ゴエモンのつぶやき

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マニフェストと現場(1) 職業訓練施設で

2009年08月21日 00時51分33秒 | 障害者の自立
 「初の本格的マニフェスト選挙」ともいわれる今回の衆院選。有権者が各党の“約束”を吟味する姿勢には、かつてない厳しさと真剣さが漂っている。福祉や子育て、高速無料化など、与野党で主張が対立する「争点の現場」を追ってみた。

働く喜び障害者に
就職に向け、職業訓練に励む障害者たち=浜松市北区細江町で


 「ゴーッ」。糸車がうなりを上げる中、障害者たちが職業訓練に励んでいた。

 浜松市北区根洗町にある多機能型就労支援施設「ナルド工房」。巻き終わった糸車を交換するなど単調な作業が中心だが、表情は明るかった。“卒業”の先に就職が待っているからだ。

 「3年前の障害者自立支援法の施行をきっかけに、何かしてもらう側から自分でする立場に変わり、顔つきが変わった。言葉数も増えた」

 傍らで見守る工房センター長の上原久さん(47)は解説した。そして、こう続けた。

 「政権選択が問われる今回の選挙と同様に、障害者福祉も時代の変わり目を迎えていると思う」

    ◇

 障害者たちにとって今、最も身近な法律は、上原さんが話した自立支援法だろう。小泉改革路線を受け継いで2006年に施行された。

 一般的には「障害者の負担増を招いた」と悪名が高い。従来は無料だった福祉サービスに一割負担が導入されたことが大きい。衆院選のマニフェストでも、民主は廃止による新法制定を唱え、制定者である自民自身でさえ改正による充実強化を目指す。

 だが、上原さんはこの法律に好意的だ。「働ける障害者がいるはずだ-と、障害者に光を当てた」

 評価しているのは、一定規模の企業に障害者の雇用を義務づける「法定雇用率」と連携させ、障害者の「働く喜び」が長く続くよう図った点だ。施設としても、就職実績に応じて交付金が出るようになり、意欲が高まっているという。

 実際、工房は07年の設立から2年間で24人の障害者を企業に送り出す中で、着実に交付金を得て、より多くの障害者に訓練の場を提供する財源を得ている。

 障害者たちも法定雇用率のおかげで、不況下でも全員が働き続けている。

 厚生労働省の最新データ(08年6月1日現在)も、こうした状況を裏付ける。民間企業(社員56人以上規模)で働く障害者は全国で32万5000余人で、同法施行前の05年より5万6000余人も増えた。実雇用率も05年より0・1ポイント上昇して1・59%。法定雇用率1・8%にはまだ満たないものの、着実に増えている。

 負の部分があるのは間違いない。指摘されるのは職業訓練の際の工賃の安さ。施設利用の自己負担金を差し引くとゼロになることもあり、障害者自身や、その将来を心配する親たちを嘆かせる。

 施設側にしても、山間部など利用者が少ない場合、十分な交付金収入が見込めず、撤退を余儀なくされかねない。

 それでも上原さんは「地域で生きていくには、自立を促すような法律が必要だ」と強調する。だから、各党のマニフェストが掲げる「支援強化」に期待をかけている。 


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