家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

知る人ぞ知る――組織について考える

2007年02月19日 | 家について思ったことなど
ハウスメーカーに比べて、工務店や設計事務所は組織としてあまりにも小さい。
その状況をもって最初から敬遠する人がいるが、理由としてはどうなのだろう。

世の中には、質の高いものを提供する小さな組織は決して少なくない。
街の片隅におどろくほどおいしいパン屋があったりする。
妙にクセになるコロッケ屋なんてのが商店街にあったりする。
小さな造り酒屋が名酒を造っていたりする。

大組織がいいというだけの理由だと、パンやコロッケはスーパーに並んでいる大手メーカーのものを食べ、酒はテレビCMが流れているものを飲み、紳士服は量販店で買うということになる。
もちろん、モノを全般に眺めれば、大手メーカーもいいものを供給している。自分の好みにジャストフィットすることだってある。
だけど、真にいいものを探すとき、最初の行動として作り手の組織の規模によってふるいにかけたりはしないだろう。
パンが好きな人はパンを探すのに、まず作っているのが大手か中小か零細か、というようなことを考えるだろうか。酒の好きな人は小さな造り酒屋の酒だって飲んでみたいと思うだろうし、オシャレな人はオーダーメイドでスーツを作ろうともするだろう。

大手は大手なるがゆえに世間一般のおおまかなニーズをはずしていない。ゆえに失敗に遭遇する確率は小さい、そんな考え方もできなくはない。
だけど大手だから失敗しないことが保証されているわけではなく、小組織だから成功しにくいわけではない。大量生産品の場合は、作り手の規模の大小が質や価格を左右することが多いが、注文住宅は総体としては大量生産品ではないのだ。
作り手の組織の規模というのは知っておく必要はあるだろうが、それは提供するものの優劣を決める最大の要素とは言えないし、家づくりの出発点から条件付けしなくてもいいことだと考える。
さまざまな理由から結果的に組織の規模が決定要素になることはあるだろうが、求めるモノの本質を考えるのがまずあって、その後にそれを提供してくれる依頼先を考えるのが素直な順番ではないだろうか。

好みの問題だが、私は知る人ぞ知る名店なんてものにそそられてしまうクチだ。それは建築業界にも存在するだろう。知る努力はしてみる価値があると思う。