ゴエモンのつぶやき

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「障害者の自立」今こそ叫ぶ 横浜の団体「じりたま!」設立15周年

2016年08月13日 04時06分01秒 | 障害者の自立

 障害者の支援サービスを障害者自らが提供し、国に制度改善も要望する「自立生活センター」を掲げる横浜市中区の「自立の魂(通称・じりたま!)」が今年、前身団体の設立から十五周年を迎えた。代表の磯部浩司さん(46)は、「障害者が活躍する社会」を目指して活動し、「介助の仕事は楽しいとアピールしていく」と意気込む。一方、相模原市の障害者施設で発生した殺傷事件に、強い憤りを感じている。 (志村彰太)

 自立生活センターは一九七〇年代に米国で登場した概念で、障害者を生活支援サービスの「受け手」としてだけでなく、「担い手」にもなるべきだとの考え方。日本には九〇年代に持ち込まれた。じりたまは全国組織「全国自立生活センター協議会」(東京都八王子市)に、横浜の団体として唯一加盟し、啓発や要望活動をしつつ、別に設立した有限会社で介護派遣事業を手掛けている。

 磯部さんは高校時代、所属する男子新体操部の練習中に、首を骨折し頸髄(けいずい)を損傷。四肢まひになり、現在も上腕以外は動かせない。「ずっと死にたいと考えていた。でも、四肢まひだから自分で死ぬこともできなかった」。七年ほど、自宅にこもる生活を経験した。

 九〇年代後半、自宅にパソコン通信を導入してから、社交的になり、仲間も増えた。大手IT業者の子会社に就職し、「働く喜びを知った」。同時に障害者は支援されるだけでなく、「働いて納税したいって人もいる」と強く感じた。

 障害者が自立した生活をするには、社会の仕組みや偏見を改善する必要があると考えた。「働こうにも適切な介助がなければ、働けない」。二〇〇一年に前身団体「横浜市在宅障害者の保障を考える会」を設立。翌年に現在の名称に変え、〇四年に会社を設立して介護派遣事業を始めた。

 介護派遣では自立生活センターの理念として、「対等の精神」を重視し、利用者に「お客さま」にならないよう説明し、できるだけ自立を促す。学校での講演や、職業実習生の受け入れなど啓発活動を通じて、偏見をなくすよう務めている。

 そんな中で発生した相模原市での殺傷事件に、「自己正当化した身勝手な犯行」と憤る。容疑者が抱いているとされる差別的な考えは、障害者が活躍する社会を目指す磯部さんの取り組みとは正反対だからだ。ただ、差別や偏見は「日本の社会構造が生み出したともいえる」と指摘する。

 「学校では障害児と健常児は分離されて教育される。そんな環境で育てば、偏見や差別が生まれても不思議ではない」と磯部さん。就労や就学がしにくい状況にあり、「障害者が頑張りたいと思っても、頑張れない社会の仕組みがある。障害や病気が重くても、社会の一員としての役割はある」と強調する。

 磯部さんは「健常者と同じスタートラインに立たせてほしい」と、行政に引き続き制度改善を要望する。「障害者が生きやすい社会は、誰もが生きやすい社会だ」。介護や介助に携わる人たちの待遇も改善し、偏見や差別をなくすことが、今回のような事件の抑止になると信じている。

2016年8月12日   東京新聞


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