精神障害者らを受け入れている長野市地域活動支援センター「とがくししょうまの家」(長野市戸隠豊岡)の指定管理者に今月、地元住民らが作ったNPO法人がなった。一時、指定管理者が見つからず、閉鎖も検討されていたが、運営が続けられることになった。
同施設は1995年に旧戸隠村が開設。戸隠地区や周辺地区の精神障害者や知的障害者10人が利用登録している。利用者は社会参加や復帰に向け、他者と交流する場にしたり、職員のサポートを受けながら、高齢者施設や公衆トイレなどの清掃を請け負ったりするなどしている。
この施設は3月まで長野市の社会福祉法人が指定管理者になっていた。しかし、市街地から職員の通勤が困難などとして、今春の契約を更新しないことにした。市は昨年、指定管理者を募集したが、応募はなく、利用者を別の施設に移して閉鎖するか、直接運営するかを模索していた。
この状況を市から聞かされていた戸隠地区出身で保健師の橋詰ゆき枝さん(71)=長野市県町=は「施設が閉鎖されれば利用者が通えなくなり、引きこもりになるかもしれない」と、地元住民らと昨年11月にNPO法人「とがくししょうま」を設立。指定管理者を引き受けた。
旧戸隠村時代、施設の設置に関わっていた橋詰さんは「この施設があるから1人暮らしできている障害者もいる」と必要性を訴える。施設が地域の中にあることで「近所の人が利用者の様子を施設に教えてくれることもあり、症状の悪化を防げる」と語る。
職員の高齢化や活動資金など課題は残っている。しかし、今後は認知症患者の受け入れやグループホーム、地域住民との交流会など事業を広げる予定だ。「いろいろな障害の人が来られる場所にしたい。地域の人にももっと来てもらいたい」と呼びかけている。
【ガン・クリスティーナ】毎日新聞 2018年4月24日