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「グロテスク」桐野夏生著、読んで見ました。

2008年04月27日 | *本*BOOKS*

「グロテスク」桐野夏生著、読んで見ました。



「グロテスク」桐野夏生著、読んでみました。

以前読んだ「村野ミロ」シリーズの顔に降りかかる雨」「天使に見捨てられた夜とは全く違うテイストで初めは少し戸惑いましたが、“私は男に人を見るたびに、この人と私が子供を作ったら、いったいどんな子供が生まれるのだろう” の出だしで始まる、全体を通して漂う不気味さ、薄暗く、乾いていながらも何か粘着的な雰囲気のストーリーにすっかりはまり込んでしまいました。

40歳でも処女の「わたし」と、凄まじいまでに美しい妹「ユリコ」とのエピソードを中心に、「東電OL殺人事件」の被害者を想像させる「和恵」「オウム真理教」の出家信者を想像させる「ミツル」
など主力級の登場人物以外にも、彼女らを取り巻く「ひと癖もふた癖も有る」サブキャラクターたちも物凄くインパクトの強い人たちで、一瞬たりとも退屈にはさせてくれません。

それぞれのキャラクターが自身で、手紙で、手記で或いは日記で、自己を或いは他人を回想しているのですが、どれもが刺激的か、嫌らしいか、胡散臭か、自己防衛的かで、また、それぞれの回想が辻褄が合っていないあたりがこの物語の魅力を増幅させているように感じます。

Q女子高(慶応女子?)」時代の彼女らのエピソードは圧巻で、下らなくも気が滅入って来そうな位切実な「階級」について、細かくリアルに厭らしく書き上げた辺りは作者に脱帽です。

この話を読んでいる限りは、個人的には主力級の「わたし」「ユリコ」「和恵」3人と「ミツル」が、誰もが憧れる「Q女子高卒」でありながら、とてつもなく「壊れてしまった」のは、彼女らの家庭や、学生時代の環境に起因するのではないと思う。

実際は「壊れてしまった」のではなく、もともと「壊れていた」彼女らに拍車をかけていただけの事の様に感じました。何はともあれ久々に物凄く「面白い本」に出会えて嬉しくなっています。






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