ゴエモンのつぶやき

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財源なき社会保障 将来不安が増すばかりだ

2016年07月07日 02時22分52秒 | 障害者の自立

 日本が直面している最大の課題は、少子高齢化と人口減少の加速である。高齢者が安心して老後を送り、若者が希望を持って働き、子育てに取り組む。こんな当たり前で、活気ある生活環境をどう築いていくのか。原点は社会保障の充実のはずだが、参院選では具体的で実効性のある政策が聞こえてこない。

 先の見えない将来不安。国民が求めるのは、年金や医療、介護、子育て、少子化対策、さらに貧困と格差解消へ向け納得できるビジョンと制度設計である。

 その貴重な財源になる消費税を巡って、安倍晋三首相は6月1日、増税の2年半再延期を表明した。「世界経済が大きなリスクに直面している」が理由だが、2度の延期は経済政策のアベノミクスが十分機能していないことを象徴する。

 首相は「今こそアベノミクスのエンジンを最大にふかす」と述べ、社会保障充実へ「果実を使って最大限努力する」と訴えている。だが、果実がどれほど確保されるのか説得力がない。

 社会保障費を消費税増税で賄うというのは、2012年6月に旧民主、自民、公明の3党で合意した「社会保障と税の一体改革」である。国民への約束はいまや崩壊したも同然だ。

 社会保障費は国の一般歳出の半分以上を占める。今後も毎年1兆円規模で膨張し、団塊の世代が75歳以上になる25年には医療費は現在の約1・4倍、介護費は約1・9倍に増えると見込まれている。

 政策や財源確保に遅滞は許されない。増税を見込んだ社会保障改革が既に動きだしているからだ。

 消費税10%を根拠にした充実策をみると、年金では低年金者や障害者らに最大で月5千円を加算。500万人以上が対象となる。年金の受給資格期間も25年から10年に短縮し、10年以上の加入期間があれば支給する。これで約17万人が無年金から救済される。

 介護では低所得者の保険料の軽減措置を拡大。対象者は1千万人以上に上る。これら諸施策が足踏みすれば、国民の不安と不信感はさらに増幅するだろう。

 拡大を続ける社会保障制度を維持するには、消費税率は30〜40%程度必要と指摘される。少子高齢化が進めば、医療・介護の保険料や自己負担が増加する上、給付減やサービス低下など痛みを伴う施策が生活を圧迫することになろう。

 選挙では社会保障充実に関し、与党は政策ごとに優先順位を付け、財源は赤字国債に頼らず安定財源を確保するという。民進党は行政改革と身を切る改革徹底で捻出し、予定通り来年4月からの実施を明記。他党も制度充実を訴えるが、財源確保の道筋は見えない。

 1965年には現役世代9・1人で高齢者1人を支えた「胴上げ型」が、2012年には2・4人の「騎馬戦型」に、50年には1・2人の「肩車型」になるという。果たして現役世代には負担増に見合うサービスが確保されるのか、新有権者はその将来像を冷静に見つめ、声を上げてほしい。

福井新聞    2016.7.6


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