風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

ギター歴

2010-05-12 22:11:44 | ギター、映画など他
 道楽にギターを弾く。
 たいがいの人が、「もう何年くらいしていますか」と訊く。
 これがつらい。長年やっていれば上手なはずと相手は思いこんでいる。
 ところがそうはいかない。

「ええ、まあ、長いばかりで」
 
 と答えても、まだ追求してくる人がいる。仕方がないから、

「さあ、十年は超えているかしら」
 
 とかわす。実は私のギター歴は、もう少し長い。
この根性はなんだかいやらしい。
 長くやっているんですが、こんなに下手なんですよ、と正直にご披露する潔さがない。

 人前での演奏となると、足が震える。
足の震えはまだいいとしても手が震えて弦に指が届かない。
弾く方も聴く方も気持のいい演奏にはほど遠い。

 一人静かに爪弾いて、人前では弾かないことにすればいいが、練習した成果は聴いてもらいたい気持ちが少しだがある。

 幸いなことに長年のギター仲間がいるので、このごろはもっぱら合奏のお付き合いをして、独奏はご勘弁願っている。

 合奏も、これはこれで難しいが、それでも一人で弾くより、はるかに心理的負担が軽い。
それなりの発表の場にいたるまでのその過程が楽しい。
 
 自分のパートが間違いなく弾けるようになると、そのうち、周りの音が聞こえるようになる。
互いの音が合い、響きあうのを確かめて、次ぎのフレーズに入りこんでいく呼吸があったときなど、痺れるような快感がある。

 少しずつ曲が仕上がっていくのを実感して喜び合える仲間がいて、風子ばあさんはなかなか齢をとれないのである。


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