風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

二七の縁日

2018-09-11 22:37:32 | 昭和つれづれ

 二七の縁日のことはたしか吉行淳之介が何かに書いたのを読んだ記憶があるが、

読み返してみたいと思うがいまそれがどこに書いてあったか思い出せない。

東郷公園の前の九段と番町を東西に走る通りが二七通りで、

二七不動尊があることから二と七のつく日、つまり月に六日も縁日が出た。

むろん金魚すくいも綿あめもあるが、もっと日常的な雑貨金物もあったような気がする。

植木、瀬戸物、衣類など、こんど二七の日に買おう、と大人もこの日を心待ちにしたのではなかったか。

コンビニもスーパーもホームセンターもなかった時代である。

わたしの記憶はもう七〇年も昔のことだから、今も縁日があるかどうかは分からない。

 母に連れられ、きょうだいでぞろぞろ歩くと、近所の顔見知りの子供たちと一緒になったりして

心楽しい時間であった。

 うちの父はあまりついてくるような人ではなかったが、いつもは厳しそうな近所のおじさんが

妻子を引き連れて歩くようすなども子ども心に微笑ましく、羨ましくも思ったことである。