風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

見舞い

2010-08-03 23:18:04 | 健康
 検査入院中の親戚のじいさんを見舞った。
彼は高血圧と糖尿病と腎臓の数値が悪い。
つまりは体重を減少させ、塩分を控えなければいけない。
 
 彼に許された塩分は一日たったの2グラムである。
2グラムとは大きい梅干し一個分である。
病院食はこれを厳密に実行しているから超薄味で旨くない。
 
 病院の一階には売店がわりのコンビニがある。
じいさんは、ここで塩昆布を買ってきて隠し持つ。
「風子さん、うちのヨメさんにはナイショだぞ」
 
 入院を嫌がるじいさんは医者とヨメさんに無理やり入院させられている。
じいさんは、看護師長にうるさく退院をせまっていたそうで、若い主治医が様子を見にきてくれた。
「××さん、もう4,5日我慢しませんか、糖尿病教室や食事指導などのメニューもこれからなんですよ」
「いやあ、先生、私は金のなかですもんな。入院費が払えんとですよ、帰らしてつかあさい」
「××さん、お金と命とどっちが大事ですか」
「しかし先生、人間の寿命というのは決まっとりますもんなぁ、入院してたから長生きするってもんでもなかですばい」
 じいさんは孫ほどの齢の先生を言いくるめようとする。
「××さん、私の身にもなっていただけませんか」
 若い先生はおろおろと食い下がる。

 ちなみにじいさんは、ときどき風子ばあさんにも小遣いをくれる金持ちで、いつ死んでもいいが口癖なのである。
 こういうじいさんをいつまでも入院させているから、医療保険は赤字が続くのである。
じいさんやばあさんは好きにさせたらいいのである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿