風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

記憶

2012-02-20 17:17:38 | 友情
      毎週会っているクミちゃんからの古い手紙が出てきた。
     便箋三枚の入った封筒を見るまで、貰った記憶がないのである。

      綺麗な文字でびっしりと書いてある。

       毎週、毎週、姉妹以上に顔を合わせているから、
    わざわざ手紙など交わす必要もないはずなので、え、なんだろうと、
   広げてみたら、20数年前に風子が入院したときの見舞状であった。

        クミちゃんも驚いて、
        うっそ! 私があ? 

     書いた私も忘れてた……、と両方でげらげら笑った。

     見舞いに行かなかったから書いたのかなあ、とクミちゃん。

       ううん、違うよ、来てるよ、
     病院へ行ったら、楽しい入院生活のようで
    安心しましたって書いてあったよ。

     人の記憶はこうも曖昧なものかと両方で驚く。

      いやだなあ、捨てといてとクミちゃんが言うから、
         はいはい、そうしますと答えたが、
         友情にあふれた貴重な手紙だからね。
       たとえクミちゃんのお願いでも、捨てたくない。
       
          何度も読み返してまた仕舞った。

         かくして、終活は一向にはかどらない。


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