ちょっと小ネタをひとつ。
先日、自民党の中川秀直国会対策委員長ら与党議員団が訪中し、北京で唐家セン国務委員と会談したようです。
唐家センは外相時代の「ゲンメイしました」発言が有名ですね。いかにも「奸知に長けた」という顔をしているのですが、これは個人的感想です。下記が日本の関連記事。
●靖国・ガス田開発で応酬…与党議員団と中国幹部が会談(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050111i115.htm
この記事によると、日中双方は靖国問題や中国原潜による日本領海侵犯、それに東シナ海のガス田開発で応酬したようです。
で、記事の最後の方に、
「一方、日中双方は、両国の人的な交流拡大を目的とした新たな「友好基金」を創設することで合意した。基金は、日中両国政府や企業などが資金を拠出し、日中両国にそれぞれ設置される。総額で50億円規模となる見通しだ。」
とあります。
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さて、この件に関する中国側の報道をみてみますと、
●中日両国が交流基金設立で合意、日本側が25億円出資(新浪網)
http://news.sina.com.cn/c/2005-01-13/06224814328s.shtml
さらに「新華網」が掲載した新華社系週刊紙『国際先駆導報』。
●中日両国が50億円出資し民間交流奨励 若い世代に着目した新基金
http://news.xinhuanet.com/world/2005-01/13/content_2455622.htm
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中国側の記事だけ読むと、雪解けムードが多少漂う内容の記事となっています。というのは、主にこの交流基金の話しか出てこないからです。
「靖国問題」
「中国原潜による日本領海侵犯」
「東シナ海のガス田開発」
には全く触れられていません。原潜と東シナ海の話はともかく、中国側から斬り込んだ筈の靖国問題についても国内で報道させていないのは、やはり中国指導部にとっては、国内がこの話題で盛り上がってほしくはないからでしょう。
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前にも書きましたが、いまや靖国問題はカードというよりアキレス腱。ついつい「参拝するな」と首脳会談で口にしてしまったために、かつそれを国内的に大きく報じたために、胡錦涛と温家宝がリスクを負ったことになるのです。
小泉首相が今年また参拝すれば、二人の首がキューッと締まる(笑)。
戦後60年(自称)ということで、中国側は南京、大同、重慶の各なんたら事件での政治的イベントを準備しているらしいことは、最近の動きからもうかがえます(※1)。
日本にとっては、正真正銘の戦後60周年です。小泉首相には毅然と靖国神社を参拝してもらいたいものですね。
それによる関係悪化云々なんて論法は片腹痛い。どうせなら悪くなるところまで悪くなって、お互いに相手国についての認識を正確にした方がいいのです。……あ、ちょっと違うかも知れません。日本の世論はそれによって対中認識をいよいよ正確なものとするでしょうか、中国にとって靖国は国内問題(笑)。オリンピックが開けなくなるかも知れませんね。
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【※1】当ブログ「わらわらと湧いて出た『歴史問題』」(2005/01/10)
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内ヅラを取り繕って外には強行姿勢というのが何だか気になります。
そのうち台湾側から当時の精細な(中国共産党にとって不都合な)記録がぼろぼろでてくると思っています。そうなった時に初めて靖国に象徴される歴史問題は中国の国内問題に帰結してしまうと考えたりします。中国を思えば、だからこそこの問題を日中間の政治問題にすべきではないと思うのです。これは中国の内政問題に跳ね返るしかないし、中国の論理の矛盾を表面化させるだけなのですから、中国の政治において余計な混乱を増やすだけです。
最後に同日の紙面に李登輝氏の「訪日は成功」の記事を読んでもらいたいものです(当然読んでるはずでしょうが)。
あの記者会見への介入には驚きましたね。各国の取材陣をものともせず暴れる便衣(私服警官)も生き生きしていました(笑)。やっぱり中共はこうでないと。ま、地金が出たってところでしょうけど、まさにワールドワイドでの実物教育です。
それにしても現場に踏み込んだら記者会見が始まってしまっていて、とりあえず電気を消すしかなかったとは、国家安全部の怠慢でしょう。
私はフジテレビの夜のニュースで見ましたけど、キャスターも「こういうのはいただけない」なんてこと言っていないで、「ま、人権がないに等しい中国では日常茶飯事です」とでもキメてくれれば、一発で視聴者に中共のイメージが焼き付けられると思うんですけどね。
>内ヅラを取り繕って外には強行姿勢というのが何だか気になります。
靖国の件ですか?だとすれば、それは内政を不安定にしかねない要素は全て排除しなければならないからでしょう。万一を考えてのことだと思います。また先走る馬鹿が出てきてきたら、その動きを押さえつければならない。それだけでも胡錦涛政権にはイメージダウンです。
もし、もっと馬鹿な奴が靖国神社の狛犬にペンキを浴びせたら、胡錦涛にとって取り返しのつかないことになりますし。あ、でもこれは日本政府が裏で動いてやらせてみたら面白いかも知れませんね(笑)。
王毅は明らかにミスキャストですね。第一にエリート意識と中華思想が顔にも言葉にも出てしまっている。第二に日本語に自信があるせいか通訳を使わない。外国語だと相当な使い手でも細かいニュアンスや婉曲な表現はなかなかできないものです。それでああいう半ば恫喝的な物言いになる。本人が考えている以上に過激なメッセージになっていることに、気付いているのか、どうか。
津波の復旧支援では中国は口を開くたびに国連国連を連呼しているのがおかしいです。コアの仲間に入れてもらえなくて、そりゃあ悔しかったでしょうね(笑)。可哀想なので、私は実情を中国国内の大手掲示板にせっせと流してあげることにしています。
>そのうち台湾側から当時の精細な(中国共産党にとって不都合な)記録がぼろぼろでてくると思っています。
たぶん国民党が色気を捨てて、台湾本土派が主流になれば必ずそうなるでしょうね。
他国の内政に首を突っ込めば必ず反作用が我が身に返ってくる、というのは歴史が証明するところです。中国も調子に乗り過ぎましたね。もう手遅れですけど。
それにしてもこの10年ばかり、対日問題に関するまともな専門家がブレーンにいなかったのでしょうか?私にはそのことが不思議でなりません。やることが余りにお粗末すぎます。
確かNHKニュース10では現地レポーターが、「日頃、言論の自由が守られているとは言い難い中国ですが・・・」というような事を言っていました。
普段の親中ぶりがアレなだけに、これはちょっと「おお!?」と思いました。
> 国家安全部の怠慢
なるほど、あれは遅刻だったんですか。
言論弾圧の現場と同時に公安のダメっぷりまで発信してしまったわけですね。
> 内政を不安定にしかねない要素は全て排除しなければならない
もう外交上の体裁よりも内政の方がずっと危機的という事でしょうか。
そろそろ革命の時期なのかなあ・・・
>もう外交上の体裁よりも内政の方がずっと危機的という事でしょうか。
そうだと思います。そもそも胡錦涛政権の主題は「中共の延命措置を講じる」ことだと思うのです。
(1)そのぐらい危険な状態であることを示すためにときどき「往復ビンタ」を国民にかます。
(2)延命措置には大がかりな構造改革が必要。それをやらないと中共はもう駄目。
(3)でも抵抗勢力もいるので中央の統制力強化が必要不可欠。
(4)だから強権政治・準戦時態勢志向。言論統制はしない方がおかしい。地方からも様々な方法で権限回収を進める。
(5)12月ごろから本格的に統制を強化し始めたのは、外交上の重要なスケジュールが終わって内政に取り組む時間ができたから。
(6)内政を乱す要素は徹底的に排除したいので、外交は現実路線。台湾・領土問題は別かも知れないが、これもできれば現実的に片付けたい(問題の先送りとか棚上げで)。
と、こんな感じではないかと思います。
> 外交上の重要なスケジュールが終わって内政に取り組む時間ができた
ここへ来ていきなり豹変したのはスケジュールの都合上だったんですね。
日本にとっては今がつっつくチャンスという事でしょうか。
> 往復ビンタ
さっそくこんな記事がはみ出てきていました。
土地収用に抗議の農民27人に最高懲役15年=中国陝西省 (時事通信)
http://news.goo.ne.jp/news/jiji/kokusai/20050116/050116060402.n78cz53x.html
まさにイントロダクションでしょうが、できれば農民はめげずにこれからも揺さぶり続けて欲しいです。
御家人さんが挙げられた政権延命へのプロセスが一つ残らず滞りますように・・・。
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