風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

英語が喋れる

2010-09-26 11:13:06 | 旅行
 カンボジアへは、英語がかなり喋れる友だちと二人で行った。
観光地ならどこへ行っても、ある程度は英語が通じる。

 風子ばあさんはイエスとノーとトイレットしか言えない。
だいたいにおいて、旅先では何かを押しつけられたり売りつけられたりすることが多いので風子ばあさんは用心深く、ノーを連発する。

 見かねた連れから、フーちゃん、あまり、ノ―、ノ―、言わない方がいいよ、失礼なんだよと、たしなめられた。

 シェムリアップ市内のホテルで、夕食になった。
目の澄んだ彫りの深いカンボジア人らしいウエイターが、うやうやしくメニューを届けてくれた。

 開けてみたが、現地語らしくて、英語が出来る連れにも、何が書いてあるのか、さっぱりわからないという。

 日本の旅行社との話では、全部セットになっているはずだったが、ウエイターの示すメニューの数字は、日本円に換算すると数千円、現地ではかなりの高額料金である。

 ねえ、これって、オプションだろうか? 顔を見合わせた。
日本の旅行社からは、全食事つきと聞いてきたのですが……という意味のことを、連れが英語で訊ねた。

 カンボジアのウエイター氏は、困ったような顔をして、再度メニューを指さすだけである。

 思案したあと、彼女は、訊きなおした。
 
 ペイ? ノー・ペイ?
 オー・ノー・ペイ。

 やっと通じて、彼は嬉しそうなほっとしたような顔した。

私の連れの流暢な英語は通じず、片言のノ―・ペイだけなら通じたのである。

 しかし、ノー・ペイが言えるからこそ、彼は、英語が喋れる人としてホテル採用になったのであり、彼の地では、ホテルマンはエリートの部類に属する安定した職業なのである。

 英語は流暢でなくともよろしい……という実例である。


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