札幌軟石の歴史を伝える市民団体「札幌軟石文化を語る会」の小原恵さん(41)=札幌市南区=が12月1日、障害者と一緒に軟石の雑貨を作る工房「軟石や」を同市西区に開設する。障害者が働く場所づくりと軟石の端材の有効活用が目的で、今後、販売先の開拓にも力を入れる。
札幌軟石は南区石山地区で採掘され、明治期の洋風建築などに多用された。小原さんは2011年から軟石を切り出す石材会社に勤める傍ら、自宅で端材を使った雑貨づくりに取り組んできた。雑貨は観光施設などで販売。評判は口コミで広がり、需要の多さに製作が追いつかない状況となっていた。
工房の開設は、障害者自立支援施設の運営法人やよい(中央区)から障害者の職場づくりへの協力を依頼されたことが発端。石材会社を退社し、やよいが管理する西区発寒の施設内に工房を開くことにした。雑貨は、家の形に加工した軟石にアロマオイルを染み込ませて香りを楽しむ「かおるいえ」(500~2千円)や、軟石をくりぬいた植木鉢(千円)など。「かおるいえ」はかわいらしさやレトロ感が好評で、毎月製作する250個が完売する人気ぶりだ。
工房の広さは約40平方メートル。ここで働く障害者は、軟石の形を整える作業のほか、塗装や包装などを担当する。小原さんは「札幌軟石の建造物は年々減っている。軟石を身近に感じてもらう雑貨を通じて、その建造物を守る機運を高める一助になりたい」と話し、雑貨販売に協力してくれる小売店を探している。販売の協力や問い合わせは小原さん(電)090・9425・0573へ。
「札幌軟石は4万年かけて形成される。端材の有効活用の輪を広げたい」と話す小原恵さん
(11/28 16:00) 北海道新聞
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