古いミシンを捨ててから十余年が過ぎた。
幸い、器用で親切な友だちが近くにいて、
たいがいの仕事は引き受けてくれる。
時にはリフォーム屋さんに頼むこともある。
この間から、風子は、生成色の木綿のしっかりした生地のシーツがほしい。
探してもなかなか見つからない。
ミシンがあればねえ、生地を買ってきて、だーっと縫えばいいんだけど。
親切な友だちは、いいよ、持っておいでよ、と言ってくれる。
「しかしねえ。いつもいつもで悪いよねえ、ミシン買おうかな」
「やめとき、やめとき、この齢になっていまさら」
でも、ほしいとなると我慢ならないのが風子ばあさんである。
「ねえ、明日、ミシン屋さんに連れてってよ」
風子は運転をしない。友だちは運転をする。
「風ちゃんは言い出すときかないもんね、分かった、
今晩ミシン屋さんの場所を調べとく。明日10時に迎えに行くから」
その晩、寝ながら考えた。
風子は腰が悪い。ミシンは重い。
ミシンが来たら、どこに置くか、
置いたミシンを使うときは、しかるべき卓上まで持ち上げないといけない。
う~ん、重いよねえ。
今朝、友だちが、ププッとクラクションを鳴らして迎えに来てくれた。
「いつもありがとね、ゆうべ考えたんだけどさ、
ミシンって重いよねえ、十年なくても暮らせたよね」
「だから、やめときって言うとるでしょ」
「そうね、やめよう、でも、せっかく迎えに来てくれたんだから、映画行こう、高倉健のあなたへ……」
急遽、予定を変更して映画を見て来た。
久しぶりの健さんはだいぶ老けてはいたが、なかなか渋くてよかった。
誰でも、齢はとるんだなあ。
幸い、器用で親切な友だちが近くにいて、
たいがいの仕事は引き受けてくれる。
時にはリフォーム屋さんに頼むこともある。
この間から、風子は、生成色の木綿のしっかりした生地のシーツがほしい。
探してもなかなか見つからない。
ミシンがあればねえ、生地を買ってきて、だーっと縫えばいいんだけど。
親切な友だちは、いいよ、持っておいでよ、と言ってくれる。
「しかしねえ。いつもいつもで悪いよねえ、ミシン買おうかな」
「やめとき、やめとき、この齢になっていまさら」
でも、ほしいとなると我慢ならないのが風子ばあさんである。
「ねえ、明日、ミシン屋さんに連れてってよ」
風子は運転をしない。友だちは運転をする。
「風ちゃんは言い出すときかないもんね、分かった、
今晩ミシン屋さんの場所を調べとく。明日10時に迎えに行くから」
その晩、寝ながら考えた。
風子は腰が悪い。ミシンは重い。
ミシンが来たら、どこに置くか、
置いたミシンを使うときは、しかるべき卓上まで持ち上げないといけない。
う~ん、重いよねえ。
今朝、友だちが、ププッとクラクションを鳴らして迎えに来てくれた。
「いつもありがとね、ゆうべ考えたんだけどさ、
ミシンって重いよねえ、十年なくても暮らせたよね」
「だから、やめときって言うとるでしょ」
「そうね、やめよう、でも、せっかく迎えに来てくれたんだから、映画行こう、高倉健のあなたへ……」
急遽、予定を変更して映画を見て来た。
久しぶりの健さんはだいぶ老けてはいたが、なかなか渋くてよかった。
誰でも、齢はとるんだなあ。
私も何度も使わないのに調子がおかしくなりました。
親切な友人がいらっしゃて、リホーム屋さんもあるのならミシンは不要だと思います。
「あなたへ」面白くて良かったですね。
人間の体も、歩かないと足が弱る、
家も人が住まないといたみが早い。
ミシンも、がんがん毎日つかってたら
よかったのかもしれませんね。