家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

ローテクを見直したい

2005年01月14日 | 家について思ったことなど
 実はこの週、永年勤続で得た休暇をとった。初日はタンスの搬入につかったが、その後、山小屋に籠もった。
何も考えずに、ただ空の雲を眺めるという時間がほしかった。肉体労働をしたかった。何回も風呂に入りたかった。酒を飲みながら映画を見たかった。燃える火を眺めたかった。本を読みたかった。
たったの2泊3日ではあったが、とりあえず、大方の目的は果たすことができた。

やっていて特に充実感が得られたのは肉体労働だ。
薪ストーブ用の薪割りのほか、山林で枝打ちをした。背筋や上腕二頭筋が突然、重い役割を与えられて喜ぶ。当初は喜びだったが、2日目はハードさに悲鳴を上げる。悲鳴をあげつつ喜んでいる。
筋肉達が筋肉界での話をしている一方、頭の方はいろいろなことを考える。

薪割りをしながら考えたことのひとつが、ローテクな道具・器具の良さである。
ハイテクが未踏の分野への挑戦であるのに対し、ローテクは変える必要のあまりない分野に所属する。
 薪ストーブはローテク器具だが、道具として実によくできている。
下に空気の取り入れ口があり、煙突効果で実に簡単に薪に火をつけることができる。
火を燃やせば鋳物の本体が熱せられ、輻射熱で空気を汚さずにクリーンに部屋を暖める。本体だけでなく煙突部分もたっぷり熱を出す。
また、使用する過程がハード面でもソフト面でも、循環や副産物をもたらす。
火が燃えるのを見ていると落ち着くというかなごむ。
準備段階の薪割りはいい運動であり、ストレス解消にも効果抜群だ。丸太がきれいに割れるとスカッとする。
山にいるからこそでもあるが、薪は端材を有効活用できている。

ハイテク製品はスイッチひとつで望む環境をもたらしてくれるが、その環境に至る過程がない分、副産物もないし、循環もない。

陳腐化ということについても考えた。
ハイテクの世界は常に陳腐化リスクにさらされる。パソコンなどは最新のものを買っても、1年後には時代遅れ扱いされていたりする。
一方、ローテクな技術は陳腐化リスクが小さい。薪ストーブなど、原型となったものからほとんど変化していないのではないだろうか。これから100年くらいたっても陳腐化しないような気もする。

現代の家にハイテク製品は不可欠だが、ハイテクによってもたらされた機能を自慢できる期間は短いのではないだろうか。

 住宅には薪ストーブは導入しないが、家の中のローテクな道具や要素をもっと見直してみたいと思った。