家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

「四面背割り材」とポジティブシンキング

2007年02月08日 | 我が家のスペシャルな仕様
ある程度の太さがある無垢の木材は時間が経てばどうしても割れが生じてしまうため、割れる場所をあらかじめ決めてしまう背割りというものが施されている。
普通の柱材は四面あるうちの一面に深めに背割りを入れる。この背割りがあるおかげでほかの3面は割れが出ることもなくすっきりした表面のまま使い続けることができる。背割りを入れた面はできるだけ目に触れない方向に設置するのがセオリーだ。
我が家もむき出しになった柱はこうした材を使った。旧家屋でもそうだった。
ただ真壁でなく大壁の場合は柱は壁に隠れてしまい、人の目に触れない。我が家ではこの隠れてしまう柱はむき出しの柱と違う材を導入してある。
普通の一面背割りでは長い時間を経ると一箇所の割れ部分に変化が集中し、大なり小なり断面の正方形が歪んでくることがある。それが壁に悪影響を生じさせる原因になる場合がある。最近の家で集成材の使用が増えているのはそれをきらっているという理由もあるようだ。
ところが我が家の好みと建築家の志向が集成材の使用に後ろ向き(関連エントリ)であったため、工務店の提案で導入されたのが四面背割り材。四面に浅く背割りを入れることで歪みを小さくする効果がある。原理は単純だが、コロンブスの卵的発想が気に入った。

四面背割り材を説明したサイト↓
http://www.blk.mmtr.or.jp/~kane8ito/yonmen.html

そして・・・
建築も終盤に差し掛かってきたころ、私はあるミスに気がついた。あらわしの柱(当然一面背割り)の木目を見て「うんうん」と満足げにうなずいて現場を回っていたのだが、1箇所だけ、あらわし部分に四面背割り材が使われていることを発見したのだ。
それは和室の窓の部分に露出した柱だった。この窓はかつて下記エントリで写真つきで紹介していて、当該部分は右側にすこしだけ見えている。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/29fda79818506715fdd91c5df244fce1
もう壁のボードまで張られている段階で、どう考えてもリカバリなどはできないことは明らかだった。設計者のミスなのか施工者のミスなのかはわからないが、こんなものは上棟時にでも気がつかなければ直しようがない。
まあそんなことを考えたりはしたのだが、このミスはショックではなかった。露出部分は25cm足らずに過ぎない。そしてなにより四面背割り材を使用している事実自体に満足していたので、それを確認できる場所ができた、ってなものである。そう思ったほうが嘆いたり、糾弾したりするよりよほど楽しい。
むしろ子供がこの部分を見て、「なんでここだけ割れているの?」なんて質問をしてくれて、待ってましたとばかりに四面背割り材のことを説明したいなあ、などと想像したら、さらに楽しくなった。
ポジティブシンキングはしてみるものである。