風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

これでいいのか

2012-02-21 21:24:10 | 俳句、川柳、エッセイ
       昔、テレビが普及し始めたころ、
    こんなものを見ていたら、一億総痴呆化するなどと言われたものである。
 
      パソコンの場合は、そうは言われなかった。
    使いこなせる人間が賢そうに見えて、使えない人間は肩身の狭い思いをした。

         しかし、本当にそうだろうか。

         古い手紙を整理している。
     父も母も、私だって、み~んな、むかしは今よりずっと忙しかった。
     母なんか、いつ寝て起きるのかわからないような暮らし方をしていた。
         それでも、
  今から、お風呂ですが、その前に一筆と……と便箋に二枚も三枚もの手紙をくれた。

          肉親からだけではない。
      共稼ぎで働いていた友だちからも、
    風子さん、しばらくお便りがないので、心配しています、
    こちらは組合の勉強会とかもあって大変ですと、
    細かい字でびっしり近況を書いてくれた。
 
   風子も、画数の多い文字を、辞書を片手に返事を書いた覚えがある。

      今は、たいがいのことをメールですます。
       文字を書くことなど滅多にない。

    宛先だって、パソコンに入力してある宛名ラベルをぺたっと貼るし、
  電話番号だって機械が覚えていてくれるから、人間は何も覚えないでも用が足りる。

        そればかりではない。
   便座の蓋は近づくだけで、自動的にパッとあがるし、
        風呂が沸けば、
  ピヨヨ~ン、ピヨヨ~ン、オフロガワキマシタ、オフロガワキマシタ
       と知らせてくれる。

      便利便利というが、 これでいいのだろうか。
     本来人間に備わっている知恵も体力もこれでは退化するのではなかろうか。

       考えてみれば、空恐ろしい。
      
      てな、ことを考えて、風子ばあさんは今夜も寝つきが悪いのである。
 
コメント (1)
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