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「助けて!」と言える共生社会へ-福祉大国デンマークから見た日本の課題

2010年07月31日 01時38分04秒 | 障害者の自立
 NPO法人地域生活サポートセンターは6月29日、東京都内でシンポジウム「デンマークの認知症ケア 医療・ケアサポート最前線」を開催した。「福祉大国」とされるデンマークから認知症ケアの専門家などを招き、日本の高齢社会における課題が議論された。専門家らは、認知症の人や家族が国や周囲に「助けて!」と言える真の共生社会へ転換する必要性などを指摘した。

 基調講演では、バンク・ミケルセン記念財団の千葉忠夫理事長が、幸せな国や国民の条件について考えを述べた。千葉氏はデンマークを例に、幸せな国は社会福祉国家であるとした上で、その条件は徹底した民主主義の考えに基づく共生社会であるとした。

 さらに、共生社会という意味で、日本は高齢者や障害者を含むすべての国民への福祉政策が不十分だと指摘。ただ、「何のための教育か」や「政治参加への無関心」「男女差別」など、共生社会を考える上で福祉以外にも考えるべき論点があり、これらを含め総合的に未成熟な共生社会だとした。

 専門医や訪問看護師などから成る「地域高齢者精神医療班」の認知症スーパーバイザーであるミアヤム・ゲーテ氏と、認知症コーディネーターのビアタ・ステンセン氏が、デンマークの認知症ケアの現状について解説した。デンマークは、可能な限り在宅介護を行うことが基本理念にある。しかも、在宅で寝たきり状態にある高齢者は、ほとんど存在しないという。社会保障をベースに、地域による介護支援の取り組みとシステムが進んでいるからだ。

 このため、在宅ケアが難しい認知症であっても、認知症の人を中心に、家庭医、地域高齢者精神医療班、日本のケアマネジャーに相当する在宅ケアの判定を行う「判定員」、地域のボランティアなどが連携し合う地域システムが確立しているという。ステンセン氏は、医療と介護の連携基盤をベースに手厚い地域支援を加えることで、「介護のストレスから本人と家族を解放できる」とした。

 パネルディスカッションでは、デンマークの認知症ケアを紹介するとともに、日本の介護や共生社会の課題などについて話し合われた。

 デンマークでは国民全員に家庭医を登録する制度があるため、家庭医が認知症を発見することが多い。家庭医は地域高齢者精神医療班と連携し、さらに在宅介護サービスなどを提供する認知症コーディネータなどが連携し合う。理学療法士の役割も大きく、理学療法士のベンテ・フランセン氏は、「75歳以上の高齢者を年2回訪問することで、入院や施設入所を半減できる」などと解説した。

 会場からは、日本の介護殺人や男性高齢者の孤独死が相次ぐ悲惨な現状をどう思うかとの質問があり、ゲーテ氏は「介護殺人のような悲惨な話は聞いたことがない。デンマークには、そうなる前の国や地域によるケアがある。認知症になったことや、苦しい介護の現状を隠さず、日本はもっとオープンに『助けて!』と言える真の共生社会を目指すべきだ」と答えた。

 議論を受け、新田クリニックの新田國夫院長は、「日本は制度に規制される社会だが、デンマークは制度を活用する社会。デンマーク国民が政府を信用しているのに対し、日本は国民が政府を信用せず、また、政府も国民を信用していない。福祉国家デンマークを学ぶと、日本はこの問題について今後、どうすればいいのかという問題に直面する」と締めくくった。




( 2010年06月29日 20:37 キャリアブレイン )


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