風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

卵と飴玉

2012-02-05 22:33:40 | 家族
      すき焼きの際に生玉子を洗うと言ったら、
      びっくりされたことがある。

       洗うのが当たり前と思っていたから、
       びっくりされたことにびっくりした。
     
        ホントは、どちらでもいいことなのかも知れない。
      どちらが正しくて、どちらが間違いというようなことではないのだろう。

       そういうことはどっちでもいいのよ、
     と鷹揚に言えるようになったのは、齢をとった証拠である。
      若いうちは、つまらんことで我を張った。

       若いときから、かくのごとく鷹揚であったなら、
     風子の人生も、もう少しマシだったかもしれない。
     もうあまり先がない今ごろになって、ようやく気づいた。

      ところで、今日、ショッピングセンターの中で、
      乳母車の母子に出会った。
 
      何かのはずみだろう、
    子供の口から飛び出した飴玉が、床に落ちて転がった。

      母親は、風子の見ている前で、
    あっというまもなく、これを拾いあげ、
    子供の口に、ぱっと放りこんだのである。

      驚いたなあ。人が土足で往来する床である。
       風子には出来ない。
    
     しかし、これが悪いか? この子が明日、お腹をこわすか、
     といえば多分、そんなことはないのだろう。

      考えてみれば、
    海外でお腹をこわすのは決まって日本人だというから、
    こういう育ち方をした子の方が、
    行く末、海外で通用する国際人になるのかもしれない。
 
      それにしてもびっくりしたなあ。もう。
     いや、いや、こんなことでびっくりしていてはいかん。
     この先、どんな老人ホームでお世話になるかもしれん。

    車椅子に乗せられたら、口から飴玉でも落とさないように気をつけよう。

着信音

2012-02-01 21:59:24 | 家族

      自宅の電話機を買い換えたので、
    相手がわかるように、着信音の設定をした。

      自分の友だちからの電話には音楽が鳴るようにした。
        連れ合いのじいさんの関係は、
   これまでどおり、ピヨヨ~ン、ピヨヨ~ンという呼び出し音である。
 
      その他は、ピーポー、ピーポーとサイレンの音である。

     やれやれ、これで、友だちに、じいさんの不機嫌な声を聞かせないですむ、
       と、安心した。

        ところが、うちのじいさん、
     ピヨヨ~ンでもピーポピーポでもチャララチャララでも、
     おかまいなしに取るのである。

      「音楽のときは取らんでいいって言ってるでしょ!」
      「あんたが、さっさと取らんけんたい」 
       我が家はなんでも喧嘩の種になる。

      ああ、これでは、バッハが泣くなあ。
    ちなみに、ばあさんの着信音の曲名は、主よ人の望みの喜びよ……なのである。