風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

うちのきょうだい

2018-11-07 15:09:48 | はらから集いてソウル

 弟は、病弱で早逝させた長女のことも、

ひとり息子がどうしているかもあまり話したがらない。

わたしの88歳になる夫がどうしているかも訊かない。

離婚再婚した妹のこともあれこれ訊かない。

お互いきょうだいにしては距離を保ったつきあいである。

 その弟も、器量よしで賢い薬学部を卒業した遙ちゃんのことだけは

嬉しそうに話すことがあった。

その自慢の娘が、国籍の違う男と結婚するといって、

弟が、すんなりよろこんだとはとても思えない。

 たぶんすったもんだの末の結婚だったはずである。

 しかし、いまはマティーニのグラスで婿さんとふたり

嬉しそうに乾杯している。

婿さんは弟の好きなビールの銘柄も、焼酎の好みもすっかり心得ていて、

痒いところを搔くがごとくに世話をする。

いささか気難しい弟とすっかり意気投合している。

 ソウルの街は橋が多い。

ラウンジからの夜景にもライトアップされた橋が観える。

朝になれば新しい斬新なデザインが多いビルの街になる。

 今朝6時過ぎにホテルの部屋からみごとな朝日が昇るのを見た。

振り返れば夜の景色が朝を迎えるように、

昼の街に夜がくるように、人の一生が過ぎていく。

     


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