識の運命ともみられるからだ。作者紫式
 部はここに違長とじぶんとのあいだの情緒の〈距離〉と関係の
 仕方の体験すら龍めたかもしれない。
  光源氏は方違えのため、下僚の紀伊守の屋敷に立寄ることに
 なる。紀伊守の父の伊予介の家族が障り事があって、ちょうど
 紀伊守の家へ移ってきている。かつて高い望をもった女性と宮
 廷で噂されていた右衛門督の娘が、伊予介の主あつかいされた
 大事な後添えとして、この屋敷にきている。そこへ光源氏はふ
 いに忍んでゆく。

   「だしぬけなので出来ごころぐらいにおもわれるでしょう。
   無理もありませんが、長年思いを抱いてきた心のうちもお
   話してお知らせしようと、こういう折を待ちもうけていた
   ので、けっして浅い縁因ではないと思って下さい。」とた
   いへん物やわらかにおっしやって、鬼神だって荒立つまい
   とおもわれる気配だったので「ここに誰かがぎてる」と騒
   ぎ立てることもならない。気持が心もとなく、とんでもな
   いことだとおもうと、ひどい気がして「お人ちがいでしょ
   う」と息もたえだえに云った。      (「帚木」)

  源氏は小柄な女を抱きかかえて、奥の寝所に連れてゆく。
 女は女房の中将にどう思われるかということでさえ、死ぬほど
 わりないおもいがして、油汗を流れるほどかぎ、とても苦しそ
 うにしている。源氏はそれを可哀そうに感ずるが、いつものど
 こからとりだしてくる言葉なのか、心に沁み入るようなやさし
 さにあふれた調子で口説きつくす。だが女はとても無体なこと
 だとおもい「とてもうつつのことともおもえません。数ならぬ
 身分のものですが、思いを寄せて下さるお気持のほども、とう
 ていこの場かぎりの浅いもの以上とはおもえません。こういう
 ことには分には分ということがあります。」
 と云って、無理にも思いを遂げようとしている源氏の様子を「
 ほんとに真から情けなく恨めしい」と思いこめている。その様
 子がほんとにあわれなので、気がとがめてきて、じぶんはあり
 ふれた好色漢とおもわれるのは残念だと源氏は弁解する。
  女は「強情で嫌な女だとおもわれても、そういう情けを解さ
 ない不甲斐ない女ということでおしとおそう」とおもって、冷
 たく応対するだけである。女は人がらがおだやかであるのに、
 無理に心を強く張りつめているので、なよ竹のよろよろな感じ
 がして、さすがに折ることができそうにない。ほんとにどうし
 ていいかわからない心特に陥ちこんで、無理な源氏の仕打ちを
 いいようもなく情ないとおもって位く様子など、大へんあわれ
 におもはれてくる。
  源氏は、心苫くはあったが、「このままで会わなくなったら
 心残りにちがい」ないとおもう。
  そしてどうしてそんなにじぶんを疎ましい奴だとおもうのか、
 かんがえもしなかったよう出会いこそ、前世からの因縁がある
 ことだとおもわないかとなおも口説く。
  空蝉は「ほんとにこんな憂き身に定まらない前の、娘のまま
 の身で、こういうお気持ちをみせていただいたのならば、身の
 ほどもしらない気にもなって、いつかはほん気になって愛して
 いただけるかもしれないとおもって、心を慰めもしましょうが、
 ほんとにこんな一夜きりの仮り寝の夢にすぎないことをかんが
 えますと、ただこのうえなく気も感うばかりです。
  せめていまは、わたしを抱いたとは、口外しておっしゃらな
 いでください」といって思い入っている。そのさまはほんとに
 無理もない姿であった。けっぎょく源氏は空蝉から否認の情念
 しか受けとることができないのだ。
  こういう場面には源氏にたいして、いねば分をわきまえなが
 らできるかぎり挑やかな仕ぐさで、拒絶の情緒をとおしている
 空蝉の姿が微妙なリアリティをこめて描かれている。そして作
 品としてうたれながらも、その底に作者の体験すら龍められて
 いるのではないかという推測にかられる。もちろんそんなもの
 ではなく、徹頭徹尾作者の洞察力と描写の手腕に鮭せられてい
 るのかもしれぬが、すくなくともここに「中の品」に育った女
 性の在りようを、極限の姿で描きたいという作者の自己主張の
 モチーフを認めてもよいような気がする。
  源氏はなおも侍童にした空蝉の弟小君を介して、空蝉に文通
 する。源氏はまたの方違えの目に、紀伊の守の屋敷に立寄るが、
 空蝉はどんな心が乱れてもこれを君けてしまう。
 「帚木」の巻につづく「空蝉」の巻の冒頭は、あとにもさきに
 も藤壷に感じた以外には、かつて感じたこともない失恋の衝撃
 から、死にたいおもいにかられる源氏の述懐からはじまってい
 る。
                       この項つづく

 

『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか

【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 -)は、
日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等を
経て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。 
------------------------------------------------------------
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
 4 制度をめぐる議論(202X年11月中旬)
  カギをにぎる「育児休業制度」の制度設計
 本部事務局内の2回目の勉強会は、社会保障の研究者である小川
涼子が講師であった。 野口は小川とは内開府に入った頃からの知り
合いである。小川は、百瀬の朝食勉強会に、野口の推薦で参加した
彼女は経済学をペースとしているが、社会保障政策のみならず労働
政策にも通じていることから、両分野が関わる「子育て支援策」を
語ってもらうには、うってつけの人材である。温和な性格だが、自
らが正しいと思ったことは誰をも怖れず、正論を堂々と述べること
で知られている。
 前回の壱岐の問題提起を受けて、小川には「両立支援策などの政
策対応」をテーマに、諸外国や目本の制度の現状と課題について説
明してもらうこととした。


両立支援の制度・政策を「ヨコ軸」と「タテ軸」の2つの角度から見てみると、
問題の所在が 分かりやすいと思う。ヨコ軸は、制度の対象者の「拡がり」で
ある。タテ軸は、両立支援の「時 間的な流れ」であり、出産後から1歳程度
までの「乳児期」と、その後6歳程度までの「幼児 期」、さらにそれ以降の「
児童期(青少年期も含む)」に分けられる。  そして、この乳児期、幼児期
、児童期のいずれにも関わり、両立支援策全体のカギを援ってい るのが、
私は「育児休業制度」であると考えている。  改めて言うまでもないが、育
児休業制度とは、働いている人が出産後に子どもを育てるために 一定期
間取ることができる、法律に基づく休暇制度のことである。休暇中は賃金
は支払われない が、別途、育児休業給付合を支給する給付制度がある
のが一般的である。以下、こうした給付制 度も含めて「育休制度」と呼ぶ
こととする。育休制度は産前産後の出産休業(産休)と合わせて乳児期に
位置するとともに、短時間勤務産前産後の出産休業(産休)と合わせて乳
児期に位置するとともに、短時間勤務産前産後の出産休業(産休)と合わ
せて乳児期に位置するとともに、短時間勤務制度(時短制度)や保育制度
との関わりを通じて、幼児期や児童期にも大きな影響を与え得る存在であ
る。
                                    この項つづく

風蕭風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

 J-POPの系譜を探る:2023年代】



おかゆ(1991年6月21日- )は、日本の流し、歌手、シンガーソングライター
、タレント。北海道札幌市出身。キャッチコピーは「平成のおんなギター流
し」。本業の流しの活動の他にも、歌手としてのテレビ出演ラジオ番組の
担当、タレント、MCなどマルチに活動を広げており、また六月 ゆか(むつ
き ゆか)名義で歌手の小金沢昇司、水田竜子らに楽曲提供も行っている
作曲家でもある。

曲名:渋谷のマリア 唄:おかゆ
作詞&作曲:おかゆ 編曲:新田高史

道玄坂でマリアは生まれたの
ネオンに囲まれたあの家(うち)で
歌うのが大好きな母の姿見て
雑踏にまぎれて育てられた・・・・・・
※Z世代ではないが、今年、演歌とフォーク、シティ・ポップを融
合させた女性歌手が出現!楽しみである。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  
嗚呼、人命軽し! ロシアマルクス主義のなれの果てよ、大国主義よ。
ところで、運動不足がたたり、体調を復元できないため、①朝のお
勤め励行、②ストレッチの励行。③モーニング・屋内ウオーキング
1キロメートルのサンセットの励行を開始。復調の兆しあり。”筋
肉は嘘をつかいない”って? 論より証拠だ!

 

 

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森を守る最新システム開発 ②

2023年06月24日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。


潜水艦を一瞬のうちに破壊する「爆縮」とは




新型コロナ騒ぎで寄り合う店をわすれネット検索。答えは、『海座』
本店に蹴っているする。徐々に活動時間を平時に戻していくことに。



Image: Sumitomo Corporation

日本の膨大な風力・太陽光資源
2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、日本は化石燃料の排
出量のほぼすべてを化石燃料から排出する必要がある。幸いなこと
に、日本には、太陽光、風力、揚水発電の形で、エネルギー自給自
足するために必要なものがすべて揃っている。
2023年6月19日 国際太陽エネルギー学会; via PV Magazine 


図 1: 世界の純新規発電容量   画像: 国際太陽エネルギー協会

  史上最速のエネルギー変化が進行中である。太陽光発電と風力発電機
は、2023年の世界の発電容量増設の4分の3を占める(図 1)。これは、太
陽光と風力が化石燃料発電よりも安価であるという  説得力のある市場ベ
ースの証拠となっている。ソーラーは2016年以来主要な技術であり、2023
年には新世代容量の60%に達する見込みである。

日本のエネルギー
日本は風力と太陽光からすべての電力を86ドル/110MWhで生産でき、こ
れは現在の市場価格と競争力がある。これには、100%再生可能電力との
バランスをとるために必要な送電と貯蔵のコストが含まれる。日本は世界
に模範を示めす。日本の排出量のほとんどは、交通、暖房、産業の電化
と組み合わせ、太陽光と風力によるゼロエミッション 電力により2050年前
に削減できる。これを達成するために、現在の日本の電力量を2倍にする
必要がある。



Fig. 4. Offshore wind score map. Extent: Japan's exclusive economic zone.
Area enclosed by the black line represents preferable wind sites that has a s
uitability score above 0.6. Resolution: 300 m*300 m. Basemap credit: Esri,
USGS | Esri, HERE, Garmin, FAO, NOAA, USGS.

日本には膨大で質の高い洋上風力資源があり、日本は排他的経済水
域から供給される洋上風力を利用し、現在の消費量の約50倍の電
力を発電でき、これは、最高風速を利用し、コストと環境への影響
を最小限に抑え、日本は洋上風力発電所の立地場所は慎重に選択で
きることを意味する。日本の太陽光発電ポテンシャルも大きい。屋
上に設置され、内陸水域に浮かび、農業と組み合わせて展開される
ソーラーパネルから、現在の消費量の125倍を生み出す可能性がある。
日本の人口1億2.500万人は、2050年までに18%減少して1億200万人に
なると予測されており、現在の農地の18%、つまり、8,000km2が解放
され、太陽エネルギーよる日本のエネルギー需要を十分に満たせる。

大規模な太陽光と風力の電気エネルギーの貯蔵は、バッテリー(数秒
から数時間の貯蔵)と揚水エネルギー貯蔵(夜間および長期間)の
形で解決される問題である。ANU の世界揚水水力地図には、日本国
内に 2,400か所の優良サイトがあり、合計 53TWh の貯留可能性があ
ることが示されており、100% 再生可能エネルギーシステムをサポー
トするには、わずか数十のサイトで十分である。 ANU の世界揚水水
力地図には、日本国内に2,400 か所の優良サイトがあり、合計 53
TWh の貯留可能性があることが示されている。 100%再生可能エネル
ギー システムをサポートするにはわずか数十のサイトで可能になる。



Figure 2: Japan has thousands of pumped hydro energy storage sites. Image:
International Solar Energy Society

日本は遅れている
日本はかつて世界の再生可能エネルギーのリーダーであった。悲しい
ことに、日本は現在、新しい再生可能エネルギーの一人当たりの年
間展開の点で、後進国に大きく遅れをとっている有様。オランダ、
スウェーデン、オーストラリア、フィンランドは日本の5倍の速さ(
一人当たり)で太陽光と風力を設置しており、中国、スペイン、ドイ
ツ、米国は2倍の速さで太陽光と風力を設置。
日本政府のクリーンエネルギー戦略中間報告書は、世界的な脱炭素
化における太陽光と風力の重要な役割についての明確な認識を欠い
ており、代わりに、 原子力エネルギー、輸入水素、炭素回収・貯蔵
(CCS)を推進している。 これが良い選択ではない。
世界の原子力発電容量は2010年以来約 400 GW で横ばい。 2022
の太陽光発電の導入率は200ギガワットで、毎年急速に増加。これ
は原
子力が太陽光発電と競争できないことを示す有力な証拠である
う。二酸化炭
素回収・貯留 (CCS) は、電力業界では商業的な成功を
収めていおらず、
太陽光発電と風力は、新しい発電所の配備が優勢
であることからも明らか
なように、CCSを使用しない化石燃料発電よ
りもすでに魅力的な経済的優
位性を持つ。化石燃料発電所からの電
力はCCSの資本コストと寄生エネルギーコストが大きいため、CCSを
装備するとさらに競争力が低下。エネルギー生産のためのクリーン
水素の輸入(オーストラリアなど)は、エネルギーの約4分の3が圧縮、
輸送、貯蔵、変換で失われ、実効エネルギーコストが3倍になるため、
高価。日本にとって、クリーンな水素を輸入するよりも、風力や太
陽光から独自の電力を生産する方が安価である。
10年には、水素を動力源とする2023万台と比較して、約20,000万台
の電気自動車が販売され。日本の輸出自動車産業は、活況を呈して
いる電気自動車市場向けの競争力のあるモデルの開発に焦点が当て
られていないため、危険にさらされている。

未来のエネルギー
北ヨーロッパとオーストラリアのパスファインダー諸国は、太陽光と
風力を介して電力システムを大幅に脱炭素化することは簡単である。
日本は、今世紀半ばまでに脱炭素化のために、風力と太陽光の展開
のペースを10倍に上げる必要があるだろう。適切な政策があれば、
日本は石油、石炭、ガス、ウランを輸入しなくなる持続可能な未来
を期待することができます。無制限のエネルギーは、屋上のソーラ
ーパネル、ソーラーファーム、洋上風力タービンから供給できる。
これにより、パンデミック、戦争、貿易の混乱に直面しても、高度
なエネルギー自給性と回復力が得られます。 工業用前駆体化学品、
アンモニア、プラスチック、合成ジェット燃料、その他多くの材料
に必要な重要な要素は、水素、炭素、酸素、ナトリウム、塩素、窒
素。これらは海水と空気からどこでも利用可能です。日本の化学産
業は実質的に自給自足可能であり、駆動エネルギーは固有の風力と
太陽光から供給される。 ほとんどの建物には、独自のソーラーパネ
ル、エネルギー貯蔵、電気スペースと給湯器、電気自動車がある。
これにより、温室効果ガスの排出、自動車の排気ガス、スモッグ、
油流出、石炭火力発電所の排気ガス、灰の投棄、原子力事故、核廃
棄物処理が排除される。日本は安価でクリーンで信頼性の高い永久
エネルギーを固定することができる。化石の古い確実性は急速に衰
退している。世界は、デジタル写真によるフィルムカメラの置き換え
と同じ速度で太陽光と風力に移行しており、うまくいけば、日本に
は独自のコダックの瞬間はない。
----------------------------------------------------------
【脚注】
国際太陽エネルギー学会ISESは、1954年に設立された国連認定の会
員制NGOです。それは、すべての人に100%再生可能エネルギーが効率
的かつ賢く使用される世界に向けて取り組んでいる。 
  
【関連論文】
※100% renewable energy in Japan , Energy Conversion and Management 
    2022/03/01/   RE100 Group, School of Engineering, Australian National
    University, Canberra, Australia
 
   

6月23日、浜松ホトニクスは、光半導体製品の需要拡大に対応するため、
本社工場(浜松市東区市野町)に光半導体製造(前工程)を担う新棟を建
設。 新棟建設により,生産スペースを従来の約2倍に拡張するという。ま
た,従来の直径6インチシリコンウエハーの生産ラインに加え,新棟に直
径8インチウエハー対応の製造ラインを採用することで,生産の継続性を
担保するとともに生産効率の向上やコストダウンも図る。 さらに,新棟と
既存棟をクリーンルーム内で接続し人や物の移動を効率化するともに,
自動搬送システムの導入により製造工程の自動化と省人化を進める。
尚、新棟は耐震構造を採用し災害対策を強化するとともに,環境配慮型
の製造装置を導入する。 同社は,新貝工場(浜松市)に後工程を担う新
棟も建設しており,今回の投資を含め生産体制を強化する。今後の継続
的な成長を支えるという。なお,新棟建設の地鎮祭は6月30日に執り行な
い,2025年6月に竣工の予定。その多少は以下。
------------------------------------------------------------
稼働予定:2025年12月
総工費:約370億円(生産設備を含む)
収容人員:約40名
生産品目:光半導体製品
生産能力:約8,000枚/月(8インチウエハー換算)



深刻化する電子ごみ 問題解決に重要な中古市場の活用
➢2023年6月23日 EE Times Japan
多くの国で電子廃棄物に対する意識が高まり、リサイクルの取り組みが
実施されているにもかかわらず、電子廃棄物の問題は依然として続いて
いる。国連が発表した報告書「Global E-waste Monitor 2020」によると、
2019年に世界中で発生した5360万トンの電子廃棄物のうち、リサイクル
されたのはわずか17.4%だった。

「循環経済」が重要
電子廃棄物の削減に向けて規制を変更するには、承認までに数年とはい
かないまでも数カ月かかる可能性がある。しかし、解決策は規制の変更
だけではない。企業は、セカンダリーマーケット(中古市場)を活用して、
電子廃棄物の問題改善に貢献できる。電子廃棄物がリサイクルされる割
合はごくわずかである状況においては、循環型経済(サーキュラーエコノ
ミー)が、電子廃棄物が環境と健康に与える影響を軽減する上で極めて
重要な役割を果たす可能性がある。企業や大手ワイヤレス小売業者は、
余剰在庫や下取り在庫(特に電子機器やモバイル機器)を、リサイクルや
再販、改修が可能な事業者に売却できる。「R2(Responsible Recycling)
認証」を取得した再販業者や改修業者は、携帯電話内部にある金や銀な
どの貴金属を適切にリサイクルおよび抽出する資格を有しているため、こ
れらの金属の新たな採掘を減らすことができる。

問題の根本的な原因への対処
これまでリサイクル関連の取り組みによって、電子廃棄物の削減に関して
ある程度の効果がもたらされたことは事実だが、問題の根本的な原因に
ついてはうまく対処できているわけではない。その主な理由は

1)電子廃棄物を適切に収集、輸送、処理するためのインフラや規則が不
十分➲①その多くは最終的に、発展途上国に輸出され、そこで環境破
壊につながるような危険な方法で処理されているのだ。例えば、化学物
質が溶出するなどの問題。②メーカーの中には、ほんの数年間しか使え
ない製品を作る場合がある。このような慣行は、一貫性のある有益なユー
ザーエクスペリエンスを生み出し、電子廃棄物が絶え間なく発生してしま
う。 ③2022年に廃棄された携帯電話機の数は、53億台に上る。多
くの人々が、電子廃棄物を再利用することの重要性を認識しておら
ず、電子機器の適切な廃棄方法を知らない可能性もある。また、責
任を持って処分することよりも利便性を優先する人がいるため、電
子廃棄物がリサイクルに回されずにごみとして捨てる消費者行動。

中古市場を活用
中古品や余剰の電子機器をより持続可能な方法で販売し、過剰在庫に
対する圧力を緩和できる➲このようなチャンスにより、企業が製
品に対する価値回復の速度を上げられる。それだけでなく、余剰製品
/材料が確実に消費者の手に渡り、廃棄物の削減にもつながる。循
環型経済は、企業や消費者、そして地球にとって、相互に利益をも
たらすと説明されている。

     
 
 
【再エネ革命渦論 141: アフターコロナ時代 140】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ㉔

ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


画像:the National University of Singapore (NUS) 
ペロブスカイト太陽電池の効率24.35%を記録
シンガポール国立大学らの研究グループは、1cm2 逆ペロブスカイト
太陽電池で24.35%の世界記録を達成。 



活性面積1cm2の通常構造のペロブスカイト太陽電池を超える逆構造
ペロブスカイト太陽電池として世界初、これは主にペロブスカイト
太陽電池に組み込まれた革新的な電荷輸送材料による。逆構造ペロ
ブスカイト太陽電池は常に優れた安定性と拡張性を提供するため、
通常構造のペロブスカイト太陽電池よりも高い効率を達成でき最先
端技術の商用化に優位であると説明されている。
via pv magazine International , Jun 23, 2023
【関連技術情報】
1.Solar cell efficiency tables (version 62)-Wiley Online Library First
      published: 21 June 2023 https://doi.org/10.1002/pip.3726




森を守る最新システム開発 ②
仮に環境条件の気温を主要因として平均気温1℃上昇した場合、日
本の森林の成長に伴う、全植林重量及び体積は変化(増加)するの
だろうかと鬱蒼とした河川敷の間食する雑木林をみて考える。

  

特開2023-080635 二段階半炭化工程による固体バイオ燃料およ
 び
その製造方法 学校法人近畿大学他
【概要】
下図1のごとく、光合成に起因するバイオマスをチップ化した原料
を、半炭化処理し、前記原料中の水分・揮発分の一部を放出させる
半炭化済原料を得る第一段工程と、この半炭化済原料を加熱加圧し、
圧密成型物を得る第二段工程を有する製造方法で得られた固体バイ
オ燃料は燃料比が0.4を超え、密度が1.0g/cm3以上である、
石炭コークスの代替品としても利用することができ、CO2の削減
に寄与することができる石炭コークスの代替品もしくは混合品とし
ての、燃焼比が高く、長時間の燃焼と、燃焼中の形状維持が可能な
固体バイオ燃料を提供する。

図1.固体バイオ燃料の製造方法において、温度および圧力のプロ
  セスを示すグラフ



図8  半炭化前原料を加圧し、次に加熱した場合、半炭化前原料を
  加熱加圧した場合、半炭化済原料を加熱加圧した場合の密度の
    違いを示すグラフ

特開2022-152529 バイオマス燃料の製造方法、およびバイオマ
 ス
循環システム 国立大学法人北海道大学
【概要】 下図1のごとく、バイオマス燃料の製造方法は、トウモ
ロコシ茎葉を原料とする水熱炭化により固体燃料12、ガス燃料を
含む気体生成物11、および液体生成物12を生成する工程と、固
体燃料、気体生成物、および液体生成物を回収する工程と、を含み、
生成する工程において、プロセス温度の範囲が250~350℃で
あり、かつ、滞留時間が0.75~1.5時間である。エネルギー
効率を向上させることができるバイオマス燃料製造方法の提供。

図1.実施形態に係るバイオマス循環システムの図
【発明の効果】
本発明に係る固体バイオ燃料は、バイオマスの原料を半炭化させ半
炭化済原料を得た後、さらに常に最大圧力を更新しながら加熱し半
炭化処理を進める二段階の工程を経ることによって得ることができ、
燃料比が0.4を超え、密度が1.0g/cm3以上の特性を有する。
この燃料比の値は褐炭から瀝青炭に匹敵する燃料比であり、従来の
固体バイオ燃料より、長時間燃焼させることができるという効果
を奏する。また、密度が1.0g/cm3以上であるので、高炉の落
下中に吹き上げる燃焼風で崩壊する若しくは、飛ばされるという事
態を抑制することができる。本発明に係る固体バイオ燃料の製造方
法は、バイオマスの原料を半炭化処理させる第一段工程、半炭化処
理を伴い圧密成型させる第二段工程からなる二段階炭化工程により、
固体バイオ燃料を製造する。本製造方法で製造することで、燃料比
が0.4を超える、すなわち褐炭から瀝青炭相当の固体バイオ燃料
を得ることができる。この値は、国際公開第2006/07802
3号に示される従来の製造法による固体バイオ燃料では達成できな
かった値であり、より長時間燃焼することができる。

特開2023-11300 触媒及び5-ヒドロキシメチルフルフラールの
 製造方法 三菱ケミカル株式会社
【概説】
石油資源の枯渇や地球温暖化を回避して持続可能な社会を構築する
ために、燃料や化学製品(プラスチックや繊維など)の製造原料を
石油から再生可能な資源「バイオマス」へと転換する「バイオリフ
ァイナリー技術」の開発が強く求められている。 「バイオマス」
とは、動植物由来の有機性資源で化石資源を除いたものであり、家
畜排せつ物、下水汚泥、生ごみ等の廃棄物系、稲わら等の農作物非
食用部、間伐材等の未利用系、ソルガム等の資源作物、藻類など多
種多様なものがある。その中で、特に稲わら等の農作物非食用部や
間伐材等の非可食性の木質バイオマス系原料を使うことが求められ
ている。

稲わら等の農作物非食用部や間伐材等の非可食性の木質バイオマス
系原料から燃料(バイオ燃料と呼ばれる)や化学品(バイオベース
化学品と呼ばれる)を生産するには、木質バイオマス系原料のセル
ロースの状態をブドウ糖などの糖類に分解しやすい状態にする前処
理工程、この前処理工程後にセルロースやヘミセルロースをブドウ
糖などの糖類にする糖化工程、この糖化工程で得られたグルコース、
キシロースなどの糖類を更に種々の方法でバイオ燃料やバイオベー
ス化学品へと変換する工程が必要である。
化工程の方法としては、酵素、希硫酸等の無機酸、有機酸、または
各種固体触媒を用いて木質バイオマス系原料を加水分解する方法が
知られている。糖化工程を経て得られたグルコース、キシロースな
どの糖類をバイオベース化学品へと変換する一例として、フルクト
ースの脱水反応によりフルクトースを5-ヒドロキシメチルフルフ
ラールに変換する合成反応が挙げられる。この合成反応においては、
硫酸、各種ルイス酸等の無機酸や有機酸を触媒として用いる方法、
非特許文献1に示されるような強酸性カチオン交換樹脂などの各種
固体触媒を用いる方法が知られている。
【非特許文献1】
Chemical Engineering & Processing: Process Intensification,138(2019),p65.
フルクトースを5-ヒドロキシメチルフルフラールに変換する合成
反応において、既存の各種触媒では、反応効率が低い;基質濃度を
高くすると不溶性固体フミン質等の副生物が大量に生成する;固
体触媒以外の触媒を用いる場合には触媒の分離回収工程が煩雑とな
る;等の課題がある。 フルクトースを5-ヒドロキシメチルフル
フラールに変換する合成反応に適した固体触媒を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、フルクトースから5-ヒドロキシ
メチルフルフラールを効率的に製造する方法を提供する。
【発明の効果】
フルクトースの脱水反応により、フルクトースを5-ヒドロキシメ
チルフルフラールに変換する合成反応に適した触媒であり、フルク
トースから5-ヒドロキシメチルフルフラールを高収率かつ高選択
率にて効率的に製造することができ、本発明の触媒は固体触媒であ
るため、触媒の分離回収も容易に行える。

特開2022-169601 パルプペーパーミルに併設されたナノセルロ
 ー
スの製造 グランバイオ インテレクチュアル プロパティー
 ホー
ルディングス,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【概要】
下図1のごとく、ナノセルロース材料を製造するプロセスにおいて、
(a)未漂白パルプ材料を含むバイオマス供給原料を提供するステ
ップと、(b)酸、リグニン用溶媒および水の存在下で前記供給原
料を分画して、セルロースに富む固体ならびにヘミセルロースおよ
びリグニンを含有する液体を生成するステップと、(c)前記セル
ロースに富む固体を機械処理してセルロースフィブリルおよび/ま
たはセルロース結晶を形成し、それにより少なくとも60%の結晶
化度を有するナノセルロース材料を生成するステップと、(d)前
記ナノセルロース材料を回収するステップと、を含むことを特徴と
するプロセスでより低いエネルギーコストでバイオマスからナノセ
ルロースを製造するための改善されたプロセスを提供する。


※図1は、本発明のいくつかの実施形態による、漂白または未漂白
 パルプからのナノセルロース材料の製造を示す。
【技術背景】
バイオマス精製(またはバイオ精製)は、産業界において普及して
きた。セルロース繊維および糖類、ヘミセルロース糖類、リグニン
合成ガスならびにこれらの中間体の誘導体は、化学物質および燃料
の製造に利用されている。実際に我々は今や、製油精製装置が現在、
原油を処理するのとほぼ同様に、納入されるバイオマスを処理可能
である一体型バイオ精製装置の商業化に注目している。有効利用さ
れていないリグノセルロース系バイオマス供給原料は、炭素基準で
石油よりもはるかに安価となると共に、環境ライフサイクルの観点
からはるかに良好となる見込みがある。

グノセルロース系バイオマスは、地球で最も豊富な再生可能材料で
あり、化学物質、燃料および材料を製造するための可能性を秘めた
供給原料であると長く認識されている。リグノセルロース系バイオ
マスは通常、主にセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンから
なる。セルロースおよびヘミセルロースは天然の糖類のポリマーで
あり、リグニンはバイオマス網目全体を強化する芳香族/脂肪族炭
化水素ポリマーである。バイオマスのいくつかの形態(例えばリサ
イクル材料)は、ヘミセルロースを含有しない。

地球上で最も入手し易い天然ポリマーであるにも拘わらず、セルロ
ースがナノ結晶性セルロース(NCC)、ナノフィブリルセルロー
ス(NFC)およびバクテリアセルロース(BC)の形態で、ナノ
構造化材料として注目を集めるようになったのは最近のことに過ぎ
ない。ナノセルロースは、ポリマー強化、抗菌性フィルム、生分解
性食品用包装材、印刷用紙、顔料およびインク、紙およびボール紙
梱包材、バリアフィルム、接着剤、バイオ複合材、創傷治癒、医薬
品および薬剤送達、布地、水溶性ポリマー、構造材料、輸送産業向
けリサイクル可能なインテリアおよび構造部品、レオロジー改質剤
、低カロリー食品添加物、化粧品増粘剤、製薬用錠剤結合剤、バイ
オアクティブペーパー、エマルションおよび粒子安定化フォーム用
のピッカリング安定剤、塗料配合物、光学的スイッチング用フィル
ムならびに洗剤などの広範囲の用途で使用するために開発されつつ
ある。ナノセルロースの非毒性および優れた機械的特性などの主要
な利点にも拘わらず、ナノセルロースの使用はこれまでのところ、
ニッチ用途にとどまっている。NFCは、その感湿性、親油性ポリ
マーとの非相溶性および製造に要する高いエネルギー消費量のため
に、これまで普通紙またはプラスチックなどの量産品との競争が妨
げられてきた。

バイオマス由来パルプは、機械処理によってナノセルロースに変換
され得る。このプロセスは簡単であり得るが、欠点としては、高いエ
ネルギー消費量、強力な機械処理による繊維および粒子への損傷な
らびにフィブリルの直径および長さの分布が広いことが挙げられる。 
バイオマス由来パルプは、化学処理によってナノセルロースに変換
され得る。例えばパルプを2,2,6,6-テトラメチルピペリジ
ン-1-オキシラジカル(TEMPO)で処理して、ナノセルロー
スを製造してよい。このような技法は、機械処理と比較してエネル
ギー消費量を低減し、粒径をより均一にするが、このプロセスは経
済的に実現可能とは思われない。

より低いエネルギーコストでバイオマスからナノセルロースを製造す
るための改善プロセスが、当技術分野で必要とされている。ナノセ
ルロース製造のための改善出発材料(即ちバイオマス由来パルプ)
も、当技術分野で望まれている。新規プロセスは、ナノフィブリル
およびナノ結晶のいずれかまたは両方を製造するために、ならびに
糖類、リグニンおよび他の副産物も副生するために、供給原料につ
いての柔軟性およびプロセスについての柔軟性を有することが特に
望ましい。いくつかの用途では、ナノセルロースまたはナノセルロ
ースを含有する複合材の良好な機械的特性をもたらす、結晶性の高
いナノセルロースを製造することが望ましい。ある用途では、ナノ
セルロースの疎水性を向上させることが有益である。

特開2021-121200 植物脂質から工業製品を製造する工程 モン
ウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサー
チ オーガナイゼーション
【要約】
図3のごとく、バイオディーゼル及び合成ディーゼルなどの油製品
ならびにこれらを製造する工程に加え、トリアシルグリセロール等
の1つ以上の非極性脂質レベルの増加した植物、及び非極性脂質の
総含有量の増加した植物を提供する。特定の一実施形態では、植物
またはその任意の部分において、1つ以上の非極性脂質のレベル及
び/または非極性脂質の総含有量及び/または一価不飽和脂肪酸含
有量を増加させる、2つ以上の脂質処理酵素、油体タンパク質、低
脂質分解酵素及び/または脂質生合成を調節する転写因子の改変の
組み合わせに関する。一実施形態では、本発明は脂質の抽出工程に
関する。別の実施形態では、採取された植物生育部分において、脂
質を1つ以上の炭化水素生成物へと転換し、再生可能バイオディー
ゼル燃料としての用途に適した脂肪酸のアルキルエステルを製造す
る方法を提供する。

図3.
※特開2023-047453 ラビリンチュラ類の培養方法 日本製紙株式会社
【課題】
木本類および/または草本類中を加水分解して得られる糖液のpH
を5前後の弱酸性液に調整した糖液でも培養が阻害されないラビリ
ンチュラ類の培養方法に関する。木質バイオマス原料に左右されず
得られた糖液を栄養塩にして安定した培養成績を示すラビリンチュ
ラ類を提供に関する。
【解決手段】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、優れた耐酸性
を示すラビリンチュラ類を見出した。そしてかかるラビリンチュラ
類を培養することにより良質なタンパク質とEPAを大量に製造で
きることを見出し、本発明を完成した。
✔ 膨大な情報に疲弊する思いだ。このテーマ続きは次回とする。
------------------------------------------------------------
蓄電池モジュールの状態をBLEで無線監視
東芝は、蓄電池システム内にある蓄電モジュールの状態について、
Bluetooth Low Energy(BLE)」を用いて監視できることを実証した。
状態監視を無線化しても、システムエラーの発生は10年間で1回以下
に抑えることが可能だという。via EE Times Japan 2023年06月22日

システムエラーの発生は10年間で1回以下
このモジュールで状態監視を無線化しても、システムエラーの発生
は10年間で1回以下に抑えることが可能だという。蓄電池システムは、
蓄電容量などによって多くの蓄電モジュールを組み合わせて構成さ
れる。システムを安全に稼働させるには、蓄電モジュールごとに電
圧や温度を監視し、適切に制御する必要がある。ここで用いられる
のがCMU(セルモニタリングユニット)とBMU(バッテリーマネジメ
ントユニット)である。 これまではCMUとBMU間の通信は有線で行
われてきた。ところが、絶縁耐性や設置の自由度、配線ミスの防止
などを考慮し、近年は無線を用いた通信の要求が高まっているとい
う。ただ、電波の干渉や筐体内部における反射などが発生し、通信
が不安定になりやすいという課題もあった。

そこで東芝は、蓄電池システム内でBLEを適用するための設計を行っ
た。例えば、蓄電池システムの監視周期に合わせて、単発的な遅延
は許容し、連続的な遅延を防ぐシステム設計とした。具体的には、
許容される監視周期を100~200ミリ秒とし、3回連続で通信できない
と、蓄電モジュールの充放電を止める。そして、監視周期を超える
通信遅延を10-4以下に抑えることとした。実験では、各BMUに2個の
BLEモジュールを設置し、11台ずつCMU側のBLEモジュールを無線接続
した。その上で通信遅延の測定を延べ4日間実施した。この結果、
160ミリ秒程度の監視周期であれば、通信遅延を10-4以下に抑えられ
ることが分かった。また、BLE通信に関して、求める信号に対する
干渉をモデル化し、確率計算を行えば遅延特性が説明できることを
明らかにした。


   風蕭風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

 J-POPの系譜を探る2011年代】




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森を守る最新システム開発 ①

2023年06月23日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。





『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------
  わたしたちは、桐壺帝と桐壺更衣や、そのあとの藤壺との愛
 執の関わり、桐壺更衣と更衣が死とひきかえに生んだ光源氏、
 藤壺と母に似たひととしてその藤壺を慕う光源氏といった近親
 の濃密な関係を暗示する描写に、閉ざされた世界にゆきかうエ
 ロスの密度が象徴されるおもいがする。それは相似と反復が近
 親の男女のエロス的な関係を占めている世界なのだ。
  亡き桐豆更衣への寵愛を忘れられないために、容貌や挙措が
 似ている藤豆を寵愛する桐豆帝と、亡き母銅壷更衣の容貌や挙
 措に似ていると聴かされて、母を慕うように継母藤豆を恋慕す
 るようになる光源氏とが、いねばこの世界のかなめに当ってい
 る。そしてこの世界を同型に結びつけているのは、おなじ母型
 から投射される「前の世」からの定めなのだ。すくなくとも『
 源氏物語』が光源氏の物語として展開されているあいだ、この
 型の反復と、それを深層から統御する「前の世」からの定めが、
 物語をおおいつくしている。もちろん『源氏物語』は生れつい
 た身分、地位、容貌、心ばえなど欠けたところのない理想の人
 物をおもい描きこの人物が女性だちとの遍歴をかされるという
 説話的な仕組みをふっ切っているわけではない。その意味では
 型の反復のあいだに、ひとりでに溶みでてくる内在性は、語り
 の外在性と結抗して矛盾や対立をかもしている。むしろ稀にし
 かしっくりした関係をみせない。

  『源氏物語』の外在的な構成をきめている鍵は、はじめの「
 桐豆」の巻につづく「帚木」で展開された、登場人物のかわし
 あう女性観に秘されている。さまざまな身分やタイプの女性た
 ちへの品定めが、光源氏と親しい若い殿上人から披樫される。
  その場面の光源氏はときどき疑問をはさんだりするが、おお
 く聴き役にまわっている。だが気ごころの知れた若い殿上人た
 ちがかおるかおる披樫しあう女性たちの像には、源氏がまだ一
 度もいったこともない巷の、まるで接したこともない階層の女
 性たちが含まれていて、光源氏はひそかに刺激をうけとってい
 る。そしてまだ接したことのない巷で、接したこともない女性
 たちに出会い、懸想し、愛を体験したいと思うようになる。こ
 こで光源氏がひそかに好奇心をみたしたいと思い立ったことと、
 この『物語』が展開の緒口に立ったこととは、おなじ意味をも
 っている。作者はまず語り手を介して、登場する主人物たちに
 じぶんの女性欲を繰りひろげさせ、主人公はやがてその軌道に
 のって女性遍歴を体験する。語り手はそれを語る。だが〈雨夜
 の品定め〉のモチーフはそれだけではあるまい。頭の中将や左
 馬の頭が語りだす「中の品」の階層の女性論がとりわけ注意を
 惹くからだ。
  頭の中将によれば、とり柄もなくまったくつまらない女性も、
 すばらしい優れた女性も、おなじく数はすくない。高い格式の
 家に生れると、人に犬切にかしずかれて、欠点がかくされてし
 まうこともおおく、ひとりでにたたずまいも、じっさいより良
 くみえたりする。だから「中の品」の女性こそ、ひとりひとり
 の個性、それぞれの持ちまえの情趣もあらわれて、特徴を区別
 できる優れた点をたくさんもっている。もと銅壷がいた光源氏
 の溜り場にあつまった風流男たちの、得手勝手な女性の品定め
 のなかで、この頭の中将の「中の品」の女性にたいする評価は、
 ただひとつ讃め言葉になっている。そしてこれは作者がたぶん
 意図したものだ。
  どうでもいいようにおもえるが、光源氏はこれをぎいて、も
 とは上層にうまれながら、没落して官位も低く、人なみでない
 生活をしているものもいれば、低い身分のもので上達部などに
 まで成り上って、自慢気に家の内を飾り、他のものに劣らじと
 構えているものもある。
  その区別をどこでつけるのかと問い返す。これをひぎとった
 左馬の頭は、そのいずれも択りわけたうえで「中の品」をきめ
 るべきだと語る。左馬の頭はつづけて、「受領といって、地方
 の国箭の政務に関係して勤め、地方言の位階の定まったものの
 なかにも、それぞれ段階がわかれていて『中の品』がふさわし
 い女性を、択びだすことができる御時勢です。なまなかの上達
 部よりも、参議でない四位の位階のもので、世間の評価もわる
 くなく、もとの家系も賤しくない身分のものが、安楽な身のさ
 ばきで振舞っているのなどは、とてもおおらかな感じがします。
 家の内に不足なことなど、ちっともないでしょうから、けちけ
 ちせずにきらび
やかに、守り育てられた女性などで、非のうち
 ようもない生長の仕方をしたものもたくさんあるにちがいあり
 ません。官仕へに出て、思いがけない幸運にめぐまれる例もお
 おいことでしよう。」(「帚木」)と説明する。
                         
                               「第一部 母型論」P.17
 桐壺 第一帖
源氏物語の主人公・光源氏は、桐壺帝と桐壺更衣との間の皇子とし
て生まれる。母・桐壺更衣は宮中で冷遇されていたが、子供である
光源氏は、その美貌ゆえに瞬く間に注目の的になる。不幸にも桐壺
更衣は、光源氏が三歳のときに亡くなってしまうが、十二1歳になっ
た頃、彼は桐壷更衣に似た容姿を持つ藤壺の女御に出会い、惹かれ
ていく。
via 【相関図でわかる!】源氏物語の登場人物・人間関係をわかり
やすく解説
※桐壺帝:『源氏物語』に登場する一番目の帝(在位「桐壺」~「
花宴」)。架空の人物。左大臣の妻である三条の大宮と同腹。桐壺
更衣を寵愛したため、「桐壺帝」と呼ばれる。『源氏物語』の主人
公光源氏の父親である。理想的帝王として描写され、聖代とされる
醍醐天皇の時代がモデルとされる。 他の有力な妃を差し置いて桐
壺更衣を偏愛し、やがて源氏が誕生するが、更衣はその心労が祟っ
て病死する。悲しみに暮れる桐壺帝を見かねた周囲の勧めにより、
亡き桐壺更衣に瓜二つである藤壺(先帝の第四皇女)を入内させて
寵愛し、第十皇子(後の冷泉帝)を産んだのを機に中宮に据えた。
なお冷泉帝は、実は光源氏と藤壺との不義の子であるが、桐壺帝が
そのことを知っていたかどうかは作中では語られない。「賢木」で
病が重くなり、源氏23歳の年に崩御。「明石」で亡霊として現れ、
源氏の苦難を救う。
※桐壺更衣(きりつぼのこうい):紫式部の物語『源氏物語』の登
場人物。主人公光源氏の母。按察大納言と北の方との一人娘で、桐
壺帝の更衣。後宮では後ろ盾が無いこともあり、局として清涼殿か
らもっとも遠く不便な淑景舎(桐壺)を与えられたことから桐壺更
衣と称する。早くに父親を亡くした、父の遺言を受けた母北の方の
尽力により、一族再興の期待を背負って入内した。出家した兄が一
人いる(「賢木」)。 特別身分高い出自ではなかったが、桐壺帝の
寵愛を一身に受けていたため、他の女御、更衣たちから疎まれたう
え、彼女らの後ろ盾である重鎮の貴族からは楊貴妃にあてこすられ
て、有形無形の嫌がらせを受けた。その心労から病気がちになり、
帝の第二皇子(光源氏)を出産するも、源氏が3歳の夏に病状が急
変、里下り直後にそのまま死去。女御にもできなかったことを後悔
した帝により、従三位を追贈された。エピソードは無い。
via jp・Wikipedia
                                    この項つづく

      
 

 
 
【再エネ革命渦論 140: アフターコロナ時代 139】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ㉓

ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。

森を守る最新システム開発 ①
仮に環境条件の気温を主要因として平均気温1℃上昇した場合、日
本の森林の成長に伴う、全植林重量及び体積は変化(増加)するの
だろうかと鬱蒼とした河川敷の間食する雑木林をみて考える。

  

 今回は、計画植林の「伐採・回収」について考えてみる。 下図
7は、「地雷処理装置」を植林伐採後の表明に残る切り株を粉砕処
理部(符号番号13)を掲載(下図;草刈機)しているように、杉・
桧などの幹下部にに垂直に切断装置ユニット(アタッチメント)--
この場合、ユニットの天空側に枝を回転式切断刃と地面側に下部に
任意幅に幹部を切断刃を合体ユニットを備えたショベルカーで、
ここでは記載されていないが、①樹木上で垂直方向とは逆にぶれない
ように固定するアームアタッチメント、②上部側ユニット切断の枝
木の落下を防止し所定の位置に収納するロボットアーム(1~3セ
ット)、③下部側のユニットから切り出され幹切断片を回収ロボッ
ト乃至は搬出ユニット(アタッチメント)を備えている。
ここでは、採取する資源用途はは2つあり、1つは、建築・家具な
どの長尺資材、2つは、粉砕し化成・医療資材或いは燃料ペレット
パルプなどの資材用途がある。前者は下部ユニット(アタッチメン
ト)の使用ウエイトがある(スライス切断すれば、後者でも食器な
ど様々の用途がある)。スライス処理では、様々な検出機で情報を
収集し例えばナンバーリング・ラベリング処理し、カーボン・セル
ロースファイバーや薬剤有効部など選択・再利用か可能である。ま
たスライス回収でなく現地粉砕なども可能であり無限に用途がひろ
がるはずである。


図7 従来例の草刈機が取付けられた油圧ショベルの構造の側面図 


図1.樹木伐採用アタッチメントを取り付けた樹木伐採装置を示す
  側面図

図3.ソー装置による伐採状態を示す(A)側面図、(B)平面図

特開2019-54734 樹木の伐採用ソー装置、及びこれを用いた樹木伐採
用アタッチメント及び樹木伐採装置 佐藤機工株式会社

【概要】
上 図1のごとく、樹木を伐採するための伐採用ソー装置であって、
ハウジングを構成するフレーム部材と、当該フレーム部材に設けら
れて、樹木を切断可能なソー部材と、前記ソー部材の切断動作に追従
するとともに、当該ソー部材の切断方向に向かって進退自在に前記
フレーム部材に設けられたスペーサ部材とからなる伐採用ソー装置
とする ことで、大木のような質量のある樹木であっても、切断終
了時における切断部材の破壊を防止できる伐採用ソー装置、及びこれ
を用いた樹木伐採用アタッチメント及び樹木伐採装置を提供する。


図1.生チップの加熱乾燥時における乾燥時間と含水率との関係を
示す一般的なグラフ

特開2022-167251 被処理木材の乾燥脱水方法及び木質ペレットの
造方法 ジェイパワー・エンテック株式会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥し
て含水率が湿量基準で20~25質量%である乾燥チップを得る加
熱乾燥工程と、前記乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水する
ことにより、含水率が湿量基準で20質量%未満である乾燥粉砕物
を得る機械的脱水工程と、を含むことを特徴とする被処理木材の乾
燥脱水方法。
【請求項2】前記粉砕が、スクリーンを有さない衝撃式粉砕機を用
いる粉砕であり、前記機械的脱水が、風力分級器を用いる脱水であ
る請求項1に記載の被処理木材の乾燥脱水方法。
【請求項3】前記加熱乾燥が、100℃以下の温風で行われる加熱
乾燥である請求項1に記載の被処理木材の乾燥脱水方法。
【請求項4】 被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥し
て含水率が湿量基準で20~25質量%である乾燥チップを得る加
熱乾燥工程と、前記乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水する
ことにより、含水率が湿量基準で20質量%未満である乾燥粉砕物
を得る機械的脱水工程と、前記乾燥粉砕物を造粒してペレット化す
る造粒工程と、 を含むことを特徴とする木質ペレットの製造方法。

【課題】
従来の方法による木質ペレットの製造方法は以下の問題を有してい
る。① 先ず、加熱乾燥によって被乾燥木材の含水率を10~15質
量%に到達させるまでに長時間を要する。② 次に、生チップの粉砕
工程において、1段階の粉砕処理で所期の粒度に到達させることが
困難であり、多段階の粉砕を行う必要がある。③ さらには、粉砕機
の金属製スクリーンに目詰まりが生じ易く、粉砕を継続的に行う事
が困難である。④ また、燃料燃焼排ガスを熱源とする乾燥機は、火
の粉が燃料燃焼排ガスに同伴して乾燥機内に侵入し、木質原料に着
火して火災を引き起こす恐れがある。

【解決手段】
被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥する場合、①含
水率が20~25質量%に到達するまでは、乾燥時間に比例して含
水率が低下する(以下、「定率乾燥期間」ともいう)が、②含水率
が20~25質量%に到達した後には乾燥効率が著しく低下し、乾
燥時間に比例して含水率が低下しなくなる(以下、「減率乾燥期間」
ともいう)。図1は、生チップの加熱乾燥時における乾燥時間と含
水率との関係を示す一般的なグラフである。図1中、乾燥時間0~
Iの区間は材料予熱期間であり、I~ⅱの区間は定率乾燥期間であ
り、ⅱ~ⅲの区間は減率乾燥期間である。乾燥時間ⅱにおける材料
の含水率は20~25質量%である。このような定率乾燥期間と減
率乾燥期間とが生じる理由は、含水率が20~25質量%に到達す
るまでは、自由水とよばれる被処理木材の細胞内や細胞間の水分が
表面に浸み出して順次蒸発していくのに対して含水率が20~25
質量%に到達した後には、結合水とよばれる被処理木材の細胞壁や
繊維などと化学的に結合し残存している水分が表面に浸み出し難く、
蒸発し難いためと推定される。そのため、この減率乾燥期間におい
ては、乾燥効率が低く、加熱乾燥に長時間を要する。そこで、この
減率乾燥期間における加熱乾燥を機械的脱水に置き換えて、細孔内
の水分を機械的に離脱させるか、細孔内の水分を表面に露出させて
離脱し易い状態とすることにより、効率的に水分を除去できること
を見出し、本発明を完成するに至る。


図2.木質ペレットの製造方法を示すフロー図

以下、本件の工程作業流れの特徴を記載する(図2参照)。

1)被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥して含水率
 が湿量基準で20~25質量%である乾燥チップを得る加熱乾燥
 工程と、乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水することによ
 り、含水率が湿量基準で20質量%未満である乾燥粉砕物を得る
 機械的脱水工程と、を含むことを特徴とする被処理木材の乾燥脱
 水方法である。
2)この粉砕工程では、スクリーンを有さない衝撃式粉砕機を用い
 る粉砕であり、機械的脱水が、風力分級器を用いる脱水であり、
3)加熱乾燥が、100℃以下の温風で行われる加熱乾燥である。
4)被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥して含水率
 が20~25質量%(湿量基準)である乾燥チップを得る加熱乾
 燥工程と前記乾燥粉砕物を造粒してペレット化する造粒工程と、
 を含むことを特徴とする木質ペレットの製造方法である。

図3.乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水する装置の構成例
  を示す説明図
【符号の説明】
100・・・粉砕及び風力分級の装置構成 11・・・衝撃式粉砕機
13・・・粉体輸送機 15・・・風力分級器  17・・・粉体輸送
機 19・・・サイクロンセパレータ 21・・・ファン A・・・乾
燥チップ+空気 B・・・空気+水分(ミスト) C・・・乾燥粉砕
物+乾燥チップ(未達粉砕物)+空気+水分(ミスト) D・・・乾
燥粉砕物+空気+水分(ミスト) E・・・乾燥粉砕物 F・・・空
気+水分(ミスト) G・・・乾燥チップ(未達粉砕物)+空気+水
分(ミスト)
【実施形態】
1)被処理木材を切削して得られる生チップを加熱乾燥して含水率
が20~25質量%である乾燥チップを得る加熱乾燥工程と、この
乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水することにより、含水率
が20質量%未満である乾燥粉砕物を得る機械的脱水工程を含むこ
とを特徴とする被処理木材の乾燥脱水方法で、先ず、間伐材等の被
処理木材を切削して生チップを得るが、例えば、間伐材を一辺が数
cm~十数cmに切断して生チップを得る。樹種にもよるが、通常
生チップの含水率は45~55質量%である。
2)この生チップを加熱乾燥することにより、含水率が20~25
質量%である乾燥チップを得る。この加熱乾燥工程は、主として、
乾燥時間に比例して含水率が低下する定率乾燥期間の範囲で行われ
る。即ち、定率乾燥期間の終期における含水率は樹種や生チップの
形状によって変動するが、概ね20~25質量%である。加熱乾燥
の終了は、定率乾燥期間の終期であることが好ましい。定率乾燥期
間の終期は、加熱時間に対する含水率の低下割合を計測することに
より判断できる。例えば、乾燥効率が10%以上低下した場合に、
定率乾燥期間の終期と判断する。
3)乾燥方法としては、バンド式乾燥機やキルン式乾燥機を用いる
連続的な乾燥方法が例示される。 乾燥温度としては 特に限定され
ないが、木材の自然発火温度未満の温風であることが好ましく1500
℃以下の温風であることが好ましく 120℃以下の温風であることが
より好ましく 100℃以下の温風であることが特に好ましい。熱源に
燃料燃焼排ガスを直接用いる場合は、火の粉が同伴して乾燥機内に
侵入し、火災等の危険が生じるため好ましくない。例えば、蒸気や
温水を熱源とする温風を用いることが好ましい。乾燥温度の下限は
特に限定されないが、80℃以上が特に好ましい。
3)次に、この乾燥チップを粉砕して機械的脱水することにより、
含水率が20質量%未満である乾燥粉砕物を得る。
4)粉砕としては、衝撃式粉砕機を用いて行う粉砕が例示される。
これらの粉砕機は、乾燥チップの粒度が所定の範囲となるまで粉砕
機の粉砕室内に滞留させるためのスクリーンを有さないことが好ま
しい。
5)乾燥粉砕物の粒度は、篩下粒度積算値D50が1mm以下であ
ることが好ましく、篩下粒度積算値D90が2mm以下であること
が好ましく、篩下粒度積算値D98が3.15mm以下であることが
好ましい。即ち、ISO17225-2に定義されるI2クラスの
粒度以下となるまで粉砕することが好ましい。
6)機械的脱水としては、乾燥チップを上記のように粉砕機によっ
て粉砕した後に、風力分級する方法が例示される。粉砕により、乾
燥チップは粉砕機のハンマーと機械的に衝突し、所期の粒径を有す
る粉砕物と、所期の粒径に達しない未達粉砕物と、水分のミストと、
が生成される。即ち、粉砕により、乾燥チップの内部に包含されて
いた水分が露出し、乾燥チップから離脱してミストとなる。この水
分(ミスト)は、風力分級によって除去され、乾燥粉砕物が得られ
る。所期の粒径に達しない未達粉砕物は、粉砕機で再粉砕される。
7)乾燥粉砕物の含水率は、15質量%以下であることがより好ま
しい。乾燥粉砕物の含水率の下限は特に限定されないが、10質量
%以上であることが特に好ましい。水分は木質ペレットとする際の
造粒工程で潤滑剤の役割を担うため、含水率が低すぎると目詰まり
等の不具合を生じる場合がある。
8)風力分級器は、サイクロンセパレータのみで構成しても良いし、
他の気流分級器や回転式分級器、振動篩等を併用しても良い。サイ
クロンセパレータや他の気流分級器の旋回流の遠心力を利用して乾
燥粉砕物と水分(ミスト)とを分離させることにより、乾燥チップ
から離脱した水分が除去されるとともに、所定粒度に到達した乾燥
粉砕物を回収することができる。
また、所定の粒度に達していない未達粉砕物は、分級器で分級され
て再度粉砕機内に導入される。風力分級を行うことにより、粉砕機
の粉砕室にスクリーンを設ける必要がなくなり、スクリーン目詰ま
りによる滞留が生じないため、効率的に乾燥できるとともに、粉砕
機の粉砕部の摩耗が抑制される。風力分級器は粉砕機と一体となっ
ていても良く、粉砕機外に独立して設けられても良い。

図3は、乾燥チップを粉砕するとともに機械的脱水する装置100
の構成例を示す説明図である。図3中、11は衝撃式粉砕機であり、
輸送機13を介して風力分級器15に接続され、輸送機17を介し
て衝撃式粉砕機11に戻る循環流路が形成されている。風力分級器
15には、サイクロンセパレータ19及びファン21を介して風力
分級器15に戻る循環流路が形成されている。

図3中、Aは乾燥チップと空気であり、乾燥チップは空気とともに
衝撃式粉砕機11内に導入され、ここで粉砕される。粉砕によって
、所期の粒度に到達した乾燥粉砕物と、水分(ミスト)と、所期の
粒度に到達しなかった乾燥チップ(未達粉砕物)とが生じる。この
うち、空気の一部と水分(ミスト)は、符号Bとして衝撃式粉砕機
11外に排出され、乾燥粉砕物と乾燥チップ(未達粉砕物)は、空
気とともに符号Cとして風力分級器15内に導入される。乾燥粉砕
物と乾燥チップ(未達粉砕物)とはここで分級され、乾燥粉砕物と
水分(ミスト)は、空気とともに符号Dとしてサイクロンセパレー
タ19に導入される。乾燥チップ(未達粉砕物)は、空気及び水分
(ミスト)とともに符号Gとして衝撃式粉砕機11に返送され、こ
こで再粉砕される。乾燥粉砕物と水分(ミスト)は、サイクロンセ
パレータ19で分離され、乾燥粉砕物は符号Eとしてサイクロンセ
パレータ19外に排出され、空気と水分(ミスト)はファン21を
通って風力分級器15に返送される。このように乾燥チップから水
分(ミスト)が除去されて、含水率が20質量%未満の乾燥粉砕物
が得られる。
9)乾燥粉砕物は、公知の方法でペレット化され、木質ペレットが
得られる。具体的には、リングダイ方式やフラットダイ式、スクリ
ュー式、押出式等の造粒機を用いて成形される。造粒の際には、公
知のバインダ等を添加してもよい。ペレットの形状は特に限定され
ず、ボイラ等混焼設備の仕様に合わせて適宜変更できるが、一般的
には、直径6~8mm、長さ5~40mm程度の円筒形である。


図6.粉砕部ケーシングの内部を解放した様子を示す横断面図
(特開2022-136306 微粉砕機) 
尚、ドローンロボットとの総合的なシステムとして高度化・高付加
価値化含まれていることは、ブログ読者諸氏はご存知である。
                       この項つづく

 

渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

 

韓国野党議員が福島第一原発を視察 処理水の海洋放出について
 反対の姿勢示す;2023.06.23 福島テレビ 
------------------------------------------------------------
自然エネルギー100%に向けて「出力抑制」の前に行うべき7つの
提言 
2023.06.11 原発ゼロ・自然エネルギー100世界会議
幹事長   河合  弘之
事務局次長 木村  結      

自然エネルギー(とくに太陽光発電と風力発電)への大転換は、気
候危機、エネルギー自立と安全保障の切り札として、全世界で拡大
がますます加速している。当連盟が目指す原発ゼロの実現にも大い
に貢献する。

ところが今年に入って、九州電力を筆頭に、ほぼ全ての電力会社に
よる自然エネルギーの出力抑制が一段と激しくなっている。九州電
力の今年4〜5月の出力抑制は44回(昨年24回)・抑制率39%(昨年
13%)に達した。中国電力の今年4〜5月の出力抑制は36回(昨年7回)
・抑制率31%(昨年8%)に達した。6月4日には、ついに関西電力ま
でも出力抑制を開始した。日本全体の自然エネルギー電力比率はま
だ22%(2022年末。うち太陽光+風力は12%)に過ぎないのに、
れほどの出力抑制は異常である。
この低い自然エネルギー比率の段階でこれほどの激しい出力抑制を
していては、「自然エネルギー100%」どころか、国が掲げる2030
年の自然エネルギー導入目標(36〜38%)や「主力電源化」さえ、お
よそ実現できない。
以下、国と電力会社が自然エネルギー出力抑制の前にすべき7点を
提言する。

その1:自然エネルギー(太陽光+風力)を最優先し、原発を停止
    すべし
自然エネルギー(太陽光+風力)は、原発と比べると、経済的にも
限界費用が最も安く、エネルギー安全保障的にも純国産資源であり
環境的にも核廃棄物やCO2などの汚染がないなどから、エネルギーと
して最優先されるべきである。事実、欧州や米国など日本以外のほ
とんどの国や地域で、自然エネルギーは最優先されている。したが
って、国が定める優先給電ルールを「自然エネルギー最優先」に見
直すべきであるとともに、そもそも原発はテロや事故があれば国家
滅亡の危険があるので、直ちに停止し、廃炉すべきである。

その2:出力抑制に対して経済的補償すること
現在、電力会社が行っている自然エネルギーの出力抑制は需給調整
と系統安定化のためであるから、ドイツが行っているように、自然
エネルギー発電事業者に対して託送料金を原資として経済的な補償
を行うべきである。なお、系統連系契約時の旧ルール・新ルール・
無制限無補償などは、優越的地位を濫用した違法な契約条項であり、
直ちに撤廃すべきである。

その3:完全な発送電(所有権)分離と電力市場の抜本的な見直し
       を
行うこと
出力抑制を行っている一般送配電会社は旧一般電気事業者の「子会
社」であるため、自然エネルギーの出力抑制をして、自社の火力発
電や原発を優先することは、利益相反行為そのものであり、違法で
ある。最近でも不正閲覧問題を起こすなどモラルハザード、違法行
為を起こしており、直ちに完全な発送電(所有権)分離を行うこと
が不可欠である。加えて、卸電力取引所など電力市場に対して圧倒
的に市場支配が大きい旧一般電気事業者の自社内取引が有利な構図
を廃する電力市場の見直しを行い(内外無差別)、容量市場や需給
調整市場も蓄電池による柔軟性向上が進むように見直しを行うこと。

その4:火力発電を出力抑制に使い、かつ最低出力まで落とすこと
       を
徹底すること
自然エネルギー(太陽光+風力)は、経済的にも、エネルギー安全
保障的にも、環境的にも最優先すべきであり、これを出力抑制する
のではなく、電気の需給調整には、火力発電を弾力的に運転し、出
力抑制に使うべきである。我々の調べでは、電力会社は自社の火力
や購入契約火力の出力を充分に落としていない状況があると疑われ
る。電力会社は火力発電毎の運転状況の情報公開をするとともに、
既存の優先給電ルールに従うとしても、火力発電はさらに大幅に削
減できるはずであり、これを徹底すべきである。

その5:電力会社を超えた広域で自然エネルギーを利用すること 
自然エネルギーの出力抑制は、各電力会社の需給調整の都合でしか
なく、全国的に電気が不足していても、各電力会社では出力抑制が
行われているなど、せっかくのエネルギーを無駄に捨てているのが
我が国の実態である。こうした無駄を無くすため、すべての電力会
社管内を越えて送電網を開放し、全国レベルで活用すべきである。
火力発電の最低出力化や地域関連系線の最大活用、さらに抑制対象
外となっていると推測される電源開発の石炭火力(長崎県松島・松
浦火力、徳島県橘湾火力など)も抑制すべきである。

その6:系統蓄電池を急速かつ大幅に拡大すること
これから飛躍的に自然エネルギー(特に太陽光と風力)を拡大して
いくことが必要であることを考えると、本質的には、系統全体の柔
軟性が欠けていることが最大の課題である。短期的に系統全体の柔
軟性を増すには、系統蓄電池の急速かつ大幅な拡大をすべきである。
現在、蓄電池は世界的に爆発的な拡大期に入っており、これは日本
でも導入可能であるだけでなく、日本の蓄電池産業や市場を創出す
るためにも貢献しうる。具体的には、現状、約10GWの系統蓄電池の
計画が把握されているが、これを2030年までに最低でも5倍・約50G
W・200GWhの目標を掲げ、普及拡大策を採るべきである。この系統
蓄電池拡大を補完するため、既存のFIT太陽光発電所やFIT風力発電
所に対しても、FIT価格を維持したまま、事後的な蓄電池設置を認め
るべきである。

その7:需要側でも柔軟性を急速かつ大幅に拡大すること
系統全体の柔軟性を増すには、需要側でも対応することができる。
需要応答(DR)も導入されているものの、未だに充分に進んでいな
い。需要側に蓄電池を設置拡大してこれをアグリゲーション(取り
まとめ)して需要応答(DR)に活用することは、系統全体の柔軟性
向上に加えて、乱高下する電力市場の安定化にも貢献し、需要家の
収益機会にもなるため、ウィン・ウィン・ウィンとなる良策である。
系統全体の柔軟性を増すには、需要側でも対応することができる。
需要応答(DR)も導入されているものの、未だに充分に進んでいな
い。需要側に蓄電池を設置拡大してこれをアグリゲーション(取り
まとめ)して需要応答(DR)に活用することは、系統全体の柔軟性
向上に加えて、乱高下する電力市場の安定化にも貢献し、需要家の
収益機会にもなるため、ウィン・ウィン・ウィンとなる良策である。 
                                                      以上 

   風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

 J-POPの系譜を探る2010年代】

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  
      
昨日は雨で、今日に変更し、2021年 7月29日に亡くなられ久保晴彦
宅に弔問に向かう。新型コロナで遅れたことを奥様にお詫びしお悔
やみ申し上げ帰る。
                                              南無阿弥陀仏

コメント
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産業競争力世界一のデンマーク

2023年06月20日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

 

 6月20日、スイス・ローザンヌに拠点を置くビジネススクール「国
際経営開発研究所(IMD)」は各国の経営環境などを評価する「世界競
争力ランキング」の2023年版を発表。日本は昨年より1つ順位を落と
し、35位と過去最低を更新する。ランキングによると、デンマーク
は2年連続の1位となった。ビジネスや政府の効率性、インフラ整備
が高く評価された。2位は高い経済指標の後押しを受けたアイルラ
ンドとなった。昨年の11位から順位を急上昇させた。3位はスイス
となっている。


2022.06.20

 デンマークといえば、風力発電百パーセントで余剰電力は欧州各
国に送電するエネルギー大国だというのが第一印象だが?それにし
ても何故世界一になるたのか? デンマークのほとんどの企業は、
模が非常に小さい中小企業で構成され、人件費も生活費も非常に高
いうえ、小国だから国内市場は小さい。だから、成功している企業
は例外なく、国際市場を見ている。そして、海外の顧客が高い価格
でも喜んで払うような製品やサービスを提供しているとか(via Bu-
siness Insider Japan, 2022.12.7
)。そして、デンマークでは大企業とさ
れている企業、例えば、玩具メーカーのレゴや、糖尿病治療薬で知
られるノボノルディスクなどを含め、デンマークで成功している企
業の共通点は1つのニッチな分野に深く特化していること。
そして、こうした企業が狙うのは「アップマーケット」と呼ばれる
級市場である。もちろん、皆が皆そんな企業というわけじゃなく、
大企業の下請けだってたくさんある。でも、成功している企業の共
通点は、非常に創造性に富み、国際的視野を持った、ニッチに特化
した企業。そして、デンマークと他の国の間に違いかあるとすれば、
これを、研究開発部門を持つような大企業ではなく、ごく小さな企
業でもできるという説明主要因をもつが、もちろん、皆が皆そんな
企業というわけじゃなく、大企業の下請けだってたくさんあるが(
安堵?!)。成功している企業の共通点は、非常に創造性に富み、
国際的視野を持った、ニッチに特化企業(日本では、キーエンスに
該当するかな?)そして、デンマークと他の圃との間に違いかある
とすれば、これを、研究開発部門を持つような大企業ではなく、ご
く小さな企業でもできるという点だと地元識者は説明している。



説明はそれだけでない、溶接工や機械オペレーターといった職業で
4~5年の訓練を受けるなど、教育やスキル向上に力を入れている
ため、一般労働者の教育レベルが高いこと。はたまた子どもの頃か
ら先生に対しても意見を言うよう教育されてきたこともあり、上司
や社長に対 しても物申す企業文化があり、そのようなフラットざか
自由なアイデアとイノベーションを育んでいると補足しているが、
言い換えれば、スマートで個性豊かな勤労者を生んでいる労働・厚
生環境が充実している----言い換えればブラック企業が横行する日
本社会とは対象的ではないか----と感じた。
------------------------------------------------------------
※デンマーク企業の98.5%は従業員50人未満の小企業、250人以上
の企業は0.3%しかない。


Captura offers a critical tool in the fight against climate change utilizing unique 

  特集|直接海洋回収技術とは
 脱酸素技術に新星が現れた。カリフォルニアエ科大学のスピンオ
フ企業キャプチュラ(2021年設立)は、地球表面の70%を占める海洋
を活用することで、大気中の二酸化炭素を低コストで除去する施設
の建設を目指している。
 海水には大気から二酸化炭素を吸収する性質がある。同社の技術
DOC(ダイレクト・オーシャン・キャプチャー)はこれを利用する。
まず、ろ過した海水をプラント内に引き込み、再生可能エネルギー
を使って海水を電気処理し二酸化炭素を除去する。取り出した二酸
化炭素は永久的に隔離されるか炭素製品に活用される。二酸化炭素
を含まない海水は海へ戻され、再び二酸化炭素を吸収するという流
れだ。海水を海に戻すため、海洋生物への影響は最小限に抑えるこ
とができるという。



 昨夏から実験的な運用が始まっている。また今年5月には、数カ
月内にロサンゼルス港の官民海洋研究所アルタシーのキャンパスで
2つ目のシステムの実証試験を開始すると発表。この2基目は、海
から年間100トンの二酸化炭素を回収できる。
 キャプチュラのテクノロジーの強みは、再生可能エネルギーの供
給と海水があれば世界のどこでも導入できることだ。また、沖合に
設置すれば土地利用上の課題も解消される。同社は将来、ライセン
ス供与してグローバルに展開したいという。



図 1 (a) 海水から CO2 を除去するための塩化物媒介電気化学 pH
スイング システムの一般原理。 (b) 各ステップにおけるビスマス
(赤) 電極と銀 (青) 電極での電気化学反応、およびその後の酸性化
した海水中での CO2 放出
【関連論文】
Title:Asymmetric chloride-mediated electrochemical process for CO2
removal from oceanwater,
DOI: 10.1039/D2EE03804H
(Paper)  Energy Environ. Sci., 2023, 16, 2030-2044
【概論】
大気中の二酸化炭素の継続的な蓄積が気温の上昇と地球規模の気候
パターンの混乱につながるため、産業による二酸化炭素の排出は環
境に大損害を与えている。この問題を緩和するために、点発生源か
らの CO2 排出量を削減することに加えて、周囲環境から二酸化炭素
を直接除去するネガティブエミッション技術が注目されているが、
非常に希薄なレベルの CO2 が除去を困難にしている。海洋に分配さ
れるCO2 排出総量は大気中に保持されるCO2排出量に匹敵し、効果的
な除去手段は、他のマイナス排出技術を強化し、この温室効果ガス
による環境負荷を軽減できる可能性がある。海水から CO2を除去す
るアプローチは、水の pHを約 8.1 から 7未満に調整し、炭酸塩お
よび重炭酸塩からの溶存無機炭素 (DIC) の種分化が分子状 CO2
確実に変化し、その後真空下で除去することに依存させる。化学物
質の添加を必要とせず、望ましくない化合物の形成による寄生反応
を引き起こさないアプローチが特定されることが望ましい。このた
め電気化学システムは、制御可能な方法で電子供給し反応促進でき、
化学的使用や寄生反応を回避でき、海水の pH 変動に適した選択肢
と考えられていた。海水からの CO2 除去に関する現在の研究では、
双極膜電気透析 (BPMED) が使用されているが、双極膜の高コストが
プロセスの商用化を妨げる可能性があり、これらの構造の一部では、
有毒な酸化還元対が海水に漏れるリスクさにさらされる。ここでは、
最初にCO2を放出し、次に海洋に戻す前に処理水をアルカリ化するた
めのpHの電気化学的調整のみに基づいた新しいアプローチを提案す
る。このアプローチは、(i)高価な膜や化学薬品の追加を必要とせず、
(ⅱ) 展開が簡単で、(ⅲ) 副生成物や二次的生成物を引き起こさず、
(iv) 必要なエネルギー入力が少なくて済み(122 kJ mol-1)。私た
ちの知る限り、他のアプローチより優れており、さらに、予備的な
技術経済分析では、この海洋捕獲システムが経済的に実現可能であ
ることを示唆する。


画像:CarbonCapture Inc

 期待の脱炭素技術DAC(直接空気期回収)の研究実用化が各地で進
んでいる。米国では、史上最大になると言われている巨大なサイズ
DAC施設の建設が進行。ワイオミング州のDACプ ラント「バイ
ソン」は、ロサンゼルスのカーボ ン・キャプチャー社とダラスのフロ
ンティア・カーボン・ソリューションズ社による一大プロジェクト。
 2024年後半に最初の モジュールの稼働を予定し、2030年に全てが
完成した時点で、年間500方トンのCO2(1年間に約100万台の自動車
が排 出する量)を除去する見込み。  
 回収したCO2は地中深くに埋め、カー ボン・クレジットとして販
売される。マイク ロソフト社は、このクレジットを購入する 契約
をすでに交わした。  
 DAC建設には多額の費用が必要だが、民間セクターからの支援に
加え、米国では昨夏成立したインフレ抑制法によりクリーンエネル
ギーの分野でも各種設備の導入に大幅な税額控除が認められ、DAC
やCCS(CO2回収・貯留)に追い風が吹い ている。ワイオミング州
が選択された理由は、安価な再生可能エネルギーヘのアクス、手頃
な土地価格、最適な炭素貯蔵 場所が近隣にある点など、コスト低減
の要 素に恵まれている。カーボン・キャプチャー社の経営責任者は、
今後、さまざまな地域で多様なプロジェクトを展開したいと語る。

 
  06/01/2023 
     

 
【再エネ革命渦論 139: アフターコロナ時代 338】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ㉒

ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


ペロブスカイト太陽電池で空気監視実証
    6月19日、東京都と,自治体として初となる「ペロブスカイト太陽電池」を
用いた空気質モニタリングソリューションの実証事業を開始したと発表。
ペロブスカイト太陽電池は,薄く,軽く,曲がり,材料によって半透明にす
ることが可能なことから,次世代太陽電池として注目されている。少ない
光量でも発電することができるため,身の回りの小型電子機器や,これま
で太陽光パネルを設置できなかったようなビルの壁面,宇宙空間など,さ
まざまな場所で独立電源を得ることが可能となり,大面積塗布技術によ
って大幅なコスト削減も期待されている。 マクニカは,昨年,京都大学発
スタートアップのエネコートテクノロジーズの「ペロブスカイト太陽電池」を
採用した空気質センサーを開発,実証実験を続けてきたが,今回東京都
の協力のもと,エネコートと三者で,自治体として初,また実オフィス環境
下においても初となる実証事業を開始する。使用する「空気質センサー」
は,空気の品質を常時チェックし,モニターする。CO2,PM(ほこり,ちり)
,有害物質,および湿度・温度の数値から,快適に過ごせる空気質空間
かを可視化する(商品名「AiryQonnect(エアリーコネクト)」)。



 今回「ペロブスカイト太陽電池」を組み込むことで,独立電源を確保し,
設置場所の自由度やバッテリー交換不要といった面で,環境負荷の少な
い空気質の観測が可能になることが期待される。
 同社は今後,東京都庁の執務室内を,空気質モニタリング(CO2,温湿
度,照度)の実証の場として活用し,「ペロブスカイト太陽電池」搭載のIoT
センサー端末の量産化に向けて,検討・検証を進めていく。 三者はこれ
を機に,「ペロブスカイト太陽電池」の実用化と,空気質改善によ
る都民の生活品質の向上が実現できるよう,積極的に取り組んでい
くとしている。

 安全な遠紫外線が殺菌に最も有効
 コロナウイルスの紫外線殺菌において人体に照射しても安全な遠
  紫外線が最も有効に殺菌効果を有することを実証!人体に安全な
  感染防止空間の実現へ
 6月19日、熊本大学らの研究グループは、コロナウイルスの感染経
路としてエアロゾル感染(空気感染)と⾶沫感染があります。コロ
ナウイルスの変異株のいくつか(例えばBA株)は感染⼒が⾮常に強
いため、5類感染症に移⾏しマスクの着⽤は個⼈の判断に委ねられ
る現段階においては、感染症の再流⾏が起こる可能性も否定できな
いため、⼤規模空間での感染対策は以前にも増してその重要性が⾼
まっている。
 感染拡⼤を防⽌し、かつ簡便に殺菌をおこなえる⼿段の⼀つとし
て、紫外線が有効であるが、従来⽤いられている紫外線(例えば⽔
銀灯から発せられる深紫外線)は、⼈体のタンパク質やDNA に損傷
を与えるため、この深紫外線を⽤いて⼈が存在する空間を殺菌し、
ウイルスの感染防⽌を⾏うことは法律で厳しく制限されています(
1 ⽇に照射できる深紫外線量は極微量)。
 近年では、⼈体に照射しても安全な“遠紫外線”が新しい殺菌光
として注⽬を集めていますが、コロナウイルスの種々の感染⼒の⾼
い変異株に対して、この遠紫外線が従来の深紫外線と⽐較してどの
程度殺菌効果を有するのか、系統的かつ定量的な実験及び評価は為
されていなかぅた。(従来は、様々な研究機関が、市販されている
殺菌光源(例えば⽔銀灯)を⽤いてコロナウイルスの感染⼒を評価
していた。)


図1.(a)新たに構築した波⻑可変紫外線照射光源。波⻑170 nm〜
2000 nm を出⼒する光源から波⻑選択素⼦(⼲渉フィルター)を⽤
いて、図(b)に⽰すように照射波⻑を選択(遠紫外線︓200 nm及び
220 nm、深紫外線︓240 nm 及び260 nm)。単⼀波⻑の遠紫外線ま
たは深紫外線をコロナウイルスに照射して、その殺菌効果をTCID50
法及びq-PCR 法で評価。

図2.各紫外線照射波⻑におけるSARS-CoV-2 BA.2 及びBA.5ウイル
スの殺菌効果を評価した結果。(a)220nm(BA.2︔濃緑、BA.5︔淡緑
)及び(b) 260nm(BA.2︔濃⾚、BA.5︔薄⾚)。丸印はTCID50で得
られたウイルス感染⼒(ウイルス⼒価)の紫外線照射線量に対する
低下度合いを⽰し、四⾓印はq-PCRで得られたウイルス感染⼒(RNA
増幅率)の紫外線照射線量に対する低下度合いを⽰す。
図2 の結果より、220 nm の⼈体に照射しても安全な遠紫外線 [(a)
の結果] は,⼈体に悪い影響を及ぼす260 nmの深紫外線[(b)の結果]
と同程度に⾼い殺菌効果を有することが判明。⼈体に照射できる紫
外線量の閾値(⼈体に1 ⽇に照射して良い紫外線総量)を考慮すると
 遠紫外線(220 nm)は深紫外線(260 nm)と⽐べて⾮常に有効で
あることが判る----1 ⽇に照射できる紫外線の総量は、220 nm で
25 mJ/cm2、260 nm で3 mJ/cm2 ですが、これらの値と今回得られた
結果の双⽅を考慮うると、220 nmで25 mJ/cm2 の遠紫外線を照射す
れば、コロナウイルス量を1/1000まで殺菌できるのに対して、260nm
で3 mJ/cm2の照射ではコロナウイルス量を1/3 までしか低減できない
ことが判る。従って、⼈体への 安全性を考慮すると、⼀般的に使⽤
されている深紫外線波⻑域(235〜315 nm)と⽐較して、遠紫外線は
コロナウイルスを効率良く殺菌できることが今回の研究で判明し。
また、今回の論⽂では、コロナウイルス紫外線殺菌効果を更に⾼め
るための光学理論を提唱しました。⽔の微粒⼦内で紫外線強度が増
強する効果(ミー散乱6 増強効果)を利⽤するものである。


 図3. ⽔滴内における遠紫外線(220 nm)増強効果を理論的に計
算した結果。縦軸は紫外線の増強度、横軸はサイズパラメーター(
2・×⽔の微粒⼦半径/220 nm)。遠紫外線の強度が⽔滴内全体で平
均すると2から3 倍⾼くなる結果を⽰している。挿図は,⽔滴(直径
400 nm)表⾯部は特に遠紫外線(220 nm)の増強効果が⾼い(10
倍以上)様⼦を⽰している。
 遠紫外線(220 nm)の⽅が、従来殺菌に利⽤されていた深紫外線
(例えば⽔銀灯)より⼤きな殺菌効果を引き出せるという今回の知
⾒は、⼈体への紫外線照射線量を低減することができるため、今後の
紫外線を⽤いた居住空間や病室の紫外線殺菌技術及び装置開発に⼤
きく貢献できるものと考えております。現在、名古屋市⽴⼤学にお
いて、環境負荷が少なく(⽔銀を含まない)、かつ⼈体に照射して
も安全な“遠紫外光源の実⽤化”に邁進している段階である。

【展望】
 遠紫外線(220 nm)の⽅が、従来殺菌に利⽤されていた深紫外線
(例えば⽔銀灯)より⼤きな殺菌効果を引き出せるという今回の知
は、⼈体への紫外線照射線量を低減することができるため、今後
紫外線を⽤いた居住空間や病室の紫外線殺菌技術及び装置開発に
⼤きく貢献できるものと考えられ、名古屋市⽴⼤学において、環境
負荷が少なく(⽔銀を含まない)、かつ⼈体に照射しても安全な“
遠紫外光源の実⽤化”に邁進している。
(参考 https://www.nagoya-cu.ac.jp/press-news/202303081400/



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

 

福島原発汚染処理水とは⑩
原 題:海洋におけるトリチウムの動態と海生生物への蓄積:
Behavior of Tritium in the Ocean and Marine Organisms
著 者:宮本霧子 公益財団法人海洋生物環境研究所 
掲載誌:海生研研報,第27号,71-80,2022


図1.北東大西洋における海洋調査プロジェクトの対象海域,及び
  トリチウムデータベース関連地域の地図。
  :核燃料再処理施設操業地域とその名称,:放射性医薬品
  工業活動地域とその名称,:IAEAの月間降水中トリチウム濃
  度観測地点とその都市名


 
     トリチウムの生物への蓄積

 第6図に,水生植物と水生動物のTFWT濃度とOBT濃度の観測値の
関係を示したが,OBT濃度/TFWT濃度は0.5~0.8と整理ができ,O
BT
へのトリチウムの濃縮は起きていない。この観測の結果,水生生
物のTFWT濃度は水のHTO濃度と等しくなるが,OBT濃度はTFWT濃
度を越えることがないばかりか,TFWT濃度より低くなることが示さ
れた。なぜ低くなるかは,質量数が大きい同位体の方が化学反応を
起こしにくいということから,トリチウムが生化学反応過程におけ
る同位体効果により,OBTになりにくい結果と説明されている。
 パーチ湖の観測結果から下記のことが推定された。水生生物のTF
W
T濃度は,生物の水代謝反応によって,生物が留まる水塊のHTO
濃度と等しくなる。しかし移動する生物は,移動先の水塊のHTO
度に等しくなるまで一定時間かかるので,水塊のHTO濃度と異なるT
FWT
濃度を持つ期間がある。それはOBT濃度についても同じことが
起こり,生物が留まる水塊のHTO濃度との大小関係は流動的である。
ただし一定時間が過ぎ,平衡状態になるときは水塊のHTO濃度を越
えることはない 方が化学反応を起こしにくいということから,トリ
チウムが生化学反応過程における同位体効果により,OBTになりにく
い結果と説明されている。
 パーチ湖の観測結果から下記のことが推定された。水生生物のTF
WT
濃度は,生物の水代謝反応によって,生物が留まる水塊のHTO
濃度と等しくなる。しかし移動する生物は,移動先の水塊のHTO
度に等しくなるまで一定時間かかるので,水塊のHTO濃度と異なる
TFWT濃度を持つ期間がある。それはOBT濃度についても同じことが
起こり,生物が留まる水塊のHTO濃度との大小関係は流動的である。
ただし一定時間が過ぎ,平衡状態になるときは水塊のHTO濃度を越え
ることはない。

      海生生物のOBT濃度を上昇させる原因

 パーチ湖での観測結果は,湖水のトリチウム濃度が高い場合でも
水生生物体内のトリチウム濃度は湖水の濃度を越えて蓄積されるこ
とはないことを示したが,ある地域では環境水のHTO濃度よりもOB
T
濃度が高い水生生物が観測されており,その現象については詳細
な調査報告がある。
 まず英国ウェールズ州カーディフ湾(第1図)の河口海域では,
OBT濃度が高い底質微生物や魚類の存在が観測されたが,その原因
となったのは,1940年代より当地で製造されてきた,医学・生命科
学研究や医療診断においてトレーサー物質として使用されるトリチ
ウム標識放射性医薬品の環境中放出である。海水のHTO濃度は10 Bq
/Lまでのレベルだが,底質の有機物や微生物はそれよりも高く,O
BT
濃度が最大1.2×105 Bq / kgの底生魚が観測された時期もあった。
Williams et al. ,2001)。
 同じ現象はフランス地中海側のリオン湾(第1図)でも観測されて
いる。これらの事象の原因物質は,生体内の生理・生化学的代謝反
応を調べるトレーサーとして,医学・薬学分野で利用されることを
目的に意図的に合成されたトリチウム化有機合成化合物であり,一
部は環境中では分解されにくい高分子のものもある。排出基準を守
って環境中に排出された場合でも,自然環境中で分解されにくく,
底質から食物連鎖に入って生態系を循環・残留したものと推定され
た。今では放出が管理され濃度は下がっているとのことであるが,
国際的な警告事象となった例である。しかしトリチウムの線量係数
が小さいため,ヒトの受ける線量は安全な範囲であると結論されて
いる(Eyrolle-Boyer et al ., 2014a, 2014b; Eyrollea et al .,2018)。
 一方,同じフランス国内でも核燃料再処理施設のあるラ・アーグ
では,トリチウムがHTOとして年間1015Bq以上放出されており,第4
図のように海水のHTO濃度がしばしば高いが,底質や海生生物のOBT
濃度は海水のHTO濃度より高くなく,濃縮係数は1,すなわちトリチ
ウムは海洋生物には濃縮されていないと結論されている(Fiévet et al. ,
2021; Masson et al. , 200
5)。
 パーチ湖の観測結果でも,湖底堆積物のTFWTもOBTも湖水のHTO濃
度を越えて濃縮されることはなかった。しかし工業的に生産された
トリチウムで標識された有機化合物が環境中へ排出され,自然界で
は十分に分解されないまま生態系で食物連鎖に入った場合の蓄積現
象は,農薬やその他の環境有害物質の影響評価と同様に観測を継続
しなければならない課題であり,今後も生物の取り込みと排泄モデ
ルの議論を行い,放射線防護・環境管理に役立てることが必要であ
る。
       日本の降水と海水そして陸水のトリチウム

 日本国内では,気象研究所が核実験フォールアウト核種の測定調
査を行う中で,IAEAに東京都内の月間降水中のトリチウム濃度のデ
ータ提供をい, 海水の測定も試みた(Miyake et al .,1975)。その後
気象庁がIAEAに月間降水の水試料自体を提供することになり,採水
場所も公害を避けて岩手県綾里に変更して継続していたが,1986年
にその試料提供も終了されている。また放射線医学総合研究所は,
1973年~2007年まで千葉市の月間降水中トリチウム濃度を独自に測
定しており(放射線医学総合研究所,1979-2002),毎年度の報告書
から抽出して整理されたデータを2010年までデータベースとしてオ
ンライン公開していた。今ではオンライン公開を終了しているが,
研究者の円滑なデータ利用のため,再開されることが望ましい。
 2007年以降の月間降水中トリチウム濃度は原子力規制庁が日本分
析センターに委託して測定し,環境放射線データベース(原子力規
制庁,2021)で公開中である。2011年の3月の測定値は福島事故の影
響を微妙に捉えている。
 日本近海の海水は,放射線医学総合研究所が1970年~1980年に,
日本全国の原子力発電所施設のある海域で原子炉の二次冷却水に使
用される沿岸海水のトリチウム濃度を年に2回測定した。(Inoue and
Kasida, 1978; Tanaka et al ., 1981
)。1975年以降は全国の原子力発電
所立地県を中心に,沿岸の表面海水の濃度が各県の専門家によって
測定されており,原子力規制庁の環境放射線データベース(原子力
規制庁, 2021)に登録されている。


 第7図にそれらの測定値をまとめて図示した。降水中のフォール
アウト起源のトリチウム濃度が減少して,核実験が開始される前の
レベルまで下がっていることが見られる。日本沿岸の表面海水のレ
ベルとして1Bq/Lを前後しているが,採取地点が原子力施設立地県の
沿岸表面海水であるため,時々100Bq/L近くを検出することがある。
また関東平野から流出する陸水の例として,茨城県の河川・湖沼水
の濃度レベルと比較すると同期間の降水中濃度よりも高く,内陸で
一定期間地下に滞留していた地下水が河川に遅れて流出することに
よって,既に濃度が減少した降水の濃度よりも高いことが示されて
いる。沿岸海水のトリチウム濃度が内陸から流出する河川水等の影
響を受けることは,沿岸の海洋環境生態系が陸地から供給される栄
養源物質の影響を受けて形成されることと相似する。
 なお1987~1990年には海洋循環研究の目的で北海道大学によって
日本海の北東部海域のトリチウム濃度測定が行われている(渡辺,
1991)。その後1993年には,旧ソ連が1966年~1992年に日本海北西
部及びカムチャツカ半島南東岸沖の極東海域において,放射性廃棄
物を海洋投棄したことが公に報じられ緊急海洋調査も行われたが,
影響は観測されなかった。投棄が公表される前に行われた北海道大
学の測定は,投棄が継続した時期に偶然相当するが,測定結果の濃
度レベルにその影響は見られていない。ちなみに旧ソ連の放射性廃
棄物海洋投棄はバルト海,バレンツ海,白海(第1図),カラ海にお
いても1959年~1992年に行われていて,上述のHELCOM,OSPARなど
の海洋調査もそれを視野に入れて盛んになったと思われる。

             おわりに

 2011年の福島における原子力事故後,国内外の研究者・事業者が
日本近海での多種の放射性核種の拡散や海生生物への蓄積について,
多くの報告を行いデータベース化への努力がなされており成果が期
待される。欧州では,海洋環境の汚染を監視しつつ工業活動を継続
する中で,特に放出される放射能量が多いトリチウムについて,地
道な分析・測定とデータベース化の努力,安全評価が国際協力の下
で行われている。これらを参考にして,日本でも過去から集積され
てきたトリチウムのデータが,今後の安心度評価のための材料とし
て自由に,また効果的に使用できるよう,効率的に情報公開されて
いくことが望まれる
                       
風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

 J-POPの系譜を探る2009年代】

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ネオビジネスマン考 ④ 

2023年06月19日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。


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絶好調!オオタニ&トラウト
Ohtani & Trout Homerun duo of Angels are out of control in June!

エリアから探す高島市

       三尾の海に網引く民のてまもなく 
          立居につけて都恋しも
                       紫式部

※ この歌は「源氏物語」の作者紫式部が、この地を通ったときに
詠んだもの。平安時代の長徳2年(996年)越前の国司となった父藤
原為時から船路にて湖西を通り越前に向かう。途中、高島の三尾崎
の浜辺で、漁をする人々の網を引く見なれぬ光景に、都の生活を恋
しく思い出し詠める。紫式部の若き日を偲んで、白鬚神社の境内に
歌碑を建立。



『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------
  つまりわたしたちはここで、物の怪が病いや、おびえや、憑
 依状態の原因とみなされた、異常に過敏な内面性、しかも集合
 的な内脂性に統御されて振舞う登場人物たちの、ある異様な世
 界を想像する必要があるとおもえる。この世界ではどんな魔も
 憤怨も他者に投射することができるし、他者から被害感として
 感受することもできる。その世界の全体が、さらに「前の世」
 から本質的には決定されているかも知れないのだ。
  桐壷帝は悲嘆のうちにも、いつか先帝の第四の内親王が、亡
 くなった桐壷更衣にそっくりだといううわさをきいて入内させ、
 やがて更衣にもまして寵愛するようになる。なぜかといえば「
 前の世」の定めに、いまもからめとられているからだ。この女
 御(藤壷)は銅壷更衣の輪廻による生れかわりと感じられたの
 だ。藤壷の宮が亡くなった桐壷更衣と、容貌や挙措がそっくり
 だからうっとうしいとか、似てはいるか微妙にちがうのがよい
 とかいった、撰りわけの認識、つまり世界の差異が桐壷帝を動
 かしているのではない。ただ生れかおりの理念に叶っているこ
 とが深い寵愛の根拠なのだ。この理念がまた光源氏をどれだけ
 拘束するかをやがてみることになる。帝はかつて桐壷更衣を異
 常なほどはげしく寵愛し、そのあまりほかの女御たちの冷眼や
 嫉妬をすべて無視するほどだった。それが更衣をみすみす死の
 淵へ追いこんでゆくのを知りながら、寵愛を制御することがで
 きなかった。その「前の世」の定めが蘇えるように、藤壷の宮
 を寵愛することになる。帝が、桐壷更衣から生まれた第二皇子
 である光源氏を、ほかの皇子よりことさら可愛がるのも、銅壷
 更衣から放射される「前の世」の定めの圏内に光源氏が存在す
  るからだ。

    わたしたちは冒頭からすでに特異な相似と反復の世界におか
  れ、その世界を流れる無常と因縁にからめとられる気がする
  だがほんとは、たったいまこの物語の世界に入ったばかりなの
  だ。やがていやおうなくこの世界の特異点に遭遇し、そこで起
  るカタストロフィの定型にふれることになる
    幼い光源氏は母である亡き銅壷更衣の面影などおぼえてはい
  ない。だが亡き母にたいへんよく似たひとだと典侍からいわれ
  たので、子供心にあたらしく継母になった藤壷を「恋しい」と
  おもうようになる。そしていつも藤壷の宮のところへ行き、親
  しくなって、その面影をひたすら眺めていたいとかんがえる。
   桐壷帝は光源氏が元服した後もいつも側においておぎたがっ
  た。光源氏のほうは心のなかで、ただ藤壷の姿が類いなくおも
  えて、ああいう人と婚姻したいものだと憧れるようになる。
  だが元服したあとは、もう前のように御廉の内に入れてはもら
  えない。そして音曲の遊びのおりに、琴や笛の音を聴いて心を
  通わせたり、ほのかなその声をきくのを慰めに、内裏住いを好
  ぎだとおもうようになる。
------------------------------------------------------------
『わが源氏物語ノート ①』:そもそもひらがなとは
 
 野坂山地

       知りぬらむ行き来にならす塩津山 
        世にふる道はからきものとは 
                       紫式部

※ 塩津山を行く人足よ、そなた達も人生の道はこの峠のように険
  しいと知っているだろうに/紫式部の一行の旅の荷物を人足に
    持たせ、難所の塩津峠を越える時、人足たちが愚痴っているの
    を聞いて詠んだ歌。

 ひらがなは、中国から伝来した漢字から日本で派生したもの。西
暦900年頃の平安時代に、そのまえの奈良時代を中心に使われていた
万葉仮名に代わるものとして、ひらがなが広がる。漢字で表されて
いた文章は画数が多く面倒で、日本人は省略して書くようになる。
それを行書と呼び、その漢字の意味にかかわらず、日本語の1音に
漢字1字をあてて音節を表記するようになります(万葉仮名、奈良
時代)。やがて、より簡単に速くかけるようにと、行書はさらに省
略され(草書体)変化しし定着。漢字は本来の日本語の音節に併せ
てバージョンアップを重ね、ひらがなという副産物を生む。また、
その漢字の意味にかかわらず、日本語の1音に漢字1字をあてて音
節を表記するようになる(万葉仮名、奈良時代)。やがて、より簡
単に速くかけるようにと、行書はさらに省略され(草書体)、それ
がひらがなとして定着 。万葉仮名は画数が多く、その省略形として
ひらがなが生まれ、これは最近の日本語でも省略形が次々生まれて
いることと無関係ではない。たとえば明治期には、それまで略字や
誤字として使われていた漢字が正式な字として昇格した(國→国、
學→学、櫻→桜など)。また、ヤバい、エモい、それな、など「感
情の省略形」とも言うべき言葉も若者によって生み出されている。
ひらがなが長い時の要望に応えた一手であるとし、受け入れられる
のも早かったょうで、平安時代にも、官人が地方へ赴任する、いわ
ゆる転勤があったため、ひらがなが日本各地に普及したのは早かっ
たと言われ、わたしたちが使う日本語は、「簡素化」の歴史の上に
横たわっているのでしょう。
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再エネ革命渦論 138: アフターコロナ時代 337
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。



図.宇宙線ミュー粒子によるナビゲーション© 2021 Hiroyuki Tanaka/
Muographix


世界初、ミュー粒子による地下ナビゲーションに成功
【要点】
1.GPSを使えない地下空間等におけるナビゲーション技術の開発に
 成功
2.GPSに変わる新たなグローバルナビゲーション技術の創出
3.将来、屋内、地下、海中等における自律移動ロボットへの活用
 が期待

6月16日、東京大学国際ミュオグラフィ連携研究機構は、同大学生産
技術研究所、および日本電気株式会社、株式会社テクノランドコー
ポレーション、カターニア大学、ダラム大学、北京大学と共同でGP
Sを使えない地下空間等におけるナビゲーション技術(muPS)の開
発に成功。これまで、muPSの受信機は地上局と有線接続されていた
ためナビゲーションの自由度は大きく制限されていたが、今回、無
線muPS技術(MuWNS: muometric wireless navigation system)の実証に
成功したことで、muPSによるナビゲーションの自由度が大きく向上
した。muPSでは、宇宙線ミュー粒子の強い透過力と物質によらない
飛行速度の普遍性から受信機と地上局との間を隔てる物質に依らず、
受信機と地上局との間の距離を高い精度で決定できる。



図1.MuWNSの原理 ©2021 Hiroyuki Tanaka/Muographix Reference1〜
Reference4が4ヶ所の地上局に対応する。BF及び1Fにおける赤矢印が
今回移動した経路。白丸がナビゲーション結果

muPSについて
宇宙線ミュー粒子は、銀河系における超新星爆発などの高エネルギ
ーイベントによって加速される宇宙線と、地球大気が反応してでき
る素粒子の一つである。宇宙線ミュー粒子は透過力が強く、あらゆ
る人工構造物をほぼ真空中の光速度で貫通することができる。送信
者は基準となる地上局と地下受信機との間の宇宙線ミュー粒子飛行
時間を測定することで、地上局と地下受信機との間の距離を正確に
決定できる。地上局を4ヶ所以上設置することで、地下受信機の位置
(x, y, z)および時間の4変数を導出することができる。宇宙線ミ
ュー粒子は地球上いたる所に同じように降り注ぎ、その速度は屋内、
屋外、地上、地下問わず同じ速度が担保されているので、グローバ
ルにmuPSを実施することが可能である(図1)。従来、muPSでは地上
局と受信機との間をケーブルで結び時刻同期を保証していたが、ケ
ーブルの存在はナビゲーションの自由度を大きく制限していた。今
回、受信機に高精度のクロックを実装することで、地上局=受信機間
の時刻同期をケーブルレスで実現。表1に地階におけるMuWNSのナビ
ゲーション精度と地表におけるGPS/GNSS単独測位)精度とを比較す
る。目標精度(1m)には届かないが、都市内におけるGPS単独測位精
度と比べて高いナビゲーション精度を得ることに成功した。

表1:MuWNSのナビゲーション精度
©2021 Hiroyuki Tanaka/Muographix
MuWNSによるナビゲーション誤差と都内、およびカルガリー市街地
で測定されたGPS/GNSS測位誤差とを比較する

【展望】
目標精度(1m)を達成するためには受信機のクロックの精度を上げ
る必要がある。一方、ポスト5Gに向け昨今ではチップスケール原子
時計(CSAC)(注5)の低価格化が進んでいる。現在、受信機のクロ
ックとして実装しているクオーツをCSACに置き換えることで目標精
度の達成が見込まれる。目標精度が達成できれば、自律移動ロボッ
トへの実装が可能となる。MuWNSによる自律移動ロボットは、屋内、
地下、海中等の環境下で複雑な任務の効率的な遂行を可能とする。
家庭、病院、オフィス、工場、鉱山、海洋調査、港湾等において、
緊急対応、セキュリティなど様々なサービスの自動化を含む広範囲
にわたる応用の可能性を秘めている。
【関連論文】
<雑誌名> iScience
<論 文> First Navigation with Wireless Muometric Navigation System (M-
       uWNS) in Indoor and Underground Environments

<著 者> Hiroyuki K. M. Tanaka, Giuseppe Gallo, Jon Gluyas, Osamu
        Kamoshida, Domenico Lo Presti, Takashi Shimizu, Sara Steige-
                  rwald, Koji. Takano6, Yucheng Yang, Yusuke Yokota (muPS
                 collaboration)




Intel12量子ビット搭載チップ「Tunnel Falls研究者向けに提供
6月15日(米国時間)、12量子ビットを搭載した量子研究用チップ
Tunnel Falls」を公開し、量子研究コミュニティに対して提供する
と発表した。Tunnel Fallsは、Intelが研究者向けに発表した初のシリ
コンスピン量子ビットデバイス。標準的なCMOSロジックの処理プロ
セスと同様のフローで製造が可能で、同社の持つプロセス制御技術
と組み合わせることで、ウェハ全体に対して95%の歩留率を実現で
きるとしている。300mmウェハで製造され、1枚で2万4,000個以上の
量子ドットデバイスを提供できる。
同社では、大量生産用の製造設
備を持たない学術機関に対して、Tunnel Fallsを提供。研究者がす
ぐに実験や調査に取り組めるようにし、量子技術に関する幅広い研
究や技術開発を可能にするという。また、すでにTunnel Fallsをベー
スとした次世代量子チップの開発を進めており、2024年にも発表を
予定している。あわせて、Laboratory for Physical Sciences(LPS)、LPS
Qubit Collaboratory(LQC)、Quantum Information Sciences(QIS)
らと、量
子コンピューティングに関する共同研究を行なうなど、各国の研究
機関と連携して、量子エコシステムの構築を進めていく。
via Gigazine

参考図 光吸収能の高い薄膜を用い、効率の良いエネル}ギー移動
を起こさせることによって、錯体単体に比べ約400倍の強発光を達成
した。
薄膜中の発光機構解明で高効率・強発光

6月19日、九州大学と北海道大学は,三価ユウロピウム(Eu(III))錯体を
用いた薄膜における発光過程を1兆分の1秒の時間分解能で逐次解析す
ることによって,その機構を詳細に解明し,薄膜内の光エネルギー移動
効率100%,錯体単体と比較した発光強度400倍を達成。



ところで、発光性希土類金属錯体は色再現度の高い次世代型有機ELデ
ィスプレーなどの発光材料としての応用が期待されている。これまで,
土類金属自身の欠点である非常に低い光吸収能力を克服するため,光
吸収能力の高い有機配位子をアンテナとして配位させ,アンテナからの
光エネルギー移動を利用することで高効率・強発光を実現してきた。


-----------------------------------------------------------------------------------------
しかし,希土類金属の配位構造の制御は非常に難しく,アンテナに使用
できる配位子の開発は限られている。そこで,実際に有機EL素子に使わ
れる発光層状態であるホスト-ゲスト薄膜に着目。   ホスト分子として高い
光吸収能力を持つ分子を用い,さらにホスト分子間,ホスト-ゲスト分子間
のエネルギー移動を高効率に起こさせることができれば, 極めて効率の
高いアンテナとして利用できると考えた。しかし, そのエネルギー移動機
構含む発光機構の詳細は不明で, ホスト-ゲスト膜の設計法は分かって
いなかった。 研究グループは,ゲスト分子として鮮やかな赤色発光を示す
三価ユウロピウムEu(III)錯体:Eu(hfa)3(TPPO)2を用い,様々なホスト分
子を用いたホスト-ゲスト薄膜を作製した。その結果,ホスト分子としてトリ
アジン誘導体:mT2Tを用いた場合に,錯体の配位子の直接励起より約
400倍強い発光を示すことを見出した。これは,高い光吸収能力を持つ数
多くのホスト分子から,発光体であるゲスト分子へ非常に高い効率でエネ
ルギー移動が起こっていることを示す。 さらに,時間分解発光分光で発
光過程を,過渡吸収分光で  非発光性の過渡種の時間変化を  実時間観
測し,ホスト分子励起後の全てのエネルギー移動経路とその時定数を逐
次的に明らかにした結果,このホスト-ゲスト薄膜では,全てのエネルギー
移動効率が約 100% であることが明らかになった。 またこの結果に基づ
き、アンテナとなるホスト分子の選択指針として、(1) 光励起一重項状態
(S1)-三重項状態(T1)間変換(項間交差)効率の最大化、(2) ホスト分子の
T1と有機配位子のT1間エネルギーマッチングの二点が高い発光効率を実
現するために必須であるということを示した。
【展望】
これまでに、Eu(III) 錯体をEL素子へと応用した例は数多くある一方、実
用化に及ぶ発光効率は達成されていない。 理想的な効率が得られない
要因を明らかにするためには、 その発光機構解明が不可欠です。 希土
類錯体を用いたホスト-ゲスト薄膜だけでなくこの手法は, 一般的な発光
性有機分子を用いた薄膜についても適応可能。 分子レベルで 明らかに
した発光機構をもとに 適切な材料選択を行なうことで,さらなる発光効率
化が期待される。 

※ 発光性希土類金属錯体とは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ラン
タノイド15 元素の計 17 元素を希土類金属元素といいます。 この希土類
元素を中心として有機分子などの配位子が配位したものを希土類金属錯
体といい、なかでも鮮やかな発光を示す希土類金属錯体を 発光性希土
類金属錯体といいます。例えば、ユウロピウム(Eu)は赤色、テルビウム(
Tb) は緑色といったように、金属イオンに依存した鋭い発光スペクトルを
持つことが知られている。



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)



福島原発汚染処理水とは

原 題:海洋におけるトリチウムの動態と海生生物への蓄積:
Behavior of Tritium in the Ocean and Marine Organisms
著 者:宮本霧子 公益財団法人海洋生物環境研究所 
掲載誌:海生研研報,第27号,71-80,2022       

         トリチウムの生物への蓄積

  基準となる数値の1つとして,放射性核種がヒトの健康に影響を
与え
る危険度・安全度の程度を表す定数として,線量係数Dose Coe-
ffi cient,単
位Sv / Bq)というものが放射性核種毎に勧告されている。
具体的には,1Bqの放射性核種を体内に取り込んだ以後50年間に亘り
全身へ負荷されると見積もられる内部被ばくの実効線量(預託実効
線量,committed effective dose,単位Sv)の大きさを表す定数である。
線量係数は1990年まで「実効線量当量(effective dose equivalent)」と
呼ばれていたもので,今でも「線量換算係数」,「実効線量係数」
などという言葉も使われている。

 トリチウムの線量係数は137Cs1000分の1と大変小さい。体内に
取り込んだ場合の影響が小さいことが動物実験などで見積もられて
おり,その結果環境中濃度の管理基準における放出可能な限度量が
大きく設定されている。そうなる原因は,トリチウムの放射線のエ
ネルギーが弱いことや半減期が短いこと,また体内に取り込まれた
後の体外への排泄が早いことによる。水や有機物として体内に取り
込まれたトリチウムは水素として体内で代謝され,一部は有機物へ
合成もされるが,呼吸,分解などの体内代謝で水や有機物として排
泄される。有機物になったトリチウムは水と比べれば排泄が遅くな
るので,その観測結果は一時的にしても体内での蓄積現象と解釈さ
れることもある。

  一方「トリチウム原子は化学反応としては基本的に水素原子とし
て同じように振る舞う」と既述したが,実は「基本的でない振る舞
い」もあり,それはトリチウム原子の質量数(原子核にある中性子
の個数)が3で,プロトン水素よりも重いことによる。水を電気分
解すると,電気化学反応の起こり易さの違いにより,水の同位体濃
縮が可能であることを前述したが,同じように有機物の合成化学反
応においてトリチウムの方がプロトン水素よりも化学結合反応を起
こしにくくなることが推定されよう。過去にこの命題を実証するた
め屋内の計画実験が行われてきたが,トリチウム水を生物に取り込
ませる実験であるため,大気中水蒸気との交換によるトリチウム濃
度の変動(主にはトリチウム水の蒸発による減少)を防止し,実験
期間中に一定濃度を保つための機密性の高い実験系を作ることが難
しく,初期の実験報告値はなかなか定まらなかった。また工業的に
トリチウムを取り扱う施設が周辺環境のモニタリングを行う場合に,
野外で採取した生物試料の有機物中トリチウム濃度が高いとの報告
を行って,物議を醸すことも多々あった。しかしモニタリング当事
者が生物試料を分析・測定する場合,分析室が大気水蒸気中トリチ
ウム濃度が高い施設敷地内にあることが多いため,生物試料を常温
に置いているうちに大気中のトリチウム水蒸気を吸収し,有機化合
物の交換し易い位置に化合した水素と置き換わる現象があることも,
今では理解されるようになった。ここでは数十年に亘る幾多の議論
の末に,IAEAが行ったプロジェクトから導かれた統一的であり最終
的ともいえる報告を紹介したい。

      カナダの観測データから

 カナダは中性子減速材と冷却水として重水素を多く含んだ重水を
利用することにより,235Uを濃縮しないウラン燃料を核分裂させる
CANDU(Canadian Deuterium Uranium) 炉を利用している。北米五大
湖の1つであるオンタリオ湖畔には,CANDU型の原子炉が多くあり
米国にも 電気を供給するほどの運転実績があるが,冷却水中に重
水素の中性子捕獲の核反応によりトリチウムが生成するので,周辺
環境のトリチウム濃度レベルは高く,モニタリングの実績も大きく,
またトリチウムの生物影響や線量評価についての研究も盛んである。
 1940年代から首都オタワの西200kmにあるチョークリバー研究所
でCANDU炉の開発を始めたが,サイト内にある直径約1kmのパーチ
湖には,廃棄物埋設地区から長期間トリチウムが流れ込み,湖水や
生態系のトリチウム濃度レベルが高い平衡状態にある従って湖を自
然界にある水槽のように利用して,水生生物のトリチウム取り込み
について観測データが得られた。
 IAEAではチェルノブイリ事故の後,各国が利用する放射性核種
環境移行モデルの斉一性の議論を行うために,1986年以来モデル相
互比較プロジェクトをいくつも行ってきた。最近では福島の事故に
ついても環境移行モデルの構築とパラメータ収集が行われ,世界で
利用できるモデルの高度化と精緻化の議論が続けられている。その
中で2003~2007年に行われたEMRAS(EnvironmentalModeling for Radi-
ation Safety
)プロジェクトでは,パーチ湖で得られた藻類や魚介類
のトリチウム取り込みデータについてモデルの議論がなされた。
 測定データとして,パーチ湖の湖水,湖底堆積物のトリチウム濃
度などが提供され,参加各国が自国のモデルを使って水生植物,淡
水アサリ,淡水魚などのトリチウム濃度を推測して,後に公開され
る実測値と比較して,モデルやパラメータの是非を議論するもので
ある。(IAEA, 2008)。 
 生物体内のトリチウムのうち,体液・細胞水などのトリチウム水
は,TFWT(Tissue Free Water Tritium,組織自由水トリチウム)
と表現することが多い。一方体内の有機物に結合しているトリチウ
ムはOBT(Organically Bound Tritium,有機結合型トリチウム)と
表現される。



 第5図に公開されたパーチ湖の実測値データをまとめて図示した
ものを示す。湖水のHTO濃度は4000~5000Bq/Lで高く,場所的には
ほぼ均一だが多少の季節変化があった。また水生植物のTFWT濃度は,
採取された場所の湖水中HTO濃度とほぼ同じであったが,枝葉が水
上にもある種類の水生植物は大気中の水蒸気も取り込むため,湖水
中HTO濃度よりも低い観測値もあった。水生動物であるアサリと魚
のTFWT濃度は類似しており,生物体全体に均一に分布していた。ま
た水生動物体の各部分のOBT濃度は5%以内で一致しており,採取時
間や場所での変化をほとんど示さずに,湖水のHTO濃度と同レベル
にあった。また湖底堆積物は,TFWTもOBTも低いレベルであること
が分かった。


 第6図に,水生植物と水生動物のTFWT濃度とOBT濃度の観測値の関
係を示したが,OBT濃度/TFWT濃度は0.5~0.8と整理ができ,OBTへ
のトリチウムの濃縮は起きていない。この観測の結果,水生生物の
TFWT濃度は水のHTO濃度と等しくなるが,OBT濃度はTFWT濃度を越え
ることがないばかりか,TFWT濃度より低くなることが示された。な
ぜ低くなるかは,質量数が大きい同位体の方が化学反応を起こしに
くいということから,トリチウムが生化学反応過程における同位体
効果により,OBTになりにくい結果と説明されている。

 パーチ湖の観測結果から下記のことが推定された。水生生物のTF
WT
濃度は,生物の水代謝反応によって,生物が留まる水塊のHTO
度と等しくなる。しかし移動する生物は,移動先の水塊のHTO濃度に
等しくなるまで一定時間かかるので,水塊のHTO濃度と異なるTFWT
濃度を持つ期間がある。それはOBT濃度についても同じことが起こ
り,生物が留まる水塊のHTO濃度との大小関係は流動的である。ただ
し一定時間が過ぎ,平衡状態になるときは水塊のHTO濃度を越える
ことはない。
                                              この項つづく


きらりと光るDIY 電気ドリルでバフ研磨
最近のDIY器機資材にちょっとした日常革命が進行している。最近、
シェ
イドのパンチング・ホール加工でそれないり効果を発揮して、かな
りの強風に耐え、70%遮光と通気ができるようになっての、防災
窓シャッタなどのの塗装を行う予定で下調べ。資材と工具器機が簡
単に入手できることがわかった。

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

 J-POPの系譜を探る2008年代】



ネオビジネスマン考 ④ わたしの周辺は価値ある仕事があふれている。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  待ったなし、大季候変動
        例えば、高機動環境グローカル自衛隊の設立とか

※ 思えば、1995年をさかいとして次期事業創生と大規模気候変動対
   策を主要課題の調査研究に入る。
いってみれば、人類の肥大化す
  した欲望を眠らせ慰撫する思索をテーマとする一冊の本を購読し
  たことを思い起こし、相撲でいうところの徳俵ぎりぎりまで追い
  詰められ必死に堪え凌ぐ絵を遊体分離し、覗き込む展開図が頭を
  よぎる。

 

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ネオビジネスマン考 ③

2023年06月17日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



hibiscus yellow eucalyptus
『今朝の一華』
ハイビスカス イエローユカリン
別名:ブッソウゲ(仏桑花)
学名:Hibiscus
科名 / 属名:アオイ科 / フヨウ属(ヒビスクス、ハイビスカス属)
夏の花というイメージが強いハイビスカスは、実は四季咲き性の種
類が多い。戸内での栽培など環境次第では、春から初秋を通じて開
花がのぞめる。
※さし木:在来系とハワイアン系は4月中旬から6月、コーラル系は
5月から9月に枝を10cmほど切ってさします。さし床には水はけ、水
もちのよい清潔な用土(鹿沼土、赤玉土)などが適す。
※知っている? 黄色いハイビスカスの花言葉は「輝き」。由来に
ついて詳しい記載はないものの、ビタミンカラーだってことを。コロ
ナ騒動も落ち着きをみせ。我が家にも「輝き」と「信頼」が降り注ぐ
ような日々が訪れるでしょうか
 

 


午後のお出かけ推し一番! 
先日、ベルロードの「アンデケン」のショートケーキが食べたいと
いうリクエストで『アンデケン彦根店』に出かける。久しぶりの本
格的なショートケーキとあってテンション・アップ。帰りにお土産
のケーキを持参し、新型コロナで疎遠となっていた近くにお住まい
の元上役宅に立ち寄りし近況情報を伝え交換。安堵し帰宅。

 

     


 

【再エネ革命渦論 137: アフターコロナ時代 336】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。

300mmファブ装置投資額、2026年に1188億米ドル
300mm半導体前工程ファブ用装置の投資額は、2026年に全世界で1188
億米ドル規模に達し、過去最高となる予測をSEMIが発表(➲2023.06.
30/EE Times Japan)
韓国が世界をリード、2026年の設備投資額は302億米ドル
SEMIは2023年6月13日(米国時間)、300mm半導体前工程ファブ用装
置の投資額が2026年には全世界で1188億米ドル規模に達し、過去最
高となる予測を発表。高性能コンピュータや車載用途に向けたICの
需要増大によって、2024年以降は設備投資額も2桁伸長を続けると。

 


出所:SEMI
分野別で設備投資をけん引するのはファウンドリー。2023年の446
億米ドルに対し、2026年は621億米ドルに増加。メモリに対する投
資額は2026年に429億米ドルとなる。2023年比で170%増る。この他、ア
ナログ関連の投資は2023年の50億米ドルに対し、2026年は62億米ド
ルとなる予想。

「ネガティブエミッション」日本市場創出向検討スタート
地球レベルでの炭素循環からCO2を固定化・除去するネガティブエミ
ッション技術(NETs)にはさまざまなものがあるが、その固定化・
除去期間は100年以上の長期間であることが重要とされている。大
気中のCO2を除去する「ネガティブエミッション技術(NETs)」。脱炭
素化に貢献する技術の一つとして国際的に普及を目指す動きが広が
っており、日本でもネガティブエミッション市場創出に向けた方針
の検討が始まった。(➲2023年06月09日/スマートジャパン
※ネガティブエミッション技術(NETs)とは、大気中のCO2を回収・
吸収し、貯留・固定化することで大気中のCO2を除去 (CDR:Carbo-
n Dioxide Removal
)することに資する技術の総称である。

【概要】代表的なネガティブエミッション技術(NETs)


エネペディア「ネガティブエミッション技術」を3分解説!」

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『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか

【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 -)は、
日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等を
経て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。 
------------------------------------------------------------
 第1章 一億人国家シナリオの行方
 2 新政権の発足(202X年10月)  
  
新総理による所信表明演説
  
9月末の与党政友党の総裁選は、4名の候補者で争われた。
 選出されたのは、厚労大臣や財務大臣を歴任し、政策通で知ら
 れている佐野徹であった。
  佐野新総裁が臨時国会で内閣総理大臣の指名を受けたあと、
 10月中旬に召集された臨時国会の冒頭で、新総理による所信表
 明演説が行われた。
   所信表明演説では、総理は個人の所信として、国政の基本方
  針や自らが重要と考えている政策課題を述べる。演説の内容ぱ、
 総理の考えを基に、官房長官や副長官、内閣総務官などで練り
 上げていくケースが多いが、今回は、総裁選直後の早い段階か
 ら、内開府政策統括官の百瀬高太が作成に深く閣わっていた。
 百瀬は、佐野総理とぱ厚労大臣当時から親しく、演説作成を手
 伝うようにとの直々の要請がめったのだ。
  佐野自らが数度にわたって筆を入れて、最終的に閣議で決定
 された所信表明演説は、異例にも、人口減少問題に多くの時間
 を割くものであった。

 所信表明演説の内容(人口戦略部分の抜粋)
 人口減少という、長くて急な坂道
 「今、日本を覆っている暗雲は何か。それは、多くの人びとが
 抱いている、日本の将来に対する不安です。今の日本は、世界
 三位の強い経済力を持ち、国民の多くは豊かで安心した暮らし
 をしています。しかし、将来は一体どうなるのだろうか。子ど
 もや孫、さらに後の将来世代には、一体どんな社会が待ち受け
 ているのだろうか。国民が抱くこうした不安が、新たな物事に
 チャレンジしていく気持ちを萎えさせ、消費や投資を鈍らせて
 います。
  この不安は、100年前、芥川龍之介が書き遺した「将来に
 対する唯ぼんやりとした不安」ではありません。誰もが、しか
 も日本だけでなく世界もが認識している「明白な不安」です。
 多くの人はご存知と思いますが、数カ月前、ある海外シンクタ
 ンクが、日本の将来を予測したレポートを発表しました。この
 予測は、日本の人口減少に、まったく歯止めがかかっていない
 現状がベースになっています。
  日本が人口減少の局面に入ったのは2008年でした。いっ
 たん人口減少が始まると、減少のスピードは速くなっていきま
 す。2020年は、1年間で53万2000人の人口が減りまし
 た。
  年間の出生数が減り続けているのがその要因です。出生数は、
 出生率と子どもを生む若年世代の女性人口によって決まります。
 出生率は、1・34に低下しており、反転の兆しが見えません。
 むしろ、最近のコロナ禍によって一段と低下する可能性が高ま
 っています。そして、若年世代の女性人口はこれからさらに減
 少していくため、このままだと出生数はますます減っていきま
 す。こ傾向が収まるには、出生率が反転し、高い水準で安定す
 る必要がありますが、それには長い期間を要します。残念なこ
 とですが、日本は、人口減少という長くて急な坂道を、まさに
 転げ落ちつつあります。
  日本の人口は、このままいけば2110年には約5300万
 人になる、と推計されています。
  今から約100年前の1915年は同じような人口だったの
 だから、昔に戻るだけではないかという意見もあります。
  しかし、そうした意見は高齢化の問題を度外視しています。
 人口減少は、必ず高齢化の進行を伴います。1915年頃の日
 本は、高齢化率5%の若々しい国でした。これに対して、予想
 されている将来の日本は、高齢化率が匍%に近い、年老いた国
 です。

 三度のチャンス
  なぜ、こんな事態になったのか。率直に申し上げます。これ
 まで日本には、今日の事態を阻止できそうな機会が三度ありま
 した。
 一戻目は、1970年代後半から80年代にかけて、2前後で安
 定していた出生率が大きく低下していった時期です。しかし、
 当時は、戦前の「産めよ、殖やせよ」の政策への反省や、戦後
 以来の出生抑制政策の流れが強かったことから、出産奨励策は
 タブー視され、対策はまったく講じられませんでした。また、
 その背景には、出生率が下がったのは「出産のタイミングの遅
 れ」による一時的現象で、いずれ回復するだろうという楽観的
 見通しが、専門家の間でさえ共有されていたこともありました。
 『出産奨励のタブー視』です。
  この敗北は、私たち日本国民すべてが、力を出し尽くした上
 での敗北だったのでしょうか。
  そうではなくて、いわば、「不戦敗」だったのではないでし
 ょうか。
  乳幼児を抱え、保育所探しに走り回る毎日。親元から遠く離
 れて、相談相手もなく、孤独に耐えながら育児をする毎日。こ
 の間、多くの女性は自らの生活を懸け、仕事をあきらめてまで
 して、出産、子育てに奮闘してきました。保育や幼児教育の現
 場では、不足がちな態勢の中で、懸命に子どもを預かってきま
 した。しかし、多くの父親はどうだったでしょうか。企業はど
 うだったのでしょうか。そして、行政は。政治は。この問題に、
  全身全霊をもって取り組んだのでしょうか。会社の仕事が忙し
  からといって、育児から逃げ、目の前の問題への対処が優先
  れるからといって、少子化対策をなおざりにしてこなかった
  しょうか。 いろいろな制度を作り、対策を講じたといっても
 本当に出生率回復に効果があるものだったのでしょうか。
  このままだと、私たちは、将来世代を育て、日本という国を
 未来につないでいくという、最も重要な責務を怠ったと、後世
 の人々から言われかねません。決して、責任追及や自らの責任
 転嫁のために、このようなことを申し上げているのではありま
 せん。
  私は、この場を借りて、国民の皆様に訴えたいと思います。
 いま一度、いま一度、すべての国民が人口減少を自らの問題と
 してとらえ、今の流れを変えることに、勇気をもって挑戦して
 みようではありませんか。

  人口戦略への挑戦
 諸外国を見ても、スウェーデンやフランスのように、出生率を
 1・8程度に保っている国もありますしかつて日本と並んで出
 生率が低かったドイツは、近年、国をあげて政策を大転換させ
 ました。日本にできないはずはありません。私は、人口減少問
 題を新内閣の最重要課題に位置付け、「一偉人国家」の実現に
 向けて、あらゆる政策を動員していく覚悟です。
  今、政府与党では、子どもに問する様々な課題に総合的に対
 応するために、新たな行政組織を創設することが検討されてい
 ます。これは、組織の縦割りを排除し、関係者が一丸となって
 取り組む上で重要なことです。ただし、当然ですが、組織づく
 りだけでは、人口減少問題は解決しません。それにも増して重
 要なのは、効果ある具体的政策の実行です。
  これまでも政府は、待機児童解消や不妊治療の充実などに取
 り組んできました。しかし、出生率の低下という現象は、結婚、
 出産、育児そして就職、居住、学習といった、様々なライフイ
 ベントの結果として生じているものです。したがって、個別分
 野の施策だけでは解決できません。若年世代の生活全般にわた
 る総合戦略が必要となってきます。 私は、これを「人口戦略」
 と呼んでいます。この人口戦略を検討するため、私を本部長と
 する「人口戦略検討本部」をただちに設置します。この本部に
 おいて精力的に検討を進め、そして、来るべき次期通常国会に、
 人口戦略のため に必要な法案を提出します。 まさに「国家百
 年の大計」であり、「未来への投資」です。論議を尽くそうで
 はありませんか。そして、今度こそ、1つの結論を得て、新た
 な挑戦に向けて、国民の皆様とともに力強い一歩 を踏み出した
 いと思います。日本の将来世代のために、今、我々はこの挑戦
 をあきらめるわけにはいかないからです。
 なにとぞ、皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。

  閣議決定による検討本部の設置
  佐野総理の所信表明演説には、百瀬が主宰した朝食勉強会の成
 果がふんだんに盛り込まれていた。総理が人目減少問題を最重要
 課題とする方針を表明したことぱ、新聞などのメディアで大きく
 取り上げられた。40分近い演説のうち、3分のI以上の時間が割
 かれたことを、総理の並々ならぬ意気込みを示すものとする記事
 が多かった。
  しかし、一方では、これまでも「国難」と言われてきたが、有
 効な政策は実施されてこなかった、要は実効性のある政策が打ち
 出されるかどうかだとして、「お手並み拝見」といった冷ややか
 な見方をするものもあった。
  演説後、週末を挟んでの火曜日の閣議で、「人口戦略検討本
 部」の設置が決定された。本部長(総理人臣)の下に、副本部
 長として、内開府の少子化対策担当大臣の岩淵勝雄が任命され
 た。社会保障分野の経験が長く、丁半芯の通った政治家という
 評判の人物である。そして、官房長官や厚労大臣をはじめ関係
 閣僚が本部長として参加することとなった。
  この検討本部を支える事務局長には、官房副長官(事務)が
 充てられたが、実際に企画立案で中心になったのは、事務局次
 長任命された百瀬である。彼の下に、各府省庁の優秀な官僚や
 民間人材が必要となるため、検討本部設置くと同時に「政府与
 党調整会議」が設置された。メンバーは政府側は、検討木部設
 置と同時に総理、官房長官、少子化対策担当大臣、財務大臣、
 与党側は 欧友党の幹事長と欧洲会長、福祉党の党首、幹事長、
 政調会長であった。こうして政策決定の体制が整えられていっ
 た。
  有識者ヒアリングの実施翌日開催された検討本部の第1回本
  部会議は、佐野総理の人目戦略にかける意気込みを表す挨拶と
  事務局による趣旨説明で、短時間に終わった。
  会議のあと、総理執務室では、総理と総理秘書官たちが会話
  を交わしていた。佐野総理との関わりが長く、佐野の考えを熟
  知している総理秘書官の外山が話しかける。
 「お疲れ様でした。総理の熱意ぱ、メンバーの皆さんによく伝
  わったと思います」
 「そうだといいけどね」
  少し疲れた表情を浮かべる佐野に、外山は新聞を取り出しな
  がから、「週末の世論調査では、内閣支持率が50%を超え圭し
 たし国民も理解してくれていると思います」と言う。
  そこに割って入ったのが、新参の総理秘書官の久保だった。
 「ただ、来年7には参議院選挙が予定されてい圭すので、国民
 負担がからかような話を持ち出すのには、やはり環境は厳しい
 ですね」
 「まあ、そうだけど、選挙のことを言い始めたら、何もできな
 くなるしね」と佐野が外山に視線を送ると、
 「そうですよ。来年は参議院選挙だけど、再来年になれば、衆
 議院の解歌風が強まるかもしれないし。いつも何がしかの選挙
 があると思わないと……」と外山が返した。
 それにしても、これだけの大きなテーマだと、通常はI~2年
 程度かけて、審議会などの議論や関係団体との調整を積み上げ
 ていくのだが、それをすっ飛ばしての荒業になってしまう」。
 久保がそのことを指摘すると、
 「時間がないのだから、しょうがないよ。それに、審議会や検
 討会での議論は、これまで散々やってきたんじやないか」と、
 外山も譲らない。
 「私も、厚労大臣の時から何度も少子化対策に取り組んできた
 のだけど、うまくいかないことが多くてね・・・・・・。もう、残さ
 れた時間はあまりないんだ。最終的には、私が決めるよ」
 こう言って佐野が議論を収めたが、その後、衆議を尽くすプロ
 セスが大事だとする周囲からのアドバイスもあり、総理大臣が
 有識者や関係団体の意見を直接聴く、「有識者ヒアリング」が
 行われることとなった。
  この有識者ヒアリングは、おおむね週I回というハイペース
 で年内に7回開催され、人口・経済・社会保障などの専門家、
 保育・幼児教育や医療福祉の関係団体、経済団体、労働団体、
 女性団体、地方自治体など幅広い関係者が招かれ、人目減少や
 若年世代支援などをめぐり活発な意見交換が行われた。総理の
 みならず検討本部の事務局にとって、様々な関係者の意見を聴
 く貴重な機会となるとともに、会議はすべて公開で行われたた
 め、国民への情報発信にもなった。そして、この有識者ヒアリ
 ングをきっかけは、人口戦略し関するいくつかの収要な政策決
 定が行われることになつたのである。

✔当初は、経済・所得政策の再構築で問題経穴すると考え読えたが
読み始めると、「教育(学校)とは社会の縮図」の延長ではなく「
文明論」まで拡張しなければならないとの疑問にとりつかれる。ど
ちらにしろこのまま読み切ることで決着させたいと思う。

                      この項つづく
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「ネガティブエミッション」、日本の市場創出向け検討始動
ネガティブエミッション技術(NETs)とは、大気中のCO2を回収・吸
収し、貯留・固定化することで大気中のCO2を除去 (CDR:Carbon
Dioxide Removal)することに資する技術の総称である。
脱炭素化に貢献する技術の一つとして国際的に普及を目指す動きが広
がっており、日本でもネガティブエミッション市場創出に向けた方針
の検討が始まった。(➲2023.06.09 スマートジャパン)


【概要】
地球レベルでの炭素循環からCO2を固定化・除去するネガティブエミ
ッション技術(NETs)にはさまざまなものがあるが、その固定化・
除去期間は100年以上の長期間であることが重要とされている。

IPCC第6次評価報告書においては、CDRは排出削減を代替することはで
きないものの、短期的にはネット排出削減の強化、中長期的にはネッ
トゼロやネットマイナス達成のための手法としての補完的な役割が認
められており、カーボンニュートラル達成には世界全体で、年間約
2~10Gt(20~100億トン)の「除去」が必要と試算されている。この
ため、経済産業省では「ネガティブエミッション市場創出に向けた検
討会」を設置し、国内外のNETsの動向を整理し、ネガティブエミッシ
ョン市場創出に向けた方針を検討することとした。


出典:ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会
参考:エネペディア.「ネガティブエミッション技術」を3分解説!

 再生可能な魔法のような接着剤、光で制御
  水中でのリモート接着作業も可能
6月14日、国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS) は、接着と
剥離を何度でも繰り返すことができ、かつ、必要な時には基材と接
着剤を元の状態にリセットできる、再生可能な接着剤を開発。


図 1 使用中に破断しても何度でもリユースすることができ、役目
 が終わったらリセット・再利用できる接着剤の概略図

【概要】
境への配慮と経済成長の両立への意識の高まりの中、複数部材からな
る成形加工品を原材料に分離・回収する技術が求められています。そ
の中で、使用時には十分な接着力を発揮し、役目が終わると容易に剥
離することができる新たな接着方法が注目されています。そもそも
接着と剥離は、矛盾する要素が含まれていることから、強力な接着力
と容易な剥離を両立することは困難でした。また、解体できたとして
も、基材に接着剤が残ったり、基材が壊れたりすることもあり、マテ
リアル循環を妨げる要因になっていた。
同研究チームは、波長の異なる紫外線を照射することで架橋・脱架橋
反応を可逆的に引き起こすカフェ酸に注目。カフェ酸を組み込んだ高
分子を基材に塗布したのちに、波長365nmの紫外線を当てると、架橋
反応によって不溶化した塗膜となります。この塗膜は室温で保存して
いる状態では接着性を示さないのですが、加熱することで接着と剥離
を何度でも繰り返すことができます。さらに、使用期間が終わった際
には、波長254 nmの紫外線を照射することで、架橋した部分が開裂し
塗布前と同じ状態にリセットされることで、接着剤と基板の両方を回
収、再利用できるようになります。また、カフェ酸の化学構造に含ま
れるカテコール基は、付着生物であるムラサキイガイが分泌する接着
成分にも多く含まれており、フッ素樹脂や水中での接着など、一般的
な接着剤が苦手とする基材や使用環境においても、強力な接着力とリ
サイクル性を発揮。
【展望】
今後は、マテリアル循環を指向したものづくりに貢献する接着剤とし
て、電子機器や輸送機器、医療機器、インフラ補修など様々な用途に
展開する。
【関連技術論文】
1.原 題:Bio-inspired Adhesive with Reset-On Demand, Reuse-M
      any (RORM) Modes
2.掲載誌;Advanced Functional Materials
3.掲載日:2023年6月13日 (日本時間) 
4.DOI  :10.1002/adfm.202215064


図1.窒化ホウ素量子センサのナノ配列
(a)六方晶窒化ホウ素中のホウ素空孔欠陥。ホウ素原子が空孔に置き
換わった構造をもつ。原子サイズの量子センサとして磁場測定に利
用できる。この磁場に敏感な量子センサは、ナノサイズの“方位磁
針のように振る舞う。(b)量子センサのナノ配列の発光量分布。整
列した複数の輝点の位置には、量子センサが多数生成される。シリ
コン基板上の金線に貼り付けた窒化ホウ素のナノ薄膜に対してヘリ
ウムイオンビームを照射して量子センサを配置。各スポットは光学
分解能(400 nm)と同程度に広がって見えますが、実際にはイオン
ビームの照射スポット(100 nm)と同じ大きさであり、金線上の量
子センサは発光量が増すため磁場感度が高くなる。

 狙った場所に発光欠陥を生成し量子センサに変換
    量子センサを自在に並べる! 
    狙った位置にナノサイズの方位磁針をつくる
6月14日、東京大学らの研究グループは、量子センサをナノスケー
ルのサイズで自在に並べる技術の開発に成功する。
【要点】
1.量子センサ:量子化されたエネルギー準位を利用して物理量を
 測定できるセンサ。電子の磁気的な性質であるスピンが、磁場に
 対して上向き、下向きに量子化した準位を利用して磁場強度を測
 定。この磁場に敏感な量子センサは、原子サイズの方位磁針
 
と例え ることができる。
2.窒化ホウ素結晶中の狙った場所にヘリウムイオン顕微鏡で発光
 欠陥を生成し、量子センサ動作を実証
3.ナノ配列した量子センサによる高空間分解能な磁場イメージン
 グが可能
4.磁性・電流を局所的かつ定量的に検出する手法として幅広い研
 究分野への貢献できる。


図2:金線を流れる電流が作る磁場のイメージング
異なる位置にある量子センサの磁場測定で得られたデータを金線か
らの距離に対して解析した結果です。電流が作る磁場分布は高精度
に数値シミュレーションでき、実験結果はこのシミュレーション結
果と良く整合する。この結果、この手法で配置した量子センサが高
い空間分解能で磁場を検出できる原理を実証する。



産業用フルSiCパワー半導体モジュールNXタイプ」サンプル提供開
内部インダクタンス低減とSiCチップ搭載により産業用機器の高
効率
化、小型・軽量化
6月13日、2010年からSiCチップを搭載したモジュール製品を市場投
入してきた。今回、パッケージ内の電極構造の最適化により、内部
インダクタンスを従来比で約47%低減※2した9nH※3を実現すると
ともに、第二世代SiCチップを搭載した「産業用フルSiCパワー半導
体モジュールNXタイプ」のサンプル提供を開始します。SiCチップ
の低損失特性に加え、内部インダクタンス低減により、さらなる電
力損失の低減が可能となり、産業用機器の高効率化、小型・軽量化
に貢献する。


ネオビジネスマン考 ③


知識ゼロからの空き家対策
著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればい
いかわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことを
お教えします!
【要点】
●多様化する空き家の活用法
●親が元気なうちから対策を
●空き家対策の流れ ほか
【目次】
第1章 ●空き家問題と対策のポイントを理解する ●負不動産にな
る空き家と富動産になる空き家 ほか
第2章 ●空き家の履歴書を作成し、実態を把握する ●空き家の履
歴書の作り方 ほか
第3章 ●空き家の片づけ ●空き家の管理 ●外部に相談する ●相
続登記 ほか
第4章 相続争いを防ぎ、“未来の空き家”に備える ●未来の空き
家の原因 ●家族信託とは ●遺言とは ほか
第5章 これだけは知っておきたい トラブルを防ぐ不動産取引の基
礎知識 ●不動産取引の基本 不動産会社の選び方 査定 媒介契約
など ●売るとき 全体の流れ インスペクション 測量 など ●貸
すとき全体の流れ 賃貸条件 賃貸借契約 など 知識ゼロからの空き
家対策著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればい
いかわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことを
お教えします!


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渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)



福島原発汚染処理水とは ⑧

原 題:海洋におけるトリチウムの動態と海生生物への蓄積:
Behavior of Tritium in the Ocean and Marine Organisms
著 者:宮本霧子 公益財団法人海洋生物環境研究所 
掲載誌:海生研研報,第27号,71-80,2022



トリチウムの生物への蓄積
 本稿題名の中の「海生生物への蓄積」の趣意は,海生生物が海洋
環境からトリチウムを取り込むとその後どうなるのか,濃縮される
のではないか,という基本的な問いかけを意味する。トリチウム原
子は化学反応としては基本的に水素原子として同じに振る舞うので,
まず海水から水として,また様々な有機物に化合した水素として生
物体内に摂取され,その後の振舞いが問題になる。137Csなどの放射
性核種の取り込みについての研究では,室内に置いた水槽の中で生
物を飼い,水中の137Csが生物体内に取り込まれた量を,時間を追っ
て測定し,蓄積量を調査することが行われてきた。水中の濃度に対
する生物体内中の濃度を比較し,何倍濃縮されるかその濃縮係数を
求めることが,様々な実験条件で多くの生物種について調査研究さ
れ,そのデータが各国で,日本においても,そしてIAEAのデータブ
ックとしてまとめられている。その数値を利用して,原子力施設か
ら環境中に放出できる放射性核種の量を決め,原子力平和利用を行
う仕組みになっている。

 放射性核種が発する放射線には種類がありエネルギーも異なる。
またヒトが放射性核種を体内に取り込んだ場合の,その核種の生理
代謝的な振る舞いもさまざまである。骨に集まる性質のある元素の
同位体であれば骨に蓄積し,筋肉を構成する元素の同位体なら筋肉
に移動する。また蓄積した後に,発する放射線がヒトにどのような
健康影響を及ぼすかについても,様々な影響因子が関係する。こう
して,防護の基準となる数値を定めて安全に放射線を利用すること
を目的に,様々な角度から多くの研究が過去に行われたが,それら
の公開された研究結果を,ICRP(International Commission on Radiolo-
gical Protection
, 国際放射線防護委員会)が解析評価し,基準とす
べき数値を決定して勧告を行ってきている。日本もICRP勧告にある
考え方や基準の数値を取り入れて,トリチウムも含め,様々な放射
線から防護するための法律を定めている。
                                               この項つづく
風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2007年代


● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  

 

 

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源氏物語論考②

2023年06月14日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。




                   大南風おおはえや 天の叫びに 覚醒す
                                             



『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------

 

桐壷更衣が死んだあとも、面影が忘れられず悲嘆がつのるばかりの
帝は、更衣の母のところに「靭負の命婦」を見舞に訪ぱせる。そし
てとりのこされた更衣の母に、命婦がいうところがある。

 お上もおなじような思いであられるのでしょう。「じぶんの心
 から出たとはいえ、はげしく人目を驚かすほどに、更衣を寵愛
 してしまったのも、良くはつづかないような契りが、前の世の
 定めなのだと予感していたからだとおもえて、可哀そうな気が
 する。じぶんはすこしも世間の人の心を歪めたりしたことはな
 いとおもってきたが、ただこの更衣への寵愛のためにだけ、た
 くさんの人から負わなくてもいい恨みを負ってしまい、そのは
 ての果てに、こうして独りとりのこされて、気持をしづめる手
 だてもない思いなのに、ますますまわりの人目が悪く、かたく
 なに冷たくなってゆくにつけても、更衣との前世からの結びつ
 きが懐しくてならない。」と繰返しおっしゃりながら、しょげ
 がちにして ばかりおられます。       (「桐壹」)

身分今後立てのない銅壷更衣を、はげしくひたすらに寵愛し、見さ
かいもなくのめり込んでいったため、宮廷の顕官を背景にもった高
ぶった女御たちの反感や恨みや嫉妬を浴び、それが病弱の更衣をま
すまます衰弱に追いやった。はては哀れな更衣を死なせてしまった。
そういうのを実際の認識の順序とすれば、ここで命婦が語る桐壷帝
の認識は遂になっている。
「前の世」にすでに長くはつづかない契りだと定められていたから
こそ、じぶんは周囲の思惑などを顕りみる余裕もなく、かくもひた
すら更衣を寵愛するはめになったのだ。これが桐壷帝をとらえてい
る認識である。前世の約定がはじめにあり、その約定が無意識の世
界に溶遠して、じぶんの挙動をうながした。そのためにじぶんはあ
んな異常なほどはげしい行為をとった。そう思い入れている。これ
はじぶんの振舞いを反省し、弁解するため語られているのではない。
登場人物の挙動を統御する名づけられない認識の装置として語られ
ていることがわかる。人びとの挙動を支配し、遠隔操作みたいに眼
に視えない形で制御し、知らずしらずその通りにさせてしまう無声
の声がある。それは「前の世」から聞えてきて、無意識をおとづれ
るふうに今ってくる。すると運命は自然とにた潜在力で人びとを動
かしているとおもわれてくる。この世界のかこう岸に「前の世」と
いう母型があり、人びとはこの母型からやってくる声に幼児みたい
に暗示されて振舞うのだ。
 はじめの「桐壷」の巻は、語りの構成としてみれば、家柄今後立
てがない無力で病弱な桐壷更衣から生れた第二皇子を、外戚の威力
もない無品の親王にしておきたくない帝が、源氏の姓を与えて臣籍
にうつす。いねば主人公光源氏の生誕にまつわる挿話ということに
なる。だが作品の本質からいえば『源氏物語』全体の認識の型をは
じめに暗示するものとなっている。
 銅壷帝は、女御たちの嫉妬や冷眼の渦が、ますますじぶんを疎ま
しくさせる世界にいて、寵愛すればするほど、桐壷更衣を苦境に追
いこんでゆく。それをよく知りながら、異常なほどこの更衣に心を
傾け、片時も傍から離したがらない。桐壷更衣がやさしい思いやり
をもった美貌の魅力ある女性だとは、もちろん書かれている。だが
桐壷更衣を死に追いこんでもなお、寵愛せずにおられない帝の内的
な必然は、まったく描かれていない。まるで物の怪に憑かれて「前
の世」の定めに吸引されていった。そう解するよりしようがないよ
うに描かれているだけだ。いねば桐壷帝の寵愛の仕方は非個性的で
唐突であり、その分だけ無意識の約束という理念が代償している。

✔ これは面白い。しかし時間だ。またにしよう。


渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)



福島原発汚染処理水とは ⑦
この問題では、「内部被爆」と「不評被害」を中心に考えられてき
たように思えるが、
①福島原発事故後の自然災害及び人的災害などの被災時の対応はど
のように想定され、その危機管理工程図は存在するのか?
②ALPS処理水輩出前後の福島周辺生態系での放射性物質の時系列生
物濃縮実追跡態調査※1工程図は存在するのか?
いま、これに関する情報収集を今日から開始しようと考えている。
以下次の技術報告書を参照する。

原 題:海洋におけるトリチウムの動態と海生生物への蓄積:
Behavior of Tritium in the Ocean and Marine Organisms
著 者:宮本霧子 公益財団法人海洋生物環境研究所 
掲載誌:海生研研報,第27号,71-80,2022
【要約】海洋環境保全や気候変動適応を目的として,国際的な海洋
調査プロジェクトで測定された海水や海生生物中の放射性核種濃度
が地域から全球まで様々なレベルでデータベース化されている。宇
宙線粒子と大気中原子との核反応と,核実験や原子力平和利用で生
成したトリチウムも同様で,最初は1970年代のGEOSECSで海洋循環
を解明するトレーサーとして利用された。欧州の海域では,核廃棄
物 の海洋投棄や原子力施設排水の影響が調査されているが、トリチ
ウムで標識された有機化合物が廃棄された地域の海生生物には蓄積
現象が観測された。原子力発電所のある日本沿岸海水も,1970年代
より地域の降水やその海域に流出する陸水とともに測定値がデータ
ベース化されているので,様々な視点から今後の有効利用が望まれる
【鍵語】トリチウム,海水,海洋調査,海生生物,蓄積,データベ
ース,IAEA,MARIS
------------------------------------------------------------
まえがき
(前略)水素の同位体である放射性のトリチウムを含む ALPS処理水が
福島から海洋へ放出される計画が 公表され世間を騒がせている(経
済産業省, 2021)。トリチウムは太古より地球上に常に一定量存在
した放射性核種だが,核実験により地球上の濃度レベルが一時期100
倍に増加したこともあった。1970年代には海洋循環を解明するトレ
ーサー物質として有効利用する目的で国際的な海洋調査も行われた
が,現在では原子力平和利用から海洋環境を保全する目的で測定が
様々に行われてきている。本稿では一部だがそれらのデータを見る
ことによって,海水中のトリチウム動態について過去から現在まで
の変遷を概観する。また,環境汚染物質について懸念されるのは海
生生物への蓄積現象であろう。トリチウムについて蓄積ありやなし
やと行われた国際的な議論を解説して,読者の判断材料に供したい。

海洋循環の解明と海洋生態系保全のために
GEOSECS(Geochemical Ocean Sections Study (当初はSurvey)は国際的
な海洋調査プロジェクトとして不滅の金字塔である。1972年~1978
年に行われ,大西洋,太平洋,インド洋において,温度や密度など
の物理的測定と共に,化学物質や放射性核種の濃度測定も行われた。
海洋の循環について知見を求めるプロジェクトであったが,1945年
以来行われた大気圏内核実験で地球上に放出された人工の放射性核
種(フォールアウト核種)も測定された。特にトリチウムや炭素14
の核種は,それぞれ水素元素と炭素元素の同位体であるため,海洋
の循環についての知見を得るトレーサー物質(目的とする物質の移
動現象を追跡するために目印として使える物質)として利用できるこ
とが期待された。海洋汚染を監視するために測定対象となるのは海
水中の溶存・浮遊物質であるが,その運び屋である水分子の循環現
象がまず興味の対象となる。トリチウムも水として挙動するので,
トレーサーとして当初より期待が大きかった。同じく水素の非放射
性同位体である重水素はトリチウムに比べて多量にあるため,海水
中の濃度が世界の海で均一と見做され,地球規模の海洋循環のトレ
ーサーとして使用できない。トリチウムは全水素原子数の10-16%し
か存在しないが,放出するβ放射線の精密測定が可能になりトレー
サーとして期待されたのである。現在でも,大小の様々な海洋調査
が行われているが,特に欧州近くの北東大西洋,北海,バルト海な
ど,人口が多く原子力施設があり,工業生産や物流活動が盛んで汚
染物質の負荷が大きくかかる海域では危機感も強く,継続的に調査
活動が行われている。その結果として得られた測定値をデータベー
ス化し,オンライン公開して世界中に自由にデータ利用を促すもの
もある。IAEA(International Atomic Energy Association,国際原子力機
関)に所属するモナコの環境研究所(IAEA Environment Laborato
ries
)は,MARISデータベース(Marine Radioactivity Information System
海洋放射能情報システム)を運営して,世界各国からのデータ提供
も呼び掛けている(IAEA MARIS, 2021)。MARISに登録されている
海水中の トリチウム濃度としては,まずバルト海(第1図)の環境
保護を目的とする1980年発効のヘルシンキ条約に基べくヘルシンキ
委員会(HELCOM, Baltic Marine Environment Protection Commission
)の観測データと,北東大西洋を中心に1998年発効のオスパール条
約(OSPAR,Convention for the Protection of the Marine Environment
of the NorthEast Atlantic
)に基づくオスパール委員会が提供する観測
データ,そしてフランスがラ・アーグにある核燃料再処理施設を視
野に置き1982年から収 集したBailly du Boisらの観測デタなど,大量
にある。
本稿に関連する海域名や地名を図示した。ちなみに海洋生
物環境研究所の観測した福島沖や青森沖の海水中トリチウム濃度デ
ータも2014年以来MARISに掲載されている。

1990年から始まった大規模な国際協同研究計画 WOCE(World Ocean
Circulation Experi
ment, 世界海洋循環実験計画)においては,eWO
CEの
名称でデータベースがオンラインで公開されている が,トリ
チウムも重要な位置を占めている。ただし,現在の海水中トリチウ
ム濃度は小さく,鉛直分布を精密測定することが困難なので,海洋
循環の研究にはトリチウムの娘核種である質量数3のヘリウム同位体
の存在量が利用されている。大気から海表面に降下したトリチウム
が放射壊変してできる 3Heは,海表面からは気圏に逃げるので表面
海水中には少ない。しかし,フォールアウト起源のトリチウムが大
量にあった時期に海表面に降下して海洋循環によって深部へ降下し
た後のトリチウムは,3He になってもそのまま深部に残存し 移動す
るので,今現在の3Heの分布を測定すれば 海洋循環のトレーサーとし
て利用できる。真空管理装置と質量分析技術の進歩により,宇宙科
学や 地球科学の分野においても大気圏・地殻圏に存在するヘリウム
同位体比を利用した様々な研究が行われているが,深層海水中の
3Heの原子数を測定することによって,かつてあっ
たトリチウム存在量を推定し,海洋循環について総論もまとめられ
ている(Jenkins et al., 2019)。
また 2005 年より 30か国以上が協力して GEOTRACES(An Internat-
ional Study of the Marine Biogeochemical Cycles of Trace Elements and
Their Isotopes
,海洋の微量元素・同位体による生物地 球化学研究)
という国際プロジェクトも進行中である。海洋循環の解明が,地球
にとって喫緊の課題である気候変動問題の課題の洗い出しと解決策
の提言にとって重要であることを視野に入れて行われている。

日本も力を入れているので,海洋のトリチウム濃度の測定値が提供
され,解析されていくことが期待される。自然界でのトリチウム生
成トリチウムは,核実験が終息した現在では原子力平和利用によっ
て環境へ放出されることが改めて世間を騒がせているが,そもそも
は天然に存在する放射性核種である。宇宙線が成層圏大気中の窒素
や酸素原子と衝突して核反応を起こし,恒久的・永続的に生成され
ている。計算によると,1年間に1017 Bq(ベクレル近くのトリチウ
ムが大 気中で粛々と生成されている。地球科学,海洋科学の分野に
おける物質中のトリチウム存在量・濃度の単位にはTU(Tritium Unit)
が使用されることが多い。1TUとは,プロトン(H2軽水素,質量数1
の水素原子)の原子数存在量を1とした場合 トリチウム(3H,tritium
三重水素,質量数3の水素原子)の存在する原子数存在量が10-18
ベルであることを意味する。非常に少ない物質が水の場合の1TUは
0.118 Bq/L に等しい。ちなみにもう1つの水素 同位体であるデュ
ウテリウム(2 H,deuterium,重水素,質量数2の水素原子)の原子
数存在量は,1.5×10-4レベルであり,レベルで比較してみれば ト
リチウムの1014倍多い。なお1970年代の論文。などでは,トリチウ
ム濃度の単位として現在は既に 使われなくなっているTR(Tritium
Ratio
,トリチウム比)が散見される。1TRは水の場合に1TUに 等し
く,0.118Bq/Lに相当する。宇宙線によって生成するトリチウムは,
核実験が開始されるより前,水を電気分解する過程で既にその存在
は発見されていた。電極を浸して水を電気分解すると,イオン化し
た水素と酸素が両電極に分かれて移動し,電極表面上で水素と酸素
の各気体分子に変化する電気化学的な反応が起こる。化学反応速度
は同位体効果を受けるため,質量数が大きい同位体の方が化学反応
が起こりにくく,質量数の大きい重水素と,更に大きいトリチウム
の方が,液体の水相の方に多く残っていき,水の同位体濃縮が起こ
る。欧州では1930年代より加速器や質量分析計を利用していこの現
象が解析され,質量数3の三重水素の存在が証明されたのである。  
1945年アメリカニューメキシコ州で行われた最初の核実験以来,同
年に広島・長崎に実戦使用された原子爆弾を含め,1963年に部分的
核実験禁止条約(PTBT)が発効するまでに,2000回以上の核実験が
行われ,総計1020 Bq(ベクレル)のトリチウムが生成された。以来,
半減期12.3年の放射壊変により全体としては減少しつつ,宇宙線で
生成され大気圏から注入され続ける自然のトリチウ ムと混じりな
がら,水素同位体として区別なく地 球上を循環してきた。ちなみに
1996年に締結された包括的核実験禁止条約(CTBT)は未加盟の核保
有国があり,核実験実施の可能性はまだ残っている。

降水として地球に供給されるトリチウム
海水ばかりでなく,陸水・淡水,即ち降水・地下水・河川水・湖沼
水の地球規模での水文学的循環解明についてもトリチウムがトレー
サー利用できることは当然期待されてきた。大気圏で宇宙線の起こ
した核反応によって生成したトリチウムは酸素と結合して水分子と
なった後,対流圏に降下し,大気中の水蒸気→降水→地下水→河川
水→海水→大気水蒸気のように循環する。半減期が12.3年のトリチ
ウム濃度を測定すれば,地下水が地表面に流出するまでの地下滞留
時間の推定(年代測定)や,陸水が海洋に流出するまでの陸圏での
滞留時間の推定などに利用できる。皮肉なことだが核実験により存
在量が増加したために以前より測 定が容易になり,また核実験は主に
大気圏で行わ れたので,大気圏から注入される水循環のトレー サ
ーとして極めて都合がよかった。

そのニーズを受け,IAEAは1960年よりWMO(世 界気象機関)との連
携で,世界500箇所以上から 月間降水中の重水素,重酸素(18O)
濃度の測定 値と共に,トリチウム濃度データを収集し,また 自ら
も盛んに測定を行った。現在でも主に陸水圏で見られる重水素・重
酸素濃度の微少な偏りや地域分布を利用して,水蒸気蒸発や降雨液
化現象の 解析,大気中の熱エネルギー収支の解析を行う気候変動
究に資するために,IAEAのGNIP (Global etwork of Isotopes in Precipi-
ta
tion)データベース としてデータ収集と公開が続いている。 GNIP
の測定は月間降水について行われGNIPの測定は月間降水について行わ
れている が,180箇所の気象観測所が選ばれ,各月の降水量を使っ
て荷重平均計算処理を行い,1987年までの年平均濃度をIAEAが単行
本にまとめている(IAEA,1992)。本稿では,その中から東京と共
に,北米内陸のカナダ首都オタワ,欧州内陸のIAEAがあるオースト
リア首都ウィーン,欧州沿岸のオランダの都市フローニンゲン,そ
して太平洋中央部に位置するミッドウェイ島と,北半球から4地点を
選んで年平均濃度の変遷を第2図に図示した。どこも1963年をピーク
としているが,海洋からの距離などの立地条件の違いにより,推移
する濃度レベルが異なっている。宇宙線による核反応で生成したト
リチウムも,大気圏内核実験で核分裂により生成したトリチウム等
フォールアウト核種も,成層圏と対流圏の境界にある圏界面にで き
る裂け目から,主に中緯度に降下する。また大気中水蒸気量が海洋
上の方が大陸上よりも多いため,内陸から沿岸方向に大気水蒸気中ト
リチウム 濃度に減少の勾配が生じる。

  こうして第2図のように立地条件の違いにより降水中濃度レベルの
推移も異なった。また陸水圏では,大気水蒸気が降水として地下水
に涵養された後,一定期間の地下貯留を経てから河川水として地表
面に流出するので, その遅れを反映して河川水とその土地の降水の
トリチウム濃度レベルとは異なってくる。このような複合的要因に
より,今なお河川水は海水よりもトリチウム濃度が高く,涵養され
た降水の濃度だけでなく,河川流域の大きさや海岸からの距離,流
域全体の構造によって,海洋へ流出する陸水の濃度レベルが変動す
る。なおここでは北半球5地点のデータのみ示したが,多くの核実験
が北半球で行われたため,南半球よりも北半球のフォールアウト濃
度レベルが高かったことが知られている。

海洋汚染調査の対象となるトリチウム
  第3図にMARISデータベースから抽出したGEOSECSで測定されたトリ
チウム濃度について大西洋,太平洋,インド洋の採水深度が100mよ
り 浅い表面海水のデータを図示した(IAEA MARIS,2021)。当時の
地球へのフォールアウト降下量の違いを反映して,どの海域でも北
半球の 表面海水は南半球の表面海水よりもトリチウム濃度が高いこ
とが分かる。またIAEAの月間降水データベースに登録されている,
南・北大西洋,南・北太平洋,インド洋の5か所の採水地点を選び
月間降水中濃度を第3図に同時にプロットした(IAEA,1992)。1970
年代ではこの5地点で各海域による降水中の濃度にほとんど差が見ら
れない。また表面海水中濃度はどの海洋でも降水中濃度よりも低い
傾向が顕著に表れている。海洋が大きな水のリザーバーとして,大
気圏から降下したフォールアウトトリチウムの希釈・拡散に寄与し
た結果と推定されるが,均一濃度になるまでは混 合されていない。
このGEOSECSプロジェクトにより,初めて放射性同位体を利用して
海洋の循環について多くの知見が得られたが(Östlundet al., 1987),
その後のWOCE,GEOTRACESなどのプロジェクトも気候変動問題
の解決に役立つことが期待される。

MARISデータベースには,最近までのHHELCOM(バルト海),OSPAR
(アイリッシュ海,北海),Bailly du Bois(ビスケー湾,ケルト
海,イギリス海峡,アイリッシュ海)などの海洋調査データが登録
されているが,いずれも北東大西洋の海洋汚染を対象とした調査で
あり,原子力施設ばかりでなく,海底油田や重工業施設などが集中
する重要な海域の海洋生態系を守るために行われている。
第4図 にこれらのデータベースから抽出した,深度100mまでの表面
海水中トリチウム濃度の観測値を図示した。これらの調査海域に近
い,第2図のフローニンゲン(オランダ国)とウィーン(オーストリ
ア国)の降水中濃度が10Bq/L以下まで漸減している傾向と比較ると
この海域の表面海水中濃度は大きく変動し,原子力施設起源の関与
が指摘されている。(Fiévet et al ., 2021; Masson et
al ., 2005)


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※1.例えば、狩猟用散弾銃によるイヌワシの鉛汚染(ナショナル
ジオグラフィック日本版サイト)

イヌワシ;Golden Eagle 
ワシのほぼ半数が「鉛中毒」、米国の2種、大規模調査で発覚最大
で3分の1が急性中毒にも、原因はシカなどに残る鉛弾
▶2022.2.22 ナショナルジオグラフィック日本版サイト
※2.上画像をクリックすると、このブログの掲載ページが表示さ
れるので願参照。

➲ あわせて読む:「第3回 気候変動対策、遅すぎることは決して
ない」ナショナル ジオグラフィック日本版サイト/ 2022年12月

                       この項つづく

     


 
【再エネ革命渦論 136: アフターコロナ時代 335】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


via Wikipedia on Space-based solor power

世界初衛星による太陽光発電エネルギー送電実証実験
実験は宇宙エネルギーのアイデアに実現可能性を担保
6月6日、カリフォルニア工科大学宇宙太陽光発電プロジェクト (SS
PP) の最初の宇宙搭載プロトタイプである宇宙太陽光発電実証機
(SSPD-1) による実証実験研究グループは、宇宙で太陽エネルギーを
収集し、地球に送達させる第一歩を踏み出した。今年1月に打ち上げら
れた人工衛星は、マイクロ波ビームのパワーを宇宙のターゲットに向け、
さらにそのパワーの一部を地球上の検出器に送ったと、実験を行ったカリ
フォルニア工科大学が6月1日に発表。
宇宙太陽光発電にとって、信頼性は長年の課題であった。一般的な石炭
火力発電所や原子力発電所と同じ量の電力を生成するには、衛星に直
径数キロメートルの収集エリアが必要で、数百回の打ち上げと軌道上で
の組み立てが必要になる。NASA は 1970年代のエネルギー危機の際に
実証ミッションを計画。スペースシャトルで運ばれ、宇宙飛行士が組み立
てた当時の技術では、このミッションには1兆ドルの費用を要したが、それ
以来、空間は変わる。太陽電池とマイクロ波ビーム(➲電子レンジ)は
安価で効率的であり、構造物を組み立てることができるロボットが間もな
く軌道に乗り、スペースXなどの企業は打ち上げコストを削減。ESAと英国
政府の委託による最近の研究では、軌道を回る巨大な発電機が間もなく
地上の原子力発電所と同等のコストで発電できるようになる。 


Satellite beams solar power down to Earth, in first-of-a-kind demonstration
via
Science AAAS

いくつかの分散した研究プログラムがこの分野を前進させた。1980年代
から、京都大学の研究者らは、準軌道ロケットを使用して宇宙の端で短
距離にわたるパワービームを実証。2020年、米国海軍研究所のチーム
は、片面に太陽電池、電子機器の充填物、もう片面にマイクロ波送信機
を備えたピザ箱サイズの「サンドイッチパネル」を軌道に乗せ、太陽光か
らマイクロ波への変換を実証する。 ドナルド ブレン財団とノースロップ グ
ラマン コーポレーションの資金提供を受けたカリフォルニア工科大学のミ
ッションは、軽量、安価、柔軟なコンポーネントでさらに一歩前進すること
を目的とする。マイクロ波送信機は、夕食にだされる食器皿よりわずかに
大きい表面に詰め込まれた 32個の平面アレイアレイで構成。さまざまな
アンテナに送信される信号のタイミングを変えることで、研究者はアレイ
のビーム制御を実現。アームほどの距離にある一対のマイクロ波受信機
にそれを向け、一方の受信機から他方の受信機にビームを自由に切り替
え、それぞれの受信機のLEDを点灯。送信電力はわずか200ミリワットと
小さく、携帯電話カメラのライトよりも小さいものであったが、ビームを地
球に向けて操縦し、カリフォルニア工科大学の受信機で検出することに
成功する。これは概念実証でシステム全体で何が可能かを示唆する。カ
リフォルニア工科大学の宇宙船では、3つの実験の残り2つの実験が計
画。 現在、32種類の太陽電池をテストして、どれが宇宙の過酷な環境に
耐久性を有するのかの確認を行っている。2つ目は折り畳まれた超軽量
複合材料で、広げると直径2メートルの帆のような構造体。帆には太陽電
池を搭載しないが、将来の発電所に必要な薄くて柔軟で大規模な展開
能な実験を目的としている。



宇宙太陽光発電への関心が高まり、ESAは今年 軌道上発電所の潜在
的なアーキテクチャに関する2件の研究を委託。エネルギー供給会
社もこの取り組みに参加。京都チームは先月、日本の宇宙機関JAXA
と協力し軌道上でパワービームテストすると発表。日本では2025年
に世界初の(無線電力伝送)衛星実験の予定していた。新興企業の
Virtus Solis Technologies も電力ビームのテストを行っており、2026
年にパイロットプラントを軌道に打ち上げる計画を立てているが、
同社は 10年以内に商用電力販売提供する予定。宇宙太陽光発電は、
実際の二酸化炭素排出量ゼロへの信頼できる道筋を備えた、唯一の
クリーンで確固たる拡張性のあるエネルギー技術と確信していると
いう。

特集|最新薄膜燃料電池特許技術 2022~2023年度①

❏ 特開2023-034773 燃料電池電極用触媒インクの製造方法 トヨ
自動車株式会社
【要約】
図2のごとく、触媒と、溶媒と、アイオノマーとを含む燃料電池電
極用触媒インクの製造方法であって、触媒と、溶媒と、アイオノマ
ーとを高せん断薄膜旋回混合機で撹拌混合する工程、ここで、アイ
オノマーは、ゲル状のアイオノマーを含み、高せん断薄膜旋回混合
機は、内周面に凹凸を有する円筒形の撹拌槽と、当該撹拌槽と同心
にて外径が撹拌槽内径より僅かに小さい回転羽根と、当該回転羽根
を端部に有する正逆高速回転可能なシャフトとを備える、を含む方
法で、触媒の微細化、及び触媒インクの粘度の調整を同時に実施す
ることができる燃料電池電極用触媒インクの製造方法を提供する。


図2.本発明の触媒インクの製造方法の一例を示す図
【概要】
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池
として固体高分子型 燃料電池がエネルギー源として注目されてい
る。固体高分子型燃料電池では、一般に、電解質膜である固体高分
子電解質の両面に、それぞれ、触媒層からなる電極(空気極及び燃
料極)を接合してなる膜電極接合体(「燃料極-固体高分子電解質
膜-空気極」)(MEAともいう)が使用される。各電極は、触媒
層から形成され、触媒層は、触媒層中に含まれる電極触媒によって
電極反応を行わせるための層である。電極反応を進行させるために
は、電解質、触媒及び反応ガスの三相が共存する三相界面が必要で
あることから、触媒層は、一般に、触媒(ここで 、 触媒とは単独
で作用する触媒だけでなく、担体に担持された金属触媒(本明細書
等では、「金属担持触媒」ともいう)などの意味も含む)と、電解
質とを含む層からなっている 。膜電極接合体において、各電極は、
電解質膜の表面に、触媒インクを塗布して乾燥させることによって
形成される。触媒インクは、触媒と、プロトン(H )伝導性を有
する電解質と、触媒及び電解質を分散させる分散溶媒(本明細書等
では、単に「溶媒」ともいう)とを含んでいる。触媒インクに関す
る研究にも様々なものがあり、例えば、特許文献1には、触媒電極
の形成に用いられる触媒インクの製造方法であって、(a)触媒が
担持された導電性粒子である触媒担持粒子を溶媒に分散させて触媒
分散液を生成する工程と、(b)アイオノマーと揮発性溶媒とを混
合してゲル体を作成する工程と、(c)前記触媒分散液と、前記ゲ
ル体とを撹拌混合して触媒インクを作成する工程とを備える製造方
法が記載されている。特許文献2には、触媒ペーストを製造するた
めの混合装置として、複数の流体に対してせん断力を作用させつつ、
前記複数の流体を混合する流体混合装置であって、凹凸面を有する
第1の混合エレメントと、凹凸面を有する第2の混合エレメントで
あって、前記第1の混合エレメントにおける凹凸面と前記第2の混
合エレメントにおける凹凸面とが互いに対向するように配置された
第2の混合エレメントと、前記複数の流体が流れる流路であって、
前記第1の混合エレメントと前記第2の混合エレメントとの間に形
成される前記流路の形状を変更する流路形状可変機構と、を備える
流体混合装置が記載されている。
【特許文献1】国際公開第2013/031060号
【特許文献2】特開2013-158741号公報 

❏ 特開2022-165441 燃料電池スタック パナソニックIPマネジ
ント株式会社
【要約】
図3のごとく、本開示は、電解質膜-電極-枠体接合体の枠体とセ
パレータとの間をガスケットによってシールする燃料電池スタック
において、ガスケット本体部の内周側にガスケット薄膜部を一体に
形成し、ガスケット薄膜部の弾性係数をガスケット本体部の弾性係
数より小さくし、ガスケット薄膜部の圧縮状態の変化に対するガス
ケット薄膜部が枠体を押す反力の増減の割合を、ガスケット本体部
の圧縮状態の変化に対するガスケット本体部が枠体を押す反力の増
減の割合より小さくし、ガスケットから溶出する不純物が大気に放
出されるように構成している燃料電池スタックの積層方向の寸法が
一定になるように締結バンドのような締結部材を用いて締結した燃
料電池スタックにおいて、ガスケットから溶出する不純物が電極の
触媒に到達することを防止する

図3.実施の形態1における燃料電池スタックを、図1の一点鎖線
Aを含む平面で切断したときの燃料電池セルの断面構造を模式的に
示した説明図

❏ 特開2022-115419 燃料電池システム 愛三工業株式会社
【要約】
図2のごとく、燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池へ供給
する反応ガスが循環する流路の一部を構成するボディと、少なくと
も一部がボディの外面に露出するとともに、少なくとも他の一部が
ボディに埋設されている電極と、電極の表面からボディの外面に跨
る範囲を覆う、薄膜状の発熱部材と、を備える、流路の体格を小さ
くすることができるとともに、流路を効率良く加熱することができ
る技術を提供する。

図2 加熱装置の斜視図


図1.燃料電池システムの構成を概略的に示す図
【符号の説明】
10:燃料電池、30:燃料ガス系、35:気液分離器、37:排
気排水弁、41 :燃料ガス供給流路、42:燃料オフガス流路、
43:循環流路、44:排出流路、50:酸化ガス系、60:冷却
系、70:制御ユニット、80:加熱装置、82:ボディ、84:
電極、84a:第1部分、84b:第2部分、84c:第3部分、
84d:第4部分、86:発熱部材、88:絶縁部材、100:燃
料電池システム


風蕭々と碧いの時代



John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2006年代



レミオロメン 粉雪   ; Best One~50 th

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)  

                大南風や 天の叫びに 覚醒す

       Awakened by the great south wind and the cry of the heavens.
                    異常気象はインフラに混乱をもたらす    
             Extreme weather will inflict chaos on infrastructure.

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バッテリ-薄膜事業渦論 ②

2023年06月13日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



『源氏物語』の作者および作品を深層で統御しているものは何か?
『源氏物語』を論ずるのは、ひとつの特定の物語、特定の作品を論
ずることではなく、作品そのもので物語、文学という概念を論ずる
ことである。―作品をつらぬく無意識としての“自然”、霊威=物
の怪に対する人々のありよう、また歴史物語『大鏡』や『栄花物語
』とのトポロジカルな同型性に着目し、作品の構造と深層を浮き彫
りにする。著者の方法意識がもっとも鮮明に発揮された、これぞ吉
本『源氏』論と評される古典論の代表作。

吉本 隆明【著】1982年 大和書房
目次
第1部 母型論
第2部 異和論
第3部 厭離論
第4部 環界論
附録 わが『源氏』
------------------------------------------------------------

  『源氏物語』ですぐに心にしみてくるのは? こう問われたら、
 季節の移りかわりとおなじ時鐘の刻みかたで、おもむろに移っ
 てゆく物語の速さをいうべきか。このばあい物語の速さという
 いい方は、まだ言葉に外在している。ほんとは登場人物たちの
 心音の速さが感受されているのだ。この心音は、姫と彦を産む
 ときの女たちの死の心音に伴奏されてこの世に生みだされ、は
 じめは春夏と経めぐり、やがて生命の凋落を受感すると季節の
 秋みたいに衰弱し、つぎに冬のようにひとりでに死にいたる。
 その自然と同調した心音の速さがこの『物語』の秘密なのだ。
 これはひとつの説話だといった外屈性はしだいに拭いさられ、
 ふかく持続的な、そして桐密な色相に裏うちされた深層の世界
 に沈んでゆく。するとそこではあの無常の感性が世界を統御し
 ている。現にここにこう存在するのは、はかない幻みたいなも
 のだが、それすら「前の世」からの因縁できめられたものだ。
 そんな理念が物の怪みたいに世界にとびかい、登場人物たちの
 挙動を深くおびえさせている。わたしたちはいつのまにか水底
 のような世界にいる。物語の運びは説話みたいに繰返しの型を
 とり、ときどき円環してもどってきたりするが、深層では身体
 を喪って霊魂だけになった登場人物たちが、影のまにまに揺れ
 動いている。誰もがそんな水の揺動に憑かれてしまうのだ。

  桐壷帝にいちばん寵愛された桐壷の更衣は、もともと病弱な
 のだが、父の大納言はすでに故人になっている。高い家柄と勢
 力を背負った女御たちのあいだで、身分も後立てもなくて、寵
 愛されればされるほど、まわりから嫉妬の意地悪な仕打ちをう
 け、苦しみにさいなまれる。やがては衰弱して死んでしまう。
 だが桐壷の更衣が、女御たちの意地悪なたくらみや、嫉妬を感
 受する仕方は、皮膚をさわがしく刺したてる痛みとして描かれ
 ていない。声もなく内面の無意識に浸みとおって、これを感受
 する桐壷更衣は、ひと言の反撥の言葉も悲嘆の思いも洩らすわ
 けではなく、ただひっそりと消耗して、衰弱がすすみ、やがて
 息も絶えそうになる。養生のため退出をゆるされると消え入る
 ように死んでしまう。嫉妬や、意地の悪い圧迫や、
隠微な対立
 は、桐壹帝をめぐるじっさいの宮廷生活の隅々にあるのに、眼
 に視えない深層には無意識の世界があって、そこで影たちがせ
 めぎあい、苦しみや嫉妬や衰弱が沈みこんでゆくかのように描
 かれる。
  登場人物たちはときに話をかわす場面があるのに、声をあげ
 ているのではなく、ひそとも聴こえぬ無音の音声をかわしあっ
 ているのだ。
                     第一部 母型論

✔あいも変わらず難解ではあるが、学問に王道はなくどのようなも
のでも新しい世界に飛び込むのは難解ものだが、その咀嚼ののちに
表れる文体に触発する思いの心地よさは当人同士でしかわからない
ものだ。ゆっくり本を読む暇などどこにもないが、次も縋り付いて
でも読みたいと背を推す力がそこにある。
  

     


 
【再エネ革命渦論 135: アフターコロナ時代 334】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑱
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


画像:光で壊れるリポソーム 出所:岡山大学
光で壊れるリポソームの開発と応用
薬物送達のジレンマを解決
6月12日、岡山大と北海道大の研究グループは、光受容タンパク質で
あるロドプシンを利用して、緑色の光で壊れるリポソームを開発。
体内への薬物送達では、狙った「時間・場所」に適切な「量」を効
果部位に届けるため、ナノカプセル(リポソーム、ポリマーなど)
が用いられており、ナノカプセルは効果部位以外では壊れず、効果
部位ではその中身を放出するために壊れる必要性があり、「壊れず
に壊れる」という「ジレンマ」を抱えていたが、今回開発した光誘
起崩壊リポソーム(LiDLと命名)は、光がなければ壊れず&光があ
たると壊れる特性をもち光でこのジレンマの解決に成功する。
【概要】
緑色の光で水素イオン(H+)を取り込む光受容タンパク質RmXeRと、
pH によってその構造を変えるpH 応答性リポソームに着目した。こ
の組み合わせにより、(1)緑色の光によりRmXeR が活性化されH+が
リポソーム内に流入➲(2)pH 変化に応答してリポソームの相転
移による破壊➲(3)内封物の放出、がおこることを明らかにし、
光誘起崩壊リポソーム(LiDL)と命名。さらに、このLiDL が、試験
管内だけでなく、ヒト細胞中でも機能することや、内封物も入れ替
え可能であることを示し、薬物送達における有用性を実証。
【展望】
光を用いた効果的な薬物送達による薬効の増大や副作用低減に期待。
※ リポソーム;liposome)は、少なくとも1つの脂質二重層を持つ球
 形の小胞
【関連論文】
論文名:Development of light-induced disruptive liposomes (LiDL) as a
photoswichable carrier for intracellular substance delivery
邦題名「光応答
性細胞内物質送達体としての光誘起崩壊リポソーム(LiDL)の開発」
掲載紙: Chemical Communications
D O I: https://doi.org/10.1039/D3CC02056H


図.がんの浸潤・転移。がん細胞は、がんが最初に発生した部位(
原発巣)から、個別もしくは集団として結合組織内を運動し、血管
やリンパ管を経由して、別の臓器や組織で再び腫瘍(転移巣)を形
成する。
がん細胞の集団運動の制御に関わるPacsin 2の機能を解明
抗がん剤の新たな分子標的や診断バイオマーカー候補に期待
6月12日、岡山大学と熊本大学の研究グループは、がんの浸潤や転移
に関わる細胞の集団運動を制御する分子メカニズムを解明。
【要点】
1.細胞の集団的な運動は、悪性がんの浸潤や転移の効率化に寄与
 する。
2.がん細胞の集団運動を制御する新規因子Pacsin 2の機能を解明
 した
3.たながん診断マーカーや抗がん剤開発への展開が期待される。
【概要】
悪性度の高いがん細胞は浸潤や転移を起こします。近年の研究で、
悪性のがん細胞の多くが集団として運動し、その運動様式が浸潤や
転移を効率よく起こす要因になっていることが明らかになってきた
が、がん細胞の集団的な運動を制御するメカニズムについてはほと
んど明らかになっていない。本研究では、がん細胞の集団運動を制
御する新たな因子としてPacsin 2を同定した。Pacsin 2 は、細胞接着
分子N-カドへリンの細胞膜への局在を制御し、Pacsin 2の機能を阻害
するとがん細胞同士が接着し、集団運動を行うようになることを明
らかにした。本研究の成果を足がかりに、がん細胞の集団運動を制
御する分子メカニズムの解明が進めば、より効果的な抗がん剤や、が
んの早期診断に用いる新たなバイオマーカーの開発につながること
が期待されている。
【関連論文】
論文名:Pacsin 2-dependent N-cadherin internalization regulates the migra-
      tion behaviour of malignant cancer cells
掲 載 紙:Journal of Cell Science
D O I:https://doi.org/10.1242/jcs.260827

図 移動体通信システムの進化 出典:総務省
次世代移動体通信「6G」①
約10年で次の世代を商用化してきた移動体通信
電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップ
を更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022
年7月に発行。過去、日本の移動体通信システムは約10年ごとに新し
い世代の商用化を繰り返してきた。1980年代の第1世代「1G」(アナ
ログ方式、音声伝送のみ、主な用途は自動車電話)、1990年代の第
2世代「2G」(デジタル方式、音声とデータ(パケット)を伝送、主
な用途は個人が持ち運べる小型軽量な端末)、2000年代の第3世代「
3G」(世界共通のデジタル方式、音声とデータを伝送)へと進化。
インターネット接続、電子メール、海外ローミング、高速データ通
信などの機能が加わった第3世代(3G)の2000年代。2010年代に普及
した第4世代(4G)では携帯電話端末が「音声通話機能とデータ通信
機能を備えた超小型コンピュータ」、すなわち「スマートフォン」
へと変革を遂げた。通信機能の主役が音声からデータへと移行し、
ユーザーが主に利用するのは「アプリ」(アプリケーション・ソフ
トウェア)に変化した。インターネット接続の通信速度はダウンロ
ード(下り)で最大1Gビット/秒となり、固定ブロードバンドに追い
付いた。


最近サービスが始まった第5世代(5G)では、過去の技術開発の主体
であった高速化と大容量化に加え、「低遅延」と「多数同時接続」
の2つが新しい特徴として加わっている。第5世代(5G)の次を担う
第6世代(6G)の移動体通信システムでは、2030年代の商用化を目標
として技術仕様や要素技術の開発が進んでいる。「高速・大容量」
「低遅延」「多数同時接続」という5Gの特徴を強化。「高速・大容
量」「低遅延」「多数同時接続」は全て、5Gの10倍の性能を目標と
する。「高速・大容量」すなわちデータ通信速度は100Gビット/秒を
目指す(5Gは10Gビッt/秒)。「低遅延」は遅延時間を5Gの10分の1
にする。「多数同時接続」ではサービス地域の面積(1平方キロメー
トル)当たりで接続可能な端末数を1000万台に増やす(5Gは100万台
)。 機能追加では、「低消費電力」「自立性」「拡張性」「安全
性・信頼性」がある。「低消費電力」では消費電力を現在の100分の
1に下げる。「自立性」では複数の機器が自律的に連携する。「拡張
性」では、あらゆる場所での通信を実現する。「安全性・信頼性」
ではセキュリティの常時確保を目指する。
via EE Times Japan 次世代移動体通信「6G」の概要。

特集|最新全固体型蓄電池特許技術 2022~2023年度①
❏ 特開2022-080183 電池モジュール 学校法人早稲田大学
【概要】
図1のごとく、電池モジュール1は、複数の電池セル30が直列接続されて
いる組電池3と、複数の電池セル30の充電深度を均等化処理するBMS
4と、を含む組電池システム2と、均等化処理前の組電池3の第1のインピ
ーダンス特性と、均等化処理後の基準電池セル32の第2の基準インピー
ダンス特性と、を測定するための測定回路5と、第1のインピーダンス特性
と第2の基準インピーダンス特性と、を用いて充電深度が他の電池セルよ
りも大きい第1の電池セルが他の電池セルよりも劣化度が大きいことを、
検出するプロセッサと、を具備することで、複数の電池セル30を含む組電
池において、充電深度が他の電池セルよりも大きい第1の電池セルが他
の電池セルよりも劣化度が大きいことを検出する電池モジュール1を提供
する。

図1.第1実施形態の電池モジュールの構成図
【符号の説明】
1、1A…電池モジュール  2…組電池システム  3…組電池  5、5A…
測定回路  6…プロセッサ(EMS)  30(31~34)…電池セル  40…B
MS  41電圧計  42…抵抗  43…スイッチ  51…電圧計  52…電流
計 59…高周波電源
 【背景技術】
携帯機器、電動工具および電気自動車等に、充放電可能な二次電池を
含む電池モジュールが用いられている。二次電池として、小型で大容量の
リチウムイオン電池等が注目されている。 電池モジュールは、複数の電
池セルを直列に接続した組電池とすることで、所望の出力電圧を得てい
る。さらに、所定の出力電圧が得られる組電池を並列接続することで、所
望の電流容量を得ている。また、所望の電流容量が得られるように複数
の電池セルを並列接続した電池セットを、直列に接続し所望の出力電圧
を得ている組電池もある。組電池を構成する複数の電池セルは、時間経
過および充放電の繰り返しに
より劣化するが、それぞれの電池セルの劣
化度を
示す容量維持率
SOH: State Of Health)は、同じではない。組電
池の充電時にS
OHが小さい(劣化度が大きい)電池セルは、他の電池セ
ルよりも
早く、充電深度(SOC:Stake Of Charge)が大きくなるために、過充
電されるおそれがある
このため、複数の電池セルのそれぞれのSOCを
測定し、例えば、SOCの大きな電池セルの電荷を放電することによって、
複数の電池セルのSOCを均等化処理するバランサを含む組電池が用い
られている。ここで、ある電池セルの充電深度が他の電池セルよりも大きく
なる原因は、劣化度が大きいことだけでなく、他の要因も考えられる。この
ため、SOCが大きい電池セルの劣化度異常を検出することが重要である。
このため、組電池の複数の電池セルの劣化度評価に、それぞれの電池セ
ルのインピーダンス演算部と接続した測定装置することは構成が複雑とな
るために高価となる。本件は充電深度が他の電池セルよりも大きい電池
セルの劣化度が他の電池セルよりも大きいことを検出する簡単な構成の
電池モジュールを提供することを目的とする。 つまり、実施形態の電池モ
ジュールは、複数の電池セルが直列接続されている組電池と複数の電池
セルの充電深度を均等化処理するバランサーを含む組電池システムと、
均等化処理前後の第1のインピーダンス特性または均等化処理の後の前
記組電池の第2のインピーダンス特性と、前記第1の基準インピーダンス
特性または第2の基準インピーダンス特性と、を用いて、複数の電池セル
のうち充電深度が他の電池セルよりも大きい第1の電池セルが、他の電
池セルよりも劣化度が大きいことを検出するプロセッサとを具備する。
【発明の効果】
複数の電池セルを含む組電池において、充電深度が他の電池セルよりも
大きい電池セルの劣化度が他の電池セルよりも大きいことを検出する簡
単な構成の電池モジュールを提供できる。

❏ 特願2020-210505 交換電池セル候補情報提供方法 トヨタ自動
車株式会社

【要約】
図3のごとく、少なくとも電池セル候補のラミネート材封止部の劣
化状態を診断する工程と、少なくとも電池セル候補のラミネート材
封止部の劣化状態を含む電池セル候補の情報を記憶する工程と、少
なくとも電池セルのSOC変動履歴を取得する工程と、少なくとも
電池セルのラミネート材封止部の劣化状態を電池セルのSOC変動
履歴に基づいて推定する工程と、少なくとも推定する工程により推
定された電池セルのラミネート材封止部の劣化状態に基づいて、電
池セルを交換する必要があるか否かを判断する工程と、電池セル候
補の情報から少なくともラミネート材封止部の劣化状態がシールア
ウトしない範囲を満たす電池セル候補の情報を特定工程と、を含む
交換電池セル候補情報提供方法でり、ラミネート材封止部の劣化状
態を考慮して、適切な電池セル候補の情報を提供することができる
交換電池セル候補情報提供方法を提供する。


図3.交換電池セル候補情報提供方法10のフローチャート

❏ 特開2023-049975 固体電解質及びその製造方法、並びに全固体リチ
ウムイオン二次電池 国立大学法人静岡大学他

【要約】
Li-yLaZr-(x+y)Hf-zMzO12(Mは、Mo及びVの少なくとも
1つを示し、xは、0<x≦1.0、yは、0<y≦0.2、zは、0≦z≦0.2を満足
する)を含む、固体電解質及びその製造方法、並びに全固体型リチウム
イオン二次電池であるイオン伝導率が高いLiLaZrO系の固体電解質及
びその製造方法、並びに全固体型リチウムイオン二次電池の提供。
✔ 薄膜全固体型蓄電池技術に関しては再度調査する。



400kW級全超電導モーターの回転試験に成功
超電導化により、従来モーターと同じ大きさで重さ10分の1、出力2倍
6月7日、九州大学先進電気推進飛行体研究センタは、次世代航空機
けに、回転機の界磁巻線だけでなく、電機子巻線まで含めた全て
を超電
導化した全超電導モータを開発し、液体窒素をポンプで循環
させる冷却システムと組み合わせて、世界で初めて回転試験に成功
する。 航空機は、2050年までにCO2排出量実質ゼロという目標が策
定されていることから、高効率化を目指しており、モータをガスタ
ービンと発電機で発電した電力で駆動し、ファンを回して推進力を
得る次世代航空機の開発が国内外で進められている。こうしたこと
から、開発グループでは、超電導技術を使った高効率かつ高出力電
動推進システムの開発を進めていた。 超電導化すると、細い超電導
線を巻いた巻線と無鉄心化で、従来のモータと比べ、同じ大きさで
重量10分の1、出力2倍にできるが、超電導線は交流運転下では超電
導特有の交流損失が発生する。 そこで、これまで開発を進めてき
た超電導線の交流損失予測、低減および大電流容量化技術を適用す
ることで、全てを超電導化した全超電導モータを開発した。また、
次世代電動航空機向け400kW級全超電導モータの回転試験に世界で初
めて成功した。
【関連技術情報】
❏ 特開2020-198777 回転機用筐体 株式会社神戸製鋼所
【要約】
図2のごとく、円筒状の胴部と、この胴部の少なくとも一端を封止
するキャップ部とを備える回転機用筐体であって、上記胴部が少な
くともその一部が軸方向 に折りたたまれ、離間する複数隔壁構造
を有し、上記キャップ部が少なくともドーム状の鏡板と上記胴部の
端部開口を覆う底板と、上記底板から突出する環状の凸部とを有す
る軽量で断熱性が高く、かつ回転機の反トルクに耐えられる回転機
用筐体の提供を目的とする。 

図2 図1の回転機用筐体のキャップ部を取り付けた状態を示す模
  式的断面図
【符号の説明】
1 回転機用筐体 10 胴部 10a 外筒 10b 内筒 10c リン
ク部 11 真空室 11a 外側真空室 11b 内側真空室 12 凹
部 12a 外側周縁壁 12b 内側周縁壁 13 端部フランジ 14
中央フランジ 20 キャップ部 20a 鏡板 20b 底板 20c
リンク部 21 真空室 21a 凸部真空室 22 凸部 23 端部フ
ランジ 30 テンションロッド 31 第1支持棒 32 第2支持棒
33 ネジ溝用凸部 34 被覆部 40 寒剤流路 X 超電導モーター
X1 シャフト X2 ローター X3 ステータ

❏ 特開2023-040342 超電導回転機、並びに、これを用いた船舶、
自動車、航空機及びポンプ 国立大学法人京都大学

【要約】 図2のごとく、筒状の固定子鉄心及び前記固定子鉄心に巻
回された固定子巻線を有し、回転磁界を発生させる固定子と、前記
固定子の回転磁界によって回転可能に保持され、且つ、超電導材料
で形成されたコイル状のスプライスレスループ部材を複数備えた超
電導巻線、並びに、前記スプライスレスループ部材を収容するスロ
ットを備えた回転子鉄心、を有する超電導回転子と、を備えた、超
電導回転機。高効率で同期回転が可能であり、且つ、低発熱で駆動
可能な超電導回転機、並びに、これを用いた船舶、自動車、航空機
及びポンプを提供することを目的とする。

図2.超電導回転機のモータ本体の一例を示す概略図
【符号の番号】
10:固定子10:固定子鉄心、16:固定子巻線、20:超電導
回転子、22:超電導巻線、26:スプライスレスループ部材、1
00:超電導回転機


渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)



福島原発汚染処理水とは ⑥
海洋放出準備現況 
処理水の海洋放出 工事は大詰め トラブル発生時の対応など東電に
明求める
➲ FTV 福島テレビ 2023.06.06 18:40
国と東京電力が、2023年夏頃までの開始を目指す福島第一原発での処
理水の海洋放出。海底トンネルには、6月6日朝までに海水が入れられ、
掘削機械の引き揚げなどを行えば、海底トンネルの整備は完了する。海
洋放出に必要な設備全体の工事は、6月末までに完了する見通しで、ま
さに大詰め。東京電力は、福島県や有識者による会議でこうした工事の
状況を説明した。会議の中で有識者からは、「処理水を薄める海水から
高い濃度の放射性物質が確認されたらどうするのか」など放出前の工程
でトラブルが発生した場合の対応について、追加の説明が求められた。
➲東京電力の担当者:「取水する海水の(放射性物質の)濃度につい
ては、現時点では先生のご指摘のような、この濃度に関して停止する判
断を設けるという条件は、今のところありません。異常がどういう形で発
生するかも含めて考えさせてください。申し訳ありません。」
県などは今後もこの会議を開き、技術的な視点で処理水の海洋放出
廃炉作業の安全性を確認することにしている。
【連臨情報】
1.福島県原子力発電所安全確保技術検討会運営要綱
 この要綱は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等の
 実施に係る周辺地域の安全確保に関する協定第4条第2項及び東京
 電力ホールディングス株式会社福島第二原子力発電所の廃炉の実
 施に係る周辺地域の安全確保に関する協定第4条第2項に基づき、
 福島県原子力発電所安全確保技術検討会(以下「技術検討会」とい
 う。)の組織及び運営に必要な事項について定めるものとする。
 ➲https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/463045.pdf
2.2023.06.05 島第一原発 海底トンネルに海水の注入始まる 工事は
   6月末までに完了へ《処理水の海洋放出》:ニュース - FTV 福島テレビ
.2021.04.13 東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の
  定義を変更しました 経産省
4.2023.06.09 福島第一原発 放射性物質を含まない水を放出試験へ 
 処理水放出に向け作動確認<東京電力>:ニュース- FTV 福島テレビ

 国と東京電力は、福島第一原発での処理水の海洋放出について2023
 年夏頃までの開始を目指している。 海底トンネルには海水が入れ
  られ
掘削機械の引き揚げなどを行えば海底トンネルの整備は完了す
 る。
一方で、放出する前の処理水をためるタンクから海への水路
 が今週末
にもつながる見通し。(6月9日時点) これを受けて東京
 電力では、処理
水ではなく放射性物質を含まない水を海水で薄め
 て海に放出す
る試験を6月12日から行うことを決めた。 海水で薄
 める設備や、異常が起きた時にシステムが正常に作動するかを確
 認するのが目的で2週
間ほど行われる予定。

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2005年代

今夜の寸評:(いまを一声に託す) 1人は世界のために世界は1人のために、     
                 


 

 

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バッテリ-薄膜事業渦論 ①

2023年06月12日 | ネオコンバーテック


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。

     


 
【再エネ革命渦論 134: アフターコロナ時代 333】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑰
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。

特集|最新ペロブスカイト太陽電池特許技術 2022~2023年度③
❏ 特開2023-080071 基板コーティングのためのガスクッション装置およ
技法 カティーバ, インコーポレイテッド

※尚、本券の転載は、半導体製造技術のお浚い文章になってしまう
が、『薄膜バッテリー革命』の意義の理解を深めるために転載する。
【概要】
材料層が、電子デバイスの1つ以上の機能もしくは非機能層を提供
するため等に、基板上に形成されることができる。1つのアプロー
チでは、そのようなデバイス上のフィルム層は、限定ではないが、
化学蒸着、プラズマ強化化学蒸着、スパッタリング、電子ビーム蒸
着、および熱蒸着を含むいくつかの技法のうちのいずれかを使用し
て、部分的に、基板上への一連の薄いフィルムの真空堆積を介して
製作されることができる。しかしながら、このような真空処理は、
比較的、(1)複雑であり、概して、そのような真空を維持するた
めに、大型真空チャンバおよびポンプサブシステムを伴う;(2)
そのようなシステム内の材料の大部分が、概して、堆積チャンバの
内部の壁および固定具上に堆積させられ、より多くの材料が、概し
て基板上に堆積させられるよりも無駄にされるので、堆積させられ
る原材料が無駄にされる;および、(3)壁および固定具を開放し
て、蓄積した無駄な材料を一掃するために、真空堆積ツールの動作
を頻繁に停止することを伴う等、維持することが困難である。概し
て利用可能なシリコンウエハよりも表面積が広い基板の場合、これ
らの問題は、さらなる課題をもたらす。

ある用途では、特定のパターンでフィルムを堆積させることが望ま
しくあり得る。別のアプローチでは、ブランケットコーティングが、
基板を覆って堆積させられることができ、所望のパターン化を達成
するために、フォトリソグラフィが考慮されることができる。しか
し、種々の用途では、そのようなフォトリソグラフィプロセスは、
既存の堆積フィルム層を損傷し得る。真空堆>積技法を使用するとき
に堆積層を直接パターン化するために、いわゆるシャドウマスクが
使用されることができる。そのような場合のシャドウマスクは、例
えば、金属シートから製造されることができる、堆積領域のための
切り抜きを伴う物理的ステンシルを備えている。シャドウマスクは、
概して、堆積に先立って、基板に整列させられ、それと近接または
接触して配置され、堆積中、定位置で保たれ、次いで、堆積後に除
去される。シャドウマスクを用いたそのような直接パターン化は、
真空ベースの堆積技法に実質的な複雑性を追加し、概して、基板に
対して正確にマスクを取り扱い、位置付けるための追加の機構およ
び固定を伴い、(シャドウマスク上に堆積させられる材料からの無
駄により)材料の無駄をさらに増加させ、シャドウマスクを継続的
に一掃し、交換する保守の必要性をさらに増加させる。そのような
薄いマスクは、広いエリアにわたって機械的に不安定であり、処理
されることができる基板の最大サイズを制限し得、したがって、こ
の場合、再度、概して利用可能なシリコンウエハよりも表面積が広
い基板に対して、これらの問題は、特に困難である。

本教示による囲まれたコーティングシステムの実施形態は、例えば、
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、OLED照明、有
機光起電池、ペロブスカイト太陽電池、プリント回路基板、ならび
に有機および無機半導体デバイスまたは回路によって限定されない
が、広範囲の技術分野内の種々の装置およびデバイスの製造におい
て、基板のコーティングのために有用であり得る。 本発明者らは、
とりわけ、印刷技法を使用し、基板の特定の領域を覆って液体イン
クを堆積させ、液体インクを処置して、液体インクを凝固させて固
体層を提供するようにすること(そのよな印刷中に少なくとも部分
的にガスクッションを使用して基板を支持すること、液体インクの
処置中に少なくとも部分的にガスクッションを使用し基板を支持し
続けることを含む)によって等、大気圧またはその付近における周
囲圧力で、固体層が基板上に形成されることができることを認識して
いる。本発明者はまた、とりわけ、このようにして、遅延を短縮す
ること、例えば、ハンドラによる係合中に基板への機械的損傷を低
減させること、もしくは本教示のコーティングシステムの種々の実
施形態によって提供される固体層の一様性を高めることのうちの1
つ以上のことのため等、いくつかの取り扱いステップが削減され得
ることも認識している。

本教示のコーティングシステムの実施形態で行われることができる
種々のプロセスは、そのような印刷の後および液体インクの処置の
前に特定の持続時間にわたって基板を保持すること(行われる種々
のプロセス中、少なくとも部分的にガスクッションを使用して、基
板を支持し続けることを含む)を含むことができる。

本発明者らは、とりわけ、(処理されている基板上に堆積させられ
るかまたは処理されている基板を備えている、1つ以上の種と最小
限に反応性であるか、または非反応性であるガスであって、特定純
度レベルを有する、そのようなガスを含む雰囲気を含むような)制
御された環境を提供するように構成されるエンクロージャ(囲い込
み)を有する、システムを使用して、印刷技法および他の処理動作
を実行できることを認識している。

そのような特定の純度レベルはまた、例えば、限定されないが、酸
素、オゾン、および水蒸気、ならびに種々の有機溶媒蒸気等の本教
示のコーティングシステムの実施形態を使用して製造されるデバイ
スの種々の材料および構成要素に反応する種の制御された最大不純
物濃度を含むこともできる。特定の純度レベルまで種々の反応種を
制御することは、製作中に基板上に製作されている材料およびデバ
イスの劣化を防止し、製作後にそのような材料またはデバイスの劣
化を後に引き起こし、加速し、または促進し得る、製作中に基板上
に製作されている材料およびデバイスへの不純物の取り込みを低減
もしくは防止し、または欠陥を阻止もしくは抑制することができる。
制御された環境内で特定の粒子状物質レベルを維持するため等に、
粒子状物質制御も提供されることができる。

エンクロージャの配列が、個々に維持され制御された環境を有する
それぞれのモジュールを含むことができるか、または、モジュール
のうちの1つ以上のものが、制御された環境を他のモジュールと共
有することができる。ガス精製、温度制御、溶媒排除、または粒子
状物質制御等の設備は、モジュールの間で共有されることができる、
もしくは専用の様式で提供されることができる。本教示によるガス
精製の種々の実施例は、水蒸気、酸素、オゾン、ならびに有機溶媒
蒸気等の種々の反応性大気ガスを含む種々の反応種に対するレベル
を、1000ppmまたはそれより低く、例えば、100ppmま
たはそれより低く、10ppmまたはそれより低く、1.0ppm
またはそれより低く、もしくは0.1ppmまたはそれより低く維
持することを含むことができる。 電子または光電子デバイス等の種
々のデバイスは、1つ以上のフィルム層を提供する処理技法を使用
することを含み、有機材料を使用して製造されることができる。有
機光電子デバイスは、他のディスプレイ技術と比較して等、増進し
た電力効率および増進した視覚性能を提供するとともに、それらの
比較的薄い平面構造により、体積に関してコンパクトであり得る。
そのようなデバイスは、競合技術と異なり、機械的に可撓性(例え
ば、折り畳み可能または曲げ可能)、もしくは光学的に透明であり
得る。有機光電子デバイスの用途は、例えば、一般的照明バックラ
イト照明源としての使用、または電子発光ディスプレイ内のピクセ
ル光源もしくは他の要素としての使用を含むことができる。

有機光電子デバイスの種類の1つは、例えば、小分子、ポリマー、
蛍光またはリン光材料等の電子発光有機材料を使用して光を生成す
ることができる、有機発光ダイオード(OLED)デバイスを含む。
実施例では、印刷動作は、有機材料を含む液体インクをインクジェ
ット印刷することを含むことができ、液体インクを処置することは、
液体インクを硬化させて固体層を提供するために、紫外線(UV)
光等の光に液体インクをさらすことを含むことができる。UV照射
を含むような硬化プロセスは、架橋結合反応を誘発し、それによっ
て、パターン化固体層を形成することができる。

例えば、パターン化固体層は、基板上に製作される発光デバイスま
たは他のデバイスの少なくとも一部を被覆することができる。固体
層は、カプセル化構造を形成する層のスタックに含まれるような基
板上の特定の領域をカプセル化することができる。 本明細書に説明
されるシステムおよび技法は、さまざまな異なる基板構成を処理す
ることを支援するように使用されることができる。例えば、フラッ
トパネルディスプレイデバイスは、少なくとも部分的に、本明細書
に説明されるシステムまたは技法を使用して製作されることができ
る。そのようなフラットパネルディスプレイデバイスは、有機発光
ダイオード(OLED)フラットパネルディスプレイを含むことが
できる。いくつかのOLEDフラットパネルディスプレイが、基板
上で処理されることができる。「基板」という言葉または「製作さ
れている基板」という語句の使用は、概して、OLEDデバイスを
含むことができるような処理中のアセンブリを指す。本明細書の実
施例は、特定のパネル幾何学形状またはサイズに制限される必要は
ない。

例えば、そのようなシステムおよび技法は、約37センチメートル(
cm)×約47cmの寸法を含む長方形の幾何学形状を有する等、
第2世代(「Gen 2」)サイズを有する、基板上のディスプレイ
デバイスの製作を支援するように使用されることができる。本明細
書に説明されるシステムはまた、約61センチメートル(cm)×約
72cmの寸法を含む長方形の幾何学形状を有する等、第3.5世
代(「Gen 3.5」)基板サイズを有する、基板上のディスプレ
イデバイスの製作を支援するように等、若干大きい基板幾何学形状
に使用されることもできる。本明細書に説明されるシステムはまた、
約130cm×150cmの寸法を有する「Gen 5.5」、また
は約195cm×225cmの寸法を有する「Gen 7」もしくは
「Gen 7.5」基板に対応する基板サイズを有する、基板上のデ
ィスプレイデバイスの製作を支援するように等、さらに大きい基板
幾何学形状に使用されることもできる。例えば、Gen 7またはG
en 7.5基板は、8枚の42インチ(対角寸法)または6枚の4
7インチ(対角寸法)フラットパネルディスプレイにシンギュレー
トされる(例えば、切断または別様に分離される)ことができる。
「Gen 8」基板は、約216×246cmの寸法を含むことがで
きる。「Gen 8.5」基板は、約220cm×250cmの寸法
を含むことができ、基板につき6枚の55インチまたは8枚の46
インチフラットパネルを提供するようにシンギュレートされること
ができる。

本明細書に説明されるシステムおよび技法を使用して、Gen8.5
を超え<る寸法が支持されることができる。例えば、本明細書に説明
されるシステムおよび技法を少なくとも部分的に使用して、約28
5cm×305cmまたはそれを超える寸法を有する「Gen 10」
基板が製作されることができる。本明細書に説明されるパネルサイ
ズは、概して、ガラス基板に適用可能性があるが、ディスプレイデバ
イス製作、具体的には、印刷技法を使用して1つ以上の層を形成す
ることを含むことができる、OLEDディスプレイ製作で使用する
ために好適な任意の材料の基板に適用されることができる。例えば、
種々のガラス基板材料、ならびに種々のポリマー基板材料、例えば、
ポリイミドが、使用されることができる。例えば、本願は以下の項
目を提供する。
                               (中略)

図2のごとく、コーティングが、基板上に提供されることができる。コーティン
グの製作は、ガスクッションを使用してコーティングシステム内で基板を支
持しながら、基板の特定の領域内において固体層を形成することを含む
ことができる。例えば、液体コーティングは、基板がガスクッションによっ
て支持されている間に、特定の領域を覆って印刷されることができる。基
板は、パターン化液体を印刷した後、特定の持続時間にわたって保持さ
れることができる。基板は、ガスクッションを使用して保持されている間に
、処置ゾーンに運搬されることができる。液体コーティングは、ガスクッシ
を使用して基板を支持し続けながら、固体層を提供するように処置される
とができる基板コーティングのためのガスクッション装置および技法の

供。



図2 概して、2つ以上の印刷ゾーンおよび処置ゾーンを含むことが
できる
ようなコーティングシステムの少なくとも一部の平面図の実
施例図

【発明を実施するための形態】

図1は、概して、コーティングシステム2600の少なくとも一部
分の平面図の実施例図。システム2600は、上向きの基板の第1
の側等の基板の特定の領域内に固体層を提供するように構成される
ことができる。固体層は、特定のパターンで形成される等、基板の
少なくとも一部を被覆することができる。システム2600は、各
々が、第1の側の反対側の基板の第2の側に提供される加圧ガスを
使用するガスクッション配列を少なくとも部分的に使用して、基板
を支持するように構成されるようなゾーンの配列を含むことができ
る。例えば、固体層は、基板を覆ってパターン化またはブランケッ
ト被覆されることができ、発光デバイス(例えば、ディスプレイま
たは照明パネル)、光吸収デバイス(例えば、光検出器または太陽
電池)、プリント回路アセンブリ、または他の電子デバイスもしく
は回路の一部を被覆することができるか、またはその一部として含
まれることができる。

図1.コーティングシステムの少なくとも一部の平面図の実施例図

コーティングシステム2600は、基板の特定の領域の上に液体コ
ーティングを堆積させるように構成される(例えば、ブランケット
またはパターン化液体コーティングを提供する)インクジェットプ
リントヘッドを含むことができるような印刷システム2000を含
むことができる。例えば、印刷システム2000は、基板上の特定
の場所の上へのインク滴の確実な配置のための装置を含むことがで
きる。そのような装置は、プリントヘッドアセンブリ2501、イ
ンク送達システム、加圧ガスを提供するプラットフォーム(例えば
、浮揚式「テーブル」)等の基板支持装置、ローディングおよびア
ンローディング装置、ならびにプリントヘッドの管理用の設備のう
ちの1つ以上のものを含むことができる。
図1の例証的実施例では、印刷システム2000は、ライザに取り
付けられるようなブリッジ2130を含むことができる。ブリッジ
は、第1のキャリッジアセンブリ2301および第2のキャリッジア
センブリ2302を支持することができ、そのようなキャリッジは、
ブリッジ2130に沿った少なくとも1つの軸(例えば、「X軸」
)において移動可能である。第1のキャリッジアセンブリは、本質
的に低粒子生成であり得る線形空気ベアリング運動システムを使用
して等、ブリッジ2130を横断するプリントヘッドアセンブリ2
501の移動を制御することができる。実施例では、第1または第
2のキャリッジアセンブリ2301または2302のうちの1つ以
上のものは、その上に搭載された垂直(例えば、「Z軸」)移動プ
レートを有することができる。実施例では、第1および第2のキャ
リッジアセンブリ2301および2302の各々は、プリントヘッ
ドアセンブリを搬送することができる。図1に示されるような別の
実施例では、第1のキャリッジアセンブリ2301は、プリントヘ
ッドアセンブリ2501を搬送することができ、第2のキャリッジ
アセンブリ2302は、基板コーティング動作の監視もしくは点検
用のカメラ2303等の1つ以上のカメラを搬送することができる。

プリントヘッドアセンブリ2501等の各プリントヘッドアセンブ
リは、少なくとも1つのプリントヘッドデバイスの中に搭載された
複数のプリントヘッドを有することができる。プリントヘッドデバ
イスは、例えば、少なくとも1つのプリントヘッドへの流体または
電子接続を含むことができるが、それらによって限定されず、各プ
リントヘッドは、制御された割合、速度、およびサイズでインクを
放出することが可能な複数のノズルまたはオリフィスを有する。例
えば、プリントヘッドアセンブリ2501は、約1~約60個のプ
リントヘッドデバイスを含むことができ、各プリントヘッドデバイ
スは、各プリントヘッドデバイスの中に約1~約30個のプリント
ヘッドを含むことができる。プリントヘッド、例えば、工業用イン
ジェットヘッドは、例証的実施形態によると、約0.1ピコリッ
トル(pL)~約200pLの液滴体積を放出することができる約
16~約2048個のノズルを有することができる。上記のように、
印刷動作は、インクジェット印刷、ノズル印刷、スロットダイコー
ティング(パターン化または非パターン化)、もしくはスクリーン
印刷等の1つ以上の液体コーティングプロセスを含むことができ、
液体インクは、有機材料(例えば、モノマーまたはポリマー)もし
くは無機材料のうちの1つ以上のものを含むことができ、キャリア
流体を含むことができる。液体インクの処置は、露光(例えば、紫
外線、赤外線、もしくは可視光のうちの1つ以上のものを含む)、
加熱もしくは冷却、周囲よりも高い圧力もしくは真空のうちの1つ
以上のものを含むことができる。そのような処置は、キャリア流体
の除去(例えば、真空乾燥または真空焼き付けを含むような乾燥も
しくは真空焼き付けのうちの1つ以上のもの)、化学反応(例えば、
架橋結合、または1つの化合物から別の化合物への化学転換)、も
しくは高密度化(例えば、真空焼き付けを含むような焼き付け)の
うちの1つ以上のものを通して、固体層を提供するために、液体イ
ンクの凝固をもたらすことができる。別のアプローチでは、固相材
料が、噴射を通して基板上に堆積させるために熱的に蒸発させられ
ることができる。さらに別のアプローチでは、材料が、キャリア液
体中に溶解させられるか、または別様に懸濁させられることができ、
材料を含む層は、線を形成するようにノズルから基板上に流体状態
で連続流を分注すること(いわゆる「ノズル印刷」または「ノズル
ジェット」)、および線パターン化層を提供するためのキャリアの
後続の蒸発によって形成されることができる。

 領域2100は、(例えば、領域2100に向かった矢印によって
示されるように)液体コーティングを印刷する前に、第1のゾーン
Z1の領域2100中への基板の配置を可能にするため等に、ハン
ドラ(例えば、移送ロボット)によってアクセスされることができ
る。次いで、基板は、少なくとも部分的に、第1のゾーンZ1の領
域2100中等で加圧ガスによって支持されることができる。印刷
システムは、第1のゾーンZ1の中、印刷動作中または後等に基板
の浮揚「飛行高度」をより精密に制御するための加圧ガスおよび真
空の組み合わせを提供するような、第2の領域2200を有するこ
とができる。圧力のみまたは圧力および真空の組み合わせを使用す
ることのさらなる議論が、以下の図7の例証的実施例に関して提供
される。 

図1を再び参照すると、基板は、少なくとも部分的に、第1のゾー
ンZ1内に位置する浮揚式テーブルを使用して、運搬されることが
できる。そのような運搬は、以下の実施例でさらに議論されるよう
に、ローラもしくはグリッパ(例えば、真空グリッパ)のうちの1
つ以上のものの使用を含むような基板の機械的係合によって、増強
または別様に促進されることができる。第1、第2、または第3の
ゾーンZ1、Z2、もしくはZ3のうちの1つ以上のものは、少な
くとも部分的にガスクッションを使用して、基板を連続的に支持す
るように構成されることができる。例えば、印刷動作後に、基板は、
矢印を含む曲線によって示される経路に沿って等、第2のゾーンZ
2を介して等、処置システム3000の一部として含まれる第3の
ゾーンZ3に運搬されることができる。そのような運搬は、少なく
とも部分的に運搬中、および処置を通して、ガスクッションを使用
して基板を支持し続けることを含むことができる。処置システム
3000は、基板上に固体層を提供するために、液体コーティング
(例えば、印刷された液体インク)を処置することができる。
(以降は割愛)

❏ 特開2023-72638 シクロブタンベースの正孔輸送材料を含む光
起電デバイス カウナス ユニバーシティ オブ テクノロジー他

【要約】
図2のごとく、シクロブチル部分を含む正孔輸送化合物に関連し作
製される有機正孔導体、および正孔輸送材料。加えて、そのような
正孔輸送材料または正孔輸送化合物を含む光電子および光電気化学
デバイス、特に光起電デバイス、有機-無機ペロブスカイト膜、層
化された光起電デバイス、p-nヘテロ接合、色素増感太陽電池、
有機太陽電池、および固体太陽電池で、合成後の精製のための凝華
段階を必要としない、適切なエネルギーレベルを有する新しい正孔
輸送有機化合物、および光起電デバイスを提供。
また、開示されたHTM化合物を使用して作製されたペロブスカイ
ト太陽電池モジュールは、30.24cmのアクティブ面積で、1
9.0%を超える効率の記録を呈した。


図2.化合物V1244、V1366およびV1321に対応する
化合物1、5および7、ならびにスピロOMeTADが、正孔輸送
材料として調査される、光電池の電流-電圧曲線図

❏ 特開2023-71376 電性ペースト及びその硬化物からなる電極を
備えた太陽電池セル 東洋アルミニウム株式会社
【特許請求範囲】
銀コート酸化物粒子を含む導電性粒子と、エポキシ系硬化性樹脂と、
硬化剤と、を含有することを特徴とする導電性ペーストで従来の導
電性ペーストよりも更に電極と透明導電膜との接触抵抗を低減する
ことができる導電性ペーストを提供。
【請求項1】  銀コート酸化物粒子を含む導電性粒子と、エポキシ
系硬化性樹脂と、硬化剤と、を含有 することを特徴とする導電性ペ
ースト。
【請求項2】  前記銀コート酸化物粒子は、酸化物粒子の表面に銀
コート層を備えており、前記酸化物 粒子がシリカ粒子及び/又はア
ルミナ粒子である、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項3】  前記導電性粒子は、更に銀粒子、銅粒子及び銀コー
ト金属粒子からなる群から選択され る一種以上を含む、請求項1又
は2に記載の導電性ペースト。
【請求項4】  前記銀コート酸化物粒子は、体積平均粒子径D50
が0.1μm以上10μm以下であ る、請求項1~3のいずれかに
記載の導電性ペースト。
【請求項5】  固形分として、前記銀コート酸化物粒子を0.5~
90質量%、銀粒子、銅粒子及び銀 コート金属粒子からなる群から
選択される一種以上を0~95質量%、残部が前記エポキ シ系硬
化性樹脂及び前記硬化剤である、請求項1~4のいずれかに記載の
導電性ペースト 。
【請求項6】  太陽電池セルの透明導電膜の表面の一部に請求項1
~5のいずれかに記載の導電性ペー ストの硬化物からなる電極を
備えた太陽電池セル。

❏ 特開2023-36564 ペロブスカイト太陽電池およびその製造方法、
並びに界面が低欠陥化されたニッケル酸化膜およびニッケル酸化膜
の界面処理方法 国立研究開発法人物質・材料研究機構 
【要約】
図1のごとく、透明導電層、ホール輸送層、ペロブスカイト層、電
子輸送層、ホールブロッキング層および裏面電極が順次形成されて
おり、ホール輸送層は無機ニッケル酸化物(NiOx)からなり、
ペロブスカイト層側のホール輸送層の表面の少なくとも一部が物質
X-nPACzで覆われているペロブスカイト太陽電池で、光電変
換効率が高いペロブスカイト太陽電池の提供。

❏ WO2019/182058 Sn系ペロブスカイト層及び太陽電池の製造方
国立大学法人京都大学
【要約】
Sn系ペロブスカイト化合物を含む溶液を基板に塗布する工程と,
基板に貧溶媒を塗布する工程と,基板をアニール処理する工程と,
をこの順で含むペロブスカイト層の製造方法であって,貧溶媒は,
45℃以上100℃以下である,方法で 平坦性に優れたスズ系ペロ
ブスカイト化合物を用いたペロブスカイト層の製造方法や,その製
造方法により得られたペロブスカイト層を用いたペロブスカイト型
太陽電池製造方法の提供。  

❏ 特開2022-183700 太陽電池セル、多接合型太陽電池セル、及び
太陽電池セルの製造方法 パナソニックホールディングス株式会社
【要約】

図1のごとく、太陽電池セル10が、結晶性シリコン基板11の第
1主面上に設けられるn型の第1非晶質シリコン層13、第1非晶
質シリコン層13の第1主面上に設けられる非晶質酸化物シリコン
層14、及び非晶質酸化物シリコン層14の第1主面上に設けられ
るn型の微結晶シリコン層15を備えるようにする。第1非晶質シ
リコン層13、非晶質酸化物シリコン層14、及び微結晶シリコン
層15における酸素原子濃度が、厚さ方向に関して非晶質酸化物シ
リコン層14内で極大値を有するように。受光面に微結晶シリコン
層を有して、光電変換層に到達する光を大きくでき、曲線因子も大
きくし易い太陽電池セルの提供。

図1 第1実施形態の太陽電池セルの厚さ方向の模式断面図

【符号の説明】 10,110 太陽電池セル、 11,111 結晶性
シリコン基板、 12,112 第1パッシベーション層、 13,1
13 第1非晶質シリコン層、 14,114 非晶質酸化物シリコン
層、 15,115 微結晶シリコン層、 16,116,213,313
第1透明電極、 22,122 第2パッシベーション層、 23,
123 第2非晶質シリコン層、 24,124,215,315 第2
透明電極、

❏ 特開2023-007189 インクジェットヘッド、インクジェットヘッ
ドの製造方法及び印刷装置 パナソニックIPマネジメント株式会社

【要約】
図1Aのごとく、インクジェットヘッド10は、ノズル12が形成さ
れたノズルプレート11と、ノズル12に連通する圧力室14と、
圧力室14を加圧する加圧部30と、加圧部30で発生されたエネ
ルギーを圧力室14に伝える振動板17とを備える。ノズルプレー
ト11の外表面11aには、フッ素が添加されたダイヤモンドライ
クカーボン膜からなる撥液膜50が形成され、経時的に安定した撥
液性を維持する。


図1A インクジェットヘッドの構成を示す断面模式図
【符号の説明】9 印刷装置 10 インクジェットヘッド 11 ノズ
ルプレート 12 ノズル 14 圧力室 17 振動板 30 加圧部
50 撥液膜

6月11日、日曜 7:30 -8:00 MBS毎日放送の「がっちりマンデー!!
★せまい業界第20弾!儲かる破壊業界」をみていると、株式会社
日建が地雷を破壊する技術で森の厄介者を破壊
      

図7従来例の草刈機が取付けられた油圧ショベルの構造を表す側面図   
❏ 特開2018-164454 草刈機 株式会社日建
【要約】
図1のごとく、ケーシングボディ28の片側に固定櫛刃45と可動
櫛刃46と可動櫛刃を動かす油圧シリンダからなるレーキグラップ
ル44を一体としてケーシングボディ28のブラケット50に着脱
ボルト51で着脱自在に設けた建設機械のアームに着脱可能なもの
であり、草刈刃を有する回転ドラムと、回転ドラムを回転可能に支
持するとともに収納するケーシングボディとを有する草刈機において
、レーキグラップルを設ける場合に、各部を分解せずに簡単に外す
ことができるものであり、しかも取り付けた場合には草刈機に単独
にかつ安定して取付けることができる。

図1.正面図                    図2.側面図
【符号の説明】
1…下部走行体 2…上部旋回体 3…スイングポスト 4…作業装置
5…トラックフレーム 6…駆動輪 7…従動輪(アイドラ) 8…履
帯(クローラ) 9…ブレード 10…旋回輪 11…ブーム 12…
アーム 13…草刈機 14…ブーム用油圧シリンダ 15…アーム用
油圧シリンダ 16…作業具用油圧シリンダ 20…背骨フレーム 2
1…横フレーム 22…面板 23…開口 24…レーキ 26…草刈
刃 26a…取り付けブラケット 26b…刃 26c…ボルト 27
…回転ドラム 28…ケーシングボディ 29…取付用ブラケット 30…
筒状体 31…側板 32…補強リブ 33…軸受 34A…開口 34
B…開口 35…ゴム垂れ 37…ゴム垂れ 44…レーキグラップル
45…固定櫛刃 46…可動櫛刃 47…油圧シリンダ 48…レバー
49…基盤 50…ブラケット 51…着脱ボルト



画像:Metor LakeのEコアをベースに作られた「Blue Sky Creek」の
ウエハー。プロセスはMeteor Lakeと同じ「Intel 4(7nm)」だが、P
owerViaを適用している。

インテル 裏面電力供給技術「PowerVia」のテストに成功
6月5日、同社がCPUのトランジスタ密度向上に寄与する裏面電力供給
技術「PowerVia」のテスト実装に成功したことを報告。PowerVia
開発により同社が掲げる「2030年までに1パッケージに1兆個のトラ
ンジスタを詰め込む」という目標の実現に近付く。 流通しているC
PU
のトランジスタは「下から順にトランジスタや配線を積み上げる」
というピザ作りに似た方式で生産されている。現行のCPUではピザ作
り的な製法でも問題が生じることはないが、チップの微細化が進んだ
ことで電力供給システムが処理システムのボトルネックになる事態
が発生する。ボトルネックを解消するために、チップメーカー各社
は電力供給システムをチップの裏側に搭載する「裏面電力供給技術
」の開発を進めています。Intelも裏面電力供給技術「PowerVia」の
開発を進めており、2023年6月5日には開発中のCPU「Meteor Lake」の
Efficient Core(Eコア)にPowerVia技術を投入するテストに成功。



PowerViaを用いたCPUでは電力効率が上昇し、トランジスタ密度も向
上するとのこと。インテルはPowerViaによるトランジスタ密度向上
について「ムーアの法則の約束がふたたび実現した」「インテルl
が2024年にPo
werViaを製品に導入すれば、競合他社は同社に対し『
2年の遅れ』を喫することになる」と述べている。尚、2023年6月11日
~16日に京都で開催される「VLSI Symposium」でPowerViaの詳細を発
表する。

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2004年代



今夜の寸評:(いまを一声に託す)        夢を実現する
                 その方法はいくつもあるよ!


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植物一細胞で遺伝子発現誘導

2023年06月10日 | デジタル革命渦論


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。

 

     


 

【再エネ革命渦論 133: アフターコロナ時代 332】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑯
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


📑植物の狙った一細胞で遺伝子発現を誘導できる技術
6月8日、横浜市立大学・横浜市立大学・基礎生物学研究所・龍谷大
学の共同研究グループは、植物体の中の任意の一細胞で特定の遺伝
子発現を誘導することができる技術の確立に成功。
【要点】
1.植物体の中の任意の一細胞で特定の遺伝子発現を誘導すること
 ができる技術を確立
2.狙った一細胞での遺伝子発現のON・OFFやゲノム編集なども可能
 になることが想定され、植物多細胞組織での細胞と細胞のやりと
 り(細胞間相互作用)を介したさまざまな生命活動のメカニズム
 をこれまでにない精細さで理解できるようになることや、この技
 術を用いた全く新しい研究手法の開発や品種改良につながる新た
 な研究技術の開発など期待できる。

植物でのオプトジェネティクスに新時代到来
【概要】
多細胞生物である植物や動物は、からだを構成するたくさんの細胞
同士がオーケストラのように協調して働くことで生きている。受精
卵から個体が形作られていく過程も細胞間の相互作用が必要であり、
また、さまざまなストレス応答も同様。一般に、生命の設計図であ
る遺伝子一つ一つの機能は、その遺伝子が機能しない状態になった
生物(機能欠損変異体)を調べることで理解されてきた。一方で、
「無い状態」からその機能を予測するだけでなく、「ある状態」を
調べなければわからないことも多々あるため、その遺伝子を全身で
過剰に発現させるなどして、その影響を調べることも行われている。
➲多細胞生物の中で、どの細胞がどんな役割を果たしているのか
は生物学の中では古くからある大きな疑問であっあ。これは現代生
命科学で言えば、どの細胞で、どの遺伝子が、どんな役割を果たし
ているかということになる。遺伝学が発展しても、特定の遺伝子の
全身的な欠損や過剰発現だけではこういった細胞間の相互作用はな
かなかわからず、古くからキメラ*の作成などで各細胞の役割解明が
試みられてきた。近年では、遺伝子組換え技術を用いて、特定の遺
伝子をある特定の細胞種でのみ発現させたり、化学物質など特定の
刺激に応じて局所的に発現させる技術が大きな役割を果たしてきた
が、それでも細胞種の制限や化学物質処理技術の限界などもあり、
一細胞レベルで遺伝子発現を制御することは困難だった。近年、動
物分野では、植物由来の光受容体を人為的に改変して動物細胞で発
現させた上で特定の波長の光を一細胞などの局所に照射することに
より、一細胞レベルで遺伝子発現をコントロールするオプトジェネ
ティクス*が隆盛となっていたが、元々それら受容体を持つ植物では
可視光を使ったオプトジェネティクス技術の利用は困難を極めてい
た(上図1)。
➲一方、、顕微鏡視野下で標的一細胞に赤外レーザーを照射する
ことができるIR-LEGO(Infrared laser-evoked gene operator:赤外レーザ
誘起遺伝子発現操作法
)装置を開発し、さまざまな動植物種におい
て標的となる一細胞でヒートショックを誘導して熱応答性プロモー
ター制御下で目的の遺伝子発現を誘導する技術を確立。この技術は、
遺伝子組換え生物を構成する単一細胞を赤外レーザで加熱すること
により、導入した熱ショックプロモーター支配下の任意の遺伝子を
任意の時間に誘導する方法を確立。
➲この技術は、動物はもちろん、植物での新たなオプトジェネテ
ィクス技術として期待されていたが、植物特有の細胞壁を持った大
きな細胞サイズなどの課題もあり、標準プロトコールのようなもの
もなく、誰もが使える状態ではなかった。また、植物分野で汎用さ
れていた熱応答性プロモーター(HSP18.2プロモーター)が定常時に
も一部の細胞で活性を持っていたために、特に、誘導して機能を調
べようとしている遺伝子が成長や形態に悪影響を与えたり、細胞毒
性を持っている場合など、非誘導時の望まない遺伝子発現が問題と
なる課題もあった(図1)。
➲このような中、本共同研究グループでは、
1)従来よりも熱応答により特化した熱誘導性プロモーター領域(
pHSP18.2v2)の発見、
2)ステロイドホルモン受容体融合型CRE組換え酵素とloxP配列の利
用。
3) 数多くの試行データからデータサイエンス的技法を用いての最
適なレーザー出力値の予測、の3点を融合させることで モデル植物
であるシロイヌナズナでの再現性の高い標的一細胞遺伝子発現誘導
プロトコールを確立(図2)。



図2.シロイヌナズナにおけるpHSP18.2v2媒介CRE-GR/loxPシステ
 ムの特性評価。 (A) この研究で使用したドライバーおよびレポ
 ーター コンストラクトの概略図。 ドライバー構築物では、CRE-
 GR 融合遺伝子は pHSP18.2v2 により駆動される。 VENUS レポー
 ター構築物では、p35S および転写ターミネーターが続く VENUS
 遺伝子の小胞体常在型が、2つの loxP 部位に隣接する二重転写
 ターミネーターを含む配列によって破壊された。 CREリコンビナ
 ーゼ活性の存在下では、紫色のバーで示される2つのloxP部位に
 隣接する領域が除去され、その後VENUSが発現された。 (B) さま
 ざまな処理後のドライバー構築物とレポーター構築物の両方を含
 むトランスジェニック実生の画像。 通常の 1/2MS 培地 (-DEX)
 または DEX を含む 1/2MS 培地 (連続) で生育した 2 系統の 3
 本の苗木を、23℃ (室温; RT) で 60 分間、または 37℃ (HS)
 で 10 分間、または 37℃ (HS) で 60 分間。 温度変化実験(24
 時間)の前日に、一組の苗をDEXを含む1/2MS培地に移し、同じ処
 理を行った。すべてのサンプルをさらに 23℃ 連続光下で一晩(
 
インキュベートし、蛍光実体顕微鏡を使用して写真を撮影した。
  この実験を 2 回繰り返したが、同様の結果が得られた。代表的
 な実験セットからの明視野 (BF) および VENUS 画像を図示 (C)
 37℃で60分間処理した苗の系統#3-7の葉組織(C、D)および系統#3-
 3(D)の根組織の拡大共焦点画像の最大強度投影。画像は、(B) と
 同様に一晩インキュベートした後に撮影された。 VENUS、クロ
 ロフィル由来の自家蛍光、および合成画像 (C)、および VENUS
 BF、および合成画像 (D) を示す。スケール バーは 2.5 mm (B)、
 75 μm、(C)、および 250 μm (D) を表す。


図3.根の表皮細胞への IR レーザー照射後の VENUS 発現効率。
 (A、B) IR レーザー照射後の VENUS 発現パターンの分布
------------------------------------------------------------
本手法で用いた、ヒートショックとステロイドホルモンという二重
ロック機構によるゲノム組換えシステムは、研究の妨げになってい
た非誘導時の望まない遺伝子発現が検出限界以下であり、植物体の
中の狙った一細胞でのさまざまな機能を持った遺伝子発現のON・OFF
制御はもちろん、一細胞レベルでのゲノム編集などに応用されるこ
とが期待されます。また、実データからのデータサイエンスに基づ
く解析は、細胞サイズごとの適切なレーザー出力値も予測しており
大小さまざまなサイズバリエーションを持つ植物細胞を実験対象に
する上での重要な指針も示しており、植物を用いたオプトジェネテ
ィクスの標準プロトコールとなる。
➲以上のように、本成果は、植物分野ではまだ発展途上の技術で
あるオプトジェネティクスの重要なブレークスルーとなるものであ
ると言える。尚、本研究は以下に示す研究費(主要なものを抜粋)
による成果である。

【関連技術情報】
1.論文情報:①原題:Targeted single-cell gene induction by optimiizng
   the dually regulated CRE/loxP system by a newly defined heat- shock
  promoter and the steroid hormone in Arabidopsis thaliana
  ②掲載誌:Frontiers in Plant Science 5 June 2023 Volume 14 - 2023  
  ③ DOI:doi.org/10.3389/fpls.2023.1171531
2.キメラ:異種の細胞や同種で系統の異なる細胞が混ざった状態
 の体をもつ生物。接ぎ木も異なる植物を繋いでいる場合は一種の
 キメラと言える。
3.オプトジェネティクス:光で細胞状態を変化させるような外来
遺伝子を導入して発現させ、光によって細胞状態を操作する実験
技術の総称。光遺伝学ともいう。可視光を利用して動物の神経細
 胞などを操作する技術を指す場合が多い。本研究では目に見えな
 い赤外光を利用する技術開発を進めることで、オプトジェネティ
 クス分野の発展に貢献することも目的の一つである。
4.IR-LEGO(Infrared laser-evoked gene operator:赤外レーザ誘起遺
 伝子発現操作法及び装置:産業技術総合研究所の弓場俊輔博士を
 中心とした研究チームによって世界初の技術。この技術は遺伝子
 組換え生物を構成する単一細胞を赤外レーザで加熱で、導入した
 熱ショックプロモーター支配下の任意の遺伝子を任意の時間に誘
 導する方法。実験対象とする生物は、その内部に赤外レーザが集
 光でき、熱ショックプロモーターが機能するような遺伝子組換え
 生物であれば、特に生物種を選ばない上に、レーザによる光毒性
 が無いことからその効果に高い再現性も有し、今後、遺伝子機能
 を探る新しいツールとして普及が期待されている。






脳血管が脱落する!?アルツハイマー病の治療研究 最前線
アルツハイマー病は脳の神経障害によって認知機能が低下する病気
だが、この病気を“脳血管障害”ととらえる研究が注目されている
という(「アルツハイマー病は脳の神経障害によって認知機能が低
下する病気だが、この病気を“脳血管障害”ととらえる研究」2023.
6.4. NHK)。
1.脳の血管:まず。脳の重さは体全体のたった2%ほど、血流量
 で見ると体全体の15%も流れ込み、脳は“血管のかたまり”と言
 われるほど、血液を必要とする臓器。新潟大学脳研究所で、脳血
 管の知られざる姿を捉える研究がおこなわれている(アルツハイ
 マー病は“脳血管障害”!? 認知症の原因・治療法 最新研究
 サイエンスZERO - NHK)。
2.光シート顕微鏡:亡くなった患者の脳を組織診断のために病理
 解剖し、認知症をはじめとした脳の病気の原因を研究。下の写真
 が実際の人の脳の一部。1cmほどに切り出され、特殊な処置で透
 明にされたもので、これをある装置で見ると血管が見えてくる。


画像:人の脳の一部

その装置とは、最新鋭の顕微鏡 “光シート顕微鏡”。通常の蛍光
顕微鏡は、光が1点から狭い範囲に当てられるため薄く切った標本
しか撮影できず、脳の血管を平面で観察。サイズの大きい標本を撮
影には標本を薄く連続した切片に切り分ける必要があり、膨大な手
と時間を要すが、光シート顕微鏡では光を薄く広げたシート状に照
射することができるため、標本の平面像を直接撮影することができ
ず、それを垂直方向に何枚も積み重ねることで脳血管を高速で立体
的に観察できる



新星渦 4次産業形成!知られざる脳血管の姿
解った!認知機能の低下と脳血管障害

一方、認知機能が低下していた患者の脳血管。黄色で示した動脈が
ブツブツと切れ、血管が脱落。血管が脱落すると、その部分から先
の血流が悪くなり、その状態が続くと障害が及び認知症になること
がわかっている。アルツハイマー病やパーキンソン病でも、このよ
うな脳の微小血管の障害、変性がリスクファクターの一つであると。
脳から切り出した切片で比較すると毛細血管が約30%減少する事例も
あるが。その原因物質がアミロイドβはアルツハイマー病の原因物
質の一つとされるタンパク質。これにより、“脳アミロイド血管症”
と言われ、アルツハイマー病の人の9割近く起き、血管の壁がアミ
ロイドβで血管が詰まってしまうが、血管平滑筋(筋肉細胞)の収
縮で、アミロイドβが血管の壁を流れ、脳から外に出るが、加齢や
生活習慣病などによって血管が硬くなり血管平滑筋の働きが悪くな
ると、アミロイドβを排出する力が低下。アミロイドβが血管の壁
にたまり、加齢や生活習慣病などによって血管が硬くなり血管平滑
筋の働きが悪くなると、アミロイドβを排出する力が低下。アミロ
イドβが血管の壁にたまる。

アルツハイマー病 超音波治療の研究
2022年11月に行われた「日本認知症学会学術集会」でアルツハイマ
ー病に対し「超音波」を使う「低出力パルス波超音波(LIPUS)」と
いう特殊な弱い超音波を使う治療法新たな治療法が公表されている
が、これは、超音波治療では、アルツハイマー病の患者さんの脳に
特殊な弱い超音波を当てて、脳血管の細胞を刺激します。すると血
管を広げる作用のある「一酸化窒素・NO」などが出され、脳の細い
血管の障害が修復される。この超音波治療の研究は現在、治験の第
二段階(探索的治験)が終了したところで、2023年の夏ごろに被験
者の数や施設数を増やした大規模な検証的治験が開始される予定。

【関連技術情報】
1.ライトシート顕微鏡:共焦点レーザー顕微鏡や2光子顕微鏡と
 同じく、光学切片を得ることで3次元、4次元(XYZT)の
 蛍光像を撮る顕微鏡である。しかし、ライトシート顕微鏡は側面
 から光を当てる点が他とは大きく異なる。


図1.ライトシート顕微鏡の基本原理

この顕微鏡の長所は、一言でいえば高速さと光照射による試料ダメ
ージの少なさである。前者は(他の顕微鏡がポイントスキャンなの
に対して)基本的に面で撮影していること、後者は観察したい平面
にしか励起光を当てていない、照射エネルギーの少なさによる。こ
の高速性を生かすと、原生動物の運動など非常に速い現象のイメー
ジングが可能になる。また透明化した巨大な試料を見るのにも適し
ている。透明化した試料は奥まで見えるためZスキャンの回数が非
常に多くなり、かつ巨大な試料でタイリング撮影を行うと、ポイン
トスキャンでは何時間もかかってしまうからである。光によるダメ
ージの小ささは、たとえば光毒性がよく問題になる発生現象のライ
ブ観察ではライトシート顕微鏡を使えば光毒性をあまり気にせず時
間解像度を上げることができる。一方で、空間分解能については共
焦点には一歩譲る。NAの大きな対物レンズを使えないせいである。
深部観察能については、体感的には共焦点顕微鏡と2光子顕微鏡の
中間である。ライトシート顕微鏡では深部は暗くならないがぼやけ
ていく。また、同一平面内でも照射光がサンプルに入る場所ではき
れいな画像が得られるのに対し、反対側では背景光の増加や縞状の
影が発生して画質は劣化する。
図1.
ナノシート酸化物半導体トランジスタ
光シート顕微鏡だけではない。6月7日、東京大学生産技術研究所小
林 正治准教授と、 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領
域 浦岡行治教授らによる 共同研究グループは、原子層堆積法を
用いて酸化物半導体のナノ薄膜を成膜する技術 により 低温で形成
可能なナノシート酸化物半導体をチャネル材料とする高性能で高信
頼性なトランジスタ開発に成功する (図 1) 。
【要点】
1.ナノシート状の酸化物半導体を用いて高性能・高信頼性なトラ
 ンジスタを開発
2.原子層堆積法により極めて薄い酸化物半導体の成膜方法を開発
 しデバイス集積
3.半導体の高集積化とそれによる高機能化により、ビッグデータ
 を利活用する社会サービスの展開に期待
【概要】
半導体は大規模集積化が進められており,現在,三次元集積化によ
り,さらなる高集積化と高機能化が進もうとしている。従来のシリ
コン基板上に形成される半導体集積回路の配線層にトランジスタを
形成することで,高機能回路を三次元積層して高集積化することが
できる。そのためには低温で形成できる半導体材料が必要であり,
また,その材料を用いたトランジスタは高集積化のために微細化し
ても高性能・高信頼性を有する必要がある。酸化物半導体は,これ
までフラットパネルディスプレーで用いられてきた半導体材料だが
半導体集積回路への応用にはナノ薄膜の均一な成膜が必要であり,
また,それを用いた高性能・高信頼性なトランジスタ技術の開発が
望まれていた。原子層ごとに成膜が可能で,均一な膜厚が得られる,
原子層堆積法による酸化物半導体のナノ薄膜の成膜方法を開発し,
ナノシート酸化物半導体をチャネル材料とする高性能で高信頼性な
トランジスタを開発。
【展望】
原子層堆積法による酸化物半導体のナノ薄膜の均一な成膜が可能と
なった。研究グループは今後,高移動度で高信頼性な酸化物半導体
ナノ薄膜の開発を推進し,微細なトランジスタや三次元構造のトラ
ンジスタへと展開し,半導体の三次元高集積化に資する研究開発を
行なっていく。

✔ こうみると20年前に構想した『ネオコンバーテック』が輩出す
 る事業創成に驚く。
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6月8日、魚介類などに含まれる物質「タウリン」の補充が老化防止
に有望であることを動物実験で確かめたと、米コロンビア大などの
国際チームが科学誌サイエンスで公表。タウリンは人間の体内でも
作られ、コレステロールを減らしたり、肝機能を強化したりする効
果があるとされる。栄養ドリンクの成分としても知られる。


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図1.2050年時点までの世界の太陽光発電の導入ペースの目安
今後10年間で年間導入設備量を10倍程度まで拡大させることで、持
続的な社会において必要と想定される規模の導入設備量(この例で
は2050年頃に75TW)に達する。これまでの実績と今後の見通しから
は、この目標は達成可能と示唆。

 テラワットスケールの太陽光発電
世界の太陽光発電研究者からの提言
5月30日、産業技術総合研究所は独フラウンホーファー研究機構 太
陽エネルギーシステム研究所・米国国立再生可能エネルギー研究所
と合同で「The Terawatt Workshop 3」(「ワークショップ」)を開
催。3機関を中心とする世界中の専門家たちにより、テラワット(
1012ワット=10億キロワット)単位の太陽光発電が普及する時代
を迎え、気候変動を十分抑えるために必要な普及量を目指す上で必
要な事柄を検討。と合同で「The Terawatt Workshop 3」(以下「ワ
ークショップ」という)を開催した。3機関を中心とする世界中の
専門家たちにより、テラワット(1012ワット=10億キロワット)単
位の太陽光発電が普及する時代を迎え、気候変動を十分抑えるため
に必要な普及量を目指す上で必要な事柄を検討。その後、3研究機
関を中心にワークショップでの議論を論文としてまとめました。こ
の論文が2023年4月6日付のScience誌へ掲載。論文のタイトルは「
Photovoltaics at multiterawatt scale: Waiting is not an option」で、世界が
持続的な社会に向かうにあたり、今後必要な太陽光発電の普及速度
の目安や課題を提示(上図1参照)。

【要点】

1.持続可能な社会の実現に際して、世界で必要になりそうな量の
 太陽光発電を導入するペースや、課題となる点を紹介
2.今後10年間ほど現在の市場成長率を保ち、普及速度をおよそ10
 倍にする必要性を指摘
3.技術革新やエネルギー使用効率の向上のほか、世界的な生産拠
 点の分散化など、持続可能なエネルギーシステムの実現に向けた
 方策を提言
【概要】
気候変動の影響が顕在化する中、環境とエネルギーの2つの持続可
能性を早急に両立させることは、全世界的な要請であり、挑戦的な
課題。この課題の解決に際し、太陽光発電は重要な役割を担える技
術である。太陽光発電は、環境、経済性、エネルギー安定供給の点
で優位性を発揮し、主要な発電手段の一つとして普及が加速してい
る。太陽光発電の技術がさらに発達し、発電コストの大幅な低減も
進むなか、普及をいかにスムーズに進めるかが、持続的社会の実現
の鍵を握ると考えられている。
【成果】
気候変動対策として世界の温室効果ガス排出量を2050年時点で十分
に減らすシナリオは、既に世界で多数検討・報告された。その中で
必要になる太陽光発電の導入設備量の想定はシナリオによって幅が
あるが、著者らはこれら既存の検討結果を参照した上で、挑戦的だ
が実現可能と思われる値として75TWの導入設備量を想定し、必要な
普及速度の目安や、実現までの課題や留意事項をまとめた。

太陽光発電は近年、年25%前後の市場成長率を記録。この市場成長
率を10年ほど継続すると、年間約3.4TWの年間導入設備量となる。
その後は同じ年間導入設備量を維持することで、2050年に75 TWに
達するシナリオを想定。本論文ではこのようなシナリオをスムーズ
に実現するための課題や留意点として、公的機関、企業、行政府や
シンクタンクなどの持つデータや見解、学術的な知見を集約した結
果、下記のような事項を指摘。

•今後10年のうちに規模を拡大しておくのが大事である。後になっ
てから拡大しようとした場合、急激な拡大に追いつけなくなったり、
(供給能力が一時的に過大になって)持続性を欠いたりする危険性
がある。
•太陽光発電の急速な普及に追いつけるように、インフラの計画は
前向き、かつ積極的に行われなければならない。
•大量の太陽光発電を導入していく過程では挑戦的な課題も発生す
る。風力や水力との組み合わせ、送電網の増強、蓄電、デマンドレ
スポンス、水素、ヒートポンプや電気自動車との連携等、複数の戦
略を活用して解決に取り組む必要がある。
•最新の技術水準やコスト、十分な解像度をもつ電力系統のシミュ
レーションモデル、他分野の電化まで考慮した将来のエネルギー供
給システムの検討結果はいずれも、太陽光発電が大きなシェアを担
う結果を示している。
•輸送コストや供給障害のリスクを抑え、普及をスムーズに進める観
点からは、関連機器の生産拠点を一つの国や地域に集中させ過ぎな
いよう、分散させるべきである。
•発展途上国や新興国におけるエネルギーシステム拡大においては、
(安さや扱いやすさ等から)太陽光発電が第一の選択肢となる。
•リサイクルを促進する取り組みは今すぐ拡大させる必要がある。
•さらなる持続性向上のため、変換効率向上やエネルギー使用量削
減等に関する継続的なイノベーションも求められる。
•太陽光発電の普及拡大と並行して、蓄電や(水素用の)電解装置
の規模拡大も必要になる。
•建材一体型太陽光発電(BIPV)や電気自動車への充電、ソーラーシ
ェアリング(agriPV)等の新しい利用形態も有用である。
•水素、合成燃料、原料等を持続的な形で製造するには、太陽光発
電や風力発電の大規模な普及が必須である。
•次の10年間が決定的である。気候変動や大気汚染に起因するコス
トを踏まえ、幅広い電化を進め、古すぎる想定を排し、素早い変化
への対応が必要となる。
•これまでの実績と今後の見通しは、2050年に75 TWを導入する目標
が達成可能だと示唆している。(これを踏まえて、「座して待つこ
とは選択肢ではない」と論文のタイトルで表現している)。

本論文で挙げたような挑戦的な課題への対応を進めつつ、現在の市
場成長率を当面維持することで、世界のエネルギー供給体制を持続
的なものに変革していくにあたり、太陽光発電がその決定的な役割
を果たせるものと考えられます。 本論文は世界の太陽光発電の今
後の普及速度の一つの目安となると共に、関連分野との連携戦略や
研究開発方針の策定の助けになるものと期待される。


【展望】
産総研、Fraunhofer ISE、NRELの3研究機関は持続的社会の実現加速
のため、今後とも世界の太陽光発電の専門家たちと連携し、普及
加速のための分析や情報発信に取り組む。
【掲載論文】
1.掲載誌:Science、AAAS 380, 39 (2023) 
         DOI: 10.1126/science.adf6957

2.原 題:Photovoltaics at multiterawatt scale: Waiting is not an option
         25% annual PV growth is possible over the next decade

有機ELより低コストな発光電気化学セルの動作メカニズム
6月1日、筑波大学らの研究グループは、電子スピン共鳴(ESR)法
を用い、発光電気化学セル(LEC)の動作機構を解明。有機性発光
素子の一つで、有機発光ダイオード(有機EL)と比べ構造が簡単で
柔軟性にも富むことから、印刷技術を活用するなど低コストでの製
造が可能。また、有機ELより低い電圧で駆動できることなども利点
で、次世代の省エネ発光素子として注目されているが、その動作メ
カニズムが微視的なレベルでは未解明のままで、LECは、電気化学発
光を応用した有機発光素子。有機発光材料とイオン液体の陽イオン
(P66614+)および陰イオン(TFSI-)からなる「発光層」や、「陽極」
「陰極」で構成される。有機ELに比べ、構造が簡単で柔軟性に優れ
ている。印刷技術を用いることにより製造コストを削減でき、低電
圧駆動によって電力消費を抑えることも可能である。半面、「応答
速度が遅い」「駆動寿命が短い」といった課題もあり、このことが
実用化に向けた研究の障壁となっていた。


図1.電子スピン測定要の発光電気化学の構造 出所:筑波大学


図2.動作しているLECのESR信号 出所:筑波大学

そこで研究チームは、課題解決に向けてLECの詳細な動作機構を解
明することにした。具体的には、発光材料としてスーパーイエロー
を用いたLECについて、電子スピン共鳴(ESR)法を用い、LECが動
作している状態で電荷のスピン状態を観察したところ、LECに印加
する電圧(Vbias)が高くなると、発光とESRがいずれも増えること
が分かった。得られた信号を理論解析したところ、ESR増加の起源は、
スーパーイエローに注入された「正孔」と「電子」であることを明
らにした。しかも、電荷ドーピングの進行が輝度の上昇と相関関係
にあり、これはドーピングされた電荷が発光層上に分布しているこ
とを示唆。
【関連技術情報】
・原 題:Investigating the operation mechanism of light-emitting electroc-
 hemical cells through operando observations of spin states, :スピン状態の
   オペランド観察による発光型電気化学セルの動作機構の解明
・Communications Materials,  DOI  :10.1038/s43246-023-00366-3


特集|最新ペロブスカイト太陽電池特許技術
2022~2023年度
❏ 特開2022-152729 太陽電池の製造方法及び太陽電池 積水化学工
 業
株式会社

【要約】
下図3のごとく、複数の太陽電池セルは、隣接する太陽電池セル同
士が
直列に接続しており、基材上1に透明電極2を製膜し、透明電
極を切削
加工する工程(1)と、切削加工された透明電極上に光電
変換層3を製膜する工程(2A)と、リフトオフによって透明電極
の基材側とは反対側の界面を剥離しながら光電変換層を除去し、光
電変換層に切削溝を形成する工程(2B)と、切削加工された光電
変換層上に電極を製膜し、電極の切削加工を行う 工程(3)とを有
し、光電変換層は、一般式R-M-X 3(但し、Rは有機分子、M
は金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表
される有機無機ペロブスカイト化合物を含む太陽電池の製造方法。
光電変換層の切削加工を良好に行うことができ、光電変換層を挟む
上下の電極の電気的接続を安定して確保することができる太陽電池
の製造方法を提供する。


図3. 従来のレーザーパターニングによって光電変換層に切削溝を形成し
たときの状態を模式的に表した断面図

【符号の説明】 1 基材 2 透明電極 3 光電変換層
【概要】
従来、太陽電池として、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層
とを配置した積層 体が盛んに開発されており、上記N型、P型半導体とし
て主にシリコン等の無機半導体が用いられている。 しかしながら、このよ
うな無機太陽電池は、製造にコストがかかるうえ  大型化が困難であり、
利用範囲が限られてしまうという問題があった。 そこで、近年、中心金属
に鉛、スズ等を用いたペロブスカイト構造を有する有機無機ペロ ブスカイ
ト化合物を光電変換層に用いた、ペロブスカイト太陽電池が注目されてい
る(例 えば、特許文献1、非特許文献1)。ペロブスカイト太陽電池は、高
い光電変換効率が期 待できるうえに、印刷法によって製造できることから
製造コストを大幅に削減することが できる。

一方、近年、ポリイミド、ポリエステル系の耐熱高分子材料や金属箔を基
材とするフレキシブルな太陽電池が注目されるようになってきている。 フ
レキシブル太陽電池は、薄型化 や軽量化による運搬、施工の容易さや、
衝撃に強い等の利点があり、例えば、 フレキシブル基材上に、光が照射
されると電流を生じる機能を有する光電変換層等の複数の層を薄膜状に
積層することにより製造される。更に、必要に応じてフレキシブル太陽電
池の上下面を、太陽電池封止シートを積層して封止する。例えば、特許
文献2には、シート状のアルミニウム基材を含む半導体装置用基板、及
び、 この半導体装置用基板を含む有機薄膜太陽電池が記載されている。


風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2004年代

今夜の寸評:(いまを一声に託す) 最善を尽くすのみ



 

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清水白桃のマリトッツォ

2023年06月09日 | 新弥生時代


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。



6月6日9寺30分、滋賀県守山市杉江町の『もりやま芦刈園』に彼女
のリスエストで出かける(6月の有料期間のみ 大人200円 中学生以
下・障がい者・65歳以上 100円)。日本と西洋のあじさいがそれ
ぞれ50品種、5,000本、計10,000本も植栽されていて、青や白、ピ
ンクなど様々な品種のあじさいを楽しむことができる。



          芦刈も二号三号と七変化  
                      

琵琶湖は台風が過ぎ生憎の雨曇り模様。大規模異常気象がつづくな
か紫陽花の七変化に想いを寄せ詠む。



アジサイ(紫陽花、学名:Hydrangea macrophylla)は、アジサイ科
アジサイ属の落葉低木の一種。広義には「アジサイ」の名はアジサ
イ属植物の一部の総称。狭義には品種の一つ H. macrophylla f. macro-
phylla
の和名であり、他との区別のためこれがホンアジサイと呼ば
れることもある。原種は日本に自生するガクアジサイ。狭義のアジ
サイ(ホンアジサイ)は、日本で原種ガクアジサイから改良した園
芸品種でガクアジサイに近い落葉低木。6月から7月にかけて開花し、
白、青、紫または赤色の萼(がく)が大きく発達した装飾花をもつ。
ガクアジサイではこれが花序の周辺部を縁取るように並び、園芸で
は「額咲き」と呼ばれる。ガクアジサイから変化し、花序が球形で
すべて装飾花となったアジサイは、「手まり咲き」と呼ばれる。


ダンスパーティーH. macrophylla ‘Dance Party’
アジサイの園芸品種図鑑
アジサイは、近世まで一般にそれほど注目されることもなく、どち
らかというと地味な花低木。戦後、園芸が盛んになるにつれ、アジ
サイにも目が向けられるようになると、自生地などで、ヤマアジサ
イの七段花、黒姫、ガクアジサイの城ケ崎らが見いだされ、流行の
はじまりとなっていった。今日では多様な品種が作出され、その数
数千種とも言われ、各地にアジサイの名所が誕生するとともに、
母の日の贈り物として、カーネーションと人気を二分するほどの隆
盛とか。種類が多く覚えきれないので興味があれば願参考「ア
ジサイの園芸品種図鑑 索引」




次回は、琵琶湖のほとりのパン工房、ジュブリルタン。なんでやね
ん?! 罪滅ぼしとは、とほほのホ ^^;。
近江牛のバームバーグ 税込2,400円
近江牛100%のミンチにバームクーヘンを練り込んだジュブリルタ
サラダ・パン付きのオリジナルハンバーグ
画像(下)は近江鶏と季節野菜のホットサンド 税込1,600円 スパ
イスを効かせた近江鶏にアスパラガス、じゃがいも、キャベツにケ
ールとレモンスライスを使ったホットサンド サラダ・ドリンク付
き。 




     


 

【再エネ革命渦論 132: アフターコロナ時代 331】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑮

特集|最新ペロブスカイト太陽電池特許技術 2022~2023年度





図1.一実施形態としての基板上に形成された薄膜太陽電池素子を
  模式的に表す断面図


図2.一実施形態としての量子ドットLED素子を模式的に表す断
  面図

特開2023-66113 光電変換素子及びその製造方法 三菱ケミカル
 
株式会社・国立大学法人 東京大学
【概要】
本件は、薄膜太陽電池または量子ドット発光素子及びその製造方法
と、この薄膜太陽電池または量子ドット発光素子を用いた太陽電池
モジュールおよびLEDディスプレイに関する新規技術提供開示で
ある。
有機無機ハイブリット半導体材料を用いた薄膜太陽電池または量子
ドット発光素子が、高効率性を有することから、注目を浴び、ペロ
ブスカイト半導体化合物を活性層材料として用いた太陽電池や、ペ
ロブスカイト量子ドットを活性層材料として用いたLEDが開示さ
れている。しかしながら、薄膜太陽電池または量子ドット発光素子
で、活性層と電極との間の正孔輸送層に用いられている正孔輸送材
料は、PTAAあるいはpoly-TPDであり、これらの6員環
芳香族系高分子は電子供与性が低いことにより、移動度の向上、H
OMO準位のチューニング、およびパラジウムを用いたカップリン
グ反応により移動度改善は難しく、これらの共役高分子は、パラジ
ウム触媒を用いたカップリング反応で製造されるため、高分子化後
の反応性が落ちることにより、高分子の末端に、スズ、臭素、ヨウ
素などが部分的に残留し、更には用いたパラジウム触媒が高分子中
に取り込まれることから、これが素子の性能を下げる要因とであり
本件は薄膜太陽電池の電変換効率や量子ドットLED発光輝度とい
った素子性能の向上させる新規技術の提供にあり。ペロブスカイト
型半導体材料を用いた薄膜太陽電池または量子ドットLED発光素
子において、チオフェン環を骨格に有する特定の共役高分子が、パ
ラジウム触媒を用いることなく製造することができ、この共役高分
子を正孔輸送層に用いることにより、薄膜太陽電池の光電変換効率
や量子ドットLED発光輝度を向上できることを見出し、この知見
に基づいて本発明を完成させた。
[1]上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記
一対の電極間に位置し、ペロブスカイト型半導体材料を含有する活
性層と、前記活性層と前記一対の電極の少なくとも一方との間に位
置し、下記式(I)で表される、重量平均分子量(Mw)が10,
000以上200,000以下の高分子化合物を含有する層とを有
する薄膜太陽電池である。

(前記式(I)中、Xは置換基を有していてもよい、1又は2以上
の芳香環を有する2価の基であり、R,R、R、Rはそれぞれ
独立して水素原子又は1価の有機基を表し、RpおよびR、R
よびRはそれぞれ置換基を介して結合していてもよい。nは整数
を表す。) [2] 前記式(I)におけるRおよびR3 が共に、
置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基である、[1]に記載
の薄膜太陽電池。[3] 前記ペロブスカイト型半導体材料が、三
次元ペロブスカイト材料及びペロブスカイト量子ドット材料の少な
くとも1種である、[1]又は[2]に記載の薄膜太陽電池。[4]
前記式(I)で表される高分子化合物を含有する層は、正孔輸送層
である、[1]から[3]のいずれかに記載の薄膜太陽電池。[5]
前記式(I)で表される高分子化合物を含有する層のパラジウムの
含有量が100ppm以下である、[1]から[4]のいずれかに
記載の薄膜太陽電池。 【0014】 [6] [1]から[5]の
いずれかに記載の薄膜太陽電池を有する太陽電池モジュール。[7]
上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の
電極間に位置し、ペロブスカイト型半導体材料を含有する発光層と、
前記発光層と前記一対の電極の少なくとも一方との間に位置し、下
記式(I)で表される、重量平均分子量(Mw)が10,000以
上200,000以下の高分子化合物を含有する層とを有する量子
ドットLED発光素子。

前記式(I)中、Xは置換基を有していてもよい、1又は2以上の
芳香環を有する2価の基であり、R、R、R、Rはそれぞれ
z独立して水素原子又は1価の有機基を表し、RおよびR、R
およびRはそれぞれ置換基を介して結合していてもよい。nは整
数を表す。) [8] 前記式(I)におけるRおよびRが共に、
置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基である、[7]に記載
の量子ドットLED発光素子。 [9] 前記式(I)で表される高
分子化合物を含有する層のパラジウムの含有量が100ppm以下
である、[7]または[8]に記載の量子ドットLED発光素子。
[10]前記ペロブスカイト型半導体材料が、三次元ペロブスカイ
ト材料及びペロブスカイト量子ドット材料の少なくとも1種である、
[7]から[9]のいずれかに記載の量子ドットLED発光素子。
[11]前記式(I)で表される高分子化合物を含有する層は、正
孔輸送層である、[7]から[10]のいずれかに記載の量子ドッ
トLED発光素子。[12] [7]から[11]のいずれかに記
載の量子ドットLED発光素子を有するLEDディスプレイ。[1
3]前記式(I)で表される高分子化合物を、原料モノマーを鉄触
媒の存在下に重合することにより製造する工程を含む、[1]から
[5]のいずれかに記載の薄膜太陽電池又は[7]から[11]の
いずれかに記載の量子ドットLED発光素子の製造方法。
【発明の効果】
本件によれば、ペロブスカイト型半導体材料を用いた薄膜太陽電池
あるいは量子ドットLED発光素子において、特定の共役高分子を
用いることで、薄膜太陽電池の光電変換効率、量子ドットLED発
光輝度といった素子性能を向上させることができる。

[ペロブスカイト太陽電池素子の評価]

[量子ドット発光素子の評価]


❏ 特開2022-189847 ペロブスカイト太陽電池 オックスフォード
フォトボルテイクス リミテッド
【概要】
本件は、①光活性ペロブスカイト(perovskite)材料の②コンフォー
マル(密着した塗膜)層を③粗い表面又はテクスチャード加工され
た(textured)表面上に④堆積させる(depositing)方法、⑤及び粗い
又はテクスチャード加工された(textured)表面上に配置された光活
性ペロブスカイト材料のコンフォーマル層を含む⑥光起電力デバイ
スに関する技術提供情報。あらゆる固体は、広範囲の電気的特性を
決定する独自の特徴的なエネルギーバンド構造を有する。電子はあ
るエネルギー帯から別のエネルギー帯に遷移することができるが、
各遷移には特定の最小エネルギーが必要であり、必要なエネルギー
量は材料ごとに異なる。電子は、フォノン(phonon)(熱)又は光子
(photon、フォトン)(光)のいずれかを吸収により、遷移に必要な
エネルギーを獲得する。「バンドギャップ」という用語は、電子状
態が存在できない固体におけるエネルギー差の範囲を指し、且つ一
般に、価電子帯の頂部と伝導帯の底部との間のエネルギー差(電子
ボルト)を意味する。太陽電池(solar cell)のような光起電力デバ
イスで使用される材料の、通常の日光条件下での効率は、その材料
のバンドギャップの関数である。バンドギャップが大きすぎると、
ほとんどの昼光フォトンは吸収されない。バンドギャップ(it)が低
すぎると、ほとんどの光子は、バンドギャップを横切って電子を励
起するのに必要なエネルギーよりもはるかに多くのエネルギーを有
し、残りは無駄になる。入射光の光子当たり抽出できる電気的エネ
ルギーの理論上の最大量を指し、約1.34eVであり、最近の光
起電力デバイスに関する多くの研究の焦点は、この最大限に可能な
限り近いバンドギャップを有する材料開発にあった。

光起電材料の1つのクラスはハイブリッド有機-無機ハライドペロ
ブスカイトであった。このタイプの材料は、有利なバンドギャップ、
高い吸収係数及び長い拡散長を示し、そのような化合物を光起電力
デバイスの吸収剤として理想的にすることが分かっているABX
結晶構造を形成する。ハイブリッド有機-無機金属ハライドペロブ
スカイト材料の初期の例として、Kojima,  A.  et  al.,  2009.  Organom-
etal  halide  perovskites  as  visible-light  sensitizers  for  photovoltaic  cells.
 Journal  of  the  American  Chemical  Society,  131  (17),  pp.6050-6051に
報告されている。このようなペロブスカイトが液状電解質系光電気
化学
セルの増感剤として用いられた。Kojimaらは、得られた太陽エ
ネルギー変換効率(又は電力エネルギー変換効率、PCE)が3.
8%であることを報告しているが、このシステムではペロブスカイ
ト吸収剤が急速に減衰し、且つ、10分後にセルが性能低下する。そ
の後、lee, m.m. et al., 2012. efficient hybrid solar cells based on meso-sup-
erstructured organometal halide perovskites. science (new york, n.y.), 338
(6107), pp.643-7
は、液体電解質を固体状態の正孔(hole)導体(又は正
孔輸送材料(hole-transporting material)、HTM)、スピロ-MeOTA
D
と置き換えられた「メソ超構造の(meso-superstructured)太陽電池
」を報告した。Lee et al.は、変換効率の有意な増加が達成されると
報告する一方で、液体溶媒の使用を避けた結果、大幅に改善された
セル安定性を達成した。記載されている例では、CH3NH3PbI3ペロ
ブスカイトナノ粒子は、光起電力セル内の増感剤の役割を引き受け
、メゾスコピック(mesoscopic)TiO2足場(scaffold)に電子を注入し、
固体状態のHTMにホールを注入する。TiO2及びHTMの両方は、
選択的接点として作用し、そこを通って、ペロブスカイトナノ粒子
の光励起によって生成された電荷キャリアが抽出される。 WO2013
/1715177
に記載されているさらなる研究は、単一アニオンペロブ
スカイトの代わりに、光起電力デバイスにおける増感剤/吸収剤と
して混合アニオンペロブスカイトを使用することにより、より安定
した高効率の光起電力デバイスが得られることを開示している。特
に、この文献は、混合アニオンペロブスカイトの優れた安定性が、
装置が10%を超える全太陽光電力変換効率を示す一方で、デバイ
ス製造プロセス中に無視できる色漂白を示すという知見によって強
調されることを開示している。対照的に、同等の単一アニオンペロ
ブスカイトは比較的不安定であり、周囲条件下で単一ハライドペロ
ブスカイトからフィルムを製造する場合には漂白が迅速に生じる。 
より最近、WO2014/045021は、n型(電子輸送)層とp型(正孔
輸送)層との間に配置された光活性ペロブスカイト吸収剤の薄膜を
含む平面ヘテロ接合(planar heterojunction,PHJ)光起電力デバイス
を記載している。予期しないことに、メソポーラス複合体(composi-
te)
の要件とは対照的に、光活性ペロブスカイトのコンパクトな(す
なわち、有効/開放気孔率なしの)薄膜を使用することによって良
好なデバイス効率が得られることが判明し、ペロブスカイト吸収剤
が簡素化されたデバイスアーキテクチャにおいて高い効率で機能す
ることができることを実証した。最近、光起電力デバイスにおける
ペロブスカイトの応用に関する研究のいくつかは、タンデム/マル
チ接合配置のペロブスカイト系のセルと組み合わせることにより、
従来のシリコン系の太陽電池の性能を向上させるためのこれらの材
料の可能性に焦点を当てている。これに関して、マルチ接合型光起
電力デバイスは、互いの上に積層され(stacked)、且つ、より多くの
太陽スペクトルを電気に変換し、それによりデバイスの全体的な
効率を高める、複数の別個のサブセル(sub-cells)(すなわち、そ
れぞれがそれ自身の光活性領域を有する)を含む。そうするために
各サブセルの各光活性領域は、光活性領域のバンドギャップが太陽
スペクトルの特定のセグメントからの光子を効率的に吸収するのを
確かにするように、選択される。これは、従来の単一接合光起電力
デバイス対して2つの重要な利点を有する。第1に、異なるバンド
ギャップを有する複数のサブセル/光活性領域の組み合わせは、よ
り広い範囲の入射光子がマルチ接合デバイスによって吸収されるこ
とを保証し、及び第2に、各サブセル/光活性領域は、スペクトル
の関連部分内の光子からエネルギーを抽出する上でより効果的であ
る。特に、マルチ接合光起電力デバイスの最低バンドギャップは、
典型的な単一接合デバイスの最低バンドギャップよりも低く、それ
により、マルチ接合デバイスは、単一接合デバイスにより吸収され
得る光子よりも少ないエネルギーを有する光子を吸収することがで
きる。さらに、マルチ接合デバイスと単一接合デバイスの両方に吸
収されるそれら光子の場合、光子エネルギーにより近いバンドギャ
ップを持つことで熱化(thermalization)損失を低減するので、マルチ
接合デバイスはより効率的にそれらの光子を吸収する。 
              - 中略 -
【発明が解決しようとする課題】
モノリシックに集積されたペロブスカイト・オン・シリコン・マル
チ接合光起電力デバイスを開発する場合、最も重要な考慮事項の1
つは、ペロブスカイト・サブセルと、隣接結晶性シリコン底部サブ
セルとの間の界面である。これに関して、上で参照されるSchnei-
der, B.W. et al
及びFilipic, M. et al.に記載されるように、従来
の市販の結晶性シリコン太陽電池は、反射を低減し、光路長を増加
させるように設計されているテクスチャード加工された(textured)
表面を特徴とする(feature)。これらの表面テクスチャは、通常、結
晶面の面に沿ってエッチングすることによって調製される、ランダ
ムに分布したピラミッド、又は規則的な逆ピラミッド、から構成さ
れる。したがって、ペロブスカイトサブセルの全体的な厚さは、典
型的には、テクスチャード加工された表面の粗さに類似しているの
で、これらのテクスチャード加工された表面は、モノリシックに集
積されたペロブスカイト・オン・シリコン光起電力デバイスの処理
に重大な問題を提示する。例えば、従来の結晶性シリコン太陽電池
の表面粗さは、典型的には500nm~10μmの範囲にある一方
ペロブスカイトセルの厚さは典型的には1μm未満である。特に
Schneider,B.W. et al及びFilipic, M. et al.
は、コンフォーマル
な薄膜ペロブスカイトサブセルがシリコン底部サブセルのテクスチ
ャード加工された先端(front)表面の上に堆積される、ペロブスカ
イト-オン-シリコンタンデムセルをモデル化しようとするが、い
ずれの文献もこのコンフォーマルな堆積を達成する方法を提案して
いない。さらに、Bailie, C. et alは、ペロブスカイトトップセルを
組み込んだモノリシックタンデムセルの開発は、表面シリコンボト
ムセルを平坦化する(すなわち、表面の粗さを低減する/いずれの
表面テクスチャを除去する)必要がありそうだと述べている。 そ
の結果、今日まで、モノリシックに集積されたペロブスカイト・ン
リコンマルチ接合光起電力デバイスの唯一の実施例は、これは、シ
リコン底部サブセルの効率を低下させるという認識にも関わらず、
ペロブスカイトの堆積を単純化するために、平坦な上面を有するシ
リコン底部サブセルを使用する(上述のMailoa, J.P. et al.を参
照されたい)。このアプローチは、ペロブスカイト電池の堆積に関
連する問題を回避する一方、これは、平坦な表面を作り出すために
従来の結晶シリコン太陽電池の機械的研磨を必要とし、それにより
処理コストを増加させ、且つ、シリコンセルの効率を低下させる。
【0015】 本発明者らは、光活性ペロブスカイト材料のコンフ
ォーマルな層を、粗い表面又はテクスチャード加工された表面上に
堆積させる方法を開発した。特に、本発明者らは、結晶性シリコン
太陽電池のテクスチャード加工された最上部表面にわたり/の上に
光活性ペロブスカイト材料のコンフォーマルかつ実質的に連続した
薄膜の堆積を可能にする方法を開発した。それにより、市場をリー
ドする結晶性シリコン太陽電池の性能を高める/向上させるための
経済的手段を提供するためである。
【課題を解決するための手段】
当該方法は、前記ペロブスカイト材料の1以上の初期前駆体化合物
を含む実質的に連続し、且つ、コンフォーマルな固体層を堆積させ
るために蒸着を使用すること、及び続いて、前記粗い表面上に前記
ペロブスカイト材料の実質的に連続し、且つ、コンフォーマルな固
体層を形成するため、前記固体層を1以上のさらなる前駆体化合物
で処理すること、を含む。
【選択図】
図8a
、本明細書に記載の光起電力デバイスを製造する方法の代替
的な例示的実施形態概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第2のサブセルの上に配置された第1のサブセルを含むマル
チ接合光起電力デバイスで あって、前記第1のサブセルは、ペロブスカ
イト材料の固体層を含む光活性領域を含み、 前記第1のサブセルに隣
接する前記第2のサブセルの表面は、粗さ平均(R a )又は 二乗平均平
方根粗さ(R r m s )50nm以上を有し、且つ、 ペロブスカイト材料の前
記固体層は、前記第2のサブセルの前記粗い表面に適合する 表面上に、
実質的に連続し、且つ、コンフォーマルな層として配置されている、 マル
チ接合光起電力デバイス。
【請求項2】 ペロブスカイト材料の前記固体層がコンパクト層である、請
求項1に記載のマルチ接合 光起電力デバイス。
【請求項3】 前記第1のサブセルに隣接する前記第2のサブセルの粗い
表面は、表面テクスチャが設 けられた前記第2のサブセルの内部に表
面を含み、且つ、前記表面テクスチャは、好まし くは、ピラミッド及び逆
ピラミッドのうちの1つを含む、請求項1に記載のマルチ接合光 起電力
デバイス。
【請求項4】 その上にペロブスカイト材料の前記固体層が配置される前
記表面が、 前記第2のサブセルの隣接表面、及び ペロブスカイト材料の
前記固体層と前記第2のサブセルとの間に配置され、且つ、前 記第2の
サブセルの前記粗い表面に適合する、層の隣接表面、 のいずれかであ
る、請求項1に記載のマルチ接合光起電力デバイス。
【請求項5】  ペロブスカイト材料の前記固体層は、前記第2のサブセル
の前記粗い表面にそれぞれが 実質的に適合する1以上の層によって前
記第2のサブセルから分離される、請求項4に記 載のマルチ接合光起
電力デバイス。
【請求項6】  前記第2のサブセルからペロブスカイト材料の前記固体層
を分離し、且つ、前記第2の サブセルの前記粗い表面にそれぞれが実
質的に適合する前記1以上の層は、 前記第1のサブセルの前記光活性
領域の電荷輸送層、及び 前記第1のサブセルと前記第2のサブセルと
の間に配置され、且つ、それらを接続す る1以上のインターコネクト層、
のいずれかを含む、請求項5に記載のマルチ接合光起電力デバイス。
【請求項7】  ペロブスカイト材料の前記固体層がその上に配置されてい
る前記表面が、 前記第1のサブセルの前記光活性領域の電荷輸送層
の隣接表面、及び 前記第1のサブセルと前記第2のサブセルとの間に
配置され、且つ、それらを接続す るインターコネクト層の隣接表面、 の
いずれかを含む、請求項6に記載のマルチ接合光起電力デバイス。
【請求項8】  ペロブスカイト材料の前記固体層が前記ペロブスカイト材
料の薄膜を含み、且つ、好ま しくは前記ペロブスカイト材料の前記薄膜
の厚さが50nm~2μm、及び好ましくは1 00nm~1000nm、及びより
好ましくは200nm~700nmである、請求項1 に記載のマルチ接合光
起電力デバイス。
【請求項9】  前記第2のサブセルの前記粗い表面が、粗さ平均(Ra)又
は二乗平均平方根粗さ(R r m s )50nm~30μm、好ましくは500nm
~20μm、及びより好ましくは1 μm~10μmを有する、請求項1に記載
のマルチ接合光起電力デバイス。
【請求項10】 前記第2のサブセルが、第2のペロブスカイト材料、結晶
性シリコン、CdTe、Cu ZnSnSSe、CuZnSnS、又はCuInGaSe(CIG
S)のいずれかを含む 、請求項1に記載のマルチ接合光起電力デバイス。
【請求項11】  前記第2のサブセルが結晶性シリコンサブセルを含み、
及び好ましくは前記結晶性シリ コンサブセルがシリコンヘテロ接合(SH
J)を含み、及びより好ましくは前記結晶性シ リコンサブセルがアモルフ
ァスシリコン:結晶性シリコンヘテロ接合を含む、請求項8に 記載のマル
チ接合光起電力デバイス。
【請求項12】  前記ペロブスカイト材料が、一般式(I):  [A][B][X] 3
  (I)   のペロブスカイトを含み、  式中、[A]は1以上の1価のカチオ
ンであり、[B]は1以上の2価の無機カチオン であり、[X]は1以上のハ
ロゲン化物アニオンである、 請求項1に記載のマルチ接合光起電力デ
バイス。
【請求項13】  [X]が、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物から選
択され、及び好ましくは塩化 物、臭化物及びヨウ化物から選択され、及
びより好ましくは臭化物及びヨウ化物から選択 される、1以上のハロゲン
化物アニオンを含む、請求項12に記載のマルチ接合光起電力 デバイス。
【請求項14】  [X]が、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物から選択
され、及び好ましくは塩化 物、臭化物及びヨウ化物から選択される2つ
の異なるハロゲン化物アニオンを含み、及び より好ましくは臭化物及び
ヨウ化物を含む、請求項12に記載のマルチ接合光起電力デバ イス。
【請求項15】  [A]が、メチルアンモニウム(CH 3 N H 3 + )、ホルム
アミジニウム(HC(NH ) 2 ) 2 + )、及びエチルアンモニウム(CH 3
C H 2 N H 3 + )から選択される少なく とも1つの1価有機カチオンを
含む、請求項12に記載のマルチ接合光起電力デバイス。
【請求項16】  [B]が、Pb 2 + 及びSn 2 + から選択される少なくとも
1の2価無機カチオンを含 み、及び好ましくはPb 2 + を含む、請求項1
2に記載のマルチ接合光起電力デバイス。
【請求項17】  [A]が、Cs + 、Rb + 、Cu + 、Pd + 、Pt + 、Ag +
、Au + 、Rh + 、及び R u + から選択される1以上の無機カチオンを
含み、及び好ましくはCs + 及びRb + か ら選択され、及びより好ましく
はCs + である、請求項12に記載のマルチ接合光起電力 デバイス。
【請求項18】  前記ペロブスカイト材料のバンドギャップが1.10eV~2
.30eVであり、及び 好ましくは1.65eV~1.75eVである、請求項12
に記載のマルチ接合光起電力 デバイス。
【請求項19】  前記光活性領域は、n型層を含むn型領域と、p型層を含
むp型領域と、前記n型領域 と前記p型領域との間に配置された前記ペ
ロブスカイト材料の層とを含み、電荷輸送材料 の層が、前記n型領域の
n型層及び前記p型領域のp型層のいずれかを含む、請求項1に 記載の
マルチ接合光起電力デバイス。
【請求項20】  当該マルチ接合光起電力デバイスは第1の電極及び第
2の電極を含み、前記第1のサブ セル及び前記第2のサブセルが前記
第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、且つ  前記第1の電極
は前記第1のサブセルの前記p型領域と接触し、前記第2の電極は前第
2のサブセルと接触し、好ましくは、前記第1の電極は、透明又は半透明
の導電性材料 を含み、前記第2の電極は金属を含む、又は  前記第1
の電極は前記第1のサブセルの前記n型領域と接触し、前記第2の電極
は前記 第2のサブセルと接触し、好ましくは、前記第1の電極は、透明又
は半透明の導電性材料 を含み、前記第2の電極は金属を含む、 請求項
19に記載のマルチ接合光起電力デバイス。
【請求項21】  光起電力デバイスを製造する方法であって、前記光起電
力デバイスは、ペロブスカイト 材料の層を含む光活性領域を含み、前記
ペロブスカイト材料は、式 [A][B][X] 3 (式中、[A]は少なくとも1の
1価のカチオンを含み、[B]は少なくとも1の2価の 無機カチオンを含み、
[X]は少なくとも1のハロゲン化物アニオンを含む) のペロブスカイトを含
み、且つ、前記ペロブスカイト材料の前記層は、粗さ平均(R a ) 又は二
乗平均平方根粗さ(R r m s )50nm以上を有する粗い表面の上に配置
され、当 該方法は、 a)蒸着を用いて、前記ペロブスカイト材料の1以上
の初期前駆体化合物を含む実質 的に連続し且つコンフォーマルな固体
層を、前記粗い表面上に堆積させること、 b)続いて、溶液堆積を用いて、
前記実質的に連続し且つコンフォーマルな固体層を 1以上のさらなる前
駆体化合物で処理することであって、 前記1以上の初期前駆体化合物
及び前記1以上のさらなる前駆体化合物は、 (i)2価の無機カチオンBと
ハロゲン化物アニオンXとを含む化合物、及び  (ii)1価のカチオンAと
ハロゲン化物アニオンXとを含む化合物、 からなる群から、 前記1以上
の初期前駆体化合物が2価の無機カチオンBとハロゲン化物アニオンX
とを含む化合物を含む場合、前記1以上のさらなる前駆体化合物は、1
価のカチオンAと ハロゲン化物アニオンXとを含む化合物を含み、前記
1以上の初期前駆体化合物が1価のカチオンAとハロゲン化物アニオン
Xとを 含む化合物を含む場合、前記1以上のさらなる前駆体化合物は、
2価の無機カチオンBと ハロゲン化物アニオンXとを含む化合物を含む、
という条件の下で選択される、処理すること、 c)それにより、前記1以上
の初期前駆体化合物と前記1以上のさらなる前駆体化合 物とを反応さ
せて、前記ペロブスカイト材料の実質的に連続し且つコンフォーマルな
固体 層を、前記粗い表面上に形成すること、 を含む、方法。
【請求項22】  前記ペロブスカイト材料の前記層が前記ペロブスカイト材
料の薄膜を含み、且つ、好ま しくは前記ペロブスカイト材料の前記薄膜
の厚さが50nm~2μm、及び好ましくは1 00nm~1000nm、及びより
好ましくは200nm~700nmである、請求項2 1に記載の方法。
【請求項23】  [A]が、メチルアンモニウム(CH 3 N H 3 + )、ホルム
アミジニウム(HC(NH ) 2 ) 2 + )及びエチルアンモニウム(CH 3 C
H 2 N H 3 + )から選択される1以上の 有機カチオンを含む、請求項
21又は22に記載の方法。 【請求項24】  [A]が、Cs + 、Rb + 、Cu +
、Pd + 、Pt + 、Ag + 、Au + 、Rh + 、及び R u + から選択される
1以上の無機カチオンを含む、請求項21~23のいずれか一項に 記載
の方法。
【請求項25】  ペロブスカイト材料の層を含む光活性領域を含むマルチ
接合光起電力デバイスであって 、前記ペロブスカイト材料の前記層は、
粗さ平均(R a )又は二乗平均平方根粗さ(R rm s )50nm以上を有す
る粗い表面の上に堆積されており、前記ペロブスカイト材料の 前記層は、
 蒸着を用いて、前記ペロブスカイト材料の1以上の初期前駆体化合物
を含む実質的に連 続し且つコンフォーマルな固体層を、前記粗い表面上
に堆積させること、及び  続いて、前記1以上の初期前駆体化合物を含
む前記固体層を1以上のさらなる前駆体化 合物で処理し、それにより、
前記1以上の初期前駆体化合物と前記1以上のさらなる前駆 体化合物
とを反応させて、前記ペロブスカイト材料の実質的に連続し且つコンフォ
ーマル な固体層を、前記粗い表面上に形成すること、  を含む方法を用
いて形成されている、 マルチ接合光起電力デバイス。
                                    この項つづく

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2003年代


● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)



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福島原発汚染処理水とは ⑤

2023年06月05日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。


変貌する西梅田 ヒルトンホテル(東西)左奥と大阪駅前(右手前)

63日、5年前に学友のクラス会のフィナーレを西梅田は大阪マル
ビルの最上階で開催され別れたのが最後となる。2022年5月に他界し
た池田修治氏(享年七十四)の初回忌の法要に四天王寺は英霊堂に
て法要・参列させて頂いた(台風2号の影響はなかった)。ところ
で、JR大阪駅を降車すると駅前の風景(周辺の整備工事はまだ継
続中ではあるが)は画像のごとく様変わりしていた。巻頭の画像は
東梅田側で、右側曽根崎警察署後の住友不動産梅田マンションビル
がわたしたち兄弟(弟・龍作元インターアーク社長は昨年4月に他
界)が元曾根崎小学校・幼稚園、横側に吉本興業花月劇場が在った。
尚、2022年(令和4年)5月に老朽化のため建て替えを発表。2030年
までに完成予定。なお2025年 大阪・関西万博の際はバスターミナル
として活用予定だという。 また、右下画像の「大阪・神戸米国総領
事館ビル」(西天満)は弟が「スタジオ104」として参画してい
た。このようにわたしたちにとってここはバック・ヤードとしてい
まも存在する。

 
大阪マルビル            米国総領事館ビル

ところが、ことはそれだけでとどまらなかった。地下鉄の乗り継ぎ
が初心者同然なわたしには酷であった。目的駅は「四天王寺夕陽丘」
なのだが西梅田線に乗り込み途中二回路線変更することになる。乗
り込んだ地下鉄では男女のアジア系外人に英語、話しかけられ突先
に中国系だと判断し中国後で答えるという場面に遭遇するほどエス
ニックな世界に変わっているのだが、目的地が咲かせず待ち合わせ
ていた元同級生の青木秀雄氏に携帯電話するも和宗四天王の英霊堂
で列席しており、呼び出し近くまで迎えにきてもらうという始末。



四天王寺、英霊堂に描かれた竜の天井画
明治期に天井画を寄進したは森下仁丹の創業者。聖徳太子の1400年
御聖忌を機に、同社と四天王寺が共同企画。



その伽藍配置は「四天王寺式伽藍配置」といわれ、南から北へ向か
って中門、五重塔、金堂、講堂を一直線に並べ、それを回廊が囲む
形式で、日本では最も古い建築様式の一つ。その源流は中国や朝鮮
半島に見られ、6~7世紀の大陸の様式を今日に伝える貴重な建築様
式とされているが、幼年期に参拝した記憶が残っている。お墓もす
でに境内新調されており、その場で池田家の親族とお話しすること
になったが、彼の娘さんの嫁ぎさきの婿が、わたし住む彦根市で大
久保貴前市長と血縁があるという。その場ではそれ以上のことは知
ることはできず、後日奥様に確認することとしたが、故人が定年後
木彫り仏像づくりに勤しんでいたという小さな仏像を青木氏と一体
づつ遺品として頂き、途中梅田地下で客であふれる店で握り鮨戴き
を帰宅する。とことが、ことはそれで終わらなかった。その日に、
先日、訪問させて頂いた生駒は本家の由子婦人と娘さんが来るまで
訪問していたと迎えの彼女から告げられ、経緯を聴き、細やかなや
しさに触れる。翌朝(4日)、青木氏に電話を入れお礼とご家族の
ことを尋ねる。尚、四天王寺の本近くに元実家があり、帰りに跡地
周辺を見ているが、彼にとって四天王寺はバックヤードであったこ
とを再認識するが、午後には新型コロナ煮入り、音信が途絶えてい
た竹馬の友で命の恩人の片山博臣氏(同い年)に電話を入れると、
奥様から三年前交通事故で負傷し、入院中であると知らされ愕然と
する。彼の実家も滋賀県は木之元町出身でこの大阪・兵庫で鉄工所
を経営していた。5日、連日の出ずぱりもありすぐに駆けつけ見舞い
もできないと判断。「お見舞い」を届ける手配(彦根美濠の舎)を
済ます。このようにバタバタと「家仕舞・墓仕舞の季節」の弔事ご
とにて忙殺される次第。それにしても、百も承知とはいえ、「万事
お金」をあらため痛感する頃である。

     


 
【再エネ革命渦論 131: アフターコロナ時代 330】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑭




今夜はメタサーフェスの最新技術に触れよう。このブログに初め掲
載したのは、2016年6月16日の 『超表面工学の此岸』。それが十年
も経ず前実用(商用)段階に入っていることに驚く。5Gの商用導入
が世界的に開始され、現在は5Gのさらなる発展としての5G evolution
と次世代移動通信システムである6Gに向けた研究が加速。日本では、
2020年より第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスを開始さ
れ、VR(Virtual Reality)/AR(Augmented Reality)/MR(Mixed Reality
などの応用、IoT(Internet of Things)デバイスによる産業基盤の高度
化が進展。
『脚注』
------------------------------------------------------------
※メタマテリアル:電磁波に対して自然界の物質にはない振舞いを
 する人工物質。
※メタサーフェス:波長に対して小さい構造体を周期配置して任意
 の誘電率・透磁率を実現する人工媒質(メタマテリアル)の一種
 で、構造体の周期配置を2次元とした人工表面技術。
※プラズモニック・メタマテリアル:光の波長より小さな磁気共振
 器を3次元的なアレイとして集積化する.光には個々の共振器は
 見えない. 集団的な電子の振動(プラズモン)が,電場,磁場を
 作り出す.
※プラズモニクス:伝搬型表面プラズモンポラリトン(➲P-SP)
 と局在型表面プラズモンポラリトン(以後,L-SP)の特性を明ら
 かにして,その特性,一般的にはP-SP とLSPの電磁界の局在性と
 増強,を利活用したデバイス,装置などを研究開発する“表面プ
 ラズモン工学”のこと  ➲2002年にロチェスタで開かれた近接場
 光学国際会議頃から使われ始めた。
(1)プラズモニックデバイスの概略とその加工技術:センサ,光
 導波路,光デバイス,ナノ加工装置に分類される。


(2)プラズモニックセンサ:プラズモニクスの主得意分野。異な
 る密度のタンパク質(抗原)を同時にセンシングできるプロテオ
 ミクス用バイオアレイセンサ。ラマン散乱信号の高感度計測がで
 きるSERS センサ とTERSセンサ。
(3)プラズモニック光デバイス:
(4)メタマテリアルの進展:サブ波長人工構造を用いて,光の反
 射や伝搬を自由に制御することができることが明らかになってき
 た.これまで材料に大きく依存してきた光デバイスが,構造デザ
 インによる大きな自由度を獲得。現在は、比較的単純な分布型LC
  共振回路に他ならないが,電子回路が様々な機能を持つように,
 メタマテリアルのデザインも無限の可能性を持つ.
(5)高効率光デバイスへの応用:
1)電場増強とプラズモニックアンテナ:
2)ソーラーセル,光検出器,完全吸収体への応用:
①ソーラーセル設計で問題となるのは,「光を完全に吸収させるに
は,光起電層は光学的に厚い方がよい」という要請と,「生成され
たキャリアの拡散と再結合を防ぐためには物理的に薄い構造が適切
である」という互いに反する要請の存在➲光-電変換層の物理的な
厚みを薄くしながら,実効的な光との相互作用長維持に,プラズモ
ニック金属構造をソーラーセル構造内に導入する手法の提案。

ⅰ.金属ナノ微粒子をソーラーセル表面に分散,太陽光を散乱捕捉
 と同時に,ソーラーセル内で光を多重散乱
ⅱ.ソーラーセルの半導体接合面に金属ナノ粒子を配置,金属微粒
 子に励起される局在型表面プラズモンにより光電場を捕捉
ⅲ.セル背面に設け金属薄膜をナノスケール・レリーフ構造とし表
 面プラズモン-ポラリトンにより光捕捉

図1.表面プラズモンアシストソーラーセル


図2.完全吸収体を実現するメタマテリアル素子
3)プラズモニックレーザー,プラズモニックLEDへの応用

(6)光制御技術への展開と展望
1)プラズモニック導波路
2)スプーフプラズモ
3)偏光無依存ブリュースター光学素子
4)クローキング

※ via. 電子情報通信学会「知識ベース」 © 電子情報通信学会 2019
➲ http://www.ieice-hbkb.org/files/S2/S2gun_03hen_02.pdf

------------------------------------------------------------
特開2023-069445 エンドファイア指向性を有するアンテナ装置 株
式会社NTTドコモ 学校法人千葉工業大学 
【概要】

従来、屋内の天井などに設置される無線基地局向けのアンテナ装置
では、天地方向のサイズを抑えつつ、天井と平行な方向に電波を放
射する性能(エンドファイア指向性)が求められ、また、周期的な
構造を用い、電波の反射方向を任意に設定できるメタサーフェス反
射板が提案されもいる(特開2021-048465 メタサーフェス反射板お
よび該メタサーフェスを備えた信号機 電気興業株式会社)。上述し
たようなメタサーフェス構造によれば、電波の反射方向を任意に設
定できるが、天地方向のサイズを抑えつつ、エンドファイア指向性
を確保することは容易でなく、具体的には、一般的な屋内向けアン
テナ装置では、天井面側に金属反射板を設け、天井面からの放射の
影響を抑える。しかしながら、このような構造では、金属反射板か
らアンテナまでの距離を十分確保する必要があり、天地方向のサイ
ズが小さい、つまり、低姿勢なアンテナ装置を実現することが難し
いという側面課題がある。したがって、メタサーフェス構造を用い
つつ、低姿勢であり、エンドファイア指向性を有するアンテナ装置
の提供を目的とする。本開示の一態様は、誘電体基板(例えば、電
体基板20)の一方の平面に複数の導体素子(例えば、導体素子200)
が配置されるメタサーフェス構造(メタサーフェス構造15)と、前
記平面から離隔して所定距離内に設けられるアンテナ励振素子(ア
ンテナ励振素子100)とを備え、前記複数の導体素子は、前記誘電体
基板の平面視において、このアンテナ励振素子に対して対称に配置
されるアンテナ装置(例えば、アンテナ装置10)である。図1(a)
は、アンテナ装置10の平面図であり、図1(b)は、アンテナ装置1
0の側面図である。

[第1実施形態]
(1)アンテナ装置の構成
図1(a)は、アンテナ装置10の平面図であり、図1(b)は、ア
ンテナ装置10の側面図である。(a)及び(b)に示すように、ア
ンテナ装置10は、メタサーフェス構造15と、アンテナ励振素子100と
を備える。メタサーフェス構造15は、誘電体基板20、導体板30及び
複数の導体素子200によって構成される。なお 導体板30(地板、金
属反射板と呼ばれてもよい)は、必ずしも必須ではない。アンテナ
装置10の設置場所などによっては、導体板30は備えられなくてもよ
い。アンテナ装置10は、屋内の天井などに好適に設置できる。アン
テナ装置10は、天地方向(z 軸方向)のサイズが抑えられており、
低姿勢であることが特徴である。誘電体基板20側が天井面に配置さ
れてよい。 メタサーフェス構造15では、誘電体基板 20の一方の平
面に複数の導体素子200が配置される。具体的には、メタサーフェ
ス構造15では、両エンドファイア方向に放射するように2つの導体
素子200によって構成される1つのユニットが、アンテナ励振素子
100に対して対称、具体的には、アンテナ励振素子100を基準として
線対称となるように配置される。 本実施形態では、導体素子200は
、誘電体基板20の平面視(x-y面)において 長方形である。具体的
には、導体素子200は、xy平面において、y 軸方向がx軸方向よりも
長い長方形形状である。導体素子200の長手方向は アンテナ励振素
子100の長手方向と平行に配置される。本実施形態では アンテナ励
振素子100は、2つのエレメントを有するダイポールアンテナであり、
図中の矢印は 給電点を示す。複数の導体素子200は、誘電体基板20
の平面視において、ダイポールアンテナのエレメントに対してそれ
ぞれ対称に配置される。具体的には、2つの導体素子200によって構
成される1つのユニットが、当該エレメントに対して対称、具体的
には、このエレメントを基準として線対称となるように配置される。
誘電体基板20は、長さl = 0.53λ、幅w =0.53λ、高さh = 0.06λ、
比誘電率εr= 6.5である。導体板30は、誘電体基板20と同サイズで
よい。導体板30は、アンテナ励振素子100と反対側の誘電体基板20の
平面に配置される。導体素子200は、l1= 0.174λ、w1= 0.08λであ
る。また、導体素子200の配置間隔(x軸方向及びy軸方向、中心基準
)は、0.27λである(以下同)。本実施形態では、アンテナ装置10
の対応する周波数(設計周波数f0)は、28GHzとしている(以下同)。

図1.
(a)は、アンテナ装置10の平面図であり、図1(b)は ア
ンテナ装置10の側面図
【符号の説明】 10, 10A~10E アンテナ装置  15 メタサーフェス
構造 20, 20A~20E 誘電体基板  30 導体板  100 アンテナ励振
素子 200, 210, 220, 230, 240, 250, 260 導体素子

アンテナ励振素子100は、誘電体基板20の一方の平面から離隔して設
けられる。具体的には、アンテナ励振素子100は、誘電体基板20の一
方の平面から所定距離内に設けられる。所定距離は、アンテナ装置1
0が対応する波長λを基準として規定されてよい。なお アンテナ励
振素子100を誘電体基板20から離隔して設ける方法は、特に限定され
ない。例えば アンテナ励振素子100は、誘電体基板20から延びる支
柱(ブラケット)、或いは図示しないケースから延びる支柱(ブラ
ケット)などによって、誘電体基板20の一方の平面から所定距離内
に設けられてよい。 複数の導体素子200は、誘電体基板20の平面視
において アンテナ励振素子100に対して対称に配置される。具体的
には、アンテナ励振素子100は、x軸方向において、誘電体基板20の
ほぼ中央に配置されてよい。 但し、複数の導体素子200がアンテナ
励振素子100に対して対称に配置できれば、アンテナ励振素子100は
必ずしもx軸方向において、誘電体基板20のほぼ中央に 配置されて
いなくても構わない。アンテナ励振素子100は 長さla= 0.45λ、幅
wa= 0.1λである。アンテナ励振素子100は、メタサーフェス構造15
の表面から高さh1=λ/4 (= 0.25λ)の位置に設けられる。つまり、
誘電体基板20(の表面)からアンテナ励振素子100までの距離はアン
テナ装置10が対応する波長λの1/4の長さとしてよい。

(2)アンテナ装置の性能
図2(a)及び図2(b)は、アンテナ装置10の素子長l1に対する
放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ= 90
度)の利得の関係を示す。 図2(a)及び図2(b)に示すように
、l1= 0.174λにおいて、エンドファイア方向(θ=90度付近)の利
得が最大化し、2.78dBiとなる。なお、誘電体基板20の幅方向(x軸
方向)が、90度及び270度と対応する(以下同)。

図3は、アンテナ装置10の設計周波数f0における放射指向性(z-x面)、
及び従来構造のアンテナの設計周波数f0における放射指向性(z-x面)
を示す。従来構造は、メタサーフェス構造15ではなく金属反射板を
用いた構造ある(以下同)。 従来構造のアンテナの場合、メインロ
ーブの放射方向はz軸方向であるが、アンテナ装置10では、x軸方向
であるエンドファイア(θ=90度)方向へ強く放射し、水平方向の利
得が従来構造のアンテナと比較して、約4dB改善されている。


図3.アンテナ装置10の設計周波数f0における放射指向性(z-x面)
及び従来構造のアンテナの設計周波数f0における放射指向性(z-x
面)を示す図



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

福島原発汚染処理水とはなにか ⑤
1.福島第一原子力発電所周辺海域における海水モニタリング
福島第一原発周辺海域の海水モニタリングについては、令和4年度か
ら、これまでの6測点(下記地図中(1)~(6)で毎月実施)に
3測点(下記地図中(7)~(9)で四半期毎(5月、8月、11
月、2月)に実施)を追加し、計9測点で実施。また、海水中のト
リチウムのモニタリングは、これまでの減圧蒸留法による測定では
検出下限値未満となることが多いため、電解濃縮法※1により検出
下限値を下げた測定を、四半期毎(5月、8月、11月、2月)に
実施。令和4年度に採取した海水について、測定を行った全ての放
射性物質(トリチウム(H-3)、セシウム(Cs-137)等)の濃度は、
告示濃度限度※2及びWHO飲料水水質ガイドライン※3を大幅に下回
っており、福島第一原発周辺におけるこれまでの測定結果と同程度
であった。また、トリチウムについては、日本国内における海水の
濃度範囲内(20Bq/L以下)であったと報告されている。
-------------------------------------------------------------
※1.トリチウムの性質を利用しトリチウムを濃縮し測定する方法
※2.原子力発電所等から環境中に放射性物質を放出する際の基準
※3.世界保健機関(WHO)が定めた各国で飲料水の基準を定める際
 の参考資料
※4.生まれてから70歳になるまで、毎日この濃度の水を約2L飲み
 続けたと仮定した場合に、平均の年間線量が1mSvになる値。
※5.この濃度の水を、一年間毎日、約2L飲み続けたと仮定した場
 合に、年間線量が0.1mSvになる値。

2.日本国内における身の回りにあるトリチウムの濃度範囲





出典:環境省 ALPS処理水に係る海域モニタリング情報

上のグラフに使用したIAEA海洋放射能情報システム(MARIS)には、
日本を含む世界中の多くの機関により実施されたモニタリング結果
が収載。グラフ上特定の時期に大きなピークがあるのは、データの
内容に常時監視以外の目的で試験的に実施された内容も多く含むと
考えられ。収載している範囲についても、日本以外の東アジア地域
のデータが含まれないなど、地域的な網羅性は十分とは言えず、ま
た、日本周辺におけるモニタリング結果に比べて非常に高い範囲の
値となっていることもあり、参考情報として掲載。


海水のトリチウム濃度の参考指標については、日本全国のデータの
うち、過去の核実験等の影響が十 分減衰してきた2015年度以降のデ
ータ(赤枠部分)を対象とし、その期間における最大値を参考 指標
の最大値として用いた。各グラフにある高めの点は、主に全国の原
子力施設等から管理放出されたトリチウムが検出されているもの。

全データを表示したグラフ

蒸留法と電解濃縮法を区別して表示したグラフ
海水のトリチウム濃度のグラフの低い濃度部分を拡大し、蒸留法に
よる測定値(薄い青色)と電解濃縮法(濃い青色)による測定値を
区別したグラフです。電解濃縮法によるデータは限られた地域のも
のとなっている。※環境放射線データベース上で蒸留法及び電解濃
縮法の記載がないデータに関しては蒸留法に含めている。


雨水(降水)のトリチウム濃度の参考指標は、海水と同様に、過去
の核実験等の影響が十分に減衰し、比較的データが安定してきた2015
年度以降のデータ(赤枠部分)を対象とし、その期間における最大
値(7.3 Bq/L)を参考指標の最大値として用いた。


水道水(蛇口水)のトリチウム濃度の参考指標は、海水と同様に、
過去の核実験等の影響が十分に減衰し、比較的データが安定してき
た2015年度以降のデータ(赤枠部分)を対象とし、その期間におけ
る最大値(1.2 Bq/L)を参考指標の最大値として用いた。

参考とする指標値

福島第一原子力発電所周辺海域におけるこれまでの測定結果※6

3.調査測点
  東京電力(株)福島第一原子力発電所周辺海域(9測点)  
 
(1)福島第一原子力発電所 南放水口付近 
  (2)福島第一原子力発電所 北放水口付近 
  (3)福島第一原子力発電所 取水口付近(港湾の出入口付近)
  (4)福島第一原子力発電所 沖合2km
  (5)大熊町 夫沢・熊川沖2km
  (6)双葉町 前田川沖2km
  (7)ALPS処理水放出口予定場所から北2km西0.5km
  (8)ALPS処理水放出口予定場所から北1km
  (9)ALPS処理水放出口予定場所から南1km

4.調査内容.

各調査測点において、海水(表層水、約185リットル)を採取。採取
した試料は、環境創造センターで、次の5項目について分析。
 (1)ガンマ線放出核種(セシウム137等)
 (2)トリチウム
 (3)放射性ストロンチウム
 (4)プルトニウム
 (5)全ベータ放射能

5.調査結果;2023.5.25 福島県放射線監視室
県では、福島第一原子力発電所の廃炉作業に伴う海域への影響を継
続的に監視 するため、海水のモニタリングを毎月実施しております。
令和4年度から、これまでの6測点に3測点を追加し、計9測点で
海水のモニ タリングを実施するとともに、海水中のトリチウム濃度
については、電解濃縮法 により検出下限値を下げた測定を実施して
います(9測点による測定及び電解濃縮 法による測定は 5月、8月、
11月、2月の四半期毎に実施)
【調査結果】
今回は福島第一原子力発電所周辺海域9測点における、海水のモニタ
リング結果。うち、海水中の放射性セシウムは4測点で事故前最大
値を上回ったが、告示濃度限度※1及び WHO 飲料水水質ガイドライ
ンを大幅に下回わる。 なお、海水中のトリチウム、放射性ストロン
チウム、プルトニウムは、全ての測点で事故前最大値を下回った。
海水中の全ベータ放射能は、事故前の測定値とほぼ同程度。


※1 東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び
 特定核燃料物質の防護に関する規則(周辺監視区域外等の濃度限
 度)
※2( )内は本調査における事故後の放射能濃度の範囲
※3 事故前のトリチウムの測定は減圧蒸留法による
※4 トリチウムの検出下限値は、減圧蒸留法が約 0.3~0.5 Bq/L、
 電解濃縮法が約 0.1 Bq/Lを目標値とする。
※トリチウム電解濃縮法:環境分析のためのトリチウム電解濃縮,
 J. Plasma Fusion Res. Vol.92, No.1 (2016)26-30 参考。
1.序論
環境中のトリチウムには天然に生成するトリチウムと人工的に生成
したトリチウムが存在する.天然に生成するトリチウムは大気上層
において,宇宙線起源の陽子や中性子と大気中の窒素原子や酸素原
子との核反応により,常に生 成されている.そのうち99%は水と
して空気中の水蒸 気,雨水,海水中に存在して自然界を循環してい
る.このように環境中のトリチウム濃度は放射壊変による減衰と,
大気上層からの供給がつりあって定常状態となっていた.しかし1
950‐60年代に行われた大気圏核実験により降水中トリチウム
濃度が増加し,1963~1964年のピーク時には定常レベルの
100倍を越える値が観測された 1963年の核 実験禁止条約以
降,降水中トリチウム濃度は年々減少した.核実験由来のトリチウ
ムは,水循環に伴い多くは海に移行するが,海には大量の水が存在
するので,核実験由来のトリチウムが海に移行しても濃度の増加は
わずかである.またトリチウムの壊変による減衰と海の希釈効果の
 め現在の日本における降水中トリチウム濃度はほぼ定常状態となり
年平均で約 0.4 Bq L-1まで下がっている.一方,地下水に涵養さ
れたトリチウムはその滞留時間がトリチウムの半減期よりきわめて
長い場合,放射壊変によりトリチウムはなくなってしまう.大気中
核実験が開始される以前の天然レベルの降水のトリチウム濃度,例
えば日本における環境トリチウム濃度は,1953年に神戸の降水
試料において 0.77Bq L-1との報告値がある.この当時の降水が地
下水として涵養された場合,その濃度はトリチウムの半減期にした
がって減衰し,2015年には約 0.02Bq L-1と見積もられる.こ
の核実験開始以前の降水が涵養された地下水のトリチウム濃度を定
量するにはこの値程度まで測定できる必要がある。

2.トリチウム測定
トリチウムは低エネルギーの線を放出する核種であるため、液体シ
ンチレーションカウンターで測定を行う.液体シンチレーションカ
ウンターは,蛍光試薬と界面活性剤を溶かした有機溶媒(液体シン
チレータ)に試料水を混合し,放射線の作用で発生した蛍光を光電
子増倍管で計測するものである.トリチウム濃度を測定する対象と
して河川水,湖水,雨水、海水等があり、これらの水試料に溶存し
ている不純物を蒸留して除き,液体シンチレータと混合後測定を行
う.環境試料を測定するには低バックグラウンドタイプの液体シン
チレーションカウンターを用いるが,代表的な機種 に,Quantulus
1220(PerkinElmer
)や LSC-LB7(HitachiAloka)等が挙げられる.Qu-
antulus 12
20では容量として 20mLの測定容器まで使用でき,LSC-LB7
では最大145 mL 容量の容器(Polyvial 145 SLD,Zinsser Analytic)を
用いた 測定が可能である. Quantulus 1220 の検出下限値は水試料
10 mLを1:1の 割合で液体シンチレータと混合して,1000分
計測した場合 0.6 Bq L-1であり,同様に LSC-LB7では供試料 50mL
計測時間1000分に対し 0.3Bq L-1と報告がある.これらの濃度
レベルは原子力施設稼働に伴う環境影響を把握するに は十分な感度
であるが,地下水,沿岸海水,及び夏季の降 水試料等の低トリチウ
ム濃度を示す試料では検出下限を下 回る。そのような低トリチウム
濃度を定量には,トリチウムの濃縮操作が必要であり,そのため行
う電解濃縮について以下に紹介する.

3.原理:
図1に電極上での水素発生のメカニズムを示す。 電極表面に付いた
水素イオン(オキソニウムイオン:H3O) が電子を受けて吸着水素
原子 になる(Volmer反応)。
      H3O +e→Had+H2O         (1)
この が結合して水素分子になる.その経路は次の2つが考えられて
いる.ひとつは別の H3Oが一電子還元を受けると同時に先に吸着し
ていたと結合する経路(b)である(Heyrovsky反応).もうひとつ
は2個のが電極表面で結合する経路(b')である(Tafel 反応).そ
れぞれ Volmer-Heyrovsky 反応(V-H 反応),Volmer-Tafel 反応(V
-T
反応)と呼ばれる.Tafel反応は近接する二原子水素 化物間の反応
である同位体効果が小さく,経路(a)→(b')の V-T反応ではTafel
反応が支配的となる.これに対し Heyrovsky 反応では同位体効果が
あり,経路(a)→(b)の V-H反応ではそれぞれの効果が相乗され
ると考えられる.どちらの経路になるかは電極素材と水素の結合の
強さで変わると考えられている.
水を電気分解すると以上のような反応を通して水素ガス と酸素ガス
が生成されるが,水素ガスになる際の反応速度 は H(1H)>D(2H)
>T(3H)の順に,軽い水素ほど早く電気分解が進み,試料水に残存
する試料中に含まれるトリチウムの量は多くなっていく.すなわち
水を電気分解すると,トリチウム水は分解されにくいので水中に濃
縮される.この現象を利用したものが電気濃縮法である.水を電気
分解したときの軽水素 H の反応速度定数と重水素Dの反応速度定数 
の比 ,およびトリチウム Tの反応速度定数 との比をその同位体の
分離係数およびと呼び,この値を用いて電解前のトリチウム濃度を
求めることができる。




したがって,安定同位体比質量分析計で電解前後の
を測定し、こ
の関係から電解前の(3H)濃度を求めることができる。

4.アルカリ電解電極
アルカリ溶液の電気分解システムを図2に示す.環境試料は蒸留し
て不純物除去後,過酸化ナトリウム(Na2O2)を 加えて水酸化ナト
リウム溶液とする.この溶液をガラス製の電解セルに入れて電気分
解を行う.この時-極に高い分離係数を与える素材を使用すること
で,より効率的にトリチウム濃縮を行うことができる.この時電極に
は陰極(-極)に鉄やニッケル,陽極(+極)にはニッケルが使用
される.また電気分解の温度が低いほど高い分離係数を示すので,
恒温槽で0~3℃に冷却して電気分解が行 われる.またこの冷却に
より蒸発の防止も行われる。


電解セルの構造は研究者により様々であるが,初期試料投入量を通
常 200 mL から 1 L としているものが多い.アルカリ電解は,電解
セルを直列に接続し,10~20本のセルを同時に操作する.一般に収率
をモニターするため2本のセルに既知濃度のトリチウムをスパイク
し,別の2本はコントロールとしてトリチウムの含まれていない水
を電解する.この時得られる濃縮率で試料中トリチウム濃度の算出を
行う.電解が進むに連れて溶液体積が減少し,トリチウムとともに
水酸化ナトリウムの濃縮も進む.体積の減少に反比例して電解質で
ある水酸化ナトリウム濃度が増加するため,電解濃縮前後の試料体
積比で10~20倍が濃縮の限界となる.液体シンチレーションカ
ウンターで測定するには溶液を中和して蒸留精製する必要がある.
この中和蒸留には二酸化炭素を通気して行う方法と,塩化鉛を加え
て 蒸留する方法がある。 この電解濃縮により液体シンチレーション
カウンターを単独で用いた場合に対しての検出下限値10~30倍下げ
ることができる.アルカリ電解では電気分解によって水素ガスと酸
素ガスが同時に発生するため,爆発の危険性が伴う.そのためこの
システムを運用するには水素,酸素ガスの排気システムや水素ガス
探知機等の安全装置を備えなければならない.また電極に鉄やニッ
ケルを使用するため,電解操作後に洗浄の必要がある。電極の洗浄
にはリン酸溶液や希塩酸を使用して,電解中に生じた水酸化物や酸
化物を取り除き,洗浄後速やかに乾燥させる必要がある。
以下、「電解濃縮方式の特徴」の説明文は割愛。
関連技術情報➲ Electrolytic Enrichment Technique of Tritium
 in Water for Environmental Analysis, J. Plasma Fusion Res. Vol.92, No.1
  (2016) 26-30 (4.環境分析のためのトリチウム電解濃縮-プラズマ核融
合学会),
                                     この項つづく


風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2002年代


● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)
                                 こころを耕すなむあみだぶつ
 Each time you chant nembutsu, your faith in Amida Buddha deepens.
                                                                                                浄土宗  月訓




コメント
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福島原発汚染処理水とは ④

2023年06月02日 | 日々草々


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。

【今橋(犬上川)現況: 2023年06月02日 18時45分 現在】



設置場所 彦根市開出今町地先 犬上川(いぬかみがわ) 今橋(い
まはし)
はん濫危険水位 2.30m 水位は約2.4キロ上流の国道8号 千鳥橋水
位局データ。
避難判断水位  2.00m
はん濫注意水位 1.70m
水防団待機水位 0.80m
水位が0.8m以上の場合、
下記水位表の下に今橋橋脚をズーム撮影した第二画面の提供を行い
ます。(上画像、ダブルクリックして下さい))

【寄せ植え計画Ⅲ】



アンゲロニア
初夏から秋まで次々と花を咲かせ、長く楽しめるおすすめの草花。
30cm程度の草丈が低い品種は、プランターや花壇の前面に、1m程度
になる高性の品種は、花壇の背景に利用できる。花を長期間咲かせ
続けるには、肥料切れさせないことと、乾かしすぎないこと。



サルビア・スプレンデンス
学名:Salvia
和名:ヒゴロモソウ(緋衣草)=サルビア・スプレンデンス  
その他の名前:セージ類科名 / 属名:シソ科 / アキギリ属(サル
ビア属)



アイビー(ヘデラ・カナリエンシス)
グランドカバーにおすすめの多年草の代表格です。室内で育てる観
葉植物や生垣などをグリーンで覆う葉物としてもおなじみ。
-----------------------------------------------------------
昨年とことなり、積極的な試作造園(寄せ植え・グランドカバー)
を行っており、三種類の花木を一組ににしてテスト評価。--

『元気なネオ高齢社会をつくる 1』
タンパク質25〜35%の食事、元気な高齢者になれるかも
5月30日、高齢期に向けた健康維持のためにはタンパク質の比率が
25%から35%(カロリー換算)の食事を摂ることが最適とみられる
ことを、早稲田大学などのグループがマウスを使った実験で明らか
にした。現在の日本人の平均的な摂取比率は13.8%で、肉や魚、豆
類といったタンパク質をもう少し多く食べた方が良い可能性を示し
ているという。
【概要】
「成長期から高齢期までそれぞれの時期に最適な栄養バランスがあ
るのではないか」と考え、ヒトでは20歳前後に当たる若齢マウス(6
月齢) と、40代後半にあたる中齢マウス(16月齢)にタンパク質がカ
ロリー換算で5%、15%、25%、35%、45%ある餌を2ヶ月間与え--
各餌の脂質の割合は固定し、カロリーをそろえるために炭水化物の
比率を変え、体重や食べた餌の量、肝臓中の中性脂肪やコレステロ
ール量、血糖値などを調査。日本人の平均的摂取比率に近いタンパ
ク質比率15%の餌と他の比率の餌を食べたマウスの状況をそれぞれ
比較----したところ、体重と食べた餌の量については、5%しかタ
ンパク質が含まれていない餌を与えたマウスは齢に関わらず、15%
の餌を食べたマウスに比べて食べる量は増えたのに体重は減ってい
た。体内のタンパク質量を維持するために食べる量を増やして対応
したと考えられる。一方、45%の餌の場合、食べる量は減ったもの
の、体重は変わらなかった。 

肝臓を調べると、齢に関わらず5%しかタンパク質が含まれていない
餌を与えたマウスでは、中性脂肪量や総コレステロール量が多く、
肝臓の切片には多くの脂肪滴が見られ、軽度の脂肪肝だった。一方、
タンパク質比率35%の餌を食べたマウスの中性脂肪量は比率15%の
マウスより少なかった。 血糖値については、タンパク質比率25%
と35%の餌を食べたマウスは15%の餌を食べたマウスよりも低い値
だった。しかし、45%の餌を食べたマウスの血糖値は25%や35%よ
り高くなり、15%のマウスと差がなかった。
尚、ヒトの高齢者に相当する高齢マウスでの実験はできていないが、
肝臓の中性脂肪量や血糖値などの観点から、高齢期に向けた若齢期
から中齢期ではタンパク質比率が25~35%の食事が最も健康的だっ
た。
via.
ヒトの高齢者に相当する高齢マウスでの実験はできていないが、
肝臓の中性脂肪量や血糖値などの観点から、高齢期に向けた若齢期
から中齢期ではタンパク質比率が25~35%の食事が最も健康的だっ
た。



『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか

【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 - )
は日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等
を経
て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。 
------------------------------------------------------------------------------------------
第1章 一億人国家シナリオの行方
  新政権の発足(202X年10月)
  新総理による所信表明演説
9月末の与党政友党の総裁選は、4名の候補者で争われた。選出さ
れたのは、厚労大臣や財務大臣を歴任し、政策通で知られている佐
野徹であった。
 佐野新総裁が臨時国会で内閣総理大臣の指名を受けたあと、10月
中旬に召集された臨時国会の冒頭で、新総理による所信表明演説が
行われた。
 所信表明演説では、総理は個人の所信として、国政の基本方針や
自らが重要と考えている政策課題を述べる。演説の内容ぱ、総理の
考えを基に、官房長官や副長官、内閣総務官などで練り上げていく
ケースが多いが、今回は、総裁選直後の早い段階から、内開府政策
統括官の百瀬高太が作成に深く閣わっていた。百瀬は、佐野総理と
ぱ厚労大臣当時から親しく、演説作成を手伝うようにとの直々の要
請がめったのだ。
佐野自らが数度にわたって筆を入れて、最終的に閣議で決定された
所信表明演説は、異例にも、人口減少問題に多くの時間を割くもの
であった。

   所信表明演説の内容(人口戦略部分の抜粋)
  人口減少という。長くて急な坂道
 「今、日本を覆っている暗雲は何か。それは多くの人びとが抱い
 ている、日本の将来に対する不安です。今の日本は、世界三位の
 強い経済力を持ち、国民の多くは豊かで安心した暮らしをしてい
 ます。しかし、将来は一体どうなるのだろうか。子どもや孫、さ
 らに後の将来世代には、一体どんな社会が待ち受けているのだろ
 うか。国民が抱くこうした不安が、新たな物事にチャレンジして
 いく気持ちを萎えさせ、消費や投資を鈍らせています。
  この不安は、100年前、芥川龍之介が書き遺した「将来に対
 する唯ぼんやりとした不安」ではありません。誰もが、しかも日
 本だけでなく世界もが認識している「明白な不安」です。多くの
 人はご存知と思いますが、数カ月前、ある海外シンクタンクが、
 日本の将来を予測したレポートを発表しました。この予測は、日
 本の人口減少に、まったく歯止めがかかっていない現状がベース
 になっています。
  日本が人口減少の局面に入ったのは2008年でした。いった
 ん人口減少が始まると、減少のスピードは速くなっていきます。
  2020年は、1年間で53万2000人の人口が減りました。
  年間の出生数が減り続けているのがその要因です。出生数は、
 出生率と子どもを生む若年世代の女性人口によって決まります。
  出生率は1・34に低下しており、反転の兆しが見えません。むし
 ろ、最近のコロナ禍によって一段と低下する可能性が高まってい
 ます。そして、若年世代の女性人目はこれからさらに滅少してい
 くため、このままだと出生数はますます減っていきます。この傾
 向が収まるには、出生率が.反転し、高い水準で安定する必要が
 ありますが、それには長い期間を要します。残念なことですが、
 日本は、人口減少という長くて急な坂道を、まさに転げ落ちつつ
 あります。
  日本の人口は、このままいけば2110年には約5300万人
 になる、と推計されています。
  今から約100年前の191‐5年は同じような人口だったの
 だから、昔に戻るだけではないかという意見もあります。しかし、
 そうした意見は高齢化の問題を度外視しています。人口減少は、
 必ず高齢化の進行を伴います。1915年頃の日本は、高齢化率
 5%の若々しい国でした。これに対して、予想されている将来の
 日本は、高齢化率が40%に近い、年老いた国です。

  三度目のチャンス
  なぜ、こんな事態になったのか。率直に申し上げます。これま
 で日本には、今日の事態を阻止できそうな機会が三度ありました。  
 一戻目は、1970年代後半から80年代にかけて、2前後で安定
 していた出生率が大きく低下していった時期です。しかし、当時
 は、戦前の「産めよ、殖やせよ」の政策への反省や、戦後以 来の
 出生抑制政策の流れが強かったことから、出産奨励策はタブー視
 され、対策はまったく講じられませんでした。また、その背景に
 は、出生率が下がったのは「出産のタイミングの遅れ」に よる一
 時的現象で、いずれ回復するだろうという楽観的見通しが、専門
 家の間でさえ共有されて いたこともありました。『出産奨励のタ
 ブー視』です。
  二度目は、1989年に出生率が1・57を切ったことをきっか
 けに、それ以降、政府が少子化対策に乗り出した90年代前半です。
 この問題に初めて取り組んだ姿勢は評価できますが、政策は小粒
 で、有効な成果を上げるまでには至りませんでした。政府全体の
 力点が、眼前の課題であった高齢化対策のほうに置かれ、少子化
 対策への取り組みが質量ともに十分でなかったことや、子育て制
 度の拡充について関係者の理解が十分に得られなかったことが理
 由にあげられます。『政策の後回し』です。
  そして、三度目は、ラストチャンスとも言われた機会です。こ
 れは二度とやって来ない、実に貴重なものでした。わが国の人口
 構成を見ると、戦後すぐに生まれた「第T次ベビーブーム世代」
 と、その子どもたちの「第二次ベビーブーム世代」の2つが数の
 上で突出しています。後者の「第二次ベビーブーム世代」の年間
 出生数は200万人に達していますが、その世代が結婚し、子ど
 もを生めば、将来、「第三次ベビーブーム」がやってくるのでは
 ないか。そうなると、少子化の動きも緩和するのではないかと期
 待されていました。
  その時期とは、彼らが20代後半から30代を迎える、1990年
 代後半から2010年代前半で、最も期待されたのが2000年
 前後でした。ところが、この時期にちょうど日本は金融システム
 不安に端を発した経済危機に見舞われ、さらにりIマンショック
 が襲いかかりました。この時、最大の犠牲者となったのは「第二
 次ベビーブーム世代」をはじめ、後に「就職氷河期」と呼ばれた
 若年世代でした。若者たちの多くが、厳しい就労・生活環境に追
 い込まれ、すでに進行していた晩婚化はさらに進み、未婚者は急
 激に増大しました。その結果、出生率は2005年にば渦犬酸低
 の1・屈にまで落ち込み、その後も低迷が続いています。これは、
 「第三次ベビーブーム世代』を失ったという意味で、づ世代の喪
 失にともいうぺき敗北です。
  また、こうして少子化か進行していった背景には、東京圈への
 「一極集中」があります。東京圈には、これまで三期にわたって
 若年世代が大量に流入し続けてきました。その東京圈は、子ども
 を生み育てる環境としては非常に厳しく、それゆえに、出生率は、
 全国最低の1・13の東京都をはじめ非常に低いのが現状です。こ
 のような流れが、日本全体の人口減少に拍車をかけてき
たことは
 否めません。そして、今や、東京圏には若年女性人口の3分の1
 が集中しており、東京圈の動きが日本全体の出生率を左右するよ
 うな状況となっています。

  「不戦敗」ではないか
  こうした中で、ようやく「どうにかなる」という根拠なき楽観
 論は、下火になりつつありますが、逆に、今度は「もう、人口減
 少は止めようがない」というあきらめに近い考えが広まりつつあ
 ります。
  もちろん今後の人口減少を想定して、付加価値生産性の向上を
 図っていくことは極めて重要です。人口減少に適応するだけでも、
 取り組むべき課題が山積しています。しかし、本当に、そうした
 受け身の対応だけでいいのでしょうか。人口減少は止めようがな
 いと、このままあきらめてしまっていいのでしょうか。
  私は、30年間にわたって政治家として国政に関与してきました。
 したがって、これまでの失敗や敗北について、自らも重大な責任
 を負わなければならないと自覚しています。その上で、あえて問
 いたいと思います。(P.77)
                        この項つづく


Do books
最新版 ビジネス図解 不動産取引
平田 康人【著】
内容説明 :ビジネスとして不動産に関わる人から土地・建物を売ろ
うとしている人・買おうとしている人まで、『不動産取引』を知る
ために必要な80項目を厳選し、ビジュアルな図解でわかりやすく
解説する。取引に関わる法律、売買価格に影響する要因、さまざま
な売買手法のメリット・デメリット、重要事項説明書の留意点から、
土地活用で失敗しないコツまで実践的な知識がラクラク身につく!
目次
1章 これだけは知っておきたい!「不動産取引のしくみ」を理解
  するポイント
2章 必ず押さえておきたい!不動産取引の「基本」と「考え方」
  とは?
------------------------------------------------------------
 ②不動産取引業を規制する「宅地建物取引業法」とは?
 ▼不動産取引を「業」として行なっているか
不動産の取引をする「宅地建物取引業」は、次の2つの要件を満た
す場合が該当します。
(I)宅地または建物について次の行為を行なうこと
 ①「売買」または「交換」
 ②「売買」「交換」または「貸借」の代理
 ③「売買」「交換」または「貸借」の媒介
(2)これらの行為を業として行なうこと
 「業として行なう」とは、不特定多数の者を相手として、反復・
継続して行為を行なうことを言い、宅地建物取引業は「宅地建物取
引業法」という法律によって規制されます。

 ▼昭和27年に「宅地建物取引業法」が制定
本来、土地や建物の取引は私法上の行為なので個人の自由に任せるべ
きものですが、取引が正常に行なわれず、取引の過程において事故や
紛争が頻発して、宅地建物の流通が円滑に行なわれないようでは困り
ます。
そこで、昭和27年(1952年)に「宅地建物取引業よこが川定さ
れました。「宅地建物取引業法」の第1粂(目的)では、「宅地建
物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要
な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の
取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を
促進し、もって購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑
化とを図ることを目的とする」と定めていまず。

つまり、誰でも明日から宅地建物取引業を行なうようなことはでき
ず、免許制度によって宅地建物取引業を営もうとする者を規制し、
加えて免許更新を5年ごとに行なうことによって、免許権者(免許
を与える権限をもつ行政機関)が宅地建物取引業者の資質にチェッ
ク機能を働かせているのです。
その他、宅地建物取引業法では、国家資格である「宅地建物取引主
任者の資格制度に関する事項」から、「各事業所における一定数の
設置義務」「消費者保護のための営業保証金」「業務全般に係る詳
細な規則」「免許権者による監督や罰則規定」まで定めているので
す。


 ③「宅地建物取引業免許」の意味とは
 ▼「国土交通大臣免許」と「都道府県知事免許」がある 
宅地や建
物は、個人にとって貴重な財産であり、その価格は他の財産と比べ
て高額です。したがって、このような貴垂な財産である宅地や建物
の取引を業として行なう者は、社会的にも信用があり、宅地建物の
取引に関する専門性を持つことが必要です。また取引に関する事故
や紛争については、事後的に処罰するよりも、その発生を未然に防
止することが効果的と言えます。
そこで宅地建物取引業法では、宅地建物取引業を営むことを「一般
的に禁止」し、一定の要件を満たした者についてのみ「禁止を解除」
する免許制度を採っています。
宅地建物取引業法第3条では、「宅地建物取引業を営もうとする者
は、二以上の都道府県の区域内に事務所を設置する場合にあっては
国土交通大臣の免許を、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置
する場合にあっては、その事務所の所在地を管轄する都道府県知事
の免許を受けなければならない」と定めています。
飽許の有効肋間は5年間で、引き続き営業を行なう場合は更新手続
きが必要となります。屯新は、1996年以降、「3年ごと」から
「5年ごと」になっています。

▼免許番号が「大きい数字」の不動産会社は信用できる?
宅巡業免許番号とは、不動産業者が免許を受けたときに与えられる
番号で、免許主体によって「国土交通大臣免許(5)第○○号」「
東京都知事免許言11)第△△号」等と表示されます。どちらの免許
も新規取得時は(I)から始まり、更新を重ねるたびに「2、3…
…」と数字が大きくなっていきます。
この免許番号については、世間一般では「大きい数字ほど信頼性と
実績がある」といった見方がされています。
大筋間違ってはいませんが、すべてがそうだとは言えません。
顧客志向で、目々業務革新をしている「若い不動産会社」がある一
方で、看板にあぐらをかいて、悪しき慣習を引きずった「古い不動
産会社」も多くあります。
こうした見方は参考程度に留めておき、自分自身の目で信頼できる
企や担当者を見極める必要があります。



                       この項つづく

ネオビジネスマン考 ②

知識ゼロからの空き家対策
著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればい
いかわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことを
お教えします!
【要点】
●多様化する空き家の活用法
●親が元気なうちから対策を
●空き家対策の流れ ほか
【目次】
第1章 ●空き家問題と対策のポイントを理解する ●負不動産になる空
き家と富動産になる空き家 ほか
第2章 ●空き家の履歴書を作成し、実態を把握する ●空き家の履歴書
の作り方 ほか
第3章 ●空き家の片づけ ●空き家の管理 ●外部に相談する ●相続登
記 ほか
第4章 相続争いを防ぎ、“未来の空き家”に備える ●未来の空き家の
原因 ●家族信託とは ●遺言とは ほか
第5章 これだけは知っておきたい トラブルを防ぐ不動産取引の基礎知
識 ●不動産取引の基本 不動産会社の選び方 査定 媒介契約 など ●
売るとき 全体の流れ インスペクション 測量 など ●貸すとき 全体
の流れ 賃貸条件 賃貸借契約 など
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Q:私の実家は両親が元気で暮らしているので、空き家になるのは
 まだ先の話ですね
A:いいえ、そうとは言い切れません。じつは空き家問題には、家
 の問題に加えて、「人の問題」もかかわっているんですよ。家の
  所有者が認知症などで判断能力を失ってしまうと売却や賃貸に出
 すことはできなくなります。家という大切な資産が「凍結」して
 しまうんですね。また、相続時に誰が家を受け継ぐかで、トラブ
 ルになることもあります。
A:そうなんですか。親の認知症や介護への不安は漠然とありまし
 たが、家のことはまったく考えていませんでした。
Q:家を売却して介護費用にあてようとしても、家が共有名義にな
 っている場合は、名義人全員の合意が必要です。そのうちのT人
 でも、判断能力を失っていると、「成年後見人」をつけるしかあ
 りません。裁判所に中立てて成年後見人をつけるには、手間もお
 金もかかりますし、自宅の売却には裁判所の許可が必要です。
A:成年後見はすごく大変だと聞いたことがあります。 成年後見
 はすごく大変だと聞いたことがあります。
Q:「家族信託」や「任意後見」という方法があります。ご両親が元
 気な今だからこそ、対策を立てておきましよう。
  
                        この項つづく



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

福島原発汚染処理水とはなにか ④


図1.測点の位置と測定結果 出所:福島県ホームページ

福島第一原子力発電所周辺海域における海水モニタリングとは
島第一原発周辺海域の海水モニタリングについては、令和4年度から、
これまでの6測点(下記地図中(1)~(6)で毎月実施)に3測
点(下記地図中(7)~(9)で四半期毎(5月、8月、11月、
2月)に実施)を追加し、計9測点で実施しているという。また、
海水中のトリチウムのモニタリングについては、これまでの減圧蒸
留法による測定では検出下限値未満となることが多いため、電解濃
縮法※1により検出下限値を下げた測定を、四半期毎(5月、8月、
11月、2月)に実施している(➲福島県ホームページ「福島第一
原発周辺海域の海水モニタリング乃強化」、2023年5月25日)


●参考とする指標値


【脚注】
1.トリチウムの性質を利用してトリチウムを濃縮してから測定す
 る方法
2.原子力発電所等から環境中に放射性物質を放出する際の基準
3.世界保健機関(WHO)が定めた各国で飲料水の基準を定める際の
 参考資料
4.生まれてから70歳になるまで、毎日この濃度の水を約2L飲み続
 けたと仮定した場合に、平均の年間線量が1mSvになる値。
5.この濃度の水を、一年間毎日、約2L飲み続けたと仮定した場合
 に、年間線量が0.1mSvになる値。
                        この項つづく
 

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  第Ⅰ部
  第3章
  秋、獣たちの体は、来たるべき寒い季節に備えて輝かしい金色
 の毛に覆われる。額に生えた単角は鋭く白い。彼らは冷ややかな
 川の水で蹄を洗い、首をそっと伸ばして赤い木の実をむさぼり、
 金雀児の葉を噛む。
  それは美しい季節だった。
  壁に洽って設けられた望楼に立ち、夕暮れの角笛を私は待つ。
 太陽が沈む少し前の時刻に、角笛は長く一度、短く三度吹き鳴ら
 される。それが決まりだ。柔らかな角笛の音が、暮れなずむ石畳
 の通りを滑り抜けていく。角笛の響きはおそらく数百年のあいだ
  あるいはもっと長い歳月かもしれない)変わることなく繰り返さ
  れてきたのだろう。家々の石壁の隙間にも、広場の垣根に沿って
  並んだ石像にも、その音色は深く浸み込んでいる。
   角笛の音が街に響き渡るとき、獣たちは太古の記憶に向かって
  首を上げる。あるものは葉を噛むのをやめ、あるものは蹄をこつ
 こつと舗道に打ち付けるのをやめ、あるものは最後の日だまりの
 中の午睡から目覚め、それぞれに同じ角度に首をもたげる。
  すべては一瞬、彫像のように固定される。動くものといえば、
 風にそよぐ彼らの柔らかな金色の体毛、それだけだ。それにして
 も彼らはいったい何を見ているのだろう? ひとつの方向に首を
 曲げ、宙を見据えたまま、獣たちは緻動だにしない。そうして角
 笛の響きに耳を澄ませる。
  角笛の最後の響きが空中に吸い込まれて消えたとき、彼らは前
 脚を揃えるようにして立ち上がり、あるいは伸びをして姿勢を整
 え、ほとんど時を同じくして歩み始める。いっときの呪縛は解か
 れ、それからしばらく街の通りは、獣たちの踏みならす蹄の音に
 支配される。
  獣たちの列は曲がりくねった石畳の通りを速んでいく。誰が先
 頭に立つというのでもなく、誰が隊列を導くというのでもない。
 獣たちは目を伏せ、肩を小刻みに左右に揺らしながら、沈黙の川
 を下っていくだけだ。それでも一頭一頭のあいだには、打ち消し
 がたい緻密な絆が結び合わされているように見える。
  何度か眺めているうちに、獣たちの辿る道筋や速度が厳密に定
 められているらしいことがわかる。彼らは仲間をあちこちで群れ
 に加えながらなだらかなアーチ型の旧橋を渡り、鋭い尖塔のある
 広場まで歩く(そこにある時計台の時計は、きみが言ったとおり
 針が二本とも失われている)。
  そこで川の中州に下りて緑の草を食んでいた少数の集団を加え
 る。川洽いの道を上流に向けて進み、北にのびる涸れた運河づた
 いに工場街を抜け、森で本の実を探していた一群を拾い上げる。
 それから方向を西に変え、鋳物工場の屋根付きの渡り廊下をくぐ
 り、北の丘づたいに長い階段を上る。
  街を囲む壁には門がひとつしかない。それを開け閉めするのは、
 門衛の役目だ。厚い鉄の板が縦横に打ち付けられた、垂く頑丈そ
 うな門だ。しかし門衛は軽々と押して開け閉めする。彼以外の人
 間が門に手を触れることは許されていない。

  ショファルshofar)
※「エリコの壁」参照 via. jp.Wikipedia

このようにして、いつものように、静かに春樹ワールドの幕開けと
なりしばし没入することとなる。
                        この項つづく

     



【再エネ革命渦論 130: アフターコロナ時代 329】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑬


米Intel(インテル)は、同社の実装技術ロードマップを世界の報
道機関向けに説明するオンラインイベント「Advanced Packaging:
Enabling the future of Moore’s Law」を2023年5月17日(米国時
間)に実施したベントではICパッケージ内部でチップ(ダイ)間を
接続する技術に加えて、ICパッケージ間光接続する技術(Co Pack
aged Optics:CPO)も情報提示➲2023年下期にCPO用部品のサン
プル出荷を始め、2024年中に製品レベルの品質まで引き上げる予定。
世界の共同パッケージ光学市場:考察と予測 (2022~2032年まで)
(願上図参照)では次のようになる。
【要点】
1.世界共同パッケージ光学市場規模は2022年で15万米ドル
2.市場は2022~2032年間 CAGRで68.9%成長
3.共同パッケージ光学世界市場は2032年2,840億万米ドルに到達
4.アジア太平洋地域は予測期間中に最も速く成長する


図. シリコンフォトニクスによる光デバイス集積のイメージ

尚、『コパケージオプテックス;Co-packaged Optics>』デジタル渦
論については、光伝送技術を知る(14) 光トランシーバー徹底解
説(8)「光トランシーバーのForm Factorの新動向」(EE Times
Japan, 2020.11.16 高井厚志著)及び「シリコンフォトニクス」
jp.wikipedia
を願参照。
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半導体後工程の新たなチップ集積手法
半導体デバイスの微細化限界を突破し,高性能化・低消費電力化を
目指す手法として「チップレット集積」が大きな注目を集めている。
しかしチップをウエハー上に接合し垂直方向の電気的な接続を担保
する接合/配線技術に課題が残っており,新たな接合手法や集積手
法が求められている。
横浜国立大学,ディスコ,東レエンジニアリングは,直接接合技術
を用いた,新規なチップ仮接合および剥離技術の開発に成功した。
5月30日、本研究では新たに開発されたCVD絶縁膜を用いて、チップ
をウエハ上に仮接合する方法が示された。このアプローチでは、仮
接合はプラズマ活性化ダイレクトボンディングによって行われるた
め、仮接合界面はほとんどの前工程プロセスと互換性があり、先端
ファブの技術を用いたさらなる微細化など、拡張性の見込める集積
技術。さらに、界面層が薄く固体であるため、ボンディング中のダ
イのずれのリスクを軽減することができる。これによっ Die-to-
Waferの「ハイブリッド接合」を可能とし、仮接合による材料の加
工時間、材料損失を削減、低コスト化が実現可能になる新規な垂直
方向配線形成技術及びチップ集積技術。

風蕭々と碧いの時代



John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2001年代





Lifetime Respect  via jp.Wikipedia

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)


via THE DIGES - Yahoo!ニュース

大谷翔平選手ががキャリア最長記録となる459フィート(140メート
ル)を含む二本の本塁打、エンゼルスがホワイトソックスを12対5で
大勝した。彼女も大喜びだ。

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