風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

唄う犬

2010-05-15 11:53:39 | ギター、映画など他
 歌を唄うと犬に吠えられる、というエッセイを読んだ。
なんだ、犬にはそういう習性があるのかとほっとした。
 
 私はギターを少し弾くのだが、これに必ず隣の犬が吠える。
調弦を始めるともうそれだけで、犬の方もウーウーと発声に入り、曲を奏ではじめるとワンワンと鳴く。
 私の演奏が下手だからかと思っていたが、そのエッセイを読んで、そうでもないのかもしれないと思い直した。
 
 あらためて犬の声を聞くと、曲によってワンワンがウォーン、ウォーンになったりすることに気づいた。
 犬はあきらかに曲を聴き分けているのだ。一緒に歌ってくれている。
 
 長い間、犬に吠えられるたびに、飼い主に気兼ねだったが、これで安心して弾けると思った。
だが、しかし、待てよ、である。
 私にはそれが分かるが、飼い主の方はどうだろうか。

 やっぱり犬に吠えられるような演奏は止せばいいのにと思っているかもしれない。
 
 ある作家の奥さんが、フルートを習いたいと言い出し、彼が、勘弁してくれよと、習字に替えてもらったというエッセイも読んだ。
 
 勘弁してくれよ、がおかしかった。
私も、実はピアノが習いたかったのだが、夫がピアノは勘弁してくれよというので、ギターになったいきさつがある。
 
 いずれにしても、音が出る趣味は、ハタ迷惑ということだろう。
定年を迎えた夫は家にいることが多くなった。
 若い頃は夫が出勤したあとに練習が出来たが、今はつい遠慮がちになる。

 クラシックの名曲も、ぶつ切りにそこだけ何度も繰り返して練習するので、横にいる夫から、演歌の方がええなあ、などと言われる。
 年をとって趣味を続けるのも中々に骨が折れることなのである。


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