日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)




 私がよく顔を出す中国の論壇が2つあることは前に書きました(※1)。

 ひとつは大手ポータルサイト付属のもの。膨大なアクセス数(つまり「視聴率」が高い)と、反日信者(糞青)でない人も多く集まってくるのが魅力です。

 もうひとつは、民間の論壇(非商業サイト)で、基調は反日ですが、結構理性的な討論が行われるもの。

 この後者のサイトに、「安全委員会」(管理者サイド)の名前で、「一部の敏感な話題の内容に関する規定(暫定)」というスレが19日付で新たに立ちました。要するに、以下の話題は削除するぞというものです。

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  http://www.tiexue.net/bbs/dispbbs.aspx?boardID=12&ID=373612
 たまには翻訳してみましょうか。

 (1)民主化運動関連。8*8事件(※2)の主要活動者やその無罪を求めるようなもの。
 (2)邪教関連。法輪功やその創始者を持ち上げたり、各地でそのメンバーが迫害されていることに異を唱えるもの。
 (3)反動関連。いかなる理由、いかなる話題であれ、中央人民政府(党中央、国務院、全人代、政協、党中央各部門、国務院各部門)またはそのポストに就いている者やすでに引退ないし物故した党・国家指導者に批判や攻撃の鉾先を向けるもの。
 (4)上書関連。スレタイ・内容に関わらず、中央人民政府に対する公開質問状なり上書とみられる形式をとるもの。
 (5)また、北京市、天津市、上海市、湖北省、広東省、四川省、新疆ウイグル自治区の7省・市・自治区が事実と認めていない内容のニュースは 全て安全審査区に回して審査を実施する。この点各位了解されたし。


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 それにしても、これだけ枠をはめられたら、じゃあどんな話題を語ればいいの?という感じですね。上の規定、必ずしも厳密に運用されている訳ではないようですが、これなら話していい内容を列挙してもらった方がありがたいです。「なんちゃって香港人」が立てたスレも3つぐらい安全審査区に回されています(笑)。

 上からの通達を受けたのか、あるいはサイトが御法度にかかることを恐れて自主規制したのか……いずれにせよ、胡錦涛総書記による「反日」統制の一端がよく出ているように思います。もうひとつの大手ポータルサイト付属の天下国家を語る板、ここも新規定こそ出てはいませんが、NGワードが増えたり削除率が高くなったりして、話題の幅が狭められています。以上は、お上の通達に素直に服したケース。

 その一方で、前回紹介した「反日貨聯盟網」のように反日主流の過激な論陣を張るサイトもあります。一時期大人しくしていたのが、最近急に勢いを盛りかえしてきました。後ろ盾(となる政治勢力)が強化されたということでしょう。そうでなければまた当局から処分を食いますからね。政争絡みではないかと、私はみているのですが。

 ただこの種のサイトでも、政府批判はまだ避けているようです。糞青というのは日本と日本人を憎悪し、自国の未だ強大でないことを嘆き、同時に日本に対して弱腰(と連中の目には映っています)の中国政府を詰りもするものですが、まだそこまでは元気が回復していないのか、一応リスクを避けているつもりなのか。

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 何はともあれ、「愛国・反日」あるいは「天下国家」の看板を掲げていた論壇の姿勢が、ここへきて2派に枝分かれしたような観があります。仮に穏健派と過激派、としましょう。以前、「愛国・反日」の糞青が「愛国」の方に傾きかけていると紹介しましたが、これは政府の統制に素直に従った穏健派です。アクセス数でいえばこちら側のサイトの方が圧倒的に多いので、ネット世論への影響力も大きいでしょう。

 いま、そういった穏健派のサイトでは、民主が語られ、政策が語られ、その一方で国内では報道されない情報がゲリラ的に流されたりしています。

 例えばいま現在ですと、安徽省で1万人規模のデモがあった、というスレが民間論壇の方に立っています(元ネタは反政府系ニュースサイト)。

 重慶暴動(※3)関連スレで「万州の民衆の憤激はなぜかくも高まったのか」というのもあります。スレタイがこれなら、官僚の汚職問題へと話が流れていくのは明白ですね。

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 「反日」を抑制した副作用とでも言いましょうか、「愛国・反日」といっても実際は「反日」一辺倒で、現状に結構満足していた糞青たちが、資源紛争・靖国問題で本来なら大沸騰する筈のこの時期に、当局の規制もあって「反日」を脇に置き、そのおかげで自分達の属する社会への問題意識に目覚めようとしています。その動向が注目すべきものであることは以前も書きましたが(※4)、一方の過激派がどこまで「糞青の本分」を取り戻していくのか、政府の弱腰批判まで過激度が回復するのか、これも見どころのひとつです。

 政府の立場からみれば、「反日」を野放しにするのはもちろん危険です。

 仮定として、例の重慶暴動で考えてみましょう。ただの喧嘩で済んだ筈のところが、一方が官僚を偽称して「いかにも」なことを口にしたために取り巻きが騒ぎ、最後には暴動にまでなりました。

 もしあそこで官僚と言わずに、「俺は日本人だ」などと言ったら、恐らくその場で惨殺されていたでしょう。

 そのあとに、昨年の西安の事例のように、日本人の店や日本関連の場所が襲われる。政府がそれを押さえ込もうとすれば、今度は警察(防暴警察=機動隊)と衝突する。

 そして重慶暴動のように、政府庁舎に押し掛ける。そのころには、運動の性質が「反日」ではなくなっているかも知れません。

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 ……民間主導の「反日」にはそういうリスクがあります。仮に政府に押さえ込むだけの力があっても、鎮圧してしまえば求心力は一気にダウンしてしまう。政府主導の「反日」であっても、暴発を押さえ切れない場合のあることは、昨年起きたいくつかの事例が証明しています。

 だからマスコミの反日報道や、ネット上の反日的言動は統制する。いまの胡錦涛政権の姿勢です(私の見るところ、ですが)。

 でも統制を敷けば敷いたで、今度は自分に批判の鉾先が向けられる(弱腰外交、などと)リスクを政府は覚悟しなければならない。進むもならず退くもならず、中国語でいうところの「進退両難」という状況です。

 それが意味するのは、中国社会の抱える様々な矛盾が、すでに沸点に近付きつつあるということでしょう。


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【※1】「反日サイトの総本山を中国当局が閉鎖!」(9月1日)参照。

【※2】8×8=六四事件を指しているとみられる。

【※3】詳細は「速報:重慶で暴動発生!」(10月18日)のほか「重慶暴動に思う」(20日)、「続々・重慶暴動」(21日)参照。

【※4】「漂う糞青に変化?盗んだバイクで走り出せ!」(10月17日)参照。




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