月末に韓国へ妹と旅行する。
だけど、わたしはこのところしつこい蕁麻疹に罹っている。
ドクターストップがかけられたけど、ねばったら、まあ、ゆったりと無理しないという条件で
薬を出しましょうと言ってくれた。
その旨、妹に報告したら、電話の向こうで妹がせせら笑った。
お姉ちゃんはいつか中国に一緒に行ったときも、その朝にヘルペスを発症したじゃない、
海外旅行の前は必ずどこか悪くなるんだから。
そうだった、そうだった。
スペインのときは硝子体剥離で眼帯をして行った。
ドイツへ行く前はひどい咳で、肺癌かもしれない、最後の旅行だと覚悟したら、
友だちがそんな気分で旅行してもつまらんから、白黒はっきりさせろと
強引に車に乗せて呼吸器科へ連れていかれた。
結果、気管支炎であった。
お腹をこわしてほとんど食べられない状態のときもあった。
ヘルペスのときは、上等の老酒を土産に
家に帰るよりさきに空港からまっすぐ医者のところへタクシーを走らせた。
ヘルペスは顔面だったから、痛いし、お岩さんみたいに腫れて、あれでよくも行ったものだ。
海外旅行は楽しみと心配が背中合わせでストレスとなって身体が反応するのだろう。
つまりいかに小心で臆病者かという表れであり、妹がせせら笑う所以である。
何があるか分からないので、保険だけはしっかりかけた。
さあ、どんとこい、である……と言ってまた妹に、
韓国は東京より近いのよ、いまどき韓国行きくらいでとまた嗤われた。