風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

近視あれこれ

2018-09-20 22:59:42 | 昭和つれづれ

 近視で眼鏡を買ってもらえなかったわたしは、

近所のおばさんたちから挨拶もしない子だといわれないために、

家の近くまで来ると、顔が分からなくても、誰彼かまわずコンニチハと挨拶をした。

その日も、向こうから誰かが来たので、コンニチハとお辞儀をして通り過ぎようとした。

「あらまあ、お帰りなさいませ」と気取った声で返ってきた挨拶は母の声だった。

むろん、母はわたしが見えていないことを承知で冗談で対応していたのだ。

顔は見えなくても、親の声はさすがに聴き分けられる、

それで アハハハと親子で笑いあったのだからのんきなものだった。