日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 最近更新が滞ってしまい申し訳ありません。ちょうど年度の切り換えなのを利用して仕事のシフトチェンジというかフォーメーションの再構築というか、切るべきところを切って強化すべきところを強化する方向で蠢動している真最中でして、要するに自分が働きやすい態勢に持っていこうと策動しております。このためチナヲチに向き合えるほどまとまった時間がとれず、記事漁りが精一杯という状態が続いています。

 まずは前回のコメント欄で頂いた御質問に私なりに御返答いたします。

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 (1)御家人さんは、対日賠償において、童増と胡錦涛は対立する勢力ととらえておいでですが、これは、本当に対立する勢力でしょうか。

 今は別の流れだが、対立はしておらず、後でマージする可能性も十分あるように私には見えるのですが。

 ――

 本当に対立する勢力かどうか、ということは正直わかりませんが、過去の経緯に加え最近の中国内外の報道を基に推測すると、対立する勢力ではないかという邪推になります。別の言い方をすれば、目下のところ童増の組織が胡錦涛側を含め党上層部の方針として一本化されたもの、という気配が全くみられないのです。

 全人代(全国人民代表大会=立法機関)前に童増が「中国国内での訴訟」を目的とする民間組織を立ち上げたのに対し、すぐに半官半民的な「日本での訴訟支援」をうたった組織が成立し、その後のマスコミ露出度においても童増側を圧倒しました。

 ところが今回はそれがまだみられない。ならば童増で一本化ではないかという見方もできるのですが、一本化したのなら胡錦涛側メディアである『中国青年報』『解放軍報』がこのニュースに対し一切黙殺の態度を貫く理由が見当たりません。それから童増側の続報もありません(私の見落としがなければ)。

 主要マスコミは逆に胡錦涛の提唱する「社会主義栄辱観」キャンペーンに力をいれています。この状況をみれば対日政策におけるイニシアチブは別として、内政面では胡錦涛側が一応優勢であるように思います。翻っていえばこの「社会主義栄辱観」関連記事が減ったあたりでアンチ胡錦涛諸派連合の本格的な反撃が始まる可能性があります。

 「今は別の流れだが、対立はしておらず、後でマージする可能性」という手の込んだ動きは、潰すか潰されるかという中国政治の権力闘争においてはありえないのではないかと愚考します。対立していないならすでに主要メディアを挙げての宣伝攻勢が行われているでしょう。一本化されるときは、対立する政治勢力のいずれかが敗北したことを意味するものだろうと思います。

 自業自得で形成された「反日世論」への配慮、という点に関しては昨年10月の小泉首相による靖国神社参拝で民間有志の「反日」活動を押さえ込んだ実績があります。今回似たような動きが民間で発生し、胡錦涛政権がそれを止められないのであれば、かなり香ばしい展開をみることができるかと思います。

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 (2)御家人さんはじめまして。
 防衛問題の専門家の太田述正氏は、「日本の政治ないし政治家達が、胡錦涛政権に徹底的にコケにされている」と論評してます。
↓ソース
http://www.ohtan.net/column/200604/20060406.html#0
http://www.ohtan.net/column/200604/20060407.html#0

 「コケにされている証拠」として、橋本元首相との会談で靖国問題を持ち出したことをあげ、これに関する胡錦涛政権の「考え」を次のように推測してみせているのですが・・・・

 1.中川昭一を農水に「降格」させ、二階を経産に据えたのは日本側からの関係修復のサインだろう
 2.中共の東シナ海上の監視飛行が一昨年来急増しているがこれに日本政府は特段の対抗措置を取っていない。つまり小泉政権は対中共「低姿勢」でいるということだ
 3.ガス田を試掘しようとしないのも小泉政権の「低姿勢」のサインである

 ↑と胡錦涛は考えているのだろう、というのが太田氏の論なのですが、どーですかこの理屈。
あまりに無理が有りすぎではないかと思うんですが

 ――

 これは私にはわかりません。正直お手上げです。ただ私からみると、いま現在の対日政策の意思決定の核がどこにあるかよくわかりません。少なくとも「胡錦涛政権」主導ではないような印象で、外野から色々な介入が行われ、それらの言い分も織り込んでやらないといけない、という指導力の弱さが現在の胡錦涛政権にはあると思います(そもそも「胡錦涛政権」自体、胡錦涛派によって完全掌握されている訳ではありませんし)。

 各方面の言い分を折衷するから時間もかかり、内容も最大公約数的な切れ味を欠いたものしか出てこない。かと思うと、逆に動脈硬化したかのような電波系脊髄反射が飛び出して来る。少なくとも対日外交において、中共政権は戦略不在で統制がとれていないように思えます。戦略があってもそれをすんなり実行できない状況なのではないでしょうか。

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 さて本題です。この微妙な時期に江沢民が出て参りました。4月6日のことです。

 母校の上海交通大学創立110周年記念式典に出席すべく姿を現わしたのですが、上海市のトップである陳良宇・上海市党委員会書記(兼党中央政治局委員)、韓正・上海市長を引き連れたその姿は自らの健在ぶりをアピールするとともに、あたかも「上海閥」の決起集会ではないかと思わせるものでした。

 決起集会?そんな大袈裟な……と思われる向きもあるでしょうが、学校側のプラカードには、

「江主席こんにちは!母校へようこそ!」

 というものがあったそうです。「江主席」って何ですかこれ?江沢民はもはや国家主席でも中央軍事委員会主席でもないのです。それを堂々と掲げるあたりに「独立王国」「大諸侯」として中央に対し屹立する上海市の実力がみてとれるかのようです。

 江沢民が登場すると待ちかねた学生や学校関係者から万雷の拍手。「総書記!」という声も飛んだとのこと。……いや、大学のオフィシャルサイトでも「総書記」という肩書がついている部分があったそうです。

 香港紙でこのニュースを取り上げたのは私のみた限りでは以下の3紙(4月8日付。きょう9日には『蘋果日報』他が後追い報道をしています。

 ●『明報』(2006/04/08)
 http://hk.news.yahoo.com/060407/12/1mrqa.html

 ●『星島日報』(2006/04/08)
 http://www.singtao.com/yesterday/chi/0408eo01.html

 ●『大公報』(2006/04/08)
 http://www.takungpao.com/news/06/04/08/MW-549726.htm

 親中紙である『大公報』が写真付きで報じているのは興味深いところです。もちろん「主席」だの「総書記」だのという言葉は出てきませんが、親中紙の筆頭格である『香港文匯報』がこのニュースに全くふれなかったのと対照的でした。

 ――――

 中国国内メディアはというと、上海市党委員会の機関紙である『解放日報』はじめ、上海交通大創立110周年のニュースを大きく扱ってはいるものの、「江沢民」という名前は全く出てきません。出てこない、いや江沢民の名前を出せないところにいま現在の政情の一端が垣間見えるといえるかも知れません。

 ●『解放日報』(2006/04/08)
 http://www.jfdaily.com.cn/gb/node2/node142/node200/userobject1ai1292223.html

 ●「新浪網」(2006/04/08)
 http://news.sina.com.cn/c/2006-04-07/14359560371.shtml

 ただ、「新浪網」が転載した『新聞晩報』のニュースにはニヤリとさせられました。記事のタイトルが、

「上海交通大学の記念晩餐会は経費節減の原則、宋祖英らがゲストで熱唱する予定」

 ……なんです。これは見る人が見れば江沢民の出席を暗示するものといえます。なぜなら宋祖英というのは江沢民御贔屓の歌手で、江沢民の出るイベントには必ずゲスト出演していたといっても過言でないほどのお気に入り。宋祖英が出演、しかもその舞台が江沢民の母校である上海交通大学の記念晩餐會となれば察する読者も多いことでしょう。

 過去にはその関係が政争に使われたこともありました。

 ●ひょっとして江沢民への警告?(2004/11/26)

 それにしても『新聞晩報』記者にはお見事の一言。報道統制のなか、うまいタイトルをひねり出したものです。こういう「察する」部分が必要とされるところがチナヲチの醍醐味でもあります。

 ――――

 この時期に江沢民が出てきたことが政争か何かとリンクしたものなのかはまだわかりません。とはいえ無視できることでもありませんので、一応ピックアップしておく次第です。


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 【余談】昨夜(4月8日)はこれに参加してしまいました(笑)。

共産党共産党共産党共産党共産■共産党共産党共産党■産党共産党
■■■■■■■■■共■■■■■■■■■産■■■■■■■■■党
共産党共■党共産党共■党共産党共産党■産■共産党■産党共■党
■■■■■■■■■共産党■産党共■党共産■共産党■産党共■党
共産党共■党共産党共■■■■■■■■■産■共産党共産党共■党
共産党■■■共産党共産党■産党共■党共産■共産党共産党共■党
共産■■産■■産党共産党■■党■■党共産■共産党共産党共■党
共■■共産党■■党共産党共■■■産党共産■共産党共産党共■党
■■党共産党共■■共産党■■党■■党共産■共産党共産党共■党
■産党共産党共産■■産■■産党共■■共産■共産党共産党共■党
http://www.geo
cities.jp/vip_40
8/bom/1467.mpeg



コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )



« 対日賠償請求... 上海閥警戒警... »
 
コメント
 
 
 
残念です (以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします)
2006-04-09 21:26:20
私はこちらに参加してました。



昨晩、ちいさな祭りがありまして、その戦果は以下の通り。



ttp://xiangsheng.blogchina.com/4547861.html  ttp://xiangsheng.blogchina.com/4471448.html

ttp://xiangsheng.blogchina.com/4431610.html  ttp://xiangsheng.blogchina.com/4416680.html

ttp://xiangsheng.blogchina.com/4401203.html
 
 
 
Unknown (aquarellisute)
2006-04-09 22:32:02
母校でも紹介されてました。写真がいい感じです。

ttp://www.sjtu.edu.cn/newsnet/newsdisplay.php?id=5862
 
 
 
文革も (1読者)
2006-04-09 23:38:53
今晩は。



 上海というと文革発火点。そんなことを思い出します。

 騒ぎは南から始まるのかな。

 
 
 
連投スマソ (aquarellisute)
2006-04-10 00:21:26
明報が大学公式は「主席こんにちは」部分を削除したと報じてました。

ttp://hk.news.yahoo.com/060408/12/1mseq.html



同様の文言が書かれてある横断幕を撮影した写真も同様の目にあったようですが、さっきのアドレスを色々いじくってみるとありました。この横断幕、誰が作らせたんでしょうか。

ttp://www.sjtu.edu.cn/newsnet/gallery/2006_04_07/600/01.JPG
 
 
 
願望と現実の差 (ダイゴ)
2006-04-10 00:54:50
御家人さん、お答えありがとうございます。

>少なくとも対日外交において、中共政権は戦略不在で統制がとれていないように思えます。

>戦略があってもそれをすんなり実行できない状況なのではないでしょうか。



そのご意見にはとても納得がいきます。

中共については「日本をコケにしたい」という願望があることまでは事実としても、実際に「コケにした行動」をとれているようにはあまり思えないのです。「コケにした行動をとろうとしてあわてふためいている」ようには見えますが。

 
 
 
ギャグ? (でんすけ)
2006-04-10 17:43:50
御家人さん、御忙しい中を御疲れ様です。



政争観戦の息抜きな、どちらかと言うと楽しい中国ニュース向けなネタを。

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【中国】お役所が「公金で酒を飲め」、マスコミ怒り大爆発

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060410-00000002-scn-int

同通知が定めているノルマは、教育局が3万元、公安局が2.5万元、漢川市内のある自治体が5.5万元などとされており、計200万元を1年間で消費することが求められている。ノルマが達成できなかった場合は「通報された上で非難される」との文言も盛り込まれた。

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ポカーン・・・。(AA略)



流石に中国マスコミもそこまで腐ってなかったと喜ぶべきか、

中共官僚はそこまで腐ってたのかと悲しむべきか。

まぁ当事者でない私達はニヤニヤ傍観するしかない訳で。
 
 
 
ほんとは皇帝とかいわれたいのでは!? (通りすがり)
2006-04-10 18:42:43
日本でも現職、総理大臣がいない席では

『前』でも『元』でも『総理』と呼ばれるらしいですよ。



古今東西、権力者はおべんちゃらに弱いようですね。
 
 
 
みなさんコメントありがとうございます (御家人)
2006-04-11 10:08:15
>>「以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします」さん

 そちらも賑わっていたんですね。どんどん蓄積していくコメント、リアルタイムでみたかったです。

ところで私はこういう知識が全くないのですが、500件もコメントがついているのは田代砲?を使ったからなんでしょうか。

 あのあと、私は余熱のような感じで久しぶりにtomの「強国在線」に流れて書き込んでみたのですが、いまは以前のように書き込んだものがすぐupされるんじゃなくて、管理人が審査してOKの出たものだけがupされるんですね。驚きました。あれじゃあ糞青も随分ストレスが溜まっていることでしょう。



>>aquarellisuteさん

 いつも思うのですが、どうすればそんなに的確な目標をかくも迅速に拾い上げられるのですか?(笑)「主席こんにちは」写真保存しました。有難うございます。あれは昔の、例えば創立100周年のときにこしらえた横断幕だと思います。そうじゃなきゃ悪ノリのしすぎというかシャレにならないというか……でも大学当局はオフィシャルサイトで当初「主席」を使っていたんですよね(笑)。そういう悪戯をやれてしまうような北京との距離感と独立王国めいた雰囲気がいまの上海にはあるのでしょうか。



>>1読者さん

>上海というと文革発火点。そんなことを思い出します。

 さしづめ劉亜洲あたりが姚文元の役回りを演じるのでしょうか。壁新聞よりもミサイルが飛び交いそうで怖いです。……あ、革命バレエは昔通りということで(笑)。思えば『芙蓉鎮』も随分昔の映画になってしまいましたね。



>>ダイゴさん

 余りお役に立てなくて申し訳ありません。素人ですからあれが精一杯なんです。それにしても今年は展開が早いです。童増の組織が……なんて言っているうちに江沢民が登場、それが当初NGだった中国国内でも報じられて黄菊のニュースと「上海閥コンボ」を形成、あとは三国志などの商標登録問題から愛国主義→反日へと展開しかねない動きもあります。もうついていくのがやっとです(笑)。



>>でんすけさん

 「調和社会」だの「社会主義栄辱観」だの言っても末端レベルは所詮こんなもんですよね。まあ一過性のものだと思いますけど、中国でマスコミが怒るというのは尋常でない事態です。

 私は上海留学中に民主化運動と天安門事件(六四事件)を経験したのですが、運動が盛り上がった5月半ばには地元のラジオ局は普通の番組編成ではなくて、学生支援の放送ばかりしていました。あれはいま思い出してもゾクゾクします。クーデターでは早い段階で放送局を押さえる、などと聞いた覚えがあるのですが、「なるほど確かに」と実感したものです。解放区のような雰囲気がありましたから。



>>通りすがりさん

>日本でも現職、総理大臣がいない席では

>『前』でも『元』でも『総理』と呼ばれるらしいですよ。

 初耳です。そうだったんですか。それでは「主席」「総書記」の掛け声に江沢民もつい相好を崩したことでしょう。

 
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