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社説:障害者雇用 就業環境整え推進図れ

2012年05月26日 00時49分04秒 | 障害者の自立

 2013年度から障害者の法定雇用率が引き上げられる見通しとなった。法定雇用率が見直されるのは15年ぶりのことだ。障害者の就労意識の高まりを受けたものだが、企業は社会的責任を果たすためにも、障害者の雇用拡大に努めてほしい。

 障害者雇用促進法は、事業所に身体・知的障害者の雇用を義務付けており、法定雇用率(全従業員に対する障害者の割合)を民間企業1・8%、国と地方自治体2・1%、都道府県等の教育委員会2・0%と定めている。今回の見直しは、率を各0・2ポイントアップさせるもので、民間企業は2・0%となる。厚生労働相から諮問された労働政策審議会の分科会が了承した。

 雇用が義務付けられる企業の規模も従業員「56人以上」から「50人以上」に引き下げられる。対象企業が広がり、雇用機会が増えることを期待したい。

 健常者と障害者が社会生活を共にするノーマライゼーションを進めるには、障害者雇用の推進が重要となる。制度が見直されても、実際に雇用が拡大しないことには意味がない。各種支援策を通じた政府の強力な後押しが欠かせない。

 雇用率を超えて障害者を雇った企業に対する調整金や雇い入れのための施設整備に関わる助成制度などの拡充が待たれる。

 民間企業による昨年の障害者雇用数は8年連続で過去最高を更新。着実に進展してはいるが、雇用率(昨年6月現在)は1・65%だった。法定雇用率を達成した企業は45・3%と半分に満たない。大企業の雇用が拡大傾向にあるのに対し、長引く不況で経営が厳しい中小企業の雇用が進まないのが一因とみられる。

 それは中小企業が多い本県の数値からも明らかだ。昨年の県内企業の障害者雇用率は1・53%で全国平均に及ばず、制度ができてから36年連続で法定雇用率に達していない。本県を含め全国の中小企業対策をいかに進めるかが障害者雇用拡充の鍵を握る。

 就労先が医療・福祉と製造業、卸売業・小売業など特定業種に偏っているとの指摘もあり、受け入れ先の業種の新規開拓も重要となる。

 県や県内市町村の雇用率は2・05%で法定雇用率をわずかに下回り、県教委は法定より0・16ポイント低い1・84%だった。本来、率先して障害者雇用に取り組むべき公的機関が法定雇用率を下回ることはあってはならず、雇用拡大に努めてもらいたい。

 全国では、雇われている障害者の約8割が身体障害者といい、知的障害者の就業推進や、雇用の義務付けがない精神障害者の雇用機会拡大に向けた論議も深めるべきだろう。

 障害者が能力を発揮しやすいような就労条件や職場環境の整備などに関する政府の支援策と企業側の努力は当然として、それを周囲から支援するための健常者の意識改革も必要だ。

秋田魁新報 - (2012/05/25 付)


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