日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 仕事らしいこともできぬまま、無為に松江で三泊してしまいました。ひとえに悪天候によるものです。

 悪天候、といってもどんよりとした雲に閉ざされて雪に降り籠められる、というのとはちょっと違います。

 晴れてはいるのです。雲間から青空がのぞいて柔らかな冬日が差したりして。

 ところが、宍道湖ビューであるホテルの自室でそれを見て出かけると、晴れているのに粉雪やみぞれが降っていたりします。あっちは晴れているのにこっちは横殴りの淡雪、といった状態。

 しかも風がものすごく強くて、これには全く難渋しています。強風を受けて、粉雪も降るのではなくトンビのように「飛んでいる」というか、綿毛のように「宙を舞う」というか。

 降るのではなく横っ面から飛んでくるので、向かい風のときなどはもう大変。写真を撮ろうにもカメラを向けるとたちまちレンズに雪が付着します。よってデジカメを労って撮影は封印。

 ともかく「サンライズ出雲」以来、雪が上から降っているのを見たことは一度もありません。orz

 強風ゆえに雲がどんどん運ばれてくるので、天候の変化も目まぐるしいです。パッと晴れたのでよし出撃、と出かけると10分も経たぬ間に横殴りの雪がバーッと飛んできます。それでも敢えて歩いてみると八甲田山。

 しかも私はメガネを使用しているので、瞬く間に向かってくる雪に視界を塞がれる始末。しかし10分くらいするとまた晴れ間に変わったりします。よし、と安堵して再び歩き出すと10分後にはまた天候が悪化して八甲田山。

 全くもって手に負えません。地元の人たちから話を聴いて回りましたが、12月の松江は「こんなもん」なんだそうです。ただ強風は例年にないものなので辟易しているとのこと。

 もっとも所詮は粉雪とみぞれ程度なので、主要観光スポットを含めた松江市中心部の積雪はほぼありません。……てな訳で、香港の編集部からお願いされた「雪景を是非」も淡雪の如く消えて、私が目論んでいた「ユルユルマターリ」ペースに(笑)。

 ただし、私は何でもない路地を伝い歩くようにして松江のごく一般的な風景(これが珠玉のように貴重なのです)を眺めて回りたかったので、「街歩き」がロクにできない現状には手を束ねているところです。

 ――――

 「サンライズ出雲」で現地入りした12月18日(金)は、まだマシな方でした。出雲市は晴れていたので、強風とはいえまだ歩くことができたのです。……あ、でも粉雪が断続的に舞ってはおりました。

 神社はやはり朝、最低でも午前中が清々しくていいですね。まだ人の少ない出雲大社に参拝(@粉雪)したあと、その隣にある島根県立古代出雲歴史博物館をのんびりと見学(暖房の効いた館内に一歩入るやメガネが真っ白に曇ってしまいました)。この博物館は各展示室のコースが回りやすい上に、解説も入念でわかりやすいばかりか、展示室ごとに説明をしてくれる職員の方が立っていて至れり尽くせりでした。

 青銅器の陳列に力が入れられていて、鉄の産出→鉄器の普及→出雲王朝の繁栄、といったあたりの紹介が物足りなかったものの、パソコンの動画で出雲に関連する様々な出来事を見せてくれたのは良かったです。個人的には「国譲り」神話の詳細を知りたかったので、このムービーは重宝しました。

 「国譲り」とは出雲を治めていた大国主命が大和政権に屈してその統治下に入れられてしまう、ということだと思うのですが、その過程が面白いのです(私の受けた印象で話を進めるので細部は異なるかも知れませんが)。

 大和政権から派遣された最初の進駐軍司令官は出雲入りしたら「喜び組」みたいなハニトラ接待でも受けたのか現地にすっかり馴染んでしまって、音信不通になってしまいます(笑)。そこで大和政権は第二の進駐軍司令官を派遣するのですが、これまた同様で3年経っても復命してきません(笑)。……私がいちばん好きなくだりです。

 3人目の建御雷神が現地入りすることで、出雲はようやく大和政権の軍門に降ります。大国主命の住まいとしてその要望通りに造られたのが出雲大社なのですが、御祭神にされたというのは要するに処刑されてしまったのでしょうか。

 出雲大社の宮司である千家はこれまた進駐軍の一派で、出雲大社は大国主命が祀られているとはいえ、それを司っているのは出雲を簒奪した大和政権側の人間ということになります(この千家の家系の長さも皇室並みですから無形文化財というか世界遺産モノです)。

 現代の出雲人がそのことや「国譲り」をどう感じているのか聴いて回ると、

「もう慣れてしまっていて」

「あれは神話だし」

 ……という人が多かったものの、「皇室なにするものぞ」という気概には少なからず接しました。「進駐軍め畜生」という意味の話をしてくれる人もいたのは楽しかったです。私にとっての出雲は、そうでなければなりません。

 博物館を出るとまた晴れ間の粉雪。ともあれ出雲市での用事は済んだので駅までトンボ返りし、天候が変わらぬうちにと松江へ戻って「松江ニューアーバンホテル別館」にチェックインしました。

 とりあえず温泉大浴場でひと風呂浴びて、散歩に出ようかと思ったらもう暗雲&宙を舞う淡雪。自室から一望できる宍道湖は強風ゆえに白く波立ち、水深の浅い湖底の砂が巻き上げられて泥のような色をしていました。サンセットどころではありません。

 ――――

 18日(金)の夕食はカウンター席だけの小さな料理屋。これが2度目になります。

 前回は宿泊した「ホテルルートイン松江」のすぐ近くにあったので、予約もせずぶらりと入ったら出てくる料理ひとつひとつが滅法美味なので驚きました。店内の雰囲気も和やか。非常に印象的だったので東京に戻ってググってみたら、小さいながらもドラマのモデルになった有名な店のようです。

 私の独断と偏見によって、松江で一番美味い店はここだ、と断じておきます。だって取材だもん経費♪……なのですが、ここに入って広東語を聞くのは真っ平なので、もちろん記事になんかしたりはしません(笑)。

 19日(土)は悪天候を物ともせず出雲蕎麦を食べに武家屋敷方面へと出撃したら案の定、八甲田山(笑)。蕎麦よりも寒さしのぎで一服したお茶屋さんで、堀川めぐりの屋形船を眺めつつ頂いた出雲ぜんざいや地元の銘菓「若草」が美味しかったです。

 この日の夕食は地元でも有名な料理屋。一人なのでカウンター席になったのが幸運でした。和食だと一応飲み物としてお酒を頼むのですが、私は松江なら「やまたのおろち」と決めています。五合ほど頂きました。酒量は大したことはありませんけどこの程度ならまず酔いません。

 ところが古社を愛してやまない板長兼代表取締役とのカウンター越しの会話で、神社と進駐軍についてすっかり意気投合してしまい、地元の古社についての耳寄りな情報をたくさん教えてもらって、これにはもう酩酊しました(笑)。

 滞在日程からするとかなりタイトになるのですが、これは行かねばなるまい、と決意した次第。まあ天候には恵まれていませんが「ユルユルマターリ」ペースなので何とかなるでしょう。目的を果たしたらこの店に再度立ち寄り板長兼代表取締役に報告するつもりです(笑)。

 昨日である翌20日(日)は午前中にホテルの中の人と仕事について打ち合わせをさせてもらいました。そのあと街に出たところ、時間潰しに入った喫茶店で隠岐出身のウエイトレスさんにこれまた魅力的なスポットを耳打ちされてしまいました。

 夕食の老舗寿司屋ではカウンターの隣席の戦前世代夫婦と松江の「街歩き」について盛り上がり、これまたオススメ情報を仕込まれる始末。

 どうも松江では接する人がみな私をこの地に長逗留させようと企んでいるように思えてなりません。

 それでも近づく滞在期限。私はいま、揺れております(笑)。





コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )