風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

代用食

2018-07-13 09:29:20 | 昭和つれづれ

                      

 「代用食」とは戦中戦後の食糧難のころ、

おもに米飯のかわりに主食にした芋や南瓜をさすことが多い。

芋はまだいいほうで大根とか大根菜とか草まで食べた時代である。

米のかわりといえば、今の人はほかにオカズでもあるように想像するかもしれ 

ないが、芋なら芋だけが、ごろりとお膳の上に出る。

一個づつとか半分づつとか決められた分量しか食べられないから、

きょうだいで大小をにらみ、早い者勝ちでさっと手が出た。

一度、米のかわりに乾パンが配給されたことがある。

なぜか母は、その乾パンをそれぞれの茶碗に入れて出した。

これがご飯だよ、というつもりででもあったものか。

乾パンは茶碗の中でカラカラ音がした。

それがその日の食事のすべてであったが、

芋ばかり何日も続いたあとだから、

忘れられないほど嬉しい代用食だった。


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