ゴエモンのつぶやき

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2011年11月21日 01時19分51秒 | 障害者の自立
 ◇「仲間」と出会い克服

 08年春、筑波技術大に入学し、聴覚障害者のダンスサークルに入会した竹下善徳(21)に09年3月、転機が訪れた。

 竹下らが踊る「ポップジャンル」に、筑波大のダンスサークルが注目。「一緒に練習しないか」と声をかけられたことから、健聴者との練習が始まった。それから間もなく、教室で行われたダンスサークルのミーティングでのことだった。

 参加者約50人から、さまざまな発言が飛び出す。黒板に書き出されることもなく、話し合いは進んだ。竹下は全く理解できないでいた。またか--。そう思いかけた時だった。

 「今の、分からなかったよね」。隣に座った健聴者のメンバーが竹下の正面に座り、ジェスチャーを交えて口をはっきり大きく開けながら、イベントの集合場所や時間などを伝えてくれた。あきらめていた健聴者側からの歩み寄りが、さりげなく示された瞬間だった。

 「竹下君は少し聞こえないだけで変わらない。ダンス仲間だ」。筑波大4年の三木雄大(22)は言う。竹下と出会うまでは、身近に聴覚に障害を持つ人がいなかったため、手話は全く分からなかった。でも竹下と一緒にペアで踊っていくうち、自然と手話に興味を持ち、少しだが覚えて会話できるようにもなった。

 そうやって竹下と健聴者メンバーとのコミュニケーションは、次第にかみ合っていった。ダンスでよく使用する手話を覚えてもらい、話すスピードが速い人には何度も聞き返し、ゆっくりと口を大きく開けてしゃべってもらうよう何度も繰り返して伝えた。周囲にそれを受け入れる空気があったからこそできた。

 11月のある日、筑波大での練習風景。ビートの利いた音楽が流れる教室で、健聴者に交じって踊る竹下。2~3人1組でそれぞれ1人ずつランダムにかけられる曲に合わせてダンスを披露する時は、健聴者が竹下の肩をリズムに合わせてたたいたり、大きな身ぶりで手拍子をしたりして視覚的にリズムを伝える。

 聴覚障害者を理解しようとするメンバーとの出会いによって、積極的に自分の意思を伝えることができるようになった竹下。健聴者との壁が少しずつ低くなり、さまざまな人と接することで「視野が広がった」という。

 障害者と健常者が共に生きる社会にとって、人々の意識、心の変化こそが必要不可欠。ささいなきっかけでそれが実現可能であることを、竹下の経験は教えている。(敬称略)

毎日新聞 2011年11月20日 地方版



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