「代用食」とは戦中戦後の食糧難のころ、
おもに米飯のかわりに主食にした芋や南瓜をさすことが多い。
芋はまだいいほうで大根とか大根菜とか草まで食べた時代である。
米のかわりといえば、今の人はほかにオカズでもあるように想像するかもしれ
ないが、芋なら芋だけが、ごろりとお膳の上に出る。
一個づつとか半分づつとか決められた分量しか食べられないから、
きょうだいで大小をにらみ、早い者勝ちでさっと手が出た。
一度、米のかわりに乾パンが配給されたことがある。
なぜか母は、その乾パンをそれぞれの茶碗に入れて出した。
これがご飯だよ、というつもりででもあったものか。
乾パンは茶碗の中でカラカラ音がした。
それがその日の食事のすべてであったが、
芋ばかり何日も続いたあとだから、
忘れられないほど嬉しい代用食だった。
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