弟は、病弱で早逝させた長女のことも、
ひとり息子がどうしているかもあまり話したがらない。
わたしの88歳になる夫がどうしているかも訊かない。
離婚再婚した妹のこともあれこれ訊かない。
お互いきょうだいにしては距離を保ったつきあいである。
その弟も、器量よしで賢い薬学部を卒業した遙ちゃんのことだけは
嬉しそうに話すことがあった。
その自慢の娘が、国籍の違う男と結婚するといって、
弟が、すんなりよろこんだとはとても思えない。
たぶんすったもんだの末の結婚だったはずである。
しかし、いまはマティーニのグラスで婿さんとふたり
嬉しそうに乾杯している。
婿さんは弟の好きなビールの銘柄も、焼酎の好みもすっかり心得ていて、
痒いところを搔くがごとくに世話をする。
いささか気難しい弟とすっかり意気投合している。
ソウルの街は橋が多い。
ラウンジからの夜景にもライトアップされた橋が観える。
朝になれば新しい斬新なデザインが多いビルの街になる。
今朝6時過ぎにホテルの部屋からみごとな朝日が昇るのを見た。
振り返れば夜の景色が朝を迎えるように、
昼の街に夜がくるように、人の一生が過ぎていく。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます