日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 人民元の切り上げを中国政府が正式発表、とのニュースが昨夜(7月21日)流れました。

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 ●人民元2%切り上げ、固定相場制を廃止(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20050721i116.htm

 【北京=東一真】中国人民銀行(中央銀行)は21日夜、人民元レートを事実上米ドルに固定している現在の為替制度を廃止し、同日午後7時以降、それまでの1ドル=8・2765元から、1ドル=8・1100元に2%切り上げるとともに、米ドル、欧州ユーロ、日本円の3大通貨に一定割合で連動すると見られる「通貨バスケット制」を参考にした管理変動相場制を採用したと発表した。(中略)

 ただ、導入する管理変動相場制では、当面、一日の変動幅は、前日終値の上下0・3%ずつ、あわせて0・6%と、これまでの変動幅と変わらない。
 通貨バスケットに組み入れる通貨の種類、その割合についても公表しておらず、制度の不透明さはぬぐえない。人民銀行が相場を作為的に管理する可能性も残されている。このため、今後とも海外から、変動相場制移行への取り組みが求められることになりそうだ。(後略)

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 『読売新聞』は当日朝刊(2005/07/21)で「人民元改革/8月説」という大見出しの記事をドーンと掲載したのに、その夜に正式発表が出てしまうとは残念でしたね。でもこれは日刊紙の宿命ですから、そういうこともあるでしょう。ドンマイです。

 ……いやこれは読売だから朝日だからというのではなく、「なんちゃって日刊」で中国という得体の知れない相手と取っ組み合っていれば、ドンマイと言いたくなるものです。

 それにしてもショボいというかユルいというか、物足りなさの残る改革ですね。これじゃたぶん、菓子折にもならないでしょう。いや胡錦涛が9月に訪米するときに持っていくお土産のことです。「実は8月にさらに踏み込んだ措置をとる二段階改革なのだ」なんて可能性、あります?

 0.3%ずつジリジリと動いていくとは、飲み続けてようやく効果が出てくる漢方薬のようではありませんか。……以上、余談終了。

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 本題はこちら。やはり昨日流れたニュースです。

 ●中国海南省の病院、歴史問題で日本人の診療拒否・地元紙(Nikkei Web)
 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20050721STXKE039421072005.html

 ●中国の病院・料理店で日本人に戦争謝罪求める張り紙(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050721i512.htm

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 海南省の省都・海口市にある病院が門前に看板を掲げました。

「日本人はまず謝ってから入ること。謝罪を拒否する日本人の立ち入りを禁ずる」

 とのことで、謝罪しない日本人の診療は拒否するそうです。一方のレストランについては2週間近く前に報道がありましたね。吉林省・吉林市の西洋レストランが、

「日本人謝罪入内」(日本人は謝罪してから入店すること)

 と書いた紙を入口のドアに貼り出したというものです。ただ民族の誇りをかけた義挙にしては、この貼り紙、注意してみないと気付かないような小ささです。どうして?

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 ともかく中国国内メディアの報道を並べておきます。

 ●吉林市のレストラン(画像あり)
 http://news.sina.com.cn/s/p/2005-07-09/01317173039.shtml

 ●海口市の病院
 http://ngdsb.hinews.cn/php/20050721/79862.php

 レストラン(吉林市)の記事は元ネタの『城市晩報』から大手ポータルサイト「新浪網」に転載されたものです。病院(海口市)の報道は元ネタの『南国都市報』から拾ってきました。いずれも電子版です。

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 あ、それからもうひとつ。その『南国都市報』の記事がやはり大手ポータルサイトの「捜狐網」を経て「東北新聞網」に転載されています。

 http://news.nen.com.cn/72340194296070144/20050721/1725383.shtml
 http://news.nen.com.cn/72340194296070144/20050721/1725383_1.shtml

 記事本文は『南国都市報』のものをそのまま使っていますが、こちらは画像付き。それも病院の写真じゃなくて、深セン市と重慶市のバーの入口の画像です。

「日本人は入るべからず」(深セン)
「日本人入店お断り」(重慶)

 いつ撮影した写真なのかは不明ですが、ここまで来るとこちらはウーンと考えてしまうことになります。

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 レストラン、病院と「日本人は謝罪してから入れ」が続いたのは単なる偶然なのでしょうか。

 偶然かも知れません。抗日なんたら60周年記念とかで、中国国内メディアは連日「愛国・反日」記事を並べてみせます。60年前に奮戦した兵士へのインタビューだの、「××で発見、日本による中国侵略の新証拠」(毎日が発見の連続ですw)だの、細菌戦の被害者がどうしただの、それが日本に行って裁判して負けただの。

 8月13日には当時に擬した模擬空戦が行われるそうですが、中共なんて当時飛行機なんか持っていなかったでしょうに(笑)。それとも飛べる零戦を持ってきて、国民党軍が当時使っていたソ連製の戦闘機を公開処刑!となる筈もなし。

 ……もちろん東シナ海ガス田紛争とか、靖国神社とか、歴史教科書とか、そういったニュースも毎日流れます。そういう「愛国・反日」に満ち満ちた情報環境の中で生活していれば、「日本人は謝罪してから入れ」と看板を掲げる粗忽者(というか基地外)が出てきても不思議ではありません。

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 ちなみに、病院は報道されたばかりなのでまだ反応が出ていませんが、レストランについては反響がかなりありました。ところがネット上を跋扈する自称愛国者の反日教徒「糞青」ども(おお久しぶりに使った気が)はともかく、報道媒体に出てきた反応はそのほぼ全てが「こういうことはよくない」でした。

 ●料理店は日本人と右翼勢力を一緒くたにしてはならない(紅網・2005/07/10/00:02)
 http://news.sina.com.cn/o/2005-07-10/00026394192s.shtml

 ●「日本人は謝罪してから入れ」を平常心で眺めてみると(紅網・2005/07/11/00:19)
 http://news.sina.com.cn/o/2005-07-11/00196399287s.shtml

 ●どうして「謝罪」を強迫できようか(人民網・2005/07/11/03:53)
 http://politics.people.com.cn/GB/30178/3531214.html

 ●来る者は全てが客、愛国にも理性が必要だ(金羊網・2005/07/11/14:58)
 http://news.sina.com.cn/c/2005-07-11/14586407413s.shtml

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 吉林のレストランについての第一報は7月9日付の『城市晩報』です。ただこの記事は同紙に掲載されると同時に「新浪網」(2005/07/09/01:31)に転載されています。夜中の午前1時半です。

 『城市晩報』は「晩報」である以上、夕刊紙の筈ですから、実際には9日未明に「新浪網」から流れた報道の方が速かったといえるでしょう。……まるで最初から全国に流すことを前提に書かれた記事のようです。

 これに対し「それはいかがなものか」とたしなめる、言わば火消し的記事もまた反応が速いのです。10日と11日にはその種の記事を連発させています。当のレストラン店主が知ったら慌てて貼り紙を剥がしかねない勢いです。

 丁々発止といった、鍔迫り合いのような情報戦のニオイがするように感じるのは私だけでしょうか。

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 そういえば書き忘れていました。吉林のレストランの一件、報道されたのは7月9日です。ただ前掲の原文記事を読めばわかるのですが、店主の田さんがこの貼り紙を掲げたのは今年3月のことなのです。

 その間にアサヒビール不買運動などがあって、日本の安保理常任理事国入り反対のネット署名活動が行われて、それが街頭活動に発展して。……さらに歴史教科書問題を契機に「反日」を掲げたデモやら集会が実施され、ついにはプチ暴動まで起こるに至って、当局から急遽ストップがかかった。

 この間、田さんが自分のレストランに掲げた貼り紙はマスコミから見向きもされなかったのです。それが7月になって突如報じられた。それも地方の話題ではなく全国ニュース扱いです。かと思ったら今度は海南島の病院が同じことをやった。病院の方はレストランに対する「いかがなものか」記事(これも全国レベルの扱い)が出た後に、

「日本人はまず謝ってから入ること。謝罪を拒否する日本人の立ち入りを禁ずる」

 との看板を掲げているのです。深センや重慶のバーに掲げられた看板がいつのものかはわかりませんが、レストラン、病院に続く第三弾があるとすれば、恐らくこれは「反日」を再び政争の具にしようという動きでしょう。

 いや、その前兆というべきでしょうか。こういう形で小手調べをしてみて、相手方がどう反応するか探ってみる。その上で本腰を入れた何かを始める、という段取りではないかと。

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 ま、邪推にすぎません。権力闘争の夏を迎えてざわつき始めたような気配に、こちらもつい下衆の勘繰りをしてしまいました。

 ただそれだけのことです。



コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
頭文字D (在中国2)
2005-07-22 11:00:19
抗日の夏、権力闘争の夏、ですか。蚊取り線香のキャッチコピーにもなりませんね。 

さて、日本でも9月に公開と聞きますが、先日中国で「頭文字D」という映画が公開され、ヒットしてます。これがぼくは読んだことないのですが、原作は日本の漫画で、峠の走りやの物語です。

変な映画です、主演、台湾のナンバーワンポップシンガー、監督、助演は香港のトップスターなのですが、舞台、登場人物全て日本、日本人。申し訳程度で、ヒロインを鈴木杏が演じてます。

もちろんこっちで放映されてるものは音声、北京語です。 

中国の人は、こういうの見て、変に感じないのでしょうかね、まあ香港の制作スタッフも、この時期舞台を台湾やHKに換えず、強引に原作そのままを通したのは、原作に対するリスペクトでしょうか?

ちなみに、カーアクションは、日本のレーシングティームです。

昨日の、成都の新聞によると『盲導犬クイール」が一日の成都の興行記録を塗り替えた、と出ていましたし、、、、。

一般の人々と、新聞、ネットの書き込み、党幹部、軍人の日本に対する考え方の乖離も激しいですね。
 
 
 
無問題了 (大丈夫?)
2005-07-22 11:36:20
>>在中国2さん

日本漫画原作で、日本人役者が一人も出演せず、撮影が全部台湾。

でも、登場人物の名前が全て日本人、家の中は障子だけで日本家屋を表現する。

「流星花園」があるじゃないですか。
 
 
 
Unknown (一通行人)
2005-07-22 11:58:44
改めて見ると素直に”日本人御断り”っていえばいいのに…と思ってしまいます。

日本人への挑発というか言葉の嫌がらせというかは流石に上手いですね…。

なんというか、それに加えて

「これは人種差別という狭量な考えではありませんので」

という自己弁護にして海外メディアへの言い訳がましさがぷんぷん臭ってきます。



それに注意してみないと気付かないような張り紙の小ささは

『完全に罠』

以外の何物でもありませんよね。

入ってからビックリ!でしょう。嫌がらせの天才です。



まぁ、あちらの劣悪といわれている衛生環境を思えば

不用意に飲食や治療は避けるべきという鑑として

快く受け止めるのが日本人ですね。
 
 
 
花より男子 (在中国2)
2005-07-22 13:36:22
>>大丈夫?さん

ご指摘ありがとうございます

そうですか、未見なんですが、あのドラマも設定とか名前とか日本のそのままなんですか。

何しろ中国にいるので、ネット上の情報しか入りませんが、『F4』って日本でブレイクしてないですよね、、、サーチナでは「華流」とかいって騒いでますけど。
 
 
 
Unknown (大丈夫?)
2005-07-22 18:48:40
>>在中国2さん

「韓流」が終わった現在、次は「台流」だそうです。

なので3、4ヶ月ほど前から、台湾人歌手やドラマをワイドショーなどで少しずつ取り上げていて、一つの試金石として流星花園が5月くらいからテレビ放映しています。

が、いま一つな反応。

韓流ブームのコアなおば様層と、花より団子のファン層が少し違うような気がします。

もっとベタベタな展開で分かり易いストーリーの方が受けそうな気がする。



だけど、韓国と違って台湾のほうが既に日本資本の手が着いた歌手やドラマ、映画が多そうだね。

銭の香りがする。



でも、やはり反応がいまいち。

追加戦力として香港も含めた「華流」という造語も作られているが、大陸も含まされるのでどうなのかなー。
 
 
 
個人的には (kyouji)
2005-07-22 19:35:04
 この辺が非常にツボでした。^^



【中国】「日本マスコミの一方的報道でキャンセル」上半期、北京への日本人観光客激減【07/15】



http://j.people.com.cn/2005/07/15/jp20050715_51816.html



 そりゃ行かないよ。怖いもの。^ω^;
 
 
 
Unknown (大丈夫?)
2005-07-22 19:44:33
小ネタです。

皆が誰でも参加のwikipediaこんなんでました。



胡錦濤

http://zh.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%85%B1%E4%BA%A7%E4%B8%BB%E4%B9%89%E9%9D%92%E5%B9%B4%E5%9B%A2

温家宝

http://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E5%AE%B6%E5%AE%9D



えーと、1988年から1992年の間に両人それぞれ人生を左右した出来事があるよね?

削除された?

討論(ノート)や歴史(履歴)を見ても検閲の跡は無い、無い、無い、・・・無いから無いのか?

胡錦濤の方の討論の方に煮え切らない意見があるが、ここら辺が限界か。



中国共産主義青年団

http://zh.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%85%B1%E4%BA%A7%E4%B8%BB%E4%B9%89%E9%9D%92%E5%B9%B4%E5%9B%A2

ちと面白い。
 
 
 
Unknown (鬼 多和司)
2005-07-22 20:24:35
初めて投稿します。いつもコアなネタを提供してくださってありがとうございます。

人民元の切り上げについて支那は、また何か企んでいると思います。引続き解説をお願いします。
 
 
 
なるほど (90)
2005-07-23 00:33:50
こんばんは。



前々から言われていた人民元切上げですが、うちの会社は中国工場で製造した製品を輸入しているので、ただでさえ危ない会会社が更に危なくなって困ります。



ところで近頃人民日報を眺めていたら、抗日戦士回顧談が多く掲載されているのと同時に、中帰連の中国訪問体験記や日本の若い世代に戦争責任追求を行うのを止めよう、と言う記事が載っていてちぐはぐな印象がありました。あおりはするが反日デモを引き起こして政府の基盤を揺るがさないようにブレーキをかけているのだと思っておりましたが、政争のための観測気球だったんですね。

政争の具にされる日本も舐められていますが、これもマスコミ連中や中国詣でをする政治家達が彼らをのさばらせたのだと思うとやり切れません。

もっとも中国も近頃の日本の急激な反発、殊に若年層が中国に反感を持っている事は彼らの理解の外でかつ心配らしく、「もっときちんとした日本研究を」とか「菊と刀は戦時中の著作で、戦後60年たつ日本は別のアプローチが必要(だったと思います)」と言う意見も出てます。



後、台湾の外省人が台湾独立反対関連で中国のマスコミにインタビューを受けている記事がありましたが、李登輝氏と会談した司馬遼太郎氏の事を「右翼作家」と評していたのは笑いました。
 
 
 
やっぱりでました速攻便乗値上げ (dongze)
2005-07-23 07:21:51
御家人さん

今日の話題と関係ないのですが、やはり人民元の切り上げで早速、便乗値上げが(笑)

友諠商店で週末の食料の調達したら、最後にレジで変なキーを押したなと見ていたら、レシートにしっかり2%分税金のように追加が、、、97年以前でしばしばレート調整の時に、一斉に値札を換えていたのに比べればスマートな(気づかれにくい)処置ですが、これだと輸入品だけでなく、中国産も一律に2%余分に取られることになる、相も変わらずの殿様(中共)商売の現実を久しぶりに見せ付けられました。明日はカルフールとイトーヨーカドーをチェックしよう(笑)
 
 
 
通貨バスケット (Baatarism)
2005-07-23 22:24:46
通貨バスケットと言いながら、バスケットの通貨比率を明らかにしないというのが、いかにも中国らしい不透明さですね。

なんでどの国もこれを批判しないんでしょうか?
 
 
 
通貨 (なすび)
2005-07-25 12:01:33
為替の不均衡についてはどの国も気にしているでしょうが、2%切り上げなんて、本当にへみたいなものですね。

1985年のプラザ合意みたいな荒行事をしないと、根本

的な解決には至らないんでしょう。しかし、80年代は

各国でジャパンバッシングが盛んでしたが、中国製品は

バッシングされるほどたいしたものがないので、この辺

はまだまだ緩そうですね。
 
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